JP6659267B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の制御装置に係り、特に、内燃機関の吸気通路内の湿度を計測する湿度センサの故障診断を行う内燃機関の制御装置に関する。
近年、自動車等の車両の燃費や排気の規制が強化されつつあり、そのような規制は今後も益々強くなる傾向にある。特に燃費については、近年のガソリン価格の高騰、地球温暖化への影響、エネルギー資源枯渇問題などにより、極めて関心が高くなっている。
このような状況下において、車両の燃費向上を目的とした様々な技術開発が世界各国で行なわれており、その開発技術の例として、圧縮比向上、排気還流(EGR:Exhaust Gas Recirculation)ガス大量導入、ストイキ燃焼領域拡大などが挙げられる。これらの開発技術に共通するのは、点火時期の最適化である。内燃機関(例えば、エンジン)の燃焼では、最も燃費が良くなる点火時期(以下、MBT点火時期と称する)があり、そのMBT点火時期に少しでも近づけるように点火時期を制御している。例えば、EGRガスをエンジンの燃焼室内に導入すると、燃焼速度が低下するため、点火時期を進角側に補正制御する。
EGRでは、エンジンの燃焼室から排気通路へ排出される燃焼後の排気の一部をEGRガスとしてEGR通路を介して吸気通路へ導き、吸気通路を流れる吸気と混合させて燃焼室へ還流させるようになっている。EGRガスの組成はCO、HO、Nであり、吸気通路のうちEGR通路との接続部よりも下流側の吸入空気の湿度は、EGRガスを導入することでHOが増加して上昇する。
また、近時では、燃費向上のために、点火時期への高精度化の要求がより一層高くなっており、吸入空気の湿度に応じて点火時期を補正する方策が検討されている。具体的には、湿度は、EGRガスと同様、燃焼を阻害する要因となるため、吸入空気の湿度が高い場合は点火時期を進角側に補正し、逆に吸入空気の湿度が低い場合は点火時期を遅角側に補正することが提案されており、このように湿度に応じて点火時期を補正する方策が、例えば特許文献1等にも開示されている。
特開平9−68146号公報
特許文献1に所載の内燃機関の制御装置は、回転数と負荷とからなる基本点火時期をマップデータとして記憶し、検出された湿度から点火時期の補正量を演算し、回転数、負荷、温度のうちの少なくとも一つに応じて補正量を反映させる反映率を演算し、基本点火時期と補正量と反映率とから最終的な点火時期を決定する技術である。この従来技術によれば、検出した湿度から点火時期の補正が可能になる。
しかしながら、特許文献1に所載のような湿度情報に基づく点火時期の補正制御では、湿度検出手段である湿度センサが故障して異常値が出力されると、正しい点火時期補正が行えなくなり、ひいてはノッキングや失火が発生してエンジン破損やエンストに繋がるおそれがある。そのため、当該分野では、点火時期の補正制御に用いる湿度センサの故障を正確に検知することが求められている。
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、吸入空気の湿度を検出する湿度センサの故障診断を正確に行うことのできる内燃機関の制御装置を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明に係る内燃機関の制御装置は、内燃機関の燃焼室から排気通路へ排出される排気の一部を吸気通路へ流して前記燃焼室へ還流させる排気還流通路と、該排気還流通路における排気流量を調節するための排気還流弁と、前記吸気通路における前記排気還流通路との接続部よりも下流側の湿度を検出する湿度センサと、を備える内燃機関の制御装置であって、前記排気還流弁を開弁もしくは閉弁した後の所定期間における前記湿度センサの出力値の平均変化量の絶対値に前記内燃機関の回転数、前記内燃機関の負荷、前記排気還流弁の開度のうちの少なくとも一つを加味して補正した補正値が所定値以下であるとき、前記湿度センサを故障と判定することを特徴とする。
本発明によれば、湿度センサの正確な故障診断が可能となるため、正常に機能している湿度センサの出力値に基づいた点火時期補正制御やEGR制御などを行うことができ、ひいてはノッキングや失火を防止することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明に係る内燃機関の制御装置(ECU)が搭載されたエンジンの全体構成を概略的に示した全体構成図。 図1に示すECUの内部構成を示したブロック図。 図2に示す湿度センサ故障判定部による湿度センサ故障判定処理を説明した図であり、湿度の初動遅れ時間から湿度センサの応答性故障判定を行う湿度センサ故障判定処理を説明した図(EGRオン時)。 図2に示す湿度センサ故障判定部による湿度センサ故障判定処理を説明したフローチャートであり、湿度センサの応答性故障診断までの制御フローを説明したフローチャート(EGRオン時)。 図2に示す湿度センサ故障判定部による湿度センサ故障判定処理を説明した図であり、湿度の変化量から湿度センサの応答性故障判定を行う湿度センサ故障判定処理を説明した図(EGRオン時)。 図2に示す湿度センサ故障判定部による湿度センサ故障判定処理を説明したフローチャートであり、湿度センサの応答性故障診断までの制御フローを説明したフローチャート(EGRオン時)。 図2に示す湿度センサ故障判定部による湿度センサ故障判定処理を説明した図であり、湿度の初動遅れ時間から湿度センサの応答性故障判定を行う湿度センサ故障判定処理を説明した図(EGRオフ時)。 図2に示す湿度センサ故障判定部による湿度センサ故障判定処理を説明したフローチャートであり、湿度センサの応答性故障診断までの制御フローを説明したフローチャート(EGRオフ時)。 図2に示す湿度センサ故障判定部による湿度センサ故障判定処理を説明した図であり、湿度の変化量から湿度センサの応答性故障判定を行う湿度センサ故障判定処理を説明した図(EGRオフ時)。 図2に示す湿度センサ故障判定部による湿度センサ故障判定処理を説明したフローチャートであり、湿度センサの応答性故障診断までの制御フローを説明したフローチャート(EGRオフ時)。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る内燃機関の制御装置(ECU)が搭載されたエンジンの全体構成を概略的に示した全体構成図である。
図示実施形態のエンジン10は、例えば4つの気筒を備えた火花点火式の多気筒エンジンであって、シリンダヘッド11a及びシリンダブロック11bからなるシリンダ11と、このシリンダ11の各気筒内に摺動自在に嵌挿されたピストン16と、を備え、ピストン16は、コンロッド14を介してクランク軸(図示せず)に連結されている。また、ピストン16の上方には、所定形状の天井部を有する燃焼室17が画成され、各気筒の燃焼室17には、点火コイル34から高電圧化された点火信号が供給される点火プラグ35が臨設されている。
また、燃焼室17は、エアクリーナ19、スロットルバルブ25、コレクタ27、吸気マニホールド28、吸気ポート29等を備えた吸気通路20と連通しており、燃料の燃焼に必要な空気は、この吸気通路20を通り、当該吸気通路20の下流端である吸気ポート29の端部に配在された吸気カム軸23により開閉駆動される吸気バルブ21を介して、各気筒の燃焼室17に吸入されるようになっている。また、吸気通路20の吸気マニホールド28には、吸気ポート29へ向けて燃料を噴射する燃料噴射弁30が気筒毎に臨設されている。
また、吸気通路20のエアクリーナ19の下流には、吸入空気の流量を検出するエアフローセンサ50が配設されている。このエアフローセンサ50は、吸入空気量(質量流量)が大きくなるに従って、測定対象となる吸入空気流に配置されたホットワイヤ(発熱抵抗体)に流れる電流値が増加し、吸入空気量が小さくなるに従ってホットワイヤに流れる電流値が減少するようにブリッジ回路が構成されている。そして、エアフローセンサ50のホットワイヤに流れる発熱抵抗電流値は電圧信号として抽出されて、制御装置であるECU(エンジンコントロールユニット)100へ送信されるようになっている。
吸気通路20を介して吸入された空気と燃料噴射弁30から噴射された燃料との混合気は、吸気バルブ21を介して燃焼室17へ吸入され、点火コイル34に接続された点火プラグ35による火花点火によって燃焼される。そして、燃焼室17での燃焼後の排気ガスは、排気カム軸24により開閉駆動される排気バルブ22を介して燃焼室17から排気され、排気ポートや排気マニホールド等(不図示)を備えた排気通路40を通って外部の大気中へ排出されるようになっている。
排気通路40には、アルミナやセリアなどの担体に白金やパラジウムなどを塗布した排気ガス浄化用の三元触媒60が配設されており、この三元触媒60の上流側には、触媒前空燃比に対して線形の出力特性を有するリニア空燃比センサ51が配設され、三元触媒60の下流側には、触媒後空燃比がストイキ(理論空燃比)よりもリッチ側かリーン側かを識別するためのスイッチング信号を出力するOセンサ52が配設されている。
さらに、本エンジン10には、排気通路40の三元触媒60の上流から、吸気通路20のコレクタ27の上流に排気を還流させるためのEGR通路(排気還流通路)63が備えられている。また、EGRガス(EGR通路63を流れる排気)を冷却するためのEGRクーラ64と、EGR流量(EGR通路63を流れるEGRガスの流量)を制御するためのEGR弁(排気還流弁)65とが、EGR通路63の各々の適宜位置に取りつけられている。なお、本実施形態では、三元触媒60の上流にEGR通路63が接続されているが、三元触媒60の下流にEGR通路63を接続してもよい。また、図示していないが、本エンジン10には、当該エンジン10を巡る冷却水の温度を計測する温度センサが備えられている。
また、エンジン10の各気筒に対して配備された燃料噴射弁30は、燃料タンク53と接続されており、燃料タンク53の内部の燃料は、燃料ポンプ54や燃圧レギュレータ55等を備えた燃料供給機構により所定燃圧に調圧されて燃料噴射弁30に供給されるようになっている。所定燃圧の燃料が供給された燃料噴射弁30は、ECU100から供給されるエンジン負荷等の運転状態に応じたデューティ(パルス幅:開弁時間に相当する)を有する燃料噴射パルス信号によって開弁駆動され、その開弁時間に応じた量の燃料を吸気ポート29に向けて噴射するようになっている。
また、本エンジン10には、吸気通路20におけるEGR通路63と吸気通路20との接続部より下流に湿度センサ15が取付けられており、吸気通路20内(特に、吸気通路20におけるEGR通路63と吸気通路20との接続部より下流側)を流れる吸入空気の湿度を計測(検出)し、計測した湿度信号をECU100へ送信するようになっている。なお、本実施形態では、湿度センサ15は、コレクタ27の上流の吸気通路20に配設されているが、コレクタ27に配設してもよい。
なお、ECU100は、エンジン10の種々の制御、例えば燃料噴射弁30による燃料噴射制御(空燃比制御)、点火プラグ35による点火時期制御等を行なうためのマイクロコンピュータを内蔵している。
図2は、図1に示すECU100の内部構成を示したブロック図である。
図示するように、ECU100は、主に、エンジン回転数とエンジン負荷によりEGRオン条件もしくはEGRオフ条件が成立したか否かを判定するEGR判定部201と、EGRオン条件が成立したときにEGR弁65を開き、EGRオフ条件が成立したときにEGR弁65を閉じるEGR弁開閉部202と、EGR弁65が開閉したときの湿度センサ15の出力値等に基づいて当該湿度センサ15の故障判定を行う湿度センサ故障判定部203と、を有している。ここで、湿度センサ故障判定部203は、EGRオン時もしくはEGRオフ時において、EGR弁65を開弁もしくは閉弁してから湿度センサ15の出力値が変化するまでの初動遅れ時間や、EGR弁65を開弁もしくは閉弁した後の所定期間における湿度センサ65の出力値の平均変化量に基づいて、当該湿度センサ15の故障判定を行うようになっている。
<EGRオン時(EGR弁開弁時)の湿度センサ応答性故障診断>
図3は、図2に示す湿度センサ故障判定部203による湿度センサ故障判定処理を説明した図であり、湿度の初動遅れ時間から湿度センサ15の応答性故障判定を行う湿度センサ故障判定処理を説明した図(EGRオン時)、図4は、図2に示す湿度センサ故障判定部による湿度センサ故障判定処理を説明したフローチャートであり、湿度センサの応答性故障診断までの制御フローを説明したフローチャート(EGRオン時)である。
図3に示すように、湿度センサ故障判定部203は、EGR弁65を開弁してEGRガスの導入を開始してから吸気通路20内の湿度がそのEGRガスの導入により上昇を始めるまで(具体的には、所定の閾値よりも大きくなるまで)の湿度の初動遅れ時間Tuが所定時間(故障判定閾値)以上である場合、湿度センサ15の応答性が劣化して、故障していると診断する。
具体的には、図4に示すように、ECU100は、S401では、エンジン回転数とエンジン負荷によりEGRオン条件が成立したか否かを判定する。すなわち、エンジン10の運転状態がEGRを行うべき状態であるか否かを判定する。EGRオン条件が成立したと判定した場合、S402に進む。S402では、EGRオン条件の成立に応じてEGR弁65を開く。これにより、EGRガスがEGR通路63を通してコレクタ27の上流の吸気通路20に還流される。S403では、EGRオンから湿度上昇が始まるまでの湿度の初動遅れ時間Tuを算出する。次に、S404では、初動遅れ時間Tuが故障判定閾値未満であるか否かを判定する。初動遅れ時間Tuが故障判定閾値未満であると判定した場合、S405で湿度センサ15が正常と判定し、故障判定閾値以上であると判定した場合、S406で湿度センサ15が異常(故障)と判定する。
次に、図5は、図2に示す湿度センサ故障判定部による湿度センサ故障判定処理を説明した図であり、湿度の変化量から湿度センサの応答性故障判定を行う湿度センサ故障判定処理を説明した図(EGRオン時)、図6は、図2に示す湿度センサ故障判定部による湿度センサ故障判定処理を説明したフローチャートであり、湿度センサの応答性故障診断までの制御フローを説明したフローチャート(EGRオン時)である。
図5に示すように、湿度センサ故障判定部203は、湿度センサ15を介して湿度を一定間隔(サンプリング時間t)で測定し、サンプリング時間当たりの湿度の変化量の絶対値|ΔRH|を算出しており、その絶対値|ΔRH|が診断開始閾値以上になってから診断終了閾値以下になるまでの期間を診断範囲とし、診断範囲での絶対値|ΔRH|の積算値Σ|ΔRH|をサンプル数で除した平均値(言い換えれば、診断範囲での湿度の平均変化量の絶対値)を算出し、その平均値を運転状態に応じて補正した値Σ|ΔRH|ave補正値が所定値(故障判定閾値)以下である場合、湿度センサ15の応答性が劣化して、故障していると診断する。なお、診断開始閾値は、診断終了閾値より大きく設定されている。
具体的には、図6に示すように、ECU100は、S601では、エンジン回転数とエンジン負荷によりEGRオン条件が成立したか否かを判定する。すなわち、エンジン10の運転状態がEGRを行うべき状態であるか否かを判定する。EGRオン条件が成立したと判定した場合、S602に進む。S602では、EGRオン条件の成立に応じてEGR弁65を開く。これにより、EGRガスがEGR通路63を通してコレクタ27の上流の吸気通路20に還流される。S603では、湿度センサ15を介して湿度RHを一定間隔で取得する。S604では、取得した湿度と前回取得した湿度の偏差の絶対値|ΔRH|を算出する。S605では、湿度の偏差の絶対値|ΔRH|が所定値(診断開始閾値)以上であるか否かを判定する。湿度の偏差の絶対値|ΔRH|が所定値以上であると判定された場合には、湿度センサ15の故障診断条件が成立となり、次のS606に進む。S606では、湿度の偏差の絶対値|ΔRH|を積算していく。次のS607では、湿度の偏差の絶対値|ΔRH|が所定値(診断終了閾値)以下であるか否かを判定する。湿度の偏差の絶対値|ΔRH|が所定値以下であると判定された場合、湿度センサ15の故障診断条件が不成立となり、診断のための湿度情報収集を終了して、S608に進む。S608では、最終的な積算値Σ|ΔRH|をサンプル数Nで除して平均化し、平均値Σ|ΔRH|aveを算出する。次に、S609では、エンジン回転数、エンジン負荷、EGR弁開度に応じた補正値Aを算出する。次に、S610では、平均値Σ|ΔRH|aveを補正値Aで補正した(具体的には、平均値Σ|ΔRH|aveと補正値Aを乗じて得た)Σ|ΔRH|ave補正値が故障判定閾値より大きいか否かを判定する。Σ|ΔRH|ave補正値が故障判定閾値より大きいと判定した場合、S611で湿度センサ15が正常と判定し、故障判定閾値以下であると判定した場合、S612で湿度センサ15が異常(故障)と判定する。
<EGRオフ時(EGR弁閉弁時)の湿度センサ応答性故障診断>
図7は、図2に示す湿度センサ故障判定部による湿度センサ故障判定処理を説明した図であり、湿度の初動遅れ時間から湿度センサの応答性故障判定を行う湿度センサ故障判定処理を説明した図(EGRオフ時)、図8は、図2に示す湿度センサ故障判定部による湿度センサ故障判定処理を説明したフローチャートであり、湿度センサの応答性故障診断までの制御フローを説明したフローチャート(EGRオフ時)である。
図7に示すように、湿度センサ故障判定部203は、EGR弁65を閉弁してEGRガスの導入を終了してから吸気通路20内の湿度がそのEGRガスの導入終了により下降を始めるまで(具体的には、所定の閾値よりも小さくなるまで)の湿度の初動遅れ時間Tdが所定時間(故障判定閾値)以上である場合、湿度センサ15の応答性が劣化して、故障していると診断する。
具体的には、図8に示すように、ECU100は、S801では、エンジン回転数とエンジン負荷によりEGRオフ条件が成立したか否かを判定する。すなわち、エンジン10の運転状態がEGRの中止を行うべき状態であるか否かを判定する。EGRオフ条件が成立したと判定した場合、S802に進む。S802では、EGRオフ条件の成立に応じてEGR弁65を閉じる。これにより、EGRガスがEGR通路63を通してコレクタ27の上流の吸気通路20に還流されなくなる。S803では、EGRオフから湿度が下降を始まるまでの湿度の初動遅れ時間Tdを算出する。次に、S804では、初動遅れ時間Tdが故障判定閾値未満であるか否かを判定する。初動遅れ時間Tdが故障判定閾値未満であると判定した場合、S805で湿度センサ15が正常と判定し、故障判定閾値以上であると判定した場合、S806で湿度センサ15が異常(故障)と判定する。
次に、図9は、図2に示す湿度センサ故障判定部による湿度センサ故障判定処理を説明した図であり、湿度の変化量から湿度センサの応答性故障判定を行う湿度センサ故障判定処理を説明した図(EGRオフ時)、図10は、図2に示す湿度センサ故障判定部による湿度センサ故障判定処理を説明したフローチャートであり、湿度センサの応答性故障診断までの制御フローを説明したフローチャート(EGRオフ時)である。
図9に示すように、湿度センサ故障判定部203は、湿度センサ15を介して湿度を一定間隔(サンプリング時間t)で測定し、サンプリング時間当たりの湿度の変化量の絶対値|ΔRH|を算出しており、その絶対値|ΔRH|が診断開始閾値以上になってから診断終了閾値以下になるまでの期間を診断範囲とし、診断範囲での絶対値|ΔRH|の積算値Σ|ΔRH|をサンプル数で除した平均値(言い換えれば、診断範囲での湿度の平均変化量の絶対値)を算出し、その平均値を運転状態に応じて補正した値Σ|ΔRH|ave補正値が所定値(故障判定閾値)以下である場合、湿度センサ15の応答性が劣化して、故障していると診断する。
具体的には、図10に示すように、ECU100は、S1001では、エンジン回転数とエンジン負荷によりEGRオフ条件が成立したか否かを判定する。すなわち、エンジン10の運転状態がEGRの中止を行うべき状態であるか否かを判定する。EGRオフ条件が成立したと判定した場合、S1002に進む。S1002では、EGRオフ条件の成立に応じてEGR弁65を閉じる。これにより、EGRガスがEGR通路63を通してコレクタ27の上流の吸気通路20に還流されなくなる。S1003では、湿度センサ15を介して湿度RHを一定間隔で取得する。S1004では、取得した湿度と前回取得した湿度の偏差の絶対値|ΔRH|を算出する。S1005では、湿度の偏差の絶対値|ΔRH|が所定値(診断開始閾値)以上であるか否かを判定する。湿度の偏差の絶対値|ΔRH|が所定値以上であると判定された場合には、湿度センサ15の故障診断条件が成立となり、次のS1006に進む。S1006では、湿度の偏差の絶対値|ΔRH|を積算していく。次のS1007では、湿度の偏差の絶対値|ΔRH|が所定値(診断終了閾値)以下であるか否かを判定する。湿度の偏差の絶対値|ΔRH|が所定値以下であると判定された場合、湿度センサ15の故障診断条件が不成立となり、診断のための湿度情報収集を終了して、S1008に進む。S1008では、最終的な積算値Σ|ΔRH|をサンプル数Nで除して平均化し、平均値Σ|ΔRH|aveを算出する。次に、S1009では、エンジン回転数、エンジン負荷、EGR弁開度に応じた補正値Bを算出する。次に、S1010では、平均値Σ|ΔRH|aveを補正値Bで補正した(具体的には、平均値Σ|ΔRH|aveと補正値Bを乗じて得た)Σ|ΔRH|ave補正値が故障判定閾値より大きいか否かを判定する。Σ|ΔRH|ave補正値が故障判定閾値より大きいと判定した場合、S1011で湿度センサ15が正常と判定し、故障判定閾値以下であると判定した場合、S1012で湿度センサ15が異常(故障)と判定する。
以上の説明から理解できるように、本実施形態によれば、EGR弁65を開弁もしくは閉弁したときの湿度センサ15の出力値に基づいて、詳細には、EGRオン時(EGR弁開弁時)もしくはEGRオフ時(EGR弁閉弁時)において、EGR弁65を開弁もしくは閉弁してから湿度センサ15の出力値が変化し始めるまでの初動遅れ時間Tu、Tdや、EGR弁65を開弁もしくは閉弁した後の所定期間(診断範囲)における湿度センサ15の出力値の平均変化量に基づいて、湿度センサ15の故障を判定することにより、湿度センサ15の正確な故障診断が可能となるため、正常に機能している湿度センサ15の出力値に基づいた点火時期補正制御やEGR制御などを行うことができ、ひいてはノッキングや失火を防止することができる。
なお、上記した実施形態では、エンジン回転数、エンジン負荷、EGR弁開度等に応じて、湿度センサ15の出力値の出力特性が変化するので、エンジン回転数、エンジン負荷、EGR弁開度を加味した湿度センサ15の出力値の平均変化量の絶対値に基づいて、湿度センサ15の故障判定を行っているが、故障判定のための初動遅れ時間Tu、Tdについても、エンジン回転数、エンジン負荷、EGR弁開度を加味してもよいことは勿論である。
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形形態が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
10 エンジン(内燃機関)
11 シリンダ
11a シリンダヘッド
11b シリンダブロック
14 コンロッド
15 湿度センサ
16 ピストン
17 燃焼室
19 エアクリーナ
20 吸気通路
21 吸気バルブ
22 排気バルブ
23 吸気カム軸
24 排気カム軸
25 スロットルバルブ
27 コレクタ
28 吸気マニホールド
29 吸気ポート
30 燃料噴射弁
34 点火コイル
35 点火プラグ
40 排気通路
50 エアフローセンサ
51 リニア空燃比センサ
52 Oセンサ
53 燃料タンク
54 燃料ポンプ
55 燃圧レギュレータ
60 三元触媒
63 EGR通路(排気還流通路)
64 EGRクーラ
65 EGR弁(排気還流弁)
100 ECU(エンジンコントロールユニット)(内燃機関の制御装置)

Claims (3)

  1. 内燃機関の燃焼室から排気通路へ排出される排気の一部を吸気通路へ流して前記燃焼室へ還流させる排気還流通路と、該排気還流通路における排気流量を調節するための排気還流弁と、前記吸気通路における前記排気還流通路との接続部よりも下流側の湿度を検出する湿度センサと、を備える内燃機関の制御装置であって、
    該制御装置は、前記排気還流弁を開弁もしくは閉弁した後の所定期間における前記湿度センサの出力値の平均変化量の絶対値に前記内燃機関の回転数、前記内燃機関の負荷、前記排気還流弁の開度のうちの少なくとも一つを加味して補正した補正値が所定値以下であるとき、前記湿度センサを故障と判定することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記制御装置は、サンプリング時間当たりの前記湿度センサの出力値の変化量の絶対値が診断開始閾値以上になってから診断終了閾値以下になるまでの期間を診断範囲とし、該診断範囲における前記湿度センサの出力値の平均変化量の絶対値が所定値以下であるとき、前記湿度センサを故障と判定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記診断開始閾値は、前記診断終了閾値より大きく設定されていることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
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