JP6652895B2 - 減衰力調整式緩衝器 - Google Patents

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Description

本発明はピストンロッドのストロークに対する減衰力を発生させる緩衝器に係り、特に減衰力を制御可能にした減衰力調整式緩衝器に関するものである。
自動車等の車両に用いられる緩衝器では、走行条件によって減衰力を自由に変更できるのが望ましい。そこで、走行状態を検出し、緩衝器のピストンに設けた油路を開閉する弁の作動圧をリニアソレノイドによって変化させる減衰力調整式緩衝器が知られている。
例えば、特許第3285302号公報(特許文献1)には、自動車に搭載されるセミアクティブサスペンションにおいて、2つの油室を連通する主通路を開閉する主弁と、この主弁に高圧側の油室内の圧力を閉方向に作用させる副油室と、この副油室を低圧側の油室に連通するパイロット通路を開閉可能に設けられ、この副油室内の圧力が設定圧を越えるとパイロット通路を開いて副油室から低圧側に作動油を逃がすことにより主弁への閉方向力を変化させるパイロット弁と、設定圧を可変制御する設定圧可変手段とを備えた減衰力調整式緩衛器が開示されている。
特許文献1に記載の減衰力調整式緩衛器では、リニアソレノイドの励磁力に対応した下向きの力がプランジャを介してパイロット弁に付与され、この励磁力を制御することにより、パイロット弁の開き始める副油室の内圧が変化するようになっている。ここで、リニアソレノイドへの電力供給が停止されると、パイロット弁に固定した円盤部の外周面によりパイロット通路との接続が停止されると共に、円盤部より下側のパイロット弁の上流側領域とパイロット通路とを連通する連通路にボール弁を配設し、このボール弁を付勢ばねで閉方向に付勢するようにしている。
そして、制御装置等に一時的な異常が発生してリニアソレノイドが非励磁になると、パイロット弁を下方へ押圧する力が消失する。このためパイロット弁は板ばねの復帰力により押し上げられ、円盤部の外周面がパイロット通路との連通を閉じるように動作する。
したがって、副油室の内圧がボール弁の開弁設定圧になると、ボール弁が開いて作動油をパイロット弁の上流領域からパイロット通路に逃がすようになる。これによって副油室はボール弁の開弁設定圧に保持され、一定の減衰力を発生させることができるようになる。
特許第3285302号公報
しかしながら、特許文献1に記載された減衰力調整式緩衝器の構造では、リニアソレノイドに流れる制御電流が遮断されるフェイル動作状態への移行時や、フェイル動作状態からの復帰時に、作動油の流れ方向の変化によってパイロット弁に作用する流体力が変動してパイロット弁に振動がおこりやすいという課題があった。
本発明の目的は、フェイル動作状態への移行時、或いはフェイル動作状態からの復帰時に、作動油の流れの変化によってパイロット弁に振動が生じるのをできるだけ抑制することができる新規な減衰力調整式緩衝器を提供することにある。
本発明は、シリンダ内のピストンの摺動によって生じる作動油の流れを制御して減衰力を発生させる制御弁組立体を備えた減衰力調整式緩衝器において、制御弁組立体は、弁体部及び弁体部を収容する弁室と、ソレノイドの推力によって弁体部を制御するアクチュエータとを有しており、弁体部は、弁室内を上流室と下流室に区画すると共に前記上流室とこれより上流の上流領域に繋がる第1流通口を開閉する第1弁部と、下流室とこれより下流の下流領域に繋がる第2流通口を開閉する第2弁部と、上流室と下流室とを連通する連通路と、第2弁部を迂回して下流室と下流領域を繋ぐフェイル通路及び前記フェイル通路に配置されたフェイル弁とを備えている、ことを特徴とするものである。
更に、アクチュエータが作動している状態では、第1弁部、上流室、連通路、下流室、第2弁部及び下流領域の経路を通ってリザーバに作動流体を流し、アクチュエータの作動が停止された状態では、第1弁部、上流室、連通路、下流室、フェイル弁が開かれたフェイル通路及び下流領域の経路を通ってリザーバに作動流体を流すようにした、ことを特徴とするものである。
本発明によれば、フェイル動作状態への移行時、或いはフェイル動作状態からの復帰時に、第1弁部に作用する作動油の流れの変化による流体力の変動を少なくでき第1弁部に振動が生じるのを抑制することができるようになる。
本発明が適用されるセミアクティブサスペンションの油圧回路図である。 本発明の第1の実施形態になる減衰力調整式緩衝器の通常動作状態の時の断面図である。 図2に示す減衰力調整式緩衝器の通常動作状態のパイロットバルブ部付近を拡大した拡大断面図である。 図3に示すパイロットバルブを図3の上方から見た図である。 図3に示すパイロットバルブ外径通路部を図3の上方から見た図である。 図3に示すパイロットバルブ下流側シート部材を図3の上方から見た図である。 図3に示すフェイルバルブシート部材を図3の上方から見た図である。 図3に示すフェイルバルブを図3の上方から見た図である。 図2に示す減衰力調整式緩衝器のフェイル動作状態の時の断面図である。 図9に示す減衰力調整式緩衝器のフェイル動作状態のパイロットバルブ部付近を拡大した拡大断面図である。 本発明の比較例になる減衰力調整式緩衝器のフェイル動作状態の時の断面図である。 図11に示す減衰力調整式緩衝器の通常動作状態のパイロットバルブ部付近を拡大した拡大断面図である。 図12に示すパイロットバルブ外径通路部を図12の上方から見た図である。 図12に示すパイロットバルブ下流側シート部材を図12の上方から見た図である。 図11に示す減衰力調整式緩衝器のフェイル動作状態のパイロットバルブ部付近を拡大した拡大断面図である。 本発明が適用される他のセミアクティブサスペンションの構成を示す構成図である。 図16に示す減衰力調整式緩衝器付近の断面図である。 図17に示す減衰力調整式緩衝器の通常動作状態のパイロットバルブ部付近を拡大した拡大断面図である。 図17に示す減衰力調整式緩衝器のフェイル動作状態のパイロットバルブ部付近を拡大した拡大断面図である。
本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
ここで、本発明を説明する前に特許文献1に記載された減衰力調整式緩衝器における課題について補足説明する。
特許文献1の図3、図4にあるように、通常時はパイロット弁の上流領域からパイロット弁の円盤部に形成した貫通油路を介してパイロット通路に作動油を供給し、フェイル時はパイロット弁の上流領域からパイロット弁を迂回しながらボール弁を介してパイロット通路に作動油を供給している。このように、通常動作時とフェイル動作時では、作動油を流す油路が切り換えられることになる。そして、円盤部に形成した貫通油路を介してパイロット通路に作動油を供給している状態から、ボール弁を介してパイロット通路に作動油を供給する状態に遷移する時に、パイロット弁に振動を生じる恐れがあることが予想される。
つまり、フェイル動作時において、ボール弁を通過する作動油によってパイロット弁を閉じる方向に流体力が作用してパイロット弁が閉じ方向に移動しやすくなるが、それにより移動した場合にはパイロット弁に固定された円盤部も同時に移動して、円盤部に形成した貫通油路とパイロット通路が接続されて作動油がパイロット通路に流れるようになる。このため、パイロット弁を閉じる方向に作用していた流体力が弱まり、パイロット弁は開く方向に移動する。
そして、パイロット弁が開く方向に移動すると、今度はパイロット弁に固定された円盤部がパイロット通路との連通を遮断するので、ボール弁を通過する作動油が多くなって、再びパイロット弁を閉じる方向に流体力が作用してパイロット弁が閉じ方向に移動する。この繰り返しによってパイロット弁に振動を生じる可能性が高くなるものである。
この振動は、フェイル動作状態への移行時だけではなく、フェイル動作状態からの復帰時にも発生することがある。この振動が発生すると騒音となって外部に漏れ出し、静粛性が求められる自動車の製品品質が低下することになる。
よって、本発明は、フェイル動作状態への移行時、或いはフェイル動作状態からの復帰時に、作動油の流れの変化によってパイロット弁に振動が生じるのをできるだけ抑制することができる減衰力調整式緩衝器を提案するものである。
[実施例1]
以下、本発明の第1の実施形態になる減衰力調整式緩衝器を図面に基づいて説明する。
図1はセミアクティブサスペンション用の減衰力調整式緩衝器の全体構成を示している。図1に示すように、本実施形態に係る緩衝器1は、シリンダ2、リザーバ4、減衰力発生機構25から構成され、図示しない車両のサスペンション装置のバネ上(車体)側、バネ下(車輪側)等の相対移動可能な二部材間に装着されるものである。
シリンダ2内には摺動可能にピストン5が介装され、このピストン5によりシリンダ2内がシリンダ上室2Aとシリンダ下室2Bに区分されている。
ピストン5にはピストンロッド6が連結されており、ピストンロッド6のピストン5とは反対側端部は、シリンダ上室2Aを通り、図示しないオイルシールを通して、シリンダ2の外側に突出している。シリンダ2の下端側には、シリンダ下室2Bとリザーバ4を区分するベースバルブ10が設けられている。
ピストン5にはシリンダ上室2Aとシリンダ下室2Bの間を連通させる通路11、12が設けられている。そして通路12にはシリンダ下室2Bからシリンダ上室2Aへの流体の流通のみを許容する逆止弁13が設けられ、また通路11にはシリンダ上室2A側の流体の圧力が所定圧力に達した時に開弁して、これをシリンダ下室2B側へリリーフするリリーフ弁14が設けられている。
ベースバルブ10には、シリンダ下室2Bとリザーバ4とを連通させる通路15、16が設けられている。そして通路15にはリザーバ4からシリンダ下室2Bへの流体の流通のみを許容する逆止弁17が設けられ、通路16には、シリンダ下室2B側の流体の圧力が所定圧力に達したときに開弁して、これをリザーバ4側へリリーフするリリーフ弁18が設けられている。減衰力発生機構25は、上流側25uがシリンダ上室2A側に接続され、下流側25dがリザーバ4に接続されている。
次に、減衰力発生機構25のシリンダ2への取り付け構造及び減衰力発生機構25の詳細構造について図2、図3を用いて説明する。
図2は減衰力発生機構25の全体構成を示し、図3はパイロットバルブ部とフェイルバルブ部付近を拡大した構成を示している。図2では、パイロットバルブ部とフェイルバルブ部付近の構成が判別しづらいので、図3も併せて参照して説明する。尚、図2、図3に示す状態は通常動作状態を示している。
シリンダ2は内部にピストン5が摺動可能な円筒状で形成され、その外側にセパレータチューブ20が設けられ、シリンダ2の側壁とセパレータチューブ20の間に環状通路21が形成されており、環状通路21はシリンダ上室2A側に連通されている。セパレータチューブの20の側壁には、環状通路21に連通する開口を有する小径の略円筒状のセパレータチューブ開口としての円筒状の枝管23が突出している。また、シリンダ2の外側には外筒3を設けた複筒構造となっており、シリンダ2と外筒3の間に環状のリザーバ4が形成されている。
外筒3の側壁には、枝管23に対向して円環状の開口24が設けられている。開口24は、枝管23よりも大径で、枝管23と同心的に配置されている。外筒3の側壁には、枝管23及び開口24に対向して減衰力発生機構25が溶接によって取り付けられている。尚、セパレータチューブ開口(枝管23)は、セパレータチューブ20から径方向外側に突出してリザーバ4に連通される枝管構造ではなく、単なる開口だけでも良いものである。
減衰力発生機構25は、外筒3の開口24を覆うように取り付けられた略円筒状のケース26と、その内部に設けられた、パイロット型のメインバルブ部27、及びメインバルブ部27の開弁圧力を制御するソレノイド駆動の圧力制御弁であるパイロットバルブ部28、更にパイロットバルブ部28の下流側に位置し、フェイル時に作動するフェイルバルブ部29等から構成されている。
ここで、パイロットバルブ部28とフェイルバルブ部29、或いはパイロットバルブ部28、フェイルバルブ部29及びメインバルブ部27とが本実施形態では「制御弁組立体」として機能するものである。したがって、パイロットバルブ部28とフェイルバルブ部29を合せて「制御弁組立体」とする場合と、パイロットバルブ部28、フェイルバルブ部29及びメインバルブ部27を合せて「制御弁組立体」とする場合がある。
ケース26は有底円筒状に形成され、その底部26aには、セパレータチューブ20の枝管23よりも大径で外筒3の開口24に接続する開口部33が形成されており、外筒3に溶接等により固着されている。ケース26内には、底部側(外筒3側)から順に、通路部材30、メインバルブ部27のシート部を形成するメインボディ36、メインボディ36との間で流路を開閉するメインバルブ39、パイロット通路を形成するパイロットピン37、及び内部にパイロットバルブ部28などが設けられるパイロットボディ38が収納されている。そして、ケース26の開口部にパイロットバルブ部28を駆動するリニアソレノイド部154がナット52によってねじ結合されている。
通路部材30は、円筒部30aの一端部外周にフランジ部30bが形成された形状で、円筒部30aがセパレータチューブ20の枝管23内に液密的に嵌合され、フランジ部30bがケース16の底部26aとメインボディ36との間に挟持されて固定されている。尚、ケース底部26aには図示しない溝部が設けられており、メインボディ36の外周側とケース26内に形成される液室57とが連通されている。
メインボディ36は、一端側(通路部材30側)が凹部を持った略円筒形状で、他端側には液室57を形成する円環状溝部を持ち、溝部の外側(凸部)でメインバルブ39との間でシート部を形成する。また、メインボディ36の円環状溝部の中心には円筒のパイロットピン37が挿入され、かつパイロット通路を形成する中心穴36aが設けられる。メインボディ36の一端側は、ケース26の底部26aとの間で通路部材30を挟持している。
液室57は、リザーバ4側に接続、連通されており、流体的に見てメインバルブ39の下流側に位置する「リザーバ側領域」となっている。一方、メインバルブ39の上流側は開口部30を介してシリンダ側に接続、連通されており、流体的に見てメインバルブ39の上流側に位置する「シリンダ側領域」となっている。
メインボディ36の一端側と他端側の円環状溝部との間には複数の連通穴が設けられ、また中心穴36aにパイロットピン37が嵌装されている。パイロットピン37は、中心に絞り37aをもつ連通路と、中間部に外径側に大径となる大径部を持つ円筒形状に形成してあり、一端側はメインボディ36に挿入され、他端側はパイロットボディ38に嵌装されている。
パイロットボディ38の外側は、外径が、ケース26の内径よりも小さく、かつメインバルブ部27側が、メインバルブ部27とは反対側よりも大きくなるように、段部をもって変化する円筒形状に形成されている。また、パイロットバルブの内側は、メインバルブ部27側には、階段状に径が変化する凹部が形成され、同様にメインバルブ部27とは反対側にも階段状に径が変化する凹部が形成されている。
パイロットボディ38のメインバルブ部27側の凹部38aには、メインバルブ39が摺動可能に配置され、更に凹部38aの径が小さくなる中央部分38bには、パイロットピン37が嵌装されている。これにより、メインバルブ39とパイロットボディ38の凹部38a、パイロットピン37の外径側との間にメインバルブ部27の背圧室58を形成する。この背圧室58は、パイロットピン37の絞り37aよりも下流側と連通している。
パイロットボディ38のメインバルブ39とは反対側の凹部38cの内部には上流側からディスクばね59、パイロットボディ38との間で流路の開閉を行うパイロットバルブ55、フェイルバルブ部29を形成するパイロットバルブ外径通路部69、パイロットバルブ下流側シート部材80、フェイルバルブシート部材81、フェイルバルブ82、フェイルバルブ支持部83、フェイルバルブ固定部84が配置される。
図4にパイロットバルブ55の形状(以下で説明する下流室側から見た状態)を示しているので、これも参照して説明する。
パイロットバルブ55は、中心付近に中心穴55fを持ち、その周囲の中央部付近に凸部、及び外周部にフランジ部55eを持つ円板形状に形成されている。凸部側はパイロットボディ38との間でパイロットピン37に繋がる流路を開閉できる「第1弁部」を持つように形成されている。つまり、パイロットバルブ55は第1弁部55dが形成されており、後述する上流室51aと、これに繋がる作動油の流れから見て上流領域(上流室51aより環状通路21側)との接続路を開閉するため、パイロットピン37に繋がるパイロットボディ38に形成したシート部を開閉するものである。
また、パイロットバルブ55は、凸部(第1弁部55d)とは反対側に径が段状に大きくなる環状凸部55cが一体的に設けられている。フランジ部55eに形成した環状凸部55cの外径は、後述のパイロットバルブ外径通路部69の内部の穴を摺動する、或いは微小の隙間を介してパイロットバルブ55が動作可能なように設定されている。
また、このフランジ部55eにより、パイロットバルブ55が配置される弁室51は、上流側の上流室51aと下流側の下流室51bに分離されている。そして、パイロットバルブ55のフランジ部55eには、上流室51aと下流室51bを連通する連通路55bが複数形成されている。つまり、パイロットバルブ55、言い換えれば第1弁部55d自体に連通路55bが形成されているものである。
更に、フランジ部55eの第1弁部55dとは反対側の最外周部には環状凸部55cが一体形成されている。この環状凸部55cは後述する「第2弁部」として機能するものであり、以下では、環状凸部55c、或いは第2弁部55cとして表記する。そして、第1弁部55dと第2弁部55cの間の環状領域には、上述した連通路55bが所定角度毎に複数個設けられている。
図5にパイロットバルブ外径通路部69の形状(以下で説明する下流室側から見た状態)を示しているので、これも参照して説明する。
パイロットバルブ外径通路部69は、図5に示すように内径部分がパイロットバルブ55の第2弁部55cを摺動できる径に設定され、外径部分がパイロットボディ38のメインバルブ部27とは反対側の凹部に収納されるような円板形状であり、パイロットボディ38の凹部内部とパイロットバルブ外径通路部69の内径内側との間に弁室51を形成している。更に、下流室51bから作動油の流れから見て下流領域には、内径側から外径側へ向けて作動油が流れる連通路69aが設けられ、外径側にパイロットボディ38によって形成された空間69bと連通されている。
図6にパイロットバルブ下流側シート部材80の形状(以下で説明する下流室側から見た状態)を示しているので、これも参照して説明する。
パイロットバルブ下流側シート部材80は、図6に示すように中心部に穴を設けた円板形状で形成され、作動油の流れで見て上流側と下流側を連通する複数の連通穴80aが設けられている。この連通穴80aの位置よりも外側の位置で、パイロットバルブの環状凸部55cの先端部との間で連通路69aを開閉する第2弁部55cが当接される。また外径側にはパイロットボディ38との間に空間80bが設けられている。
図7にフェイルバルブシート部材81の形状(以下で説明する下流室側から見た状態)を示しているので、これも参照して説明する。
フェイルバルブシート部材81は、図7に示すように中心部に穴を設けた円板形状で形成され、パイロットバルブ下流側シート部材80の連通穴よりも大きいシート穴81aを設けた形状であり、外径側にはパイロットボディ38との間に空間81bが設けられる円板形状である。
図8にフェイルバルブ82の形状(以下で説明する下流室側から見た状態)を示しているので、これも参照して説明する。
フェイルバルブ82は、図8に示すように円板形状であり、フェイルバルブシート部材81に設けたシート穴81aを開閉できる開閉部82aを設けたものであり、外径側にはパイロットボディ38との間に空間82bが設けられる。開閉部82aは弾性変形可能に形成され、図8の紙面に垂直な方向に外側を支点に動作可能であり、ディスク状に形成されたばねの役割を持ち、所定の圧力以上で動作するリリーフ弁として機能する。
フェイルバルブ支持部83はフェイルバルブ82の下流側に設けられ、中心に穴を持った円板形状で、フェイルバルブ82の外側が開閉部82aの動作の支点となるように保持されている。中心穴の内径は、フェイルバルブ82の開閉部82aの最外周部よりも外側となるように決められ、外径側にはパイロットボディ38との間に空間83bが設けられる。
フェイルバルブ固定部84は、フェイルバルブ支持部83の下流側に設置され、円板形状で、中心部と外縁部に上流から下流を連通する連通路が設けられている。このフェイルバルブ固定部84がパイロットボディ38に固定され、外径側にはパイロットボディ38との間に空間84bが設けられる。また、フェイルバルブ固定部84の中心部、外縁部の連通路は、パイロットボディ38の外側の液室57に連通し、更にリザーバ4に連通している。
リニアソレノイド154は、有底の円筒形状を持ち、内部に穴部を設けたソレノイドケース71内に、ボアを形成するケース部材158と、プランジャ53の下端部(図2の左側)が摺動可能に嵌合される凹部72bが形成されたコア72と、を有する。また、ケース部材158は略円筒形に形成され、上端部73(図2の右側)がコイルキャップ127の下端面に形成された凹部に嵌合されている。他方、コア72は、略円筒形に形成され、下端部(図2の左側)外周にフランジ部が形成され、ソレノイドケース71の底部の外側に設けた段部に嵌合されている。
パイロットバルブ55は、パイロットボディ38とは反対側に設置されるリニアソレノイド154のプランジャ53に固定された作動ピン79に固定されている。またプランジャ53の周りにコイル40が巻かれており、プランジャ53、コア72、ケース部材158がソレノイドケース71内の中央付近に配置される。コイル40に電流が流れたときに、プランジャ70にはコア72との間で吸引力が図2の左方向に発生する。
一方、パイロットバルブ55の凸部の根元部分とパイロットボディ38の段部との間にはディスクばね59の外周が固定されるように設置されている。このディスクばね59は板状のばねとなっており、パイロットボディ38とパイロットバルブ55の間の流路を開く方向に付勢力を発生させるように配置されている。
尚、図示しないが、ディスクばね59の一部には流路が形成されており、ディスクばね59を境として図3の下側と上側の室は連通されている。また、作動ピン79及びパイロットバルブ55の中心には連通路70を形成する連通路が設けられ、作動ピン79のパイロットバルブ55とは反対側に設けられる液室76に連通している。作動ピン79は、コア72の内側に組み付けられた一対のブッシュ62、63により上下方向(図2では左右方向)へ移動可能に支持されている。
以上のような構成を備えた本実施形態になる減衰力調整式緩衝器の具体的な動作について説明するが、先ず通常状態の動作を図1乃至図3を用いて説明する。
図1に示すように、ピストンロッド6の伸び行程時には、シリンダ2内のピストン5の移動(図1において上方向)によって、ピストン5の逆止弁13が閉じ、リリーフ弁14の開弁前にはシリンダ上室2A側の作動油が加圧されるので、作動油は環状通路21を通ってセパレータチューブ20の枝管23から減衰力発生機構25の通路部材30へ流入する。
そして、通路部材30から流入した作動油は、メインバルブ部27、パイロットバルブ部28を通って、実線で示す流線F1及び破線で示す流線F2の流れに沿ってケース26で囲まれた液室57へ流れ、更に、ケース26の端部の空間(通路溝)及び外筒3の開口24を通ってリザーバ4へ流入する。
尚、パイロットバルブ28を流れる作動油の流線F2については図3に詳細に示している。図3にある通り、パイロットボディ38とパイロットバルブ55の第1弁部55dの間に形成された「第1流通口」から流入してきた作動油は、上流室51aに流れ込み、ディスクばね59に形成した流路(図示せず)を通ってパイロットバルブ55の複数の連通路55bに至る。ここで、パイロットボディ38とパイロットバルブ55の第1弁部55dの間に形成された「第1流通口」より上流側(パイロットピン37側)の流入口の作動油が通過する断面積は、連通路55bの総断面積より大きく設定されている。
そして、連通路55bを流れ出た作動油は下流室51bに至る。ここで、パイロットバルブ55のフランジ部55eの外周部に形成された第2弁部55cは、パイロットバルブ外径通路部69の連通路69aを開くように動作する。このため、第1弁部55dを通り上流室51aから下流室51bに流入した作動油は、連通路69aを通って下流室51bの更に下流側である空間80b、82bを通り、液室57へ流れて外筒3の開口24に至り、最終的にリザーバ4へ流入する。
このとき、図1にあるようにピストン5が伸び行程で移動した分の流体が、リザーバ4からベースバルブ10の逆止弁17を開いてシリンダ下室2Bへ流入する。尚、シリンダ上室2Aの圧力がピストン5のリリーフ弁14の開弁圧力に達すると、リリーフ弁14が開いて、シリンダ上室2Aの圧力をシリンダ下室2Bへリリーフすることにより、シリンダ上室2Aの過度の圧力の上昇を防止することができる。
一方、ピストンロッド6の縮み行程時には、シリンダ2内のピストン5の移動(図1において下方向)によって、ピストン5の逆止弁13が開き、ベースバルブ10の通路15の逆止弁17が閉じ、リリーフ弁18の開弁前には、ピストン下室2Bの作動油がシリンダ上室2Aへ流入し、ピストンロッド6がシリンダ2内に侵入した分の流体がシリンダ上室2Aから、上述した伸び行程時と同様の経路を通ってリザーバ4へ流れる。
尚、シリンダ下室2B内の圧力がベースバルブ10のリリーフ弁18の開弁圧力に達すると、リリーフ弁18が開いて、シリンダ下室2Bの圧力をリザーバ4へリリーフすることにより、シリンダ下室2Bの過度の圧力の上昇を防止することができる。
このように、ピストンロッド6の伸縮行程において、減衰力発生機構25のメインバルブ部27の開弁前(ピストン速度が低速域にある時)では、パイロットバルブ部28によって減衰力が発生し、メインバルブ部27の開弁後(ピストン速度が高速域にある時)においては、その開度に応じて減衰力が発生する。そして、コイル40への通電電流によってパイロットバルブ部28の制御圧力を調整することにより、減衰力を調整することができ、その結果、背圧室58の内圧が変化してメインバルブ部27の開弁圧力及び開度を調整することができる。
次に、リニアソレノイド154の通電が停止された状態の動作を図9及び図10を用いて説明する。尚、図9では、パイロットバルブ部とフェイルバルブ部付近の構成が判別しづらいので、この部分を拡大した図10も併せて参照して説明する。
例えば、信号待ち等による車両の停止、或いは制御装置の故障等により、コイル40への通電が遮断されたとき、本実施形態では、第1弁部55dが「常時開」となり、通常作動時に閉弁しているフェイルバルブ部29が開弁して、「常時開」となったパイロットバルブ部28の代りに作動油の流れを制限することにより、減衰力の過度の低下を抑制して適度な減衰力を維持することができるようにしている。
このように、コイルへの通電が遮断された状態をフェイル動作状態と呼ぶが、次に通常動作状態からフェイル動作状態に移行したときの動作について以下に説明する。
通常動作状態では、図2、図3に示すように、作動油はパイロットバルブ部28側では破線で示す流線F2に沿って流れ、メインバルブ部27側では実線で示す流線F1に沿って流れる。
そして、パイロットバルブ部28側を流れる流線F2は図3にある通り、「パイロットボディ38とパイロットバルブ55の間で形成する第1弁部55d」⇒「上流室51a」⇒「パイロットバルブ55に設けた連通路55b」⇒「下流室51b」⇒「パイロットバルブ下流側シート部材80と協働して形成される第2弁部55c」⇒「パイロットバルブ外径通路部69の連通路69a」⇒「空間69b、80b、82b、83b、84b」⇒「液室57」という経路を通って最終的にリザーバ4へ流れる。また、メインバルブ部27側はメインバルブ39のシート部を通り液室57でパイロット部28側の流れと合流し、リザーバ4へ流れるものである。
一方、通電が遮断されたフェイル動作状態の場合は図9、図10に示すように動作する。図9、図10にある通り、リニアソレノイド154が動作しないのでパイロットバルブ部28を構成するパイロットボディ38に接触している第1弁部55dが、ディスクばね59によって開かれた状態となる。この状態においては、パイロットバルブ55に形成された第2弁部55cも同時に移動して、第2弁部55cとパイロットバルブ下流側シート部材80の間で形成する「第2流通口」が閉じられ、結果的にパイロットバルブ外径通路部69の流路69aを塞ぐようになる。
このとき、第1弁部55dが開かれているので、第1弁部55dの上流側である上流領域に位置するパイロットピン37からの作動油が弁室51に流れこみ、弁室51全体の圧力が上昇する。そして、弁室51内の圧力が所定圧力になると、フェイルバルブ82がこの圧力によって、フェイルバルブシート部材81との間の流路を開くように変形する。
フェイルバルブ82は、フェイルバルブシート部材81に設けたシート穴81aを開閉できる開閉部82aを設けてあり、この開閉部82aは弾性変形可能に形成され所定圧力以上で開弁動作するリリーフ弁として機能している。したがって、この時の作動油は第2弁部55cを通らず、第2弁部55cを迂回してフェイルバルブ82側に流れることになる。
そして、パイロットバルブ部28側を流れる流線F2は図10にある通り、「パイロットボディ38とパイロットバルブ55の間で形成する第1弁部55d」⇒「上流室51a」⇒「パイロットバルブ55に設けた連通路55b」⇒「下流室51b」⇒「パイロットバルブ下流側シート部材80に形成した連通路80a」⇒「フェイルバルブシート部材81に設けたシート穴81a」⇒「フェイルバルブ82の開閉部82aによって開口される流路」⇒「液室57」を通り、最終的にリザーバ4へ流れる。また、メインバルブ部27側はメインバルブ39のシート部を通り液室57でパイロット部28側の流れと合流し、リザーバ4へ流れるものである。
図3、図10から理解できるように、通常動作状態からフェイル動作状態に移行する際、或いは、フェイル動作状態から通常動作状態に移行する際において、パイロットバルブ55の弁室51の上流室51aと下流室51bの作動油の流れは常に上流室51aから下流室51bの側に流れ続けることとなる。
このように、通常動作状態からフェイル動作状態へ変化しても、上流室51aから下流室51bへの作動油の流れが継続されるため、上流室51aおよび下流室51bを流れる作動油により発生する流体力がほとんど変動しないようになる。したがって、パイロットバルブ55に作用する流体力が、動作状態の変化によって変動する度合が小さくなり、パイロットバルブ55が振動するといった挙動を行うことなく、フェイル動作状態に移行することができる。
同様に、フェイル動作状態から通常動作状態へ復帰する場合も、上流室51aから下流室51bへの作動油の流れが継続されるため、上流室51aおよび下流室51bを流れる作動油により発生する流体力がほとんど変動しないようになる。したがって、パイロットバルブ55に作用する流体力が、動作状態の変化によって変動する度合が小さくなり、パイロットバルブ55が振動するといった挙動を行うことなく通常動作状態に移行することができる。
尚、作動油の流速が速いときには、パイロットバルブ55のフランジ部55eに形成した連通路55bが抵抗となる恐れがある。この場合、フェイルバルブ部29はリリーフ圧力となって開弁する瞬間に下流室51bの圧力が低下するが、この場合はパイロットバルブ55の第1弁部55dの開弁方向の力が若干増えるだけであり、振動的な現象は発生しないものである。
以上の通り、本実施形態によれば、弁室51をパイロットバルブ55によって上流室51aと下流室51bに区画し、上流室51aへの流入口を開閉する第1弁部55dと、下流室51bに下流側と連通する流出口を開閉する第2弁部55cとを設け、上流室51aと下流室51bとをパイロットバルブ55のフランジ部55eに形成した連通路55bにより連通すると共に、下流室51bと下流側と連通する通路を開閉するフェイルバルブ部27とを設けたことで、通常動作状態とフェイル動作状態の間の動作状態移行時に発生するパイロットバルブの振動を抑制することが可能となる。
尚、本実施形態ではフェイルバルブ82をディスク状のばねで構成した例を示したが、作動油の流れは変わらなければボール弁及びこれを閉方向に付勢するばねで形成されるボール弁タイプの弁であっても良いものである。
[比較例]
次に本発明の比較例について、図11乃至図15を参照して説明するが、本比較例では、上流室51aと下流室51bを接続する連通路55bを、パイロットバルブ55のフランジ部55eに形成するのでなく、パイロットバルブ55の外側付近に別に形成した点で異なっており、これ以外の構成は実施例1と同様である。したがって、以下の説明では実施例1と重複する説明は省略する。
図11は減衰力発生機構25の全体構成を示し、図12はパイロットバルブ部とフェイルバルブ部付近を拡大した構成を示している。図11では、パイロットバルブ部とフェイルバルブ部付近の構成が判別しづらいので、図12も併せて参照して説明する。尚、図12に示す状態は通常動作状態を示し、図15に示す状態はフェイル動作状態を示している。
図11、図12に示すように、本比較例のパイロットバルブ55のフランジ部55eには、実施例1に示すような上流室51aと下流室51bとを連通する連通路55bは設けられていない。
この連通路55bの代わりに、パイロットバルブ55とは別で、しかもパイロットバルブ55の外側に位置するように、パイロットバルブ外径通路部69及びパイロットバルブ下流側シート部材80に上流室51aと下流室51bとを連通する連通路69cを新たに設けたものである。このため、パイロットバルブ外径通路部69とパイロットバルブ下流側シート部材80の形状が実施例1とは異なった構成となっている。
図13にパイロットバルブ外径通路部69の形状(下流室側から見た状態)を示しているので、これも参照して説明する。
パイロットバルブ外径通路部69は、図13に示すように内径部分がパイロットバルブ55の第2弁部55cを摺動できる径に設定され、外径部分がパイロットボディ38のメインバルブ部27とは反対側の凹部に収納されるような円板形状であり、パイロットボディ38の凹部内部とパイロットバルブ外径通路部69の内径内側との間に弁室51を形成している。更に、下流側には、内径側から外径側へ向けて作動油が流れる連通路69aが設けられ、外径側にパイロットボディ38によって形成された空間69bと連通されている。
また、円板形状のパイロットバルブ外径通路部69の両面を貫通し、パイロットバルブ外径通路部69の上流側と下流側を連通する連通路69cが複数(4個)設けられている。この連通路69cが連通路55bの代わりの一部となるものである。
ここで、パイロットバルブ55の第2弁部55cは、パイロットバルブ外径通路部69に形成した内径側から外径側へ向けて作動油が流れる連通路69aの内径側の「第2流通口」の開口を開閉するように構成されている。この場合、通常動作状態ではパイロットバルブ55の第2弁部55cは連通路69aの「第2流通口」を開き、フェイル動作状態ではパイロットバルブ55が移動することによって第2弁部55cは連通路69aの「第2流通口」を閉じるように動作する。
また、図14にパイロットバルブ下流側シート部材80の形状(下流室側から見た状態)を示しているので、これも参照して説明する。
パイロットバルブ下流側シート部材80は、図14に示すように中心部に穴を設けた円板形状で形成され、円板形状のパイロットバルブ下流側シート部材80の両面を貫通し、流体的に見て上流側と下流側を連通する複数の連通穴80aが設けられる。また、パイロットバルブ下流側シート部材80には、パイロットバルブ外径通路部69の連通路69cと対応する位置に連通路80cを設けている。この連通路80cも連通路55bの代わりの一部となるものである。したがって、連通路69cと連通路80cによって連通路55bの代わりとされている。
また、パイロットバルブ下流側シート部材80の下流側には連通路80cから内径側に流れを導く溝80dが設けられ、フェイルバルブシート部材81のシート穴81a部に対応する位置まで流れが導かれる構成となっている。また、連通路80aと溝80dを連通する溝80eを設けている。これ以外の構成は実施例1と同様である。
図11、図12に戻って、次にその動作について説明する。尚、パイロットバルブ部28以外の動作は実施例1と同じであるので、パイロットバルブ部28の動作について説明する。
通常動作状態では、パイロットバルブ部28側を流れる流線F2は図12に示す通りである。パイロットバルブ55の第2弁部55cは、パイロットバルブ外径通路部69に形成した内径側から外径側へ向けて作動油が流れる連通路69aの内径側の開口を開閉するように構成されているので、通常動作状態ではパイロットバルブ55の第2弁部55cは連通路69aを開いている。
したがって、作動油は、「パイロットボディ38とパイロットバルブ55の間で形成する第1弁部55d」⇒「上流室51a」⇒「パイロットバルブ外径通路部69に設けた連通路69c」⇒「パイロットバルブ下流側シート部材80の連通路80c、溝部80d、溝部80e」⇒「パイロットバルブ下流側シート部材80の連通路80a」⇒「下流室51b」⇒「パイロットバルブ外径通路部69の連通路69a」⇒「空間69b、80b、82b、83b、84b」⇒「液室57」という経路を通って最終的にリザーバ4へ流れる。
一方、通電が遮断されたフェイル動作状態の場合は図15に示すように動作する。図15にある通り、リニアソレノイド154が動作しないのでパイロットバルブ部28を構成するパイロットボディ38に接触している第1弁部55dが、ディスクばね59によって開かれた状態となる。この状態においては、パイロットバルブ55に形成された第2弁部55cも移動するので、第2弁部55cはパイロットバルブ外径通路部69の連通路69aを塞ぐようになる。
このとき、第1弁部55dが開かれているので、第1弁部55dの上流側に位置するパイロットピン37からの作動油が弁室51に流れこみ、弁室51全体の圧力が上昇する。そして、弁室51内の圧力が所定圧力になると、フェイルバルブ82がこの圧力によって、フェイルバルブシート部材81との間の流路を開くように変形する。
フェイルバルブ82は、実施例1と同様にフェイルバルブシート部材81に設けたシート穴81aを開閉できる開閉部82aを設けてあり、この開閉部82aは弾性変形可能に形成され所定圧力以上で開弁動作するリリーフ弁として機能している。したがって、この時の作動油は第2弁部55cを通らず、第2弁部55cを迂回してフェイルバルブ82側に流れることになる。
そして、作動油は「パイロットボディ38とパイロットバルブ55の間で形成する第1弁部55d」⇒「上流室51a」⇒「パイロットバルブ外径通路部69に設けた連通路69c」⇒「パイロットバルブ下流側シート部材80の連通路80c、溝部80d、溝部80e」⇒「フェイルバルブシート部材81に設けたシート穴81a」⇒「フェイルバルブ82の開閉部82aによって開口される流路」⇒「液室57」という経路を通って最終的にリザーバ4へ流れる。
以上のような構成により、実施例1と同様の作用、効果が得られると共に、パイロットバルブの外周側に上流室と下流室の連通路を設けることで、パイロットバルブに連通路を設ける必要がなくなり、減衰力調整式緩衝器の全体を小型化することが可能となる。
[実施例2]
次に本発明の第の実施形態について、図16乃至図19を参照して説明するが、本実施形態では、減衰力発生機構25をシリンダ2内に配置した構成にした点で実施例1と異なっており、これ以外の構成は実施例1と同様である。したがって、以下の説明では実施例1と重複する説明は省略する。
図17は減衰力発生機構25の構成を示し、図18、図19はパイロットバルブ部とフェイルバルブ部付近を拡大した構成を示している。図17では、パイロットバルブ部とフェイルバルブ部付近の構成が判別しづらいので、図18、図19も併せて参照して説明する。尚、図18に示す状態は通常動作状態を示し、図19に示す状態はフェイル動作状態を示している。
図16に示されるように、本実施形態になる減衰力調整式緩衝器1は、シリンダ2の外側に外筒3を設けた複筒構造であり、シリンダ2と外筒3との間には、リザーバ4が形成される。シリンダ2内には、ピストンバルブ5が摺動可能に嵌装され、このピストンバルブ5により、シリンダ2内がシリンダ上室2Aとシリンダ下室2Bとの2室に区画されている。
シリンダ2の下端部には、シリンダ下室2Bとリザーバ4とを区画するベースバルブ10が設けられる。ベースバルブ10には、シリンダ下室2Bとリザーバ4とを連通する通路15、16が設けられている。通路15には、リザーバ4側からシリンダ下室2B側への作動油の流通のみを許容する逆止弁17が設けられる。他方、通路16には、シリンダ下室2B側の作動油の圧力が所定圧力に達したときに開弁し、この圧力をリザーバ4側へリリーフするディスク状のリリーフ弁18が設けられる。尚、作動流体として、シリンダ2内には作動油が封入され、リザーバ4内には作動油及びガスが封入される。また、図16において、参照番号3Aは、外筒3の下端に接合されたボトムキャップ、参照番号19は、ボトムキャップ3Aに接合された取付アイである。
図17に示されるように、ピストンバルブ5は、略円筒形のピストンケース121の下端部に設けられる。ピストンケース121の下端部には、後述するメインバルブ39が離脱、着座する弁座部材22が設けられる。弁座部材22は、円筒形の軸部23と、軸部23の下端に形成されたフランジ部24と、軸部23の外周面に形成されたねじ部125とを有する。
また、弁座部材22は、ねじ部125をピストンケース121の第1軸孔142に形成されたねじ部126に螺合することにより、ピストンケース121に固定される。これにより、ピストンバルブ5の内フランジ部5Aが、ピストンケース121の下端部端面と弁座部材22のフランジ部24とにより挟持され、ピストンバルブ5がピストンケース121の下端部に固定される。
ピストンケース121の上端は、略円柱形のコイルキャップ127により閉塞されている。コイルキャップ127は、上端部外周面にねじ部128が形成され、このねじ部128を、ピストンケース121の第2軸孔43の上端に形成されたねじ部129に螺合することにより、ピストンケース121に固定される。また、コイルキャップ127は、下端部外周面に沿って環状のシール溝が形成され、このシール溝に装着されたOリング130により、ピストンケース121の第2軸孔43との間がシールされる。
尚、コイルキャップ127の上端部中央には、ピストンロッド6の一端が連結され、ピストンロッド6の他端側は、シリンダ上室2Aを通過し、更にシリンダ2及び外筒3の上端部に装着されたロッドガイド8及びオイルシール9(図16参照)に挿通され、シリンダ2の外部へ延出する。
そして、ピストンケース121内、延いてはシリンダ2内には、ピストンロッド6の移動(伸縮)により生じる、シリンダ上室2Aとシリンダ下室2Bとの2室間の作動油の流れを制御して、減衰力を発生させる減衰力発生機構25が設けられる。減衰力発生機構25は、後述するパイロット室33の圧力により閉弁方向(図17における下方向)へ付勢されるメインバルブ部27と、ピストンロッド6の伸び行程時に、パイロット室33の作動油をシリンダ下室2B(下流側の室)へ排出するパイロットバルブ部28とを有する。ここで、下流側の室とは、パイロット室33の圧力に対向して減衰力発生機構25が開弁する際に、一側の室から排出され作動油が流入する他側の室を意味する。
メインバルブ部27は、ピストンケース121の下部に収容されるメインバルブ39を有する。メインバルブ39は、略有底円筒形に形成されており、メインバルブ39の下端には、フランジ部137(外フランジ)が形成されている。また、メインバルブ39の下端面138には、ピストンロッド6に対して同軸上に設けられ、弁座部材22の弁座40に離脱、着座する環状のシート部139が形成されている。
尚、メインバルブ39の下端面138の、シート部139よりも外側の環状面138A(フランジ部137側の面138A)と、シート部139よりも内側の面138Bとの間に、段差が設けられており、シート部139よりも内側の面138Bを、環状面138Aよりも高い位置に設けることにより、シート部139の内周面139A(受圧面)の面積を確保している。
また、メインバルブ39のシート部139が弁座部材22の弁座40に着座したとき、ピストンケース121の下端部と弁座部材22とメインバルブ39との間には、環状室180が形成されている。そして、ピストンケース121の下端部には、環状室180とシリンダ上室2Aとを連通する複数個の通路181が設けられている。
メインバルブ39は、外周面41が、ピストンケース121の第3軸孔44に摺動可能に挿入され、フランジ部137の外周面137Aが、ピストンケース121の第1軸孔42に摺動可能に挿入されている。これにより、メインバルブ39と第1軸孔42との間には、環状の背圧室46が形成される。そして、メインバルブ39の底部には、後述のパイロットバルブ55の第1弁部55dに形成した環状のシート部48が離脱、着座する弁座49が設けられている。
メインバルブ39の弁座49には、着座したパイロットバルブ55の第1弁部55dのシート部48により開口が囲まれるパイロット室33が設けられ、パイロット室33は、連通路150を介して背圧室46に連通される。尚、参照番号47はパイロットバルブ組立体である。
参照番号151は、メインバルブ39にセット荷重を付与する圧縮コイルばねであり、メインバルブ39は、圧縮コイルばね151のばね力により、ピストンケース121に対して下方向へ付勢、すなわち、閉弁方向へ付勢されている。
前述のパイロットバルブ部28は、パイロットバルブ55、パイロットバルブ55が下端(一端)に固定される作動ピン79(軸部)、作動ピン79の外周に取り付けられるプランジャ53(可動子)、及びプランジャ153を上下方向(軸方向)へ駆動するリニアソレノイド154を含むものである。
パイロットバルブ55は、リニアソレノイド154の通電に応じて開弁圧力が調節される開閉弁であり、パイロットバルブ55の外周にフランジ部55eを設け、フランジ部55eの根元部分がばね受として機能する。また、パイロットバルブ55は、実施例1と同様の構成であり、フランジ部55eを貫通する複数個の連通路55bを有する。そして、パイロットバルブ55には、作動ピン79の軸孔とともに連通路70を構成する軸孔が形成される。
図18にあるように、パイロットバルブ55が配置されるメインバルブ39の有底円筒形の内部には複数の段部が設けられ、最底部から第1底部、第2底部、第3底部とする。第1底部にはパイロット室33が形成され、次の第2底部内には弁室51が形成され、パイロットバルブ55のフランジ部55eによって上流室51aと下流室51bに区画される。フランジ部55eには複数個の連通路55bが形成されている。
また、パイロットバルブ55の上部には、第3底部が設けられ、フェイルバルブ部29を構成するパイロットバルブ下流側シート部材80、フェイルバルブシート部材81、フェイルバルブ82、フェイルバルブ支持部83、フェイルバルブ固定部84が配置される。これらの構造は実施例1と同様の構成である。
また、メインバルブ39の第3底部とパイロットバルブ下流側シート部材80によって連通路39Bが形成されており、この連通路39Bはシリンダ下室2B側へ連通する連通路39Aに接続されている。そして、この連通路39Bは、パイロットバルブのフランジ部51eの外周に形成された第2弁部55cの移動によって開閉されるようになっている。つまり、通常動作状態では下流室51bと連通路39Bが接続され、フェイル動作状態では下流室51bと連通路39Bの接続が遮断されるものである。
リニアソレノイド154は、プランジャボアが形成されたケース部材158と、プランジャ153の下端部が摺動可能に嵌合される凹部72bが形成されたコア72とを有している。ケース部材158は、略円筒形に形成され、上端部外周にフランジ部158Aが形成される。また、ケース部材158は、上端部が、コイルキャップ127の下端面に形成された凹部64に嵌合される。更に、ケース部材158は、外周面にスリーブ65が装着され、スリーブ65の下端部は、ピストンケース121の第4軸孔45に嵌合される。これにより、ケース部材158は、ピストンケース121の中心線に対して同軸上に位置決めされる。
他方、コア72は、略円筒形に形成され、下端部外周にフランジ部72Aが形成される。また、コア72は、フランジ部60Aがピストンケース121の第4軸孔45に嵌合され、フランジ部60Aは、ピストンケース121の第3軸孔44と第4軸孔45との間に形成された環状凸部66に突き当てられることにより、ピストンケース121に対して上下方向に位置決めされる。
尚、コア72の外周面には、スリーブ65の下端部内周面が嵌合される。また、スリーブ65は、下端部をコア72のフランジ部72Aに突き当てることにより、ピストンケース121に対して上下方向に位置決めされる。更に、図17における参照番号67は、ケース部材158とスリーブ65との間をシールするOリングであり、参照番号68は、スリーブ65とピストンケース121の第4軸孔45との間をシールするOリングである。
他方、作動ピン79は、ケース部材158及びコア72に組み付けられた一対のブッシュ62、63により上下方向へ移動可能に支持される。また、作動ピン79は、パイロットバルブ55の軸孔とともに前述の連通路70を構成する軸孔を有する。この連通路70は、下端側(一端側)がパイロット室33に連通され、上端側(他端側)が、通路173を介してシリンダ上室2A(ピストンロッド6の伸び行程時における上流側の室)に連通される。
この通路173は、ケース部材158の軸孔174と、コイルキャップ127の下端面中央に形成された一定深さの止り穴175と、止り穴175とシリンダ上室2Aとを連通するオリフィス176とを含むものである。言い換えると、連通路70は、一端側がパイロット室33に連通され、他端側がシリンダ2内の2室のうちの上流側の室、伸び行程ではシリンダ上室2Aにオリフィス176を介して直接連通されるものである。
オリフィス176は、ピストンケース121の上端部とコイルキャップ127との間に形成された環状通路177と、ピストンケース121の上端部に設けられ、シリンダ上室2Aと環状通路177とを連通する第1オリフィス178と、コイルキャップ127に設けられ、止り穴175と環状通路177とを連通する第2オリフィス179とにより構成される。尚、ケース部材158の軸孔174及びコイルキャップ127の止り穴175は、パイロットバルブ55の弁体背圧室を形成する。
また、作動ピン79の外周面に形成された環状溝には、止め輪171が装着される。この止め輪171には、下端部がメインバルブ39と圧縮コイルばね151とにより挟持されたパイロットばね172の上端部が係合される。これにより、作動ピン79は、パイロットばね172のばね力にて上方向へ付勢され、リニアソレノイド154への制御電流が遮断された場合や低電流の場合に、パイロットばね172のばね力がソレノイド推力を上回り、パイロットバルブ部28は、第1弁部55dのシート部48がメインバルブ39の弁座49から離脱して開弁する。
以上のような構成を備えた本実施形態になる減衰力調整式緩衝器の具体的な動作について説明するが、先ず通常状態の動作を図17、図18を参照して用いて説明する。
減衰力調整式緩衝器1は、車両のサスペンション装置のばね上、ばね下間に装着されるものである。そして、車両の走行時には、路面の凹凸等により上下方向の振動が発生すると、緩衝器1は、ピストンロッド6が外筒3から伸長、縮小するように変位し、減衰力発生機構25にて減衰力を発生させて車両の振動を緩衝させる。
このとき、減衰力発生機構25は、ピストンロッド6の伸び行程時には、メインバルブ39の背圧を変化させることで減衰力を可変に調整し、他方、ピストンロッド6の縮み行程時には、ソレノイド154の推力(制御電流)を調整してパイロットバルブ55の開弁圧を変化させることで減衰力を可変に調整することができる。
ここで、ピストンロッド6の伸び行程時には、シリンダ2内のピストンバルブ5の移動により、シリンダ上室2A側の作動油が加圧される。シリンダ上室2Aの作動油の圧力は、オリフィス176を含む通路173、連通路70、パイロット室33、及び連通路150を介して背圧室46に作用する。
このとき、メインバルブ39の受圧面積(S1)は、メインバルブ39の環状面138Aの面積(S2)と、環状のシート部139の外周面139Bの面積(S3)と、を加えた面積(S2+S3)から、背圧室46の軸直角平面による断面積、換言すると、フランジ部137の環状の上端面137Bの面積(S4)を差引いた面積(S1=S2+S3−S4)となる。
そして、パイロットバルブ55がパイロット室33の圧力によって移動すると、パイロットバルブ55の第1弁部55dのシート部48がメインバルブ39の弁座49から離脱して開弁し、パイロット室33(=背圧室46)内の作動油は、「パイロットバルブ55のフランジ部55eの連通路55b」⇒「メインバルブ39に形成された上下方向へ延びる連通路39B、連通路39A」という経路を流れて、シリンダ下室2Bへ流入する。
このとき、ピストンロッド6がシリンダ2内から退出させた分の作動油は、リザーバ4から、ベースバルブ10の逆止弁16を開弁させてシリンダ下室2Bへ流入する。尚、パイロットバルブ55の受圧面積は、下面のシート部48内側の面積(弁座側の面積)から、作動ピン79(軸部)の軸直角平面による断面積(弁体背圧室側の面積)を差引いた面積となる。
一方、ピストンロッド6の縮み行程において、リニアソレノイド54の制御電流が低電流の場合では、パイロットばね172が作動ピン79を押し上げる力が、リニアソレノイド154の推力を上回るようになる。これにより、パイロットバルブ55の第1弁部55dのシート部48がメインバルブ39の弁座49から離脱して、パイロットバルブ55の第1弁部55dが開弁する。その結果、シリンダ下室2Bの作動油は、「メインバルブ39の通路39A」⇒「パイロットバルブ55のフランジ部55eの連通路55b」⇒「連通路70」⇒「オリフィス176を含む通路173」という経路を流れて、シリンダ上室2Aへ流入する。
更に、このピストンロッド6の縮み行程において、リニアソレノイド54の制御電流が高電流の場合では、リニアソレノイド154の推力がパイロットばね172の押し上げる力を上回るようになる。これにより、パイロットバルブ55の第2弁部55dのシート部48がメインバルブ39の弁座49に着座することにより、パイロットバルブ55の第1弁部55dは閉弁する。
この状態で、メインバルブ39とパイロットバルブ55は一体的と見做されるので、メインバルブ39(メインバルブ部27)の開弁圧力は、リニアソレノイド154が発生するプランジャ153の推力に依存する。このときのメインバルブ39の受圧面積は、シート部139内側の面積から、ピストンケース21の第3軸孔44の断面積を差引いた面積となる。
そして、ピストンロッド6がシリンダ2内に進入した分の作動油は、シリンダ下室2B内の圧力がベースバルブ10のリリーフバルブ18の開弁圧力に達し、リリーフバルブ18が開弁することで、リザーバ4へ流通するようになる。
次に、リニアソレノイド154のコイルの断線や制御装置の故障、又は信号待ち等で制御電流を遮断した時のフェイル動作状態について、図19を参照して説明する。
リニアソレノイド154への制御電流が遮断されると、プランジャ153、作動ピン79の推力が消失されるので、フェイルばね169のばね力によりパイロットバルブ55がパイロット室33から離れる方向に後退される。これにより、パイロットバルブ55の第1弁部55dのシート部48がメインバルブ39の弁座49から離脱して、パイロットバルブ55の第1弁部55dが開弁して、パイロット室33を開口させる。
パイロットバルブ55が後退すると、パイロットバルブ55のフランジ部55eの外周に形成した第2弁部55cが、パイロットバルブ下流側シート部80に当接され、この第2弁部55cによって連通路39Bが閉じられる。この状態において、シリンダ上室2Aとシリンダ下室2Bとは、「オリフィス176を含む通路173」、「連通路70」、「パイロットバルブ55のフランジ部55eの連通路55b」、「フェイルバルブ81の開口部」、及び「メインバルブ39の通路39A」を介して連通されることになる。
例えば、伸び行程時において、シリンダ2内のピストンバルブ5の移動により、シリンダ上室2A側の作動油が加圧される。シリンダ上室2Aの作動油は、オリフィス176を含む通路173、連通路70に流れ込むことになる。したがって、作動油は、「オリフィス176を含む通路173」⇒「連通路70」⇒「上流室51a」⇒「パイロットバルブ55のフランジ部55eの連通路55b」⇒「下流室51b」⇒「パイロットバルブ下流側シート部材80の開口部80a」⇒「フェイルバルブ81の開口部81a」⇒「メインバルブ39の通路39A」という経路を通ってシリンダ下室2Bに流入する。
ここで、上流室51a、下流室51b内の圧力が所定圧力になると、フェイルバルブ82がこの圧力によって、フェイルバルブシート部材81との間の流路を開くように変形することは実施例1と同様である。フェイルバルブ82は、実施例1と同様にフェイルバルブシート部材81に設けたシート穴81aを開閉できる開閉部82aを設けてあり、この開閉部82aは弾性変形可能に形成され所定圧力以上で開弁動作するリリーフバルブとして機能している。
本実施形態によれば、フェイル動作状態においても実施例1と同様に充分な減衰力を得ることができる。また、シリンダ2内に減衰力発生機構25を配置したことで、小型化を更に向上することが可能となる。
尚、上述した各実施形態では作動流体として作動油を使用したが、これ以外の流体を使用しても差し支えないものである。また、車両だけではなく、これ以外の産業分野の減衰力調整式緩衝器としても使用できるものである。
以上の通り本発明は、シリンダ内のピストンの摺動によって生じる作動油の流れを制御して減衰力を発生させる制御弁組立体を備えた減衰力調整式緩衝器において、制御弁組立体は、弁体部及び弁体部を収容する弁室と、ソレノイドの推力によって弁体部を制御するアクチュエータとを有しており、弁体部は、弁室内を上流室と下流室に区画すると共に前記上流室とこれより上流の上流領域に繋がる第1流通口を開閉する第1弁部と、下流室とこれより下流の下流領域に繋がる第2流通口を開閉する第2弁部と、上流室と下流室とを連通する連通路と、第2弁部を迂回して下流室と下流領域を繋ぐフェイル通路及び前記フェイル通路に配置されたフェイル弁とを備えている、ことを特徴とするものである。
本発明によれば、フェイル動作状態への移行時、或いはフェイル動作状態からの復帰時に、第1弁部に作用する作動油の流れの変化による流体力の変動を少なくでき第1弁部に振動が生じるのを抑制することができるようになる。
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1…緩衝器、2…シリンダ、4…リザーバ、5…ピストン、6…ピストンロッド、10…ベースバルブ、25…減衰力発生機構、27…メインバルブ部、28…パイロットバルブ部、29…フェイルバルブ部、36…メインボディ、38…パイロットボディ、39…メインバルブ、51…弁室、51a上流室、51b…下流室、53…プランジャ、55…パイロットバルブ、55d…第1弁部、55c…第2弁部、55b…連通路、69…パイロットバルブ外径通路部、80…パイロットバルブ下流側シート部材、81…フェイルバルブシート部材、82…フェイルバルブ、154…ソレノイド部。

Claims (8)

  1. 作動流体が封入されたシリンダと、前記シリンダ内に摺動可能に嵌装されたピストンと、前記ピストンに連結されて前記シリンダの外部へ延出されたピストンロッドと、前記シリンダと接続されたリザーバと、前記シリンダ内の前記ピストンの摺動によって生じる作動流体の流れを制御して減衰力を発生させる制御弁組立体を備えた減衰力調整式緩衝器において、
    前記制御弁組立体は、弁体部及び前記弁体部を収容する弁室と、ソレノイドの推力によって前記弁体部を制御するアクチュエータとを有しており、
    前記弁体部は、
    前記弁室内を上流室と下流室に区画する弁体を備え、前記弁体には前記上流室とこれより上流の上流領域に繋がる第1流通口を開閉する第1弁部と、前記下流室とこれより下流の下流領域に繋がる第2流通口を開閉する第2弁部とが形成され、前記第1弁部と前記第2弁部とが形成された前記弁体は円板状に形成されており、前記弁体の中央部付近に前記第1弁部が形成され、前記弁体の外周囲に前記第2弁部が形成され、前記第1弁部と前記第2弁部の間の環状領域に前記上流室と前記下流室とを連通する連通路が形成されていると共に、
    更に前記弁体部は、
    前記第2弁部を迂回し、前記上流室から前記連通路、及び前記下流室を通って前記下流領域を繋ぐフェイル通路、及び前記下流室の下流側の前記フェイル通路に配置されたフェイル弁を備えている
    ことを特徴とする減衰力調整式緩衝器。
  2. 請求項1に記載の減衰力調整式緩衝器において、
    前記アクチュエータが作動している状態では、前記第1弁部、前記上流室、前記連通路、前記下流室、前記第2弁部及び前記下流領域の経路を通って前記リザーバに作動流体を流し、
    前記アクチュエータの作動が停止された状態では、前記第1弁部、前記上流室、前記連通路、前記下流室、前記フェイル弁が開かれた前記フェイル通路及び前記下流領域の経路を通って前記リザーバに作動流体を流すようにした
    ことを特徴とする減衰力調整式緩衝器。
  3. 作動流体が封入されたシリンダと、前記シリンダ内に摺動可能に嵌装されたピストンと、前記ピストンに連結されて前記シリンダの外部へ延出されたピストンロッドと、前記シリンダと接続されたリザーバと、前記シリンダ内の前記ピストンの摺動によって生じる作動流体の流れを制御して減衰力を発生させる制御弁組立体を備えた減衰力調整式緩衝器において、
    前記制御弁組立体は、メインバルブ部とパイロットバルブ部から構成され、
    前記パイロットバルブ部は、弁体部及び前記弁体部を収容する弁室と、ソレノイドの推力によって前記弁体部を制御するアクチュエータとを有しており、
    前記弁体部は、
    前記弁室内を上流室と下流室に区画するパイロットバルブを備え、前記パイロットバルブには前記上流室とこれより上流の上流領域に繋がる第1流通口を開閉する第1弁部と、前記下流室とこれより下流の下流領域に繋がる第2流通口を開閉する第2弁部とが形成され、前記第1弁部と前記第2弁部とが形成された前記パイロットバルブは円板状に形成されており、前記パイロットバルブの中央部付近に前記第1弁部が形成され、前記パイロットバルブの外周囲に前記第2弁部が形成され、前記第1弁部と前記第2弁部の間の環状領域に前記上流室と前記下流室とを連通する連通路が形成されていると共に、
    更に前記弁体部は、
    前記第2弁部を迂回し、前記上流室から前記連通路、及び前記下流室を通って前記下流領域を繋ぐフェイル通路、及び前記下流室の下流側の前記フェイル通路に配置されたフェイル弁を備え、
    前記メインバルブ部は、前記シリンダと連通されたシリンダ側領域と前記リザーバに連通されたリザーバ側領域の接続を開閉するメインバルブとを備え、前記メインバルブの開度は前記パイロットバルブ部の前記上流室の圧力によって調整される
    ことを特徴とする減衰力調整式緩衝器。
  4. 請求項3に記載の減衰力調整式緩衝器において、
    前記アクチュエータが作動している状態では、前記第1弁部、前記上流室、前記連通路、前記下流室、前記第2弁部及び前記下流領域の経路を通って前記リザーバに作動流体を流し、
    前記アクチュエータの作動が停止された状態では、前記第1弁部、前記上流室、前記連通路、前記下流室、前記フェイル弁が開かれた前記フェイル通路及び前記下流領域の経路を通って前記リザーバに作動流体を流すようにした
    ことを特徴とする減衰力調整式緩衝器。
  5. 請求項1或いは請求項3に記載の減衰力調整式緩衝器において、
    前記第1弁部によって開閉される前記第1流通口より上流側の流入口の作動油が通過する断面積は、前記連通路の総断面積より大きく設定されている
    ことを特徴とする減衰力調整式緩衝器。
  6. 請求項1或いは請求項3に記載の減衰力調整式緩衝器において、
    前記第1弁部と前記第2弁部の間の前記環状領域には、前記連通路が所定角度毎に複数個形成されている
    ことを特徴とする減衰力調整式緩衝器。
  7. 請求項1に記載の減衰力調整式緩衝器において、
    前記第2弁部は前記弁体の外周囲に形成された環状凸部から形成され、前記環状凸部によって前記第2流通口を開閉する
    ことを特徴とする減衰力調整式緩衝器。
  8. 請求項1或いは請求項3に記載の減衰力調整式緩衝器において、
    前記フェイル弁は、ボール弁とばねとで形成されている
    ことを特徴とする減衰力調整式緩衝器。
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