JP6655625B2 - ピラゾリン由来化合物ならびに哺乳動物における変形性関節疾患に由来する炎症および疼痛に対する週間投与計画におけるその使用 - Google Patents

ピラゾリン由来化合物ならびに哺乳動物における変形性関節疾患に由来する炎症および疼痛に対する週間投与計画におけるその使用 Download PDF

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Description

本発明は、哺乳動物における変形性関節疾患または病態に関連する疼痛および炎症の治療のための特定の投与計画におけるピラゾリン由来化合物の使用に関する。特に、本発明は、骨関節炎などの変形性関節疾患に関連する疼痛および炎症または跛行などのこのようないずれかの疾患に関連する病態の治療のための週間投与計画における使用のための選択的COX−2遮断化合物E−6087に関する。本発明は、哺乳動物、好ましくはイヌの治療に向けられる。
変形性関節疾患は、イヌ骨関節炎、または骨関節症とも呼ばれ、関節軟骨の欠損を含む滑膜関節の組織における病的変化に関連する疼痛および跛行を特徴とする疾病過程である(Sanderson, R.O., Beata, C, Flipo, R.M., Genevois, J. P., Macias, C. Tacke, S., Vezzoni, A and Innes, JF (2009). Systematic review of the management of canine osteoarthritis. The Veterinary Record, 164:418-424. and Innes, J., O'Neil, T. and Lascelles, D. (2010) Use of non-steroidal anti-inflammatory drugs for the treatment of canine osteoarthritis. In Practice, 32: 126-137)。具体的には、関節軟骨の細胞外マトリックスの分解の増大が見られ、続いて炎症性メディエーターおよび変性酵素が産生され、これがさらに変性および炎症変化をもたらす。
変形性関節疾患に関して知られている治癒はない。その管理は通常、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)などの療法と鎮痛薬、栄養補助食品、機能性食品、物理的療法および鍼療法などの代替療法との組合せからなる。
NSAIDは、アラキドン酸からプロスタグランジンとトロンボキサンへの変換を触媒する酵素シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害する酸性抗炎症薬である。1990年代初めの進展が、COXの2つのアイソフォーム、すなわち、COX−1およびCOX−2の存在を示した。
一方で、COX−1は、正常な生理機能に重要で、消化管細胞、血小板、内皮細胞および腎細胞を含む多くの組織により産生されるプロスタグランジンを産生するので、構成型であると考えられる。他方、COX−2は誘導型の酵素であると考えられ、その発現は基底条件下では厳格に制御されるが、炎症の存在下では劇的にアップレギュレートされる。炎症性サイトカインは、滑膜細胞、内皮細胞、軟骨細胞、骨芽細胞、単球およびマクロファージを含む多くの細胞でCOX−2の発現を刺激することが知られている。実際に、骨関節炎を有するイヌの股関節部由来の滑膜および軟骨下骨組織は、健康なイヌに比べて高いCOX−2発現を呈することが示されている。
ほとんどのNSAIDの主要作用機序は、COX−1およびCOX−2イソ酵素に非選択的に結合してそれらの作用を阻害することによるプロスタグランジン合成の遮断である。NSAIDの主要な治療効果および毒性作用は、特に、変形性関節疾患の場合のように長期の治療が必要とされる場合には、この機構に関連する。
ここ数十年の間、NSAIDの新クラス、コキシブが開発されてきたが、その作用はイソ酵素COX−2に対する高い選択性であり、これによりCOX−1阻害に関する一般的な副作用無く、目的とする治療効果が可能となる。フィロコキシブ(Firocoxib)(プレビコックス(Previcox)登録商標))、マバコキシブ(Mavacoxib)(トロコキシル(Trocoxil)(登録商標))、ロベナコキシブ(Robenacoxib)(オニソール(Onsior)(登録商標))およびシミコキシブ(Cimicoxib)(シマルゲックス(Cimalgex)(登録商標))は、イヌの変形性関節疾患の管理に関して欧州および/または米国で現在認可されているコキシブである。
現在上市されているコキシブには2種類があり、これらは異なる投与計画下にあり、毎日投与されるもの(プレビコックス登録商標、オニソール(登録商標)、シミコキシブ(登録商標))と1か月に1回投与されるもの(トロコキシル(登録商標))である。
哺乳動物、特に、イヌのようなペットにおける炎症性関節疾患の治療は、従来、コキシブの毎日の経口投与で行うことが可能であった。ヒトの場合とは対照的に動物およびペットにおける薬剤の経口投与は、主として2つの問題を持っている。1つは、良好な受容から低い受容まで様々であり得る動物による投薬の受容である。この問題を解決するため、動物の食欲を増し、経口摂取を促進するために、芳香付き配合剤が開発された。第2の問題は、毎日の投与が動物またはペットに対する薬剤を投与する人による処置の極めて密な管理下にあるということである。ペットの飼い主は、うっかりのため、または動物と毎日接触を持つのが面倒であるために何回かの用量の投与をし損ねることがよくある。これらの問題は骨関節炎などの長期または慢性治療ではいっそうより重大であり、投与計画への治療遵守がないと有効性の喪失または不完全な有効性がもたらされる場合がある。
この問題を解決するために、長期治療において治療遵守を保護するために原理的に好適な月間治療のための製剤が提案および開発された。しかしながら、1か月間動物生体中に存在するような薬剤の投与は、その動物が治療中に必要とする可能性のある他の薬剤の投与を制限する。このような長期間その製剤を除去することが不可能であるということは、その製剤の有害反応を生じるおそれがある動物にとってのリスクでもあり、従って、月間製剤による治療の安全は、そのような治療を処方する獣医師による懸念点である。
よって、治療遵守を改善するために動物に日投与を行う不利を回避し、同時に、動物にその薬剤に対する忍容性がない場合にリスクとなり得る長すぎる抗炎症薬の血中レベルをもたらす月投与を回避する治療を開発する必要がある。
本発明は、上記の問題を、十分な安全圏を維持しながら長期作用製剤の治療遵守の安寧と利点を維持しようとする週投与での化合物E−6087の使用によって解決する。
式:
Figure 0006655625
のE−6087は、EP1083171で初めて開示され、そこでは、ラットにおけるその抗炎症活性が教示されている。しかしながら、この文献は、変形性関節疾患の治療における特定の投与計画については記載していない。
非処置動物における跛行評価を表す。グレーの影は関節炎誘導期間を表し、黒い影は各誘導後の跛行の時間(黒い影の幅で表す)およびスコアを表す。非処置動物は、各誘導期間後に最高の跛行スコアを示す。 0日目と12日目に4mg/体重kgのE−6087で処置した動物における跛行評価を表す。グレーの影は関節炎誘導期間を表し、黒い影は各誘導後の跛行の時間(黒い影の幅で表す)およびスコアを表す。処置群では、跛行は初回の4mg/kg用量のE−6087の2時間後には制御されなかったが、治療7日目には若干制御され、12日目の2回目の4mg/kg用量の投与の14日後および21日後には完全に制御された。 非処置動物における疼痛評価を表す。グレーの影は関節炎誘導期間を表し、各誘導期間後に示される時間(黒い影の幅で表す)および疼痛スコアを表す。非処置動物では、疼痛は、各誘導期間後に最高スコアの半分になった。 0日目と12日目に4mg/体重kgのE−6087で処置した動物における疼痛評価を表す。グレーの影は関節炎誘導期間を表し、各誘導期間後に示される時間(黒い影の幅で表す)および疼痛スコアを表す。処置群では、疼痛は初回の4mg/kg用量の2時間後には制御されなかったが、7日目には若干制御され、12日目の2回目の4mg/kg用量の投与の14日後および21日後には完全に制御された。 各誘導期間(0日目、14日目および28日目)後の最高跛行スコアを示す非処置動物における複合視覚的跛行評価を表す。 2日目、4日目、9日目、14日目、23日目および28日目の誘導後のA群、B群およびC群の動物における複合視覚的跛行評価を示す総合的結果を表す。これらの結果は、E−6087の反復投与の段階的抗炎症/鎮痛作用を明らかとする。 E−6087の負荷用量8mg/kg、次いで、毎週4mg/kgの投与後のシミュレーションデータからの典型的な薬物動態プロフィールを90%信頼区間とともに示す散布図。動物の15%だけが初回の薬物投与後の数時間、2216ng/mL(E−6087の最小毒性濃度MTC)より高いE−6087レベルに達する。その後の週用量では、どの動物もE−6087がMTCより高い薬物レベルに達するとは予測されない。E−6087の10回の週投与後(定常状態で)、処置したイヌの97%はCmaxSSにおいて536ng/mLより高いレベルに達するこれらのシミュレーションの結果に基づけば、この経口週間投与計画は安全性と有効性の観点で十分であると思われる。 実地条件下で実施した無作為化盲検多施設臨床試験におけるプラセボ処置した自然発生骨関節炎犬の平均「臨床合計スコア(Clinical Sum Score)」(CSS)の経時的推移を表す。その改善を臨床上適切であると見なすためには、6未満のCSS(破線)が必要とされた。 実地条件下で実施した無作為化盲検多施設臨床試験における負荷用量4mg/kg、次いで、毎週2mg/kgのE−6087で処置した自然発生骨関節炎犬の平均「臨床合計スコア」(CSS)の経時的推移を表す。その改善を臨床上適切であると見なすためには、6未満のCSS(破線)が必要とされた。
発明の具体的説明
本発明の主要な目的は、E−6087の使用に頼る変形性関節疾患または病態に関連する疼痛および炎症の治療に適用可能な新規な投与計画の発見に基づく。
実際に、本発明の目的は、1〜6mg/体重kgの維持週間投与計画の投与を含んでなる、哺乳動物における変形性関節疾患または病態に関連する疼痛および炎症の治療に使用するための化合物E−6087である。
本発明で提供される週間投与計画は、イヌの骨関節炎誘導モデルにおける変形性関節疾患に関連する疼痛および炎症の治療に有効であることを示した。これらの例において示された結果は、1〜6mg/体重kgの範囲のE−6087の週間投与計画が初回の用量投与後1週間前後で跛行および疼痛を劇的に軽減し、その時点から跛行および疼痛を全面的に制御できることを実証する。
本明細書に提供される維持週間投与計画に加え、E−6087の所望の効果を早期に達成するために初期負荷用量が使用され得る。
負荷用量または維持用量計画は、そうではないことが明示されなければ常に体重kg当たりの製剤のmg(またはmg/体重kg)を意味する。
週間投与計画は、所望の効果を達成するためには1〜6mg/体重kgというE−6087の維持用量が7日単位で投与されなければならないことを意味する。確立された投与計画から投与が延期されるほど、治療の有効性は低くなる。良好な治療結果のためには、投与計画の遵守が不可欠である。しかしながらやはり、本発明に記載される週間投与計画は、合理的な安全圏で、用量投与間の合理的時間を組み合わせる、ひいては治療遵守を助長する利点を有する。
負荷用量は、2〜12mg/体重kgの初期用量であり、これを治療の開始時、すなわち、治療の初日に、または2用量に分割される場合には、好ましくは、治療の初日と2日目に投与しなければならない。負荷用量は所望の効果の早期達成を求めるものであり、その使用は特に重篤な症例に好適である。
本発明の文脈では、変形性関節疾患は、関節軟骨および軟骨下骨の進行性の欠損をもたらす疾患である。変形性関節疾患の原因は様々であり、遺伝的、発達的、代謝的および機械的欠損を含み得る。症状としては、関節痛、圧痛、硬直、ロッキング、および時には滲出を含み得る。最も一般的には、変形性関節疾患は骨関節炎として知られるが、それは通常疼痛を引き起こす変性過程を含む他の疾患も含み得る。
変形性関節病態は、本発明では、肢に骨関節炎を患っている動物における、例えば跛行などの変形性関節疾患を患う対象に生じる状態または症状と理解される。
本発明の第1の態様は、変形性関節疾患または病態に関連する疼痛および炎症の治療において1〜6mg/体重kgの維持週間投与計画で使用するための化合物E−6087である。
本発明の特定の実施態様では、化合物E−6087は、変形性関節疾患または病態に関連する疼痛および炎症の治療のために1.5〜4.5mg/体重kgから選択される維持週間投与計画で使用される。
さらにより特定的な実施態様では、維持週間投与計画は4mg/体重kgである。
別のさらにより特定的な実施態様では、維持週間投与計画は2mg/体重kgである。
特定の特に好ましい実施態様では、維持週間投与計画にE−6087の初期負荷用量が先行する。
維持週間投与計画に先行するE−6087の負荷用量の使用は、重篤な症例にまたは変形性関節疾患に関連する急性〜慢性の疼痛/炎症を治療するために最適である。負荷用量の使用は、E−6087の所望の効果の早期達成を可能とする。
負荷用量は、治療の1日目に一度にまたは2用量に分割して投与してよく、初回は治療の初日に投与され、2回目は治療の2日目に投与されるか、または1回目および2回目を同じ日の異なる時点で投与される。いずれにせよ、負荷用量は常に治療の開始時に投与され、週間投与計画に先行する。
E−6087の負荷用量は約2〜12mg/体重kg、より好ましくは、約3.5〜9mg/kgである。
特定の好ましい実施態様では、E−6087の維持用量計画に、8mg/kg1回または4mg/kg2回で投与されるE−6087の負荷用量8mg/体重kgの投与が先行する。負荷用量が1回投与される場合、それは治療の初日に投与しなければならない。負荷用量が4mg/kgの2用量で投与される場合、治療の同一開始日内の異なる時点で投与されてよい。別法として、4mg/kgの初回用量が治療の開始日に1回、2回目が翌日に投与されてよい。
この特定の実施態様では、E−6087の負荷用量は好ましくは、8mg/体重kgで1回投与されるか、または2用量の4mg/体重kgで投与される場合には、好ましくは、初回用量が治療の開始日に投与され、2回目が翌日に投与される。
8mg/体重kgのE−6087の負荷用量が8mg/kgで1回、または4mg/kgで2回投与される特定の実施態様では、治療には4mg/体重kgのE−6087の週間維持用量が続く。
本発明の別の特定の好ましい実施態様では、E−6087の維持用量には、4mg/kgで1回または2mg/kgで2回投与される4mg/体重kgのE−6087の負荷用量の投与が先行する。負荷用量が1回投与される場合、それは治療の初日に投与されなければならない。負荷用量が2用量の2mg/kgで投与される場合には、それは治療の同一開始日内の異なる時点で投与されてよい。別法として、治療の開始日に初回用量の2mg/kgが1回、2回目が翌日に投与されてよい。
この特定の実施態様では、E−6087の負荷用量は、好ましくは、4mg/体重kgで1回投与されるか、または2用量の2mg/体重kgで投与される場合には、好ましくは、初回用量が治療の開始日に投与され、2回目が翌日に投与される。
4mg/体重kgのE−6087の負荷用量が4mg/kgで1回、または2mg/kgで2回投与される特定の実施態様では、治療には2mg/体重kgの週間維持用量が続く。
本発明の特定の実施態様では、化合物E−6087は、加えて初期負荷用量が存在する場合の、変形性関節疾患または病態に関連する疼痛および炎症の治療に使用される。
上記に一般に述べたように、本発明の特定の特に好ましい実施態様は、前記使用が(初期)負荷用量を含む変形性関節疾患または病態に関連する疼痛および炎症の治療に使用される場合である。
より特定的には、化合物E−6087は、変形性関節疾患または病態に関連する疼痛および炎症の治療に、2〜12mg/体重kgまでで選択される負荷用量で使用される。
より特定的な好ましい実施態様では、E−6087の負荷用量は約3.5〜9mg/体重kgである。
特に好ましい実施態様では、E−6087の負荷用量は、約8mg/体重kgである。
さらにより特に好ましい実施態様では、8mg/体重kgの負荷用量は、1用量の8mg/kgまたは2用量の4mg/kgからなる。
別の特に好ましい実施態様では、E−6087の負荷用量は、約4mg/体重kgである。
さらにより特に好ましい実施態様では、4mg/体重kgの負荷用量は、1用量の4mg/kgまたは2用量の2mg/kgからなる。
本発明の好ましい実施態様は、負荷用量が8mg/体重kgであり、週間投与計画が4mg/体重kgであるものである。
本発明の別の好ましい実施態様は、負荷用量が4mg/体重kgであり、週間投与計画が2mg/体重kgであるものである。
本発明の特定の実施態様では、化合物E−6087は、哺乳動物における変形性関節疾患または病態に関連する疼痛および炎症の治療のために、変形性関節疾患が骨関節炎である場合に上記で説明されたような治療投与計画に従って使用される。
別の特定の実施態様では、化合物E−6087は、哺乳動物における変形性関節疾患または病態に関連する疼痛および炎症の治療のために、変形性関節病態が跛行である場合に以上に説明されたような治療投与計画に従って使用される。
化合物E−6087はいずれの種類の哺乳動物に対しても、変形性関節疾患または病態に関連する疼痛および炎症の治療のために以上に説明されたような治療投与計画に従って使用可能であるが、それはイヌの治療に特に有用である。
別の態様では、本発明は、1〜6mg/体重kgのE−6087の維持週間投与計画の投与を含んでなる、哺乳動物における変形性関節疾患または病態に関連する疼痛および炎症の治療のための方法に関する。
特定の実施態様では、本発明の治療のための方法は、1.5〜4.5mg/体重kgまでで選択されるE−6087の維持週間投与計画の投与を含んでなる。
さらにより特定的な実施態様では、治療方法は、4mg/体重kgのE−6087の維持週間投与計画の投与を含んでなる。
別のさらにより特定的な実施態様では、治療方法は、2mg/体重kgのE−6087の維持週間投与計画の投与を含んでなる。
本発明の方法の特定の特に好ましい実施態様では、維持週間投与計画に、E−6087の初期負荷用量の投与が先行する。
週間維持用量に先行するE−6087の負荷用量は、重篤な症例の治療方法にまたは変形性関節疾患に関連する急性〜慢性の疼痛/炎症を治療するために最適である。負荷用量を含んでなる治療方法は、E−6087の所望の効果の早期達成を可能とする。
本発明の治療方法は、約2〜12mg/体重kg、より好ましくは、約3.5〜9mg/kgのE−6087の負荷用量を含んでなり得る。
特定の好ましい実施態様では、本発明の方法において、E−6087の維持用量計画には、1回または4mg/kgで2回投与される8mg/体重kgのE−6087の負荷用量の投与が先行する。負荷用量が1回投与される場合、それは治療の初日に投与されなければならない。負荷用量が2用量の4mg/kgで投与される場合には、それは治療の同一開始日内の異なる時点で投与されてよい。別法として、治療の開始日に初回用量の4mg/kgが1回、2回目が翌日に投与されてよい。
本発明の方法のこの特定の実施態様では、E−6087の負荷用量は、好ましくは、8mg/体重kgで1回投与され、または2用量の4mg/体重kgで投与される場合には、好ましくは、初回用量が治療の開始日に、2回目が翌日に投与される。
8mg/体重kgE−6087の負荷用量が8mg/kgで1回または4mg/kgで2回投与され方法の特定の実施態様では、治療には4mg/体重kgのE−6087の週間維持用量が続く。
本発明の方法の別の特定の好ましい実施態様では、E−6087の維持用量には、4mg/kgで1回または2mg/kgで2回投与される4mg/体重kgのE−6087の負荷用量の投与が先行する。負荷用量が1回投与される場合、それは治療の初日に投与されなければならない。負荷用量が2用量の2mg/kgで投与される場合には、それは治療の同一開始日内の異なる時点で投与されてよい。別法として、治療の開始日に初回用量の2mg/kgが1回、2回目が翌日に投与されてよい。
方法のこの特定の実施態様では、E−6087の負荷用量は、好ましくは、4mg/体重kgで1回投与され、または2用量の2mg/体重kgで投与される場合には、好ましくは、初回用量が治療の開始日に投与され、2回目が翌日に投与される。
4mg/体重kgのE−6087の負荷用量が4mg/kgで1回または2mg/kgで2回投与される方法の特定の実施態様では、治療には2mg/体重kgの週間維持用量が続く。
上記に一般に述べたように、本発明の特定の特に好ましい実施態様は、治療方法が初期負荷用量の化合物E−6087の投与を含んでなる場合である。
本発明の好ましい実施態様では、本発明の治療方法は、約2〜12mg/体重kgのE−6087の負荷用量の投与を含んでなる。
さらにより特定的な好ましい実施態様では、本発明の治療方法は、約3.5〜9mg/体重kgのE−6087の負荷用量の投与を含んでなる。
特に好ましい実施態様では、本発明の治療方法は、約8mg/体重kgのE−6087の負荷用量の投与を含んでなる。
別の特に好ましい実施態様では、本発明の治療方法は、約4mg/体重kgのE−6087の負荷用量の投与を含んでなる。
さらにより特に好ましい実施態様では、本発明の治療方法は、8mg/kgで1回または4mg/kgで2回投与される約8mg/体重kgのE−6087の負荷用量の投与を含んでなる。
別のさらにより特に好ましい実施態様では、本発明の治療方法は、4mg/kgで1回または2mg/kgで2回投与される約4mg/体重kgのE−6087の負荷用量の投与を含んでなる。
本発明の好ましい実施態様では、本発明の治療方法は、8mg/体重kgの負荷用量の投与を含んでなり、週間投与計画は4mg/体重kgである。
別の好ましい実施態様では、本発明の治療方法は、4mg/体重kgの負荷用量の投与を含んでなり、週間投与計画は2mg/体重kgである。
治療方法の別の好ましい実施態様では、負荷用量は、治療の初日に1回投与される。
治療方法のさらに別の好ましい実施態様では、負荷用量は、治療の同一開始日内の異なる時点で2用量で投与される。
治療方法のさらに別の好ましい実施態様では、負荷用量は2用量で投与され、初回用量は治療の開始日に1回、2回目の用量は翌日に投与される。
治療方法の特に好ましい実施態様では、2回の4mg/kgの負荷用量は、治療の同一開始日内の異なる時点で投与される。
治療方法の別の特に好ましい実施態様では、2回の2mg/kgの負荷用量は、治療の同一開始日内の異なる時点で投与される。
好ましい実施態様では、負荷用量は、2用量の4mg/kgで投与され、4mg/kgの初回用量が治療の初日に、2回目の用量が翌日に投与される。
本発明の方法の特定の実施態様では、化合物E−6087は、哺乳動物における変形性関節疾患または病態に関連する疼痛および炎症の治療のために、変形性関節疾患が骨関節炎である場合に上記で説明されたような治療投与計画に従って投与される。
本方法の別の特定の実施態様では、化合物E−6087は、哺乳動物は、変形性関節疾患または病態に関連する疼痛および炎症の治療のために、変形性関節病態が跛行である場合に以上に説明されたような治療投与計画に従って投与される。
以上に説明されたような治療投与計画に従って化合物E−6087を投与することによる変形性関節疾患または病態に関連する疼痛および炎症の治療のための方法はいずれの種類の哺乳動物にも適用可能であるが、それはイヌの治療に特に有用である。
本発明のさらなる態様は、1〜6mg/体重kgの維持週間投与計画での変形性関節疾患または病態に関連する疼痛および炎症の治療のための薬剤の調製のための化合物E−6087の使用である。
本発明の特定の実施態様では、化合物E−6087は、変形性関節疾患または病態に関連する疼痛および炎症の治療のための薬剤の調製のために1.5〜4.5mg/体重kgの維持週間投与計画で使用される。
さらにより特定的な実施態様では、維持週間投与計画は、4mg/体重kgである。
さらにより特定的な実施態様では、維持週間投与計画は、2mg/体重kgである。
本発明の特に好ましい実施態様では、化合物E−6087は、加えて初期負荷用量が存在する場合の変形性関節疾患または病態に関連する疼痛および炎症の治療のための薬剤の調製のために使用される。
本発明の特定の実施態様では、化合物E−6087は、前記使用が初期負荷用量を含む場合の変形性関節疾患または病態に関連する疼痛および炎症の治療のための薬剤の調製のために使用される。
特定の特に好ましい実施態様では、化合物E−6087は、E−6087の維持週間投与計画および負荷用量での変形性関節疾患または病態に関連する疼痛および炎症の治療のための薬剤の調製のために使用される。
薬剤の調製におけるE−6087の負荷用量の使用は、重篤な症例の治療方法にまたは変形性関節疾患に関連する急性〜慢性の疼痛/炎症を治療するために最適である。負荷用量の使用は、E−6087の所望の効果の早期達成を可能とする。
薬剤の調製のためのE−6087の使用では、負荷用量は、治療の初日の1回投与のためであってもよく、または2用量に分割してもよく、初回は初日に投与され、2回目は治療の2日目に投与されるか、または初回と2回目は同一日の異なる時点で投与される。いずれにせよ、負荷用量は常に治療の開始時に投与され、週間投与計画に先行する。
特定の好ましい実施態様では、E−6087は、E−6087の維持用量計画に、8mg/kgで1回または4mg/kgで2回投与される8mg/体重kgのE−6087の負荷用量の投与が先行する場合の、薬剤の調製において使用される。負荷用量が1回投与されるように調製される場合、それは治療の初日に投与されなければならない。負荷用量が2用量の4mg/kgで投与されるように調製される場合、それは治療の同一開始日内の異なる時点で投与されてよい。別法として、4mg/kgの初回用量が、治療の開始日に1回、2回目が翌日に投与されるように調製されてよい。
この特定の実施態様では、E−6087は、E−6087の負荷用量が好ましくは、8mg/体重kgで1回投与され、または2用量の4mg/体重kgで投与される場合には、好ましくは、初回用量が治療の開始日に、2回目が予翌に日投与される場合の薬剤の調製のために使用される。
E−6087が、8mg/kgで1回または4mg/kgで2回投与されるように8mg/体重kgのE−6087の負荷用量での薬剤の調製のために使用される場合の特定の実施態様では、治療には4mg/体重kgのE−6087の週間維持用量が続く。
本発明の別の特定の好ましい実施態様では、E−6087は、E−6087の維持用量に4mg/kgで1回2mg/kgで2回投与される4mg/体重kgのE−6087の負荷用量が先行する場合の薬剤の調製において使用される。負荷用量が1回投与されるように調製される場合、治療の初日に投与されなければならない。負荷用量が、2用量の2mg/kgで投与されるように調製される場合、それは治療の同一開始日内の異なる時点で投与されてよい。別法として、2mg/kgの初期用量が治療の開始日に1回、2回目が翌日に投与されるように調製されてよい。
この特定の実施態様では、E−6087は、E−6087の負荷用量が好ましくは、4mg/体重kgで1回または投与され、2用量の2mg/体重kgで投与される場合には、好ましくは、初回用量が治療の開始日に投与され、2回目が翌日に投与される場合の薬剤の調製に使用される。
E−6087が4mg/kgで1回または2mg/kgで2回投与される4mg/体重kgのE−6087の負荷用量での薬剤の調製に使用される特定の実施態様では、治療には2mg/体重kgの週間維持用量が続く。
本発明の特定の実施態様では、化合物E−6087は、変形性関節疾患または病態に関連する疼痛および炎症の治療のための薬剤の調製のために、2〜12mg/体重kgまでで選択される負荷用量で使用する。
さらにより特定的な好ましい実施態様では、薬剤の調製に使用されるE−6087の負荷用量は、約3.5〜9mg/体重kgである。
特に好ましい実施態様では、薬剤の調製に使用されるE−6087の負荷用量は、約8mg/体重kgである。
さらにより特に好ましい実施態様では、8mg/体重kgの負荷用量は、1用量の8mg/kgまたは2用量の4mg/kgからなる。
別の特に好ましい実施態様では、薬剤の調製に使用されるE−6087の負荷用量は、約4mg/体重kgである。
別のさらにより特に好ましい実施態様では、4mg/体重kgの負荷用量は、1用量の4mg/kgまたは2用量の2mg/kgからなる。
本発明の好ましい実施態様では、E−6087は、負荷用量が8mg/体重kgであり、週間投与計画が4mg/体重kgである場合の薬剤の調製に使用される。
別の好ましい実施態様では、E−6087は、負荷用量が4mg/体重kgであり、週間投与計画が2mg/体重kgである場合の薬剤の調製に使用される。
本発明の特定の実施態様では、化合物E−6087は、哺乳動物における変形性関節疾患または病態に関連する疼痛および炎症の治療のための薬剤の調製のために、変形性関節疾患が骨関節炎である場合に上記に説明されたような治療投与計画に従って使用される。
別の特定の実施態様では、化合物E−6087は、哺乳動物における変形性関節疾患または病態に関連する疼痛および炎症の治療のための薬剤の調製のために、関節病態が跛行である場合の以上に説明されたような治療投与計画に従って使用される。
化合物E−6087は、以上に説明されたような治療投与計画に従っていずれの種類の哺乳動物に対しての、変形性関節疾患または病態に関連する疼痛および炎症の治療のための薬剤の調製のためにも使用可能であるが、それはイヌの治療に特に有用である。
本発明の最後の目的は、1〜6mg/kgの維持週間投与計画でのその投与のために処方された化合物E−6087と少なくとも1種類の薬学上許容可能な賦形剤を含んでなる組成物により表される。
本発明の別の態様は、1〜6mg/kgの維持週間投与計画のために処方された化合物E−6087と少なくとも1種類の薬学上許容可能な賦形剤を含んでなる組成物である。
本発明の別の態様は、1〜6mg/kgの維持週間投与計画のための薬剤として処方された化合物E−6087と少なくとも1種類の薬学上許容可能な賦形剤を含んでなる組成物である。
賦形剤は、担体、支持材料、滑沢剤、増量剤、溶媒、希釈剤、着色剤、糖類などのフレーバーコンディショナー、酸化防止剤および/または凝着剤の中から選択することができる。坐剤の場合、これはワックスまたは脂肪酸エステルまたは保存剤、乳化剤および/または非経口適用のための担体を包含し得る。使用する賦形剤および量の選択は、医薬組成物の適用の形態によって異なる。
本発明による医薬組成物は、いずれの投与形態にも適合させることができ、経口または非経口的に、例えば、肺(pulmonarily)、鼻腔、直腸および/または静脈内投与である。
好ましくは、本組成物は経口投与に好適である。
本発明の組成物は、好ましくは、錠剤、糖衣錠、カプセル剤、丸剤、チューインガム、散剤、滴剤、ゲル、ジュース、シロップ、溶液および懸濁液からなる群から選択されるいずれの形態で経口投与向けに処方することもできる。
経口投与用の本発明の組成物はまた、多粒子、好ましくは、微粒子、マイクロ錠剤、ペレットまたは顆粒の形態であり、場合により打錠して錠剤とされ、カプセルに充填され、または好適な液体に懸濁されてもよい。好適な液体は当業者に既知である。
非経口適用に好適な製剤は、溶液、懸濁液、再構成乾燥製剤またはスプレーである。
本発明の化合物は、経皮適用のための溶解形態またはパッチにおける付着剤として処方することができる。
皮膚適用としては、軟膏、ゲル、クリーム、ローション、懸濁液またはエマルションが含まれる。
直腸適用の好ましい形態は、坐剤の手段によるものである。
本発明による組成物は、当業者に公知の標準的手順に従って調製され得る。
以下に記載されるのは、本発明の実例としてのいくつかの例であり、これらは本発明を何ら限定するものではない。
試験モデル
試験モデル1: イヌにおける急性関節炎誘導
異なる投与計画下でE−6087の有効性を評価するために、バリデートされたイヌの関節炎試験モデルを用いて2つの試験を行った。実施例1および2と題した両試験において、E−6087は、純粋な散剤としてのそのラセミ形態で投与した。
2つの試験で使用した試験モデルは同じであり、それはイヌの後膝(大腿脛骨)関節における尿酸結晶懸濁液の接種による急性関節炎の誘導からなる。陰性対照(非処置)犬では、これは、接種2時間後移行から検出可能な、総持続時間およそ8〜10時間の重度の跛行に至る一過性の炎症性/有痛反応をもたらす。治療投与後の所与の時点でのこの反応の部分的阻害または完全阻害は、その薬理効果にある。
この関節炎モデルのプロトコールを以下の段落で説明する。
抗炎症および鎮痛作用を評価するために使用した可逆的尿酸結晶由来関節炎モデルのプロトコール
次の例で使用した可逆的尿酸結晶関節炎モデルは、従前に文献に記載されている[Toutain P.L. et al. J. Vet. Pharmacol. Therap. 24, 43-55, 2001]。
10mg.mL−1濃度の尿酸ナトリウム結晶懸濁液を次のように調製した:
・尿酸ナトリウム塩(Sigma)を100mLの目盛り付きフラスコに秤量した。
・0.9%NaCl溶液を加えて終容量100mLとした。
・この懸濁液を、およそ5分間ボルテックスにかけ、5分間磁気撹拌した後、およそ1時間音波処理を施すことにより室温で混合した。
・この懸濁液を1.5mLバイアルに分注した後、120℃で2時間オートクレーブにかけた。
・最後に、この懸濁液を、5分間ボルテックスにかけ、およそ1時間音波処理を施すことにより混合した。
関節内注射は、前投薬を行わない静脈経路により、6.5mg.kg−1のプロポフォール用量でプロポベット(Propovet)多用量を用いた全身麻酔下で行った。この誘導投薬は、約10分の意識消失の期間での即効麻酔とおよそ30分以内の完全回復をもたらすことを意図したものであった。ほとんどのイヌでは、適当な麻酔を維持するためにプロポベット多用量(半用量)を再注射した。
尿酸結晶注射は総て、後膝(大腿脛骨)関節に導入した。関節内注射は、30mm長および1mm径の無菌針と2.5mLシリンジを用いて無菌条件下で行った。関節穿刺が上手くいったかどうか、滑膜吸引により関節を確認した。1ミリリットルの尿酸結晶懸濁液を各関節内注射に用いた。
非処置動物おいて、誘導される炎症性プロセスの期間はおよそ16〜24時間、最大跛行の平均時間は誘導後2〜3時間と予想された。
試験項目の抗炎症作用および鎮痛作用を評価するため、関節炎の2つの臨床徴候、跛行および疼痛をそれぞれ調べた。それらの強度は、以下のスコア化を用いて決定した。
Figure 0006655625
試験モデル2: 自然獲得骨関節炎を有するイヌ
実地条件下で自然に発生した骨関節炎を有するイヌにおけるE−6087の有効性を評価するために1つの試験(実施例3と題した)を行った。E−6087は錠剤で投与した。
この試験に含まれるイヌでは、以下の判定基準を満たさなければならない:
1.いずれの試験活動でも開始前に飼い主の同意が得られていること。
2.平均≧12か月。
3.体重≧5kg。
4.1つ(脊髄関節、頭蓋、および脊椎を含む脊椎以外)または複数の関節に関して少なくとも3週間、骨関節炎の臨床徴候。
5.X線像によるイヌの骨関節炎の存在の確認。イヌの骨関節炎の存在のX線像が得られなかった場合には、イヌが罹患関節の骨関節炎の証拠を示すために登録前に撮影したX線(または同等のもの、例えば、スキャン)を有していること。
6.最小臨床合計スコア(CSS)≧6。2つ以上の関節がOAに罹患していた場合には、最も重度の罹患関節(脊椎以外)がその後、有効性に関して評価されていること。
包含されれば、イヌは治療群に無作為に割り付けた。ある医師が2つの異なる投与計画下で動物へのプラセボまたはE−6087の投与を担当し、別の医師が42日の経過観察中、臨床徴候の進行の評価を盲検により担当した。
姿勢、歩行時の跛行、速歩時の(at rot)跛行および触診/操作時の疼痛に関する、この順序での臨床評価を含む、経過観察中のいくつかの時点での疼痛および跛行の評価に、臨床合計スコア(CSS)を使用した。CSSは、個々のスコアの合計とした。
Figure 0006655625
実施例
実施例1:イヌにおける急性関節炎誘導後のE−6087の経口投与の有効性評価
本試験は、イヌにおいて4mg/kgのE−6087の単回経口用量後に達成されたE−6087の血中レベルが何らかの短期および/または長期抗炎症作用および鎮痛作用を有するかどうかを判定するために計画された。さらに、血中のこの分子の蓄積に由来する効果を評価するために、2回目の用量のE−6087 4mg/kgを投与した。本試験の総期間は28日であった。
本試験は、無作為に3群に配分した7個体の雄ビーグル犬で行った。対照群のイヌにはいずれの処置も施さず、処置群のイヌにはDOおよびD12に4mg/kgのE−6087を施した。
Figure 0006655625
試験中、各イヌに4回の機会で関節炎誘導モデルを実装した:
I群のイヌでは、0日目、7日目、14日目**および21日目。
II群のイヌでは、2日目**、7日目、14日目**および21日目。
III群のイヌでは、0日目、14日目および28日目。
生成物投与の2時間後
**E−6087投与の48時間後、E−6087の有意な血中レベルが達成される。
所内倫理委員会の推奨に従い、初回および3回目の接種を右後膝に行い、2回目および4回目の接種は左後膝に行った。各関節炎誘導日に、処置の抗炎症および鎮痛有効性を種々の時点で評価した(接種直前、0.5、1、2、3、4、6、9および12時間後)。各時点でのスコア化を使用して、視覚的跛行(直立時と歩行時)および触診時の疼痛(接種した後膝)の、関節炎の2つの臨床徴候を評価した。このパラメーターの中央値、最小値および最大値を各群の各時点で決定した。E−6087の血中濃度を決定するため、群IおよびIIのイヌで、試験中、種々の時点で血液のサンプリングを行った。
結果:
跛行評価: 図1は、跛行評価の結果を示す。対照群では、跛行は、各誘導後に最高スコアに達した。しかしながら、処置群では、E−6087の初回4mg/kg用量の2時間後には、跛行は全く制御されなかったが、7日目に若干制御され、E−6087の2回目の4mg/kg用量の後(D14およびD21)に完全に制御された。
疼痛評価: 図2は、疼痛評価の結果を示す。対照群では、疼痛は各誘導後に最高スコアの半分に達した。しかしながら、処置群では、E−6087の初回4mg/kg用量の2時間後には、疼痛は全く制御されなかったが、7日目に若干制御され、E−6087の2回目の4mg/kg用量の後(D14およびD21)に完全に制御された。
これらの結果は、2回目の4mg/kg用量(初回用量の12日後に投与)後に達成されたE−6087の累積的血中濃度が、少なくとも9日間持続する急速な抗炎症/鎮痛作用をもたらすことを示す。E−6087で処置したイヌからの血液サンプルのその後の分析により、化合物の2回目の用量の投与の後の血漿レベルにおける上昇が確認された。
E−6087投与に関連する有害反応が無いことが本試験により認められた。
結論:
本試験で見られた結果から次の総合的結論に至る:
2用量の4mg/kg E−6087は、およそ12日内に、臨床上有効なE−6087血中濃度に達する必要がある。
4mg/kgでのE−6087の反復投与は、およそ12日内に、実験的に誘導された跛行および疼痛を段階的に制御するようにイヌを助ける。結論として、それは療法を必要とする慢性病態のための有用な治療と見なすことができる。
実施例2: イヌにおける急性関節炎誘導後の負荷用量および維持用量のE−6087の経口投与の有効性評価
本試験は、E−6087の2つの異なる処置計画の有効性を評価するために計画された。両場合とも、負荷用量、次いで、週間維持用量を投与した。
本試験は、無作為に4群に配分した13〜35か月齢および体重9.45〜13.02kgの13個体の雄ビーグル犬で行った。
Figure 0006655625
試験中、各イヌに3回の機会で関節炎誘導モデルを実装した:
群Aのイヌでは、2日目、9日目および23日目。
群Bのイヌでは、4日目、14日目(処置前)および28日目。
群Cのイヌでは、0日目(処置2時間後)、9日目および21日目(処置前)。
群Dのイヌでは、0日目、14日目および28日目。
所内倫理委員会の推奨に従い、初回および3回目の接種を右後膝に行い、2回目および4回目の接種は左後膝に行った。各関節炎誘導日に、処置の抗炎症および鎮痛有効性を種々の時点で評価した(接種直前、0.5、1、2、3、4、6、9および12時間後)。
各時点でのスコア化を使用して、視覚的跛行(直立時と歩行時)および触診時の疼痛(接種した後膝)の、関節炎の2つの臨床徴候を評価した。このパラメーターの中央値、最小値および最大値を各群の各時点で決定した。直立および歩行時の跛行スコアの合計として決定した複合視覚的跛行スコアを計算し、最終的に有効性評価に用いた。このパラメーターの中央値、最小値および最大値を各群の各時点で決定した。
E−6087の血中濃度を決定するため、また、それを見られた薬理学的効果と関連付けるために、群A、BおよびCのイヌで、試験中、種々の時点で血液のサンプリングを行った。
結果:
非処置群(群D)では0日目、14日目および28日目の関節炎誘導の後に重度の炎症性/有痛性反応が見られ、これにより、使用した関節炎試験モデルの妥当性が確認された(図3)。
群AおよびB(処置計画I)のイヌでは、軽度炎症性/有痛性反応が最初の2週間(2日目、4日目および9日目)に実施された関節炎誘導の後に見られ、14日目、23日目および28日目に実施された誘導の後には、反応は見られなかった(または極めて軽度の反応しか見られなかった)。これは、この群において負荷用量(0日目および1日目の4mg/kg)の後に達成されたE−6087の血中濃度は、4mg/kgの週間維持用量での処置計画を続けながら抗炎症効果を達成するために十分であり、E−6087の十分な血中レベルが迅速に達成され、従って、実験的に誘導された関節炎に関連する跛行を抑制することを示す。
他方、群C(処置計画II)のイヌでは、0日目(8mg/kgの負荷用量の2時間後)に実施された関節炎誘導の後に重度の炎症性/有痛性反応が見られたが、4mg/kgの週間維持用量での処置計画を続けながら9日目以降に見られた反応は極めて軽度であった。9日目に、この反応は同時点で群Aに見られたものにまで低下した。結局、E−6087の有効性は、処置計画II(8mg/kgの単回負荷用量)を実施した場合により早く現れると思われた。
E−6087の反復投与の段階的な抗炎症/鎮痛作用を証明する群A、BおよびCの総合的結果を図4にまとめる。
結論:
軽度の症例または慢性の疼痛/炎症の処置には毎週1回の4mg/kgの処置計画で十分であり得ると結論づけられた。E−6087を用いたより重度の症例または急性〜慢性の疼痛/炎症の処置に最も好適な処置計画は、8mg/kgの単回負荷用量または4m/kgの2連続負荷用量と、それぞれその後数回の4mg/kgの維持用量であった。負荷用量の使用はまた、薬剤の所望の効果を早期に達成するためにも最適であり得る。図5は、イヌにおける6087の8mg/kgの負荷用量、次いで、毎週の4mg/kgの維持用量の投与の後の、関連する変動(90%信頼区間)を伴うE−6087の典型的な薬物動態プロフィールを表す。
群A、BおよびCの試験を通じてE−6087投与に関連する有害反応は見られなかった。
実施例3: 自然に発生骨関節炎を有するイヌにおける4mg/kgの負荷用量、次いで、2mg/kgの週間維持用量で投与されたE−6087の有効性評価
本試験は、実地条件下でのE−6087の有効性を評価するために計画された。E−6087は、4mg/kgの負荷用量、次いで、2mg/kgの週間維持用量で投与した。本試験は、対照、無作為化、盲検、多施設臨床試験として計画した。
E−6087群には合計60個体の骨関節炎犬が、プラセボ群には60個体の犬が含まれた。総てのイヌが42日の経過観察期間を経、0、7、14、28および42日目に跛行および疼痛の臨床評価を行った。各時点での跛行および疼痛パラメーターに関して臨床合計スコア(CSS)を計算した。
試験に登録するためには、総てのイヌが0日目に6以上の臨床合計スコア(CSS)が持っていなければならない。
結果
結果は、プラセボ群のイヌが経過観察期間中、CSSの段階的減少を受けたことを示した。しかしながら、この群の平均CSSはなお閾値6を上回っており、このことは跛行および疼痛の軽減が臨床上適切なものでないことを意味する。
他方、E−6087で処置したイヌは、0日目以降にCSSにより明著な減少を受け、この減少はプラセボ群と比較した場合、28日目までは統計的に有意であり(P<0.05)、42日目までは極めて有意であった(P<0.01)。これらの結果によれば、処置群の平均CSSは7日目〜14日目の間に閾値6を下回り、このことは跛行および疼痛の軽減が処置の開始後短期に臨床上適切なものとなることを意味する。
結論:
自然に発生した骨関節炎を有する動物において急性および/または慢性の疼痛/炎症を軽減するためには、4mg/kgの負荷用量の後に毎週1回の2mg/kgのEV−6087の処置計画で十分であり得ると結論づけられた。負荷用量の使用はまた、薬剤の所望の効果を早期に達成するためにも最適であり得る。

Claims (16)

  1. イヌにおける変形性関節疾患または病態に関連する疼痛および炎症の治療において、1〜6mg/体重kgの用量を毎週1回投与する維持週間投与計画で化合物E−6087を使用するための、化合物E−6087を含んでなる組成物。
  2. 維持週間投与計画において毎週1回投与される用量が1.5〜4.5mg/体重kgである、請求項1に記載の組成物。
  3. 維持週間投与計画において毎週1回投与される用量が4mg/体重kgまたは2mg/体重kgである、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記使用が、治療の開始時に2〜12mg/体重kgの用量を負荷用量として投与することを含前記開始時が、治療の初日、または2用量に分割される場合には治療の初日と2日目である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 前記負荷用量が約3.5〜9mg/体重kgである、請求項4に記載の組成物。
  6. 前記負荷用量が8mg/体重kgである、請求項4または5に記載の組成物。
  7. 8mg/体重kgの負荷用量が、8mg/体重kgの1用量または4mg/体重kgの2用量からなる、請求項6に記載の組成物。
  8. 前記負荷用量が4mg/体重kgである、請求項4または5に記載の組成物。
  9. 4mg/体重kgの負荷用量が、4mg/体重kgの1用量または2mg/体重kgの2用量からなる、請求項8に記載の組成物。
  10. 前記負荷用量が8mg/体重kgであり、維持週間投与計画において毎週1回投与される用量が4mg/体重kgである、請求項6または7に記載の組成物。
  11. 前記負荷用量が4mg/体重kgであり、維持週間投与計画において毎週1回投与される用量が2mg/体重kgである、請求項8または9に記載の組成物。
  12. 変形性関節疾患または病態が関節炎関連疾患または病態であり、好ましくは、前記疾患が骨関節炎であり、または前記病態が跛行である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
  13. イヌにおける変形性関節疾患または病態に関連する慢性の疼痛および炎症の治療のための、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
  14. イヌにおける変形性関節疾患または病態に関連する急性〜慢性の疼痛および炎症の治療のための、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。
  15. 少なくとも1種類の薬学上許容可能な賦形剤をさらに含んでなる、請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物。
  16. イヌにおける変形性関節疾患または病態に関連する疼痛および炎症を治療する方法であって、1〜6mg/体重kgの用量を毎週1回投与する維持週間投与計画に従って化合物E−6087を前記イヌに投与することを含んでなる、方法。
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