JP6660521B2 - 整流子電動機要素、整流子電動機、電動送風機、掃除機 - Google Patents

整流子電動機要素、整流子電動機、電動送風機、掃除機 Download PDF

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Description

本発明は、家庭用掃除機に搭載される電動送風機に含む整流子電動機要素及び電装分野に用いられる整流子電動機に含む整流子電動機要素に関する。
家庭用掃除機等に用いる整流子電動機要素の回転数は、約4万rpm〜約5万rpmであり、電動機分野においては、最も高速回転駆動が為される分野の一つである。そして、この高速回転駆動に起因して、当該整流子電動機要素における整流子の課題は、従来から多々提起されている。
それら課題のうち、代表的なものは、高速回転による遠心力によって整流子の整流子片が剥離することへの対策技術である。
そして、特許文献1に記される技術は、高速回転に耐え得る整流子の構造に関する。なお、この特許文献1に記される技術による整流子は、1990年頃から現在に至るまで、大量に生産され、性能や、信頼性に過不足は無く、高い評価を得て、産業的価値の大いなるものである。
しかし、特許文献1に記される技術による整流子は、整流子の各整流子片間に円筒状のセラミック材による円柱体を埋設して、各円柱体の円筒面の相互作用によって逆アーチ作用を生み出して遠心力に抗する効果を活用するもので、その構造は複雑であった。
図6は、特許文献1に記される技術による整流子を簡便に説明する模式図である。図に示すように、整流子45において、整流子片45aは樹脂成型体50で保持固定される。また、電機子巻線において、その巻き始め部分と巻き終わり部分とが渡り線となり、この渡り線の途中部分が巻線締結部(フック部)45bと電気的に接続され、接続点48を構成する。πの字状外形の整流子片の埋設部49は整流子片の離脱を抑制する構造体であり、整流子電動機の高速回転に抗し得る構造である。また、整流子とそれに通電するブラシ間で発生するスパーク熱によって樹脂成型体50が劣化しても、整流子片が剥離することは抑制され、整流子電動機の高速回転化と長寿命化とに対応する構造体でもある。そして、隣り合う整流子片45aに狭持される態様にて、セラミック材による円柱体53を配置する。このセラミック材による円柱体53の円筒面の相互作用によって逆アーチ作用を生み出して遠心力に抗する効果を更に高めている。しかし、従来例の整流子45の構造は複雑な点が難点であり、その構造の簡便化、合理化を希求された。
一方、簡便な構造の整流子は、特許文献2等に記されるものが広く知られている。この特許文献2等に記される整流子は、各整流子片の内面にモールド材との結合保持力を向上するためのローレット加工による粗面を形成し、整流子片の剥離を抑制する構造であり、簡便な構造を特徴とするものである。しかし、遠心力に関しては、特許文献2に記載の整流子は、簡便な構造であるため、特許文献2等に記されるような堅牢な構造の整流子の、回転数が約4万rpm〜約5万rpmに達する家庭用掃除機等の高速回転動作には適さない。
特公平5−38544号公報 特開平8−308182号公報
そこで、例えば、特許文献1に記される整流子の構成において、セラミック材による円柱体を除くことで、簡便な構造を得られる。しかし、セラミック材による円柱体を除くことによって、セラミック材による円柱体の配置によって得られていた逆アーチ作用による抗遠心力構造は、損なわれるため、何らかの新たな抗遠心力構造を要する。
新たな抗遠心力構造としては、特許文献2等に記されている、整流子片の表面をローレット加工によるアヤ目と呼称されるローレットを設けて粗面化することで、整流子の構成材料の樹脂部との密着度を高める構成が容易に想起される。しかし、アヤ目と呼称されるローレットの凸凹形状のピッチは、最小でも約0.6mm程であり、細密さに限界がある。その為、整流子の構成材料の樹脂部と整流子片との密着度も限界があり、特許文献2等に記されるローレット加工による粗面化の構成は、特許文献1に記される整流子の構成に対して換わり得る抗遠心力構造では無い。
また、特許文献1等に記される整流子片は、楔形状の立体物であり、ローレット加工に好適な平板状の金属板ではないことから、ローレット加工を施すこと自体が課題となる。
以上の課題等に鑑み、本発明は、楔形状等の異形状の構造体である整流子片の表面に、新規な係合層を具備させることによって、新たな抗遠心力構造を具備する整流子電動機要素を得ることを目的とするものである。
上述の課題を解決するために、本件出願の発明者らは、試行錯誤を重ね且つ鋭意検討を行った。そして、モールド整流子の樹脂成型体と整流子片との界面に特定の係合層を具備させることが有効であり、且つ、整流子片には特定の金属材料が好適であることを見出した。その詳細を下記に述べる。
課題を解決するための第1の発明は、界磁コアと、前記界磁コアに絶縁電線を巻装してなる一対の界磁巻線と、を備える界磁部と、凸凹構造群を有する整流子片と、前記凸凹構造群と樹脂成分とを含む係合層と、前記整流子片と前記係合層と樹脂成型体とを含む整流子と、前記整流子を軸止する回転軸と、前記回転軸に軸止される電機子コアと、前記電機子コアに絶縁電線の巻装体群からなる電機子巻線を含む電機子と、前記巻装体群の各巻装体の巻始め部分の配線である巻き始め側渡り線と、前記巻装体群の各巻装体の巻き終わり部分の配線である巻き終わり側渡り線と、前記回転軸の軸心方向であり且つ前記電機子コアから前記回転軸の軸心方向に沿って離間して位置する前記整流子の前記整流子片と電気的に接続される前記巻き始め側渡り線及び前記巻き終わり側渡り線とを含む電機子構成体と、前記整流子と接触摺動するブラシと、を含む整流子電動機要素において、
前記整流子の回転軸方向に対して垂直な断面における整流子片の断面形状には、ブラシと接触摺動する部分に円弧を有する扇形の断面形状を含み、
更に、
前記整流子の回転軸方向に対して垂直な断面における整流子片の断面形状には、ブラシと接触摺動する部分に円弧を有する扇形の断面形状であり、その扇形の対向する辺部に凹状部を有して前記扇形の断面形状にくびれ部を含む整流子電動機要素である。
また、第2の発明は、第1の発明において、係合層の厚み寸法は、0.1μmから10μmの範囲に含まれる整流子電動機要素である。
また、第の発明は、第1の発明において、係合層の厚み寸法は、0.1μmから5μmの範囲に含まれる整流子電動機要素である。
また、第の発明は、第1の発明において、整流子片の材料成分には、少なくとも主成分として銅と、副成分として銀と、不可避不純物とを含み、前記副成分として銀の含有量は0.01重量%から1重量%である態様を含む整流子電動機要素である。
また、第の発明は、第1の発明において、整流子の回転時の遠心力方向に対して略同
一方向のせん断方向(シア方向)の方向成分を含む整流子片と樹脂成型体との界面の全部又は一部分に、係合層を具備する整流子電動機要素である。
また、第の発明は、第1の発明において、整流子の回転時の遠心力方向に対してテンシル方向の方向成分を含む整流子片と樹脂成型体との界面の全部又は一部分に、係合層を具備する整流子動機要素である。
また、第の発明は、第1の発明において、整流子の回転軸方向に対して垂直な断面における整流子片の断面形状には、ブラシと接触摺動する部分に円弧を有するT字形の断面形状を含む整流子動機要素である。
また、第の発明は、第1の発明において、整流子の回転軸方向に対して垂直な断面における整流子片の断面形状には、ブラシと接触摺動する部分に円弧を有するコの字形の断面形状を含む整流子動機要素である。
また、第の発明は、第1の発明において、整流子の回転軸方向に対して垂直な断面における整流子片の断面形状には、ブラシと接触摺動する部分に円弧を有する断面形状を含む整流子動機要素である。
また、第10発明は、第1の発明において、整流子の回転軸方向に対して垂直な断面における整流子片の断面形状には、ブラシと接触摺動する部分に円弧を有する略長方形の断面形状を含む整流子動機要素である。
また、第11の発明は、第1の発明において、整流子の回転軸方向に対して垂直な断面における整流子片の断面形状には、ブラシと接触摺動する部分に円弧を有する櫛歯状の断面形状を含む整流子動機要素である。
また、第12の発明は、第1の発明において、整流子の回転軸方向に対して垂直な断面における整流子片の断面形状には、ブラシと接触摺動する部分に円弧を有する楔型の断面形状を含む整流子動機要素である。
また、第13の発明は、第1の発明において、整流子の回転軸方向と同方向の整流子片の断面形状には、略長方形又はπの字状の断面形状を含む整流子動機要素である。
また、第14の発明は、第1の発明の整流子電動機要素を含む整流子電動機である。
また、第15の発明は、第1の発明の整流子電動機要素を含む電動送風機である。
また、第16の発明は、第1の発明の整流子電動機要素を含む掃除機である。
本発明によれば、整流子片に蝕刻剤(蝕刻液)で形成した表層構造体によって、整流子片の等価的表面積は大きく増加し、表層構造体は、整流子の樹脂成型体の樹脂成分とからなる係合層を介して整流子片と整流子の樹脂成型体との接着強度の増加が図れる。
また、本発明によれば、整流子片の銅合金には、銀を含み、これにより、一般的な電気銅などの高純度な銅材に蝕刻剤(蝕刻液)を用いて表層構造体を形成するよりも効果的な態様の表層構造体を形成することができる。これは、整流子片に含有する銀成分と銅成分とでは、蝕刻剤(蝕刻液)による酸化作用及び還元作用の反応具合が相違することに起因する。また、整流子片に銀を含む銅合金を用いることにより、一般的な電気銅などの高純
度な銅材よりも耐熱耐久性を向上することが可能になるため、高速回転と耐久性を両立することが可能である。
上記の効果により、整流子電動機要素の高速回転及び長寿命を果たすことが可能であり、産業的価値の大いなるものである。
本発明の実施例1の整流子電動機要素を備える電動送風機の構成を示す部分断面図 本発明の実施例1の図1におけるA−Aで示す箇所の断面図 本発明の実施例1の整流子電動機要素の要部を示す側面図 本発明の実施例1の整流子の説明図 本発明の実施例1の整流子片及び樹脂成型体を示す図 (a)従来例の整流子の一例を示す回転軸方向の半断面図、(b)従来例の整流子の一例を示す回転軸方向に対して垂直な面の断面図
以下、本発明について、図面を参照しながら説明する。本実施例では一例として、電気掃除機に具備される本整流子電動機要素を用いた電動送風機を挙げて説明する。なお、以下の実施例によって本発明が限定されるものではない。
図1は、本実施例における整流子電動機要素11を備えた電動送風機10の構成を示す部分断面図である。
電動送風機10は、一方を開口した略カップ状のブラケット12内に、本実施例の整流子電動機要素11を設けた構成である。整流子電動機要素11は、図1に示すように、界磁であるステータ30と、電機子であるロータ40と、ブラシ部20とを含み構成されている。
ステータ30は、電磁鋼板の積層体などで構成された界磁コア31に絶縁電線などを巻装して界磁巻線32を構成している。界磁コア31は、例えば所定形状の電磁鋼板を複数枚積層して形成されている。また、界磁コア31は、その内側に、磁極となる磁極部31aを有するとともに、ロータ40を配置するための空間部を有している。このようなステータ30がブラケット12の内側に固定されている。
一方、ロータ40は、電機子コア41と、この電機子コア41に具備するスロットに絶縁電線を巻装してなる電機子巻装体群からなる電機子巻線42と、回転軸43と、整流子45とを含み構成されている。上述のとおり、電機子コア41には、電機子巻線42が巻回されている。整流子45には、電機子コア41から引き出された電機子巻線42の一部が接続される。電機子コア41および整流子45は円筒状を成し、電機子コア41および整流子45の中心を貫通するように回転軸43が結合されている。この回転軸43の両端が、それぞれ軸受13によって回転自在に支承されている。このように構成されたロータ40は、電機子コア41と界磁コア31に形成された磁極部31aとが対面した状態で、ステータ30の内周側に配置されている。
そして、ブラケット12には、ブラシ部20に含まれるブラシ保持器25が固定されている。ブラシ部20は、このブラシ保持器25とブラシ21とブラシバネ27とを含む構成である。ブラシ21は、人造黒鉛等のカーボンブラシ材へ固体潤滑剤を含む組成で構成される。このようなブラシ21が、ブラシ保持器25内に保持されるとともに、ブラシバ
ネ27によって整流子45へと押圧されている。整流子電動機要素11は、一対のこのようなブラシ部20を有しており、その一対のブラシ21がそれぞれに、整流子45に当接している。以上のようにして、整流子電動機要素11が構成されている。
また、電動送風機10において、ブラケット12の開口した側を覆うように、ファンケース15が取り付けられている。ロータ40の回転軸43は、ブラケット12の開口からファンケース15内へと延伸し、その回転軸43の先端部には、遠心ファン16が取り付けられている。さらに、遠心ファン16とブラケット12の開口との間には、エアガイド17が取り付けられている。このように、ファンケース15内には遠心ファン16およびエアガイド17が配置されている。
以上のように構成された電動送風機10において、外部から整流子電動機要素11に電力が供給されると、電機子電流がブラシ21および整流子45を介して電機子巻線42に流れるとともに、ステータ30の界磁巻線32には界磁電流が流れる。そして、界磁電流によって界磁コア31で発生した磁束と、電機子巻線42を流れる電機子電流との間で力が発生し、ロータ40が回転する。このロータ40の回転に伴なって、遠心ファン16が回転する。この回転によって、吸気口18から空気が吸入されて遠心ファン16の中に流れ込み、ブラケット12内を経て、電動送風機10の外に排出される。
次に、整流子電動機要素11のさらに詳細な構成について説明する。
図2は、図1における、A−Aで示した箇所の断面図である。すなわち、回転軸43の延伸方向から見た整流子45およびブラシ部20の主要な構成を示している。
図2に示すように、整流子45は、その周囲に等間隔で複数の整流子片45aが形成されている。各々の整流子片45aは、金属で形成され、ブラシ21と接触することで電機子巻線42の電流を供給する。
また、一対のブラシ部20において、ブラシ保持器25は、回転軸43と直交する径方向に沿って整流子45と対向して配設される。また、ブラシ保持器25は、筒状を成し、整流子45と相対する位置に開口部29を有する。そして、ブラシ保持器25内には、ブラシ21とブラシバネ27とが配設される。
ブラシバネ27は、螺旋状のバネで構成される。ブラシバネ27は、一端をブラシ21の反接触面へと当接され、他端をブラシ保持器25外周側の壁面へと当接される。ブラシバネ27は、ブラシ保持器25において、開口部29を介してブラシ21を整流子45へ押圧するよう配設される。すなわち、ブラシ21は、ブラシバネ27の弾性力によって、その接触面が整流子45へと押圧され、これによって、ブラシ21と整流子45に形成された整流子片45aとが電気的に接続される。
このようにして、ブラシ21は、ブラシ保持器25内でブラシバネ27により径方向に移動して整流子45と接触摺動する。また、ブラシ21には、ブラシ21に電流を供給するための接続線(ピグテール)28が接続されている。接続線(ピグテール)28は、ブラシバネ27の螺旋状内部を通って、一端がブラシ21の反接触面に接合され、他端がブラシ保持器25外周側の壁面に溶着される。
図3は、本実施例における整流子電動機要素11の要部を示す側面図である。
図3に示すように、電機子コア41と整流子45が、回転軸43に圧入、焼バメ等の方法で接合されている。電機子コア41には、絶縁電線の巻装体である電機子巻線42を具
備する。巻回された電機子巻線42は、部分的に複数の渡り線42aとして整流子45側に引出されている。一方、各々の整流子片45aの電機子コア41側の端部には、折曲形状の巻線締結部(フック部)45bが形成されている。この巻線締結部(フック部)45bに、渡り線42aそれぞれが接合され、これによって、ブラシ21から整流子片45aを介して電機子巻線42へと電気的に接続される。
なお、渡り線42aの詳細な構成であるが、各電機子巻装体の巻始め部分の配線である巻き始め側渡り線と、各電機子巻装体の巻き終わり部分の配線である巻き終わり側渡り線との2種類からなるものである。
電機子コア41と整流子45とは、回転軸43に圧入される。電機子コア41と整流子45とは、回転軸43に対して焼バメ等の方法で接合される。電機子巻線42は、電機子コア41に巻き回されている。電機子巻線42が電機子コア41に巻き回され、回転軸43の軸心方向に沿って電機子コア41からはみ出した部分が、コイルエンド35となる。
電機子コア41には、複数のティース部44を具備し、隣り合うティース部44との間にスロット46を備えている。本実施例における電機子41aは、12個の電機子コア41を有するため、12個のスロット46を有する。電機子巻装体群からなる電機子巻線42は、いわゆる分布巻で巻き回される。整流子45は24個の整流子片45aを備える。それぞれの整流子片45aは、巻線締結部(フック部)45bを備える。巻線締結部(フック部)45bは、渡り線42aの端末が接続される。
電機子巻線42をなす絶縁電線は、その巻き始め部分と巻き終わり部分とが渡り線となる。渡り線は、整流子45の巻線締結部(フック部)45bに接合される。コイルエンド35と整流子45との間には、電機子巻線42と整流子45の巻線締結部(フック部)45bとの間をつなぐ渡り線の集合体が存在する。この渡り線の集合体は、過密に巻き回された電機子巻線42を配線するものである。なお、これ以降、この渡り線の集合体を渡り線群42bという。
本発明の実施例の整流子について、図4に一例を示す。整流子45は、表層構造体を有する複数の整流子片45aと、樹脂成型体50とを含む。整流子片45aの整流子片の外形形状は、整流子の回転軸方向と同方向の整流子片の断面形状には、略長方形又はπの字状の断面形状を含む。また、整流子の回転軸方向に対して垂直な断面における整流子片の断面形状には、ブラシと接触摺動する部分に円弧を有する扇形の断面形状であり、その扇形の対向する辺部に凹状部を有して前記扇形の断面形状にくびれ部を含む。
この整流子片45aは、πの字状外形の整流子片の埋設部49を具備する構成である。また、整流子片45aは、巻線締結部(フック部)45bを具備する構成である。そして、電機子巻線において、その巻き始め部分と巻き終わり部分とが渡り線となり、この渡り線の途中部分が巻線締結部(フック部)45bと電気的に接続され、接続点48を構成する。また、隣り合う整流子片45aの間には、各々の整流子片45aを絶縁するための構成としてのスリット47を配置する。
整流子片45aの表層部には、1種類又は2種類以上の蝕刻剤(蝕刻液)による酸化作用又は/及び還元作用によって、表層構造体を設ける。この表層構造体は、突端部とその突端部の基部とを含む凸凹構造群であり、前記基部を基点に0.1μmから10μmの範囲に前記突端部が位置する態様である。そして、この表層構造体は、整流子の樹脂成型体の樹脂成分と一体となって係合層を構成する。
当然、この係合層のおよその層厚は、0.1μmから10μmの範囲である。整流子片
45aの表層部に設けた表層構造体によって、整流子片45aの等価的表面積は大きく増加し、表層構造体は、整流子の樹脂成型体の樹脂成分とからなる係合層を介して整流子片と整流子の樹脂成型体との接着強度の増加が図れる。なお、係合層のおよその層厚は、0.1μm以下では、接着強度の増加効果は乏しい。また、係合層のおよその層厚は、10μm以下が好ましく、5μm以下がさらに好ましい。
図5は、本発明の実施例の整流子片の表層構造体及び係合層の断面の状態を示す顕微鏡写真である。表層構造体の凸凹構造群51と樹脂成型体50の樹脂成分とが係合し合って、係合層52を構成している。この顕微鏡写真には、樹脂成型体50とともに白濁点としてフィラー54も撮影されている。
整流子の樹脂成型体の樹脂成分は、フィラーを含むフェノール系樹脂であり、その比重は、1.69から1.95程度である。フィラーを除いたフェノール系樹脂の比重は、1.21から1.3程度である。したがって、0.1μmから10μmの厚みの係合層の体積において、フィラーを殆ど含まないフェノール樹脂のみが体積比で約50%を占める。したがって、その樹脂成分の量は、60.5μg/cmから650μg/cm程度である。また、0.1μmから5μmの厚みの係合層における樹脂成分の量は、60.5μg/cmから325μg/cm程度である。表層構造体の凸凹構造群51には、フェノール系樹脂に添加されたフィラーが物理的に入り込む余地が無く、上述の値となる。
また、0.1μmから10μmの厚みの係合層の体積にフィラーが入り込むケースにおいては、次のとおりである。フィラーを含むフェノール樹脂は、上記と同様に係合層の体積比で約50%を占める。したがって、その樹脂成分の量は、98μg/cmから975μg/cm程度である。また、0.1μmから5μmの厚みの係合層における樹脂成分の量は、98μg/cmから487.5μg/cm程度である。
なお、本発明の実施例における整流子片の表層構造体及び係合層は、整流子の回転時の遠心力方向に対して略同一方向のせん断方向(シア方向)の方向成分を含む整流子片と樹脂成型体との界面の全部又は一部分に設ける。また、本発明の実施例における整流子片の表層構造体及び係合層は、整流子の回転時の遠心力方向に対してテンシル方向の方向成分を含む整流子片と樹脂成型体との界面の全部又は一部分に設ける。
また、本発明の実施例における蝕刻剤(蝕刻液)を用いた酸化作用又は/及び還元作用による表層構造体は、整流子片45aを蝕刻剤(蝕刻液)に浸漬させて得られる為、一度に整流子片45aの全周に処理を施すことが出来る。ローレット加工の場合、処理をする部位を増やす度に製造コストが増加する為、蝕刻剤(蝕刻液)を用いた酸化作用又は/及び還元作用による表層構造体を得る方法の方が、製造工程のコストを抑制することが可能である。
一方、整流子電動機要素の製造において、整流子は回転軸と接続組立をした後に、回転軸と整流子外周との同芯度を良化する目的で、整流子の外周表面を切削する製造工程が一般的である。この外周表面の切削は、径方向において表面から深さ25〜50μm程度に外周切削を施す。よって、本発明の実施例による蝕刻剤(蝕刻液)により、全周に0.1μmから10μmの形状の表層構造体が形成されたとしても、上記の外周切削により、ブラシ21と接触する整流子片45aの表面を平滑に成し得るため、ブラシ21と整流子45の摺動には影響を与えない。
また、本発明の実施例の整流子片45aは、銀を0.01重量%から1重量%程度含む銅合金が好適である。これにより、一般的な電気銅などの高純度な銅材(銅含有率99.9%から99.99%程度)に蝕刻剤(蝕刻液)を用いて表層構造体を形成するよりも効
果的な態様の表層構造体を形成することができる。本発明における整流子片には、銀を0.01重量%から1重量%程度含み、これにより、一般的な電気銅などの高純度な銅材(銅含有率99.9%から99.99%程度)に蝕刻剤(蝕刻液)を用いて表層構造体を形成するよりも効果的な態様の表層構造体を形成することができる。
これは、整流子片に含有する銀成分と銅成分とでは、蝕刻剤(蝕刻液)による酸化作用及び還元作用の反応具合が相違することに起因する。また、整流子片に銀を含む銅合金を用いることにより、一般的な電気銅などの高純度な銅材(銅含有率99.9%から99.99%程度)よりも耐熱耐久性を向上することが可能になるため、高速回転と耐久性を両立することが可能である。なお、既存の銅合金、電気銅などの銅材には、微量であるが多種多様な不可避不純物が含まれている。
また、本発明の実施例では蝕刻剤(蝕刻液)に硫酸と過酸化水素を含んだ水溶液を用いたが、その他の成分で構成された蝕刻剤(蝕刻液)も使用することができる。
なお、本発明の実施例における整流子片の外形形状は、整流子の回転軸方向と同方向の整流子片の断面形状には、略長方形又はπの字状の断面形状を含む。また、整流子の回転軸方向に対して垂直な断面における整流子片の断面形状には、ブラシと接触摺動する部分に円弧を有する扇形の断面形状であり、その扇形の対向する辺部に凹状部を有して前記扇形の断面形状にくびれ部を含む。また、整流子の回転軸方向に対して垂直な断面における整流子片の断面形状の扇形形状に換えて、T字形の断面形状、コの字形の断面形状、蒲鉾形の断面形状、略長方形の断面形状、櫛歯状の断面形状又は楔型の断面形状であっても良い。
本発明の実施例における整流子電動機要素は、新規な構成の整流子を具備することによって、従来技術による整流子を具備すると整流子電動機要素と同等又はそれを上回る高速回転が可能である。
また、本発明の整流子電動機要素を含む整流子電動機、電動送風機及び掃除機においても、新規な構成の整流子を具備することによって、従来技術による整流子を具備する整流子電動機、電動送風機及び掃除機と同等又はそれを上回る高速回転が可能である。
以上のように、本発明にかかる本発明における整流子電動機要素は、高速回転と長寿命化を両立させることができる整流子電動機及びこれを用いた各種電気機器に有用であり、産業的価値の大いなるものである。
10 電動送風機
11 整流子電動機要素
12 ブラケット
13 軸受
15 ファンケース
16 遠心ファン
17 エアガイド
18 吸気口
20 ブラシ部
21 ブラシ
25 ブラシ保持器
27 ブラシバネ
28 接続線(ピグテール)
29 開口部
30 ステータ
31 界磁コア
31a 磁極部
32 界磁巻線
35 コイルエンド
40 ロータ
41 電機子コア
41a 電機子
42 電機子巻線
42a 渡り線
42b 渡り線群
43 回転軸
44 ティース部
45 整流子
45a 整流子片
45b 巻線締結部(フック部)
46 スロット
47 スリット
48 接続点
49 πの字状外形の整流子片の埋設部
50 樹脂成型体
51 凸凹構造群
52 係合層
53 セラミック材による円柱体

Claims (16)

  1. 界磁コアと、前記界磁コアに絶縁電線を巻装してなる一対の界磁巻線と、を備える界磁部と、凸凹構造群を有する整流子片と、前記凸凹構造群と樹脂成分とを含む係合層と、前記整流子片と前記係合層と樹脂成型体とを含む整流子と、前記整流子を軸止する回転軸と、前記回転軸に軸止される電機子コアと、前記電機子コアに絶縁電線の巻装体群からなる電機子巻線を含む電機子と、前記巻装体群の各巻装体の巻始め部分の配線である巻き始め側渡り線と、前記巻装体群の各巻装体の巻き終わり部分の配線である巻き終わり側渡り線と、前記回転軸の軸心方向であり且つ前記電機子コアから前記回転軸の軸心方向に沿って離間して位置する前記整流子の前記整流子片と電気的に接続される前記巻き始め側渡り線及び前記巻き終わり側渡り線とを含む電機子構成体と、前記整流子と接触摺動するブラシと、を含む整流子電動機要素において、
    前記整流子の回転軸方向に対して垂直な断面における整流子片の断面形状には、ブラシと接触摺動する部分に円弧を有する扇形の断面形状を含み、
    更に、
    前記整流子の回転軸方向に対して垂直な断面における整流子片の断面形状には、ブラシと接触摺動する部分に円弧を有する扇形の断面形状であり、その扇形の対向する辺部に凹状部を有して前記扇形の断面形状にくびれ部を含む整流子電動機要素
  2. 請求項1記載の整流子電動機要素において、
    係合層の厚み寸法は、0.1μmから10μmの範囲に含まれる整流子電動機要素。
  3. 請求項1記載の整流子電動機要素において、
    係合層の厚み寸法は、0.1μmから5μmの範囲に含まれる整流子電動機要素。
  4. 請求項1記載の整流子電動機要素において、整流子片の材料成分には、少なくとも主成分として銅と、副成分として銀と、不可避不純物とを含み、前記副成分として銀の含有量は0.01重量%から1重量%である態様を含む整流子電動機要素。
  5. 請求項1記載の整流子電動機要素において、整流子の回転時の遠心力方向に対して略同一方向のせん断方向(シア方向)の方向成分を含む整流子片と樹脂成型体との界面の全部又
    は一部分に、係合層を具備する整流子電動機要素。
  6. 請求項1記載の整流子電動機要素において、整流子の回転時の遠心力方向に対してテンシル方向の方向成分を含む整流子片と樹脂成型体との界面の全部又は一部分に、係合層を具備する整流子電動機要素。
  7. 請求項1記載の整流子電動機要素において、整流子の回転軸方向に対して垂直な断面における整流子片の断面形状には、ブラシと接触摺動する部分に円弧を有するT字形の断面形状を含む整流子電動機要素。
  8. 請求項1記載の整流子電動機要素において、整流子の回転軸方向に対して垂直な断面における整流子片の断面形状には、ブラシと接触摺動する部分に円弧を有するコの字形の断面形状を含む整流子電動機要素。
  9. 請求項1記載の整流子電動機要素において、整流子の回転軸方向に対して垂直な断面における整流子片の断面形状には、ブラシと接触摺動する部分に円弧を有する断面形状を含む整流子電動機要素。
  10. 請求項1記載の整流子電動機要素において、整流子の回転軸方向に対して垂直な断面における整流子片の断面形状には、ブラシと接触摺動する部分に円弧を有する略長方形の断面形状を含む整流子電動機要素。
  11. 請求項1記載の整流子電動機要素において、整流子の回転軸方向に対して垂直な断面における整流子片の断面形状には、ブラシと接触摺動する部分に円弧を有する櫛歯状の断面形状を含む整流子電動機要素。
  12. 請求項1記載の整流子電動機要素において、整流子の回転軸方向に対して垂直な断面における整流子片の断面形状には、ブラシと接触摺動する部分に円弧を有する楔型の断面形状を含む整流子電動機要素。
  13. 請求項1記載の整流子電動機要素において、整流子の回転軸方向と同方向の整流子片の断面形状には、略長方形又はπの字状の断面形状を含む整流子電動機要素。
  14. 請求項1記載の整流子電動機要素を含む整流子電動機。
  15. 請求項1記載の整流子電動機要素を含む電動送風機。
  16. 請求項1記載の整流子電動機要素を含む掃除機。
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