以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、図1を用いて、本発明の実施形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置について説明する。なお、図1は、本実施形態に係る画像形成装置としてのレーザビームプリンタを正面から見た状態で示す概略断面図である。
[画像形成装置]
図1に示すように、画像形成装置であるフルカラーのレーザビームプリンタ(以下、プリンタという)201は、画像形成装置本体(以下、装置本体という)201aを備えている。この装置本体201aは、装置各部を制御する制御手段としての制御部67と、画像形成部201bと、定着手段としての定着部220と、装置本体201aの上方に略水平に配置された上部装置としての画像読取装置202とを有している。
装置本体201aには、画像読取装置202の下方にシート排出用の排出空間Sが設けられている。排出空間Sの下方にはトナーカートリッジ215が配置され、装置本体201aの下部には、複数(本実施形態では3つ)のシート給送装置51,52,53が配置されている。装置本体201aには、シート給送装置51,52における後述の給紙カセット91,92を装着及び引き出し可能な装着空間(不図示)が設けられている。さらに、装置本体201aには、シート給送装置53における後述の給紙カセット93を装着及び引き出し可能な装着空間15(図6参照)が設けられている。装着空間15があることにより、シート給送装置53は、装置本体201aに対し装着及び引き出しが可能となっている。給紙カセット93は、装置本体201aに装着された装着位置と、装置本体201aから引き出された引き出し位置を取ることが可能である。
画像形成部201bは、4ドラムフルカラー方式を採用しており、レーザスキャナ210と、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー画像を形成する4個のプロセスカートリッジ211とを有している。
ここで、各プロセスカートリッジ211は、感光体としての感光ドラム212と、帯電手段としての帯電器213と、現像手段としての現像器214と、クリーニング手段としてのクリーナ(不図示)とを有している。また、画像形成部201bは、プロセスカートリッジ211の上方に中間転写ユニット201cを有している。
中間転写ユニット201cは、駆動ローラ216a及びテンションローラ216bに巻き掛けられた中間転写ベルト216を有している。また、中間転写ユニット201cは、中間転写ベルト216の内側に配置され、感光ドラム212に対向した位置で中間転写ベルト216の内面に当接する1次転写ローラ219を有している。中間転写ベルト216は、フィルム状部材から構成され、各感光ドラム212に当接しており、不図示の駆動部によって駆動される駆動ローラ216aにより矢印方向に回転させられる。
1次転写ローラ219から中間転写ベルト216に正極性の転写バイアスが印加されることにより、感光ドラム212上の負極性を持つ各色トナー像が順次中間転写ベルト216に多重転写される。これにより、中間転写ベルト上にはカラー画像が形成される。駆動ローラ216aと対向する位置には、中間転写ベルト上に形成されたカラー画像をシートPに転写する2次転写ローラ217が配置されている。なお、駆動ローラ216aとこれに圧接する2次転写ローラ217とで形成される2次転写ニップ部Nにより2次転写部が構成されている。
2次転写ローラ217のシート搬送方向の下流には定着部220が配置され、定着部220の上方には、第1排出ローラ対225a、第2排出ローラ対225b、及び反転排出部としての両面反転部201dが配置されている。両面反転部201dは、正逆転可能なシート反転搬送ローラとしての反転ローラ対222、及び第1面に画像が形成されたシートを再度、画像形成部201bに搬送する再搬送通路R等を有している。なお、画像形成部201bと、2次転写ニップ部Nと、定着部220とにより、シート給送装置51,52,53により送り出されたシートPに画像を形成する画像形成手段27が構成される。
上記構成において、画像読取装置202で読み取られた画像情報又は不図示のパーソナルコンピュータ(PC)等の外部機器から入力された画像情報は、画像処理された後、電気信号に変換されて画像形成部201bのレーザスキャナ210に伝送される。
そして、画像形成部201bでは、各プロセスカートリッジ211の感光ドラム212の表面をレーザスキャナ210から射出されたイエロー、マゼンタ、シアン及びブラック成分色の画像情報に対応するレーザ光により走査する。これにより、帯電器213によって表面が所定の極性及び電位に一様に帯電されている感光ドラム212の表面が順次露光され、各プロセスカートリッジ211の感光ドラム上に、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの静電潜像が順次形成される。
この後、静電潜像をイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色トナーにより現像して可視化すると共に、1次転写ローラ219に印加した1次転写バイアスにより、各感光ドラム上の各色トナー像を中間転写ベルト216に順次重ね合わせて転写する。これにより、中間転写ベルト216上にトナー画像が形成される。
一方、後述するシート給送装置51,52,53の何れかから送り出されたシートPは、レジストレーションローラ対240を通過し、2次転写ニップ部Nへ送られる。ここで、レジストレーションローラ対240は、シートPが突き当られてループを形成することにより、シートPの先端をニップ部に倣わせて斜行を補正する。2次転写ニップ部Nでは、画像形成部201bで形成されたトナー像がシートP上に一括して2次転写される。
引き続き、このようにトナー像を2次転写されたシートPは、定着部220に搬送されて加熱及び加圧され、トナー像をカラー画像として定着される。この後、カラー画像が定着されたシートPは、第1排出ローラ対225aによって排出空間Sに排出され、排出空間S内に設けられた積載部26に積載される。
シート給送装置51,52には、シートPを収納する給紙カセット91,92と、給紙カセット91に収納されているシートPを下流の引き抜きローラ対14に向けて送り出すシート給送部24とが配置されている。さらにシート給送装置51,52には、給紙カセット92に収納されているシートPを下流の引き抜きローラ対25に向けて送り出すシート給送部24が配置されている。
給紙カセット91に対応するシート給送部24は、シート給送方向の下流上部に配置された、ピックアップローラ11と、フィードローラ12と、リタードローラ13とを有している。また、給紙カセット92に対応するシート給送部24は、シート給送方向の下流上部に配置された、ピックアップローラ21と、フィードローラ22と、リタードローラ23とを有している。
また、シート給送装置53には、シートPを収納する給紙カセット93と、給紙カセット93に収納されているシートPを下流の引き抜きローラ対34に向けて送り出すシート給送部24とが配置されている。給紙カセット93に対応するシート給送部24は、シート給送方向の下流上部に配置された、ピックアップローラ31と、フィードローラ32と、リタードローラ33とを有している。
ピックアップローラ11,21は、フィードローラ12,22を夫々中心として回動可能なアーム(不図示)により回動可能に支持され、給紙カセット91,92内に夫々収納されたシートPに圧接して回転することでシートPを送り出す。給紙カセット91,92は、装置本体201aの図中の前面方向に対して装着及び引き出し可能に支持されている。
また、ピックアップローラ31は、フィードローラ32を夫々中心として回動可能なアーム(不図示)により回動可能に支持され、給紙カセット93内に夫々収納されたシートPに圧接して回転することでシートPを送り出す。なお、給紙カセット93は、装置本体201aの図中の前面方向に対し、引き出し用のレール61,62に沿って装着及び引き出し可能に支持されている。
そして、画像形成動作が開始されると、シートPは、シート給送部24により給紙カセット91,92,93の何れかから1枚ずつ分離給送される。ピックアップローラ11,21,31の何れかにより繰り出されたシートPは、フィードローラ12,22,32の対応するものによって搬送される。その際、シートPが重送した場合には、2枚目以降のシートPはリタードローラ13,23,33の対応するものによって給紙カセット側に戻される。これらフィードローラ12,22,32及びリタードローラ13,23,33の対応するものによって分離搬送されたシートPは、引き抜きローラ対14,25,34によってさらに下流側に送られ、レジストレーションローラ対240に搬送される。
[シート給送装置]
次に、図2(a),(b)及び図3(a)〜(c)を参照して、本実施形態におけるシート給送装置53について詳細に説明する。なお、図2(a),(b)及び図3(a)〜(c)は本実施形態に係るシート給送装置53をそれぞれ異なる状態で説明する断面図である。
図2及び図3に示すように、シート給送装置53は、A4サイズやレターサイズ等の、小サイズのシート束が第1シート収納部28b及び第2シート収納部28aに夫々積載された状態から、シートPを1枚ずつ給送可能に構成されている。シート給送装置53は、図中右側の第1シート収納部28b内のシートPから順番に給送される。そして、第1シート収納部内のシートが無くなると、図中左側の第2シート収納部28a内のシートPを第1シート収納部28bへ束ごと移送し、給送動作の再開を可能とするタンデムカセット給送構成とされている。
シート給送装置53において、第1シート収納部28bには、積載されたシートPを昇降させるように支持されたリフタ板35が配置されている。装置本体201a(図1)におけるリフタ板35上方に配置されたピックアップローラ31は、フィードローラ32を中心として回動可能なアーム(不図示)により回動可能に支持され、リフタ板35に積載されたシートPを繰り出すように構成されている。繰り出されたシートPはフィードローラ32により搬送されるが、2枚以上が繰り出された場合には、2枚目以降のシートPはフィードローラ32とリタードローラ33による分離作用により給紙カセット93側(シート収納手段側)に戻される。なお、ピックアップローラ31は、シートPを給送する給送手段を構成する。
図2(a),(b)に示すように、シート収納手段としての給紙カセット93の前端部の下部には、リフタHP(ホームポジション)センサ84が配置されている。制御部67(図1)は、リフタ板上のシートPの最上位シートが常に安定してピックアップローラ31に当接できるように、ピックアップローラ31の上下方向高さに応じてリフタ板35を上昇できるようにリフタモータ86(図11)の駆動を制御する。
また、給紙カセット93は、図中右側の第1シート収納部28bと図中左側の第2シート収納部28aとを一体に備えた形で、装置本体201a内の装着空間15(図6)に対して装着及び引き出し可能に支持される。第1シート収納部28bは、ピックアップローラ31によって給送されるシートPが収納される。第2シート収納部28aは、第1シート収納部28bに水平方向にて隣接して第1シート収納部28bへの補充用のシートPが収納される。
シート給送装置53は、第2シート収納部28aの底部から第1シート収納部28b側に一部が延びるように形成された固定のセットトレイ88を有している。第2シート収納部28aには、セットトレイ88に沿って第1シート収納部側にスライド移動するように支持されたシート束移動部材37が配置されている。シート束移動部材37は、第2シート収納部28aにセットされたシート束(P)と接触可能に設けられている。シート束移動部材37は、制御部67により制御される駆動モータ50によって図2の左右方向にスライド移動可能に支持されており、第2シート収納部28aにセットされたシート束(P)を第1シート収納部28bへ束ごとスライド移動させる。なお、シート束移動部材37は、第2シート収納部28aからシート束(P)を一括して第1シート収納部28bに移送するように移動可能なシート移送手段を構成する。
図2(a),(b)及び図3(a)〜(c)に示すように、シート給送装置53の給紙カセット93における中央部には、シート束(P)をセットする際の左右のシートPを仕切る仕切り手段としてのアーム部材36が配置されている。
アーム部材36は、仕切りソレノイド20(図11参照)の駆動により、仕切り位置と開放位置とに移動可能に構成される。仕切り位置は、第1シート収納部28bと第2シート収納部28aとの間に突出して第1及び第2シート収納部28b,28a間を仕切る位置であり、開放位置は、仕切り位置から退避して第1及び第2シート収納部間を開放する位置である。
アーム部材36は、通常は第1及び第2シート収納部28b,28aのシート束の仕切りとして突出した仕切り位置をホームポジションとする。そして、アーム部材36は、図2中の左側の第2シート収納部28aに積載されたシート束(P)を右側の第1シート収納部28bに移送する際には、仕切り位置から開放位置に退避する。
また、図2(a),(b)に示すように、装置本体201aには、第1シート収納部28bのリフタ板35の上方に、シート検知手段としてのシートセンサ78(図11も参照)が配置されている。また、装置本体201aに設けられた制御部67(図1、図11)は、シートセンサ78によるシート検知に基づき、シート束移動部材37を移送動作させる前に、仕切りソレノイド20を制御してアーム部材36を開放位置に移動させるように制御する。これにより、第1シート収納部28b内のシートPが無くなった際には、アーム部材36を速やかに開放位置に移動させてからシート束移動部材37を移送動作させ、第1シート収納部28bにシート束(P)を円滑に補充することができる。
次に、図4(a)〜(c)、図9及び図10を参照して、本実施形態に係るシート給送装置53について詳細に説明する。なお、図4(a)は、本実施形態に係るシート給送装置53において第2シート収納部28aにシート束(P)がある状態を示す断面図である。図4(b)は、シート給送装置53において第2シート収納部28aから第1シート収納部28bにシート束(P)を一括して移動させた状態を示す断面図である。図4(c)は、シート束(P)を移動終了したシート束移動部材37を第2シート収納部28aに復帰させる状態を示す断面図である。なお、図4(c)は、給紙カセット93が装置本体201aから引き出された時にシート束移動部材37が第2シート収納部28aに復帰する動作を表す図である。図9は、図5(a),(b)に示したシート給送装置53に対応する詳細な平面図である。図10は、図9のA−A線に沿って断面した断面図である。
図4(a)は図2(b)に対応し、図4(b)は図3(b)に対応し、図4(c)は、図3(b)の状態から図3(c)の位置にシート束移動部材37が戻る途中の状態に対応する。図4(a)〜(c)では、図2(a),(b)及び図3(a)〜(c)におけるアーム部材36、ピックアップローラ31、フィードローラ32、リタードローラ33、引き出し用のレール61,62等は図示を省略している。図4(a)〜(c)では、ややサイズは異なるが図2(a),(b)及び図3(a)〜(c)におけるセットトレイ88の内部を、断面して示している。
図4(a)に示すように、第2シート収納部28a内のホームポジションにあるシート束移動部材37に後端部を当接させた状態で、シート束(P)がセットトレイ上に積載されてセットされる。
図4(b)に示すように、シート束移動部材37は後述の駆動手段10により第2シート収納部28aからシート束移動部材37が第1シート収納部28bの方向である第1の方向D1に移動させられる。これにより、シート束(P)は、一括して第1シート収納部28bのリフタ板35の上に移送される。
図4(c)は、図4(b)に示すようにシート束移動部材37が第1シート収納部28bと第2シート収納部28aとの間の位置(第1の位置)にある時に、給紙カセット93が装置本体201aから引き出された場合を示す図である。図4(c)は、シート束移動部材37が第2シート収納部28aに復帰する動作を表す図である。図4(c)に示すように、図4(b)の状態から、シート束移動部材37が、チャージされた状態の引っ張りバネ44のバネ力によって自動で第2シート収納部28a側の第2の方向D2へ移動し、ホームポジションに接近する。図4(a)に示すシート束移動部材37の位置が、シート束移動部材37のホームポジションである。ホームポジションは、シート束移動部材37の移動方向において第1シート収納部28bよりも遠い側の第2シート収納部28aの外側の位置である。シート束移動部材37がホームポジションにある時、ユーザは第1シート収納部28b及び第2シート収納部28aにシート束を積載することが可能である。そして、第1シート収納部28bに収納されたシートが無くなると、ホームポジションにあるシート束移動部材37は、第2シート収納部28aに収納されたシート束を一括して第1シート収納部28bに移送する。引っ張りバネ44は、シート給送方向(図5(a)の矢印A方向)に直交する幅方向(図5(a)の矢印Bの方向)において一対設けられている。一対の引っ張りバネ44は、シート給送方向上流側の一端が、給紙カセット93の底部に設けられた固定部89,90に取り付けられ、他端が、チャージ部材43の幅方向両端部に取り付けられている。
本実施形態では、引っ張りバネ44及びチャージ部材43により、シート束移動部材(シート移送手段)37を第1シート収納部28b側から第2シート収納部28a側に強制的に移動させる強制移動機構(移動手段)19が構成されている。ここで、シート束移動部材37の二つの位置関係を説明する時に、第1シート収納部28bに近い位置のものを第1シート収納部28b側とし、第1シート収納部28bに遠い位置のものを第2シート収納部28a側としている。なお、一対の引っ張りバネ44は、配置によっては、1本の引っ張りバネ44として、或いは3本以上の引っ張りバネ44として用いることも可能である。
シート束移動部材37の下部には、シート給送方向(図2(a)の矢印A方向)の上流及び下流に、シート給送方向に直交する幅方向に延設された駆動シャフト46a,40aが回転可能に支持されている。駆動シャフト40a,46aには、それぞれ駆動プーリ40及び従動プーリ46が支持されている。駆動プーリ40と従動プーリ46とには、無端状のタイミングベルト41が巻回されて張架されている。
タイミングベルト41の内周面の下部側には、シート束移動部材37下部側の屈曲部37aが固定部材45によって起立した状態に固定されている。図9に示すように、シート束移動部材37は、シート給送方向に延設された長尺のセットトレイ88をレールとしてシート給送方向にて往復移動できるように、セットトレイ88から幅方向にそれぞれ屈曲部37aが突出するように構成されている。
次に、図5(a),(b)及び図6を参照して、本実施形態におけるシート束移動部材37を移動させる駆動機構等について説明する。なお、図5(a)は、図4(a)の状態に対応する強制移動機構19の状態を示す平面図、図5(b)は、図4(b)の状態に対応する強制移動機構19の状態を示す平面図である。図6は、装置本体201aから給紙カセット93を引き出した状態を示す平面図である。
図5(a),(b)及び図6に示すように、装置本体201a内部には、装置本体201aに対する給紙カセット93の開閉状態(引き出し状態、装着状態)を検知する開閉センサ16が配置されている。
また、給紙カセット93内におけるシートPの給送方向(図5(a)の矢印A方向)に直交する幅方向(図5(a)の矢印B方向)を規制して整合するサイド規制板38,39が配置されている。これら規制板38,39は、セットするシートの幅方向サイズに応じて移動可能となるように、給紙カセット93の底部に支持されている。
図5(a)では、タイミングベルト41が駆動プーリ40により駆動されると、タイミングベルト41の回転に伴ってシート束移動部材37が移動する。その際、図5(a)の第2シート収納部28aの側から第1シート収納部28bの側へ移動することで、シート束(P)を一括して第1シート収納部28bに移送し、第1シート収納部28b内のリフタ板35上に積載する。
チャージ部材43は、図4(a)に示すガイド部42の内方をスライド移動となるように支持されている。ガイド部42は、セットトレイ88の内方にて、幅方向に延びるチャージ部材43を支持できるように幅方向に延設されている。チャージ部材43は、所定の位置からシート束移動部材37に係合されてシート束移動部材37とともに移動して、引っ張りバネ44を引っ張る。図4(b)に示すように、シート束(P)の移送が行われると、シート束移動部材37は、シート束(P)と共にチャージ部材43を第1シート収納部28b側に押し付ける。チャージ部材43にはシート給送方向における所定の位置からバネ力が作用するので、チャージ部材43は、シート束移動部材37に押されることで引っ張りバネ44を引っ張り、バネ力(強制移動力)をチャージする。
図5(a),(b)及び図6に示すように、装置本体201aにおける装着空間15に隣接する位置には、駆動モータ50が固定されている。この駆動モータ50の回転軸50aには、ピニオン74が固着されている。また、装置本体201aには、給紙カセット93が装着空間15に挿入される際の被駆動カップリング48に対向する位置に、駆動モータ50からの駆動力を受ける駆動伝達カップリング49が、不図示の支持機構を介して回転可能に支持されている。被駆動カップリング48は、給紙カセット93が装着空間15に装着された際に駆動伝達カップリング49に係合し、給紙カセット93が装着空間15から引き出された際に駆動伝達カップリング49から離脱する。
駆動伝達カップリング49を装置本体201aに回転可能に支持している回転軸77には駆動ギヤ76が固着されており、この駆動ギヤ76には、装置本体201aに回転可能に支持された伝達ギヤ75が噛合している。この状態に支持された駆動シャフト40aは、サイド規制板39に形成された貫通部39aを貫通した状態で支持されている。なお、駆動モータ50、ピニオン74、伝達ギヤ75及び駆動ギヤ76により、駆動機構29が構成されている。
被駆動カップリング48には、ピニオン74、伝達ギヤ75、駆動ギヤ76、回転軸77及び駆動伝達カップリング49を介して、駆動モータ50の回転が伝達される。さらに、この回転が駆動シャフト40aを介して駆動プーリ40に伝達されるため、駆動プーリ40の回転によってタイミングベルト41が従動プーリ46を回転させながら、シート束移動部材37を図5(a)の矢印A方向に移動させる。
また、本実施形態では、駆動伝達カップリング49から被駆動カップリング48に伝達された駆動モータ50の出力で回転させられるタイミングベルト41を有している。そして、シート束移動部材37は、タイミングベルト41の回転時に第1及び第2シート収納部28b,28a間を移動するようにタイミングベルト41に連結されている。このため、駆動モータ50の駆動力を駆動シャフト40a及び駆動プーリ40を介してタイミングベルト41に伝達することで、シート束移動部材37を確実に移動させることができる。
図6において、給紙カセット93を装置本体201aから引き出した状態では、装置本体201a側の駆動伝達カップリング49と給紙カセット93側の被駆動カップリング48とが離間する。駆動伝達カップリング49及び被駆動カップリング48は、駆動モータ50の駆動トルクを伝達する周知の部材である。互いに離間したことで、駆動モータ50の伝達経路が外れ、駆動モータ50自身の保持トルクの影響から解放されることにより、引っ張りバネ44のチャージしたバネ力によってチャージ部材43がシート束移動部材37を所定位置まで速やかに移動する。本実施形態において、チャージ部材43は、第2シート収納部28aのシート束セット位置における略中央部あたり(第2の位置)まで、移動させられる。
シート束移動部材37が図6に示す位置に戻ることで、第2シート収納部28aにてシート束(P)をセットしようとしても、シート束移動部材37自体が邪魔な位置になることから、ユーザがシート束(P)をセットすることはない。そして、シート束移動部材37を図6の左側へ移動してから、シート束(P)を第2シート収納部28aの位置にセットすることが可能になる。この際、被駆動カップリング48が駆動伝達カップリング49から離脱しているため、ユーザはシート束移動部材37を左方に容易に移動でき、シート束(P)をセットするための適正な位置(図5(a)に示すホームポジション)に位置決めすることができる。特に、第2シート収納部28aにおけるほぼ真ん中あたりまでシート束移動部材37を移動させることがユーザに対するアピールとなり、シート束移動部材37を適正な位置にセットし直す操作を誘導することができる。
本実施形態において、シート束移動部材37のホームポジションは、最も左側に移動した図5(a)に示す位置である。給紙カセット93が装置本体201aに装着された状態での第1シート収納部28bへのシート束補充では、第1シート収納部側に移動してシート束を補充したシート束移動部材37を、駆動モータ50の駆動でホームポジションに自動で移動させて復帰できる。この動作時間は、駆動モータ50の出力によるが、数秒(例えば10秒程度)で終了する。また、基本的には、常にシート束移動部材37の位置は左側のホームポジションに静止している。
しかし、給紙カセット93を装置本体201aから引き出してしまうと、駆動モータ50からの伝達が外れてしまうので、シート束移動部材37は、駆動モータ50の駆動力ではホームポジションに戻ることはできない。本実施形態では、チャージ部材43と引っ張りバネ44の作用によって、瞬時にシート束移動部材37が左方向へ移動することができる。
ここで、瞬時とは、ユーザが給紙カセット93を装置本体201aから引き出すのに要する時間未満をさし、例えば1秒以内のことである。このように、瞬時にシート束移動部材37が左方向へ移動するので、左側のセットトレイ88にシート束(P)をセットするスペースはなく、この位置にユーザが誤ってシート束を置くことはない。このように、誤セットすることが回避されるので、プリンタ201が停止したり、煩わしい再セット作業が発生したりすることを回避することができる。
[制御系]
次に、本実施形態におけるシート束移送に係る制御系について、図11を参照して説明する。なお、図11は、シート束移送に係る制御系を示すブロック図である。
図11に示すように、本実施形態の制御系は、CPU,RAM,ROMを有する制御部(コントローラ)67を備えている。制御部67の入力ポートには、開閉センサ16、束押しHPセンサ81、束押しセンサ82、仕切りセンサ83、リフタHPセンサ84、及びシートセンサ78が接続されている。制御部67の出力ポートには、仕切りソレノイド20、駆動モータ50、及びリフタモータ86が接続されている。
開閉センサ16は、フォトインタラプタから構成され、不図示の発光・受光部の間に、給紙カセット93の背面側に固定された遮光板17(図5、図6)が進入及び退避することに応じて、給紙カセット93の装置本体201aへの装着状態を検知する。即ち、開閉センサ16に対して給紙カセット背面側の遮光板17が進退移動すると、遮光板17がフォトインタラプタの発光・受光部間の光路を遮るときに受光部の出力信号がロー(Low)レベルとなり、光路を遮らないときはハイ(High)レベルとなる。従って、受光部の出力信号が変化する位置を基準位置とすることで、給紙カセット93が基準位置にあるか否かを検知して、給紙カセット93の装着状態を検知することができる。
束押しHP(ホームポジション)センサ81(図2参照)は、シート束移動部材37がホームポジションにあることを検知する。束押しセンサ82(図2参照)は、シート束移動部材37による束押し完了の位置を検知する。
仕切りセンサ83は、上述した開閉センサ16と略同様の構成を有している。この仕切りセンサ83は、給紙カセット93側に固定されたフォトインタラプタに対する、アーム部材36側に固定された遮光板の進退移動の関係に基づき、アーム部材36が仕切り位置と開放位置の何れにあるかを検知する。
リフタHPセンサ84(図2参照)は、給紙カセット93の前端下部に配置され、リフタ板35の最下位置を検知する。シートセンサ78(図2参照)は、第1シート収納部28bのリフタ板35の上方に配置され、第1シート収納部28b内のシートPの有無を検知する。
駆動モータ50は、制御部67の制御に従って、シート束移動部材37を、第2シート収納部28a側から第1シート収納部28b側に移動させ、また第1シート収納部28b側から第2シート収納部28a側に戻すように回転駆動する。
仕切りソレノイド20は、制御部67の制御に従って、アーム部材36を、仕切り位置と開放位置とに回動させるようにプランジャ(不図示)を進退動作させる。駆動モータ50は、制御部67の制御に従って回転し、ピニオン74を含むギヤ列を介して駆動伝達カップリング49に回転を伝達する。リフタモータ86は、制御部67の制御に従って、リフタ板35上の最上位のシートPが常に安定してピックアップローラ31に当接できるようにピックアップローラ31の高さに応じてリフタ板35を上昇させるように作動する。
制御部67は、上記の各種センサからの検知信号に応じて、仕切りソレノイド20、駆動モータ50、及びリフタモータ86の駆動を制御する。また、制御部67は、ユーザへの操作画面(不図示)の表示制御も行っている。
ここで、図2(a),(b)及び図3(a)〜(c)を参照して、給送中に第1シート収納部28b内のシートPが無くなったことに伴い、第2シート収納部28a内のシート束(P)を第1シート収納部28bに移送して給送するまでの一連の状態を説明する。
すなわち、図2(a)では、第1シート収納部28bからシートPがピックアップローラ31によって給送され、第2シート収納部28a内のシート束(P)は待機状態となっている。そして、図2(b)では、第1シート収納部28b内のシートPが無くなり、リフタ板35がその最下位置まで下降する。さらに、図3(a)では、第2シート収納部28aからシート束(P)が第1シート収納部28bへと一括して移送される。
そして、図3(b)では、第1シート収納部28bへのシート束(P)の移送が完了する。さらに、図3(c)では、シート束移動部材37がホームポジションである第2シート収納部28a側に戻る一方で、リフタ板35が上昇し、リフタ板35上の最上位のシートPをピックアップローラ31が送り出す。
このように、図2(a),(b)及び図3(a)〜(c)までのステップを連続して自動的に行うことにより、第1シート収納部28b内のシートPが無くなった場合でも画像形成処理を停止することなく、補充して繰り返すことができる。つまり、既にセットしてある第2シート収納部28a内のシート束(P)を、第1シート収納部28bに速やかに移送することで、画像形成動作(プリント動作)を継続することができる。
図4(c)に示すように、シート束(P)の移送が終了した直後に、ユーザが給紙カセット93を装置本体201aから引き出すと、チャージしたバネ力によってシート束移動部材37が所定位置まで引き戻される。そして、給紙カセット93が装置本体201aから引き出されると、装置本体201a側に支持されている駆動伝達カップリング49から被駆動カップリング48が離脱する。そして、駆動プーリ40の駆動シャフト40aに対する駆動モータ50からの駆動が外れることで、負荷が急激に軽くなる。これにより、給紙カセット93を引き出す際に、シート束移動部材37は瞬時に第2シート収納部28a側に引き戻される。
なお、駆動力を出力する駆動源としての駆動モータ50を有する駆動機構29と、駆動伝達カップリング49と、被駆動カップリング48と、無端状ベルトとしてのタイミングベルト41とにより、駆動手段10が構成されている。当該駆動手段10とシート移送手段とは、後述する伝達手段18を介して連係し、駆動手段10の駆動力をシート移送手段に駆動伝達する。本実施形態では、この駆動手段10の駆動伝達が外れると、強制移動機構(移動手段)19によりシート束移動部材37を第2シート収納部28aに向かって逆走(逆方向に移動)させることができる。
このため、シート束移動部材37の移動によるシート束移送が終了した時点で給紙カセット93が引き出されたとき(シート束移送終了間際に給紙カセット93が引き出されたとき)、シート束移動部材37をホームポジション側へ自動で移動できる。このように、第2シート収納部28aのホームポジション側にシート束移動部材37を自動的に移動させることができる。
即ち、強制移動機構19は、シート束移動部材37が第1シート収納部側に移動した状態で給紙カセット93が装着空間15から引き出されて駆動手段10との連係状態が途切れると、シート束移動部材37を第2シート収納部28a側に強制的に移動させる。つまり、シート束移送動作中に給紙カセット93が引き出された場合、強制移動機構19の作用で瞬時にシート束移動部材37を第2シート収納部28a側へ移動させることができる。このため、シート束移送中に誤って給紙カセット93が引き出されても、シート束移動部材37を第2シート収納部側に強制的に移動できるので、誤ってシート束を積載する等の問題を回避することが可能になる。
つまり、シート束移動部材37が第2シート収納部側に戻れない状態のまま間違ってシート束をシート束移動部材37の左側(第2シート収納部28a側)にセットするような問題は生じなくなる。このため、装置本体201aから引き出した給紙カセット93に対し、第1シート収納部側に移動したまま停止しているシート束移動部材37の裏側に誤ってシート束をセットしてしまうことが回避可能となる。従って、シート束が誤ってセットされて、シート束移動部材37がホームポジションに戻れなくなり、プリンタ201の停止或いはアラーム表示を招くような状況になることを確実に回避できる。これにより、ユーザがシート束を取り除くまでプリンタ201のリカバリーが行われず、煩わしい作業になってしまうような問題の発生を確実に防止できる。
また、本実施形態では、牽引部材としてのチャージ部材43は、第2シート収納部28a側から第1シート収納部28b側に移動するシート束移動部材37を介して引っ張りバネ44を第1シート収納部側に牽引するように引っ張りバネ44に連結されている。チャージ部材43は、駆動モータ(駆動源)50による強制移動機構19への負荷が低減された際に、シート束移動部材37がチャージ部材43を介して引っ張りバネ44による強制移動力を受けて第2シート収納部側に移動させられる。これにより、強制移動機構19への負荷の低減時に、シート束移動部材37を第2シート収納部側に確実に移動させることができる。
また、駆動手段10は、給紙カセット93が装着空間15に装着された状態においてシート束移動部材37を第1シート収納部28b側から第2シート収納部28a側へ移動させることができる。本シート給送装置53は、このような駆動手段10を備えるので、簡単な機械的構成により、シート束移動部材37を第1及び第2シート収納部28b,28a間で確実に且つ円滑に移動させることができる。
また、本実施形態では、装置本体201a側に支持された駆動伝達カップリング49と、給紙カセット93側に支持された被駆動カップリング48及びタイミングベルト41とによって伝達手段18が構成される。シート束移動部材37は、タイミングベルト41の回転で第1及び第2シート収納部28b,28a間を移動できるようにタイミングベルト41に堅固に連結されている。そして、装着空間15に給紙カセット93を装着することで、被駆動カップリング48を駆動伝達カップリング49に係合させて連結することができる。また、装着空間15から給紙カセット93を引き出すことで、被駆動カップリング48を駆動伝達カップリング49から離脱して連結を解除することができる。
また、給紙カセット側の被駆動カップリング48を、装置本体側の駆動伝達カップリング49に対し連結したり離脱させたりすることで、駆動モータ50とシート束移動部材37との間で、連結状態と切断状態とを簡単且つ確実に切り換えることができる。さらに、被駆動カップリング48が駆動伝達カップリング49に連結されると、駆動伝達カップリング49から被駆動カップリング48に駆動モータ50の駆動力が確実に伝達され、タイミングベルト41が回転させられる。以上のような簡単な機械的構成により、駆動モータ50からの駆動力をシート束移動部材37に確実に伝達することができる。
強制移動機構19は、第2シート収納部28a側から第1シート収納部28b側に移動するシート束移動部材37により引っ張られて強制移動力をチャージする引っ張りバネ(バネ部材)44を有している。給紙カセット93が装着空間15から引き出されたとき、伝達手段18による負荷が低減された状態で、シート束移動部材37を引っ張りバネ44により第2シート収納部側に移動させる。この場合、給紙カセット93を装置本体201aから引き出すだけで、確実に強制移動力を作用させて、シート束移動部材37を第2シート収納部側に移動させることができる。
また、チャージ部材43は、第2シート収納部28a側から第1シート収納部28b側に移動するシート束移動部材37を係合させて、引っ張りバネ44を第1シート収納部28b側に牽引する。そして、駆動モータ50による強制移動機構19への負荷が低減された際に、シート束移動部材37がチャージ部材43を介して引っ張りバネ44による強制移動力を受けて、第2シート収納部28a側に戻される。このため、給紙カセット93を装置本体201aから引き出すことで自動的に駆動モータ50による強制移動機構19への負荷を解除でき、シート束移動部材37を引っ張りバネ44の強制移動力で第2シート収納部側に迅速に移動させることができる。
また、強制移動機構19は、駆動手段10によりシート束移動部材37が第2シート収納部28a側から第1シート収納部28b側に移動される際に、シート束移動部材37を第2シート収納部側に強制的に移動させる強制移動力をチャージする。これにより、駆動モータ50の駆動力によってシート束移動部材37を第1シート収納部28b側に移動させるだけで、引っ張りバネ44を伸ばしてシート束移動部材37を戻す方向の強制移動力を確実にチャージすることができる。
なお本実施形態では、引っ張るほど荷重が高くなる周知の引っ張りバネを例に挙げて説明したが、逆に圧縮方式の圧縮バネ等を用いた他の方式でも、シート束移動部材37がホームポジション側へ移動できればよく、本実施形態の方式に限定されることはない。
また、本実施形態では、図4(a)〜(c)に示したガイド部42内をスライド移動可能なチャージ部材43を、第2シート収納部28aにおける中間部分から移動開始させるように構成したが、これに限定されるものではない。即ち、チャージ部材43と引っ張りバネ44を第2シート収納部28aの更に左側寄りに配置し、シート束移動部材37がホームポジションから移動を開始したと同時に引っ張りバネ44に強制移動力をチャージできるようにしても良い。そして、チャージ部材43が強制移動力で第2シート収納部側に戻る際に、シート束移動部材37が束押しHPセンサ81で検知可能なホームポジションまで移動するように構成しても良い。その場合、シート束移動部材37がホームポジションに戻った状態の第2シート収納部28aにそのままシート束(P)を補給することができるようになる。
なお、本実施形態では、ユーザが給紙カセット93を装置本体201aから引き出した場合に、チャージ部材43と引っ張りバネ44の作用によって、瞬時にシート束移動部材37が左方向へ移動するように構成したが、これに限られるものではない。ユーザが給紙カセット93を引き出し位置まで引き出したタイミングにおいても、シート束移動部材37がチャージ部材43と引っ張りバネ44により移動させられていても良い。ユーザは、シート束移動部材37がホームポジション側へ移動しているのを見て、束移動部材37がホームポジションにいないことに気づく。そして、ユーザが束移動部材37をホームポジションに移動させることを促すことができる。この場合、シート束移動部材37がチャージ部材43と引っ張りバネ44の作用によって、第2シート収納部28aの位置まで戻されなくても良い。
また、図4(b)、(c)において、シート束移動部材37が第1シート収納部28bと第2シート収納部28aの間の位置にある時に、給紙カセット93が装置本体201aから引き出された場合で説明をしたが、これに限られるものではない。シート束移動部材37が、図4において第2シート収納部28aと重なる領域にある場合であっても、シート束移動部材37の左側の部分にユーザがシートを収納できてしまう場合には本実施形態の構成は有効である。
<変形例1>
次に、図7を参照して、上述した実施形態の変形例1について説明する。図7は、本変形例1に係るシート給送装置53の強制移動機構19等を示す断面図である。なお、変形例1では、上述した実施形態と同一の部材には同一符号を付すと共に、構成、機能が同じものについてはその説明を省略する。
本変形例1では、上述した実施形態における図4(a)〜(c)で説明した構成と基本的部分は同様であるが、強制移動機構(移動手段)19には、引っ張りバネ44ではなく、ゼンマイ部材70を配置して構成している。即ち、駆動プーリ40と従動プーリ46とに張架されたタイミングベルト41の第1シート収納部側に、駆動プーリ40に設けられた不図示のギヤ部に噛合する伝達ギヤ71を配置し、伝達ギヤ71に、ゼンマイ部材70が巻き付けられたギヤ部を噛合している。
以上の構成により、上述した実施形態と同様、回転する駆動プーリ40で回転させられるタイミングベルト41により、シート束移動部材37を第2シート収納部28a側から第1シート収納部28b側に向けて移動させることができる。この際、伝達ギヤ71を介してゼンマイ部材70を回転させて、強制移動力をチャージすることができる。
このような構成の本変形例1における強制移動機構19によると、第2シート収納部側から第1シート収納部側へのシート束移動部材37の移動に連動して回転することで、ゼンマイ部材70により強制移動力をチャージすることができる。そして、給紙カセット93が装着空間15から引き出されたとき、伝達手段による負荷が低減された状態で、シート束移動部材37をゼンマイ部材70により第2シート収納部28a側に移動させることができる。
以上の本変形例1によると、給紙カセット93が装置本体201aから引き出されると、装置本体201a側の駆動伝達カップリング49から給紙カセット93側の被駆動カップリング48が離脱して、駆動モータ50からの駆動力が解除される。これにより、フリーになったゼンマイ部材70が逆方向に回転することで、駆動プーリ40が矢印B方向に回転させられ、タイミングベルト41の下部が矢印C方向に移動させられ、シート束移動部材37が矢印D方向に移動させられる。これにより、シート束移動部材37が第2シート収納部側のホームポジションに向かって瞬時に移動するので、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本変形例1では、図7に実線で示されるホームポジションのシート束移動部材37に対し、ゼンマイ部材70による強制移動力を予め多めに巻いておくことが可能である。これにより、シート束移動部材37を第1シート収納部側に移動させた後、給紙カセット93を装置本体201aから引き出した際、ゼンマイ部材70による強制移動力でシート束移動部材37を、図7のホームポジションに一気に復帰させることが可能になる。
これに対し、ゼンマイ部材70による強制移動力を予め多めに巻いておかない場合には、シート束移動部材37が図7における二点鎖線の中間位置までしか戻らないことも考えられる。しかしこの場合も、シート束移動部材37を第2シート収納部側(の中間部)までは移動できるので、シート束移動部材37が第2シート収納部側に戻れない状態のままで間違ってシート束をシート束移動部材の図7左側にセットするような問題は生じなくなる。
<変形例2>
次に、図8を参照して、上述した実施形態の変形例2について説明する。図8は、変形例2に係るシート給送装置53の強制移動機構19等を示す断面図である。なお、変形例2では、上述した実施形態と同一の部材には同一符号を付すと共に、構成、機能が同じものについてはその説明を省略する。
本変形例2では、上述した実施形態における図4(a)〜(c)で説明した構成と基本的部分は同様であるが、強制移動機構(移動手段)19には、引っ張りバネ44ではなく、錘部材としてのウェイト79を配置して構成している。即ち、駆動プーリ40と従動プーリ46とで張架されたタイミングベルト41の第1シート収納部側にて、駆動プーリ40の駆動シャフト40aの端部側にワイヤ80の一端が巻き付け可能に固定されている。そして、このワイヤ80の他端が、回転軸73aで回転可能に支持されたプーリ73を経由して、所定重さのウェイト(錘部材)79に取り付けられている。これにより、ウェイト79が自重で矢印E方向に落下する際に、駆動シャフト40aが矢印B方向に回転させられて、シート束移動部材37がホームポジションへ戻る矢印D方向に移動させられる。
以上の構成により、上述した実施形態と同様、回転する駆動プーリ40で回転させられるタイミングベルト41により、シート束移動部材37を第2シート収納部28a側から第1シート収納部28b側に向けて移動させることができる。この際、駆動シャフト40aにワイヤ80を巻き付けながらウェイト79を上昇させて、強制移動力をチャージすることができる。
このような構成の本変形例2における強制移動機構19によると、第2シート収納部側から第1シート収納部へのシート束移動部材37の移動に連動して上昇するウェイト79により、強制移動力を位置エネルギーとしてチャージすることができる。そして、給紙カセット93が装着空間15から引き出されたとき、伝達手段18による負荷が低減された状態で、シート束移動部材37を、一気に下降するウェイト79による強制移動力で第2シート収納部側に移動させることができる。
以上の本変形例2によると、給紙カセット93が装置本体201aから引き出されると、装置本体201a側の駆動伝達カップリング49から給紙カセット93側の被駆動カップリング48が離脱して、駆動モータ50からの駆動力が解除される。これにより、フリーになったウェイト(錘部材)79が自重で落下することで、駆動プーリ40が矢印B方向に回転させられ、タイミングベルト41の下部が矢印C方向に移動させられ、シート束移動部材37が矢印D方向に移動させられる。これにより、シート束移動部材37が第2シート収納部側のホームポジションに向かって瞬時に移動するので、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、以上説明した実施形態並びに変形例1、2では、駆動伝達カップリング49から被駆動カップリング48が離脱するとシート束移動部材37が第2シート収納部側に強制的に移動させられる構成について説明した。しかし、この構成に限らず、以下のようにすることも可能である。例えば、チャージ部材43を駆動する不図示のモータやギヤ列等の駆動手段を給紙カセット93側に設け、装置本体201a側から不図示のコネクタ等を介してモータに電力供給を行うように構成する。そして、コネクタを介した電力供給(伝達)が途切れた際にモータやギヤ列等がフリーになることで、シート束移動部材37が第2シート収納部28aに向かって移動する構成とすることも可能である。なお、この場合、給紙カセット93側に設けるモータには、コギングトルク等を発生しない通常のDCモータを用いることが好ましい。以上の構成によっても、前述した実施形態並びに変形例1、2と略同様の効果を奏することが可能である。