実施の形態1.
本発明の実施の形態1に係るゲート駆動回路及びゲート駆動回路を備えた表示パネルを図1〜8により説明する。図において、同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものであり、このことは、明細書の全文において共通することである。
表示パネルは、例えば液晶表示パネルであって、偏光フィルタ、カラーフィルタ基板、液晶層、及びアレイ基板を有し、液晶表示パネルとバックライトとを組み合わせて液晶表示装置として製品化される。
図1は本発明の実施の形態1に係る液晶表示パネルにおけるアレイ基板P10上に形成された電気回路の模式図である。図1において、黒丸は配線同士が短絡していることを示す。なお、図1において、配線が十文字に交わり交差している箇所であっても、黒丸で示していない箇所は、配線同士は短絡しておらず、このことは他の図においても共通することである。また、図1に示すXY座標は、方向を表すために便宜上設けたものであり、他の図においても同様である。後述する水平解像度はX方向の解像度と対応しており、垂直解像度はY方向の解像度と対応している。
図1に示すアレイ基板P10は、ゲート駆動回路P101、ソース回路P102、ゲート配線P111、ソース配線P112、画素トランジスタP122、及び画素キャパシタP121を有する。アレイ基板P10には、画素がマトリックス状に配置されている。ここで、画素は映像又は画像の表示のための基本単位であって、赤、緑、及び青の3つのドットが1つの画素として、液晶表示装置で表示される。なお、1つの画素に含まれる、赤、緑、及び青のそれぞれのドットはサブ画素と呼ばれる。
ゲート配線P111はX方向に長い配線であり、液晶表示パネルP1(図2に示す)の垂直解像度に対応する数の配線がY方向に複数並べられている。ソース配線P112はY方向に長い配線であり、液晶表示パネルP1の水平解像度に対応する数の配線がX方向に複数並べられている。ゲート駆動回路P101は複数のゲート配線P111と接続され、また、1本のゲート配線P111には複数の画素トランジスタP122が接続されている。ソース回路P102は複数のソース配線P112と接続され、また、1本のソース配線P112には複数の画素トランジスタP122が接続されている。画素トランジスタP122は、3端子のトランジスタである。画素トランジスタP122のゲート端子はゲート配線P111に、ソース端子はソース配線P112に、ドレイン端子は画素キャパシタP121に、それぞれ接続されている。
また、本願における画素トランジスタP122及びゲート駆動回路P101を構成するトランジスタは、例えば、アモルファス酸化物半導体の一種であるインジウム、ガリウム、亜鉛、及び酸素を有する酸化物半導体を用いて構成される。さらに、本発明に係る画素トランジスタP122及び駆動回路のトランジスタは、いわゆるFET(Field Effect Transistor)と呼ばれる電界効果トランジスタである。
図2は、本発明の実施の形態1に係る液晶表示パネルP1の構成の一部を説明する模式図である。図2では、図1のアレイ基板P10における領域Aを拡大し、また領域Aにおけるアレイ基板P10と対向するカラーフィルタ基板P11を表示している。液晶表示パネルP1において、2枚のガラス基板であるカラーフィルタ基板P11及びアレイ基板P10で挟まれた液晶層に液晶が充填され、2枚のガラス基板にはそれぞれ透明電極P12、P13が設けられている。液晶表示パネルP1の液晶は、両側に設けられている透明電極P12、P13に加わる電位差によって液晶配向が制御されている。そして、液晶表示パネルP1は、バックライト(図示せず)から受ける光の偏光角度を制御することで、画素の階調を制御している。画素キャパシタP121は、ソース回路P102から出力される電圧により充電される。そして、各画素の液晶には、画素キャパシタP121による電圧が加わり、画素の階調が保たれる。
また、ゲート駆動回路P101は、酸化物半導体で構成されたトランジスタであり、アレイ基板P10上に直接積層して形成される。それゆえ、ICチップなどで形成されたゲート駆動回路を別途ガラス基板に取り付けるより、液晶表示パネルP1においてゲート駆動回路P101が占める面積を従来より小さくすることができる。よって、映像又は画像の表示面積を、従来より大きくできる効果が得られる。
ゲート駆動回路P101は、各画素の階調を更新するための電圧を出力し、例えば毎秒1〜240回の頻度で階調を更新する。ゲート駆動回路P101は複数のゲート配線P111と接続する。詳細は後述するが、ゲート駆動回路P101が有する複数の単位ゲート駆動回路は、各々のゲート配線P111とそれぞれ接続しており、単位ゲート駆動回路は画素の更新を行う電圧を出力する。また、ゲート駆動回路P101から出力された電圧は、それぞれのゲート配線P111を通じて複数の画素トランジスタP122に伝達される。
画素トランジスタP122は、ゲート端子に電圧が加えられることにより、ソース−ドレイン端子間を電流が流れる導通状態と、ソース−ドレイン端子間を電流が流れない不導通状態とに切り替えることができる。ソース−ドレイン端子間を導通状態とするオン電圧とソース−ドレイン端子間を不導通状態とするオフ電圧は、使用する酸化物半導体の特性、及び液晶表示パネルP1の設計事項に応じて決定される。例えば、オン電圧とオフ電圧は、オン電圧がオフ電圧より20[V]程度高い電圧となるように設定される。
ゲート駆動回路P101は、−Y方向から順番に1線ずつゲート配線P111に電圧が加えられることで、X方向にある画素を1ラインずつ同時に更新することができる。ソース回路P102は、オン電圧が加えられて階調更新状態にあるゲート配線P111の全画素を更新する。このようにすることで、1本のゲート配線P111に沿って設けられた複数の画素の階調を同時に更新することができ、+Yに向かって順次更新して行くことで、液晶表示パネルP1の全画素の階調を更新することができる。
図3は、本発明の実施の形態1に係るゲート駆動回路P101の回路構成を示す模式図である。また、図4は、本発明の実施の形態1に係る単位ゲート駆動回路G10の回路構成を示す図である。
図3及び図4に示すように、本発明の実施の形態1に係るゲート駆動回路P101は、単位ゲート駆動回路G10、ゲート出力配線G101、スタート信号配線G102、クロック配線G103、第1オフ電圧配線G104、及び第2オフ電圧配線G105を有している。また、クロック配線G103は、複数の配線から構成されており、ここでは第1クロック配線G103a、第2クロック配線G103b、及び第3クロック配線G103cの3つの配線からなる場合を例示している。なお、クロック配線G103の本数は2本又は4本以上であってもよい。
単位ゲート駆動回路G10は、液晶表示パネルP1の垂直解像度に対応する数だけ配列されている。つまり、単位ゲート駆動回路G10は、液晶表示パネルP1のY方向の画素数と同じ数だけ配列されている。図3では、代表的に4つの単位ゲート駆動回路G1、G2、G3、G4を例示している。実際の液晶表示パネルP1では、単位ゲート駆動回路G10は数百から数千連なって形成されている。また、図3に示すように、クロック配線G103が3つの配線で構成されている場合、ゲート駆動回路P101は、Y方向に隣り合う3つの単位ゲート駆動回路G10を1つのまとまりとして、繰り返し形成される。図3では、例えば、単位ゲート駆動回路G1、G2、G3を1つのまとまりとして、繰り返し形成される。
なお、図3の最上部に示す単位ゲート駆動回路G1は、最も−Y方向にある単位ゲート駆動回路G10であり、この最上部の単位ゲート駆動回路G1の位置を1段目とする。以降、最上部の単位ゲート駆動回路G1を基準として、+Y方向に段数が増えるよう単位ゲート駆動回路G10をカウントすることで、どの単位ゲート駆動回路G10かを特定することができる。
本発明の実施の形態1において、第1クロック配線G103a及び第2クロック配線G103bと接続する単位ゲート駆動回路G10は、3n−2段目にある。nは自然数である。また、第2クロック配線G103b及び第3クロック配線G103cと接続する単位ゲート駆動回路G10は、3n−1段目にある。第3クロック配線G103c及び第1クロック配線G103aと接続する単位ゲート駆動回路G10は、3n段目にある。
なお、図4では、3n−2段目の単位ゲート駆動回路G10の回路構成を例示しているが、3n−1段目の単位ゲート駆動回路G10の回路構成、及び3n段目の単位ゲート駆動回路G10の回路構成と同様の回路構成である。つまり、各段の単位ゲート駆動回路G10から外に伸びる配線は、クロック配線との接続において異なる場合があるが、単位ゲート駆動回路G10内の回路構成は何れも同様である。
ゲート出力配線G101は、ゲート配線P111とそれぞれ接続されている。また、単位ゲート駆動回路G10は、ゲート出力配線G101と接続しているゲート配線P111に対し、画素の階調を更新するためのオン電圧を画素の更新のタイミングで出力する。
なお、ゲート駆動回路P101を構成するY方向に並べられた単位ゲート駆動回路G10のうち、最上部の単位ゲート駆動回路G1及び最下部の単位ゲート駆動回路(図示せず)が出力する電圧波形は、安定しない場合がある。そこで、液晶表示パネルP1の垂直解像度に対応する数を超える数の単位ゲート駆動回路G10を備え、両端の単位ゲート駆動回路G10について、少なくとも一方をゲート配線P111に接続しないようにしてもよい。このようにすることで、単位ゲート駆動回路G10が出力する電圧波形を安定化させることができる。
スタート信号配線G102は、一端が単位ゲート駆動回路G10のゲート出力配線G101に接続され、他端が+Y方向に隣り合う単位ゲート駆動回路G10の第4配線GN4に接続される。単位ゲート駆動回路G10が電圧を出力すると、ゲート出力配線G101及びスタート信号配線G102を通じて、+Y方向に隣り合う単位ゲート駆動回路G10に電圧が伝わり、更新のタイミングを+Y方向に隣り合う単位ゲート駆動回路G10に伝達する。
なお、詳細は後述するが、+Y方向に隣り合う単位ゲート駆動回路G10に電圧が入力されると、入力された電圧及びクロック配線G103から加えられる周期的な電圧に基づき、+Y方向に隣り合う単位ゲート駆動回路G10はゲート出力配線G101を通じてゲート配線P111に画素の階調を更新するためのオン電圧を出力する。また、最上部の単位ゲート駆動回路G1に対しては、外部のコントロール回路G107と最上部の単位ゲート駆動回路G1とを結ぶスタート信号配線G102が、別途設けられている。
液晶表示パネルP1の各画素の階調の更新は、+Y方向に向かって液晶表示パネルP1の最上部の単位ゲート駆動回路G1から順に行われる。そして、単位ゲート駆動回路G10は、ゲート出力配線G101及びスタート信号配線G102を通じて画素の階調の電圧を、隣り合う+Y方向の単位ゲート駆動回路G10に対して出力する。なお、ゲート駆動回路P101のうち、最上部の単位ゲート駆動回路G1に対しては、例えば、外部のコントロール回路G107から画素の階調の更新を開始するスタート信号電圧を受け、更新が開始する。
第1オフ電圧配線G104は、各単位ゲート駆動回路G10と接続する。また、第1オフ電圧配線G104は、外部のコントロール回路G107により第1オフ電圧に保たれている。
第2オフ電圧配線G105は、各単位ゲート駆動回路G10と接続する。また、第2オフ電圧配線G105は、外部のコントロール回路G107により第2オフ電圧に保たれている。第2オフ電圧は、第1オフ電圧より低い電圧であり、例えば、第2オフ電圧は第1オフ電圧より20[V]程度の低い電圧とする。
本発明の実施の形態1に係る単位ゲート駆動回路G10は、第1トランジスタTr1、第2トランジスタTr2、第3トランジスタTr3、第4トランジスタTr4、キャパシタC1、ゲート出力配線G101、スタート信号配線G102、第2配線GN2、第3配線GN3、第4配線GN4、第1オフ配線GN5、及び第2オフ配線GN6を有する。
ここで、ゲート駆動回路P101が有するトランジスタは、酸化物半導体で構成された3端子のトランジスタである。トランジスタは、ゲート端子と2つの接続端子で構成されたソース−ドレイン端子とを有し、ゲート端子に対応するいわゆるボディ端子は存在しない構造のものを対象としている。そのため、トランジスタの電流値の制御は、ゲート端子に加わる電圧と、ソース−ドレイン端子の2つの接続端子に加わる電圧のうち低い方の電圧との電圧差、すなわち電位差によって制御される。
ゲート駆動回路P101に設けられたトランジスタにおいて、オン電圧は、ソース−ドレイン端子間を電流が流れる導通状態とするために設定された電圧である。また、第1オフ電圧は、ゲート駆動回路P101に設けられたトランジスタのソース−ドレイン端子間を不導通状態とするために設定された電圧である。ゲート駆動回路P101が有するトランジスタでは、ゲート端子に電圧が加わると、ソース−ドレイン端子の2つの接続端子のうち、電位が高い方から低い方に電流が流れる。2つの接続端子のうち何れの接続端子の電位が高くなるかは、状況により変化する。それゆえ、ゲート駆動回路P101が有するトランジスタのソース−ドレイン端子間では、電流が双方向に流れる。
第1オフ配線GN5は、一端が第1オフ電圧配線G104と接続されるため、配線に加わる電圧が第1オフ電圧に保たれる。また、第1オフ配線GN5は、他端が第2トランジスタTr2のソース−ドレイン端子の一方と接続される。
第2オフ配線GN6は、一端が第2オフ電圧配線G105と接続されるため、配線に加わる電圧が第1オフ電圧より低い第2オフ電圧に保たれる。また、第2オフ配線GN6は、他端が第4トランジスタTr4のソース−ドレイン端子の一方と接続される。
ゲート出力配線G101は、第1トランジスタTr1のソース−ドレイン端子の一方、及び第2トランジスタTr2のソース−ドレイン端子の他方に接続される。また、ゲート出力配線G101は、電荷を保持するキャパシタC1の接続端子の一方、スタート信号配線G102、及びゲート配線P111と接続される。
第1配線GN1は、第3トランジスタTr3のソース−ドレイン端子の一方、第4トランジスタTr4のソース−ドレイン端子の他方、及びキャパシタC1の接続端子の他方と接続される。また、第1配線GN1は、途中で配線が分岐し、分岐した配線は第1トランジスタTr1のゲート端子に接続されている。
第2配線GN2は、第2トランジスタTr2のゲート端子、第4トランジスタTr4のゲート端子、及びクロック配線G103に接続されている。なお、第2配線GN2は、クロック配線G103のうち、第1クロック配線G103a、第2クロック配線G103b、及び第3クロック配線G103cの何れか1つと接続されている。ここでは、第2配線GN2は、第2クロック配線G103bと接続され、第2トランジスタTr2及び第4トランジスタTr4のソース−ドレイン端子間を導通状態とする電圧として、第2クロック配線G103bから第1オフ電圧を超える電圧であるオン電圧が周期的に入力される。
第3配線GN3は、一端が第1トランジスタTr1のソース−ドレイン端子の他方と接続され、他端がクロック配線G103に接続される。なお、第3配線GN3の他端は、第1クロック配線G103a、第2クロック配線G103b、及び第3クロック配線G103cの何れか1つと接続されている。また、第2配線GN2と第3配線GN3とは、クロック配線G103のうち異なる配線に接続される。ここでは、第3配線GN3の他端は、第1クロック配線G103aと接続されている。第3配線GN3は、第1クロック配線G103aから第1オフ電圧を超える電圧であるオン電圧が周期的に入力される。
第4配線GN4は、一端が−Y方向に隣り合う単位ゲート駆動回路G10のゲート出力配線G101と接続されており、他端が第3トランジスタTr3のソース−ドレイン端子の他方と接続されている。第4配線GN4は、途中で配線が分岐し、分岐した配線は第3トランジスタTr3のゲート端子に接続されている。なお、第4配線GN4は、−Y方向に隣り合う単位ゲート駆動回路G10のスタート信号配線G102に接続された配線である。
図5は、本発明の実施の形態1に係るゲート駆動回路P101の出力のタイミングを説明するタイミングチャートである。図5(a)〜図5(d)において、いずれの開始時刻も同一であるものとする。図5(a)はスタート信号電圧の波形を示す。ここで、最上部の単位ゲート駆動回路G1を第1単位ゲート駆動回路G1と呼び、+Y方向に向かって順に第2単位ゲート駆動回路G2、及び第3単位ゲート駆動回路G3と呼ぶこととする。図5(b)は第1単位ゲート駆動回路G1のゲート出力配線G101の電圧波形を示し、図5(c)は第2単位ゲート駆動回路G2のゲート出力配線G101の電圧波形を示し、図5(d)は第3単位ゲート駆動回路G3のゲート出力配線G101の電圧波形を示す。なお、横軸は時間、縦軸は電圧を表している。また、ゲート出力配線G101の電圧が第1オフ電圧である期間を不活性期間、オン電圧である期間を活性期間と呼ぶ。
図5(a)より、外部のコントロール回路G107から第1単位ゲート駆動回路G1に加えられるスタート信号電圧は、不活性期間には第1オフ電圧であり、活性期間に予め定められた時間だけオン電圧となる矩形波である。また、図5(a)に示すスタート信号電圧の活性期間が終了すると、続いて図5(b)に示すように、第1単位ゲート駆動回路G1のゲート出力配線G101の電圧が、第1オフ電圧から予め定められた時間だけオン電圧になる。同様に、図5(b)の第1単位ゲート駆動回路G1のゲート出力配線G101の電圧の活性期間が終了すると、続いて図5(c)に示すように、第2単位ゲート駆動回路G2のゲート出力配線G101の電圧が、第1オフ電圧から予め定められた時間だけオン電圧になる。図5(c)の第2単位ゲート駆動回路G2のゲート出力配線G101の電圧の活性期間が終了すると、続いて図5(d)に示すように、第3単位ゲート駆動回路G3のゲート出力配線G101の電圧が、第1オフ電圧から予め定められた時間だけオン電圧になる。なお、図5(b)〜図5(d)に示すゲート出力配線G101の電圧は簡略化のため矩形波で示したが、実際には後述する図6(f)に示すように電圧の立ち上がり及び立ち上がりには一定の勾配がある。
また、第3単位ゲート駆動回路G3以降の+Y方向にある単位ゲート駆動回路G10に関しても、上記と同様である。つまり、単位ゲート駆動回路G10からのオン電圧が、+Y方向に隣り合う単位ゲート駆動回路G10に伝わることで、+Y方向に隣り合う単位ゲート駆動回路G10のゲート出力配線G101の電圧は、第1オフ電圧から予め定められた時間だけオン電圧となる。なお、予め定められた時間は、原則として、いずれも同じ長さの時間である。
また、活性期間の開始から終了までゲート出力配線G101がオン電圧を出力するため、ゲート配線P111と接続する画素トランジスタP122のゲート端子にはオン電圧が加わり、活性期間において画素トランジスタP122のソース−ドレイン端子間は導通状態となる。そして、ソース配線P112に電圧が加わると、導通状態にある画素トランジスタP122を通じて、画素キャパシタP121が充電され、一定の電圧を保持させることで各画素の階調の更新が行われる。
図6は、本発明の実施の形態1に係るゲート駆動回路P101における動作を説明するタイミングチャートである。図6の各波形において、横軸は時間であり、縦軸は電圧である。また、図6は、例として、最上部の単位ゲート駆動回路G1の動作を説明している。
図6(a)は、第1クロック配線G103aに加わる電圧の波形である第1クロック波形W201を示す。図6(b)は、第2クロック配線G103bに加わる電圧の波形である第2クロック波形W202を示す。図6(c)は、第3クロック配線G103cに加わる電圧の波形である第3クロック波形W203を示す。
第1クロック配線G103a、第2クロック配線G103b、及び第3クロック配線G103cは、外部のコントロール回路G107等に接続される。外部のコントロール回路G107は、図6(a)〜図6(c)にそれぞれ示すように、電圧が矩形波で表されたクロック波形を出力する。図6(a)〜図6(c)に示すように、矩形波は、予め定められた時間の長さである時間tだけオン電圧に保持され、その後に電圧が降下し、予め定められた時間の長さである時間T−tだけ第1オフ電圧となる。クロック波形は、予め定められた時間の長さである時間Tを1周期として、周期的にオン電圧と第1オフ電圧とを繰り返す。
1周期の長さを表す時間Tは、液晶表示パネルP1のフレームレート又は垂直画素数に基づいて決定される時間である。また、クロック配線G103が有する配線の数は、第1クロック配線G103a、第2クロック配線G103b、及び第3クロック配線G103cの3本である。そこで、クロック波形は、例えば、オン電圧に保持される予め定められた時間の長さである時間tが、1周期の長さを表す時間Tの3分の1とする。つまり、1周期の長さを表す時間Tをクロック配線G103が有する配線の数で等分された時間の長さに、時間tが設定されることで、第1クロック配線G103a、第2クロック配線G103b、及び第3クロック配線G103cのそれぞれがオン電圧になるタイミングを異なるようにすることができる。
なお、各クロック波形が単位ゲート駆動回路G10に入力されると、実際には単位ゲート駆動回路G10の回路特性により波形の立ち上がり、立下りに時間がかかり、完全な矩形にはならない。そこで、オン電圧に保持される予め定められた時間の長さである時間tは、1周期の長さを表す時間Tの3分の1未満であってもよい。1周期の長さを表す時間Tが、3分の1未満に設定されることで、ゲート駆動回路P101の回路において電圧の上昇に遅延が生じた場合であっても、回路の動作を安定させることができる。また、クロック配線G103が有する配線の数が3本より多い場合であっても同様である。1周期の時間の長さTに対し、クロック配線G103が有する配線の数で等分された時間の長さより、1周期のうちオン電圧となる時間の長さtを短い時間とすればよい。
図6(a)〜図6(c)より、第1クロック波形W201において、オン電圧から第1オフ電圧に変化すると、第2クロック波形W202は第1オフ電圧からオン電圧に変化する。同様に、第2クロック波形W202において、オン電圧から第1オフ電圧に変化すると、第3クロック波形W203は第1オフ電圧からオン電圧に変化する。そして、第3クロック波形W203において、オン電圧から第1オフ電圧に変化すると、第1クロック波形W201は第1オフ電圧からオン電圧に変化する。すなわち、第1クロック波形W201から第3クロック波形W203にかけて、順々にオン電圧となる電圧の変化が伝わるような形となる。なお、第1クロック波形W201、第2クロック波形W202、及び第3クロック波形W203のいずれか1つのクロック波形がオン電圧となっている場合、他のクロック波形は第1オフ電圧となっている。
1段目の単位ゲート駆動回路G1は、第3配線GN3が第1クロック配線G103aに接続されており、第2配線GN2が第2クロック配線G103bに接続されている。それゆえ、第3配線GN3に加わる電圧の波形は第1クロック波形W201であり、第2配線GN2に加わる電圧の波形は第2クロック波形W202である。なお、図6では1段目の単位ゲート駆動回路G1について例示しており、第3クロック波形W203は、最上部の単位ゲート駆動回路G1の動作には直接関わらない。第3クロック波形W203は、3n−1段目及び3n段目の単位ゲート駆動回路G10の動作に関わる。
図6(d)は、1段目の単位ゲート駆動回路G1における、第4配線GN4に加わる電圧の波形W204を示す。つまり、図6(d)では、外部のコントロール回路G107等から出力され、第4配線GN4に加わる電圧の波形W204を示している。なお、第4配線GN4に加わる電圧がオン電圧となる周期は、各画素の階調が更新される頻度、例えば前述した毎秒1〜240回の頻度である。
次に、本発明の実施の形態1に係るゲート駆動回路P101及びゲート駆動回路P101を備えた液晶表示パネルP1の動作を図6のタイミングチャートを用いて説明する。ここでは、1段目の単位ゲート駆動回路G1の動作を例示する、なお、3n+1段目、3n−1段目及び3n段目の単位ゲート駆動回路G10の動作もオン電圧が入力されるタイミングが異なるだけで基本的に同様である。ここで、初期状態として、単位ゲート駆動回路G10の第2オフ配線GN6及び第2配線GN2は第2オフ電圧に保たれているものとする。また、第2オフ配線GN6及び第2配線GN2を除く、ゲート出力配線G101、第1配線GN1〜第4配線GN4、及び第1オフ配線GN5は、第1オフ電圧に保たれているものとする。
図6(a)の第1クロック波形W201より、オン電圧が第3配線GN3に加わったとしても、第1トランジスタTr1のゲート端子が第2オフ電圧であるため、第1トランジスタTr1のソース−ドレイン端子間は不導通状態である。ゆえに、ゲート出力配線G101は第1オフ電圧に保たれる。
図6(a)の第1クロック波形W201がオン電圧から第1オフ電圧に変化し、図6(b)の第2クロック波形W202が第1オフ電圧からオン電圧に変化すると、第2トランジスタTr2及び第4トランジスタTr4のゲート端子が、オン電圧となる。すると、第2トランジスタTr2及び第4トランジスタTr4のソース−ドレイン端子間が導通状態となる。しかしながら、第1オフ配線GN5は第1オフ電圧に保たれているため、ゲート出力配線G101に加わる電圧も第1オフ電圧のまま保持される。同様に、第2オフ配線GN6は第2オフ電圧に保たれているため、第1配線GN1に加わる電圧も第2オフ電圧のまま保持される。
図6(b)の第2クロック波形W202がオン電圧から第1オフ電圧に変化し、図6(d)の第4配線GN4に加わる電圧が第1オフ電圧からオン電圧に変化すると、第3トランジスタTr3のゲート端子が、オン電圧となる。すると、第3トランジスタTr3のソース−ドレイン端子間が導通状態となる。一方で、第4トランジスタTr4のゲート端子は、第1オフ電圧であるため、第3トランジスタTr3のソース−ドレイン端子間が不導通状態である。すると、第1配線GN1は、第2オフ電圧からオン電圧に変化する。
次に、図6(d)の第4配線GN4に加わる電圧がオン電圧から第1オフ電圧に変化し、図6(a)の第1クロック波形W201が第1オフ電圧からオン電圧に変化する。すると、第1トランジスタTr1のゲート端子がオン電圧に保たれており、第1トランジスタTr1のソース−ドレイン端子間が導通状態であることから、ゲート出力配線G101に加わる電圧が第1オフ電圧からオン電圧まで上昇する。加えて、キャパシタC1は一方の端子がゲート出力配線G101と接続し、他方の端子が第1配線GN1と接続している。それゆえ、ゲート出力配線G101に加わる電圧が第1オフ電圧からオン電圧に変化するに連れて、第1配線GN1の電圧がオン電圧以上に持ち上げられ、オン電圧の2倍程度の電圧であるブースト電圧に変化する。
第1配線GN1に加わる電圧は、ブースト電圧となることで、第1トランジスタTr1のソース−ドレイン端子間で流れることが可能な電流が増加し、引いてはゲート出力配線G101を流れる電流が増加する。ゲート配線P111は、配線長が長いことから比較的大きな寄生容量と抵抗値を持つが、ゲート配線P111と接続するゲート出力配線G101への電流が増加することで、ゲート配線P111に加わる電圧はオン電圧まで素早く上昇することができる。
そして、図6(a)のゲート出力配線G101に加わる電圧がオン電圧から第1オフ電圧に変化し、図6(b)の第2クロック波形W202が第1オフ電圧からオン電圧に変化すると、第2トランジスタTr2及び第4トランジスタTr4のゲート端子がオン電圧となる。すると、第2トランジスタTr2及び第4トランジスタTr4のソース−ドレイン端子間が導通状態となり、ゲート出力配線G101に加わる電圧は第1オフ電圧に変化し、第1配線GN1に加わる電圧は第2オフ電圧に変化する。
ここで、第2トランジスタTr2のソース−ドレイン端子間が導通状態になると、ゲート出力配線G101と第1オフ配線GN5とが導通するため、ゲート出力配線G101に加わる電圧が第1オフ電圧まで下がることを第1オフ配線GN5で補助的に助けることができる。つまり、第1配線GN1の電圧が、第1トランジスタTr1のソース−ドレイン端子間を導通状態に保つことができる電圧である間に、ゲート出力配線G101に加わる電圧が早期に第1オフ電圧まで下がるようにすることができる。なお、第1クロック波形W201が第1オフ電圧に変化したときから、第1配線GN1の電圧が第2オフ電圧へと変化するまでに掛かる時間によって、ゲート出力配線G101に加わる電圧が第1オフ電圧まで降下する速度が決まる。
また、その後も、図6(a)の第1クロック波形W201及び図6(b)の第2クロック波形W202が、交互にオン電圧に変化することで、第1オフ電圧がゲート出力配線G101に加わり、第2オフ電圧が第2配線GN2に加わる。これにより、ゲート出力配線G101に加わる電圧が第1オフ電圧に保持され、第2配線GN2に加わる電圧が第2オフ電圧に保持される。
なお、ここでは1段目の単位ゲート駆動回路G1における入力電圧波形及び出力電圧波形を説明した。3n+1段目、3n−1段目及び3n段目の単位ゲート駆動回路G10においては、図6(f)に示すゲート出力配線G101から出力される電圧波形が、スタート信号配線G102を介して+Y方向に隣接する単位ゲート駆動回路G10の第4配線GN4に入力される電圧波形となる。
3n−1段目の単位ゲート駆動回路G10は、第3配線GN3が第2クロック配線G103bと接続し、第2配線GN2が第3クロック配線G103cと接続する。それゆえ、3n−1段目の単位ゲート駆動回路G10の第4配線GN4に加わる電圧の波形は、第1クロック波形W201と同様のタイミングで第1オフ電圧からオン電圧に変化し、その後オン電圧から第1オフ電圧に変化する。また、3n段目の単位ゲート駆動回路G10は、第3配線GN3が第3クロック配線G103cと接続し、第2配線GN2が第1クロック配線G103aと接続する。それゆえ、3n段目の単位ゲート駆動回路G10の第4配線GN4に加わる電圧の波形は、第2クロック波形W202と同様のタイミングで第1オフ電圧からオン電圧に変化し、その後オン電圧から第1オフ電圧に変化する。
次に、酸化物半導体で構成されたトランジスタの特性について説明する。酸化物半導体で構成されたトランジスタは、閾値電圧以上の電圧が加わる場合はトランジスタのソース−ドレイン端子間を流れる電流が急激に増加し、閾値電圧未満の電圧が加わる場合はトランジスタのソース−ドレイン端子間を流れる電流がほぼゼロになる。なお、トランジスタに加わる電圧は、ゲート端子に加わる電圧と、ソース−ドレイン端子の2つの接続端子に加わる電圧のうち低い方の電圧との電位差である。
ここで、酸化物半導体で構成されたトランジスタは、例えば、製造プロセスの変更、又は製造ロットの違い等による初期特性のばらつきにより、閾値電圧が通常より低い場合がある。また、酸化物半導体で構成されたトランジスタは、電圧バイアスストレス又は温度の影響等により閾値電圧が低下する場合がある。
なお、電圧バイアスストレスによる閾値電圧の低下の一因は、第3配線GN3と接続する第1トランジスタTr1のソース−ドレイン端子の他方に、第1クロック配線G103aからオン電圧が繰り返し加わることで生じる。それゆえ、例えば、クロック配線G103が有する配線の数を3本以上とすることで、第1トランジスタTr1のソース−ドレイン端子の他方にオン電圧が加わる周期Tを長くし、電圧バイアスストレスによる第1トランジスタTr1の閾値電圧の低下を抑制することもできる。
次に、図7(a)〜図7(c)に、閾値電圧が異なるトランジスタの例を示す。図7は、酸化物半導体で構成されたトランジスタの閾値電圧Vth[V]の変化を説明する図である。図7の横軸はトランジスタのゲート端子に加わる電圧から、ソース−ドレイン端子の2つの接続端子に加わる電圧のうち低い方の電圧を引いた電位差Vg[V]であり、縦軸はソース−ドレイン端子間を流れる電流値Id[A]である。
なお、図7は片対数グラフであり、縦軸が対数スケールで表されている。また、図7に描かれている曲線は、電位差Vgに応じた、ソース−ドレイン端子間に流れる電流値Idの変化を示す特性曲線である。原点の値は、縦軸の電流値Idが1[A]であり、横軸の電位差Vgが0[V]である。
また、閾値電圧Vthより電位差Vgが小さい場合、流れる電流値Idは1より十分小さいオフ電流値であり、トランジスタを不導通状態にすることができる。そして電位差Vgが閾値電圧Vthを超えると、急激に電流値Idが増加し、ソース−ドレイン端子間を導通状態とする。例えば、あるトランジスタのソース−ドレイン端子の何れか一方の接続端子にオン電圧が加わり、他方の接続端子が第1オフ電圧であった場合に、係るトランジスタを不導通状態とするためには、ゲート端子に加わる電圧と第1オフ電圧との電位差Vgが閾値電圧Vthより小さい必要がある。
例えば、トランジスタのソース−ドレイン端子の何れか一方の接続端子とゲート端子に、第1オフ電圧が加わっていることを想定する。図7(a)に示すトランジスタの特性曲線CH101では、閾値電圧Vthが0より十分に大きい。それゆえ、電位差Vgが0[V]であったとしても、電流値Idは十分に小さいオフ電流値を維持することができる。一方で、図7(b)に示すトランジスタの特性曲線CH102では、閾値電圧Vthが0[V]である。それゆえ、例えばトランジスタの接続端子に加わる電圧にノイズ等による乱れがあると電位差Vgが閾値電圧Vthを超え、トランジスタのソース−ドレイン端子間を導通状態にしてしまう場合がある。さらに、図7(c)に示すトランジスタの特性曲線CH103では、閾値電圧Vthが0より小さい値であるため、電流値Idがオフ電流値にならず、トランジスタのソース−ドレイン端子間を不導通状態に保つことができない。
従来のゲート駆動回路P101におけるゲート出力配線G101の電圧変動について図8を用いて説明する。図8は、従来のゲート駆動回路P101におけるゲート出力配線G101の電圧変動を説明するためのタイミングチャートである。図8(a)は第1クロック波形W201を示し、図6(a)と同様の図である。図8(b)は、従来のゲート駆動回路P101におけるゲート出力配線G101の電圧変動を示す図である。ゲート出力配線G101及び第1配線GN1の電圧は第1オフ電圧であるものとする。すなわち、第1トランジスタTr1のゲート端子及びソース−ドレイン端子間の一方には、第1オフ電圧が加わっているものとする。
上述のとおり、トランジスタの初期特性として閾値電圧が低い場合や、電圧バイアスストレス又は温度の影響等により閾値電圧が低下し、第1トランジスタTr1の特性曲線が図7(c)に示す特性曲線CH103である場合を想定する。それゆえ、第1トランジスタTr1の閾値電圧Vthは0[V]より小さい値である。すると、第1トランジスタTr1の電位差Vgが0[V]であると、第1トランジスタTr1のソース−ドレイン端子間を不導通状態に保つことができず、図8に示すように、第3配線GN3がオン電圧に変化すると第1トランジスタTr1のソース−ドレイン端子間を電流が流れる。そして、ゲート出力配線G101に加わる電圧が第1オフ電圧より大きい電圧となってしまう。つまり、画素を更新するためにゲート出力配線G101からオン電圧を出力する本来の更新のタイミング以外のタイミングで、第1オフ電圧より高い電圧がゲート出力配線G101から出力されてしまう。
また、第1トランジスタTr1が、図7(b)に示すトランジスタの特性曲線CH102であったとしても、例えば第1トランジスタTr1のゲート配線に、ノイズ等の影響で第1オフ電圧以上の電圧が加われば、電位差Vgが0[V]より大きくなる。それゆえ、同様に第1トランジスタTr1のソース−ドレイン端子間を不導通状態に保つことができず電流が流れ、ゲート出力配線G101に加わる電圧が第1オフ電圧より大きい電圧となってしまう。
第1トランジスタTr1のソース−ドレイン端子間が導通状態となり、第1クロック配線G103aからオン電圧が入力されると、ゲート出力配線G101と接続するゲート配線P111を通じて、各画素のトランジスタのゲート端子に第1オフ電圧以上の電圧が加わる。それゆえ、画素キャパシタP121の電圧が変化してしまう。すると、画素を更新する本来の更新タイミング以外のタイミングで、ゲート出力配線G101から第1オフ電圧より大きい電圧が出力され画素の更新が行われる場合がある。よって、液晶表示パネルP1に表示される映像又は画像に、にじみ又はぼやけといった画質の低下が起きてしまう。
本発明の実施の形態1に係るゲート駆動回路P101及びゲート駆動回路P101を備えた液晶表示パネルP1では、第2オフ電圧に保持された第2オフ配線GN6を設け、第4トランジスタTr4のソース−ドレイン端子間が導通状態になると第1配線GN1に加わる電圧を第2オフ電圧に保持することができる。すると、第1トランジスタTr1の閾値電圧Vthが0[V]付近であったとしても、第1トランジスタTr1の電位差Vgを閾値電圧Vthより十分に小さい値にすることができるため、第1トランジスタTr1のソース−ドレイン端子間を不導通状態に保つことができる。ゆえに、ゲート駆動回路P101からゲート配線P111に出力される出力波形を安定化させることができ、本来の更新タイミング以外のタイミングで、画素の更新が行われることを抑制できる。そのため、液晶表示パネルP1を有する液晶表示装置が表示する映像又は画像に、にじみ又はぼやけといった画質の低下が生じることを抑制することができる。
また、以上の説明では、表示パネルは液晶表示パネルP1である構成について説明した。しかし、これに限られるものではなく、表示パネルは、例えば有機EL(Electro Luminescence)パネル、又はPDP(Plasma Display Panel)などであってもよい。同様に、表示装置は液晶表示装置だけでなく、有機ELパネル、又はPDP(Plasma Display Panel)などの表示パネルを用いた表示装置であってもよい。
以上のとおり、本発明の実施の形態1におけるゲート駆動回路P101では、ゲート配線P111と接続する単位ゲート駆動回路G10を複数有するゲート駆動回路P101であって、単位ゲート駆動回路G10は、ゲート端子及び2つの接続端子で構成されたソース−ドレイン端子を有し、酸化物半導体で構成された第1トランジスタTr1と、ゲート端子及び2つの接続端子で構成されたソース−ドレイン端子を有し、酸化物半導体で構成された第2トランジスタTr2と、ゲート端子及び2つの接続端子で構成されたソース−ドレイン端子を有し、酸化物半導体で構成された第3トランジスタTr3と、ゲート端子及び2つの接続端子で構成されたソース−ドレイン端子を有し、酸化物半導体で構成された第4トランジスタTr4と、電荷を保持するキャパシタC1と、配線に加わる電圧が第1オフ電圧に保たれ、第2トランジスタTr2のソース−ドレイン端子の一方と接続される第1オフ配線GN5と、配線に加わる電圧が第1オフ電圧より低い第2オフ電圧に保たれ、第4トランジスタTr4のソース−ドレイン端子の一方と接続される第2オフ配線GN6と、第1トランジスタTr1のソース−ドレイン端子の一方、第2トランジスタTr2のソース−ドレイン端子の他方、キャパシタC1の接続端子の一方、及びゲート配線P111と接続されるゲート出力配線G101と、第1トランジスタTr1のゲート端子、第3トランジスタTr3のソース−ドレイン端子の一方、第4トランジスタTr4のソース−ドレイン端子の他方、及びキャパシタC1の接続端子の他方と接続される第1配線GN1と、第2トランジスタTr2のゲート端子、及び第4トランジスタTr4のゲート端子と接続され、第2トランジスタTr2及び第4トランジスタTr4のソース−ドレイン端子間を導通状態とする電圧が入力される第2配線GN2と、第1トランジスタTr1のソース−ドレイン端子の他方と接続され、第1オフ電圧を超えるオン電圧が入力される第3配線GN3とを備える。
このような構成によれば、酸化物半導体を用いたトランジスタの閾値電圧が0[V]付近の場合であっても、ゲート駆動回路P101からゲート配線P111に出力される出力波形を安定化させ、従来よりも画質の低下を抑制する効果が得られる。
また、本発明の実施の形態1におけるゲート駆動回路P101では、配線の電圧がオン電圧と第1オフ電圧とを交互に周期的に変化し、オン電圧になるタイミングがそれぞれ異なる3本以上の配線で構成されたクロック配線G103を備え、単位ゲート駆動回路は、第3配線GN3が、第1トランジスタTr1のソース−ドレイン端子の他方、及び前記クロック配線G103のうちの1つの配線と接続され、第2配線GN2は、第3配線GN3が接続するクロック配線G103の配線と異なるクロック配線の配線に接続される構成としてもよい。
このような構成によれば、クロック配線G103が有する配線の数を3本以上とすることで、第1トランジスタTr1のソース−ドレイン端子の他方にオン電圧が加わる周期Tを長くし、電圧バイアスストレスによる第1トランジスタTr1の閾値電圧の低下を抑制することができる。
また、本発明の実施の形態1におけるゲート駆動回路P101では、クロック配線G103が有する配線の周期的な電圧の変化における1周期の時間の長さTに対し、クロック配線G103が有する配線の数で等分された時間の長さより、1周期のうちオン電圧となる時間の長さtが短い時間である構成としてもよい。
このような構成によれば、ゲート駆動回路P101の回路において電圧の上昇に遅延が生じた場合であっても、回路の動作を安定させることができる。
また、本発明の実施の形態1における表示パネルでは、ゲート配線P111と接続する単位ゲート駆動回路G10を複数有するゲート駆動回路P101であって、単位ゲート駆動回路G10は、ゲート端子及び2つの接続端子で構成されたソース−ドレイン端子を有し、酸化物半導体で構成された第1トランジスタTr1と、ゲート端子及び2つの接続端子で構成されたソース−ドレイン端子を有し、酸化物半導体で構成された第2トランジスタTr2と、ゲート端子及び2つの接続端子で構成されたソース−ドレイン端子を有し、酸化物半導体で構成された第3トランジスタTr3と、ゲート端子及び2つの接続端子で構成されたソース−ドレイン端子を有し、酸化物半導体で構成された第4トランジスタTr4と、電荷を保持するキャパシタC1と、配線に加わる電圧が第1オフ電圧に保たれ、第2トランジスタTr2のソース−ドレイン端子の一方と接続される第1オフ配線GN5と、配線に加わる電圧が第1オフ電圧より低い第2オフ電圧に保たれ、第4トランジスタTr4のソース−ドレイン端子の一方と接続される第2オフ配線GN6と、第1トランジスタTr1のソース−ドレイン端子の一方、第2トランジスタTr2のソース−ドレイン端子の他方、キャパシタC1の接続端子の一方、及びゲート配線P111と接続されるゲート出力配線G101と、第1トランジスタTr1のゲート端子、第3トランジスタTr3のソース−ドレイン端子の一方、第4トランジスタTr4のソース−ドレイン端子の他方、及びキャパシタC1の接続端子の他方と接続される第1配線GN1と、第2トランジスタTr2のゲート端子、及び第4トランジスタTr4のゲート端子と接続され、第2トランジスタTr2及び第4トランジスタTr4のソース−ドレイン端子間を導通状態とする電圧が入力される第2配線GN2と、第1トランジスタTr1のソース−ドレイン端子の他方と接続され、第1オフ電圧を超えるオン電圧が入力される第3配線GN3と、ゲート駆動回路P101が基板上に形成されたガラス基板とを備える構成としてもよい。
このような構成によれば、酸化物半導体で構成されたトランジスタを有するゲート駆動回路P101がガラス基板上に直接積層して形成されるため、ICチップなどで形成されたゲート駆動回路を別途ガラス基板に取り付けるより、表示パネルにおいてゲート駆動回路P101が占める面積を従来より小さくすることができる。それゆえ、映像又は画像を表示する部分の面積を従来より大きくする効果が得られる。
実施の形態2.
本発明の実施の形態2に係るゲート駆動回路P101aを図9及び図10により説明する。なお、実施の形態1に係るゲート駆動回路P101においては、第4配線GN4が第3トランジスタTr3のソース−ドレイン端子の他方と第3トランジスタTr3のゲート端子とに接続されている構成を説明した。本発明の実施の形態2では、第4配線GN4が第3トランジスタTr3のゲート端子に接続され、別途設けられたオン配線GN7と第3トランジスタTr3のソース−ドレイン端子の他方とが接続された変形例について説明する。以下に実施の形態1と異なる点を中心に説明し、同一または対応する部分についての説明は適宜省略する。
図9は本発明の実施の形態2に係るゲート駆動回路P101aの回路構成を示す模式図である。図9に示すように、本発明の実施の形態2に係るゲート駆動回路P101aでは、外部のコントロール回路G107と接続されるオン電圧配線G106を別途設けている。ゲート駆動回路P101aが動作している間は、外部のコントロール回路G107からオン電圧配線G106にオン電圧が加えられており、オン電圧配線G106はオン電圧に保たれている。
図10は、本発明の実施の形態2に係る単位ゲート駆動回路G10aの回路構成を示す模式図である。第4配線GN4は、画素の更新の開始を指示するスタート信号が入力さる。図9及び図10に示すように、第4配線GN4の一端は第3トランジスタTr3のゲート端子と接続し、他端は−Y方向に隣接する単位ゲート駆動回路G10aのスタート信号配線G102に接続する。図10に示すように、オン配線GN7は、一端は第3トランジスタTr3のソース−ドレイン端子の他方と接続し、他端はオン電圧配線G106と接続し、オン電圧に保たれている。また、図9に示すように、各単位ゲート駆動回路G10aから伸びるオン配線GN7は、オン電圧配線G106にそれぞれ接続されている。
ここで、実施の形態1に係るゲート駆動回路P101では、第4配線GN4が、第3トランジスタTr3のゲート端子及びソース−ドレイン端子の他方に接続している。すると、−Y方向に隣接する単位ゲート駆動回路G10のゲート出力配線G101からスタート信号配線G102を介して更新を開始する電圧が出力され、第4配線GN4に伝わる。更新を開始する電圧が第3トランジスタTr3のゲート端子に加わることより、第3トランジスタTr3のソース−ドレイン端子間を導通状態とする。
しかしながら、第4配線GN4と第1配線GN1との電圧の上昇速度を比較すると、第1配線GN1の上昇速度は、第4配線GN4の上昇速度と比べ同等以下となってしまう。加えて、更新を開始する電圧は、図6(f)に示す波形であって、第1オフ電圧からオン電圧に変化する際に、直ちにオン電圧まで変化できず、僅かながら時間を要する。それゆえ、場合によっては第1配線GN1の電圧は、オン電圧まで上昇せず、ゲート駆動回路P101からゲート配線P111に出力される電圧もオン電圧より低くなる。そして、画素キャパシタP121への充電が十分に行われず、画質の劣化を招く恐れがある。
本発明の実施の形態2に係るゲート駆動回路P101aの動作は、基本的に実施の形態1に係るゲート駆動回路P101aの動作と同様である。
一方で、本発明の実施の形態2に係るゲート駆動回路P101aでは、第3トランジスタTr3のソース−ドレイン端子の他方はオン配線GN7を介してオン電圧配線G106と接続している。それゆえ、第3トランジスタTr3のソース−ドレイン端子間が導通状態になると、オン電圧に保たれているオン配線GN7の電圧によって、第1配線GN1における電圧の立ち上がり速度が決まる。
つまり、第1配線GN1の電圧の変化において、本発明の実施の形態1に係るゲート駆動回路P101における図6(e)に示す第2オフ電圧からオン電圧への変化と比べ、早期に第2オフ電圧からオン電圧に変化する。具体的には、第1配線GN1における電圧の立ち上がり速度は、図6(d)に示す外部のコントロール回路G107から入力された矩形波の電圧の立ち上がり速度と、同程度の立ち上がり速度となる。それゆえ、第1配線GN1の電圧がオン電圧まで上昇しないことを抑制でき、電圧の立ち上がりが安定する。
以上のとおり、本発明の実施の形態2に係るゲート駆動回路P101aによると、オン電圧に保たれているオン電圧配線G106を備え、単位ゲート駆動回路G10aは、第3トランジスタTr3のゲート端子に接続され、隣接する単位ゲート駆動回路G10aのゲート出力配線G101から出力された電圧が加わる第4配線GN4と、第3トランジスタTr3のソース−ドレイン端子の他方及びオン電圧配線G106に接続されるオン配線GN7とを有する。
このような構成によれば、第1配線GN1の電圧がオン電圧まで上昇しないことを抑制できるため、画素キャパシタP121への充電を十分に行うことができる。それゆえ、画素キャパシタP121への充電が十分に行われないことに起因する画質の劣化が生じることを抑制することができる。
なお、本発明は、発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせることや、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。また、以上のように本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限るものではない。