以下、本開示を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(画像符号化装置)
2.第2の実施の形態(画像符号化装置)
3.第3の実施の形態(多視点画像符号化装置・多視点画像復号装置)
4.第4の実施の形態(階層画像符号化装置・階層画像復号装置)
5.第5の実施の形態(コンピュータ)
6.第6の実施の形態(応用例)
7.第7の実施の形態(セット・ユニット・モジュール・プロセッサ)
<1.第1の実施の形態>
<符号化方式>
以下においては、HEVC(High Efficiency Video Coding)方式の画像符号化に適用する場合を例に、本技術を説明する。
<ブロック分割>
MPEG2(Moving Picture Experts Group 2(ISO/IEC 13818-2))又はH.264及びMPEG-4 Part10(以下、AVC(Advanced Video Coding)と称する)などの旧来の画像符号化方式では、符号化処理は、マクロブロックと呼ばれる処理単位で実行される。マクロブロックは、16x16画素の均一なサイズを有するブロックである。これに対し、HEVCでは、符号化処理は、CU(Coding Unit)と呼ばれる処理単位(符号化単位)で実行される。CUは、最大符号化単位であるLCU(Largest Coding Unit)を再帰的に分割することにより形成される、可変的なサイズを有するブロックである。選択可能なCUの最大サイズは、64x64画素である。選択可能なCUの最小サイズは、8x8画素である。最小サイズのCUは、SCU(Smallest Coding Unit)と呼ばれる。
このように、可変的なサイズを有するCUが採用される結果、HEVCでは、画像の内容に応じて画質及び符号化効率を適応的に調整することが可能である。予測符号化のための予測処理は、PU(Prediction Unit)と呼ばれる処理単位(予測単位)で実行される。PUは、CUをいくつかの分割パターンのうちの1つで分割することにより形成される。さらに、直交変換処理は、TU(Transform Unit)と呼ばれる処理単位(変換単位)で実行される。TUは、CU又はPUをある深さまで分割することにより形成される。
<再帰的なブロックの分割>
図1は、HEVCにおけるCUについての再帰的なブロック分割の概要を説明するための説明図である。CUのブロック分割は、1つのブロックの4(=2x2)個のサブブロックへの分割を再帰的に繰り返すことにより行われ、結果として四分木(Quad-Tree)状のツリー構造が形成される。1つの四分木の全体をCTB(Coding Tree Block)といい、CTBに対応する論理的な単位をCTU(Coding Tree Unit)という。
図1の上部には、一例として、64x64画素のサイズを有するCUであるC01が示されている。C01の分割の深さは、ゼロに等しい。これは、C01がCTUのルートでありLCUに相当することを意味する。LCUサイズは、SPS(Sequence Parameter Set)又はPPS(Picture Parameter Set)において符号化されるパラメータにより指定され得る。CUであるC02は、C01から分割される4つのCUのうちの1つであり、32x32画素のサイズを有する。C02の分割の深さは、1に等しい。CUであるC03は、C02から分割される4つのCUのうちの1つであり、16x16画素のサイズを有する。C03の分割の深さは、2に等しい。CUであるC04は、C03から分割される4つのCUのうちの1つであり、8x8画素のサイズを有する。C04の分割の深さは、3に等しい。このように、CUは、符号化される画像を再帰的に分割することにより形成される。分割の深さは、可変的である。例えば、青空のような平坦な画像領域には、より大きいサイズの(即ち、深さが小さい)CUが設定され得る。一方、多くのエッジを含む急峻な画像領域には、より小さいサイズの(即ち、深さが大きい)CUが設定され得る。そして、設定されたCUの各々が、符号化処理の処理単位となる。
<CUへのPUの設定>
PUは、イントラ予測及びインター予測を含む予測処理の処理単位である。PUは、CUをいくつかの分割パターンのうちの1つで分割することにより形成される。図2は、図1に示したCUへのPUの設定について説明するための説明図である。図2の右には、2Nx2N、2NxN、Nx2N、NxN、2NxnU、2NxnD、nLx2N及びnRx2Nという、8種類の分割パターンが示されている。これら分割パターンのうち、イントラ予測では、2Nx2N及びNxNの2種類が選択可能である(NxNはSCUでのみ選択可能)。これに対してインター予測では、非対称動き分割が有効化されている場合に、8種類の分割パターンの全てが選択可能である。
<CUへのTUの設定>
TUは、直交変換処理の処理単位である。TUは、CU(イントラCUについては、CU内の各PU)をある深さまで分割することにより形成される。図3は、図1に示したCUへのTUの設定について説明するための説明図である。図3の右には、C02に設定され得る1つ以上のTUが示されている。例えば、TUであるT01は、32x32画素のサイズを有し、そのTU分割の深さはゼロに等しい。TUであるT02は、16x16画素のサイズを有し、そのTU分割の深さは1に等しい。TUであるT03は、8x8画素のサイズを有し、そのTU分割の深さは2に等しい。
上述したCU、PU及びTUといったブロックを画像に設定するためにどのようなブロック分割を行うかは、典型的には、符号化効率を左右するコストの比較に基づいて決定される。エンコーダは、例えば1つの2Mx2M画素のCUと、4つのMxM画素のCUとの間でコストを比較し、4つのMxM画素のCUを設定した方が符号化効率が高いならば、2Mx2M画素のCUを4つのMxM画素のCUへと分割することを決定する。
<CUとPUの走査順>
画像を符号化する際、画像(又はスライス、タイル)内に格子状に設定されるCTB(又はLCU)が、ラスタスキャン順に走査される。1つのCTBの中では、CUは、四分木を左から右、上から下に辿るように走査される。カレントブロックを処理する際、上及び左の隣接ブロックの情報が入力情報として利用される。図4は、CUとPUの走査順について説明するための説明図である。図4の左上には、1つのCTBに含まれ得る4つのCUである、C10、C11、C12及びC13が示されている。各CUの枠内の数字は、処理の順序を表現している。符号化処理は、左上のCUであるC10、右上のCUであるC11、左下のCUであるC12、右下のCUであるC13の順で実行される。図4の右には、CUであるC11に設定され得るインター予測のための1つ以上のPUが示されている。図4の下には、CUであるC12に設定され得るイントラ予測のための1つ以上のPUが示されている。これらPUの枠内の数字に示したように、PUもまた、左から右、上から下に辿るように走査される。
以下において、LCUは、AVC方式におけるマクロブロックをも含むものとし、CUは、AVC方式におけるブロック(サブブロック)をも含むものとする。つまり、以下の説明に用いる「ブロック」は、ピクチャ内の任意の部分領域を示し、その大きさ、形状、および特性等は限定されない。つまり、「ブロック」には、例えば、TU、PU、SCU、CU、LCU、サブブロック、マクロブロック、またはスライス等任意の領域(処理単位)が含まれる。もちろん、これら以外の部分領域(処理単位)も含まれる。サイズや処理単位等を限定する必要がある場合は、適宜説明する。
<画像符号化装置>
図5は、本技術を適用した画像処理装置の一態様である画像符号化装置の構成の一例を示すブロック図である。図5に示される画像符号化装置100は、例えば、HEVCの予測処理、またはそれに準ずる方式の予測処理を用いて動画像の画像データを符号化する。
図5に示されるように画像符号化装置100は、画面並べ替えバッファ111、演算部112、直交変換部113、量子化部114、可逆符号化部115、蓄積バッファ116、逆量子化部117、および逆直交変換部118を有する。また、画像符号化装置100は、演算部119、ループフィルタ120、符号化部121、フレームメモリ122、復号部123、イントラ予測部124、インター予測部125、および予測画像選択部126を有する。さらに、画像符号化装置100は、レート制御部127およびヘッダ情報生成部128を有する。
画面並べ替えバッファ111は、入力された画像データの各フレームの画像をその表示順に記憶し、記憶した表示の順番のフレームの画像を、GOP(Group Of Picture)に応じて、符号化のためのフレームの順番に並べ替え、フレームの順番を並び替えた画像を、演算部112に供給する。また、画面並べ替えバッファ111は、フレームの順番を並び替えた画像を、イントラ予測部124およびインター予測部125にも供給する。
演算部112は、画面並べ替えバッファ111から読み出された画像から、予測画像選択部126を介してイントラ予測部124若しくはインター予測部125から供給される予測画像を減算し、その差分情報(残差データ)を直交変換部113に供給する。例えば、イントラ符号化が行われる画像の場合、演算部112は、画面並べ替えバッファ111から読み出された画像の画像データから、イントラ予測部124から供給される予測画像の画像データを減算する。また、例えば、インター符号化が行われる画像の場合、演算部112は、画面並べ替えバッファ111から読み出された画像の画像データから、インター予測部125から供給される予測画像の画像データを減算する。
直交変換部113は、演算部112から供給される残差データに対して、離散コサイン変換やカルーネン・レーベ変換等の直交変換を施す。直交変換部113は、その直交変換により得られた変換係数を量子化部114に供給する。
量子化部114は、直交変換部113から供給される変換係数を量子化する。量子化部114は、レート制御部127から供給される符号量の目標値に関する情報に基づいて量子化パラメータを設定し、その量子化を行う。量子化部114は、量子化された変換係数を可逆符号化部115に供給する。
可逆符号化部115は、量子化部114において量子化された変換係数を任意の符号化方式で符号化する。また、可逆符号化部115は、イントラ予測のモードを示す情報などをイントラ予測部124から取得し、インター予測のモードを示す情報や差分動きベクトル情報などをインター予測部125から取得する。
可逆符号化部115は、これらの各種情報を任意の符号化方式で符号化し、符号化データ(符号化ストリームとも称する)のヘッダ情報の一部とする(多重化する)。可逆符号化部115は、符号化して得られた符号化データを蓄積バッファ116に供給して蓄積させる。
可逆符号化部115の符号化方式としては、例えば、可変長符号化または算術符号化等が挙げられる。可変長符号化としては、例えば、H.264/AVC方式で定められているCAVLC(Context-Adaptive Variable Length Coding)などが挙げられる。算術符号化としては、例えば、CABAC(Context-Adaptive Binary Arithmetic Coding)などが挙げられる。
蓄積バッファ116は、可逆符号化部115から供給された符号化データを、一時的に保持する。蓄積バッファ116は、所定のタイミングにおいて、保持している符号化データを、画像符号化装置100の外部に出力する。すなわち、蓄積バッファ116は、符号化データを伝送する伝送部でもある。
また、量子化部114において量子化された変換係数は、逆量子化部117にも供給される。逆量子化部117は、その量子化された変換係数を、量子化部114による量子化に対応する方法で逆量子化する。逆量子化部117は、その逆量子化により得られた変換係数を、逆直交変換部118に供給する。
逆直交変換部118は、逆量子化部117から供給された変換係数を、直交変換部113による直交変換処理に対応する方法で逆直交変換する。逆直交変換部118は、逆直交変換された出力(復元された残差データ)を演算部119に供給する。
演算部119は、逆直交変換部118から供給された、復元された残差データに、予測画像選択部126を介してイントラ予測部124若しくはインター予測部125から供給される予測画像を加算し、局所的に再構成された画像(以下、再構成画像と称する)を得る。その再構成画像は、ループフィルタ120に供給される。
ループフィルタ120は、デブロックフィルタや適応ループフィルタ等を含み、演算部119から供給される再構成画像に対して適宜フィルタ処理を行う。例えば、ループフィルタ120は、再構成画像に対してデブロックフィルタ処理を行うことにより再構成画像のブロック歪を除去する。また、例えば、ループフィルタ120は、そのデブロックフィルタ処理結果(ブロック歪みの除去が行われた再構成画像)に対して、ウィナーフィルタ(Wiener Filter)を用いてループフィルタ処理を行うことにより画質改善を行う。
なお、ループフィルタ120が、再構成画像に対してさらに、他の任意のフィルタ処理を行うようにしてもよい。また、ループフィルタ120は、必要に応じて、フィルタ処理に用いたフィルタ係数等の情報を可逆符号化部115に供給し、それを符号化させるようにすることもできる。
ループフィルタ120は、フィルタ処理結果(以下、復号画像と称する)を符号化部121に供給する。
符号化部121は、ループフィルタ120から供給される復号画像を符号化する。復号画像のデータは、フレームメモリ122に記憶され、他のフレームの符号化の際等に読み出され、参照画像として利用される。したがって、フレームメモリ122は、例えば数フレーム分の復号画像のデータを記憶しなければならない。つまり、フレームメモリ122には、十分に大きな記憶容量が必要になる。そのため、フレームメモリ122をCPUのキャッシュメモリのような小容量で高速で高価なSRAM(Static Random Access Memory)等で実現することは困難である(コストが許容できないほど増大したり、容量不足が発生したりするおそれがある)。そこで、フレームメモリ122は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の大容量で低速で安価なメモリで実現するのが一般的である。しかしながら、その場合、復号画像のデータ量が大きすぎると、その伝送により、フレームメモリ122の入出力バスにおいて帯域不足が生じるおそれがあった。つまり、復号画像のデータ量はより小さいほど望ましい。また、この場合も、DRAMを他の処理と共有することも考えられるので、フレームメモリ122において容量不足が発生しないように、復号画像のデータ量はより小さいほど望ましい。
そこで、符号化部121は、復号画像のデータをフレームメモリ122に供給する前に符号化し、復号画像の(符号化データの)データ量を、フレームメモリ122の記憶容量やフレームメモリ122の入出力バスの帯域幅に対して十分小さくなるように、圧縮(縮小)する。つまり、符号化部121は、フレームメモリ122の入出力バスにおいて帯域不足が生じず、かつ、フレームメモリ122の空き領域が不足しない程度にまで、復号画像のデータ量を圧縮する。
また、画像符号化装置100による画像の符号化を遅延させないように、この符号化部121による符号化はできるだけ高速に行うことが求められる。そして上述したようにこの復号画像は参照画像として利用されるものであるので、符号化部121による符号化においては、画質の向上よりも、符号化処理の高速化とその高圧縮率化が優先される。
そこで、符号化部121は、この復号画像を、AVCやHEVCのような複雑な符号化方式を用いる場合よりも高速かつ簡易な符号化方式で符号化する。この符号化を簡易符号化とも称する。つまり、簡易符号化(簡易圧縮とも称する)とは、データ転送レートやメモリ帯域を削減するための画像符号化技術である。この簡易符号化では、主観画質を同等レベルに維持するように、データの符号化(圧縮)が行われる。一般的に、簡易符号化の圧縮率は、主観画質を同等レベルに維持するために、AVCなどの汎用符号化に比べて低くなる(例えば約50%程度)。
このような簡易符号化の具体的な手法は任意である。例えば、符号化部121が、簡易符号化として、復号画像を、非可逆な符号化方式で符号化するようにしてもよい。一般的に、AVCなどの汎用符号化や可逆な符号化方式よりも非可逆な符号化方式の方が、より容易に圧縮率を高くすることができる。例えば、単純に所望のデータ量分のデータを削除する(非可逆な)符号化方法の場合、削除するデータ量を制御することによって圧縮率の制御を容易に行うことができる。つまり、符号化部121は、非可逆な符号化方式で復号画像を符号化することにより、より容易に、その圧縮率を十分に高くする(データ量を十分に圧縮する)ことができる。つまり、より容易に、フレームメモリ122の記憶容量やデータ伝送時の転送レートを低減することができる。
また、一般的に、このような非可逆な符号化方式の方が、AVCなどの汎用符号化よりも処理が容易(簡易)である。換言するに、符号化部121は、非可逆な符号化方式を用いることにより、高速かつ低負荷に、復号画像を符号化することができる。すなわち、汎用符号化等の場合に比べて、短時間に符号化を行うことができるだけでなく、消費電力や製造コストの増大を抑制することもできる。
また、例えば、符号化部121が、簡易符号化として、復号画像を、ブロック単位で独立して(既に符号化又は復号されている周囲のブロックを参照しない状態で)符号化するようにしてもよい。このような方式で簡易符号化を行うことにより、符号化部121は、符号化データがフレームメモリ122から読み出される際、必要なデータ(任意のブロック)のみを任意の順に読み出すことができるようになる(すなわち、ランダムアクセス可能が可能になる)。したがって、フレームメモリ122からデータが読み出される際に利用されるメモリバスの帯域占有量(使用量)の増大を抑制することができる。
さらに、例えば、符号化部121が、簡易符号化として、復号画像を、固定長の符号化方式で符号化するようにしてもよい。つまり、符号化部121による符号化後のビット量(ビット長)が固定となるようにしてもよい。このようにすることにより、フレームメモリ122における復号画像の符号化データの管理(例えば格納場所の管理や読み出し制御等)をより容易にすることができる。
付言するに、符号化部121が、簡易符号化として、復号画像を、これらの特徴の内の複数を備える符号化方式で符号化するようにしてもよい。例えば、復号画像を、非可逆、固定長、かつ、ブロック単位で独立して処理する符号化方式で符号化するようにしてもよい。例えば、この簡易符号化として、DPCM(Differential Pulse Code Modulation)を用いる圧縮方法や、1次元DCT(Discrete Cosine Transform)を用いる圧縮方法を適用することができる。もちろん、この簡易符号化の方式が、さらに上述した以外の任意の特徴も備えるようにしてもよい。
もちろん、十分に高速に、復号画像のデータ量を十分に圧縮することができるのであれば、符号化部121による符号化の方式は任意である。以下においては、符号化部121は、復号画像を、以上のような簡易符号化により符号化する(少なくとも非可逆な方式で符号化する)ものとして説明する。符号化部121は、以上のように生成した復号画像の符号化データをフレームメモリ122に供給する。
フレームメモリ122は、符号化部121から供給される復号画像の符号化データを記憶する。上述したように、このフレームメモリ122は、例えば、DRAM等の大容量で低速で安価なメモリで構成される。フレームメモリ122は、復号部123からの要求に応じて、記憶している復号画像の符号化データを復号部123に供給する。
復号部123は、所定のタイミングにおいて(若しくは、イントラ予測部124やインター予測部125の要求に応じて)、参照画像として利用される画像データの符号化データをフレームメモリ122から読み出して復号する。復号部123は、符号化部121の符号化方式に対応する方法で復号する。つまり、復号部123は、符号化部121において簡易符号化された復号画像の符号化データを、その簡易符号化に対応する復号方式で復号し、復号画像の画像データを生成する。
上述した簡易符号化に対応する復号方式を簡易復号とも称する。簡易符号化の場合と同様に、簡易復号の場合、AVCなどの汎用復号方式に比べてより簡易な処理で符号化データを復号(伸長)することができる。つまり、復号部123は、高速かつ低負荷に、符号化データを復号することができる。すなわち、汎用符号化等の場合に比べて、短時間に復号を行うことができるだけでなく、消費電力や製造コストの増大を抑制することもできる。
ところで、符号化部121の符号化方式が非可逆であるため、復号部123において得られる復号画像の画質は、符号化部121が符号化する前よりも低減(劣化)している。
復号部123は、その復号画像の画像データを参照画像(参照データ)としてイントラ予測部124若しくはインター予測部125に供給する。例えば、イントラ予測を行う場合、復号部123は、参照データをイントラ予測部124に供給する。また、例えば、インター予測を行う場合、復号部123は、参照データをインター予測部125に供給する。
イントラ予測部124は、復号部123から参照画像として供給される再構成画像である処理対象ピクチャ内の画素値を用いて予測画像を生成するイントラ予測(画面内予測)を行う。イントラ予測部124は、予め用意された複数のイントラ予測モードでこのイントラ予測を行う。
イントラ予測部124は、候補となる全てのイントラ予測モードで予測画像を生成し、画面並べ替えバッファ111から供給される入力画像を用いて各予測画像のコスト関数値を評価し、最適なモードを選択する。イントラ予測部124は、最適なイントラ予測モードを選択すると、その最適なモードで生成された予測画像を、予測画像選択部126に供給する。また、イントラ予測部124は、採用されたイントラ予測モードを示すイントラ予測モード情報等を、適宜可逆符号化部115に供給し、符号化させる。
インター予測部125は、画面並べ替えバッファ111から供給される入力画像と、復号部123から供給される参照画像とを用いてインター予測処理を行う。より具体的には、インター予測部125は、動き予測を行って動きベクトルを検出し、その動きベクトルに応じて動き補償処理を行い、予測画像(インター予測画像情報)を生成する。
インター予測部125は、候補となる全てのインター予測モードで予測画像を生成する。インター予測部125は、画面並べ替えバッファ111から供給される入力画像と、生成した差分動きベクトルの情報などを用いて、各予測画像のコスト関数値を評価し、最適なモードを選択する。インター予測部125は、最適なインター予測モードを選択すると、その最適なモードで生成された予測画像を、予測画像選択部126に供給する。また、インター予測部125は、採用されたインター予測モードを示す情報や、符号化データを復号する際に、そのインター予測モードで処理を行うために必要な情報等を可逆符号化部115に供給し、符号化させる。その必要な情報には、例えば、生成された差分動きベクトルの情報や、予測動きベクトル情報として、予測動きベクトルのインデックスを示すフラグ等が含まれるようにしてもよい。
予測画像選択部126は、演算部112および演算部119に供給する予測画像の供給元を選択する。例えば、イントラ符号化の場合、予測画像選択部126は、予測画像の供給元としてイントラ予測部124を選択し、そのイントラ予測部124から供給される予測画像を演算部112や演算部119に供給する。また、例えば、インター符号化の場合、予測画像選択部126は、予測画像の供給元としてインター予測部125を選択し、そのインター予測部125から供給される予測画像を演算部112や演算部119に供給する。
レート制御部127は、蓄積バッファ116に蓄積された符号化データの符号量に基づいて、オーバフローあるいはアンダーフローが発生しないように、量子化部114の量子化動作のレートを制御する。
ヘッダ情報生成部128は、外部から供給される指示や参考情報、または、画面並べ替えバッファ111から供給される画像データに関する情報等に基づいて、符号化対象の画像が符号化された符号化データ(ビットストリーム)のメタデータであるヘッダ情報を生成する。このヘッダ情報は、どのような情報であってもよい。例えば、ビデオパラメータセット、シーケンスパラメータセット、ピクチャパラメータセット、スライスヘッダ等であってもよいし、LCU等に付加する情報であってもよいし、SEI(Supplemental Enhancement Information)等の付加情報であってもよい。このヘッダ情報は、符号化データ(ビットストリーム)中に埋め込まれてもよいし、先頭や末尾に付加してもよいし、符号化データ(ビットストリーム)に関連付けられた別データとしてもよい。
なお、図5に示される矢印の関係に限らず、ヘッダ情報生成部128は、任意の処理部から任意の情報を取得し、その情報を用いてヘッダ情報を生成することができる。
ヘッダ情報生成部128は、生成したヘッダ情報を可逆符号化部115に供給する。可逆符号化部115は、そのヘッダ情報を符号化し、適宜、画像データの符号化データ(ビットストリーム)中に埋め込んだり、先頭や末尾に付加したり、符号化データ(ビットストリーム)に関連付けたりする。
なお、図5に示される矢印の関係に限らず、ヘッダ情報生成部128は、生成したヘッダ情報の一部若しくは全部を、任意の処理部に供給することができる。例えば、ヘッダ情報生成部128は、ヘッダ情報として生成したPOCやピクチャタイプ(Picture Type)等の情報を復号部123に供給することができる。
<画像復号装置>
ここで、HEVC復号方式で復号を行う一般的な画像復号装置について説明する。図6は、一般的なHEVC復号方式の画像復号装置の主な構成例を示すブロック図である。図6に示される画像復号装置150は、HEVC符号化方式で画像が符号化された符号化データ(ビットストリーム)の復号を行う。
図6に示されるように画像復号装置150は、蓄積バッファ161、可逆復号部162、逆量子化部163、逆直交変換部164、演算部165、ループフィルタ166、および画面並べ替えバッファ167を有する。また、画像復号装置150は、フレームメモリ168、イントラ予測部169、インター予測部170、および予測画像選択部171を有する。
蓄積バッファ161は、符号化側から伝送されてきた符号化データを受け取る受け取り部でもある。蓄積バッファ161は、その伝送されてきた符号化データを受け取って、蓄積し、所定のタイミングにおいてその符号化データを可逆復号部162に供給する。
可逆復号部162は、蓄積バッファ161より供給された符号化データを、符号化側の可逆符号化部(例えば、可逆符号化部115)において行われた可逆符号化の符号化方式に対応する復号方式で可逆復号する。例えば、可逆復号部162は、可変長符号化(CAVLC等)に対応する復号方式や、算術符号化(CABAC等)に対応する復号方式で復号を行う。可逆復号部162は、復号して得られた、量子化された係数データを、逆量子化部163に供給する。
また、可逆復号部162は、符号化データに付加された最適な予測モードに関する情報に基づいて、最適な予測モードとしてイントラ予測モードが選択されたかインター予測モードが選択されたかを判定し、その最適な予測モードに関する情報を、イントラ予測部169およびインター予測部170の内、選択されたと判定したモードの方に供給する。例えば符号化側において最適な予測モードとしてイントラ予測モードが選択された場合、その最適な予測モードに関する情報がイントラ予測部169に供給される。また、例えば符号化側において最適な予測モードとしてインター予測モードが選択された場合、その最適な予測モードに関する情報がインター予測部170に供給される。
さらに、可逆復号部162は、例えば、量子化行列や量子化パラメータ等の、逆量子化に必要な情報を逆量子化部163に供給する。さらに、図6に示される矢印の関係に限らず、可逆復号部162は、符号化データ(ビットストリーム)を復号して得られる各種情報(例えばヘッダ情報等)を、適宜、画像復号装置150の任意の処理部に供給することができる。
逆量子化部163は、可逆復号部162から供給された、量子化された係数データを、符号化側の量子化部(例えば量子化部114)により行われた量子化の量子化方式に対応する方式で逆量子化する。逆量子化部163は、得られた係数データを逆直交変換部164に供給する。
逆直交変換部164は、逆量子化部163から供給される直交変換係数を、符号化側の直交変換部(例えば直交変換部113)により行われた直交変換の直交変換方式に対応する方式で逆直交変換する。逆直交変換部164は、この逆直交変換処理により、符号化側において直交変換される前の状態に対応する残差データを得る。逆直交変換されて得られた残差データは、演算部165に供給される。
演算部165は、逆直交変換部164から残差データを取得する。また、演算部165は、予測画像選択部171を介して、イントラ予測部169若しくはインター予測部170から予測画像を取得する。演算部165は、差分画像と予測画像とを加算し、符号化側において予測画像が減算される前の画像に対応する復号画像を得る。演算部165は、その復号画像をループフィルタ166およびイントラ予測部169に供給する。
ループフィルタ166は、符号化側のループフィルタ(例えばループフィルタ120)と同様の処理部であり、同様の処理を行う。すなわち、ループフィルタ166は、演算部165から供給される復号画像に対して適宜ループフィルタ処理を行う。このループフィルタ処理は、少なくともデブロッキングフィルタ処理を含むフィルタ処理であれば任意である。例えば、ループフィルタ166が、復号画像に対してデブロッキングフィルタ処理を行ってデブロック歪を除去するとともに、ウィナーフィルタ(Wiener Filter)を用いて適応ループフィルタ処理を行うことにより画質改善を行うようにしてもよい。ループフィルタ166は、フィルタ処理を適宜施した復号画像を画面並べ替えバッファ167およびフレームメモリ168に供給する。
画面並べ替えバッファ167は、画像の並べ替えを行う。すなわち、符号化側において符号化の順番のために並べ替えられたフレームの順番が、元の表示の順番に並べ替えられる。画面並べ替えバッファ167は、フレームの順番を並べ替えた復号画像データを画像復号装置150の外部に出力する。
フレームメモリ168は、供給される復号画像を記憶し、所定のタイミングにおいて、若しくは、インター予測部170等の外部の要求に基づいて、記憶している復号画像を参照画像として、インター予測部170に供給する。
イントラ予測部169には、ヘッダ情報を復号して得られたイントラ予測モードを示す情報等が可逆復号部162から適宜供給される。イントラ予測部169は、符号化側において用いられたイントラ予測モードで、演算部165から供給される復号画像を参照画像として用いてイントラ予測を行い、予測画像を生成する。イントラ予測部169は、生成した予測画像を予測画像選択部171に供給する。
インター予測部170は、ヘッダ情報を復号して得られた情報(最適予測モード情報、参照画像情報等)を可逆復号部162から取得する。インター予測部170は、可逆復号部162から取得された最適予測モード情報が示すインター予測モードで、フレームメモリ168から取得した参照画像を用いてインター予測を行い、予測画像を生成する。インター予測部170は、生成した予測画像を予測画像選択部171に供給する。
予測画像選択部171は、イントラ予測部169またはインター予測部170から供給された予測画像を、演算部165に供給する。
以上のような構成の画像復号装置150は、HEVC符号化方式で画像を符号化する一般的な画像符号化装置において生成された符号化データを復号することができる。画像符号化装置100(図5)の符号化方式もHEVC符号化方式に準拠しているので、画像復号装置150は、画像符号化装置100が生成した符号化データも復号することができる。
<誤差の蓄積>
しかしながら、画像復号装置150においては、フレームメモリ168に記憶させる画像データの非可逆符号化が行われないので、復号した画像データをループさせて参照データとして利用することにより、直交変換係数の誤差が画像の時間方向に蓄積され、画質の劣化が増大するおそれがあった。
この誤差の蓄積について説明する。図7のAに示されるフレーム(n-1)乃至フレーム(n+2)の図中左側の白地の棒グラフは、符号化部121に入力される(図5の矢印131における)画像データの信号レベルを示している。また、図7のAに示されるフレーム(n-1)乃至フレーム(n+2)の図中右側の斜線模様の棒グラフは、復号部123から出力される(図5の矢印132若しくは矢印133における)画像データの信号レベルを示している。
上述したように、符号化部121および復号部123の符号化・復号方式が非可逆な方式であるため、図7のAに示されるように、各フレームにおいて、復号部123の出力の信号レベルは、符号化部121の入力の信号レベルより低減する。この差分(両矢印)が圧縮による誤差である。
しかしながら、この参照画像に生じる誤差は、直交変換部113において補償される。つまり、直交変換部113は、各フレームにおいて、この誤差を保証するために直交変換係数を発生させる。図7のBに示されるフレーム(n-1)乃至フレーム(n+2)の白地の棒グラフは、直交変換部113において、この誤差を保証するために発生する直交変換係数を示している。このような直交変換係数の発生により、符号化部121の入力(矢印131)では、理想的には、各フレームにおいて信号レベルが略元のレベルにまで戻る。
ところで、図7のAに示されるように、符号化部121および復号部123による各フレームにおける符号化・復号の方法が互いに同一であるため、各フレームの圧縮特性が一様になり、各フレームでの誤差の出方も一様になる。そのため、図7のBに示されるように、直交変換部113における各フレームの直交変換係数の発生の仕方(符号や大きさ)も一様になる。
このような画像符号化装置100の符号化に対して、画像復号装置150においては、フレームメモリ168に記憶される画像データに対して非可逆符号化が行われない。つまり、図7のAに示されるような信号レベルの低下(画質の劣化)が発生しない。したがって、図7のBに示されるフレーム毎の直交変換係数の追加(誤差の補償)が過剰な補正となり、却って誤差となってしまうおそれがあった。そして、上述したように、この各フレームに追加される直交変換係数が一様であるので、画像の時間方向に(フレームが進むにつれて)その誤差が蓄積されてしまう(誤差の合計が増大する)おそれがあった。
図7のCは、その誤差の蓄積の様子の例を示している。図7のCに示される各フレームの図中左側の白地の棒グラフは、フレームメモリ168に入力される(図6の矢印172における)画像データの信号レベルを示している。また、図7のCに示される各フレームの図中右側の斜線模様の棒グラフは、演算部165から出力される(図6の矢印173における)画像データの信号レベルを示している。
図7のCに示されるように、フレーム毎に同様の直交変換係数が追加されることにより、信号レベルは、画像の時間方向に(フレームが進むにつれて)増大している。つまり、画像の時間方向に(フレームが進むにつれて)誤差の合計が増大している。すなわち、復号画像の画質の劣化が増大している。
以上のように、画像符号化装置100(図5)のようにフレームメモリ122に蓄積する画像データを圧縮することにより、フレームメモリ122の入出力バスにおける帯域不足の発生や、フレームメモリ122の空き領域の不足の発生を抑制することができるが、その符号化データを一般的な画像復号装置150により復号すると、復号画像の画質の低減(劣化)が画像の時間方向に増大するおそれがあった。
<丸め値の制御>
そこで、カレントフレームの画像の符号化において参照画像として用いられる符号化済みのフレームの画像が非可逆符号化された符号化データを復号し、得られた復号画像の丸めを、その画像の時間方向に値を切り替える丸め値で行うようにする。
このようにすることにより、符号化による画質の低減を抑制することができる。
なお、例えば、符号化済みのフレームの画像に対する非可逆符号化による誤差に対する補償として画像の符号化において発生する直交変換係数が低減するように、丸め値を画像の時間方向に切り替えるようにしてもよい。
<復号部>
図8は、図5の復号部123の主な構成例を示すブロック図である。図8に示されるように、復号部123は、復号部181、丸め処理部182、丸め処理部183、選択部184、および演算部185を有する。
復号部181は、フレームメモリ122から読み出した復号画像の符号化データ(符号化部121において復号画像が非可逆符号化された符号化データ)を、非可逆復号方式で復号し、復号画像の画像データを生成する。復号部181は、生成した画像データを演算部185に供給する。また、復号部181は、復号を行った旨を丸め処理部182および丸め処理部183に供給する。
丸め処理部182は、復号部181から復号を行った旨を通知されると、その復号により生成された画像データの丸め値として、所定の値の丸め値(タイプ1)を選択部184に供給する。
丸め処理部183は、復号部181から復号を行った旨を通知されると、その復号により生成された画像データの丸め値として、タイプ1の丸め値と値が異なる所定の値の丸め値(タイプ2)を選択部184に供給する。
選択部184は、丸め処理部182から供給されるタイプ1の丸め値と、丸め処理部183から供給されるタイプ2の丸め値とのいずれか一方を選択し、演算部185に供給する。
演算部185は、復号部181から供給される画像データに、選択部184から供給される丸め値を加算する。演算部185は、その加算結果をイントラ予測部124若しくはインター予測部125に供給する。
復号部181に供給される符号化データは、フレームメモリ122から読み出された符号化データであり、符号化済みのフレームの画像データが符号化部121において非可逆符号化された符号化データである。また、演算部185から出力された画像データは、イントラ予測部124やインター予測部125において参照画像のデータ(参照データ)として用いられる。つまり、演算部185から出力された画像データの画像は、処理対象であるカレントフレームの画像の符号化において参照画像として用いられる。
非可逆符号化・非可逆復号が行われたので、復号部181の復号により得られた画像データは、符号化部121による符号化の前と比べて情報量が低減している。例えば、各画素値の下位ビット(例えば、ビット深度10ビットの画素値における下位5ビット)が欠落している。
演算部185は、復号部181から供給されるこのような画像データに、選択部184から供給される丸め値を加算することにより、この画像データの丸めを行う。例えば、復号部181から供給される画像データの10ビットの各画素値の下位5ビットが欠落しており、丸め処理部182および丸め処理部182は、5ビットの丸め値を供給するとする。この場合、演算部185は、それらの丸め値の内選択部184に選択された丸め値を、画像データの下位5ビットに加算することにより、画像データの丸めを行う。
また、選択部184は、画像データの丸めに用いる丸め値の設定(選択)を行う。
例えば、選択部184が、あるフレームにおいて、丸め値の選択を、タイプ1からタイプ2に切り替えたとする。その後、画像の時間方向に進み、新たに処理対象となったある他のフレームにおいて、選択部184は、丸め値の選択をタイプ2からタイプ1に切り替える。このように、選択部184は、画像の時間方向(フレームの進行方向)に丸め値を切り替える。
その際、選択部184が、ヘッダ情報生成部128から供給されるメタデータ(ヘッダ情報)に基づいて、丸め値の設定(選択)を行うようにしてもよい。例えば、選択部184が、POCに基づいて非可逆復号する画像データのフレームを判断し(フレームの進行を把握し)、その判断結果(フレームの進行)に応じて、画像の時間方向に丸め値を切り替えるようにしてもよい。
以上のように、選択部184がこのような選択を行うことにより、演算部185は、復号部181から供給される画像データ(復号画像)の丸めを、その画像の時間方向に値を切り替える丸め値で行うことになる。
したがって、符号化による画質の低減を抑制することができる。
<丸め値の例>
丸め処理部182が提供するタイプ1の丸め値の例と、丸め処理部183が提供するタイプ2の丸め値の例とを、図9に示す。図9は、ビット深度10ビットの画素値からなる画像データの非可逆復号結果に対して、丸め値を加算した状態を示している。図9において、図中左側の例が、タイプ1の丸め値を加算した場合の画像データの例を示し、図中右側の例が、タイプ2の丸め値を加算した場合の画像データの例を示す。
斜線模様の四角で示される上位5ビット(ビット深度5乃至ビット深度9)は、非可逆復号により非可逆符号化の前のデータが再現されている。つまり、この画素値の上位5ビットについては基本的に情報の欠落がおきてない。これに対して、白地の四角で示される下位5ビット(ビット深度0乃至ビット深度4)の情報は、非可逆符号化・非可逆復号により情報が欠落しており、丸めにより、丸め値がそれぞれ加算されている。
つまり、この場合、丸め処理部182が提供するタイプ1の丸め値は5ビット値「10000」であり、丸め処理部183が提供するタイプ2の丸め値は5ビット値「01111」である。
<誤差の蓄積>
この図9に示される5ビット値の2つの丸め値をフレーム毎に切り替える場合の誤差の蓄積について、図10を参照して説明する。
図10のAに示されるフレーム(n-1)乃至フレーム(n+2)の図中左側の白地の棒グラフは、符号化部121に入力される(図5の矢印131における)画像データの信号レベルを示している。また、図10のAに示されるフレーム(n-1)乃至フレーム(n+2)の図中右側の斜線模様の棒グラフは、復号部123から出力される(図5の矢印132若しくは矢印133における)画像データの信号レベルを示している。
符号化部121および復号部123の符号化・復号方式が非可逆な方式であるため、図10のAに示されるように、各フレームにおいて、復号部123の出力の信号レベルは、符号化部121の入力の信号レベルに比べて変化する。この差分(両矢印)が圧縮による誤差である。ただし、図10のAの場合、フレーム毎に丸め値が切り替えられており、誤差の発生の方向が一様でない(信号レベルが増減している)。
図10のBに示されるフレーム(n-1)乃至フレーム(n+2)の白地の棒グラフは、直交変換部113において、この誤差を保証するために発生する直交変換係数を示している。
図10のAに示されるように誤差の発生の方向が一様でないため、図10のBに示されるように直交変換係数の発生の仕方(符号や大きさ)もフレーム毎にバラつく(図7のBの例のように一様でない)。
図10のCに示されるフレーム(n-1)乃至フレーム(n+2)の図中左側の白地の棒グラフは、画像復号装置150のフレームメモリ168に入力される(図6の矢印172における)画像データの信号レベルを示している。また、図10のCに示されるフレーム(n-1)乃至フレーム(n+2)の図中右側の斜線模様の棒グラフは、演算部165から出力される(図6の矢印173における)画像データの信号レベルを示している。
この場合、図10のCに示されるように、画像の時間方向に(フレームが進むにつれて)信号レベルが増大しない。この場合も、フレーム毎に追加される直交変換係数は過剰な補正(誤差)となるが、各フレームにおいて追加される直交変換係数が一様でないため、各フレームで追加された直交変換係数は互いに打ち消し合う。そのため、画像の時間方向に(フレームが進むにつれて)誤差が増大しない。すなわち、画像の時間方向に復号画像の画質の劣化が増大しない。
したがって、復号部123は、上述したように、カレントフレームの画像の符号化において参照画像として用いられる符号化済みのフレームの画像が非可逆符号化された符号化データを復号し、得られた復号画像に対して、画像の時間方向に丸め値を切り替えて丸めを行うことにより、符号化による画質の低減を抑制することができる。
<丸め値とその数>
なお、選択部184が切り替える丸め値(丸め処理部182および丸め処理部183が提供する丸め値)は任意であり、図9に示される5ビット値「10000」および「01111」であってもよいが、この例以外であってもよい。例えば、乱数を丸め値として用いるようにしてもよい。この場合、選択部184は、画像の時間方向に(フレームが進むにつれて)乱数の値を更新する。
ただし、その場合、理論上は、直交変換係数の発生の仕方(符号や大きさ)もランダムとなり、誤差が互いに打ち消し合うようになると想定されるが、実際には、直交変換係数の発生の仕方を制御することが困難になり、場合によっては、直交変換係数の発生の仕方に偏りが生じ、誤差が蓄積されてしまう可能性もある。
そのため、図9の例のように既知の値を丸め値として用いる方が望ましい。その際、図9の例のように、タイプ間で丸め値の各ビットの値(「1」若しくは「0」)を入れ替えるようにすることにより、直交変換係数を逆方向に発生し易くする(符号を逆にし易くする)ことができる。これにより、誤差が互いに打ち消し合いやすくする(誤差が蓄積しづらくする)ことができ、より画質の低減を抑制することができる。
なお、図9の例においては、5ビット値の略中間の値「10000」と「01111」とを丸め値として交互に用いている。このようにすることにより、タイプ1の丸め値とタイプ2の丸め値とで、互いの値の差を最小(すなわち「1」)にし、かつ、上述したように各ビット値が互いに不一致となるようにすることができる。このようにタイプ1の丸め値とタイプ2の丸め値との差をより小さくすることにより、丸め値を切り替えることによる画像の符号化の特性の変化を抑制することができ、符号化効率をより安定させることができる。
また、図9の例においては、丸め値の選択を2種類(タイプ1とタイプ2)の丸め値の中から行うように説明したが、用意する丸め値の数(タイプ数)は複数であれば任意であり、3つ以上であってもよい。例えば、丸め値の選択が3つの4ビット値の中から行われるようにしてもよい。例えば、この場合も上述した5ビット値の場合と同様に、4ビット値の略中間の値を丸め値として用いるようにしてもよい。例えば、3つの4ビット値「1001」、「1000」、「0111」を丸め値として所定の順に若しくはランダムに用いるようにしてもよい。
なお、復号部123が有する丸め処理部の数は、丸め値のタイプ数と同一としてもよいし、1つの丸め処理部が複数のタイプの丸め値を提供することができるようにしてもよい。
<丸め値の切り替えタイミング>
丸め値の切り替えは、画像の時間方向について行うのであれば、任意のタイミングで行われるようにしてもよい。例えば、丸め値の切り替えが、ランダムに(任意のフレーム(ピクチャ)において)行われるようにしてもよい。また、例えば、丸め値の切り替えが、複数フレーム(複数ピクチャ)毎に行われるようにしてもよい。さらに、例えば、丸め値の切り替えが各フレーム(各ピクチャ)において行われるようにしてもよい。
なお、丸め値の切り替えは選択部184が行う。その際、選択部184が、例えば、ヘッダ情報生成部128から供給されるPOCに基づいて、丸め値を切り替えるタイミング(フレーム)を把握するようにしてもよい。
また、例えば、丸め値の切り替えが、ピクチャタイプに応じて行われるようにしてもよい。例えば、丸め値の切り替えがPピクチャにおいて行われるようにしてもよい。つまり、BピクチャやIピクチャにおいては、丸め値の切り替えが起きないようにしてもよい。この場合、選択部184が、ヘッダ情報生成部128から供給されるPOCとピクチャタイプ(Picture Type)に基づいて、丸め値を切り替えるタイミング(フレーム)を把握するようにしてもよい。
画像のGOP(Group Of Picture)構造は任意であり、Iピクチャ、Pピクチャ、およびBピクチャの並び方は任意である。例えば、図11のAに示されるように、Pピクチャが連続する場合(M1)もある。また、例えば、図11のBに示されるように、Bピクチャ、Bピクチャ、Pピクチャの組みが繰り返される場合(M3)もある。もちろん、これらの例以外の構造であってもよいし、GOP長(N)も任意である。
図11のAのパターンに対する丸め値の切り替え制御の例を図12のAに示す。また、図11のBのパターンに対する丸め値の切り替え制御の例を図12のBに示す。図12の例では、Pピクチャにおいてのみ丸め値の切り替えが行われている。Pピクチャは、他のピクチャを参照し、かつ、他のピクチャから参照されるピクチャである。つまり、Pピクチャは、誤差の蓄積が起き易いピクチャである。このような特性のPピクチャにおいて丸め値の切り替えを行うことにより、復号部123は、より効率よく誤差の蓄積を抑制し、符号化による画質の低減を抑制することができる。
なお、図12の例のように、各Pピクチャにおいて丸め値の切り替えが行われるようにしてもよいし、複数Pピクチャ毎に丸め値の切り替えが行われるようにしてもよいし、任意のPピクチャにおいて丸め値の切り替えが行われるようにしてもよい。例えば、ランダムに選択したPピクチャにおいて丸め値の切り替えが行われるようにしてもよい。
また、丸め値を切り替えないピクチャ(例えばIピクチャとBピクチャ)の丸めを、丸め値を切り替えるピクチャ(例えばPピクチャ)の丸めに使用される複数の丸め値の内、特性のより良い丸め値を用いて行うようにしてもよい。例えば、復号部123が、図9の例の丸め値を用いる場合、Pピクチャにおいては、タイプ1の丸め値とタイプ2の丸め値を切り替えながら丸めを行い、IピクチャとBピクチャにおいては、タイプ1の丸め値とタイプ2の丸め値の内、符号化特性のより良い方(例えば「タイプ1」)を用いて行うようにしてもよい。このようにすることにより、符号化効率をより向上させることができる。
もちろん、IピクチャやBピクチャにおいて、丸め値の切り替えが行われるようにしてもよいし、Pピクチャにおいて丸め値を固定する(切り替えを行わない)ようにしてもよい。
なお、以上に説明したような、処理対象であるカレントフレームの画像の符号化において参照画像として用いられる、符号化済みのフレームの画像が非可逆符号化された符号化データを復号し、得られた復号画像の丸めを、その画像の時間方向に値を切り替える丸め値で行う復号部(例えば復号部123)を独立した装置(画像処理装置)としてもよい。
また、その画像処理装置が、符号化データを記憶する記憶部(例えばフレームメモリ122)をさらに備えるようにし、復号部が、その記憶部から読み出された符号化データを復号し、得られた復号画像の丸めを行うようにしてもよい。
また、その画像処理装置が、参照画像として用いられる符号化済みのフレームの画像を非可逆符号化する符号化部(例えば符号化部121)をさらに備え、記憶部が、その符号化部が非可逆符号化して生成した符号化データを記憶するようにしてもよい。
また、その画像処理装置が、カレントフレームの画像と復号部が復号して得られた参照画像との差分画像を直交変換し、参照画像として利用する符号化済みのフレームの画像に対する非可逆符号化による誤差に対する補償としての直交変換係数を適宜発生させる直交変換部(例えば、直交変換部113)をさらに備えるようにしてもよい。
<符号化処理の流れ>
次に、画像符号化装置100により実行される各処理の流れの例を説明する。最初に、符号化処理の流れの例を、図13のフローチャートを参照して説明する。
符号化処理が開始されると、ステップS101において、ヘッダ情報生成部128は、ヘッダ情報を生成する。
ステップS102において、画面並べ替えバッファ111は、入力された動画像の各フレーム(ピクチャ)の画像をその表示する順番に記憶し、各ピクチャの表示する順番から符号化する順番への並べ替えを行う。
ステップS103において、復号部123は、フレームメモリ122から参照画像の符号化データを読み出す。ステップS104において、復号部123は、その符号化データを復号し、参照データを得る。
ステップS105において、イントラ予測部124は、ステップS102における予測制限に従って、イントラ予測処理を行う。また、ステップS106において、インター予測部125は、ステップS102における予測制限に従って、インター予測処理を行う。
ステップS107において、予測画像選択部126は、コスト関数値等に基づいて、ステップS105のイントラ予測処理により生成された予測画像と、ステップS106のインター予測処理により生成された予測画像のいずれか一方を選択する。
ステップS108において、演算部112は、ステップS102の処理によりフレーム順を並び替えられた入力画像と、ステップS107の処理により選択された予測画像との差分を演算する。つまり、演算部112は、入力画像と予測画像との残差データを生成する。このようにして求められた残差データは、元の画像データに比べてデータ量が低減される。したがって、画像をそのまま符号化する場合に比べて、データ量を圧縮することができる。
ステップS109において、直交変換部113は、ステップS108の処理により生成された残差データを直交変換する。
ステップS110において、量子化部114は、ステップS109の処理により得られた直交変換係数を量子化する。
ステップS111において、逆量子化部117は、ステップS110の処理により生成された量子化された係数(量子化係数とも称する)を、その量子化の特性に対応する特性で逆量子化する。
ステップS112において、逆直交変換部118は、ステップS111の処理により得られた直交変換係数を逆直交変換する。
ステップS113において、演算部119は、ステップS112の処理により復元された残差データに、ステップS107の処理により選択された予測画像を加算することにより、再構成画像の画像データを生成する。
ステップS114においてループフィルタ120は、ステップS113の処理により生成された再構成画像の画像データにループフィルタ処理を行う。これにより、再構成画像のブロック歪み等が除去される。
ステップS115において、符号化部121は、ステップS114の処理により得られた、局所的に復号された復号画像を非可逆符号化し、圧縮する。ステップS116において、フレームメモリ122は、ステップS115の処理により得られた符号化データを記憶する。
ステップS117において、可逆符号化部115は、ステップS110の処理により得られた、量子化された係数を符号化する。すなわち、残差データに対応するデータに対して、可変長符号化や算術符号化等の可逆符号化が行われる。
また、このとき、可逆符号化部115は、ステップS107の処理により選択された予測画像の予測モードに関する情報を符号化し、差分画像を符号化して得られる符号化データに付加する。つまり、可逆符号化部115は、イントラ予測部124から供給される最適イントラ予測モード情報、または、インター予測部125から供給される最適インター予測モードに応じた情報なども符号化し、符号化データに付加する。
ステップS118において蓄積バッファ116は、ステップS117の処理により得られた符号化データ等を蓄積する。蓄積バッファ116に蓄積された符号化データ等は、ビットストリームとして適宜読み出され、伝送路や記録媒体を介して復号側に伝送される。
ステップS119において、レート制御部127は、ステップS118の処理により蓄積バッファ116に蓄積された符号化データ等の符号量(発生符号量)に基づいて、オーバフローあるいはアンダーフローが発生しないように、ステップS110の量子化処理のレートを制御する。
ステップS118の処理が終了すると、符号化処理が終了する。
<復号処理の流れ>
次に、図14のフローチャートを参照して、図13のステップS104において実行される復号処理の詳細な流れの例を説明する。
復号処理が開始されると、選択部184は、ステップS131において、丸め値を設定する。ステップS132において、復号部181は、参照画像の符号化データを復号する。ステップS133において、演算部185は、選択部184により選択された(設定された)丸め値で復号画像の丸めを行う。
ステップS133の処理が終了すると、復号処理が終了し、処理は図13に戻る。
<丸め値設定処理の流れ>
次に、図15のフローチャートを参照して、図14のステップS131において実行される丸め値設定処理の流れの例を説明する。
丸め値設定処理が開始されると、選択部184は、ステップS151において、POCやピクチャタイプ等のメタデータに基づいて、処理対象のフレームがPピクチャであるか否かを判定する。Pピクチャであると判定された場合、処理はステップS152に進む。
ステップS152において、選択部184は、丸め値のタイプの履歴を参照し、前回のPピクチャの丸め値がタイプ1であるか否かを判定する。タイプ1であると判定された場合、処理はステップS153に進む。
ステップS153において、選択部184は、丸め値をタイプ2に設定する。丸め値を設定すると処理はステップS155に進む。
また、ステップS152において、前回のPピクチャの丸め値がタイプ1でない(タイプ2である)と判定された場合、処理はステップS154に進む。
ステップS154において、選択部184は、丸め値をタイプ1に設定する。丸め値を設定すると処理はステップS155に進む。
ステップS155において、選択部184は、設定した丸め値のタイプを履歴として記憶する。ステップS155の処理が終了すると、丸め値設定処理が終了し、処理は図14に戻る。
また、ステップS151において、処理対象がPピクチャでない(Iピクチャ若しくはBピクチャである)と判定された場合、処理はステップS156に進む。
ステップS156において、選択部184は、丸め値をタイプ1に設定する。ステップS156の処理が終了すると、丸め値設定処理が終了し、処理は図14に戻る。
以上のように、各処理を実行することにより、復号部123は、符号化による画質の低減を抑制することができるようになる。
<2.第2の実施の形態>
<復号部>
なお、丸め値を切り替える対象とするピクチャの、符号化済みのフレームの画像に対する非可逆符号化による誤差に対する補償として画像の符号化において直交変換係数が発生するブロックにおいて、丸め値を切り替えるようにしてもよい。
図16は、その場合の、復号部123の主な構成例を示すブロック図である。この場合も、復号部123は、図8の場合と同様に、復号部181乃至演算部185を有する。さらに、復号部123は、選択部191を有する。
丸め処理部182は、タイプ1の丸め値を選択部184と選択部191に提供する。また、選択部184は、丸め処理部182から供給されるタイプ1の丸め値、若しくは、丸め処理部183から供給されるタイプ2の丸め値を選択し、選択した丸め値を選択部191に供給する。
選択部191は、丸め処理部182から供給されるタイプ1の丸め値と、選択部184により選択された丸め値とのいずれか一方を選択し、演算部185に供給する。
演算部185は、復号部181から供給される画像データに、選択部191から供給される丸め値を加算する。演算部185は、その加算結果をイントラ予測部124若しくはインター予測部125に供給する。
なお、選択部191が、直交変換部113から直交変換係数発生量を取得することができるようにしてもよい。そして、選択部191が、その直交変換係数発生量に基づいて、処理対象であるカレントブロック(例えばカレントLCU)が直交変換係数が発生するブロック(例えばLCU)であるか否かを判定するようにしてもよい。そして、カレントブロックが直交変換係数が発生するブロックであると判定された場合、選択部191が、丸め値を切り替えるようにしてもよい。
その際、選択部191が、Pピクチャの、直交変換係数が発生したブロックにおいて、丸め値を切り替えるようにしてもよい。また、選択部191が、丸め値を切り替えないピクチャ(例えばIピクチャおよびBピクチャ、並びに、Pピクチャの直交変換係数が発生しないブロック)の丸めを、丸め値を切り替えるピクチャ(例えばPピクチャ)の、直交変換係数が発生したブロックの丸めに使用される複数の丸め値の内、特性のより良い丸め値を用いて行うようにしてもよい。
さらに、選択部191が、画像の符号化データのヘッダ情報に含まれるPOC(Picture Order Count)およびピクチャタイプを示す情報、並びに、直交変換係数の発生量に関する情報に基づいて丸め値の切り替えを行うようにしてもよい。
つまり、この場合の復号部123も、直交変換係数の発生の有無を考慮すること以外は、第1の実施の形態の場合と同様の方法で丸め値(の切り替え)を制御するようにしてもよい。なお、以上においては、直交変換係数の発生の有無を判定するデータ単位をブロック単位(例えばLCU)として説明したが、このデータ単位は任意である。例えば、スライス単位等であってもよい。また、直交変換係数の発生量の多少によって、丸め値を切り替えるか否かを制御するようにしてもよい。例えば、Pピクチャの、直交変換係数の発生量が所定の閾値より多いブロックについて、丸め値が切り替えられるようにし、IピクチャおよびBピクチャ、並びに、Pピクチャの直交変換係数の発生量がその所定の閾値以下のブロックについて、丸め値が固定とされるようにしてもよい。
<丸め値設定処理の流れ>
次に、図17のフローチャートを参照して、この場合の丸め値設定処理の流れの例を説明する。
丸め値設定処理が開始されると、選択部184は、ステップS171において、POCやピクチャタイプ等のメタデータに基づいて、処理対象のフレームがPピクチャであるか否かを判定する。Pピクチャであると判定された場合、処理はステップS172に進む。
ステップS172において、選択部191は、カレントブロックにおいて、直交変換係数が発生したか否かを判定する。直交変換係数が発生したと判定された場合、処理はステップS173に進む。
ステップS173において、選択部184および選択部191は、丸め値のタイプの履歴を参照し、前回のPピクチャの丸め値がタイプ1であるか否かを判定する。タイプ1であると判定された場合、処理はステップS174に進む。
ステップS174において、選択部184および選択部191は、丸め値をタイプ2に設定する。ステップS174の処理が終了すると処理はステップS176に進む。
また、ステップS172において、カレントブロックにおいて直交変換係数が発生していないと判定された場合、処理はステップS175に進む。
また、ステップS173において、前回のPピクチャの丸め値がタイプ1でない(タイプ2である)と判定された場合、処理はステップS175に進む。
ステップS175において、選択部191(または、選択部184および選択部191)は、丸め値をタイプ1に設定する。ステップS175の処理が終了すると処理はステップS176に進む。
ステップS176において、選択部184および選択部191は、設定した丸め値のタイプを履歴として記憶する。ステップS176の処理が終了すると、丸め値設定処理が終了し、処理は図14に戻る。
また、ステップS171において、処理対象がPピクチャでない(Iピクチャ若しくはBピクチャである)と判定された場合、処理はステップS177に進む。
ステップS177において、選択部184および選択部191は、丸め値をタイプ1に設定する。ステップS177の処理が終了すると、丸め値設定処理が終了し、処理は図14に戻る。
以上のように、各処理を実行することにより、復号部123は、符号化による画質の低減を抑制することができるようになる。
また、本技術は、例えば、MPEG、H.26x等の様に、離散コサイン変換等の直交変換と動き補償によって圧縮された画像情報(ビットストリーム)を、衛星放送、ケーブルテレビジョン、インターネット、または携帯電話機などのネットワークメディアを介して受信する際に用いられる画像符号化装置および画像復号装置に適用することができる。また、本技術は、光、磁気ディスク、およびフラッシュメモリのような記憶メディア上で処理する際に用いられる画像符号化装置および画像復号装置に適用することができる。
<3.第3の実施の形態>
<多視点画像符号化・多視点画像復号への適用>
上述した一連の処理は、多視点画像符号化・多視点画像復号に適用することができる。図18は、多視点画像符号化方式の一例を示す。
図18に示されるように、多視点画像は、複数の視点(ビュー(view))の画像を含む。この多視点画像の複数のビューは、他のビューの情報を利用せずに自身のビューの画像のみを用いて符号化・復号を行うベースビューと、他のビューの情報を利用して符号化・復号を行うノンベースビューとによりなる。ノンベースビューの符号化・復号は、ベースビューの情報を利用するようにしても良いし、他のノンベースビューの情報を利用するようにしてもよい。
図18の例のような多視点画像を符号化する場合、各視点の画像を符号化するが、この各視点の符号化に対して、各実施の形態において上述した方法を適用するようにしてもよい。このようにすることにより、各視点の画像について、符号化による画質の低減を抑制することができる。つまり、多視点画像の場合も同様に、符号化による画質の低減を抑制することができる。
<多視点画像符号化装置・復号装置>
図19は、上述した多視点画像符号化を行う多視点画像符号化装置の主な構成例を示す図である。図19に示されるように、多視点画像符号化装置600は、符号化部601、符号化部602、および多重化部603を有する。
符号化部601は、ベースビュー画像を符号化し、ベースビュー画像符号化ストリームを生成する。符号化部602は、ノンベースビュー画像を符号化し、ノンベースビュー画像符号化ストリームを生成する。多重化部603は、符号化部601において生成されたベースビュー画像符号化ストリームと、符号化部602において生成されたノンベースビュー画像符号化ストリームとを多重化し、多視点画像符号化ストリームを生成する。
図20は、多視点画像符号化装置600に対応する多視点画像復号装置の主な構成例を示す図である。図20の例において、多視点画像復号装置610は、逆多重化部611、復号部612、および復号部613を有する。
逆多重化部611は、ベースビュー画像符号化ストリームとノンベースビュー画像符号化ストリームとが多重化された多視点画像符号化ストリームを逆多重化し、ベースビュー画像符号化ストリームと、ノンベースビュー画像符号化ストリームとを抽出する。復号部612は、逆多重化部611により抽出されたベースビュー画像符号化ストリームを復号し、ベースビュー画像を得る。復号部613は、逆多重化部611により抽出されたノンベースビュー画像符号化ストリームを復号し、ノンベースビュー画像を得る。
例えば、多視点画像符号化装置600の各符号化部において、参照画像として用いられる画像データを非可逆符号化して符号化データとしてフレームメモリに記憶し、参照画像を利用する際は、そのフレームメモリから符号化データを読み出して非可逆復号するとする。これに対して、多視点画像復号装置610の各復号部においては、参照画像として用いられる画像データを符号化せずにフレームメモリに記憶し、参照画像を利用する際は、そのフレームメモリから画像データを読み出すものとする。
このような場合、上述したように、多視点画像符号化装置600による符号化において、参照画像の画像データの非可逆符号化の誤差の補償として発生する直交変換係数が、参照画像の画像データの非可逆符号化を行わない多視点画像復号装置610による復号において蓄積され、復号画像の画質が低減するおそれがあった。
そこで、このような多視点画像符号化装置600の符号化部601および符号化部602として、上述した画像符号化装置100を適用するようにする。このようにすることにより、多視点画像の符号化においても、上述した方法を適用することができる。すなわち、多視点画像符号化装置600は、多視点画像の符号化による画質の低減を抑制することができる。
<4.第4の実施の形態>
<階層画像符号化・階層画像復号への適用>
また、上述した一連の処理は、階層画像符号化・階層画像復号(スケーラブル符号化・スケーラブル復号)に適用することができる。図21は、階層画像符号化方式の一例を示す。
階層画像符号化(スケーラブル符号化)は、画像データを、所定のパラメータについてスケーラビリティ(scalability)機能を有するように、画像を複数レイヤ化(階層化)し、レイヤ毎に符号化するものである。階層画像復号は、その階層画像符号化(スケーラブル復号)は、その階層画像符号化に対応する復号である。
図21に示されるように、画像の階層化においては、スケーラビリティ機能を有する所定のパラメータを基準として1の画像が複数の画像(レイヤ)に分割される。つまり、階層化された画像(階層画像)は、その所定のパラメータの値が互いに異なる複数の階層(レイヤ)の画像を含む。この階層画像の複数のレイヤは、他のレイヤの画像を利用せずに自身のレイヤの画像のみを用いて符号化・復号を行うベースレイヤと、他のレイヤの画像を利用して符号化・復号を行うノンベースレイヤ(エンハンスメントレイヤとも称する)とによりなる。ノンベースレイヤは、ベースレイヤの画像を利用するようにしても良いし、他のノンベースレイヤの画像を利用するようにしてもよい。
一般的に、ノンベースレイヤは、冗長性が低減されるように、自身の画像と、他のレイヤの画像との差分画像のデータ(差分データ)により構成される。例えば、1の画像をベースレイヤとノンベースレイヤ(エンハンスメントレイヤとも称する)に2階層化した場合、ベースレイヤのデータのみで元の画像よりも低品質な画像が得られ、ベースレイヤのデータとノンベースレイヤのデータを合成することで、元の画像(すなわち高品質な画像)が得られる。
このように画像を階層化することにより、状況に応じて多様な品質の画像を容易に得ることができる。例えば携帯電話のような、処理能力の低い端末に対しては、ベースレイヤ(base layer)のみの画像圧縮情報を伝送し、空間時間解像度の低い、或いは、画質の良くない動画像を再生し、テレビやパーソナルコンピュータのような、処理能力の高い端末に対しては、ベースレイヤ(base layer)に加えて、エンハンスメントレイヤ(enhancement layer)の画像圧縮情報を伝送し、空間時間解像度の高い、或いは、画質の高い動画像を再生するといったように、トランスコード処理を行うことなく、端末やネットワークの能力に応じた画像圧縮情報を、サーバから送信することが可能となる。
図21の例のような階層画像を符号化する場合、各レイヤの画像を符号化するが、この各レイヤの符号化に対して、各実施の形態において上述した方法を適用するようにしてもよい。このようにすることにより、各レイヤの画像の、符号化による画質の低減を抑制することができる。つまり、階層画像の場合も同様に、符号化による画質の低減を抑制することができる。
<スケーラブルなパラメータ>
このような階層画像符号化・階層画像復号(スケーラブル符号化・スケーラブル復号)において、スケーラビリティ(scalability)機能を有するパラメータは、任意である。例えば、空間解像度をそのパラメータとしてもよい(spatial scalability)。また、例えば、時間解像度を適用しても良い(temporal scalability)。さらに、例えば、信号雑音比(SNR(Signal to Noise ratio))を適用しても良い(SNR scalability)。また、例えば、ビット深度を適用しても良い(bit-depth scalability)。さらに、例えば、クロマのフォーマットを適用してもよい(chroma scalability)。
<階層画像符号化装置・復号装置>
図22は、上述した階層画像符号化を行う階層画像符号化装置の主な構成例を示す図である。図22に示されるように、階層画像符号化装置620は、符号化部621、符号化部622、および多重化部623を有する。
符号化部621は、ベースレイヤ画像を符号化し、ベースレイヤ画像符号化ストリームを生成する。符号化部622は、ノンベースレイヤ画像を符号化し、ノンベースレイヤ画像符号化ストリームを生成する。多重化部623は、符号化部621において生成されたベースレイヤ画像符号化ストリームと、符号化部622において生成されたノンベースレイヤ画像符号化ストリームとを多重化し、階層画像符号化ストリームを生成する。
図23は、階層画像符号化装置620に対応する階層画像復号装置の主な構成例を示す図である。図23に示されるように、階層画像復号装置630は、逆多重化部631、復号部632、および復号部633を有する。
逆多重化部631は、ベースレイヤ画像符号化ストリームとノンベースレイヤ画像符号化ストリームとが多重化された階層画像符号化ストリームを逆多重化し、ベースレイヤ画像符号化ストリームと、ノンベースレイヤ画像符号化ストリームとを抽出する。復号部632は、逆多重化部631により抽出されたベースレイヤ画像符号化ストリームを復号し、ベースレイヤ画像を得る。復号部633は、逆多重化部631により抽出されたノンベースレイヤ画像符号化ストリームを復号し、ノンベースレイヤ画像を得る。
例えば、階層画像符号化装置620の各符号化部において、参照画像として用いられる画像データを非可逆符号化して符号化データとしてフレームメモリに記憶し、参照画像を利用する際は、そのフレームメモリから符号化データを読み出して非可逆復号するとする。これに対して、階層画像復号装置630の各復号部においては、参照画像として用いられる画像データを符号化せずにフレームメモリに記憶し、参照画像を利用する際は、そのフレームメモリから画像データを読み出すものとする。
このような場合、上述したように、階層画像符号化装置620による符号化において、参照画像の画像データの非可逆符号化の誤差の補償として発生する直交変換係数が、参照画像の画像データの非可逆符号化を行わない階層画像復号装置630による復号において蓄積され、復号画像の画質が低減するおそれがあった。
そこで、このような階層画像符号化装置620の符号化部621および符号化部622として、上述した画像符号化装置100を適用するようにする。このようにすることにより、階層画像の符号化においても、上述した方法を適用することができる。すなわち、階層画像符号化装置620は、階層画像の符号化による画質の低減を抑制することができる。
<5.第5の実施の形態>
<コンピュータ>
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここでコンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータや、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータ等が含まれる。
図24は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウエアの構成例を示すブロック図である。
図24に示されるコンピュータ800において、CPU(Central Processing Unit)801、ROM(Read Only Memory)802、RAM(Random Access Memory)803は、バス804を介して相互に接続されている。
バス804にはまた、入出力インタフェース810も接続されている。入出力インタフェース810には、入力部811、出力部812、記憶部813、通信部814、およびドライブ815が接続されている。
入力部811は、例えば、キーボード、マウス、マイクロホン、タッチパネル、入力端子などよりなる。出力部812は、例えば、ディスプレイ、スピーカ、出力端子などよりなる。記憶部813は、例えば、ハードディスク、RAMディスク、不揮発性のメモリなどよりなる。通信部814は、例えば、ネットワークインタフェースよりなる。ドライブ815は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブルメディア821を駆動する。
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU801が、例えば、記憶部813に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース810およびバス804を介して、RAM803にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。RAM803にはまた、CPU801が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
コンピュータ(CPU801)が実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディア821に記録して適用することができる。その場合、プログラムは、リムーバブルメディア821をドライブ815に装着することにより、入出力インタフェース810を介して、記憶部813にインストールすることができる。
また、このプログラムは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供することもできる。その場合、プログラムは、通信部814で受信し、記憶部813にインストールすることができる。
その他、このプログラムは、ROM802や記憶部813に、あらかじめインストールしておくこともできる。
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
また、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、全ての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
また、以上において、1つの装置(または処理部)として説明した構成を分割し、複数の装置(または処理部)として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成をまとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部を他の装置(または他の処理部)の構成に含めるようにしてもよい。
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、本技術は、1つの機能を、ネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
上述した実施形態に係る画像符号化装置及び画像復号装置は、例えば、衛星放送、ケーブルTVなどの有線放送、インターネット上での配信、及びセルラー通信による端末への配信などにおける送信機若しくは受信機、光ディスク、磁気ディスク及びフラッシュメモリなどの媒体に画像を記録する記録装置、又は、これら記憶媒体から画像を再生する再生装置などの様々な電子機器に応用され得る。以下、4つの応用例について説明する。
<6.第6の実施の形態>
<第1の応用例:テレビジョン受像機>
図25は、上述した実施形態を適用したテレビジョン装置の概略的な構成の一例を示している。テレビジョン装置900は、アンテナ901、チューナ902、デマルチプレクサ903、デコーダ904、映像信号処理部905、表示部906、音声信号処理部907、スピーカ908、外部インタフェース(I/F)部909、制御部910、ユーザインタフェース(I/F)部911、及びバス912を備える。
チューナ902は、アンテナ901を介して受信される放送信号から所望のチャンネルの信号を抽出し、抽出した信号を復調する。そして、チューナ902は、復調により得られた符号化ビットストリームをデマルチプレクサ903へ出力する。即ち、チューナ902は、画像が符号化されている符号化ストリームを受信する、テレビジョン装置900における伝送部としての役割を有する。
デマルチプレクサ903は、符号化ビットストリームから視聴対象の番組の映像ストリーム及び音声ストリームを分離し、分離した各ストリームをデコーダ904へ出力する。また、デマルチプレクサ903は、符号化ビットストリームからEPG(Electronic Program Guide)などの補助的なデータを抽出し、抽出したデータを制御部910に供給する。なお、デマルチプレクサ903は、符号化ビットストリームがスクランブルされている場合には、デスクランブルを行ってもよい。
デコーダ904は、デマルチプレクサ903から入力される映像ストリーム及び音声ストリームを復号する。そして、デコーダ904は、復号処理により生成される映像データを映像信号処理部905へ出力する。また、デコーダ904は、復号処理により生成される音声データを音声信号処理部907へ出力する。
映像信号処理部905は、デコーダ904から入力される映像データを再生し、表示部906に映像を表示させる。また、映像信号処理部905は、ネットワークを介して供給されるアプリケーション画面を表示部906に表示させてもよい。また、映像信号処理部905は、映像データについて、設定に応じて、例えばノイズ除去などの追加的な処理を行ってもよい。さらに、映像信号処理部905は、例えばメニュー、ボタン又はカーソルなどのGUI(Graphical User Interface)の画像を生成し、生成した画像を出力画像に重畳してもよい。
表示部906は、映像信号処理部905から供給される駆動信号により駆動され、表示デバイス(例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ又はOELD(Organic ElectroLuminescence Display)(有機ELディスプレイ)など)の映像面上に映像又は画像を表示する。
音声信号処理部907は、デコーダ904から入力される音声データについてD/A変換及び増幅などの再生処理を行い、スピーカ908から音声を出力させる。また、音声信号処理部907は、音声データについてノイズ除去などの追加的な処理を行ってもよい。
外部インタフェース部909は、テレビジョン装置900と外部機器又はネットワークとを接続するためのインタフェースである。例えば、外部インタフェース部909を介して受信される映像ストリーム又は音声ストリームが、デコーダ904により復号されてもよい。即ち、外部インタフェース部909もまた、画像が符号化されている符号化ストリームを受信する、テレビジョン装置900における伝送部としての役割を有する。
制御部910は、CPUなどのプロセッサ、並びにRAM及びROMなどのメモリを有する。メモリは、CPUにより実行されるプログラム、プログラムデータ、EPGデータ、及びネットワークを介して取得されるデータなどを記憶する。メモリにより記憶されるプログラムは、例えば、テレビジョン装置900の起動時にCPUにより読み込まれ、実行される。CPUは、プログラムを実行することにより、例えばユーザインタフェース部911から入力される操作信号に応じて、テレビジョン装置900の動作を制御する。
ユーザインタフェース部911は、制御部910と接続される。ユーザインタフェース部911は、例えば、ユーザがテレビジョン装置900を操作するためのボタン及びスイッチ、並びに遠隔制御信号の受信部などを有する。ユーザインタフェース部911は、これら構成要素を介してユーザによる操作を検出して操作信号を生成し、生成した操作信号を制御部910へ出力する。
バス912は、チューナ902、デマルチプレクサ903、デコーダ904、映像信号処理部905、音声信号処理部907、外部インタフェース部909及び制御部910を相互に接続する。
このように構成されたテレビジョン装置900において、例えば映像信号処理部905が画像符号化装置100の機能を有するようにしてもよい。つまり、映像信号処理部905がデコーダ904から供給される画像データを上述した方法で符号化するようにしてもよい。映像信号処理部905は、その符号化により得られた符号化データを、例えば、外部インタフェース部909に供給し、外部インタフェース部909からテレビジョン装置900の外部に出力させることができる。したがって、テレビジョン装置900は、処理対象となる画像の、符号化による画質の低減を抑制することができる。
<第2の応用例:携帯電話機>
図26は、上述した実施形態を適用した携帯電話機の概略的な構成の一例を示している。携帯電話機920は、アンテナ921、通信部922、音声コーデック923、スピーカ924、マイクロホン925、カメラ部926、画像処理部927、多重分離部928、記録再生部929、表示部930、制御部931、操作部932、及びバス933を備える。
アンテナ921は、通信部922に接続される。スピーカ924及びマイクロホン925は、音声コーデック923に接続される。操作部932は、制御部931に接続される。バス933は、通信部922、音声コーデック923、カメラ部926、画像処理部927、多重分離部928、記録再生部929、表示部930、及び制御部931を相互に接続する。
携帯電話機920は、音声通話モード、データ通信モード、撮影モード及びテレビ電話モードを含む様々な動作モードで、音声信号の送受信、電子メール又は画像データの送受信、画像の撮像、及びデータの記録などの動作を行う。
音声通話モードにおいて、マイクロホン925により生成されるアナログ音声信号は、音声コーデック923に供給される。音声コーデック923は、アナログ音声信号を音声データへ変換し、変換された音声データをA/D変換し圧縮する。そして、音声コーデック923は、圧縮後の音声データを通信部922へ出力する。通信部922は、音声データを符号化及び変調し、送信信号を生成する。そして、通信部922は、生成した送信信号を、アンテナ921を介して基地局(図示せず)へ送信する。また、通信部922は、アンテナ921を介して受信される無線信号を増幅し及び周波数変換し、受信信号を取得する。そして、通信部922は、受信信号を復調及び復号して音声データを生成し、生成した音声データを音声コーデック923へ出力する。音声コーデック923は、音声データを伸張し及びD/A変換し、アナログ音声信号を生成する。そして、音声コーデック923は、生成した音声信号をスピーカ924に供給して音声を出力させる。
また、データ通信モードにおいて、例えば、制御部931は、操作部932を介するユーザによる操作に応じて、電子メールを構成する文字データを生成する。また、制御部931は、文字を表示部930に表示させる。また、制御部931は、操作部932を介するユーザからの送信指示に応じて電子メールデータを生成し、生成した電子メールデータを通信部922へ出力する。通信部922は、電子メールデータを符号化及び変調し、送信信号を生成する。そして、通信部922は、生成した送信信号を、アンテナ921を介して基地局(図示せず)へ送信する。また、通信部922は、アンテナ921を介して受信される無線信号を増幅し及び周波数変換し、受信信号を取得する。そして、通信部922は、受信信号を復調及び復号して電子メールデータを復元し、復元した電子メールデータを制御部931へ出力する。制御部931は、表示部930に電子メールの内容を表示させると共に、電子メールデータを記録再生部929に供給し、その記憶媒体に書き込ませる。
記録再生部929は、読み書き可能な任意の記憶媒体を有する。例えば、記憶媒体は、RAM又はフラッシュメモリなどの内蔵型の記憶媒体であってもよく、ハードディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリ、又はメモリカードなどの外部装着型の記憶媒体であってもよい。
また、撮影モードにおいて、例えば、カメラ部926は、被写体を撮像して画像データを生成し、生成した画像データを画像処理部927へ出力する。画像処理部927は、カメラ部926から入力される画像データを符号化し、符号化ストリームを記録再生部929に供給し、その記憶媒体に書き込ませる。
さらに、画像表示モードにおいて、記録再生部929は、記憶媒体に記録されている符号化ストリームを読み出して画像処理部927へ出力する。画像処理部927は、記録再生部929から入力される符号化ストリームを復号し、画像データを表示部930に供給し、その画像を表示させる。
また、テレビ電話モードにおいて、例えば、多重分離部928は、画像処理部927により符号化された映像ストリームと、音声コーデック923から入力される音声ストリームとを多重化し、多重化したストリームを通信部922へ出力する。通信部922は、ストリームを符号化及び変調し、送信信号を生成する。そして、通信部922は、生成した送信信号を、アンテナ921を介して基地局(図示せず)へ送信する。また、通信部922は、アンテナ921を介して受信される無線信号を増幅し及び周波数変換し、受信信号を取得する。これら送信信号及び受信信号には、符号化ビットストリームが含まれ得る。そして、通信部922は、受信信号を復調及び復号してストリームを復元し、復元したストリームを多重分離部928へ出力する。多重分離部928は、入力されるストリームから映像ストリーム及び音声ストリームを分離し、映像ストリームを画像処理部927、音声ストリームを音声コーデック923へ出力する。画像処理部927は、映像ストリームを復号し、映像データを生成する。映像データは、表示部930に供給され、表示部930により一連の画像が表示される。音声コーデック923は、音声ストリームを伸張し及びD/A変換し、アナログ音声信号を生成する。そして、音声コーデック923は、生成した音声信号をスピーカ924に供給して音声を出力させる。
このように構成された携帯電話機920において、例えば画像処理部927が画像符号化装置100の機能を有するようにしてもよい。つまり、画像処理部927が画像データを上述した方法で符号化するようにしてもよい。このようにすることにより、携帯電話機920は、処理対象となる画像の、符号化による画質の低減を抑制することができる。
<第3の応用例:記録再生装置>
図27は、上述した実施形態を適用した記録再生装置の概略的な構成の一例を示している。記録再生装置940は、例えば、受信した放送番組の音声データ及び映像データを符号化して記録媒体に記録する。また、記録再生装置940は、例えば、他の装置から取得される音声データ及び映像データを符号化して記録媒体に記録してもよい。また、記録再生装置940は、例えば、ユーザの指示に応じて、記録媒体に記録されているデータをモニタ及びスピーカ上で再生する。このとき、記録再生装置940は、音声データおよび映像データを復号する。
記録再生装置940は、チューナ941、外部インタフェース(I/F)部942、エンコーダ943、HDD(Hard Disk Drive)944、ディスクドライブ945、セレクタ946、デコーダ947、OSD(On-Screen Display)948、制御部949、およびユーザインタフェース(I/F)部950を備える。
チューナ941は、アンテナ(図示せず)を介して受信される放送信号から所望のチャンネルの信号を抽出し、抽出した信号を復調する。そして、チューナ941は、復調により得られた符号化ビットストリームをセレクタ946へ出力する。即ち、チューナ941は、記録再生装置940における伝送部としての役割を有する。
外部インタフェース部942は、記録再生装置940と外部機器又はネットワークとを接続するためのインタフェースである。外部インタフェース部942は、例えば、IEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)1394インタフェース、ネットワークインタフェース、USBインタフェース、又はフラッシュメモリインタフェースなどであってよい。例えば、外部インタフェース部942を介して受信される映像データおよび音声データは、エンコーダ943へ入力される。即ち、外部インタフェース部942は、記録再生装置940における伝送部としての役割を有する。
エンコーダ943は、外部インタフェース部942から入力される映像データおよび音声データが符号化されていない場合に、映像データおよび音声データを符号化する。そして、エンコーダ943は、符号化ビットストリームをセレクタ946へ出力する。
HDD944は、映像および音声などのコンテンツデータが圧縮された符号化ビットストリーム、各種プログラムおよびその他のデータを内部のハードディスクに記録する。また、HDD944は、映像および音声の再生時に、これらデータをハードディスクから読み出す。
ディスクドライブ945は、装着されている記録媒体へのデータの記録および読み出しを行う。ディスクドライブ945に装着される記録媒体は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)ディスク(DVD-Video、DVD-RAM(DVD - Random Access Memory)、DVD-R(DVD - Recordable)、DVD-RW(DVD - Rewritable)、DVD+R(DVD + Recordable)、DVD+RW(DVD + Rewritable)等)又はBlu-ray(登録商標)ディスクなどであってよい。
セレクタ946は、映像および音声の記録時には、チューナ941又はエンコーダ943から入力される符号化ビットストリームを選択し、選択した符号化ビットストリームをHDD944又はディスクドライブ945へ出力する。また、セレクタ946は、映像及び音声の再生時には、HDD944又はディスクドライブ945から入力される符号化ビットストリームをデコーダ947へ出力する。
デコーダ947は、符号化ビットストリームを復号し、映像データ及び音声データを生成する。そして、デコーダ947は、生成した映像データをOSD948へ出力する。また、デコーダ947は、生成した音声データを外部のスピーカへ出力する。
OSD948は、デコーダ947から入力される映像データを再生し、映像を表示する。また、OSD948は、表示する映像に、例えばメニュー、ボタン又はカーソルなどのGUIの画像を重畳してもよい。
制御部949は、CPUなどのプロセッサ、並びにRAM及びROMなどのメモリを有する。メモリは、CPUにより実行されるプログラム、及びプログラムデータなどを記憶する。メモリにより記憶されるプログラムは、例えば、記録再生装置940の起動時にCPUにより読み込まれ、実行される。CPUは、プログラムを実行することにより、例えばユーザインタフェース部950から入力される操作信号に応じて、記録再生装置940の動作を制御する。
ユーザインタフェース部950は、制御部949と接続される。ユーザインタフェース部950は、例えば、ユーザが記録再生装置940を操作するためのボタンおよびスイッチ、並びに遠隔制御信号の受信部などを有する。ユーザインタフェース部950は、これら構成要素を介してユーザによる操作を検出して操作信号を生成し、生成した操作信号を制御部949へ出力する。
このように構成された記録再生装置940において、エンコーダ943が画像符号化装置100の機能を有するようにしてもよい。つまり、エンコーダ943が画像データを上述した方法で符号化するようにしてもよい。このようにすることにより、記録再生装置940は、処理対象となる画像の、符号化による画質の低減を抑制することができる。
<第4の応用例:撮像装置>
図28は、上述した実施形態を適用した撮像装置の概略的な構成の一例を示している。撮像装置960は、被写体を撮像して画像を生成し、画像データを符号化して記録媒体に記録する。
撮像装置960は、光学ブロック961、撮像部962、信号処理部963、画像処理部964、表示部965、外部インタフェース(I/F)部966、メモリ部967、メディアドライブ968、OSD969、制御部970、ユーザインタフェース(I/F)部971、およびバス972を備える。
光学ブロック961は、撮像部962に接続される。撮像部962は、信号処理部963に接続される。表示部965は、画像処理部964に接続される。ユーザインタフェース部971は、制御部970に接続される。バス972は、画像処理部964、外部インタフェース部966、メモリ部967、メディアドライブ968、OSD969、および制御部970を相互に接続する。
光学ブロック961は、フォーカスレンズ及び絞り機構などを有する。光学ブロック961は、被写体の光学像を撮像部962の撮像面に結像させる。撮像部962は、CCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などのイメージセンサを有し、撮像面に結像した光学像を光電変換によって電気信号としての画像信号に変換する。そして、撮像部962は、画像信号を信号処理部963へ出力する。
信号処理部963は、撮像部962から入力される画像信号に対してニー補正、ガンマ補正、色補正などの種々のカメラ信号処理を行う。信号処理部963は、カメラ信号処理後の画像データを画像処理部964へ出力する。
画像処理部964は、信号処理部963から入力される画像データを符号化し、符号化データを生成する。そして、画像処理部964は、生成した符号化データを外部インタフェース部966またはメディアドライブ968へ出力する。また、画像処理部964は、外部インタフェース部966またはメディアドライブ968から入力される符号化データを復号し、画像データを生成する。そして、画像処理部964は、生成した画像データを表示部965へ出力する。また、画像処理部964は、信号処理部963から入力される画像データを表示部965へ出力して画像を表示させてもよい。また、画像処理部964は、OSD969から取得される表示用データを、表示部965へ出力する画像に重畳してもよい。
OSD969は、例えばメニュー、ボタン又はカーソルなどのGUIの画像を生成して、生成した画像を画像処理部964へ出力する。
外部インタフェース部966は、例えばUSB入出力端子として構成される。外部インタフェース部966は、例えば、画像の印刷時に、撮像装置960とプリンタとを接続する。また、外部インタフェース部966には、必要に応じてドライブが接続される。ドライブには、例えば、磁気ディスク又は光ディスクなどのリムーバブルメディアが装着され、リムーバブルメディアから読み出されるプログラムが、撮像装置960にインストールされ得る。さらに、外部インタフェース部966は、LAN又はインターネットなどのネットワークに接続されるネットワークインタフェースとして構成されてもよい。即ち、外部インタフェース部966は、撮像装置960における伝送部としての役割を有する。
メディアドライブ968に装着される記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、又は半導体メモリなどの、読み書き可能な任意のリムーバブルメディアであってよい。また、メディアドライブ968に記録媒体が固定的に装着され、例えば、内蔵型ハードディスクドライブ又はSSD(Solid State Drive)のような非可搬性の記憶部が構成されてもよい。
制御部970は、CPUなどのプロセッサ、並びにRAM及びROMなどのメモリを有する。メモリは、CPUにより実行されるプログラム、及びプログラムデータなどを記憶する。メモリにより記憶されるプログラムは、例えば、撮像装置960の起動時にCPUにより読み込まれ、実行される。CPUは、プログラムを実行することにより、例えばユーザインタフェース部971から入力される操作信号に応じて、撮像装置960の動作を制御する。
ユーザインタフェース部971は、制御部970と接続される。ユーザインタフェース部971は、例えば、ユーザが撮像装置960を操作するためのボタン及びスイッチなどを有する。ユーザインタフェース部971は、これら構成要素を介してユーザによる操作を検出して操作信号を生成し、生成した操作信号を制御部970へ出力する。
このように構成された撮像装置960において、画像処理部964が画像符号化装置100の機能を有するようにしてもよい。つまり、画像処理部964が画像データを上述した方法で符号化するようにしてもよい。このようにすることにより、撮像装置960は、処理対象となる画像の、符号化による画質の低減を抑制することができる。
なお、本技術は、予め用意された解像度等が互いに異なる複数の符号化データの中から適切なものをセグメント単位で選択して使用する、例えばMPEG DASH等のようなHTTPストリーミングにも適用することができる。つまり、このような複数の符号化データ間で、符号化や復号に関する情報を共有することもできる。
<7.第7の実施の形態>
<実施のその他の例>
以上において本技術を適用する装置やシステム等の例を説明したが、本技術は、これに限らず、このような装置またはシステムを構成する装置に搭載するあらゆる構成、例えば、システムLSI(Large Scale Integration)等としてのプロセッサ、複数のプロセッサ等を用いるモジュール、複数のモジュール等を用いるユニット、ユニットにさらにその他の機能を付加したセット等(すなわち、装置の一部の構成)として実施することもできる。
<ビデオセット>
本技術をセットとして実施する場合の例について、図29を参照して説明する。図29は、本技術を適用したビデオセットの概略的な構成の一例を示している。
近年、電子機器の多機能化が進んでおり、その開発や製造において、その一部の構成を販売や提供等として実施する場合、1機能を有する構成として実施を行う場合だけでなく、関連する機能を有する複数の構成を組み合わせ、複数の機能を有する1セットとして実施を行う場合も多く見られるようになってきた。
図29に示されるビデオセット1300は、このような多機能化された構成であり、画像の符号化や復号(いずれか一方でもよいし、両方でも良い)に関する機能を有するデバイスに、その機能に関連するその他の機能を有するデバイスを組み合わせたものである。
図29に示されるように、ビデオセット1300は、ビデオモジュール1311、外部メモリ1312、パワーマネージメントモジュール1313、およびフロントエンドモジュール1314等のモジュール群と、コネクティビティ1321、カメラ1322、およびセンサ1323等の関連する機能を有するデバイスとを有する。
モジュールは、互いに関連するいくつかの部品的機能をまとめ、まとまりのある機能を持った部品としたものである。具体的な物理的構成は任意であるが、例えば、それぞれ機能を有する複数のプロセッサ、抵抗やコンデンサ等の電子回路素子、その他のデバイス等を配線基板等に配置して一体化したものが考えられる。また、モジュールに他のモジュールやプロセッサ等を組み合わせて新たなモジュールとすることも考えられる。
図29の例の場合、ビデオモジュール1311は、画像処理に関する機能を有する構成を組み合わせたものであり、アプリケーションプロセッサ、ビデオプロセッサ、ブロードバンドモデム1333、およびRFモジュール1334を有する。
プロセッサは、所定の機能を有する構成をSoC(System On a Chip)により半導体チップに集積したものであり、例えばシステムLSI(Large Scale Integration)等と称されるものもある。この所定の機能を有する構成は、論理回路(ハードウエア構成)であってもよいし、CPU、ROM、RAM等と、それらを用いて実行されるプログラム(ソフトウエア構成)であってもよいし、その両方を組み合わせたものであってもよい。例えば、プロセッサが、論理回路とCPU、ROM、RAM等とを有し、機能の一部を論理回路(ハードウエア構成)により実現し、その他の機能をCPUにおいて実行されるプログラム(ソフトウエア構成)により実現するようにしてもよい。
図29のアプリケーションプロセッサ1331は、画像処理に関するアプリケーションを実行するプロセッサである。このアプリケーションプロセッサ1331において実行されるアプリケーションは、所定の機能を実現するために、演算処理を行うだけでなく、例えばビデオプロセッサ1332等、ビデオモジュール1311内外の構成を必要に応じて制御することもできる。
ビデオプロセッサ1332は、画像の符号化・復号(その一方若しくは両方)に関する機能を有するプロセッサである。
ブロードバンドモデム1333は、インターネットや公衆電話回線網等の広帯域の回線を介して行われる有線若しくは無線(またはその両方)の広帯域通信により送信するデータ(デジタル信号)をデジタル変調する等してアナログ信号に変換したり、その広帯域通信により受信したアナログ信号を復調してデータ(デジタル信号)に変換したりする。ブロードバンドモデム1333は、例えば、ビデオプロセッサ1332が処理する画像データ、画像データが符号化されたストリーム、アプリケーションプログラム、設定データ等、任意の情報を処理する。
RFモジュール1334は、アンテナを介して送受信されるRF(Radio Frequency)信号に対して、周波数変換、変復調、増幅、フィルタ処理等を行うモジュールである。例えば、RFモジュール1334は、ブロードバンドモデム1333により生成されたベースバンド信号に対して周波数変換等を行ってRF信号を生成する。また、例えば、RFモジュール1334は、フロントエンドモジュール1314を介して受信されたRF信号に対して周波数変換等を行ってベースバンド信号を生成する。
なお、図29において点線1341に示されるように、アプリケーションプロセッサ1331とビデオプロセッサ1332を、一体化し、1つのプロセッサとして構成されるようにしてもよい。
外部メモリ1312は、ビデオモジュール1311の外部に設けられた、ビデオモジュール1311により利用される記憶デバイスを有するモジュールである。この外部メモリ1312の記憶デバイスは、どのような物理構成により実現するようにしてもよいが、一般的にフレーム単位の画像データのような大容量のデータの格納に利用されることが多いので、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)のような比較的安価で大容量の半導体メモリにより実現するのが望ましい。
パワーマネージメントモジュール1313は、ビデオモジュール1311(ビデオモジュール1311内の各構成)への電力供給を管理し、制御する。
フロントエンドモジュール1314は、RFモジュール1334に対してフロントエンド機能(アンテナ側の送受信端の回路)を提供するモジュールである。図29に示されるように、フロントエンドモジュール1314は、例えば、アンテナ部1351、フィルタ1352、および増幅部1353を有する。
アンテナ部1351は、無線信号を送受信するアンテナおよびその周辺の構成を有する。アンテナ部1351は、増幅部1353から供給される信号を無線信号として送信し、受信した無線信号を電気信号(RF信号)としてフィルタ1352に供給する。フィルタ1352は、アンテナ部1351を介して受信されたRF信号に対してフィルタ処理等を行い、処理後のRF信号をRFモジュール1334に供給する。増幅部1353は、RFモジュール1334から供給されるRF信号を増幅し、アンテナ部1351に供給する。
コネクティビティ1321は、外部との接続に関する機能を有するモジュールである。コネクティビティ1321の物理構成は、任意である。例えば、コネクティビティ1321は、ブロードバンドモデム1333が対応する通信規格以外の通信機能を有する構成や、外部入出力端子等を有する。
例えば、コネクティビティ1321が、Bluetooth(登録商標)、IEEE 802.11(例えばWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標))、NFC(Near Field Communication)、IrDA(InfraRed Data Association)等の無線通信規格に準拠する通信機能を有するモジュールや、その規格に準拠した信号を送受信するアンテナ等を有するようにしてもよい。また、例えば、コネクティビティ1321が、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)等の有線通信規格に準拠する通信機能を有するモジュールや、その規格に準拠した端子を有するようにしてもよい。さらに、例えば、コネクティビティ1321が、アナログ入出力端子等のその他のデータ(信号)伝送機能等を有するようにしてもよい。
なお、コネクティビティ1321が、データ(信号)の伝送先のデバイスを含むようにしてもよい。例えば、コネクティビティ1321が、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等の記録媒体に対してデータの読み出しや書き込みを行うドライブ(リムーバブルメディアのドライブだけでなく、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、NAS(Network Attached Storage)等も含む)を有するようにしてもよい。また、コネクティビティ1321が、画像や音声の出力デバイス(モニタやスピーカ等)を有するようにしてもよい。
カメラ1322は、被写体を撮像し、被写体の画像データを得る機能を有するモジュールである。カメラ1322の撮像により得られた画像データは、例えば、ビデオプロセッサ1332に供給されて符号化される。
センサ1323は、例えば、音声センサ、超音波センサ、光センサ、照度センサ、赤外線センサ、イメージセンサ、回転センサ、角度センサ、角速度センサ、速度センサ、加速度センサ、傾斜センサ、磁気識別センサ、衝撃センサ、温度センサ等、任意のセンサ機能を有するモジュールである。センサ1323により検出されたデータは、例えば、アプリケーションプロセッサ1331に供給されてアプリケーション等により利用される。
以上においてモジュールとして説明した構成をプロセッサとして実現するようにしてもよいし、逆にプロセッサとして説明した構成をモジュールとして実現するようにしてもよい。
以上のような構成のビデオセット1300において、後述するようにビデオプロセッサ1332に本技術を適用することができる。したがって、ビデオセット1300は、本技術を適用したセットとして実施することができる。
<ビデオプロセッサの構成例>
図30は、本技術を適用したビデオプロセッサ1332(図29)の概略的な構成の一例を示している。
図30の例の場合、ビデオプロセッサ1332は、ビデオ信号およびオーディオ信号の入力を受けてこれらを所定の方式で符号化する機能と、符号化されたビデオデータおよびオーディオデータを復号し、ビデオ信号およびオーディオ信号を再生出力する機能とを有する。
図30に示されるように、ビデオプロセッサ1332は、ビデオ入力処理部1401、第1画像拡大縮小部1402、第2画像拡大縮小部1403、ビデオ出力処理部1404、フレームメモリ1405、およびメモリ制御部1406を有する。また、ビデオプロセッサ1332は、エンコード・デコードエンジン1407、ビデオES(Elementary Stream)バッファ1408Aおよび1408B、並びに、オーディオESバッファ1409Aおよび1409Bを有する。さらに、ビデオプロセッサ1332は、オーディオエンコーダ1410、オーディオデコーダ1411、多重化部(MUX(Multiplexer))1412、逆多重化部(DMUX(Demultiplexer))1413、およびストリームバッファ1414を有する。
ビデオ入力処理部1401は、例えばコネクティビティ1321(図29)等から入力されたビデオ信号を取得し、デジタル画像データに変換する。第1画像拡大縮小部1402は、画像データに対してフォーマット変換や画像の拡大縮小処理等を行う。第2画像拡大縮小部1403は、画像データに対して、ビデオ出力処理部1404を介して出力する先でのフォーマットに応じて画像の拡大縮小処理を行ったり、第1画像拡大縮小部1402と同様のフォーマット変換や画像の拡大縮小処理等を行ったりする。ビデオ出力処理部1404は、画像データに対して、フォーマット変換やアナログ信号への変換等を行って、再生されたビデオ信号として例えばコネクティビティ1321等に出力する。
フレームメモリ1405は、ビデオ入力処理部1401、第1画像拡大縮小部1402、第2画像拡大縮小部1403、ビデオ出力処理部1404、およびエンコード・デコードエンジン1407によって共用される画像データ用のメモリである。フレームメモリ1405は、例えばDRAM等の半導体メモリとして実現される。
メモリ制御部1406は、エンコード・デコードエンジン1407からの同期信号を受けて、アクセス管理テーブル1406Aに書き込まれたフレームメモリ1405へのアクセススケジュールに従ってフレームメモリ1405に対する書き込み・読み出しのアクセスを制御する。アクセス管理テーブル1406Aは、エンコード・デコードエンジン1407、第1画像拡大縮小部1402、第2画像拡大縮小部1403等で実行される処理に応じて、メモリ制御部1406により更新される。
エンコード・デコードエンジン1407は、画像データのエンコード処理、並びに、画像データが符号化されたデータであるビデオストリームのデコード処理を行う。例えば、エンコード・デコードエンジン1407は、フレームメモリ1405から読み出した画像データを符号化し、ビデオストリームとしてビデオESバッファ1408Aに順次書き込む。また、例えば、ビデオESバッファ1408Bからビデオストリームを順次読み出して復号し、画像データとしてフレームメモリ1405に順次書き込む。エンコード・デコードエンジン1407は、これらの符号化や復号において、フレームメモリ1405を作業領域として使用する。また、エンコード・デコードエンジン1407は、例えばマクロブロック毎の処理を開始するタイミングで、メモリ制御部1406に対して同期信号を出力する。
ビデオESバッファ1408Aは、エンコード・デコードエンジン1407によって生成されたビデオストリームをバッファリングして、多重化部(MUX)1412に供給する。ビデオESバッファ1408Bは、逆多重化部(DMUX)1413から供給されたビデオストリームをバッファリングして、エンコード・デコードエンジン1407に供給する。
オーディオESバッファ1409Aは、オーディオエンコーダ1410によって生成されたオーディオストリームをバッファリングして、多重化部(MUX)1412に供給する。オーディオESバッファ1409Bは、逆多重化部(DMUX)1413から供給されたオーディオストリームをバッファリングして、オーディオデコーダ1411に供給する。
オーディオエンコーダ1410は、例えばコネクティビティ1321等から入力されたオーディオ信号を例えばデジタル変換し、例えばMPEGオーディオ方式やAC3(AudioCode number 3)方式等の所定の方式で符号化する。オーディオエンコーダ1410は、オーディオ信号が符号化されたデータであるオーディオストリームをオーディオESバッファ1409Aに順次書き込む。オーディオデコーダ1411は、オーディオESバッファ1409Bから供給されたオーディオストリームを復号し、例えばアナログ信号への変換等を行って、再生されたオーディオ信号として例えばコネクティビティ1321等に供給する。
多重化部(MUX)1412は、ビデオストリームとオーディオストリームとを多重化する。この多重化の方法(すなわち、多重化により生成されるビットストリームのフォーマット)は任意である。また、この多重化の際に、多重化部(MUX)1412は、所定のヘッダ情報等をビットストリームに付加することもできる。つまり、多重化部(MUX)1412は、多重化によりストリームのフォーマットを変換することができる。例えば、多重化部(MUX)1412は、ビデオストリームとオーディオストリームとを多重化することにより、転送用のフォーマットのビットストリームであるトランスポートストリームに変換する。また、例えば、多重化部(MUX)1412は、ビデオストリームとオーディオストリームとを多重化することにより、記録用のファイルフォーマットのデータ(ファイルデータ)に変換する。
逆多重化部(DMUX)1413は、多重化部(MUX)1412による多重化に対応する方法で、ビデオストリームとオーディオストリームとが多重化されたビットストリームを逆多重化する。つまり、逆多重化部(DMUX)1413は、ストリームバッファ1414から読み出されたビットストリームからビデオストリームとオーディオストリームとを抽出する(ビデオストリームとオーディオストリームとを分離する)。つまり、逆多重化部(DMUX)1413は、逆多重化によりストリームのフォーマットを変換(多重化部(MUX)1412による変換の逆変換)することができる。例えば、逆多重化部(DMUX)1413は、例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等から供給されたトランスポートストリームを、ストリームバッファ1414を介して取得し、逆多重化することにより、ビデオストリームとオーディオストリームとに変換することができる。また、例えば、逆多重化部(DMUX)1413は、例えばコネクティビティ1321により各種記録媒体から読み出されたファイルデータを、ストリームバッファ1414を介して取得し、逆多重化することにより、ビデオストリームとオーディオストリームとに変換することができる。
ストリームバッファ1414は、ビットストリームをバッファリングする。例えば、ストリームバッファ1414は、多重化部(MUX)1412から供給されたトランスポートストリームをバッファリングし、所定のタイミングにおいて、若しくは外部からの要求等に基づいて、例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等に供給する。
また、例えば、ストリームバッファ1414は、多重化部(MUX)1412から供給されたファイルデータをバッファリングし、所定のタイミングにおいて、若しくは外部からの要求等に基づいて、例えばコネクティビティ1321等に供給し、各種記録媒体に記録させる。
さらに、ストリームバッファ1414は、例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等を介して取得したトランスポートストリームをバッファリングし、所定のタイミングにおいて、若しくは外部からの要求等に基づいて、逆多重化部(DMUX)1413に供給する。
また、ストリームバッファ1414は、例えばコネクティビティ1321等において各種記録媒体から読み出されたファイルデータをバッファリングし、所定のタイミングにおいて、若しくは外部からの要求等に基づいて、逆多重化部(DMUX)1413に供給する。
次に、このような構成のビデオプロセッサ1332の動作の例について説明する。例えば、コネクティビティ1321等からビデオプロセッサ1332に入力されたビデオ信号は、ビデオ入力処理部1401において4:2:2Y/Cb/Cr方式等の所定の方式のデジタル画像データに変換され、フレームメモリ1405に順次書き込まれる。このデジタル画像データは、第1画像拡大縮小部1402または第2画像拡大縮小部1403に読み出されて、4:2:0Y/Cb/Cr方式等の所定の方式へのフォーマット変換および拡大縮小処理が行われ、再びフレームメモリ1405に書き込まれる。この画像データは、エンコード・デコードエンジン1407によって符号化され、ビデオストリームとしてビデオESバッファ1408Aに書き込まれる。
また、コネクティビティ1321等からビデオプロセッサ1332に入力されたオーディオ信号は、オーディオエンコーダ1410によって符号化され、オーディオストリームとして、オーディオESバッファ1409Aに書き込まれる。
ビデオESバッファ1408Aのビデオストリームと、オーディオESバッファ1409Aのオーディオストリームは、多重化部(MUX)1412に読み出されて多重化され、トランスポートストリーム若しくはファイルデータ等に変換される。多重化部(MUX)1412により生成されたトランスポートストリームは、ストリームバッファ1414にバッファされた後、例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等を介して外部ネットワークに出力される。また、多重化部(MUX)1412により生成されたファイルデータは、ストリームバッファ1414にバッファされた後、例えばコネクティビティ1321等に出力され、各種記録媒体に記録される。
また、例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等を介して外部ネットワークからビデオプロセッサ1332に入力されたトランスポートストリームは、ストリームバッファ1414にバッファされた後、逆多重化部(DMUX)1413により逆多重化される。また、例えばコネクティビティ1321等において各種記録媒体から読み出され、ビデオプロセッサ1332に入力されたファイルデータは、ストリームバッファ1414にバッファされた後、逆多重化部(DMUX)1413により逆多重化される。つまり、ビデオプロセッサ1332に入力されたトランスポートストリームまたはファイルデータは、逆多重化部(DMUX)1413によりビデオストリームとオーディオストリームとに分離される。
オーディオストリームは、オーディオESバッファ1409Bを介してオーディオデコーダ1411に供給され、復号されてオーディオ信号が再生される。また、ビデオストリームは、ビデオESバッファ1408Bに書き込まれた後、エンコード・デコードエンジン1407により順次読み出されて復号されてフレームメモリ1405に書き込まれる。復号された画像データは、第2画像拡大縮小部1403によって拡大縮小処理されて、フレームメモリ1405に書き込まれる。そして、復号された画像データは、ビデオ出力処理部1404に読み出されて、4:2:2Y/Cb/Cr方式等の所定の方式にフォーマット変換され、さらにアナログ信号に変換されて、ビデオ信号が再生出力される。
このように構成されるビデオプロセッサ1332に本技術を適用する場合、エンコード・デコードエンジン1407に、上述した本技術を適用すればよい。つまり、例えば、エンコード・デコードエンジン1407が、上述した画像符号化装置100の機能を有するようにすればよい。このようにすることにより、ビデオプロセッサ1332は、図1乃至図17を参照して上述した効果と同様の効果を得ることができる。
なお、エンコード・デコードエンジン1407において、本技術(すなわち、上述した画像符号化装置100の機能)は、論理回路等のハードウエアにより実現するようにしてもよいし、組み込みプログラム等のソフトウエアにより実現するようにしてもよいし、それらの両方により実現するようにしてもよい。
<ビデオプロセッサの他の構成例>
図31は、本技術を適用したビデオプロセッサ1332の概略的な構成の他の例を示している。図31の例の場合、ビデオプロセッサ1332は、ビデオデータを所定の方式で符号化・復号する機能を有する。
より具体的には、図31に示されるように、ビデオプロセッサ1332は、制御部1511、ディスプレイインタフェース1512、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、および内部メモリ1515を有する。また、ビデオプロセッサ1332は、コーデックエンジン1516、メモリインタフェース1517、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518、ネットワークインタフェース1519、およびビデオインタフェース1520を有する。
制御部1511は、ディスプレイインタフェース1512、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、およびコーデックエンジン1516等、ビデオプロセッサ1332内の各処理部の動作を制御する。
図31に示されるように、制御部1511は、例えば、メインCPU1531、サブCPU1532、およびシステムコントローラ1533を有する。メインCPU1531は、ビデオプロセッサ1332内の各処理部の動作を制御するためのプログラム等を実行する。メインCPU1531は、そのプログラム等に従って制御信号を生成し、各処理部に供給する(つまり、各処理部の動作を制御する)。サブCPU1532は、メインCPU1531の補助的な役割を果たす。例えば、サブCPU1532は、メインCPU1531が実行するプログラム等の子プロセスやサブルーチン等を実行する。システムコントローラ1533は、メインCPU1531およびサブCPU1532が実行するプログラムを指定する等、メインCPU1531およびサブCPU1532の動作を制御する。
ディスプレイインタフェース1512は、制御部1511の制御の下、画像データを例えばコネクティビティ1321等に出力する。例えば、ディスプレイインタフェース1512は、デジタルデータの画像データをアナログ信号に変換し、再生されたビデオ信号として、またはデジタルデータの画像データのまま、コネクティビティ1321のモニタ装置等に出力する。
ディスプレイエンジン1513は、制御部1511の制御の下、画像データに対して、その画像を表示させるモニタ装置等のハードウエアスペックに合わせるように、フォーマット変換、サイズ変換、色域変換等の各種変換処理を行う。
画像処理エンジン1514は、制御部1511の制御の下、画像データに対して、例えば画質改善のためのフィルタ処理等、所定の画像処理を施す。
内部メモリ1515は、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、およびコーデックエンジン1516により共用される、ビデオプロセッサ1332の内部に設けられたメモリである。内部メモリ1515は、例えば、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、およびコーデックエンジン1516の間で行われるデータの授受に利用される。例えば、内部メモリ1515は、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、またはコーデックエンジン1516から供給されるデータを格納し、必要に応じて(例えば、要求に応じて)、そのデータを、ディスプレイエンジン1513、画像処理エンジン1514、またはコーデックエンジン1516に供給する。この内部メモリ1515は、どのような記憶デバイスにより実現するようにしてもよいが、一般的にブロック単位の画像データやパラメータ等といった小容量のデータの格納に利用することが多いので、例えばSRAM(Static Random Access Memory)のような比較的(例えば外部メモリ1312と比較して)小容量だが応答速度が高速な半導体メモリにより実現するのが望ましい。
コーデックエンジン1516は、画像データの符号化や復号に関する処理を行う。このコーデックエンジン1516が対応する符号化・復号の方式は任意であり、その数は1つであってもよいし、複数であってもよい。例えば、コーデックエンジン1516は、複数の符号化・復号方式のコーデック機能を備え、その中から選択されたもので画像データの符号化若しくは符号化データの復号を行うようにしてもよい。
図31に示される例において、コーデックエンジン1516は、コーデックに関する処理の機能ブロックとして、例えば、MPEG-2 Video1541、AVC/H.2641542、HEVC/H.2651543、HEVC/H.265(Scalable)1544、HEVC/H.265(Multi-view)1545、およびMPEG-DASH1551を有する。
MPEG-2 Video1541は、画像データをMPEG-2方式で符号化したり復号したりする機能ブロックである。AVC/H.2641542は、画像データをAVC方式で符号化したり復号したりする機能ブロックである。HEVC/H.2651543は、画像データをHEVC方式で符号化したり復号したりする機能ブロックである。HEVC/H.265(Scalable)1544は、画像データをHEVC方式でスケーラブル符号化したりスケーラブル復号したりする機能ブロックである。HEVC/H.265(Multi-view)1545は、画像データをHEVC方式で多視点符号化したり多視点復号したりする機能ブロックである。
MPEG-DASH1551は、画像データをMPEG-DASH(MPEG-Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)方式で送受信する機能ブロックである。MPEG-DASHは、HTTP(HyperText Transfer Protocol)を使ってビデオのストリーミングを行う技術であり、予め用意された解像度等が互いに異なる複数の符号化データの中から適切なものをセグメント単位で選択し伝送することを特徴の1つとする。MPEG-DASH1551は、規格に準拠するストリームの生成やそのストリームの伝送制御等を行い、画像データの符号化・復号については、上述したMPEG-2 Video1541乃至HEVC/H.265(Multi-view)1545を利用する。
メモリインタフェース1517は、外部メモリ1312用のインタフェースである。画像処理エンジン1514やコーデックエンジン1516から供給されるデータは、メモリインタフェース1517を介して外部メモリ1312に供給される。また、外部メモリ1312から読み出されたデータは、メモリインタフェース1517を介してビデオプロセッサ1332(画像処理エンジン1514若しくはコーデックエンジン1516)に供給される。
多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518は、符号化データのビットストリーム、画像データ、ビデオ信号等、画像に関する各種データの多重化や逆多重化を行う。この多重化・逆多重化の方法は任意である。例えば、多重化の際に、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518は、複数のデータを1つにまとめるだけでなく、所定のヘッダ情報等をそのデータに付加することもできる。また、逆多重化の際に、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518は、1つのデータを複数に分割するだけでなく、分割した各データに所定のヘッダ情報等を付加することもできる。つまり、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518は、多重化・逆多重化によりデータのフォーマットを変換することができる。例えば、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518は、ビットストリームを多重化することにより、転送用のフォーマットのビットストリームであるトランスポートストリームや、記録用のファイルフォーマットのデータ(ファイルデータ)に変換することができる。もちろん、逆多重化によりその逆変換も可能である。
ネットワークインタフェース1519は、例えばブロードバンドモデム1333やコネクティビティ1321等向けのインタフェースである。ビデオインタフェース1520は、例えばコネクティビティ1321やカメラ1322等向けのインタフェースである。
次に、このようなビデオプロセッサ1332の動作の例について説明する。例えば、コネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等を介して外部ネットワークからトランスポートストリームを受信すると、そのトランスポートストリームは、ネットワークインタフェース1519を介して多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518に供給されて逆多重化され、コーデックエンジン1516により復号される。コーデックエンジン1516の復号により得られた画像データは、例えば、画像処理エンジン1514により所定の画像処理が施され、ディスプレイエンジン1513により所定の変換が行われ、ディスプレイインタフェース1512を介して例えばコネクティビティ1321等に供給され、その画像がモニタに表示される。また、例えば、コーデックエンジン1516の復号により得られた画像データは、コーデックエンジン1516により再符号化され、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518により多重化されてファイルデータに変換され、ビデオインタフェース1520を介して例えばコネクティビティ1321等に出力され、各種記録媒体に記録される。
さらに、例えば、コネクティビティ1321等により図示せぬ記録媒体から読み出された、画像データが符号化された符号化データのファイルデータは、ビデオインタフェース1520を介して多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518に供給されて逆多重化され、コーデックエンジン1516により復号される。コーデックエンジン1516の復号により得られた画像データは、画像処理エンジン1514により所定の画像処理が施され、ディスプレイエンジン1513により所定の変換が行われ、ディスプレイインタフェース1512を介して例えばコネクティビティ1321等に供給され、その画像がモニタに表示される。また、例えば、コーデックエンジン1516の復号により得られた画像データは、コーデックエンジン1516により再符号化され、多重化・逆多重化部(MUX DMUX)1518により多重化されてトランスポートストリームに変換され、ネットワークインタフェース1519を介して例えばコネクティビティ1321やブロードバンドモデム1333等に供給され図示せぬ他の装置に伝送される。
なお、ビデオプロセッサ1332内の各処理部の間での画像データやその他のデータの授受は、例えば、内部メモリ1515や外部メモリ1312を利用して行われる。また、パワーマネージメントモジュール1313は、例えば制御部1511への電力供給を制御する。
このように構成されるビデオプロセッサ1332に本技術を適用する場合、コーデックエンジン1516に、上述した本技術を適用すればよい。つまり、例えば、コーデックエンジン1516が、上述した画像符号化装置100を実現する機能ブロックを有するようにすればよい。このようにすることにより、ビデオプロセッサ1332は、図1乃至図17を参照して上述した効果と同様の効果を得ることができる。
なお、コーデックエンジン1516において、本技術(すなわち、上述した画像符号化装置100の機能)は、論理回路等のハードウエアにより実現するようにしてもよいし、組み込みプログラム等のソフトウエアにより実現するようにしてもよいし、それらの両方により実現するようにしてもよい。
以上にビデオプロセッサ1332の構成を2例示したが、ビデオプロセッサ1332の構成は任意であり、上述した2例以外のものであってもよい。また、このビデオプロセッサ1332は、1つの半導体チップとして構成されるようにしてもよいが、複数の半導体チップとして構成されるようにしてもよい。例えば、複数の半導体を積層する3次元積層LSIとしてもよい。また、複数のLSIにより実現されるようにしてもよい。
<装置への適用例>
ビデオセット1300は、画像データを処理する各種装置に組み込むことができる。例えば、ビデオセット1300は、テレビジョン装置900(図25)、携帯電話機920(図26)、記録再生装置940(図27)、撮像装置960(図28)等に組み込むことができる。ビデオセット1300を組み込むことにより、その装置は、図1乃至図17を参照して上述した効果と同様の効果を得ることができる。
なお、上述したビデオセット1300の各構成の一部であっても、ビデオプロセッサ1332を含むものであれば、本技術を適用した構成として実施することができる。例えば、ビデオプロセッサ1332のみを本技術を適用したビデオプロセッサとして実施することができる。また、例えば、上述したように点線1341により示されるプロセッサやビデオモジュール1311等を、本技術を適用したプロセッサやモジュール等として実施することができる。さらに、例えば、ビデオモジュール1311、外部メモリ1312、パワーマネージメントモジュール1313、およびフロントエンドモジュール1314を組み合わせ、本技術を適用したビデオユニット1361として実施することもできる。いずれの構成の場合であっても、図1乃至図17を参照して上述した効果と同様の効果を得ることができる。
つまり、ビデオプロセッサ1332を含むものであればどのような構成であっても、ビデオセット1300の場合と同様に、画像データを処理する各種装置に組み込むことができる。例えば、ビデオプロセッサ1332、点線1341により示されるプロセッサ、ビデオモジュール1311、または、ビデオユニット1361を、テレビジョン装置900(図25)、携帯電話機920(図26)、記録再生装置940(図27)、撮像装置960(図28)等に組み込むことができる。そして、本技術を適用したいずれかの構成を組み込むことにより、その装置は、ビデオセット1300の場合と同様に、図1乃至図17を参照して上述した効果と同様の効果を得ることができる。
また、本明細書では、各種情報が、符号化ストリームに多重化されて、符号化側から復号側へ伝送される例について説明した。しかしながら、これら情報を伝送する手法はかかる例に限定されない。例えば、これら情報は、符号化ビットストリームに多重化されることなく、符号化ビットストリームと関連付けられた別個のデータとして伝送され又は記録されてもよい。ここで、「関連付ける」という用語は、ビットストリームに含まれる画像(スライス若しくはブロックなど、画像の一部であってもよい)と当該画像に対応する情報とを復号時にリンクさせ得るようにすることを意味する。即ち、情報は、画像(又はビットストリーム)とは別の伝送路上で伝送されてもよい。また、情報は、画像(又はビットストリーム)とは別の記録媒体(又は同一の記録媒体の別の記録エリア)に記録されてもよい。さらに、情報と画像(又はビットストリーム)とは、例えば、複数フレーム、1フレーム、又はフレーム内の一部分などの任意の単位で互いに関連付けられてよい。
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1) カレントフレームの画像の符号化において参照画像として用いられる符号化済みのフレームの画像が非可逆符号化された符号化データを復号し、得られた復号画像の丸めを、前記画像の時間方向に値を切り替える丸め値で行う復号部
を備える画像処理装置。
(2) 前記復号部は、前記丸め値をランダムなタイミングで切り替える
(1)に記載の画像処理装置。
(3) 前記復号部は、前記丸め値を前記画像のフレーム毎に切り替える
(1)または(2)に記載の画像処理装置。
(4) 前記復号部は、前記画像の符号化データのヘッダ情報に含まれるPOC(Picture Order Count)に基づいて前記丸め値の切り替えを行う
(3)に記載の画像処理装置。
(5) 前記復号部は、Pピクチャにおいて前記丸め値を切り替える
(1)乃至(4)のいずれかに記載の画像処理装置。
(6) 前記復号部は、IピクチャおよびBピクチャの丸めを、前記Pピクチャの丸めに使用される複数の丸め値の内、特性のより良い丸め値を用いて行う
(5)に記載の画像処理装置。
(7) 前記復号部は、前記画像の符号化データのヘッダ情報に含まれるPOC(Picture Order Count)とピクチャタイプを示す情報に基づいて前記丸め値の切り替えを行う
(5)または(6)に記載の画像処理装置。
(8) 前記復号部は、前記丸め値を切り替える対象とするピクチャの、前記符号化済みのフレームの画像に対する非可逆符号化による誤差に対する補償として前記画像の符号化において直交変換係数が発生するブロックにおいて、前記丸め値を切り替える
(1)乃至(7)のいずれかに記載の画像処理装置。
(9) 前記復号部は、Pピクチャの前記ブロックにおいて、前記丸め値を切り替える
(8)に記載の画像処理装置。
(10) 前記復号部は、IピクチャおよびBピクチャの丸め、並びに、前記Pピクチャの前記ブロック以外のブロックの丸めを、前記Pピクチャの前記ブロックの丸めに使用される複数の丸め値の内、特性のより良い丸め値を用いて行う
(9)に記載の画像処理装置。
(11) 前記復号部は、前記画像の符号化データのヘッダ情報に含まれるPOC(Picture Order Count)およびピクチャタイプを示す情報、並びに、前記直交変換係数の発生量に関する情報に基づいて前記丸め値の切り替えを行う
(8)乃至(10)のいずれかに記載の画像処理装置。
(12) 前記復号部は、前記復号画像の各画素値の下位ビットに対して丸めを行う
(1)乃至(11)のいずれかに記載の画像処理装置。
(13) 前記復号部は、前記丸め値として前記画像の時間方向に値を更新する乱数を用いる
(1)乃至(12)のいずれかに記載の画像処理装置。
(14) 前記復号部は、前記丸め値として、前記画像の時間方向に2つの5ビット値「10000」および「01111」を交互に用いる
(1)乃至(13)のいずれかに記載の画像処理装置。
(15) 前記復号部は、前記丸め値として、前記画像の時間方向に3つの4ビット値「1001」、「1000」、および「0111」を順に用いる
(1)乃至(13)のいずれかに記載の画像処理装置。
(16) 前記復号部は、前記符号化済みのフレームの画像に対する非可逆符号化による誤差に対する補償として前記画像の符号化において発生する直交変換係数が低減するように、前記丸め値を前記画像の時間方向に切り替える
(1)乃至(15)のいずれかに記載の画像処理装置。
(17) 前記符号化データを記憶する記憶部をさらに備え、
前記復号部は、前記記憶部から読み出された前記符号化データを復号し、得られた復号画像の丸めを行う
(1)乃至(16)のいずれかに記載の画像処理装置。
(18) 前記参照画像として用いられる符号化済みのフレームの画像を非可逆符号化する符号化部をさらに備え、
前記記憶部は、前記符号化部が非可逆符号化して生成した前記符号化データを記憶する
(17)に記載の画像処理装置。
(19) 前記カレントフレームの画像と前記復号部が復号して得られた前記参照画像との差分画像を直交変換し、前記符号化済みのフレームの画像に対する非可逆符号化による誤差に対する補償としての直交変換係数を発生させる直交変換部をさらに備える
(1)乃至(18)のいずれかに記載の画像処理装置。
(20) カレントフレームの画像の符号化において参照画像として用いられる符号化済みのフレームの画像が非可逆符号化された符号化データを復号し、得られた復号画像の丸めを、前記画像の時間方向に値を切り替える丸め値で行う
画像処理方法。