JP6653882B2 - ティシュペーパーの評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ティシュペーパーの評価方法に関し、特に、ティシュペーパーの使用感と物性値とに基づくティシュペーパーの使用感についての評価方法に関する。
ティシュペーパーの特性は、乾燥時や湿潤時の乾燥引張強度、破断伸び、坪量、紙厚、水分量さらにソフトネス(曲げ抵抗)、MMD(ピアノ線端子との摩擦の平均偏差)の等の物性値によって定まる。
一方、ティシュペーパーの使用感を評価するにあたっては、「柔らかさ」、「滑らかさ」、「丈夫さ」、「嵩高さ」といった各評価項目を設定し、その項目毎に基準試料との比較で複数の被験者が使用感を判断し、項目毎に数値化して評価する手法の官能評価が一般的である。
そして、従来、ティシュペーパーの設計・開発は、上記の「柔らかさ」、「滑らかさ」、「丈夫さ」、「嵩高さ」等の項目毎の官能評価と、その官能評価の所定の項目に影響を与えると判断される物性値に変動を生じさせるような原料調整や製法調整を行なう作業を繰り返して、行なわれることが多い。
しかし、ティシュペーパーは、非常に薄いクレープ紙であることなどから、実際の大規模な製造設備で試料を作製しなければならないことが多く、それゆえ、数種の項目の官能評価と試料作製とを繰り返す従来の設計・開発法では、開発速度を速めることが難しく、コストがかかるものであった。
さらに、ティシュペーパーのなかには、保湿薬液等の薬液が付与されたティシュペーパーがあり、このような薬液付与タイプのティシュペーパーの場合、特に、官能評価の所定の項目に影響を与える物性値が多岐に亘っていたり、さらにその物性値同士の関係も複雑であったりするため、その物性値の選択や、当該物性値に変動を生じさせるような原料調整や製法調整の態様も複雑で、その開発に時間がかかる。
さらに、市場に供されたティシュペーパーの官能評価を基準として、新たなティシュペーパーを設計・開発する場合、その基準となるティシュペーパーが自社製品ではない場合には、官能評価の所定の項目に影響を与える物性値等の特定が困難な場合もある。
また、従来のティシュペーパーの使用感を評価する官能評価は、項目毎の官能評価の基準が被験者毎に異なっている可能性が否定できない。例えば、ある被験者が感じる「柔らかさ」が、他の被験者が「滑らかさ」として、感じている可能性があり、被験者毎の評価結果にズレが内在している可能性がある。
このように、従来の複数種の官能評価に基づいてティシュペーパーの設計・開発する手法には、精度、開発速度、コストといった点に改善すべき点があり、ティシュペーパーの設計・開発には、ティシュペーパーの使用感を評価する新たな手法が求められていた。
特開平10−226986号公報 特開2003−24282号公報 特開2008−64722号公報
そこで、本発明の主たる課題は、従来のティシュペーパーの設計・開発の問題点を改善できる、ティシュペーパーの評価方法を提供することにある。
上記課題を解決するための手段及びそれらの作用効果は次記のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
異なる物性値の複数のティシュペーパーを一項目の官能評価によって順位付けし、この順位に基づいて前記複数のティシュペーパーの官能評価値を決定する官能評価値決定ステップと、
前記官能評価値を目的変数、ティシュペーパーの物性値を説明変数として、回帰分析により前記官能評価値と物性値との相関関係を求めて一定の相関関係があると評価される物性値を選出する回帰分析ステップと、
前記回帰分析ステップによって、前記官能評価値と一定の相関係数があると評価された物性値に基づいて、ティシュペーパーを評価する評価ステップと、
を有することを特徴とするティシュペーパーの評価方法。
〔請求項2記載の発明〕
前記回帰分析ステップにおいて選出する一又は複数の物性値を、決定係数R2が0.7以上である一つ又は複数の物性値とする請求項1記載のティシュペーパーの評価方法。
〔請求項3記載の発明〕
前記回帰分析ステップにおいて、目的変数との決定係数R2が0.7以上であり、かつ、説明変数同士の決定係数R2'が0.7未満である、複数の物性値を選出し、
その複数の物性値の重相関に基づいて、ティシュペーパーの品質を評価する、請求項1記載のティシュペーパーの評価方法。
〔請求項4記載の発明〕
前記評価ステップにおいて、前記官能評価値を目的変数とし、前記回帰ステップにおいて前記官能評価値と一定の相関係数があると評価された物性値である水分量、横方向の乾燥引張強度、動摩擦係数平均値の何れか一つを説明変数とする単相関に基づいて、ティシュペーパーを評価する請求項1又は2記載のティシュペーパーの評価方法。
〔請求項5記載の発明〕
前記評価ステップにおいて、前記官能評価値を目的変数とし、前記回帰ステップにおいて前記官能評価値と一定の相関係数があると評価された物性値である水分量と横方向の乾燥引張強度とを説明変数とする重相関、又は、前記官能評価値を目的変数とし、前記官能評価値と一定の相関係数があると評価された物性値である水分量と動摩擦係数平均値とを、説明変数とする重相関によって、ティシュペーパーを評価する請求項1又は3記載のティシュペーパーの評価方法。
〔請求項6記載の発明〕
ティシュペーパーの品質評価方法であって、
水分量と横方向の乾燥引張強度と動摩擦係数平均値の各物性値と、前記官能評価値との決定係数R2がそれぞれ0.7以上である場合に、前記評価ステップにおいて、下記評価式によって決定される評価値(T)に基づいて、ティシュペーパーを評価する請求項1記載のティシュペーパーの評価方法。
評価式:評価値(T)=(水分量)/((横方向の乾燥引張強度)×(動摩擦係数平均値))
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明に係るティシュペーパーの評価方法は、(1)異なる物性値の複数のティシュペーパーを官能評価によって順位付けし、この順位に基づいて前記複数のティシュペーパーの官能評価値を決定する官能評価値決定ステップと、(2)前記官能評価値を目的変数、ティシュペーパーの物性値を説明変数として、回帰分析によって前記官能評価値と物性値との相関関係を求める回帰分析ステップと、(3)前記回帰分析ステップによって、前記官能評価値と一定の相関係数があると評価された物性値に基づいて、ティシュペーパーを評価する評価ステップの、主に三つのステップを含む。
まず、第一の官能評価値決定ステップについて説明する。本発明に係る官能評価値決定ステップは、従来の「柔らかさ」、「滑らかさ」、「丈夫さ」、「嵩高さ」等の各項目に官能評価を行なったうえそれぞれについて評価するのではなく、複数のティシュペーパーを、各ティシュペーパーの「肌触り」を「好む」か「好まない」かなどの一項目の順位付けで評価する。
背景技術の欄でも述べたとおり、従来の複数の項目で官能評価を行なう場合、特にティシュペーパーのようなものでは、例えば、ある被験者が感じる「柔らかさ」を、他の被験者が「滑らかさ」として、感じている可能性があり、この被験者間における基準の感覚のズレが評価結果の精度・信頼を低下させる要因となる。
本発明に係る官能評価値決定ステップで行なう官能評価は、まず一項目で評価するため、項目毎の被験者間の感覚のズレが内在する余地はない。もちろん、単に評価項目が一項目であるだけでは、その一項目における被験者間の感覚のズレがあれば評価精度が高まらない。したがって、本発明に係る官能評価値決定ステップで行なう官能評価では、その評価項目は、例えば、上記のティシュペーパーの「肌触り」など、「柔らかさ」、「滑らかさ」、「丈夫さ」、「嵩高さ」等を包括する概念とするのが望ましい。そして、それについて「好む」「好まない」という観点のみで評価することで、被験者間の感覚のズレによる評価精度の低下が排除される。つまり、ある被験者が、ティシュペーパーの使用感について「柔らかさ」を重視し、また、ある被験者が「滑らかさ」を重視するという相違があっても、評価項目自体がそれらの感覚のズレを許容する「肌触り」という項目とし、しかもその項目一つについて「好む」「好まない」という点だけで評価することで、被験者間の感覚のズレが評価結果に与える影響を極めて小さくするのである。
本発明に係るティシュペーパーの評価方法では、この官能評価値決定ステップに係る官能評価が、従来の「柔らかさ」等の具体的な項目毎に行なうのではなく、そのティシュペーパーの「肌触り」等を「好む」「好まない」という点のみで評価するところが極めて特徴的である。
次に、この本発明に係る官能評価値決定ステップに係る官能評価の具体的な手順と官能評価値の算出は次のように行なう。まず、試料となる異なる物性値(紙質データ)の複数のティシュペーパーを、被験者毎に無作為の順で渡し、被験者に、洟をかむ、手で触る、清拭を行なうなど、被験者自身が決定した自由な方法でそのティシュペーパーを使用してもらう。そして、その被験者の自由な使用態様のもと、試料となる各ティシュペーパーの「肌触り」等の評価項目を「好む」、「好まない」といった基準で、順位付けする。順位付けは、試料数に応じて行ない、例えば、試料数が5であれば、1位5点、2位4点、3位3点、4位2点、5位1点というように順に自然数で点数を付けていく。そして、複数の被験者によって順位付けされた各試料について点数の総和を算出して官能評価値とする。従来の官能評価では各項目において被験者毎の平均値を採るのが一般的であるが、本発明に係る官能評価値は、総和とすることで評価の差の顕著性を出すようにする。
ここで、評価対象とする試料群は、ティシュペーパー全般的から選択することができるが、ティシュペーパーは、通常、坪量が13.0〜16.0g/m2程度と高く、薬液が付与されていない高級タイプと称される製品群、坪量が10.0〜13.0g/m2程度で、薬液が付与されていない汎用タイプ、薬液が付与されている薬液付与タイプ、その中でも、低塗布タイプ、高塗布タイプ、さらには、薬液の有無にかかわらず坪量が13.0〜18.0g/m2程度と高いことを特徴とする高品質タイプといった製品群に分けられることが多く、その製品群を前提として設計することが多い。また、そのような製品群毎に、特定の物性値が近似することが経験則的に知られている。したがって、本発明に係るティシュペーパーの評価方法では、上記製品群毎に分けて評価するのが望ましい。
次に、第二の回帰分析ステップについて説明する。回帰分析ステップでは、回帰分析によってティシュペーパーの物性値(紙質データ)と、前記官能評価値との相関を確認する。ティシュペーパーの物性値は、例えば、坪量、紙厚、密度、水分量、乾燥引張強度、湿潤引張強度、引張破断伸(伸び率)、ソフトネス、MMDなどの品質特性、静摩擦係数などの摩擦特性、薬液が付与されているティシュペーパーであれば薬含有量、薬液含有率などが挙げられる。本発明において官能評価値と相関を分析する物性値は、上記例に限定されるわけではないが、これらは、ティシュペーパーの性質の指標としてよく用いられるものであり、少なくとも上記例は、ティシュペーパーの特性を表わす物性値であり、本発明でいう物性値に該当する。なお、ティシュペーパーの主たる物性値(紙質データ)は、好ましい測定方法は次記のとおりである。
〔坪量〕
JIS P 8124(1998)に基づいて測定する。複数プライの場合は、各プライ毎に測定する。
〔紙厚〕
試験片をJIS P 8111(1998)の条件下で十分に調湿した後、同条件下でダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所製)を用いて測定する。複数プライの場合は、複数プライのまま測定する。より具体的な手順は、プランジャーと測定台の間にゴミ、チリ等がないことを確認してプランジャーを測定台の上におろし、前記ダイヤルシックネスゲージのメモリを移動させてゼロ点を合わせ、次いで、プランジャーを上げて試料を試験台の上におき、プランジャーをゆっくりと下ろしそのときのゲージを読み取る。このとき、プランジャーをのせるだけとする。プランジャーの端子は金属製で直径10mmの円形の平面が紙平面に対し垂直に当たるようにし、この紙厚測定時の荷重は、約70gfである。測定を10回行って得られる平均値とする。
〔密度〕
JIS P 8111 条件下において調湿させたティシュペーパーの坪量をプライ数倍した値を、ティシュペーパーの紙厚で除した値で、単位をg/cm3、小数点3桁で表す。
〔水分量〕
JIS P 8111(1998)の条件下で試料を調湿した後、JIS P 8127(1998)に基づいて測定する。
〔乾燥引張強度〕
JIS P 8113(1998)の引張試験に基づいて測定する。
〔湿潤引張強度〕
JIS P 8135(1998)の引張試験に基づいて測定する。
〔引張破断伸(伸び率)〕
JIS P 8113(1998)の引張試験に基づいて測定する。ミネベア株式会社製「万能引張圧縮試験機 TG−200N」が用いられる。
〔ソフトネス〕
JIS L 1096 E法に準じたハンドルオメータ法に基づいて測定する。但し、試験片は100mm×100mmの大きさとし、クリアランスは5mmとする。1プライで縦方向、横方向の各々5回ずつ測定し、その全10回の平均値を、cN/100mmを単位として表す。
〔MMD〕
摩擦子の接触面を所定方向に20g/cmの張力が付与された測定試料の表面に対して25gの接触圧で接触させながら、張力が付与された方向と略同じ方向に速度0.1cm/sで2cm移動させ、このときの、摩擦係数を、摩擦感テスター KES−SE(カトーテック株式会社製)を用いて測定する。その摩擦係数を摩擦距離(移動距離=2cm)で除した値がMMDである。摩擦子は、直径0.5mmのピアノ線Pを20本隣接させてなり、長さ及び幅がともに10mmとなるように形成された接触面を有するものとする。接触面には、先端が20本のピアノ線P(曲率半径0.25mm)で形成された単位膨出部が形成されているものとする。
〔摩擦特性〕
本発明に係るティシュペーパーの評価方法に係る物性値の特に摩擦特性として、動摩擦係数平均値、動摩擦係数最大値、動摩擦係数最小値、振動数、摩擦周期等の動摩擦特性も挙げられる。これらの摩擦特性は、これまでティシュペーパーの物性を示す一般的な物性値、さらに官能性との関係といった観点から注目されていなかったものであるが、本発明者は、上記各摩擦特性が、本発明に係るティシュペーパーの評価方法において採用しうるものであることを確認しており、これらの摩擦特性も、本発明に係るティシュペーパーの評価方法に適する物性値である。
動摩擦係数平均値、動摩擦係数最大値、動摩擦係数最小値、振動数、摩擦周期については、ピンオンプレート型摩擦試験装置を用い、その接触子を人の指先程度の接触面積、人の指程度の硬度の軟質ウレタン素材、さらにそのウレタン素材に人の指紋程度の溝を形成したものとするのが望ましい。なお、ティシュペーパーの特性上、各摩擦特性の測定は、プレート上にティシュペーパーの一縁を固定して、固定方向から非固定方向に向かって、往復摺動させるのではなく、一方摺動して行なうのが望ましい。係る測定を行なう装置の具体例としては、例えば、株式会社トリニティラボ社製、トライボマスター TYPE μv1000が挙げられ、この装置において接触子を「感覚接触子」として測定するのが望ましい。測定は、すべり速度として0.1〜100.0mm/s、垂直荷重として0〜1kgf、すべり距離として1〜200mmから各々適宜選択することができる。本発明における測定条件としては、すべり速度1.0mm/s、垂直荷重50gf、すべり距離5.0mm、実験室温20℃、実験室湿度20RH%、潤滑状態は大気中無潤滑である。
ここで、本発明に係る回帰分析ステップで行なう、回帰分析は、上記の官能評価値を目的変数(従属変数)とし、適宜選択した各物性値を説明変数(独立変数)として、単回帰分析又は重回帰分析を行なう。本発明者等は、各種ティシュペーパーを製品群毎に、上記特徴的な本発明の官能評価を行なってその官能評価値を決定し、上記例示した物性値との単相関を確認したところ、決定係数R2が0.300〜0.920の範囲に収まり、概ね決定係数R2が0.7以上であると相関が高いことを確認している。したがって、単回帰分析であれば、決定係数R2が0.7以上である一つ又は複数の物性値を採用し、重回帰分析であれば、物性値間の独立性を考慮して、単相関での決定係数R2が0.7以上であり、かつ、説明変数となる物性値同士の決定係数R2'が0.7未満となる、二つの物性値を採用する。なお、決定係数の算出式は、一般式でよく、また、最小二乗法、有意水準5%を採用する。
以上のようにして、本発明に係る回帰分析ステップでは、官能評価値決定ステップで決定した官能評価値と、ティシュペーパーの各種物性値との相関を確認して、官能評価値と高い相関を示す物性値を選出する。
次に、第三の評価ステップについて説明する。評価ステップでは、前記回帰分析ステップによって、前記官能評価値と一定の相関があると評価された物性値に基づいて、ティシュペーパーを評価する。この評価は、例えば、回帰分析ステップで選出された物性値が本発明に係る官能評価との関係で、正の相関であるか負の相関であるかを考慮して、その回帰式に基づいて評価したり、重回帰分析の結果に基づいて評価する。また、その選択された物性値を用いた評価式を決定して行なっても良い。本発明に係るティシュペーパーの評価方法では、ある試料群において本発明に係る被験者毎の差が小さい官能評価による値と相関が高い一つ又は複数の物性値のみでティシュペーパーを評価でき、しかもその信頼性が高い。そして、本発明に係るティシュペーパーの評価方法は、繰り返しの官能評価を行なう必要なく、一度の信頼性の高い官能評価に対する相関の高い選定した特定の物性値のみを基準とするため、ティシュペーパーを設計・開発する際に、その特定の物性値の変動だけを考慮すればよくなるため、精度、開発速度、コストといった点が従来に比して改善される。
さらに、本発明に係るティシュペーパーの評価方法について、実施例を示しながら、さらに、具体的に説明していく。
まず、市販されている5種類(試料A〜E)のティシュペーパーの各物性値と、「肌触り」を「好む」、「好まない」で行なった本発明に係る官能評価に係る官能評価値との相関をまとめた表が下記表1(回帰分析ステップの結果)である。なお、官能評価の被験者数は20名であり、この人数であれば充分な信頼性を確保できる。
Figure 0006653882
表中における物性値の項目は、上述の測定方法によって測定した値であり、摩擦特性は、上述の測定条件で株式会社トリニティラボ社製、トライボマスター TYPE μv1000を用い、接触子を「感覚接触子」として測定したものである。
結果を見てみると、特に、各物性値のうち「水分量」、「横方向の乾燥引張強度」、「動摩擦係数平均値」、「動摩擦係数最大値」、において決定係数R2=0.7以上の高い相関が見られた。また、従来の項目毎の官能評価に基づいた評価方法では、さほど区別されていなかった縦方向、横方向の乾燥引張強度において、特に縦方向の乾燥引張強度との相関は低く、横方向のみに相関が高いという結果となることが明らかになった。また、本発明に係る評価方法では、ソフトネスやMMDといった従来「柔らかさ」や「滑らかさ」との相関が高いと思われた評価項目とも相関もさほど高くないことが明らかになった。さらに、この官能評価では、従来の項目毎の官能評価では、「柔らかさ」などと比較的関係があると考えられている坪量との相関がさほど高くはないという特徴も知見された。
よって、少なくとも薬液が付与されたティシュペーパーの肌触りといういわば総合的評価は、「水分量」、「横方向の乾燥引張強度」、「動摩擦係数平均値」、「動摩擦係数最大値」との相関が高く、これらの物性値で評価ができる。但し、ティシュペーパーが多数の微細な山谷であるクレープ紙であることを考慮すると、「動摩擦係数最大値」は、イレギュラーな値となる可能性が内在するおそれが明らかであるため、これを除いた「水分量」、「横方向の乾燥引張強度」、「動摩擦係数平均値」によって評価すれば、ティシュペーパーの使用感を信頼性よく評価でき、望ましいといえる。
一方で、表1に示されるとおり「水分量」、「横方向の乾燥引張強度」、「動摩擦係数平均値」の相関(独立性)を見てみると、「水分量」、「横方向の乾燥引張強度」との相関が、決定係数R2=0.77となっており、独立性が低いと考えられる。したがって、重相関で評価する場合には、「水分量」と「横方向の乾燥引張強度」とを説明変数として含む重相関は望ましくない。なお、下記表2に、官能評価値と「水分量」、「横方向の乾燥引張強度」、「動摩擦係数平均値」の重相関を示したものを示す。
Figure 0006653882
ここで、具体的な評価ステップとしては、上記のとおり回帰分析ステップにおける回帰分析で選出した物性値との単相関、回帰式、重相関をもって評価してもよいが、本発明者らは、本発明に係る官能評価値に対して「水分量」が正の相関、「横方向の乾燥引張強度」と「動摩擦係数平均値」が負の相関にあることから、これらの物性値から、評価値(T)=(水分量)/((横方向の乾燥引張強度)×(動摩擦係数平均値))で表される評価式について検討したところ、この評価式の結果と本発明に係る官能評価値との相関係数Rが0.85を超える高い相関係数となることを知見した。したがって、ティシュペーパーは、この評価式によって高い精度で評価が可能であり、この評価式を用いるのが望ましい。この評価式は、保湿成分を含む薬液が付与された薬液付与タイプで顕著に増加する「水分量」の物性値が選択されているため、このような薬液付与タイプといった評価群に限定して評価することもでき、また適する。もちろん、本発明に係るティシュペーパーの評価方法に係る評価ステップは、上記評価式を用いることには限定されない。なお、評価の閾値、すなわち評価基準となる具体的数値については、どのようなティシュペーパーを設計・開発するかなどに応じて宜に定めればよいことである。
以上のとおり、本発明に係るティシュペーパーの評価方法は、官能評価値決定ステップにおける官能評価の方法、回帰分析ステップにおける物性値の選定方法、さらに、所定の摩擦特性等が好適な物性値となる点に特徴があり、従来、ティシュペーパーの設計・開発の速度の向上を阻害する要因が排除されたものとなっている。よって、ティシュペーパーの設計をする際には、目標の品質、目標の物性値を明確にして開発速度を向上させることができる。また、官能評価値で開発目標を設定して、特に重要な物性値の絞り込みができる。さらに、品質管理をする場合においても、重要な物性値のみに注目して管理することが可能となる。なお、以上の例では、評価項目として主に「肌触り」を例にしたが、本発明の評価項目は、必ずしも「肌触り」に限られるわけではない。本発明では、回帰分析ステップにより、他の評価項目であっても、その評価項目との相関の高い所定の物性値を特定でき、さらにその物性値により評価を行なうというものであるため、種々のティシュペーパーの場面において活用できる汎用性の高い評価方法である。

Claims (6)

  1. 異なる物性値の複数のティシュペーパーを一項目の官能評価によって順位付けし、この順位に基づいて前記複数のティシュペーパーの官能評価値を決定する官能評価値決定ステップと、
    前記官能評価値を目的変数、ティシュペーパーの物性値を説明変数として、回帰分析により前記官能評価値と物性値との相関関係を求めて一定の相関関係があると評価される物性値を選出する回帰分析ステップと、
    前記回帰分析ステップによって、前記官能評価値と一定の相関係数があると評価された物性値に基づいて、ティシュペーパーを評価する評価ステップと、
    を有することを特徴とするティシュペーパーの評価方法。
  2. 前記回帰分析ステップにおいて選出する一又は複数の物性値を、決定係数R2が0.7以上である一つ又は複数の物性値とする請求項1記載のティシュペーパーの評価方法。
  3. 前記回帰分析ステップにおいて、目的変数との決定係数R2が0.7以上であり、かつ、説明変数同士の決定係数R2'が0.7未満である、複数の物性値を選出し、
    その複数の物性値の重相関に基づいて、ティシュペーパーの品質を評価する、請求項1記載のティシュペーパーの評価方法。
  4. 前記評価ステップにおいて、前記官能評価値を目的変数とし、前記回帰ステップにおいて前記官能評価値と一定の相関係数があると評価された物性値である水分量、横方向の乾燥引張強度、動摩擦係数平均値の何れか一つを説明変数とする単相関に基づいて、ティシュペーパーを評価する請求項1又は2記載のティシュペーパーの評価方法。
  5. 前記評価ステップにおいて、前記官能評価値を目的変数とし、前記回帰ステップにおいて前記官能評価値と一定の相関係数があると評価された物性値である水分量と横方向の乾燥引張強度とを説明変数とする重相関、又は、前記官能評価値を目的変数とし、前記官能評価値と一定の相関係数があると評価された物性値である水分量と動摩擦係数平均値とを、説明変数とする重相関によって、ティシュペーパーを評価する請求項1又は3記載のティシュペーパーの評価方法。
  6. ティシュペーパーの品質評価方法であって、
    水分量と横方向の乾燥引張強度と動摩擦係数平均値の各物性値と、前記官能評価値とのとの決定係数R2がそれぞれ0.7以上である場合に、前記評価ステップにおいて、下記評価式によって決定される評価値(T)に基づいて、ティシュペーパーを評価する請求項1記載のティシュペーパーの評価方法。
    評価式:評価値(T)=(水分量)/((横方向の乾燥引張強度)×(動摩擦係数平均値))
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