JP6660174B2 - 電極の製造方法、及び膜電極接合体の製造方法 - Google Patents

電極の製造方法、及び膜電極接合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電極の製造方法、及び膜電極接合体の製造方法に関する。詳細には本発明は、廃水を浄化し、かつ、電気エネルギーを生成することが可能な電極の製造方法、及び当該電極を備える膜電極接合体の製造方法に関する。
近年、持続可能なエネルギーとして、バイオマスを利用して発電をする微生物燃料電池が注目されている。微生物燃料電池は、微生物の代謝能力を利用して有機物などを電気エネルギーに変換する装置であり、有機物の処理をしながらエネルギーの回収ができるという優れたシステムである。ただ、微生物が発する電力が非常に小さく、出力される電流密度が低いため、更なる改良が必要である。
このような微生物燃料電池として、従来、拡散層と、活性炭及びカーボンブラックからなる触媒層と、ステンレス鋼メッシュからなる導電体層とを積層してなる正極を用いたものが開示されている(例えば、非特許文献1参照)。この微生物燃料電池では、拡散層が空気と接触するように配置され、導電体層が被処理液と接触するように配置されている。そして、活性炭が空気中の酸素を還元する触媒として作用し、活性炭の表面に設けられたカーボンブラックが電子伝導性を向上させ、活性炭の作用を向上させることが記載されている。このような微生物燃料電池では、被処理液中の有機物を分解する微生物が負極に担持されているか、又は被処理液中に浮遊している。
Xiaoyuan Zhang著、外4名、「エンバイロメンタル サイエンス アンド テクノロジー (Environmental Science & Technology)」、(米国)、2014年、第48巻、p.2075-2081
ここで、非特許文献1の微生物燃料電池において、触媒層を構成する活性炭は粒子径が大きいため、活性炭粒子の間に形成される空隙は被処理液中の微生物のサイズよりも大きくなってしまう。そのため、微生物が導電体層及び触媒層を通過して拡散層に到達し、拡散層に付着してしまう。その結果、拡散層において微生物が空気中の酸素を消費するため、触媒層に酸素が十分に供給されず、微生物燃料電池の発電性能が低下する恐れがあった。また、拡散層に微生物が付着するため、拡散層の劣化を引き起こす可能性があった。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、発電性能の低下を抑制し、安定的に電気エネルギーを生産することが可能な電極の製造方法、及び当該電極を備える膜電極接合体の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の第一の態様に係る、フィルタ層を備える電極の製造方法は、導電性及び酸素透過性を有する黒鉛シートの一方の面に、溶媒と炭素材料とを含むペーストを積層することにより、積層シートを得る積層工程を有する。さらに当該製造方法は、積層シートを積層方向にプレスすることで溶媒を取り除き、黒鉛シートの一方の面にフィルタ層を形成するプレス工程を有する。
本発明の第二の態様に係る膜電極接合体の製造方法は、次の積層工程を有する。つまり、導電性及び酸素透過性を有する黒鉛シートの一方の面に、溶媒と炭素材料とを含むペーストを積層し、さらにペーストにおける黒鉛シートとは反対側の面に、プロトン透過性を有するイオン移動層を積層することにより、積層シートを得る積層工程を有する。さらに当該製造方法は、積層シートを積層方向にプレスすることで溶媒を取り除き、黒鉛シートの一方の面にフィルタ層を形成するとともに、フィルタ層とイオン移動層とを接合するプレス工程を有する。
本発明の第三の態様に係る膜電極接合体の製造方法は、導電性及び酸素透過性を有する黒鉛シートの一方の面に、溶媒と炭素材料とを含むペーストを積層することにより、第一の積層シートを得る第一の積層工程を有する。また、第一の積層シートを積層方向にプレスし、ペーストにおける黒鉛シートとは反対側の面に平滑面を形成する第一のプレス工程を有する。さらに、平滑面にプロトン透過性を有するイオン移動層を積層することにより、第二の積層シートを得る第二の積層工程を有する。そして、第二の積層シートを積層方向にプレスすることで溶媒を取り除き、黒鉛シートの一方の面にフィルタ層を形成するとともに、フィルタ層とイオン移動層とを接合する第二のプレス工程を有する。
本発明によれば、黒鉛シートとペーストを一体的にプレス成形することで、フィルタ層を備えた電極及び膜電極接合体を得ている。そのため、黒鉛シートが厚さ方向に圧縮され難く、黒鉛シートの酸素透過性を高い状態に維持できることから、得られる電極及び膜電極接合体は発電性能の低下を抑制し、安定的に電気エネルギーを生産することが可能となる。
本発明の実施形態に係る電極の一例を示す概略断面図である。 本発明の実施形態に係る電極の他の例を示す概略断面図である。 本発明の実施形態に係る電極の断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施形態に係る膜電極接合体の一例を示す概略断面図である。 本発明の実施形態に係る膜電極接合体の断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。 本発明の実施形態に係る微生物燃料電池の一例を示す概略斜視図である。 図6中のA−A線に沿った断面図である。 上記微生物燃料電池における燃料電池ユニットを示す分解斜視図である。 実施例1の膜電極接合体及び比較例1の膜電極接合体に関し、酸素還元特性を評価した際の電位と電流密度との関係を示すグラフである。 実施例1の膜電極接合体における電極の断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。 比較例1の膜電極接合体における電極の断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。 実施例2の膜電極接合体を用いた微生物燃料電池、及び比較例2の正極を用いた微生物燃料電池における定常出力と経過日数との関係を示すグラフである。
以下、本実施形態に係る電極の製造方法、及び膜電極接合体の製造方法について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
[電極]
本実施形態の電極10は、図1に示すように、導電性及び酸素透過性を有する黒鉛シート1と、複数の空隙を有するフィルタ層2とを備える。そして、黒鉛シート1の一方の面1aには、フィルタ層2が接触するように積層されている。
さらに本実施形態の電極10Aは、図2に示すように、導電性及び酸素透過性を有する黒鉛シート1と、複数の空隙を有するフィルタ層2と、酸素透過性及び撥水性を有する撥水層3とを備えている。具体的には、電極10Aは、黒鉛シート1の一方の面1aにフィルタ層2が接触するように積層されており、黒鉛シート1の面1aと反対側にある他方の面1bに撥水層3が接触するように積層されている。
(黒鉛シート)
黒鉛からなる黒鉛シート1は、高い耐食性を有し、かつ、電気抵抗率が金属材料と同等であるため、電極の耐久性と導電性を両立することが可能となる。また、黒鉛シート1は、酸素が透過する細孔が多数存在する多孔質体であるため、後述するように、フィルタ層2に効率よく酸素を供給することができる。
黒鉛シート1に関し、黒鉛におけるグラフェン層は、黒鉛シート1及びフィルタ層2の積層方向Xに垂直な方向Yに沿って配列していることが好ましい。また、当該グラフェン層は、図1及び図2に示していない、積層方向Xに垂直な方向Zに沿って配列していることが好ましい。炭素の六員環構造からなるグラフェン層がこのように配列していることにより、黒鉛シート1及びフィルタ層2の積層方向Xの導電率よりも、当該積層方向Xに垂直な方向YZの導電率が向上する。そのため、図7に示すように、局部電池反応により生成した電子を外部回路100との間で導通させやすくなり、電池反応の効率をより向上させることが可能となる。
黒鉛シート1は、次のようにして得ることができる。まず、天然黒鉛を酸によって化学処理を施し、黒鉛のグラフェン層の層間へ挿入物を挿入する。次に、これを高温で急速加熱することで、層間挿入物の熱分解によるガス圧でグラフェン層間が押し広がった膨張黒鉛が得られる。そして、この膨張黒鉛を加圧し、ロール圧延することにより、黒鉛シートが得られる。このようにして得られた黒鉛シートは、黒鉛におけるグラフェン層が積層方向Xに垂直な方向YZに沿って配列しているため、外部回路100との間の導電性をより高めることができる。
(フィルタ層)
本実施形態の電極10は、黒鉛シート1に加え、電極内部に微生物の侵入を防ぐフィルタ層2を備えている。
後述するように、電極10を微生物燃料電池に使用した場合、電極10の黒鉛シート1は酸素を含む気体が供給されるように配置され、フィルタ層2は被処理液80と接触するように配置される。そして、被処理液80の液中には、被処理液中の有機物又は窒素を含む化合物(窒素含有化合物)を分解する微生物が浮遊している。そのため、フィルタ層2を設けることにより、被処理液80から黒鉛シート1及び撥水層3への微生物の移動を防ぎ、黒鉛シート1及び撥水層3へ微生物が付着することを抑制することができる。
ここで、本実施形態の電極10では、安定的な性能を確保するために、撥水層3及び黒鉛シート1を透過した酸素を、後述する触媒に効率よく供給することが好ましい。そのため、フィルタ層2は、酸素透過性を有すること、つまり酸素を透過することが可能な空隙(細孔)を数多く有することが好ましい。ただ、空隙の孔径が微生物より大きい場合には、微生物がフィルタ層2を通過して黒鉛シート1及び撥水層3に到達してしまう。そのため、フィルタ層2に設けられた空隙の孔径は0.5μm以下であることが好ましい。一般的な微生物の大きさは、球菌であれば直径が0.5〜1μmであり、桿菌であれば幅が0.5〜1μmで長さが2〜4μmである。したがって、フィルタ層2の空隙の孔径が0.5μm以下であれば、大半の微生物が電極内へ進入し、黒鉛シート1及び撥水層3へ到達することを防ぐことができる。
フィルタ層2の空隙の孔径が0.5μm以下の場合には微生物の透過を抑制することができるが、微生物の透過をより防ぐ観点から、当該孔径は0.3μm以下が好ましく、0.1μm以下がより好ましい。なお、フィルタ層2における空隙の孔径の下限は特に限定されないが、酸素透過性を確保する観点から、孔径は1nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましい。フィルタ層2の空隙の孔径は走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて測定することができる。また、例えば、SEMやTEMで得られた画像に対してイメージアナライザー処理を行うことにより、容易に孔径を求めることができる。
フィルタ層2は、微生物の大きさよりも小さく、かつ、酸素透過性を有する空隙を多数有する膜体を使用することが好ましい。具体的には、フィルタ層2は、複数の粒子の集合体であることが好ましい。このような集合体は、粒子間に多数の空隙が形成され、さらに当該空隙の孔径は0.5μm以下と成り易いため、フィルタ層2として好適に用いることができる。
なお、当該集合体を構成する粒子としては特に限定されないが、金属、無機化合物及び有機化合物の少なくとも一種を含む粒子を用いることができる。また、当該粒子としては、樹脂を含む粒子も用いることができる。ただ、後述するように、フィルタ層2は導電性を有することが好ましいため、集合体を構成する粒子としては導電性粒子が好ましく、炭素材料からなる粒子が特に好ましい。炭素粒子は導電性を有するため、フィルタ層2が炭素粒子の集合体からなる場合には、フィルタ層2自体の導電性を高めることが可能となる。また、炭素材料は被処理液に接触しても腐食して劣化する可能性が低いため、長期間に亘り高い発電性能を維持することが可能となる。
このような炭素材料としては、例えば、カーボンブラック、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンナノワイヤー、グラフェン及びフラーレンからなる群より選ばれる少なくとも一つが好ましい。ただ、フィルタ層2に微細な空隙を多数形成する観点から、炭素材料はカーボンブラックであることが特に好ましい。なお、カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、及びサーマルブラックからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。
集合体を構成する炭素粒子の粒子径は、集合体を形成した際に粒子間に形成される空隙の孔径が0.5μm以下となるならば特に限定されないが、例えば10nm〜0.1μmであることが好ましい。なお、当該粒子の粒子径は、動的光散乱法により求めることができる。
フィルタ層2が炭素粒子の集合体からなる場合、粒子同士を結着して多孔質体を形成するための結着剤を用いることが好ましい。このような結着剤としては、粒子同士を結着できれば特に限定されない。結着剤としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及びエチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)からなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることが好ましい。
なお、後述する局部電池反応を促進するために、フィルタ層2は触媒粒子を含有することが好ましい。触媒粒子を含有することにより、撥水層3によって移送された酸素と、後述するイオン移動層を透過してフィルタ層2に移動した水素イオンとの反応が促進し、酸素の還元効率を高めることができるので、より効率的な電池反応を実現することが可能となる。
フィルタ層2に担持され得る触媒粒子は、酸素還元触媒であることが好ましい。酸素還元触媒を担持することにより、黒鉛シート1によって移送された酸素と水素イオンとの反応速度をより高めることが可能となる。酸素還元触媒は特に限定されないが、白金を含有することが好ましい。また、酸素還元触媒は、非金属原子と金属原子とがドープされた炭素粒子を含んでもよい。炭素粒子にドープされる原子は特に限定されない。非金属原子は、例えば窒素原子、ホウ素原子、硫黄原子、リン原子などであってもよい。また、金属原子は、例えば鉄原子、銅原子などであってもよい。
(撥水層)
本実施形態の電極は、上述のように、少なくとも黒鉛シート1とフィルタ層2とを備えている。ただ、黒鉛シート1の機械的強度を向上させ、さらに止水性能を付与するために、本実施形態の電極は撥水層3を備えていることが好ましい。撥水層3は、酸素を含む気相4と、廃水槽の内部に保持された、液相としての被処理液80とを分離するように配置される。ここでいう「分離」とは、物理的に遮断することをいう。これにより、被処理液80中の有機物や窒素含有化合物が後述する気相4側に移動することを抑制できる。
撥水層3は気相4と接触しており、気相4中の気体を拡散し、黒鉛シート1の面1bに対し気体を略均一に供給している。そのため、撥水層3は、当該気体を拡散できるように、多孔質体であることが好ましい。また、撥水層3は撥水性を有するため、結露等により多孔質体の細孔が閉塞し、気体の拡散性が低下することを抑制できる。
撥水層3を構成する材料としては、気相4中の酸素を透過する酸素透過性、及び撥水性を有する材料であれば特に限定されない。撥水層3の材料としては、例えばシリコーンゴム及びポリジメチルシロキサンの少なくともいずれか一方を用いることができる。これらの材料は、シリコーンの分子構造に由来する高い酸素溶解性及び酸素拡散性を有しているため、酸素透過性に優れている。さらにこれらの材料は、表面自由エネルギーが小さいため、撥水性能にも優れている。そのため、撥水層3はシリコーンを含有することが特に好ましい。
また、撥水層3の材料としては、エチルセルロース、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリブタジエン、ポリテトラフルオロエチレン及びブチルゴムからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。これらの材料も高い酸素透過性と撥水性を有しているため、好ましい。また、これらの材料は、多孔質体を形成しやすく、さらに撥水性も高いため、細孔の閉塞を抑制してガス拡散性を向上させることができる。さらに、撥水層3は、上記材料からなる不織布やフィルムであることも好ましい。なお、撥水層3が上記材料のフィルムからなる場合には、撥水層3は、撥水層3、黒鉛シート1及びフィルタ層2の積層方向Xに沿って、酸素を透過する複数の貫通孔を有することが好ましい。
なお、撥水層3としては、撥水性及びガス透過性を有した不織布や、ポリエチレン及びポリプロピレンの不織布も用いることができる。具体的には、撥水層3としては、ポリテトラフルオロエチレンを延伸加工したフィルムとポリウレタンポリマーを複合化してなるゴアテックス(登録商標)を用いることができる。
このように、本実施形態の電極10は、導電性及び酸素透過性を有する黒鉛シート1と、黒鉛シート1に積層され、複数の空隙を有するフィルタ層2とを備える。また、本実施形態の電極10Aは、黒鉛シート1と、黒鉛シート1の一方の面1aに積層され、複数の空隙を有するフィルタ層2と、黒鉛シート1の面1aと反対側にある他方の面1bに積層され、酸素透過性及び撥水性を有する撥水層3とを備える。このようにフィルタ層2を備えることにより、微生物が黒鉛シート1及び撥水層3に侵入し難くなる。そのため、黒鉛シート1及び撥水層3において微生物が空気中の酸素を消費し、微生物燃料電池の発電性能が低下することを抑制できる。また、黒鉛シート1及び撥水層3に微生物が付着することを防ぎ、黒鉛シート1及び撥水層3の劣化も抑制することが可能となる。
図3は、電極10の断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。図3の電極10は、後述する実施例と同じ材料を使用し、同様の製法で得られたものである。図3に示すように、電極10では、黒鉛シート1の表面に、複数の空隙を有する多孔質のフィルタ層2が設けられている。このようなフィルタ層2を設けることにより、酸素透過性を確保しつつも、黒鉛シート1への微生物の侵入を抑制することが可能となる。
[膜電極接合体]
次に、本実施形態に係る膜電極接合体について説明する。本実施形態の膜電極接合体50は、導電性及び酸素透過性を有する黒鉛シート1と、黒鉛シート1に積層され、複数の空隙を有するフィルタ層2とを備える電極10を備えている。さらに膜電極接合体50は、フィルタ層2における黒鉛シート1側の面2aとは反対側の面2bに、水素イオンを透過するイオン移動層20を積層している。
また、本実施形態の膜電極接合体50は、図4に示すように、黒鉛シート1と、黒鉛シート1の一方の面1aに積層されるフィルタ層2と、黒鉛シート1の面1aと反対側にある他方の面1bに積層される撥水層3を備える電極10Aを有していてもよい。そして、フィルタ層2における黒鉛シート1側の面2aとは反対側の面2bに、水素イオンを透過するイオン移動層20を積層している。
イオン移動層20は、後述するように、負極30で生成した水素イオンを透過し、電極10からなる正極40側へ移動させる機能を有する。イオン移動層20としてはイオン交換樹脂を用いたイオン交換膜を使用することができる。イオン交換樹脂としては、例えばデュポン株式会社製のNAFION(登録商標)、並びに旭硝子株式会社製のフレミオン(登録商標)及びセレミオン(登録商標)を用いることができる。
また、イオン移動層20として、水素イオンが透過することが可能な細孔を有する多孔質膜を使用してもよい。つまり、イオン移動層20は、負極30と正極40との間を水素イオンが移動するための空間(空隙)を有するシートであってもよい。そのため、イオン移動層20は、多孔質のシート、織布状のシート及び不織布状のシートからなる群より選ばれる少なくとも一つを備えることが好ましい。また、イオン移動層20は、ガラス繊維膜、合成繊維膜、及びプラスチック不織布からなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができ、これらを複数積層してなる積層体でもよい。このような多孔質のシートは、内部に多数の細孔を有しているため、水素イオンが容易に移動することが可能となる。なお、イオン移動層20の細孔径は、負極30から正極40に水素イオンが移動できれば特に限定されない。
図5は、膜電極接合体50の断面を示す走査型電子顕微鏡写真である。図5の膜電極接合体50は、後述する実施例と同じ材料を使用し、同様の製法で得られたものである。図5に示すように、膜電極接合体50では、黒鉛シート1の一方の面1aにフィルタ層2が接触するように積層され、黒鉛シート1の他方の面1bに撥水層3が接触するように積層されていることが分かる。そして、フィルタ層2における黒鉛シート1側の面2aとは反対側の面2bに、イオン移動層20が接触するように積層されていることが分かる。
[微生物燃料電池]
次に、本実施形態に係る微生物燃料電池について説明する。本実施形態の微生物燃料電池200は、図6及び図7に示すように、微生物を担持する負極30と、水素イオンを透過するイオン移動層20と、イオン移動層20を介して負極30と隔てられた、上述の電極10からなる正極40とを備える。そして、微生物燃料電池200では、イオン移動層20の一方の面20aに負極30が接触するように配置されており、イオン移動層20の面20aと反対側の面20bに正極40が接触するように配置されている。
負極30は、導電性を有する導電体シートに微生物を担持した構造を有する。導電体シートとしては、多孔質の導電体シート、織布状の導電体シート及び不織布状の導電体シートからなる群より選ばれる少なくとも一つを使用することができる。また、導電体シートは複数のシートを積層した積層体でもよい。負極30の導電体シートとして、このような複数の細孔を有するシートを用いることにより、後述する局部電池反応で生成した水素イオンがイオン移動層20の方向へ移動しやすくなり、酸素還元反応の速度を高めることが可能となる。また、イオン透過性を向上させる観点から、負極30の導電体シートは、正極40、イオン移動層20及び負極30の積層方向X、つまり厚さ方向に連続した空間(空隙)を有していることが好ましい。
当該導電体シートは、厚さ方向に複数の貫通孔を有する金属板であってもよい。そのため、負極30の導電体シートを構成する材料としては、例えば、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、ニッケル及びチタンなどの導電性金属、並びにカーボンペーパー、カーボンフェルトからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。
負極30の導電体シートとして、電極10で使用する黒鉛シートを用いてもよい。また、負極30は黒鉛を含有し、さらに黒鉛におけるグラフェン層は、電極10、イオン移動層20及び負極30の積層方向Xに垂直な方向YZの面に沿って配列していることが好ましい。グラフェン層がこのように配列していることにより、電極10、イオン移動層20及び負極30の積層方向Xの導電性よりも、積層方向Xに垂直な方向YZの導電性が向上する。そのため、負極30の局部電池反応により生成した電子を外部回路へ導通させやすくなり、電池反応の効率をより向上させることが可能となる。
負極30に担持される微生物としては、被処理液中の有機物、又は窒素を含む化合物を分解する微生物であれば特に限定されないが、例えば増殖に酸素を必要としない嫌気性微生物を使用することが好ましい。嫌気性微生物は、被処理液中の有機物を酸化分解するための空気を必要としない。そのため、空気を送り込むために必要な電力を大幅に低減することができる。また、微生物が獲得する自由エネルギーが小さいので、汚泥発生量を減少させることが可能となる。
負極30に保持される嫌気性微生物は、例えば細胞外電子伝達機構を有する電気生産細菌であることが好ましい。具体的には、嫌気性微生物として、例えばGeobacter属細菌、Shewanella属細菌、Aeromonas属細菌、Geothrix属細菌、Saccharomyces属細菌が挙げられる。
負極30には、嫌気性微生物を含むバイオフィルムが重ねられて固定されることで、負極30に嫌気性微生物が保持されていてもよい。なお、バイオフィルムとは、一般に、微生物集団と、微生物集団が生産する菌体外重合体物質(extracellular polymeric substance、EPS)とを含む三次元構造体のことをいう。ただ、嫌気性微生物は、バイオフィルムによらずに負極30に保持されていてもよい。また、嫌気性微生物は、負極30表面だけでなく、内部に保持されていてもよい。
本実施形態の微生物燃料電池200は、水素イオンを透過するイオン移動層20を備えている。上述のように、イオン移動層20は、負極30で生成した水素イオンを透過し、正極40側へ移動させる機能を有する。
本実施形態の微生物燃料電池200は、上述の電極10,10Aからなる正極40を備えている。つまり、正極40は、導電性及び酸素透過性を有する黒鉛シート1と、複数の空隙を有するフィルタ層2とを備えている。また、正極40は、黒鉛シート1と、黒鉛シート1の一方の面1aに積層され、複数の空隙を有するフィルタ層2と、黒鉛シート1の面1aと反対側にある他方の面1bに積層され、酸素透過性及び撥水性を有する撥水層3とを備える。そして、フィルタ層2の面2b側にイオン移動層20が設けられる。
ここで、微生物燃料電池200は、図6及び図7に示すように、正極40及びイオン移動層20に加え、負極30を備える膜電極接合体50Aを複数備えている。また、2枚の膜電極接合体50Aは、正極40同士が対向するように、カセット基材60を介して積層されている。カセット基材60は、図8に示すように、正極40の撥水層3の外周部に沿うU字状の枠部材であり、上部が開口している。つまり、カセット基材60は、2本の第一柱状部材61の底面を第二柱状部材62で連結した枠部材である。そして、カセット基材60の側面63は、正極40におけるイオン移動層20とは反対側の面40aの外周部と接合されており、正極40の外周部からカセット基材60の内部に被処理液80が漏出することを抑制できる。
そして、図7に示すように、2枚の膜電極接合体50Aとカセット基材60とを積層してなる燃料電池ユニット70は、大気と連通した気相4が形成されるように、廃水槽90の内部に配置される。廃水槽90の内部には被処理液80が保持されており、負極30、イオン移動層20、並びに正極40の黒鉛シート1及びフィルタ層2は、被処理液80に浸漬されている。つまり、正極40を構成する撥水層3は酸素を含む気体と接触するように配置され、黒鉛シート1及びフィルタ層2は被処理液80と接触するように配置されている。
上述のように、正極40の撥水層3は撥水性を有する。そのため、廃水槽90の内部に保持された被処理液80とカセット基材60の内部とは隔てられ、2枚の膜電極接合体50Aとカセット基材60とにより形成された内部空間は気相4となっている。そして、図7に示すように、正極40及び負極30は、それぞれ外部回路100と電気的に接続されている。
ここで、廃水槽90は内部に被処理液80を保持しているが、被処理液80が流通するような構成であってもよい。例えば、図6及び図7に示すように、廃水槽90には、被処理液80を廃水槽90に供給するための液体供給口91と、処理後の被処理液80を廃水槽90から排出するための液体排出口92とが設けられていてもよい。
なお、廃水槽90内は、例えば分子状酸素が存在しない、又は分子状酸素が存在してもその濃度が極めて小さい嫌気性条件に保たれていることが好ましい。これにより、廃水槽90内で被処理液80を酸素と殆ど接触しないように保持することが可能となる。
次に、本実施形態の微生物燃料電池200の作用について説明する。微生物燃料電池200の動作時には、負極30に、有機物及び窒素含有化合物の少なくとも一方を含有する被処理液80を供給し、正極40に空気(又は酸素)を供給する。この際、空気は、カセット基材60の上部に設けられた開口部を通じて連続的に供給される。なお、被処理液80も、液体供給口91及び液体排出口92を通じて連続的に供給されることが好ましい。
そして、正極40では、撥水層3により空気が拡散し、黒鉛シート1を空気中の酸素が透過し、フィルタ層2へ到達する。また、負極30では、微生物の触媒作用により、被処理液80中の有機物及び/又は窒素含有化合物から水素イオン及び電子を生成する。生成した水素イオンは、イオン移動層20を透過して正極40側へ移動する。また、生成した電子は負極30の導電体シートを通じて外部回路100へ移動し、さらに外部回路100から正極40の黒鉛シート1を通じてフィルタ層2に移動する。そして、フィルタ層2に移動した水素イオン及び電子は、フィルタ層2が担持する触媒粒子の作用により酸素と結合し、水となって消費される。このとき、外部回路100によって、閉回路に流れる電気エネルギーを回収する。
上述のように、正極40は、孔径が0.5μm以下の空隙を複数有するフィルタ層2と、フィルタ層2に設けられた黒鉛シート1とを備える。そのため、微生物による酸素の過剰な消費と黒鉛シート1及び撥水層3の劣化とを抑制し、長期間に亘り効率的に発電することが可能となる。また、正極40は黒鉛シート1を備えるため、内部抵抗の増加を抑制することができる。さらに黒鉛シート1に対し、撥水性を有する撥水層3を張り合わせることで、浸水し難い電極を作製することができる。そのため、大気中の酸素を供給することによって高い電池特性を発揮することが可能となる。
ここで、本実施形態に係る負極30には、例えば、電子伝達メディエーター分子が修飾されていてもよい。あるいは、廃水槽90内の被処理液80は、電子伝達メディエーター分子を含んでいてもよい。これにより、嫌気性微生物から負極30への電子移動を促進し、より効率的な液体処理を実現できる。
具体的には、嫌気性微生物による代謝機構では、細胞内又は最終電子受容体との間で電子の授受が行われる。被処理液80中にメディエーター分子を導入すると、メディエーター分子が代謝の最終電子受容体として作用し、かつ、受け取った電子を負極30へと受け渡す。この結果、被処理液80における有機物などの酸化分解速度を高めることが可能になる。このような電子伝達メディエーター分子は、特に限定されない。電子伝達メディエーター分子としては、例えばニュートラルレッド、アントラキノン−2,6−ジスルホン酸(AQDS)、チオニン、フェリシアン化カリウム、及びメチルビオローゲンからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることができる。
なお、図6及び図7に示す燃料電池ユニット70は、2枚の膜電極接合体50Aとカセット基材60とを積層する構成となっている。しかし、本実施形態はこの構成に限定されない。例えば、カセット基材60の一方の側面63のみに膜電極接合体50Aを接合し、他方の側面は板部材で封止してもよい。また、図6及び図7に示すカセット基材60は、上部の全体が開口しているが、内部に空気(酸素)を導入することが可能ならば部分的に開口していてもよく、また閉口していてもよい。
[電極及び膜電極接合体の製造方法]
次に、本実施形態に係る電極の製造方法について説明する。当該電極の製造方法は、導電性及び酸素透過性を有する黒鉛シート1の一方の面に、溶媒と炭素材料とを含むペーストを積層することにより、積層シートを得る積層工程を有する。さらに当該積層工程の後に、積層シートを積層方向にプレスすることで溶媒を取り除き、黒鉛シート1の一方の面にフィルタ層2を形成するプレス工程を有する。
溶媒と炭素材料とを含むペーストは、フィルタ層2を構成する上述の炭素材料と溶媒とを混合することで調製することができる。使用する溶媒は特に限定されないが、水や、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの有機溶媒が挙げられる。なお、当該溶媒は一種を単独で使用してもよく、二種以上を組み合わせて使用してもよい。また、ペーストは、炭素材料及び溶媒に加えて、上述の結着剤をさらに含むことが好ましい。なお、ペーストには、必要に応じて公知の界面活性剤や増粘剤を混合してもよい。
次に、上述のペーストを、黒鉛シート1の一方の面1aに積層することにより、積層シートを得る。ペーストの積層方法は特に限定されず、例えば黒鉛シート1の一方の面1aにペーストを塗布した後、ローラー等を用いてペーストを平坦に引き延ばすことによりペースト層を形成することができる。
そして、積層シートを得た後、当該積層シートを積層方向にプレスする。これにより、黒鉛シート1及び積層されたペーストが加圧されて、ペースト層の側面から溶媒が圧出されるため、溶媒を除去することができる。ここで、ペーストを積層した積層シートを加圧した場合、圧力は溶媒を含むペーストにかかり易く、黒鉛シート1にはかかり難い。そのため、加圧されたペーストは圧縮されて溶媒が除去されるが、黒鉛シート1は圧縮され難い。したがって、黒鉛シート1の内部の空隙は破壊され難いため、酸素透過性を維持することができる。
詳細に説明すると、例えば、溶媒と炭素材料とを含むペーストを加圧して乾燥することによりフィルタ層2を作製した後、黒鉛シート1とフィルタ層2を接触させて加圧することでも、図1に示す電極10を得ることは可能である。ただ、黒鉛シート1とフィルタ層2を接触させて加圧した場合、圧力は黒鉛シート1とフィルタ層2の両方に略均等にかかるため、黒鉛シート1が圧縮され、内部の空隙が破壊される。その結果、黒鉛シート1における厚み方向の酸素透過性が著しく低下し、酸素還元性能が悪化してしまう。これに対し、本実施形態の製造方法では、積層シートを加圧した場合、圧力は溶媒を含むペーストにかかり易く、黒鉛シート1にはかかり難い。そのため、黒鉛シート1の内部の空隙は、加圧前の状態を維持することができる。
本実施形態のプレス工程では、黒鉛シート1に積層されたペーストの表面全体を略均等の圧力でプレスすることが好ましい。そして、当該プレス工程におけるプレス圧力はペースト中の溶媒が除去できれば特に限定されないが、例えば0.1kgf/cm〜100kgf/cmとすることができる。プレス圧力が0.1kgf/cm以上の場合にはペーストから溶媒を効率的に除去することができ、100kgf/cm以下の場合には黒鉛シート1の圧縮を抑制することができる。
プレス工程により溶媒を取り除いた後、必要に応じて積層シートを加熱して溶媒をさらに取り除くことにより、本実施形態の電極10を得ることができる。なお、加熱温度は特に限定されないが、例えば100〜350℃とすることが好ましい。また、積層シートの加熱は、不活性雰囲気で行ってもよく、空気中で行ってもよい。
本実施形態の積層工程は、黒鉛シート1の他方の面1bに、酸素透過性を有する撥水層3を積層する工程をさらに含み、当該プレス工程において、黒鉛シート1と撥水層3とを接合してもよい。つまり、黒鉛シート1の一方の面1aにペーストを積層し、さらに他方の面1bに撥水層3を積層した後、プレス工程にて、ペースト、黒鉛シート1及び撥水層3を一体的にプレスしてもよい。このようにペースト、黒鉛シート1及び撥水層3を一体的にプレスすることで、黒鉛シート1の過度の圧縮を抑制しつつも、製造工程を簡略化することができる。
本実施形態の積層工程において、黒鉛シート1の他方の面1bに、酸素透過性を有する撥水層3が予め接合されていてもよい。つまり、黒鉛シート1の一方の面1aにペーストを積層する前に、黒鉛シート1の他方の面1bに撥水層3が接合されていてもよい。上述のように、ペーストは溶媒を含むため、黒鉛シート1に撥水層3を予め接合したとしても、黒鉛シート1に加えて撥水層3の圧縮も抑制することができる。
なお、黒鉛シート1に撥水層3を接合する方法は特に限定されないが、例えば接着剤を用いて接合してもよい。特に、酸素透過性を有する接着剤、例えばシリコーン系の接着剤を用いて接合することが好ましい。
上述のように、本実施形態の製造方法では、黒鉛シート1と撥水層3を予め接合した後、ペーストとプレスしてもよい。また、ペースト、黒鉛シート1及び撥水層3を一体的にプレスして接合してもよい。しかしながら、黒鉛シート1とペーストとをプレスした後に、ペースト層に溶媒が残留しているのであれば、黒鉛シート1の他方の面1bに撥水層3を積層した後、ペースト層、黒鉛シート1及び撥水層3を再度一体的にプレスしてもよい。ペースト層に溶媒が残留している場合には黒鉛シート1の圧縮が緩和されるため、再度プレスしても黒鉛シート1の空隙の破壊が抑制され、酸素透過性を維持することができる。
次に、本実施形態に係る膜電極接合体の製造方法について説明する。膜電極接合体の製造方法は、黒鉛シート1の一方の面1aに、溶媒と炭素材料とを含むペーストを積層し、さらに当該ペーストにおける黒鉛シート1とは反対側の面にイオン移動層20を積層することにより、積層シートを得る積層工程を有する。さらに、積層シートを積層方向にプレスすることで溶媒を取り除き、黒鉛シート1の一方の面1aにフィルタ層2を形成するとともに、フィルタ層2とイオン移動層20とを接合するプレス工程を有する。
上述のように、溶媒と炭素材料とを含むペーストは、フィルタ層2を構成する上述の炭素材料と溶媒とを混合することで調製することができる。そして、積層工程において、上述のペーストを黒鉛シート1の一方の面1aに積層するが、ペーストの積層方法は特に限定されない。例えば、黒鉛シート1の一方の面1aにペーストを塗布した後、ローラー等を用いてペーストを平坦に引き延ばすことによりペースト層を形成することができる。
そして、当該ペーストにおける黒鉛シート1とは反対側の面に、イオン移動層20を積層することにより、積層シートを得ることができる。
積層シートを得た後、当該積層シートを積層方向にプレスする。これにより、黒鉛シート1、ペースト及びイオン移動層20が加圧されて、ペースト層の側面から溶媒が圧出されるため、溶媒を除去することができる。ここで、ペーストを積層した積層シートを加圧した場合、圧力は溶媒を含むペーストにかかり易く、黒鉛シート1及びイオン移動層20にはかかり難い。そのため、加圧されたペーストは圧縮されて溶媒が除去されるが、黒鉛シート1及びイオン移動層20は圧縮され難い。したがって、黒鉛シート1及びイオン移動層20の内部の空隙は加圧前の状態を維持することができる。
なお、上述のように、本実施形態のプレス工程では、積層シートの表面全体を略均等の圧力でプレスすることが好ましい。そして、当該プレス工程におけるプレス圧力は、例えば、0.1kgf/cm〜100kgf/cmとすることができる。また、積層シートをプレスして溶媒を取り除いた後、必要に応じて積層シートを加熱して溶媒をさらに取り除いてもよい。なお、加熱温度は、例えば100〜350℃とすることが好ましい。また、積層シートの加熱は、不活性雰囲気で行ってもよく、空気中で行ってもよい。
なお、上述の積層工程では、黒鉛シート1の他方の面1bに、酸素透過性を有する撥水層3を積層する工程をさらに含み、当該プレス工程において、黒鉛シート1と撥水層3とを接合してもよい。つまり、黒鉛シート1の一方の面1aにペーストを積層し、さらに他方の面1bに撥水層3を積層した後、プレス工程にて、ペースト、黒鉛シート1、撥水層3及びイオン移動層20を一体的にプレスしてもよい。また、当該積層工程では、黒鉛シート1の他方の面1bに、酸素透過性を有する撥水層3が予め接合されていてもよい。
また、プレス工程において黒鉛シート1、ペースト及びイオン移動層20をプレスした後に、ペースト層に溶媒が残留しているのであれば、再度プレスしてもよい。つまり、黒鉛シート1の他方の面1bに撥水層3を積層した後、撥水層3、黒鉛シート1、ペースト層及びイオン移動層20を再度一体的にプレスしてもよい。ペースト層に溶媒が残留している場合には黒鉛シート1及びイオン移動層20の圧縮が緩和されるため、再度プレスしても黒鉛シート1及びイオン移動層20の空隙の破壊が抑制される。
本実施形態の膜電極接合体における他の製造方法は、導電性及び酸素透過性を有する黒鉛シート1の一方の面1aに、溶媒と炭素材料とを含むペーストを積層することにより、第一の積層シートを得る第一の積層工程を有する。また、第一の積層シートを積層方向にプレスし、ペーストにおける黒鉛シート1とは反対側の面に平滑面を形成する第一のプレス工程を有する。さらに、当該平滑面にプロトン透過性を有するイオン移動層20を積層することにより、第二の積層シートを得る第二の積層工程を有する。そして、第二の積層シートを積層方向にプレスすることで溶媒を取り除き、黒鉛シート1の一方の面1aにフィルタ層2を形成するとともに、フィルタ層2とイオン移動層20を接合する第二のプレス工程を有する。
第一の積層工程は、上述のように、ペーストを黒鉛シート1の一方の面1aに積層するが、ペーストの積層方法は特に限定されない。例えば、黒鉛シート1の一方の面1aにペーストを塗布した後、ローラー等を用いてペーストを平坦に引き延ばすことにより、ペーストを積層した第一の積層シートを得ることができる。
次に、第一のプレス工程では、得られた第一の積層シートを積層方向にプレスし、ペーストにおける黒鉛シート1とは反対側の面に平滑面を形成する。この際、ペーストの表面が平滑になる程度に加圧し、ペースト中の溶媒を残留させることが好ましい。
そして、第二の積層工程では、加圧により形成されたペースト層の平滑面に、イオン移動層20を積層することで、第二の積層シートを得る。その後、第二のプレス工程では、第二の積層シートを積層方向にプレスする。これにより、黒鉛シート1、ペースト層及びイオン移動層20が加圧されて、ペースト層の側面から溶媒が圧出されるため、溶媒を除去することができる。ここで、第二の積層シートを加圧した場合、圧力は溶媒を含むペーストにかかり易く、黒鉛シート1及びイオン移動層20にはかかり難い。そのため、加圧されたペーストは圧縮されて溶媒が除去されるが、黒鉛シート1は圧縮され難い。したがって、黒鉛シート1及びイオン移動層20の内部の空隙は加圧前の状態を維持することができる。
なお、上述のように、第二のプレス工程では、積層シートの表面全体を略均等の圧力でプレスすることが好ましい。そして、第二のプレス工程におけるプレス圧力は、例えば、0.1kgf/cm〜100kgf/cmとすることができる。また、積層シートをプレスして溶媒を取り除いた後、必要に応じて積層シートを加熱して溶媒をさらに取り除いてもよい。なお、加熱温度は、例えば100〜350℃とすることが好ましい。また、積層シートの加熱は、不活性雰囲気で行ってもよく、空気中で行ってもよい。
このように、上述の膜電極接合体の製造方法では、第一の積層工程にて黒鉛シート1にペーストを積層した後、第一のプレス工程でペーストに平滑面を形成している。そして、第二の積層工程で当該平滑面にイオン移動層20を積層した後、第二のプレス工程で黒鉛シート1、ペースト層及びイオン移動層20を一体的にプレスしている。そのため、得られるフィルタ層2とイオン移動層20の接着性が向上し、膜電極接合体50Aの強度を高めることができる。また、第二のプレス工程では、ペースト層中に溶媒が残留しているため、黒鉛シート1及びイオン移動層20の内部の空隙は透過性が高い状態を維持することができる。
以下、本実施形態を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
まず、粉末状のカーボンブラック0.35g、PTFE分散液0.35ml、イオン交換水2mlを混合し、ペーストを作製した。なお、カーボンブラックとしては、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製ケッチェンブラックECP600JDを使用した。また、PTFE分散液としては、Aldrich製60wt% dispersion in H2Oを使用した。なお、カーボンブラックの半分は、酸素還元能を高めた触媒作用を有した炭素系材料を使用した。
次に、黒鉛シートと撥水シートをシリコーン接着剤で接着することにより、4.5cm×6.5cmのサイズの黒鉛シート/シリコーン接着剤/撥水シートからなる積層シートを作製した。黒鉛シートとしては、日立化成株式会社製カーボフィット(登録商標)を使用した。シリコーン接着剤としては、信越化学工業株式会社製の一液型RTVシリコーンゴムKE−3475を使用した。撥水シートとしては、積水化学工業株式会社製セルポア(登録商標)を使用した。
この積層シートの黒鉛シート上に上述のペーストを塗布し、ローラーを使用して引き伸ばした。その後、平坦に引き伸ばされたペースト層上に、4.5cm×6.5cmのサイズのポリオレフィン不織布を積層し、これを10kgf/cmの荷重で90秒間プレス成形した。そして、プレス成形後に一晩乾燥することにより、本例の膜電極接合体を得た。なお、ポリオレフィン不織布としては、パシフィック技研株式会社のポリオレフィン不織布♯210を使用した。
なお、触媒作用を高めた炭素系材料は、次のように調製した。まず、容器内に、3gのカーボンブラック、0.1Mの塩化鉄(III)水溶液、及び0.15Mのペンタエチレンヘキサミンのエタノール溶液を入れることで、混合液を調製した。なお、カーボンブラックとしては、ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製ケッチェンブラックECP600JDを使用した。0.1M塩化鉄(III)水溶液の使用量は、カーボンブラックに対する鉄原子の割合が10質量%になるように調整した。この混合液に更にエタノールを加えることで全量を9mLに調製した。そして、この混合液を超音波分散してから乾燥機で60℃の温度で乾燥させた。これにより、カーボンブラック、塩化鉄(III)、及びペンタエチレンヘキサミンを含有するサンプルを得た。
そして、このサンプルを、石英管の一端部内に詰め入れ、続いてこの石英管内をアルゴンで置換した。この石英管を、900℃の炉に入れてから45秒で引き抜いた。石英管を炉に挿入する際には、石英管を炉に3秒間かけて挿入することで、加熱開始時のサンプルの昇温速度を300℃/sに調整した。続いて、石英管内にアルゴンガスを流通させることでサンプルを冷却させた。これにより、炭素系材料を得た。
[実施例2]
まず、実施例1と同様に、粉末状のカーボンブラック1.4g、PTFE分散液1.4ml、イオン交換水8mlを混合し、ペーストを作製した。なお、カーボンブラックの半分は、酸素還元能を高めた触媒作用を有したものを使用した。
次に、黒鉛シート/シリコーン接着剤/撥水シートからなる積層シートを作製した。なお、黒鉛シート、シリコーン接着剤及び撥水シートは実施例1と同じものを使用した。そして、この積層シートの黒鉛シート上に上述のペーストを塗布し、ローラーを使用して引き伸ばした。その後、平坦に引き伸ばされたペースト層上に、実施例1と同じポリオレフィン不織布を積層し、これを10kgf/cmの荷重で90秒間プレス成形した。そして、プレス成形後に一晩乾燥することにより、本例の膜電極接合体を得た。
[比較例1]
まず、実施例1と同様に、粉末状のカーボンブラック0.35g、PTFE分散液0.35ml、イオン交換水2mlを混合し、ペーストを作製した。なお、カーボンブラックの半分は、酸素還元能を高めた触媒作用を有したものを使用した。
次に、実施例1で使用した4.5cm×6.5cmのサイズのポリオレフィン不織布上に上述のペーストを塗布し、ローラーを使用して引き伸ばした。そして、ペーストを塗布したポリオレフィン不織布を10kgf/cmの荷重で90秒間プレス成形した後に一晩乾燥することにより、フィルタ層付き不織布を得た。
さらに実施例1と同様に、4.5cm×6.5cmのサイズの黒鉛シート/シリコーン接着剤/撥水シートからなる積層シートを作製した。そして、当該積層シートの黒鉛シートと、フィルタ層付き不織布のフィルタ層とを接触するように重ね合わせた後、10kgf/cmの荷重で90秒間プレス成形して圧着することにより、本例の膜電極接合体を得た。
[比較例2]
まず、実施例1で使用した、酸素還元能を高めた触媒作用を有したカーボンブラック0.125g、PTFE分散液0.0125ml、イオン交換水1.25mlを混合し、インクを作製した。次に、実施例1と同様に、4.5cm×6.5cmのサイズの黒鉛シート/シリコーン接着剤/撥水シートからなる積層シートを作製した。
そして、当該積層シートにおける黒鉛シート表面に上述のインクを塗工し、乾燥することにより、本例の正極を得た。なお、黒鉛シートにインクを塗工した場合でも、カーボンブラックの粒子間の隙間が大きいため、フィルタ層としての役割は果たしていない。
[評価]
(電気化学評価)
リニアスイープボルタンメトリーにより、実施例1及び比較例1の膜電極接合体の電気化学特性を評価した。具体的には、まず実施例1及び比較例1の膜電極接合体からイオン移動層としてのポリオレフィン不織布を剥がし、正極のみとした。つまり、表面のポリオレフィン不織布が存在すると、正確な酸素還元特性が測定できないため、測定直前にポリオレフィン不織布を剥がして評価を行った。
そして、当該正極を用い、Trizmaバッファー溶液(0.1M, contains 0.2% chloroform as preservative、Aldrich社製)中で、掃引速度を1mV/secとして電気化学特性を測定した。この際、対極には白金ワイヤーを使用し、参照極には銀−塩化銀電極を使用した。得られたグラフを図9に示す。
リニアスイープボルタンメトリーでは、酸素還元反応が起こるにつれて電流量の絶対値が大きくなるため、電流量の絶対値が大きいほど酸素還元活性に優れていると判断できる。図9より、例えば電位が0.7Vでの電流値は、実施例1では1.60mA/cmであるが、比較例1では0.68mA/cmとなっている。そのため、実施例1の電極は比較例1と比べて倍以上の酸素還元特性を示した。
(走査型電子顕微鏡観察)
実施例1及び比較例1の膜電極接合体の断面を走査型電子顕微鏡で観察した。実施例1の膜電極接合体の観察結果を図10に示し、比較例1の膜電極接合体の観察結果を図11に示す。なお、図10及び図11では、イオン移動層としてのポリオレフィン不織布を剥がしたものを示した。
図10及び図11より、実施例1及び比較例1の膜電極接合体では、フィルタ層2及び撥水層3の厚さは略同じである。しかし、実施例1の黒鉛シート1の厚さは460μm程度であるのに対し、比較例1の黒鉛シートの厚さは190μm程度であった。つまり、比較例1の黒鉛シート1の厚さは、実施例1の黒鉛シート1の厚さの40%程度まで圧縮されていた。このように、比較例1の黒鉛シート1が圧縮され、実施例1と比べて酸素透過性が低下したことにより、上述のように電気化学特性が低下したものと考えられる。
(出力特性評価)
実施例2で得られた膜電極接合体及び比較例2で得られた正極を用いて微生物燃料電池を作製して40日間運転させ、それぞれの燃料電池の出力特性の変化を調べた。
まず、実施例2の膜電極接合体に、嫌気性微生物を保持したカーボンフェルトからなる負極を接合した。さらに、比較例2の正極と、嫌気性微生物を保持したカーボンフェルトからなる負極と、実施例2と同じポリオレフィン不織布からなるイオン移動層とを使用して、膜電極接合体を作製した。
そして、実施例2及び比較例2の膜電極接合体を用いて、図7に示す微生物燃料電池を作製した。なお、廃水槽の容量は300ccとした。また、被処理液は全有機炭素(TOC)が800mg/Lのモデル廃液を使用し、被処理液の液温は30℃とした。さらに、被処理液の水理学的滞留時間が24時間となるように、廃水槽への流入量を調整した。
実施例2及び比較例2の膜電極接合体を用いた微生物燃料電池を40日間運転させ、それぞれの燃料電池の出力特性の変化を調べた。それぞれの評価結果を図12に示す。図12に示すように、実施例2及び比較例2ともに、微生物燃料電池の立ち上げには1週間程度を要し、両方とも徐々に出力が向上した。しかし、その後の出力維持には差異が発生した。具体的には、立ち上げ完了時点から22日経過後時点での1日あたりの出力低下量を比較すると、実施例2では2.13mW/mであったが、比較例2では6.68mW/mであった。このように、フィルタ層を適用することで、経時的な出力低下を1/3に抑制できるため、長期間に亘り安定的に電気エネルギーを生産できることが分かる。
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。具体的には、図面において、黒鉛シート1、フィルタ層2、撥水層3を備えた電極10,10A、並びにイオン移動層20、負極30及び正極40は、矩形状に形成されている。しかし、これらの形状は特に限定されず、燃料電池の大きさ、並びに所望の発電性能等により任意に変更することができる。また、各層の面積も所望の機能が発揮できるならば任意に変更することができる。
1 黒鉛シート
2 フィルタ層
3 撥水層
10,10A 電極
20 イオン移動層
50,50A 膜電極接合体

Claims (5)

  1. 導電性及び酸素透過性を有する黒鉛シートと、前記黒鉛シートの一方の面に積層され、複数の空隙を有し、被処理液から前記黒鉛シートへ微生物の移動を防ぐフィルタ層とを備える、微生物燃料電池用電極の製造方法であって、
    前記黒鉛シートの一方の面に、溶媒と炭素材料と、前記炭素材料の粒子同士を結着して多孔質体を形成するための結着剤と、を含むペーストを積層することにより、積層シートを得る積層工程と、
    前記積層シートを積層方向にプレスすることで前記溶媒を取り除き、前記黒鉛シートの一方の面に前記フィルタ層を形成するプレス工程と、
    を有する、微生物燃料電池用電極の製造方法。
  2. 前記積層工程は、前記黒鉛シートの他方の面に、酸素透過性を有する撥水層を積層する工程をさらに含み、
    前記プレス工程において、前記黒鉛シートと前記撥水層とを接合する、請求項に記載の微生物燃料電池用電極の製造方法。
  3. 前記積層工程において、前記黒鉛シートの他方の面に、酸素透過性を有する撥水層が予め接合されている、請求項に記載の微生物燃料電池用電極の製造方法。
  4. 導電性及び酸素透過性を有する黒鉛シートと、前記黒鉛シートの一方の面に積層され、複数の空隙を有し、被処理液から前記黒鉛シートへ微生物の移動を防ぐフィルタ層とを備える電極と、
    前記フィルタ層における前記黒鉛シート側の面とは反対側の面に積層され、プロトン透過性を有するイオン移動層と、
    を備える、微生物燃料電池用膜電極接合体の製造方法であって、
    前記黒鉛シートの一方の面に、溶媒と炭素材料と、前記炭素材料の粒子同士を結着して多孔質体を形成するための結着剤と、を含むペーストを積層し、さらに当該ペーストにおける前記黒鉛シートとは反対側の面に、前記イオン移動層を積層することにより、積層シートを得る積層工程と、
    前記積層シートを積層方向にプレスすることで前記溶媒を取り除き、前記黒鉛シートの一方の面に前記フィルタ層を形成するとともに、前記フィルタ層と前記イオン移動層とを接合するプレス工程と、
    を有する、微生物燃料電池用膜電極接合体の製造方法。
  5. 導電性及び酸素透過性を有する黒鉛シートと、前記黒鉛シートの一方の面に積層され、複数の空隙を有し、被処理液から前記黒鉛シートへ微生物の移動を防ぐフィルタ層とを備える電極と、
    前記フィルタ層における前記黒鉛シート側の面とは反対側の面に積層され、プロトン透過性を有するイオン移動層と、
    を備える、微生物燃料電池用膜電極接合体の製造方法であって、
    前記黒鉛シートの一方の面に、溶媒と炭素材料と、前記炭素材料の粒子同士を結着して多孔質体を形成するための結着剤と、を含むペーストを積層することにより、第一の積層シートを得る第一の積層工程と、
    前記第一の積層シートを積層方向にプレスし、前記ペーストにおける前記黒鉛シートとは反対側の面に平滑面を形成する第一のプレス工程と、
    前記平滑面に前記イオン移動層を積層することにより、第二の積層シートを得る第二の積層工程と、
    前記第二の積層シートを前記積層方向にプレスすることで前記溶媒を取り除き、前記黒鉛シートの一方の面に前記フィルタ層を形成するとともに、前記フィルタ層と前記イオン移動層とを接合する第二のプレス工程と、
    を有する、微生物燃料電池用膜電極接合体の製造方法。
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