JP6652284B2 - 画像生成装置および画像生成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、画像生成装置及び画像生成方法に関する。
生活習慣病や失明原因の上位を占める疾病の早期診断を目的として、眼底部の検査が広く行われている。該眼底部を検査する装置として、共焦点レーザー顕微鏡の原理を利用した眼科装置である走査型レーザー検眼鏡(SLO:Scanning Laser Ophthalmoscope)が知られている。この眼科装置は、測定光であるレーザーを眼底に対してラスタースキャンを行い、その戻り光の強度から平面画像を高分解能かつ高速に得る。更に近年、被検眼で発生する収差を補償する補償光学SLO(AO−SLO:Adaptive Optics SLO)装置が開発された。該補償光学SLOでは、この収差を波面センサでリアルタイムに測定し、測定光やその戻り光の収差を波面補正デバイスで補正する補償光学系を有する。これにより、この補償光学SLOでは、被検眼の収差を補正することで高横分解能な平面画像(以下AO−SLO像という場合がある)の取得を可能にしている。
高横分解能な平面画像を取得する場合、装置自体の光学収差や撮影時間の長時間化等の問題から、一度に撮影する撮影範囲を狭くする、つまり狭い画角で撮影することになる。このため、診断や検査等に必要な情報を得るために、画角が足りない場合は狭い画角の撮影を複数個所行う必要がある。また、高倍率の撮影画像ではなくても、被検者眼の局所的な部位を撮影する場合、全体を把握するために所定の範囲で複数回撮影を行うこともある。しかしながら、診断や検査等に必要とされる領域を撮影したとしても、得られた複数の撮影画像同士の関連性が把握されなければならない。つまり撮影した複数の画像を、それぞれの画像同士の位置関係を明らかにして、その位置に応じて貼り合わせを行うことで、一枚の高精細貼り合わせ画像を生成することが求められる。
このような課題を解決するために、特許文献1では、広画角な画像を得るSLO装置と狭画角であるが高解像度な画像を得るSLO装置とを組み合わせた複合装置が提案されている。また、被検眼の所望の位置を撮影する場合、被検眼を固視するための固視灯が用いられている。特許文献2においては、被検眼の視度に応じて固視灯の表示位置を調整し、眼底の所望の位置の平面画像を取得することなどが試みられている。
特開2010−259543号公報 特開2013−169332号公報
R. Szeliski, Image alignment and stitching: a tutorial, Tech. Rep. MSR−TR−2004−92, Microsoft Research, December 2004.
複数画像の位置合わせを行い、貼り合わせ画像を作成するのは一般的な手法である(非特許文献1)。しかし、眼底の狭画角の高精細画像等に検知できる特徴が、視細胞や毛細血管など非常に小さな構造物である場合、それらは広画角画像では解像できないことが起こり得る。このため、位置合わせのためのマッチングの精度および成功率を向上させるには、画像内に存在する構造物がはっきり写っていることが求められるため、低解像度である広画角画像の画質を十分確保することが重要である。
以上のことから、複数画像の位置合わせを行い、貼り合わせ画像を生成する眼科装置において、貼り合わせ画像作成に適した基準画像を設定することが求められる。これによって、高精細画像の狭画角画像を含む複数の画像について、位置ずれを正しく検出した上でこれらを貼り合せることが可能となる。
本発明はこのような状況に鑑みて為されたものであって、複数の画角で撮影した眼部画像を貼り合わせ処理の際の個々の画像同士の位置合わせ精度を高めることを可能とする画像処理装置および画像処理方法の提供を目的とする。
前記課題を解決するため、本発明の一態様による画像処理装置は、
被検眼の第1の画角の画像を複数取得し、前記被検眼の前記第1の画角より画角な第2の画角の画像を複数取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記第1の画角の前記複数の画像を表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記表示手段に表示された前記第1の画角の前記複数の画像から1の画像を選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された前記第1の画角の第1の画像に対して前記第2の画角の前記複数の画像のそれぞれの位置合わせを行う位置合わせ手段と、
前記第1の画角の前記第1の画像を、前記第1の画角の第2の画像に変更する変更手段とを備え
前記位置合わせ手段は、前記第1の画角の前記第1の画像が前記第1の画角の前記第2の画像に変更されたときは、前記第1の画角の前記第1の画像と前記第2の画角の前記複数の画像とのそれぞれの位置合わせ結果を、前記第1の画角の前記第2の画像と前記第2の画角の前記複数の画像のそれぞれとの位置合わせの初期値として位置合わせを行うことを特徴とする。
本発明によれば、複数の画角で撮影した眼部画像を貼り合わせ処理の際の位置合わせ精度を向上することができる。
本発明の実施例1に係る画像生成装置10の機能構成を示すブロック図である。 本発明の実施例1に係る補償光学SLO装置の構成を示す模式図である。 本発明の実施例1に係る基準画像選択メニューのGUI画面例を示した図である。 本発明の実施例1に係る基準画像選択メニューのGUI画面の別の例を示した図である。 本発明の実施例1に係る画像生成装置にて行われる貼り合せ画像生成の処理手順を示すフローチャート。 基準画像選択メニューにおける、有力候補の印がつけられるGUI画面例を示した図である。 基準画像選択メニューにおける、有力候補の印がつけられるGUI画面の別の例を示した図である。
[実施例]
本実施例では、補償光学SLO装置により網膜を平面で撮影した複数の平面画像を取得した後に、それぞれの画像間で位置合わせを行い、基準画像に貼り合わせた合成画像を生成する態様について説明する。ここで網膜の平面画像とは、被検眼を正面から眼底カメラ等で撮影する際に得られる、正面像のことを言う。本実施例に係る装置では、撮影する画角を調整して、網膜の広画角の平面画像(広画角画像:第一の画角の画像)と、狭画角の平面画像(狭画角画像:第二の画角の画像)とを取得する。広画角画像は、網膜の広い領域を全景として取得する。狭画角画像は、広画角で撮影した領域内の一部領域を、画角画像の解像度より高解像度な画像として必要に応じて、複数箇所で取得する。
取得した網膜の平面画像において、広画角画像を基準画像として用いる。複数箇所で取得した狭画角画像は、基準画像内の対応する位置に貼りあわせられ、これにより合成画像が生成される。具体的には基準画像と狭画角画像との間で相互の相関を算出して、双方の相対的な位置ずれ量を検出する。その後、この位置ずれ量を考慮した位置合わせ位置合わせ手段により行い、対応する広画角画像の位置に狭画角画像を貼り合わせる。
この時、位置合わせ処理のためのベース画像として十分な画質の画像を基準画像とする必要がある。本実施例においては、複数枚の広画角画像の中からユーザが基準画像を選択できる構成となっている。このようにすることで、合成画像の生成処理に適した画像をユーザが選択することが可能となり、位置合わせの精度、および成功率を高めることが可能となる。
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施例は特許請求の範囲に関わる本発明を限定するものではなく、また、本実施例で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
<画像生成装置の構成>
図1は、本実施例に係る画像生成装置10の機能構成を示したブロック図であり、該画像生成装置10は、後述するように図2に概略構成を示す補償光学SLO装置と接続されている。図1に示す画像生成装置10は、信号取得部100、制御部120、記憶部130、画像生成部140、画像処理部150、出力部160、および操作入力部170を有する。画像処理部150は、位置合わせ部151を有する。
信号取得部100は、補償光学SLO装置から、網膜からの反射信号や画像生成に必要な情報を取得する。取得した情報は制御部120を通じて記憶部130に記憶される。画像生成部140は、取得した情報を用いて反射信号を画像化する。そして生成した画像を用いて、位置合わせ部151が順次位置合わせと、画像貼り合わせを行う。このようにして画像処理部150が演算を行い、合成画像を生成する。出力部160は、生成した画像を不図示のモニタ等に出力する。操作入力部170は、マウスやボタンなどに代表されるユーザによる入力手段であり、例えば後述する基準画像の選択を行う際に用いられる。
次に図2を用いて補償光学系を備えたSLO装置の構成を説明する。測定光とする光を発する光源201として、本実施例ではSLD光源(Super Luminescent Diode)を用いた。なお、本実施例では撮影と波面測定のための光源を共用しているが、それぞれを別光源とし、光路の途中で合波する構成としても良い。光源201から照射された光は、単一モード光ファイバー202を通って、コリメータ203により、平行な測定光205として照射される。照射された測定光205はビームスプリッタからなる光分割部204を透過し、収差補正のための補償光学系に導光される。
補償光学系は、光分割部206、波面センサ215、波面補正デバイス208および、それらに導光するための反射ミラー207−1〜4から構成される。ここで、反射ミラー207−1〜4は、少なくとも眼211の瞳と波面センサ215および波面補正デバイス208とが光学的に共役関係になるように設置されている。また、光分割部206として、本実施例ではビームスプリッタを用い、波面補正デバイス208として液晶素子を用いた空間位相変調器を用いる。なお、波面補正デバイスとして可変形状ミラーを用いる構成としても良い。
補償光学系を通過した光は、走査光学系209によって、1次元もしくは2次元に眼211の眼底上で走査される。走査光学系209として、本実施例では主走査用(眼底における水平方向)と副走査用(眼底における垂直方向)とに2つのガルバノスキャナを用いた。しかし、より高速な撮影のために、走査光学系209の主走査側に共振スキャナを用いても良い。このとき、主副走査光学系による眼底における走査幅を変えることで、走査範囲つまり画角を変化させることができる。
走査光学系209で走査された測定光205は、対物レンズ210−1および210−2を通して眼211に照射される。眼211に照射された測定光205は眼底で反射もしくは散乱される。対物レンズ210−1および210−2の位置を調整することによって、眼211の視度にあわせて測定光205の最適な位置に照射を行うことが可能となる。なお、本実施例では対物レンズを用いたが、これを球面ミラー等で構成しても良い。眼211の眼底の網膜から反射もしくは散乱された反射散乱光(戻り光)は、入射した時と同様の経路を逆向きに進行し、光分割部206によって一部は波面センサ215に反射され、光線の波面を測定するために用いられる。
波面センサ215は補償光学制御部216に接続され、受光した戻り光の波面を補償光学制御部216に伝える。波面補正デバイス208も補償光学制御部216に接続されており、補償光学制御部216から指示された測定光及び戻り光の波面を補正するための変調を行う。補償光学制御部216は波面センサ215の測定結果による取得された波面を基に収差のない波面へと補正するような変調量(補正量)を演算し、波面補正デバイス208にそのように変調するように指令する。なお、波面の測定と波面補正デバイス208への指示は繰り返し実行され、常に最適な波面となるようにフィードバック制御が行われる。
光分割部206を透過した反射散乱光は光分割部204によって一部が反射され、コリメータ212および光ファイバー213を通して光強度センサ214に導光される。光強度センサ214で光はその強度に応じた電気信号に変換され、該電気信号より得られたデータは制御部217によって画像生成装置10へ伝送される。画像生成装置10では、該データを用いて平面画像(動画像もしくは静止画像)を生成する。なお、図2の構成で走査光学系の振り角を大きくし、補償光学制御部216が収差補正を行わないよう指示することによって本実施例における補償光学SLO装置は通常のSLO装置としても動作可能である。即ち当該指示に応じて本実施例における補償光学SLO装置において、広画角なSLO画像を撮影できる。なお、広画角なSLO画像を撮影するための広画角設定モードと、狭画角なSLO画像を撮影するための狭画角設定モードとの選択は、選択のために表示手段に表示されるアイコン等をユーザが選択することにより実行される。
また、固視微動と呼ばれる不随意的な眼球運動や固視不良による眼球運動あるいは顔の動きに伴う眼の動きの影響を軽減するために、眼の動きを追尾(トラッキング)する場合がある。眼底の動きの計測には、画像生成装置によって生成した平面画像を用いて、不図示の計算部によって特徴を持った小領域の画像であるテンプレート画像を抽出し、テンプレート画像と最も似た部位を探すパターン・マッチングによって眼底の動きを計測する方法がある。更に、光学系内にスキャナを設置し、制御部をスキャナと計算部を接続する位置に設置することで、測定光の眼底上の照射位置をスキャナによって計測した眼底の動きに追従させることができる。これによって、1動画像内の各フレーム間の撮影位置がずれることを軽減できる。
以上述べたように、本実施例においては、一系統の走査光学系の走査範囲を変えることで複数の画角の画像の撮影を実現する構成とした。しかし本発明の適用対象はこれに限定されず、広画角用と狭画角用とに、それぞれ独立の異なる走査光学系を備える構成としても良い。
<撮影の流れ>
次に、本実施例に係る画像生成装置を使用した場合の、実際の撮影の流れについて説明する。
まずSLO装置において、広画角設定で患者の眼底の全景を撮影する。この広画角画像は複数回撮影される。その中から、どの画像を基準画像にするかは、操作入力部170を介してユーザによって選択される。このときの基準画像の選択方法についての詳細は、後述する。
次に、狭画角設定で、網膜の高倍率(狭画角)撮影を行う。ここでは、網膜の状況について詳細に撮影したい部分を複数箇所撮影する。画像生成装置10では、狭画角撮影を行う毎に、上述の基準画像を下地画像として、狭画角画像を対応する位置に合成(重畳)した、合成画像を生成、表示する。このとき狭画角画像が貼り合わせられる位置は、基準画像内の高倍率撮影を行った位置に対応する位置を画像処理により算出し、画像合成処理するものであって、本処理の詳細については後述する。
<基準画像の選択>
ここでは、基準画像の選択方法について説明する。
まず、ユーザによって基準画像選択メニューが起動される。基準画像選択メニューの起動方法は、押しボタンのようなハードウェアキーであっても良いし、タッチパネルに表示されたGUIのメニューボタンであっても良い。或いは、GUIメニューをマウスやトラックボールに代表されるHIDによって選択する方法であっても良い。
基準画像選択メニューが起動されると、まず、基準画像の候補として、広画角設定で撮影された画像を検索し、検査対象の被検眼より得られている広画角画像を一覧表示する。基準画像選択メニューの画面表示の一例を図3に示す。
図3に示すように、一覧表示された基準画像の候補(図3では301領域に列挙されている画像群)の中から、どの画像を基準画像にするか、ユーザがカーソル操作によって選択し、決定ボタン302で指定する。ここまでの、選択メニューの起動および基準画像の選択は、操作入力部170を介して実行される。ユーザによって基準画像が選択されると、画像生成装置10の記憶部130に、基準画像として選択された広画角画像を特定する情報、例えば画像IDが保存される。
本実施例において、基準画像の候補は、現在撮影中の患者の、現在撮影中の側の眼の、今回の撮影で撮影した広画角画像を一覧表示するものとする。患者の特定については、データ管理のための紐付として、撮影前に患者IDに代表される患者を一意に特定する情報を通常は入力している。よって本実施例では、この患者IDを患者を特定する情報として利用して、基準画像に関する情報を収集する。
なお、基準画像の候補の選択方法は、本実施例の方式に限らない。たとえば、院内の画像情報データベース内を検索して、同じ患者の過去の画像を収集しても良い。さらに、広画角画像の中には、瞬きの瞬間や固視微動の影響などにより、明らかな失敗が自動検出できるのであれば、これら画像を予め基準画像の候補画像から外しても良い。
また、本実施例では、基準画像の候補画像はユーザによって任意の記憶手段或いはデータベースから手動で追加することが可能とする。追加方法の一例としては、一般的なウィンドウシステムのように、各種ストレージやデータベースを指定し、且つアイコン表示された広画角画像ファイルを開いて選択する方式、或いはリスト表示された広画角画像のサムネイル画像から選択する方式が考えられる。これにより上述のように自動的に候補画像から外された画像を再度候補画像に編入させたり、過去の撮影画像を手動で編入させるなど、ユーザの多様なニーズに応えることが可能となる。
ここで、GUIの操作方法については、基準画像の候補が多数あり、一度に表示するにはサムネイル画像が小さくなりすぎる場合も考えられる。この場合は、一画面に複数のサムネイル画像を無理に収めず、スクロール操作により順次表示画像を流しながら閲覧させる所謂携帯用モニタでの表示様式としても良い。また、サムネイル表示では確認しづらい場合に備え、カーソル操作によって一覧表示された候補画像のうちの一つを選択すると、選択された候補画像の拡大画像を別画面(別ウィンドウ)で表示することとしても良い。
また、本実施例では一覧表示するGUI形式で説明を行ったが、図4に示すように、候補画像を1枚ずつ表示する形式であっても良い。この場合、ユーザは基準画像として適している画像が見つかるまでページ送りボタン401および402で画像切り替え(ページ送り)しながら画像を閲覧できる。候補画像の中から適切だと思う画像が決定できたら、決定ボタン403により基準画像を決定できる。
<画像処理装置の処理手順>
次に、図5のフローチャートを参照して、本実施形態の画像生成装置10において行われる合成画像生成の処理手順を説明する。
<ステップS510>
ステップS510において、信号取得部100は、画像生成装置10に接続される補償光学SLO装置から取得された複数の画像または動画の信号情報を取得する。信号情報は、網膜の撮影に用いられるガルバノスキャナ或いは共振スキャナの位置信号、及び撮影によって取得された網膜からの反射信号などである。取得された信号情報は、制御部120を通じて記憶部130に保存される。信号取得部100は、本実施例において、被検眼の第1の画角の画像を複数取得し、且つ被検眼の1の画角より高倍率な或いはより狭い範囲の第2の画角の画像を取得する取得手段を構成する。
またこのとき、取得された信号情報に付随するハードウェアの制御情報を取得し、制御部120を通じて記憶部130に記憶する。ここで制御情報とは、網膜の反射信号を取得する際にサンプリング周波数やガルバノスキャナの周波数に相当するフレームレート、撮影画角の情報などである。これらの制御情報は、信号情報に付加している撮影情報ファイルに記載されている場合もあれば、信号情報のタグ情報として含まれている場合もある。
<ステップS520>
ステップS520において、画像生成部140は、記憶部130に保存されている補償光学SLO装置により取得された信号情報から、それぞれの画像または動画を生成する。取得された画像または動画は、制御部120を通じて記憶部130に保存される。本実施例では、取得画像または動画は一般的な四角形の形状を取る。
広角或いは狭角の画角設定に違いがあっても、基本的には以上の流れで網膜画像の取得を行っていく。ここで、制御部120は出力部160を介して、表示手段である例えば不図示のモニタに広画角画像を表示させる。制御部120は、本実施例において、複数の広画角画像を表示部に表示させる表示制御手段を構成する。
また、モニタに一覧様式、スクロール様式、或いはページめくり様式によって並べて表示された複数の広画角画像は、前述したようにユーザによって閲覧され、どの画像を基準画像として用いるかの選択が為される。選択した結果は、操作入力部170を介して制御部120に伝えられる。本実施例では、操作入力部170においてユーザの指示を受け付ける構成を入力手段とする。また、当該指示、或いは場合によっては画像処理に基づく判断に応じて基準画像を選択する操作入力部170および制御部120からなる構成を、選択手段とする。
以降については、基準画像に対して、取得した網膜画像を位置合わせして貼り合わせ合成画像を生成する手順の説明となる。よって、ステップS530からは広画角画像の取得を終え、基準画像選択後、狭画角画像撮影時の処理について説明する。
<ステップS530>
ステップS530において、位置合わせ部151は、<基準画像の選択>の節で選択された基準画像、もしくは既に位置合わせと貼り合わせとにより合成済みの画像に対して、狭画角画像の位置合わせを行う。即ち、該位置合わせ部151は、本実施例において、選択手段により選択された広画角画像に対して狭画角画像の位置合わせを行う位置合わせ手段を構成する。
この、基準画像若しくは合成済み画像に対して狭画角画像の位置合わせを行う方法は、任意の公知の方法を用いる。
たとえば、本実施例では、平行移動によってシフトした二つの画像の重なる領域のピクセル値を用いて、正規化相互相関を計算する。このようにして求めた相関関数と粗位置合わせの位置情報とを制御部120を通じて記憶部130に保存する。他の方法としては、同様のピクセル値を用いて、SAD(輝度値の差の絶対値の合計)やSSD(輝度値の差の絶対値の合計)など、一般的なパターン・マッチングの手法を用いても良い。また、より一般的なPOC(位相限定相関法)を用いても良い。
<ステップS540>
ステップS540においては、ステップS530で算出された、基準画像と狭画角画像との位置合わせ位置情報に基づき、基準画像または合成済み画像に対し、狭画角画像の貼り合わせによる画像の合成を実行する。このようにして生成された合成画像は、制御部120を通じて記憶部130に記録され、さらに網膜のパノラマ画像として出力部160を通じてモニタ等に表示される。
以上の構成により得られる効果について以下に説明する。
前述したように、位置合わせのためのマッチングの精度および成功率を向上させるには、低解像度である広画角画像の画質を十分確保することが重要である。広画角画像の画質を低下させる原因としては、上述した例の他に撮影中の固視微動による画像ブレや、縮瞳で測定光が十分に眼底に届けられないことによるコントラスト不足、調節微動によるピントぼけなどがある。
広画角画像は狭画角画像よりも画像取得時間が長くかかることが多く、上述した問題による画質低下や、中心窩付近のように高解像でないと解像できない微細領域を含むなどして、部分的に低画質となることがある。
一方で画像位置合わせ処理に関しては、狭画角で画像取得する位置に対応する部分の画質が広画角画像において確保されていれば、その他に部分的に画質が悪い領域が存在しても問題ない場合がある。例えば、ユーザが実際に画像を見て判断することで、部分的に低画質な部分が例えば中心窩のようにもともと解像しない領域であることが分かる。また、広画角画像において部分的に画質低下が起きていても、この画質の低い部分が必要な部分かどうかで該広画角画像の利用可否を判断できる。
以上述べたように、狭画角画像の貼り合せに際しては、位置合わせのための基準画像の適否判定は必ずしも自動化が容易ではない中で、いかに貼り合わせ画像作成に適した基準画像を設定するかが重要であった。本実施例のように構成することで、ユーザが基準画像として適切な広画角画像を判別して設定することができる。従って、複数の画角で撮影した眼部画像を貼り合わせ処理の際の位置ずれ検出の失敗を軽減することができる。
(その他の実施形態:基準画像選択のタイミング)
上述した実施例では、撮影の流れで、広画角画像を複数回取得後、基準画像選択メニューにより基準画像を選択し、その後、狭画角画像撮影を行うフローとなっていたが、撮影の流れはこれに限定しない。
基準画像選択メニューは任意のタイミングで呼び出すことが可能であり、狭画角画像撮影を行っている最中にも基準画像選択を行うことが可能である。よって、撮影時は、ユーザによって基準画像が設定されていなくても、その時点で最新の広画角画像を仮の基準画像として貼り合わせ合成処理を行う。この場合、撮影後に改めてユーザにより基準画像選択メニューが呼び出され、基準画像が設定された時点で、新たに設定された基準画像に基づいて貼り合わせ合成画像を生成しなおすものとする。即ち、選択された基準画像が、複数の広画角画像のうち他の画像に変更された場合、位置合わせ手段は変更後の基準画像に対して狭画角画像の位置合わせを行う。
さらにこの時、最後に貼り合わせ合成画像を生成したときの、各狭画角画像と基準画像との位置ずれ情報とを保存しておき、これを初期値として新たに設定された基準画像との位置ずれ検出を行う。即ち、変更前の基準画像に対して位置合わせされた狭画角画像の位置を用いて変更後の基準画像に対して該狭画角画像の位置合わせを行うこととしている。
このようにすることで、位置ずれ検出の計算にかかる時間を節約できる可能性が高まる。また、複数の狭画角画像取得の途中で、基準画像が再選定された場合は、貼り合わせ合成処理を最初からやり直す方式でも良い。
(その他の実施形態:基準画像の選択画面)
上述した実施例では、基準画像の候補画像を選択するGUI画面を説明したが、基準画像が多い場合は、ユーザにとって好ましいものにチェックを付けることが可能であれば、利便性が高まる。先の実施例でも説明したように、基準画像が多い場合は、一部を表示してスクロール表示する方法や、ページ送りのようにして1枚ずつ確認する表示方法が考えられる。このとき、好ましい画像が見つかっても、まだ見ていない画像のなかにより良い画像がある可能性もあることから、この画像を一端とりあえず有力候補として記憶しておく必要がある。
このような場合において、多くの候補画像の中から再度この有力候補であった画像を探し出して再検討することは普通困難である。対策として、この有力候補画像には何らかの印がつけられると便利である。本実施例は、こういった考えから、各候補画像近くにチェックマークをつけることができるGUIを構成する。図6は、本実施例における基準画像の候補画像のスクロール表示GUIの一例である。図中、表示画面上にはチェックボックス610が配置され、チェックマークが付けられるようになっている。またソートボタン620を備えており、チェックマークがついているものだけを一覧表示することができるようになっている。これにより、有力候補画像を再検討する際の利便性がさらに高まる。また、本実施例では、ソートボタン620はトグルボタンとなっており、もう一度押すとソート表示が解除される。
図7は、本実施例における基準画像の候補画像のページ送り表示GUIの一例である。図7に例示されるGUIも同様に、チェックボックス710を備えており、チェックマークが付けられるようになっている。なお、該GUIもソートボタンを備えても良い。この場合、普段は候補画像1枚ずつのページ送り表示だが、ソートボタンを押すことで、チェックマークがついた有力候補画像の一覧表示に切り替わるようにすることで、有力候補画像の再検討の際の利便性が高まる。なお、以上の実施例では、基準画像として選択される候補であるか否かを示す表示形態としてチェックボックスを例示したが、候補であることが確認できれば当該形態に限定されない。後で確認可能なマークを付記する様式であれば公知の種々の様式を適用可能である。
(その他の実施形態:システム構成)
上述した実施例では、複数の画角で撮影した眼部画像を取得する取得手段として、眼科検査装置で撮影する例を示したが、取得手段はこれに限定しない。たとえば、画像生成装置と患者の網膜の撮影データを格納した医用データベースがLANで接続されていて、ネットワーク経由で画像を取得する方式でも良い。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
10 画像生成装置
100 信号取得部
120 制御部
130 記憶部
140 画像生成部
150 画像処理部
151 位置合わせ部
160 出力部
170 操作入力部

Claims (8)

  1. 被検眼の第1の画角の画像を複数取得し、前記被検眼の前記第1の画角より画角な第2の画角の画像を複数取得する取得手段と、
    前記取得手段により取得された前記第1の画角の前記複数の画像を表示手段に表示させる表示制御手段と、
    前記表示手段に表示された前記第1の画角の前記複数の画像から1の画像を選択する選択手段と、
    前記選択手段により選択された前記第1の画角の第1の画像に対して前記第2の画角の前記複数の画像のそれぞれの位置合わせを行う位置合わせ手段と、
    前記第1の画角の前記第1の画像を、前記第1の画角の第2の画像に変更する変更手段とを備え
    前記位置合わせ手段は、前記第1の画角の前記第1の画像が前記第1の画角の前記第2の画像に変更されたときは、前記第1の画角の前記第1の画像と前記第2の画角の前記複数の画像のそれぞれとの位置合わせ結果を、前記第1の画角の前記第2の画像と前記第2の画角の前記複数の画像のそれぞれとの位置合わせの初期値として位置合わせを行うことを特徴とする画像生成装置。
  2. 前記表示制御手段は、前記表示手段に対して前記第1の画角の前記複数の画像を、並べて表示、一覧表示、或いは、一枚ずつ表示させることを特徴とする請求項1に記載の画像生成装置。
  3. 前記選択手段は、前記表示された前記第1の画角の前記複数の画像から選択候補の画像を複数選択し、
    前記表示制御手段は、前記第1の画角の前記複数の画像の表示から、前記選択された複数の選択候補の画像の表示へ変更し、
    前記選択手段は、表示された複数の選択候補の画像から前記1の画像を選択することを特徴とする請求項1または2に記載の画像生成装置。
  4. 前記表示制御手段は、前記表示された前記第1の画角の前記複数の画像それぞれの近くに前記選択候補を選択するための印を表示させ、
    前記選択手段は、前記印を選択することにより前記選択候補を選択することを特徴とする請求項3に記載の画像生成装置。
  5. 前記表示制御手段は、前記表示手段に表示された前記第1の画角の画像が前記選択手段に選択される候補であるか否かを示す表示形態を前記第1の画角の画像と共に前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の画像生成装置。
  6. 前記表示手段に表示される前記第1の画角の前記複数の画像において選択する画像を前記選択手段に指示する入力手段を備えることを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の画像生成装置。
  7. 被検眼の第1の画角の画像を複数取得し、前記被検眼の前記第1の画角より画角な第2の画角の画像を複数取得する取得工程と、
    前記取得工程において取得された前記第1の画角の前記複数の画像を表示部に並べて表示させる表示制御工程と、
    前記表示部に表示された前記第1の画角の前記複数の画像から1の画像を選択させる選択工程と、
    前記選択工程において選択された前記第1の画角の第1の画像に対して前記第2の画角の前記複数の画像のそれぞれの位置合わせを行う位置合わせ工程と、
    前記第1の画角の前記第1の画像を、前記第1の画角の第2の画像に変更する変更工程と、
    前記第1の画角の前記第1の画像が前記第1の画角の前記第2の画像に変更されたときは、前記第1の画角の前記第1の画像と前記第2の画角の前記複数の画像のそれぞれとの位置合わせ結果を、前記第1の画角の前記第2の画像と前記第2の画角の前記複数の画像のそれぞれとの位置合わせの初期値として位置合わせを行う工程とを含むことを特徴とする画像生成方法。
  8. 請求項に記載の画像生成方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
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