JP6658114B2 - 巻鉄心および巻鉄心の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、巻鉄心および巻鉄心の製造方法に関する。
巻鉄心は、リアクトルやフィルター、変圧器の磁心として用いられている。
従来、巻鉄心として、例えば、特許文献1〜特許文献4に記載のものがある。
特許文献1には、コーナ部における鉄心材の占積率がコーナ部を除く辺部における鉄心材の占積率よりも低くなっている巻鉄心が記載されている。特許文献1に記載の巻鉄心では、各鉄心材が形成する接合部が開いてしまうことを防止できることから、鉄損の増大を抑制できる。
特許文献2には、金属薄帯を積層させた後、歪取り焼鈍工程を経て巻鉄心を製造するに際し、歪取り焼鈍雰囲気の露点を0℃以下とすることにより、鉄損が低い巻鉄心を製造する技術が記載されている。
特許文献3には、鉄芯を構成する鋼板の表面に、鋼板の圧延方向に概垂直な線状、または点列状の歪みを、レーザ照射により、圧延方向に概一定の間隔で付与することにより、鉄損を低減する技術が記載されている。
特許文献4には、環状に折曲された長さの異なる複数の磁性鋼板を外周方向に重ね合わせて形成された巻鉄心が記載されている。
また、非特許文献1には、鋼板を所定の長さにせん断して円形に巻き取り、プレス加工により所定の形状にする巻鉄心の製造方法が記載されている。また、非特許文献1には、プレス加工により変形した部分の形状が一定の曲率ではない巻鉄心が記載されている。
特開2015−141930号公報 特開平10−256065号公報 特開2003−347128号公報 実用新案登録第3081863号公報
Insulation/Circuits July 1975「A Case for Die Formed Transformer Cores」
しかしながら、従来の巻鉄心では、より一層、鉄損を低減することが要求されていた。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、鉄損特性の良好な巻鉄心および巻鉄心の製造方法を提供することを課題とする。
[1]側面視環状の複数の方向性電磁鋼板が板厚方向に積層された巻厚40mm以上の巻鉄心であり、
内面側に配置された内側鉄心と、前記内側鉄心の外面側に配置された外側鉄心とからなり、前記内側鉄心の巻厚が、下記式(1)で示される内側寸法であり、
前記方向性電磁鋼板のうち前記内側鉄心を形成している方向性電磁鋼板は、双晶を含む金属組織で形成された側面視曲線状の複数の折曲部を有し、
前記外側鉄心は、前記内側鉄心よりも前記方向性電磁鋼板の占積率が高いことを特徴とする巻鉄心。
19*Ln(t)−54−0.05*t≦v≦19*Ln(t)−54+0.05*t・・・(1)
(式(1)において、vは内側寸法を示し、tは巻鉄心の巻厚を示し、Ln()は自然対数を底とした対数を示す。)
[2]前記内側鉄心における隣接する折曲部間の距離のうち最も短い距離が、6mm以上であることを特徴とする[1]に記載の巻鉄心。
[3]前記折曲部の曲率半径が0.1mm〜100mmであることを特徴とする[1]または[2]に記載の巻鉄心。
[4]前記内側鉄心を形成している方向性電磁鋼板が側面視で、直線部と外面方向に1つの頂点を有する曲線部とが交互に配置されてなる下記の式(2)を満たす曲げ形状を、4つ繋げた形状を有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の巻鉄心。
Φ×m(2≦m)=90°
(式(2)において、Φは曲線部を介して隣接する2つの直線部の延在方向の角度差を示し、mは曲線部の数を示す。)
[5][1]〜[4]のいずれかに記載の巻鉄心の製造方法であって、
帯状の複数の方向性電磁鋼板を、それぞれ折り曲げ加工して側面視環状の相似型に成型し、板厚方向に積層することにより、巻厚が下記式(1)で示される内側寸法である内側鉄心を形成する内側鉄心形成工程と、
帯状の方向性電磁鋼板を予め決定した長さにせん断して円形に巻き取り、プレス加工により側面視環状の形状に成型した後、歪取り焼鈍を行って外側鉄心を形成する外側鉄心形成工程と、
前記外側鉄心の中心に前記内側鉄心を填め込み、巻厚40mm以上の巻鉄心を形成する填め込み工程とを有する巻鉄心の製造方法。
19*Ln(t)−54−0.05*t≦v≦19*Ln(t)−54+0.05*t・・・(1)
(式(1)において、vは内側寸法を示し、tは巻鉄心の巻厚を示し、Ln()は自然対数を底とした対数を示す。)
[6]不活性ガス雰囲気中、700℃〜1000℃の温度で0.01〜30時間、前記折り曲げ加工後積層前の前記方向性電磁鋼板、前記外側鉄心の中心に填め込む前の前記内側鉄心、前記填め込み工程後の前記巻鉄心のいずれかを焼鈍する焼鈍工程を含む[5]に記載の巻鉄心の製造方法。
[7]前記方向性電磁鋼板の板温度を3℃以下もしくは200℃以上として、前記折り曲げ加工を行う[5]または[6]に記載の巻鉄心の製造方法。
本発明の巻鉄心は、巻厚40mm以上であり、内面側に配置された内側鉄心と、内側鉄心の外面側に配置された外側鉄心とからなり、内側鉄心の巻厚が、下記式(1)で示される内側寸法であり、内側鉄心を形成している方向性電磁鋼板が、双晶を含む金属組織で形成された側面視曲線状の複数の折曲部を有するため、鉄損特性が良好である。
しかも、本発明の巻鉄心では、外側鉄心が、内側鉄心よりも方向性電磁鋼板の占積率が高い。このため、例えば、巻厚を40mm以上とした上記の内側鉄心からなる巻鉄心と比較して、優れた鉄損特性が得られる。
本実施形態の巻鉄心を方向性電磁鋼板の側面側から見た模式図である。 図1に示す巻鉄心の内側鉄心を形成している1枚の方向性電磁鋼板の一部を側面視した拡大図である。 図1に示す巻鉄心の内側鉄心を形成している1枚の方向性電磁鋼板の一部を側面視した拡大図である。 本実施形態の巻鉄心の製造方法において、内側鉄心形成工程を説明するための説明図である。 本実施形態の巻鉄心の製造方法において、外側鉄心形成工程を説明するための説明図である。 (鉄心B’−1)に用いた内側鉄心(鉄心B)を形成している方向性電磁鋼板の光学顕微鏡写真である。 (鉄心B’−2)に用いた内側鉄心(鉄心B−1)を形成している方向性電磁鋼板の光学顕微鏡写真である。 (鉄心A)を形成している方向性電磁鋼板の光学顕微鏡写真である。
本発明者らは、上記課題を解決するために、帯状の方向性電磁鋼板を予め決定した長さにせん断して円形に巻き取り、プレス加工により側面視環状の形状に成型した後、歪取り焼鈍を行って形成する巻鉄心について鋭意検討し、以下に示す知見を得た。
上記の製造方法によって得られた巻鉄心では、歪取り焼鈍を行っているにも関わらず、内面側に配置された方向性電磁鋼板の加工歪が十分に解放されていない場合があった。巻鉄心の内面側は、磁気抵抗が小さくなるため、磁束が集中する。したがって、巻鉄心の内面側に配置された方向性電磁鋼板に残留する加工歪は、鉄損劣化の要因となりやすい。
また、上記の製造方法によって得られた巻鉄心では、内面側に配置された方向性電磁鋼板における側面視曲線状の部分のみに加工歪が残留している場合があった。方向性電磁鋼板に残留する加工歪は、磁歪を劣化させる。このため、巻鉄心を励磁することにより、加工歪が残留する部分の体積が局所的に膨張し、その外面側に配置された方向性電磁鋼板に応力を及ぼして、鉄損劣化を招く場合があった。
そこで、本発明者らは、内面側に配置された方向性電磁鋼板に残留する加工歪に起因する鉄損劣化を抑制すべく、鋭意検討した。
その結果、巻鉄心の内面側を、双晶を含む金属組織で形成された側面視曲線状の複数の折曲部を有する方向性電磁鋼板(以下「双晶含有鋼板」という場合がある。)を複数板厚方向に積層した鉄心で形成すればよいことを見出した。また、巻鉄心の内面側に用いる各双晶含有鋼板は、方向性電磁鋼板を折り曲げ加工して側面視環状に成型することにより得られることを見出した。
しかし、複数の双晶含有鋼板を板厚方向に積層してなる鉄心は、方向性電磁鋼板の占積率が低い。このため、巻鉄心の内面側を、上記の双晶含有鋼板を板厚方向に積層した鉄心で形成した場合、巻鉄心の巻厚中における上記の双晶含有鋼板からなる鉄心の巻厚の割合を多くしすぎると、巻鉄心全体の方向性電磁鋼板の占積率が低くなって、巻鉄心の鉄損特性が劣化する。
そこで、本発明者らは、巻鉄心の外面側を、上記の双晶含有鋼板を板厚方向に積層した鉄心よりも方向性電磁鋼板の占積率が高い鉄心で形成し、外面側の鉄心と内面側の鉄心との境界の位置を最適化すべく検討した。
すなわち、方向性電磁鋼板の占積率の点からは、外面側の鉄心と内面側の鉄心との境界の位置を内面側にするほど好ましい。しかし、外面側の鉄心と内面側の鉄心との境界の位置を内面側にしすぎると、外面側の鉄心において、内面側に配置された方向性電磁鋼板の側面視形状が小さくなる。このため、外面側の鉄心における内面側に配置された方向性電磁鋼板の加工歪を十分に小さくできなくなり、方向性電磁鋼板の加工歪に起因する鉄損劣化を十分に抑制できなくなる。
そこで、本発明者らは、さらに検討を重ね、巻鉄心の巻厚を40mm以上とすることにより、外面側の鉄心の内面側に配置された方向性電磁鋼板の側面視形状を十分に大きくしつつ、巻鉄心全体における外面側の鉄心の割合を十分に確保した上で、内面側の鉄心の巻厚を下記式(1)で示される内側寸法とした。この場合、外面側に形成した鉄心の内面側に配置された方向性電磁鋼板の加工歪を抑制できることによる鉄損特性の向上効果が、内面側の鉄心の占積率が低いことによる鉄損特性の劣化を大きく上回り、優れた鉄損特性を有する巻鉄心が得られる。
以下、本発明の巻鉄心および巻鉄心の製造方法について詳細に説明する。
「巻鉄心」
図1は、本実施形態の巻鉄心を方向性電磁鋼板の側面側から見た模式図である。
図1に示す本実施形態の巻鉄心10は、側面視環状の相似型を有する複数の方向性電磁鋼板が板厚方向に積層されたものである。
巻鉄心10は、図1に示すように、内面11側に配置された内側鉄心13と、内側鉄心13の外面側に配置された外側鉄心23とからなる。
巻鉄心10の巻厚tは40mm以上である。本実施形態における巻厚t(全巻厚)とは、鉄心全重量m(kg)を、鉄心長l(m)と電磁鋼板密度ρ(=7650kg/m)と使用した鋼板の板幅w(m)との積で割った値で定義される(t=m/(l*ρ*w))。ここで鉄心長l(m)は、鉄心の最外周と最内周との平均値である。
巻鉄心10の巻厚tは、内側鉄心13および外側鉄心23を形成している方向性電磁鋼板の厚みと積層枚数とによって変化させることができる。巻厚tは、40mm以上であればよく、巻鉄心10に励磁させる際の電圧(容量)に応じて適宜決定できる。
内側鉄心13の巻厚は、下記式(1)で示される内側寸法vである。
19*Ln(t)−54−0.05*t≦v≦19*Ln(t)−54+0.05*t・・・(1)
(式(1)において、vは内側寸法を示し、tは巻鉄心の巻厚を示し、Ln()は自然対数を底とした対数を示す。)
内側鉄心13の巻厚は、内側鉄心13に使用する方向性電磁鋼板の厚みと積層枚数との積である。内側鉄心13の巻厚は、以下に示す状態であることが好ましい。
すなわち、内側鉄心13に使用されている方向性電磁鋼板の積層枚数が、下記式(3)で示される値が最小となる枚数である。
|v−k×n|・・・(3)
(式(3)において、vは下記式(5)で示される目標内側寸法を示し、kは方向性電磁鋼板の厚みを示し、nは方向性電磁鋼板の積層枚数を示し、| |は絶対値を示す。)
=19*Ln(t)−54・・・(5)
(式(5)において、vは目標内側寸法を示し、tは巻鉄心の巻厚を示し、Ln()は自然対数を底とした対数を示す。)
図1に示す巻鉄心10では、方向性電磁鋼板のうち内側鉄心13を形成している方向性電磁鋼板が、双晶を含む金属組織で形成された側面視曲線状の複数の折曲部を有する双晶含有鋼板となっている。図2は、図1に示す巻鉄心10の内側鉄心13を形成している1枚の方向性電磁鋼板(双晶含有鋼板17)の一部を側面視した拡大図である。図2には、双晶含有鋼板17の有する複数の折曲部のうちの1つの折曲部18とその周囲を示す。本実施形態における折曲部とは、双晶含有鋼板17の側面視曲線状の部分それぞれにおける図2に示す双晶含有鋼板17上の点D、E、F、Gで囲まれた領域sを意味する。
図2に示す折曲部18(領域s)は、以下に示すように決定される。まず、図2に示す双晶含有鋼板17の側面視曲線状の部分における曲率半径r(折曲部18の曲率半径)の中心点Aと、側面視曲線状の部分の両側にそれぞれ配置された側面視直線部分の延在方向との交点Bとを線で結ぶ。そして、曲率半径rの中心点Aと上記交点Bとを結んだ線が、双晶含有鋼板17の内面と交わる点を原点Cと定義する。次に、双晶含有鋼板17の内面に沿って原点Cの両側に下記式(4)で示される距離mで移動した点を、それぞれ点Dおよび点Eとする。そして、双晶含有鋼板17の外面から点Dおよび点Eそれぞれに向かって引いた垂直線と、双晶含有鋼板17の外面との交点を、それぞれ点Fおよび点Gとする。
m=r*(1+π/4)・・・(4)
(式(4)において、mは距離を示し、rは曲率半径を示す。)
双晶含有鋼板17の折曲部の金属組織に含まれる双晶の密度は、特に限定されない。
双晶含有鋼板17の折曲部の金属組織に双晶が含まれているか否かは、双晶含有鋼板17の断面を光学顕微鏡で観察することにより確認できる。光学顕微鏡としては、市販されている一般的な光学顕微鏡を用いることができる。双晶含有鋼板17の断面を光学顕微鏡で観察する際には、双晶含有鋼板17から断面を観察面とする試料を切り出し、観察面を鏡面研磨してから酸で腐食し、対象試料の粒界が観察できる程度に処理すればよい。
双晶含有鋼板17の金属組織には、方向性電磁鋼板を折り曲げ加工したことに起因する転位が存在している場合がある。双晶含有鋼板17の金属組織には、転移が存在していてもよいし、転移が存在していなくてもよい。双晶含有鋼板17の金属組織に転移が存在していない場合、より一層優れた鉄損特性が得られるため好ましい。
双晶含有鋼板17の金属組織に転位が存在するか否かは、折曲部の金属組織に双晶が含まれているか否かを確認する場合と同様に、双晶含有鋼板17の断面を光学顕微鏡で観察することにより確認できる。光学顕微鏡としては、市販されている一般的な光学顕微鏡を用いることができる。双晶含有鋼板17の断面を光学顕微鏡で観察する際には、双晶含有鋼板17から断面を観察面とする試料を切り出し、観察面を鏡面研磨してから酸で腐食し、対象試料の粒界が観察できる程度に処理すればよい。
内側鉄心13における隣接する折曲部間の距離のうち最も短い距離は、6mm以上であることが好ましい。上記の距離が6mm以上であると、方向性電磁鋼板を折り曲げ加工することにより導入された歪が、隣接する折曲部を形成するために導入した歪と重なり合って抜けにくくなることが防止される。このため、より一層優れた鉄損特性が得られる。
図3は、図1に示す巻鉄心10の内側鉄心13を形成している1枚の方向性電磁鋼板(双晶含有鋼板17)の一部を側面視した拡大図である。図3には、双晶含有鋼板17の有する複数の折曲部のうちの2つの折曲部18、18’とその周囲を示す。図3において、図2と同じ部材については、図2と同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施形態において、内側鉄心13における隣接する折曲部間の距離のうち最も短い距離とは、隣接する折曲部間それぞれにおける図3に示す双晶含有鋼板17の内面上の点C、C’間の双晶含有鋼板17の内面に沿う距離のうち、最も短い距離を意味する。図3に示す双晶含有鋼板17の内面上の原点C’は、原点Cと同様にして決定される。すなわち、折曲部18に隣接する折曲部18’の曲率半径r’の中心点A’と、側面視曲線状の部分の両側にそれぞれ配置された側面視直線部分の延在方向との交点B’とを線で結ぶ。そして、曲率半径r’の中心点A’と上記交点B’とを結んだ線が、双晶含有鋼板17の内面と交わる点を原点C’と定義する。
なお、内側鉄心13は、側面視環状の相似型に成型された複数の双晶含有鋼板17が板厚方向に積層されたものであるため、隣接する折曲部間の距離のうち最も短い距離は各双晶含有鋼板17によって異なる。本実施形態における隣接する折曲部間の距離のうち最も短い距離とは、内側鉄心13を形成している双晶含有鋼板17のうち、最も内面側に配置された双晶含有鋼板17の有する上記の点C、C’間の双晶含有鋼板17の内面に沿う距離のうち、最も短い距離を意味する。
折曲部の曲率半径は0.1mm〜100mmであることが好ましい。折曲部の曲率半径が0.1mm以上であると、折り曲げ加工により導入された鋼板表層の微細な形状起伏(凹凸)によって、双晶含有鋼板17に施されている絶縁被膜が剥離することを防止できる。また、折曲部の曲率半径が0.1mm以上であると、双晶含有鋼板17を積層することにより各双晶含有鋼板17の表層に存在する微細な形状起伏が重なって、巻鉄心の使用時に巨大な渦電流を発生させ、特性を劣化させることを防止できる。また、折り曲げ加工により成型した折曲部の曲率半径が100mm以下である場合、双晶含有鋼板17に双晶が十分に導入されているため、より一層優れた鉄損特性が得られる。さらに、折曲部の曲率半径が100mm以下であると、折り曲げ加工により導入された歪量が少ないために、双晶含有鋼板17を積層する際に折曲部が弾性変形して応力が発生し、鉄損を劣化させることを防止できる。
内側鉄心13を形成している各双晶含有鋼板17は、図1に示すように、側面視で、直線部14と外面方向に1つの頂点を有する曲線部15とが交互に配置されてなる下記の式(2)を満たす曲げ形状16を、4つ繋げた形状を有することが好ましい。
Φ×m(2≦m)=90°
(式(2)において、Φは曲線部を介して隣接する2つの直線部の延在方向の角度差を示し、mは曲線部の数を示す。)
図1〜図3に示すように、本実施形態では、各双晶含有鋼板17が、側面視で、曲線部15を介して隣接する2つの直線部14、14の延在方向の角度差Φが45°であり、曲線部15の数が2である曲げ形状16を4つ繋げた形状を有している。上記の角度差Φは、曲線部15の数が2以上となればよく、例えば、30°であってもよいし、10°であってもよい。上記の角度差Φが45°または30°である場合(すなわち曲線部15の数が2または3である場合)、より一層優れた鉄損特性が得られるため好ましい。上記の角度差Φが45°以上であると、方向性電磁鋼板を折り曲げ加工したことに起因する加工歪が大きくなり、双晶含有鋼板17が焼鈍したものであっても折曲部に加工歪が残留しやすくなるため、好ましくない。
巻鉄心10を形成している外側鉄心23は、内側鉄心13よりも方向性電磁鋼板の占積率が高い。外側鉄心23および内側鉄心13の占積率とは、巻鉄心の断面積に対し鉄心材が占める面積の割合を示すものであり、その定義は以下の通りである。
本実施形態における占積率は、実質の断面積Seffを、鉄心の見かけの断面積Simで除したSeff/Simの値に100を掛けた数値(%)である。ここで実質の断面積Seffは、鉄心全重量m(kg)と電磁鋼板密度ρ(=7650kg/m)との積を、鉄心長l(m)で除した数値(Seff=m*l*ρ)である。鉄心長l(m)は、鉄心の最外周と最内周との平均値である。また、鉄心の見かけの断面積Simは、公称板厚κと、板幅wと、積層枚数nとの積(Sim=κ*w*n)である。
また、外側鉄心23は、図1に示すように、側面視略矩形であって、4つのコーナー部25が一定の曲率半径を有していることが好ましい。
「巻鉄心の製造方法」
次に、本実施形態の巻鉄心10の製造方法について説明する。
図1に示す本実施形態の巻鉄心10を製造するには、内側鉄心13を形成する内側鉄心形成工程と、外側鉄心23を形成する外側鉄心形成工程と、外側鉄心23の中心に、内側鉄心13を填め込む填め込み工程とを行う。
「内側鉄心形成工程」
内側鉄心形成工程では、まず、帯状の複数の方向性電磁鋼板を、図4(a)に示すように、それぞれ折り曲げ加工して、図4(b)に示すように、側面視環状の相似型に成型する。このことにより、双晶を含む金属組織で形成された側面視曲線状の複数の折曲部を有する複数の双晶含有鋼板17を形成する。次いで、得られた双晶含有鋼板17を板厚方向に積層することにより、巻厚が式(1)で示される内側寸法vである内側鉄心13を形成する。
折り曲げ加工により形成された双晶含有鋼板17の側面視での形状は、式(2)を満たす曲げ形状16を、4つ繋げた形状を有することが好ましい。
本実施形態において、折り曲げ加工することにより形成する双晶含有鋼板17の厚みおよび枚数は、内側鉄心13の巻厚が、式(1)で示される内側寸法vとなるように決定される。具体的には、内側鉄心13に使用される双晶含有鋼板17(方向性電磁鋼板)の積層枚数を、上記式(3)で示される値が最小になる枚数とすることが好ましい。
内側鉄心形成工程において、方向性電磁鋼板を折り曲げ加工する際に用いる加工機としては、ユニコア加工機など、従来公知のものを用いることができる。
内側鉄心形成工程では、方向性電磁鋼板の板温度を3℃以下もしくは200℃以上として、折り曲げ加工を行うことが好ましい。方向性電磁鋼板の板温度が3℃以下もしくは200℃以上であると、折り曲げ加工によって生じた機械歪が双晶に変化しやすい。このため、折り曲げ加工による機械歪によって、双晶含有鋼板17の金属組織に転位が形成されることを防止できる。したがって、双晶含有鋼板17の金属組織に存在する転移による鉄損特性の劣化が抑制され、より一層優れた鉄損特性を有する巻鉄心10が得られる。
「外側鉄心形成工程」
外側鉄心形成工程では、帯状の方向性電磁鋼板24(フープ材)(図5(a)参照。)を予め決定した長さにせん断して円形に巻き取り(図5(b)参照。)、プレス加工により側面視環状の形状に成型した後、歪取り焼鈍を行って外側鉄心23(図5(c)参照。)を形成する。
外側鉄心形成工程で行うプレス加工および歪取り焼鈍の条件としては、従来公知の巻鉄心の製造条件と同様の条件を用いることができる。
外側鉄心形成工程では、歪取り焼鈍後に形状矯正を行うことが好ましい。
外側鉄心23の巻厚は、外側鉄心23に使用する方向性電磁鋼板の厚みと積層枚数とを調整することにより、内側鉄心13の巻厚と外側鉄心23の巻厚との合計寸法が40mm以上となるようにする。
「填め込み工程」
次に、外側鉄心23の中心に、内側鉄心13を填め込み、巻厚40mm以上の巻鉄心10を形成する。
以上の工程により、図1に示す巻鉄心10が得られる。
本実施形態の製造方法では、不活性ガス雰囲気中、700〜1000℃の温度で0.01〜30時間、好ましくは1〜4時間、内側鉄心形成工程において折り曲げ加工後積層前の方向性電磁鋼板(双晶含有鋼板17)、填め込み工程において外側鉄心の中心に填め込む前の内側鉄心13、填め込み工程後の巻鉄心10のいずれかを焼鈍する焼鈍工程を含むことが好ましい。焼鈍工程は、1回のみ行ってもよいし、2回以上行ってもよい。
このような焼鈍工程を行うことで、双晶含有鋼板17から折り曲げ加工によって生じた機械歪を除去することができ、より一層優れた鉄損特性を有する巻鉄心10が得られる。
焼鈍工程における温度を1000℃以下にすることで、双晶含有鋼板17の金属組織に含まれる双晶を消失させずに、折り曲げ加工によって生じた機械歪を除去できる。また、焼鈍工程における温度を700℃以上とすることで、双晶含有鋼板17から折り曲げ加工によって生じた機械歪を十分に除去できる。
また、焼鈍工程における焼鈍時間は、1〜4時間であることが好ましい。焼鈍時間が1時間以上であると、焼鈍工程を行うことによる上記の効果が顕著となる。焼鈍時間が4時間以下であると、効率よく巻鉄心10を製造できる。
焼鈍工程における不活性ガス雰囲気としては、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などが挙げられる。また、不活性ガス雰囲気として、窒素および/またはアルゴンと、微量の水素とからなる混合雰囲気を用いてもよい。不活性ガス雰囲気として、水素を含有する雰囲気を用いた場合、焼鈍工程に伴う巻鉄心を形成している鋼板の酸化を抑制でき、好ましい。一方、設備費用および水素ガスの管理に伴う付加を考慮すると、不活性ガス雰囲気として、窒素雰囲気を用いることが好ましい。
本実施形態の巻鉄心10は、巻厚40mm以上であり、内面11側に配置された内側鉄心13と、内側鉄心13の外面側に配置された外側鉄心23とからなり、内側鉄心13の巻厚が、式(1)で示される内側寸法であり、内側鉄心13を形成している方向性電磁鋼板が、双晶を含む金属組織で形成された側面視曲線状の複数の折曲部を有するため、鉄損特性が良好である。
しかも、本実施形態の巻鉄心10では、外側鉄心23が、内側鉄心13よりも方向性電磁鋼板の占積率が高い。このため、例えば、巻厚を40mm以上とした上記の内側鉄心13からなる巻鉄心と比較して、優れた鉄損特性が得られる。
本実施形態の巻鉄心10の製造方法では、帯状の複数の方向性電磁鋼板を、それぞれ折り曲げ加工して側面視環状の相似型に成型し、板厚方向に積層することにより、巻厚が式(1)で示される内側寸法である内側鉄心13を形成する。また、帯状の方向性電磁鋼板を予め決定した長さにせん断して円形に巻き取り、プレス加工により環状の形状に成型した後、歪取り焼鈍を行うことにより、外側鉄心23を形成する。そして、得られた外側鉄心23の中心に、内側鉄心13を填め込み、巻厚40mm以上の巻鉄心を形成することにより、本実施形態の巻鉄心10が得られる。
なお、上述した実施形態では、内側鉄心13を形成している方向性電磁鋼板における複数の折曲部の形状が、全て同じである場合を例に挙げて説明したが、内側鉄心13を形成している方向性電磁鋼板における複数の折曲部の形状は、それぞれ異なる形状であってもよいし、一部または全てが同じ形状であってもよい。
以下、本発明を実施例により、具体的に説明する。
「実施例1」
表1〜4に示す全巻厚である以下に示す(鉄心A)(鉄心A’)(鉄心B)(鉄心B−1)(鉄心B’−1)(鉄心B’−2)の巻鉄心を形成し、以下に示す方法により鉄損特性として「鉄心鉄損」「素材鉄損」を測定し、「BF」を算出した。その結果を表1〜4に示す。
(鉄心A)
幅152.4mm、厚み0.23mmの帯状の方向性電磁鋼板を予め決定した長さにせん断して円形に巻き取り、プレス加工により側面視環状の形状に成型した後、歪取り焼鈍を行い、その後、形状矯正行って鉄心Aを形成した。鉄心Aは、側面視略矩形であり、4つのコーナー部が一定の曲率半径を有するものとした。鉄心Aの占積率は、97%であった。
(鉄心A’)
鉄心Aの内面側から表1〜4に示す内側巻厚分の厚みで方向性電磁鋼板を除去した。その後、方向性電磁鋼板を除去した後の鉄心Aの内面形状に沿う外形形状を有する別の鉄心を形成した。別の鉄心は、鉄心Aと同様にして形成した鉄心を焼鈍して加工歪を完全に除去する方法により形成した。そして、鉄心Aの方向性電磁鋼板を除去した部分に、別の鉄心を内側鉄心として填め込み、鉄心A’とした。
(鉄心B)
幅152.4mm、厚み0.25mmの帯状の複数の方向性電磁鋼板を、それぞれ常温(25℃)で折り曲げ加工して側面視曲線状の複数の折曲部を有する環状の相似型に成型し、板厚方向に積層することにより鉄心Bを形成した。鉄心Bの方向性電磁鋼板は、側面視で、曲線部を介して隣接する2つの直線部の延在方向の角度差Φが45°であり、曲線部の数が2である式(2)を満たす曲げ形状を4つ繋げた形状を有するものとした。また、鉄心Bは、隣接する折曲部間の距離のうち最も短い距離を6mmとし、折曲部の曲率半径を1mmとした。鉄心Bの占積率は、95.5%であった。
(鉄心B−1)
鉄心Bを窒素雰囲気中、800℃の温度で2時間焼鈍し、鉄心B−1とした。鉄心B−1の占積率は、95.5%であった。
(鉄心B’−1)
鉄心Aの内面側から表1〜4に示す内側巻厚分の厚みで方向性電磁鋼板を除去した。その後、方向性電磁鋼板を除去した後の鉄心Aの内面形状に沿う外形形状を有する別の鉄心を形成した。別の鉄心は、鉄心Bと同様にして形成した。そして、鉄心Aの方向性電磁鋼板を除去した部分に、別の鉄心を内側鉄心として填め込み、鉄心B’−1とした。
(鉄心B’−2)
別の鉄心として、鉄心B−1を形成したこと以外は鉄心B’−1と同様にして、鉄心B’−2を形成した。
なお、(鉄心A’)(鉄心B’−1)(鉄心B’−2)においては、内側鉄心を形成している方向性電磁鋼板の厚みと積層枚数との積が、表1〜4に示す(鉄心A’)(鉄心B’−1)(鉄心B’−2)の内側巻厚に最も近い寸法となるように、方向性電磁鋼板の積層枚数を調整して形成した。
「鉄心鉄損」
JIS C 2550−1に記載の励磁電流法を用いて、W17/50(W/kg)(50Hzでの設定磁束密度が1.7Tの条件)での鉄心の鉄損値を測定した。
「素材鉄損」
鉄心の内面側から表1〜4に示す内側巻厚分の厚みの位置までに配置された方向性電磁鋼板の折曲部以外の部分から幅60mm長さ300mmの単板を採取し、窒素雰囲気中、800℃の温度で2時間焼鈍した。その後、JIS C 2556に記載のHコイル法によって、単板鉄損を測定した。
なお、(鉄心A)(鉄心B)(鉄心B−1)は、別の鉄心を内側鉄心として填め込んだものではなく、内面側から内側巻厚分の厚みの位置までと、その外側とは、同素材である。
「BF」
上記の方法により測定した鉄心鉄損を上記の方法により測定した素材鉄損で除し、BF(ビルディングファクタ)(鉄心鉄損/素材鉄損)を算出した。
表1〜4に示す鉄損特性と内側巻厚との関係を評価するために、巻鉄心の巻厚(全巻厚)に対する下記式(5)で示される目標内側寸法vの数値を計算した。その結果を表5に示す。
=19*Ln(t)−54・・・(5)
(式(5)において、vは目標内側寸法を示し、tは巻鉄心の巻厚を示し、Ln()は自然対数を底とした対数を示す。)
表5に示す全巻厚40mm、50mm、100mm、250mmでの式(5)で示される目標内側寸法vを参照し、表1〜4のうち特に、式(1)を満たす内側寸法である全巻厚40mm、内側巻厚15mmの結果、全巻厚50mm、内側巻厚20mmの結果、全巻厚100mm、内側巻厚30mmの結果、全巻厚250mm、内側巻厚50mmの結果に注目すると、(鉄心A)(鉄心A’)(鉄心B)(鉄心B−1)(鉄心B’−1)(鉄心B’−2)のうち、(鉄心B’−1)(鉄心B’−2)の鉄損特性が優れていることが分かる。
(鉄心B’−1)(鉄心B’−2)は、鉄心Bまたは鉄心B−1を、鉄心Aの方向性電磁鋼板を除去した部分に内側鉄心として填め込むことにより形成したものである。鉄心Bおよび鉄心B−1は、折り曲げ加工して側面視曲線状の複数の折曲部を有する環状の相似型に成型し、板厚方向に積層することにより形成したものである。特に、内側鉄心として(鉄心B)を焼鈍した(鉄心B−1)を用いた(鉄心B’−2)では、優れた鉄損特性が得られた。
一方、全巻厚が20mmである場合、(鉄心B’−1)(鉄心B’−2)における鉄損特性の向上効果が確認できなかった。
また、内側巻厚が、式(1)で示される内側寸法vよりも大きくても小さくても、鉄損特性が劣化する結果となった。
これらのことから、以下の(ア)〜(オ)を満たす巻鉄心とすることにより、優れた鉄損特性が得られることが確認できた。
(ア)全巻厚を40mm以上とすること。
(イ)内側鉄心と、内側鉄心の外面側に配置された外側鉄心とからなる巻鉄心とすること。
(ウ)内側巻厚を式(1)で示される内側寸法vとすること。
(エ)内側鉄心として(鉄心B)または(鉄心B−1)を用いること。
(オ)外側鉄心(鉄心A)として、内側鉄心(鉄心B)または(鉄心B−1)よりも方向性電磁鋼板の占積率が高いものを用いること。
また、表1〜4に示す(鉄心A)を形成している方向性電磁鋼板と、(鉄心B’−1)(鉄心B’−2)に用いた別の鉄心(内側鉄心)を形成している方向性電磁鋼板とにおいて、側面視曲線状の部分の断面を100倍の倍率で光学顕微鏡(商品名:ECLIPSE LD100V、ニコン社製)により観察した。観察試料は、方向性電磁鋼板から側面視曲線状の部分の断面を観察面とする試料を切り出し、観察面を鏡面研磨してから酸で腐食することにより作製した。その結果を図6〜図8に示す。
図6は、(鉄心B’−1)に用いた内側鉄心(鉄心B)を形成している方向性電磁鋼板の光学顕微鏡写真である。図6に示すように、方向性電磁鋼板には双晶を含む金属組織が形成されていた。このことから、折り曲げ加工により、双晶を含む金属組織で形成された側面視曲線状の複数の折曲部を有する方向性電磁鋼板が得られることが確認できた。また、図6に示すように、方向性電磁鋼板の金属組織には、折り曲げ加工したことに起因する転位が存在していた。
図7は、(鉄心B’−2)に用いた内側鉄心(鉄心B−1)を形成している方向性電磁鋼板の光学顕微鏡写真である。図7に示すように、方向性電磁鋼板には、折り曲げ加工により双晶を含む金属組織が形成されていた。しかし、図7に示すように、方向性電磁鋼板の金属組織には、折り曲げ加工したことに起因する転位が存在していなかった。このことから、(鉄心B)を上記の条件で焼鈍して(鉄心B−1)とすることにより、金属組織に含まれる双晶を消失させずに、方向性電磁鋼板から折り曲げ加工によって生じた機械歪を除去できることが確認できた。
図8は、(鉄心A)を形成している方向性電磁鋼板の光学顕微鏡写真である。図8に示すように、方向性電磁鋼板の金属組織では、双晶が観察されなかった。このことから、方向性電磁鋼板を予め決定した長さにせん断して円形に巻き取り、プレス加工により側面視環状の形状に成型した後、歪取り焼鈍を行った場合には、方向性電磁鋼板に双晶を含む金属組織が形成されないことが確認できた。
表1〜4および図6〜図8の結果から、(鉄心B’−1)(鉄心B’−2)は、内側鉄心を形成している方向性電磁鋼板が、双晶を含む金属組織で形成された側面視曲線状の複数の折曲部を有しているため、良好な鉄損特性が得られることが分かった。
「実施例2」
全巻厚80mm、内側巻厚30mmの(鉄心B’−2)であり、内側鉄心を形成している方向性電磁鋼板が側面視で、下記の式(2)を満たす表6に示す角度差Φ、曲線部の数mである曲げ形状を、4つ繋げた形状を有する巻鉄心をそれぞれ形成した。なお、各内側鉄心における複数の折曲部の曲率半径は、全て表6に示す折曲部の曲率半径とした。
Φ×m(2≦m)=90°
(式(2)において、Φは曲線部を介して隣接する2つの直線部の延在方向の角度差を示し、mは曲線部の数を示す。)
得られた各巻鉄心について、実施例1と同様にして「鉄心鉄損」を測定した。次いで「鉄心鉄損」を測定した後の各巻鉄心を、窒素雰囲気中、800℃の温度で2時間焼鈍した。その後、実施例1と同様にして「素材鉄損」を測定し、実施例1と同様にして「BF」を算出した。その結果を表6に示す。
表6に示すように、式(2)における角度差Φが45°または30°(すなわち曲線部15の数が2または3)である場合、より一層優れた鉄損特性が得られることが分かった。
また、表6に示すように、折曲部の曲率半径が0.1mm〜100mmである場合、より一層優れた鉄損特性が得られることが分かった。
「実施例3」
全巻厚80mm、内側巻厚30mmの(鉄心B’−2)であり、内側鉄心を形成している方向性電磁鋼板のうち、最も内面側に配置された方向性電磁鋼板の隣接する折曲部間の距離のうち最も短い距離を、表7に示すように異ならせた巻鉄心をそれぞれ形成した。なお、内側鉄心を形成している方向性電磁鋼板は側面視で、式(2)を満たす角度差Φが45°、曲線部の数mが2である曲げ形状を、4つ繋げた形状を有するものとした。また、各内側鉄心における複数の折曲部の曲率半径は、全て1mmとした。
得られた各巻鉄心について、実施例2と同様にして「鉄心鉄損」「素材鉄損」を測定し、「BF」を算出した。その結果を表7に示す。
表7に示すように、内側鉄心における隣接する折曲部間の距離のうち最も短い距離が、6mm以上である場合、より一層優れた鉄損特性が得られることが分かった。
「実施例4」
方向性電磁鋼板の板温度を表8に示す温度として折り曲げ加工を行ったこと以外は、表7に示す実施例3の隣接する折曲部間の距離が6mmである巻鉄心を同様にして、巻鉄心を形成した。
得られた各巻鉄心について、実施例2と同様にして「鉄心鉄損」「素材鉄損」を測定し、「BF」を算出した。その結果を表8に示す。
表8に示すように、方向性電磁鋼板の板温度を3℃以下もしくは200℃以上として、折り曲げ加工を行うことで、より一層優れた鉄損特性が得られることが分かった。これは、板温度が3℃以下もしくは200℃以上であると、折り曲げ加工によって生じた機械歪が双晶に変化しやすいため、方向性電磁鋼板に多くの双晶を導入されることによるものと推定される。
10 巻鉄心、11 内面、13 内側鉄心、14 直線部、15 曲線部、16 曲げ形状、17 双晶含有鋼板、18、18’ 折曲部、23 外側鉄心、t 巻鉄心の巻厚(全巻厚)、v 内側寸法。

Claims (7)

  1. 側面視環状の複数の方向性電磁鋼板が板厚方向に積層された巻厚40mm以上の巻鉄心であり、
    内面側に配置された内側鉄心と、前記内側鉄心の外面側に配置された外側鉄心とからなり、前記内側鉄心の巻厚が、下記式(1)で示される内側寸法であり、
    前記方向性電磁鋼板のうち前記内側鉄心を形成している方向性電磁鋼板は、双晶を含む金属組織で形成された側面視曲線状の複数の折曲部を有し、
    前記外側鉄心は、前記内側鉄心よりも前記方向性電磁鋼板の占積率が高いことを特徴とする巻鉄心。
    19*Ln(t)−54−0.05*t≦v≦19*Ln(t)−54+0.05*t・・・(1)
    (式(1)において、vは内側寸法を示し、tは巻鉄心の巻厚を示し、Ln()は自然対数を底とした対数を示す。)
  2. 前記内側鉄心における隣接する折曲部間の距離のうち最も短い距離が、6mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の巻鉄心。
  3. 前記折曲部の曲率半径が0.1mm〜100mmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の巻鉄心。
  4. 前記内側鉄心を形成している方向性電磁鋼板が側面視で、直線部と外面方向に1つの頂点を有する曲線部とが交互に配置されてなる下記の式(2)を満たす曲げ形状を、4つ繋げた形状を有することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の巻鉄心。
    Φ×m(2≦m)=90°
    (式(2)において、Φは曲線部を介して隣接する2つの直線部の延在方向の角度差を示し、mは曲線部の数を示す。)
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の巻鉄心の製造方法であって、
    帯状の複数の方向性電磁鋼板を、それぞれ折り曲げ加工して側面視環状の相似型に成型し、板厚方向に積層することにより、巻厚が下記式(1)で示される内側寸法である内側鉄心を形成する内側鉄心形成工程と、
    帯状の方向性電磁鋼板を予め決定した長さにせん断して円形に巻き取り、プレス加工により側面視環状の形状に成型した後、歪取り焼鈍を行って外側鉄心を形成する外側鉄心形成工程と、
    前記外側鉄心の中心に前記内側鉄心を填め込み、巻厚40mm以上の巻鉄心を形成する填め込み工程とを有する巻鉄心の製造方法。
    19*Ln(t)−54−0.05*t≦v≦19*Ln(t)−54+0.05*t・・・(1)
    (式(1)において、vは内側寸法を示し、tは巻鉄心の巻厚を示し、Ln()は自然対数を底とした対数を示す。)
  6. 不活性ガス雰囲気中、700℃〜1000℃の温度で0.01〜30時間、前記折り曲げ加工後積層前の前記方向性電磁鋼板、前記外側鉄心の中心に填め込む前の前記内側鉄心、前記填め込み工程後の前記巻鉄心のいずれかを焼鈍する焼鈍工程を含む請求項5に記載の巻鉄心の製造方法。
  7. 前記方向性電磁鋼板の板温度を3℃以下もしくは200℃以上として、前記折り曲げ加工を行う請求項5または請求項6に記載の巻鉄心の製造方法。
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