以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
<画像形成システムの機械的構成>
画像形成システム1には、図1に示されるように、プリンタなどの画像形成装置11が含まれる。
画像形成装置11は、シートに画像を形成する画像形成部12と、画像形成前のシート(用紙)を支持する供給トレイ13と、画像形成済みのシートを支持する排出トレイ14とを備えている。画像形成部12による画像形成の方式は、電子写真方式であってもよいし、インクジェット方式であってもよい。供給トレイ13は、画像形成装置11の底部に設けられている。排出トレイ14は、画像形成装置11の上面に形成されている。そして、供給トレイ13と排出トレイ14との間には、画像形成部12を経由する略逆S字状の本体搬送路15が設けられている。本体搬送路15の下端の近傍には、供給トレイ13に支持されているシートを1枚ずつ本体搬送路15に送り込むための供給ローラ16が設けられている。
また、画像形成装置11には、画像形成部12と供給トレイ13との間で本体搬送路15から分岐する分岐供給路17と、画像形成部12と排出トレイ14との間で本体搬送路15から分岐する分岐排出路18と、分岐排出路18に進出する進出位置と分岐排出路18から退避した退避位置とに揺動可能なフラッパ19とが設けられている。
画像形成システム1では、画像形成装置11の下方に、n個(n:自然数)のロアトレイLT(接続装置及び増設供給トレイの一例)が装着されている。
ロアトレイLTは、画像形成装置11のオプション機器である。画像形成装置11には、所定の上限個数(たとえば、4個)以下のロアトレイLTをユーザの任意で装着することができる。2個以上のロアトレイLTが画像形成装置11に装着される場合、2個以上のロアトレイLTは、上下に重ねて配置される。
各ロアトレイLTには、画像形成前のシートが支持される。各ロアトレイLTには、接続路21と、接続路21に分岐接続された増設供給路22と、シートを1枚ずつ増設供給路22に送り込むための供給ローラ23とが設けられている。各ロアトレイLTの接続路21は、互いに接続され、最上段のロアトレイLTの接続路21は、画像形成部12と供給トレイ13との間で本体搬送路15から分岐する分岐供給路17に接続されている。
また、画像形成システム1では、画像形成装置11の上方に、n個(n:自然数)のメールボックスMB(接続装置及び増設排出トレイの一例)が装着されている。
メールボックスMBは、画像形成装置11のオプション機器である。画像形成装置11には、所定の上限個数(たとえば、4個)以下のメールボックスMBをユーザの任意で装着することができる。2個以上のメールボックスMBが画像形成装置11に装着される場合、2個以上のメールボックスMBは、上下に重ねて配置される。
各メールボックスMBには、排出トレイ31と、接続路32と、接続路32から排出トレイ31に至る増設排出路33とが設けられている。各メールボックスMBの接続路32は、互いに接続され、最下段のメールボックスMBの接続路21は、画像形成部12と排出トレイ14との間で本体搬送路15から分岐する分岐排出路18に接続されている。また、各メールボックスMBには、接続路32に進出する進出位置と接続路32から退避した退避位置とに揺動可能なフラッパ34が設けられている。
なお、図1には、3個のロアトレイLT及び3個のメールボックスMBが画像形成装置11に装着された構成が一例として示されている。以下の説明は、図1に示される構成に基づく。上段、中段及び下段の3段に配置されたロアトレイLTを区別する必要がある場合、上段のロアトレイLTを「第1ロアトレイLT1」とし、中段のロアトレイLTを「第2ロアトレイLT2」とし、下段のロアトレイLTを「第3ロアトレイLT3」として区別する。また、上段、中段及び下段の3段に配置されたメールボックスMBを区別する必要がある場合、下段のメールボックスMBを「第1メールボックスMB1」とし、中段のメールボックスMBを「第2メールボックスMB2」とし、上段のメールボックスMBを「第3メールボックスMB3」として区別する。
画像形成に係るジョブの実行時には、供給ローラ16,24の1つが選択的に駆動されて、供給トレイ13から1枚のシートが本体搬送路15に送り出されるか、又は、ロアトレイLTのいずれかから1枚のシートが増設供給路22、接続路21及び分岐供給路17を順に経由して本体搬送路15に送り出される。本体搬送路15に送り出されたシートは、本体搬送路15を画像形成部12に向けて搬送される。そして、そのシートが画像形成部12を通過する間に、画像形成部12によって、ジョブに係る画像がシートに形成される。画像形成済みのシートは、本体搬送路15をさらに搬送されて、画像形成装置11の排出トレイ14に排出されるか、又は、分岐排出路18、接続路32及び増設排出路33を順に経由して、メールボックスMBの排出トレイ31のいずれかに排出される。
画像形成装置11のフラッパ19が進出位置に位置する状態では、本体搬送路15を搬送されるシートが画像形成装置11の排出トレイ14に排出される。画像形成装置11のフラッパ19が退避位置に位置し、第1メールボックスMB1のフラッパ34が進出位置に位置する状態では、本体搬送路15を搬送されるシートが分岐排出路18、接続路32及び第1メールボックスMB1の増設排出路33を順に経由して第1メールボックスMB1の排出トレイ31に排出される。画像形成装置11のフラッパ19及び第1メールボックスMB1のフラッパ34がそれぞれ退避位置に位置し、第2メールボックスMB2のフラッパ34が進出位置に位置する状態では、本体搬送路15を搬送されるシートが分岐排出路18、接続路32及び第2メールボックスMB2の増設排出路33を順に経由して第2メールボックスMB2の排出トレイ31に排出される。画像形成装置11のフラッパ19並びに第1メールボックスMB1及び第2メールボックスMB2のフラッパ34がそれぞれ退避位置に位置し、第3メールボックスMB3のフラッパ34が進出位置に位置する状態では、本体搬送路15を搬送されるシートが分岐排出路18、接続路32及び第3メールボックスMB3の増設排出路33を順に経由して第3メールボックスMB3の排出トレイ31に排出される。排出トレイ14,31に複数のシートが排出される場合、その複数のシートは、排出トレイ14,31に積み重なった状態で支持される。
<画像形成システムの電気的構成>
画像形成装置11は、図2に示されるように、メインCPU41(第1制御部及びメイン制御部の一例)、サブCPU42(第1制御部及びサブ制御部の一例)、ROM43及びRAM44を備えている。メインCPU41は、画像形成装置11の動作を統括的に制御する。サブCPU42は、主として、画像形成装置11とロアトレイLT及びメールボックスMBとの間における通信を制御する。ROM43及びRAM44は、メインCPU41に接続されている。ROM43には、メインCPU41により実行されるプログラムが格納されている。RAM44は、ROM43に記憶されているプログラムの実行時のワークエリアとして使用される。
メインCPU41には、画像形成部12、シート供給部45及びシート排出部46などが制御対象として接続されている。シート供給部45は、供給トレイ13から本体搬送路15にシートを供給するための機構であり、供給ローラ16に対する駆動力の伝達/遮断を切り替える電磁クラッチなどを含む。シート排出部46は、シートを排出トレイ14に排出するための機構であり、フラッパ19の駆動源(たとえば、ソレノイド)などを含む。
また、メインCPU41には、ネットワークインタフェース(I/F)47(入力部の一例)が接続されている。ネットワークインタフェース47は、LAN(Local Area Network)2を経由したネットワーク通信のためのインタフェースである。LAN2は、有線LAN又は無線LANで構成されていてもよいし、有線LAN及び無線LANの両方で構成されていてもよい。LAN2には、PC(Personal Computer)などの外部装置3が接続されている。画像形成装置11と外部装置3との間では、ルータ(図示せず)の機能により、LAN2を経由した双方向通信が可能である。
さらに、メインCPU41には、シート供給センサ48及びシート排出センサ49(入力部の一例)が接続されている。シート供給センサ48及びシート排出センサ49は、本体搬送路15を搬送されるシートの通過を検出するセンサである。具体的には、シート供給センサ48は、図1に示されるように、本体搬送路15における分岐供給路17の分岐点よりもシート搬送方向の上流側の位置を検出位置とし、たとえば、その検出位置をシートが通過している間、検出信号としてオン信号を出力する。シート排出センサ49は、本体搬送路15における画像形成部12と分岐排出路18の分岐点との間の位置を検出位置とし、たとえば、その検出位置をシートが通過している間、検出信号としてオン信号を出力する。
ロアトレイLTは、図2に示されるように、CPU及びメモリを含む構成のマイコン(マイクロコントローラ)51(第2制御部の一例)を備えている。以下、ロアトレイLTに備えられているマイコン51を「LTマイコン51」という。
LTマイコン51には、供給ローラ23に対する駆動力の伝達/遮断を切り替える電磁クラッチ52が接続されている。電磁クラッチ52がオンされている状態では、供給ローラ23に駆動力が伝達され、供給ローラ23が回転駆動される。電磁クラッチ52がオフされている状態では、供給ローラ23への駆動力の伝達が遮断される。
また、LTマイコン51には、ロアトレイLTに設けられている各種のセンサが接続されている。センサには、増設供給路22におけるシートの通過を検出するシート検出センサ53と、ロアトレイLTが閉位置に位置していること(画像形成装置11に対して閉じられていること)を検出する開閉センサ54とが含まれる。シート検出センサ53は、たとえば、シートが検出位置を通過している間、検出信号としてオン信号を出力する。また、ロアトレイLTは、画像形成装置11から手前に引き出される開位置と画像形成装置11の下方に収納される閉位置とに開閉可能に設けられている。開閉センサ54は、たとえば、ロアトレイLTが閉位置に位置しているときにオン信号を出力し、ロアトレイLTが開位置に位置しているときにオフ信号を出力する。
LTマイコン51は、すべてのロアトレイLT及びメールボックスMBに共通の上り通信線4及び下り通信線5を介して、画像形成装置11のサブCPU42と通信可能に接続されている。LTマイコン51からサブCPU42への送信には、上り通信線4が使用される。サブCPU42からLTマイコン51への送信には、下り通信線5が使用される。
LTマイコン51は、画像形成装置11のサブCPU42との間における通信を制御する。また、LTマイコン51は、サブCPU42からの受信信号及びセンサ53,54の検出信号に基づいて、電磁クラッチ52のオン/オフの制御など、ロアトレイLTの各部の動作を制御する。
メールボックスMBは、CPU及びメモリを含む構成のマイコン(マイクロコントローラ)61(第2制御部の一例)を備えている。以下、メールボックスMBに備えられているマイコン61を「MBマイコン61」という。
MBマイコン61には、フラッパ34の駆動源(たとえば、ソレノイド)が接続されている。
また、MBマイコン61には、メールボックスMBに設けられている各種のセンサが接続されている。センサには、接続路32におけるシートの通過を検出するシート検出センサ62と、メールボックスMBに支持された最上のシートが所定の満載位置に達したか否かを検知する満載センサ63とが含まれる。シート検出センサ62は、図1に示されるように、接続路32における増設排出路33の分岐点よりもシート搬送方向の上流側の位置を検出位置とし、たとえば、その検出位置をシートが通過している間、検出信号としてオン信号を出力する。満載センサ63は、たとえば、最上のシートが満載位置に達していない非満載状態で、ローレベルの信号を非満載信号として出力し、最上のシートが満載位置に達した満載状態で、ハイレベルの信号を満載信号として出力する。
MBマイコン61は、上り通信線4及び下り通信線5を介して、画像形成装置11のサブCPU42と通信可能に接続されている。MBマイコン61からサブCPU42への送信には、上り通信線4が使用される。サブCPU42からMBマイコン61への送信には、下り通信線5が使用される。
MBマイコン61は、画像形成装置11のサブCPU42との間における通信を制御する。また、MBマイコン61は、サブCPU42からの受信信号及びセンサ62,63の検出信号に基づいて、フラッパ34の動作など、メールボックスMBの各部の動作を制御する。
画像形成に係るジョブは、外部装置3からLAN2経由で画像形成装置11に送信される。具体的には、ユーザにより外部装置3が操作されて、画像形成対象のファイルが選択され、また、画像形成条件(画像形成に使用するシートサイズ、シートの供給元、シートの排出先など)が指定される。その後、ユーザにより外部装置3が操作されて、画像形成の実行が指示されると、ユーザにより選択されたファイル及び指定された画像形成条件を含むジョブが外部装置3から画像形成装置11に送信される。ジョブを受信した画像形成装置11では、そのジョブがRAM44に記憶される。そして、最先に記憶されたジョブがRAM44から読み出されて、その読み出されたジョブが実行されることにより、ユーザにより選択されたファイルに係る画像がユーザにより指定された画像形成条件でシートに形成される。
ジョブを実行するため、画像形成装置11のメインCPU41は、ジョブに含まれる画像形成条件に基づいて、供給トレイ13がシートの供給元である場合、供給トレイ13から本体搬送路15にシートが1枚ずつ供給されるよう、シート供給部45を制御する。また、ロアトレイLTがシートの供給元である場合、メインCPU41は、サブCPU42とLTマイコン51との通信により、シートの供給元となるロアトレイLTのLTマイコン51にシート供給の指令を送信する。シート供給の指令を受けたLTマイコン51は、増設供給路22、接続路21及び分岐供給路17を順に経由して本体搬送路15にシートが1枚ずつ供給されるよう、電磁クラッチ52のオン/オフを制御する。
また、画像形成装置11のメインCPU41は、ジョブに含まれる画像形成条件に基づいて、画像形成済みのシートの排出先が排出トレイ14である場合、シートが排出トレイ14に排出されるよう、シート排出部46を制御して、フラッパ19の位置を分岐排出路18に進出する進出位置に位置させる。また、画像形成済みのシートの排出先がメールボックスMBである場合、メインCPU41は、シート排出部46を制御して、フラッパ19の位置を分岐排出路18から退避した退避位置に位置させ、サブCPU42とMBマイコン61との通信により、MBマイコン61にフラッパ34の切り替えの指令を送信する。フラッパ34の切り替えの指令を受けたMBマイコン61は、その指令に従って、フラッパ34の位置を制御する。各メールボックスMBのフラッパ34の位置が制御されることにより、画像形成済みのシートが画像形成条件で指定されているメールボックスMBに排出される。
画像形成装置11のメインCPU41は、サブCPU42とLTマイコン51及びMBマイコン61との通信により、指令などの情報の送信以外に、ロアトレイLTのセンサ53,54及びメールボックスMBのセンサ62,63の検出信号の出力状態などの情報を受信する。
<LT通信順序決定処理>
画像形成装置11のサブCPU42と各LTマイコン51とは、すべてのロアトレイLTに共通の上り通信線4及び下り通信線5を介して通信可能に接続されている。そのため、画像形成装置11のサブCPU42と各LTマイコン51との間での通信(以下、「LT通信」という。)は、並列して行うことができず、1個のロアトレイLTを順に対象として直列的に行う必要がある。そこで、画像形成装置11のメインCPU41は、図3に示されるLT通信順序決定処理を所定の周期で実行し、LT通信の順序を決定する。
LT通信順序決定処理では、メインCPU41は、画像形成に係るジョブの実行中であるか否かを判定する(S11)。ジョブがRAM44から読み出されることにより、ジョブの実行が開始となり、ジョブに含まれるファイルに係るすべての画像がシートに形成されて、その画像形成済みのシートが画像形成装置11の排出トレイ14又はメールボックスMBの排出トレイ31に排出されると、ジョブの実行が完了となる。
ジョブの実行中である場合(S11:YES)、メインCPU41は、そのジョブに含まれる画像形成条件にて、ロアトレイLTのいずれかがシートの供給元に設定されているかを判断する(S12)。
ロアトレイLTのいずれかがシートの供給元に設定されている場合(S12:YES)、メインCPU41は、シートの供給元に設定されているロアトレイLTを第1通信対象に決定する(S13)。
その後、メインCPU41は、第1通信対象のロアトレイLT以外のロアトレイTLについて、画像形成装置11に近い順に、第2通信対象、第3通信対象、・・・、第n通信対象に決定し(S14)、LT通信順序決定処理を終了する。
一方、ジョブの実行中ではない場合(S11:NO)、メインCPU41は、サブCPU42がLTマイコン51から受信した情報に基づいて、前回のLT通信順序決定処理の終了後にいずれかのロアトレイLTが開位置から閉位置に変位されたか否かが判断される(S15)。
開位置から閉位置に変位されたロアトレイLTがある場合(S15:YES)、メインCPU41は、その開位置から閉位置に変位されたロアトレイLTを第1通信対象に決定する(S13)。
その後、メインCPU41は、第1通信対象のロアトレイLT以外のロアトレイTLについて、画像形成装置11に近い順に、第2通信対象、第3通信対象、・・・に決定し(S14)、LT通信順序決定処理を終了する。
前回のLT通信順序決定処理の終了後に開位置から閉位置に変位されたロアトレイLTがない場合(S15:NO)、メインCPU41は、画像形成装置11に最も近い位置のロアトレイLT、つまり第1ロアトレイLT1を第1通信対象に決定する(S17)。また、ジョブの実行中であるが(S11:YES)、ロアトレイLTがシートの供給元に設定されていない場合、つまり画像形成装置11の供給トレイ13がシートの供給元に設定されている場合(S12:NO)、メインCPU41は、画像形成装置11に最も近い位置の第1ロアトレイLT1を第1通信対象に決定する(S17)。
その後、メインCPU41は、第1通信対象のロアトレイLT以外のロアトレイTLについて、画像形成装置11に近い順に、第2通信対象、第3通信対象、・・・に決定し(S14)、LT通信順序決定処理を終了する。
<MB通信順序決定処理>
画像形成装置11のサブCPU42と各MBマイコン61とは、すべてのメールボックスMBに共通の上り通信線4及び下り通信線5を介して通信可能に接続されている。そのため、画像形成装置11のサブCPU42と各MBマイコン61との間での通信(以下、「MB通信」という。)は、並列して行うことができず、1個のメールボックスMBを順に対象として直列的に行う必要がある。そこで、画像形成装置11のメインCPU41は、図4に示されるMB通信順序決定処理を所定の周期で実行し、MB通信の順序を決定する。
MB通信順序決定処理では、メインCPU41は、画像形成に係るジョブの実行中であるか否かを判定する(S21)。
ジョブの実行中である場合(S21:YES)、メインCPU41は、シート排出センサ49の検出信号の状態がオンであるか否かを判断する(S22)。
シート排出センサ49の検出信号の状態がオンである場合(S22:YES)、つまりシート排出センサ49の検出位置をシートが通過している場合、メインCPU41は、MB通信をLT通信よりも優先させる決定をする(S23)。MB通信順序決定処理が繰り返し実行されて、ステップS23の決定がなされている間は、MB通信がLT通信よりも先に行われ、それ以外のときには、LT通信がMB通信よりも先に行われる。
その後、メインCPU41は、ジョブに含まれる画像形成条件にて、メールボックスMBのいずれかがシートの排出先に設定されているかを判断する(S24)。
メールボックスMBのいずれかがシートの排出先に設定されている場合(S24:YES)、メインCPU41は、シートの排出先に設定されているメールボックスMBを第1通信対象に決定する(S25)。
その後、メインCPU41は、第1通信対象のメールボックスMB以外のメールボックスMBについて、画像形成装置11に近い順に、第2通信対象、第3通信対象、・・・に決定し(S26)、MB通信順序決定処理を終了する。
一方、ジョブの実行中ではない場合(S21:NO)、メインCPU41は、画像形成装置11に最も近い位置のメールボックスMB、つまり第1メールボックスMB1を第1通信対象に決定する(S27)。また、ジョブの実行中であるが(S21:YES)、メールボックスMBがシートの排出先に設定されていない場合、つまり画像形成装置11の供給トレイ13がシートの排出先に設定されている場合(S24:NO)、メインCPU41は、画像形成装置11に最も近い位置の第1メールボックスMB1を第1通信対象に決定する(S27)。
その後、メインCPU41は、第1通信対象のメールボックスMB以外のメールボックスMBについて、画像形成装置11に近い順に、第2通信対象、第3通信対象、・・・に決定し(S26)、MB通信順序決定処理を終了する。
<通信手順>
画像形成装置11(本体)のメインCPU41は、図5に示されるように、第1タイマ処理周期ごとに、送信制御、受信制御及び本体制御を実行する。
送信制御は、LTマイコン51及びMBマイコン61のそれぞれに対して情報を送信するための制御である。図3に示されるLT通信順序決定処理及びMB通信順序決定処理は、たとえば、送信制御のプログラムに組み込まれている。送信制御の実行により、メインCPU41からサブCPU42に対して、LT通信の順序、MB通信の順序、LT通信により送信される情報及びMB通信により送信される情報などを乗せた送信指令信号が送られる。
サブCPU42は、第1タイマ処理周期よりも短い第2タイマ処理周期で動作する。第2タイマ処理周期は、たとえば、サブCPU42から1つのLTマイコン51への送信、1つのLTマイコン51からサブCPU42への受信、サブCPU42から1つのMBマイコン61への送信、及び1つのMBマイコン61からサブCPU42への受信をそれぞれ1周期内で完了させることが可能な時間に設定されている。
メインCPU41からサブCPU42に送信指令信号が入力されると、サブCPU42は、その後に到来する処理開始タイミングでLT通信を開始する。サブCPU42は、LT通信の開始から第2タイマ処理周期の1周期内に、第1通信対象のロアトレイLTのLTマイコン51に情報を送信する。次の第2タイマ処理周期の1周期内では、サブCPU42は、第1通信対象のロアトレイLTのLTマイコン51から情報を受信する。サブCPU42は、さらに次の第2タイマ処理周期の1周期内で、第2通信対象のロアトレイLTのLTマイコン51から情報を受信し、その次の第2タイマ処理周期の1周期内で、第2通信対象のロアトレイLTのLTマイコン51から情報を受信する。その後、サブCPU42は、次の第2タイマ処理周期の1周期内で、第3通信対象のロアトレイLTのLTマイコン51から情報を受信し、その次の第2タイマ処理周期の1周期内で、第3通信対象のロアトレイLTのLTマイコン51から情報を受信する。
LT通信の終了に続いて、サブCPU42は、MB通信を開始する。MB通信の手順は、LT通信の手順と同様である。すなわち、サブCPU42は、MB通信の開始から第2タイマ処理周期の1周期内に、第1通信対象のメールボックスMBのMBマイコン61に情報を送信し、次の第2タイマ処理周期の1周期内に、第1通信対象のメールボックスMBのMBマイコン61から情報を受信する。以下同様に、第2通信対象のメールボックスMBのMBマイコン61との通信、第3通信対象のメールボックスMBのMBマイコン61との通信を順次に行う。
なお、図5には、LT通信における第1通信対象が第3ロアトレイLT3であり、第2通信対象が第1ロアトレイLT1であり、第3通信対象が第2ロアトレイLT2である場合の手順が示されている。また、図面の煩雑化を避けるため、LT通信の手順を取り上げて図示し、MB通信の手順についての図示が省略されている。
受信制御は、LT通信及びMB通信によりサブCPU42がLTマイコン51及びMBマイコン61のそれぞれから受信した情報をサブCPU42からメインCPU41に取り込むための制御である。サブCPU42が受信した情報は、RAM44に保存される。メインCPU41が受信制御を実行することにより、RAM44に保存されている情報がメインCPU41に取り込まれる。
メイン制御は、画像形成装置11の各部の動作の制御である。メイン制御には、LT通信及びMB通信によりサブCPU42がLTマイコン51及びMBマイコン61のそれぞれから受信した情報が用いられる。
第1タイマ処理周期ごとの処理開始タイミングが到来すると、メインCPU41は、受信制御、本体制御及び送信制御をこの順に実行する。送信制御が終了する時期及び/又は画像形成装置11に装着されているロアトレイLTの個数によっては、第1タイマ処理周期内にサブCPU42とすべてのLTマイコン51との通信が完了せず、その通信の途中で、メインCPU41による処理の次の開始タイミングが到来する場合がある。この場合、次の開始タイミングが到来した時点でLTマイコン51からの受信が完了していない情報については、次の開始タイミングの到来に応答して実行される受信制御の対象外となり、その受信制御に続いて実行される本体制御に使用することができない。一方、メインCPU41による処理の次の開始タイミングが到来するまでに、少なくともサブCPU42と第1通信対象のロアトレイLTのLTマイコン51との通信は完了しているので、第1通信対象のロアトレイLTのLTマイコン51から受信した情報については、次の開始タイミングの到来に応答して実行される受信制御の対象となり、その受信制御に続いて実行される本体制御に使用することができる。
図5に示される例では、メインCPU41による処理の次の開始タイミングが到来した時点で、サブCPU42と第1通信対象の第3ロアトレイLT3のLTマイコン51との通信及びサブCPU42と第2通信対象の第1ロアトレイLT1のLTマイコン51との通信は完了しており、第3通信対象の第2ロアトレイLT2のLTマイコン51との通信が完了していない。そのため、サブCPU42が第3ロアトレイLT3のLTマイコン51から受信した情報及び第2ロアトレイLT2のLTマイコン51から受信した情報については、次の開始タイミングの到来に応答して実行される受信制御の対象となり、その受信制御に続いて実行される本体制御に使用される。一方、サブCPU42が第2ロアトレイLT2のLTマイコン51から受信した情報については、次の開始タイミングの到来に応答して実行される受信制御の対象外となり、その受信制御に続いて実行される本体制御に使用されない。
<作用効果>
以上のように、LT通信の際には、画像形成装置11のメインCPU41により、たとえば、ジョブの実行中である場合、ネットワークインタフェース47に入力されるジョブに含まれる画像形成条件に基づいて、シートの供給元に設定されているロアトレイLT(図5に示される例では、第3ロアトレイLT3)が第1通信対象に決定される。そして、サブCPU42と各LTマイコン51との通信では、第1通信対象のロアトレイLTのLTマイコン51からの送信が最先に行われ、その後に第1通信対象のロアトレイLT以外のロアトレイLTのLTマイコン51からの送信が行われる。これにより、サブCPU42が第1通信対象のロアトレイLTのLTマイコン51から必要な情報を迅速に受信することができる。その結果、第1通信対象のロアトレイLTのLTマイコン51から受信する情報を使用した本体制御、たとえば、第1通信対象のロアトレイLTの増設供給路22にシートが送り出されたという情報を使用した本体制御の応答性を向上することができ、画像形成装置11の動作を良好に制御することができる。
第1通信対象のロアトレイLTよりも画像形成装置11に近い位置に他のロアトレイLTがある場合、ジョブの実行中に、そのロアトレイLTが開位置に変位されると、第1通信対象のロアトレイLT、つまりシートの供給元に設定されているロアトレイLTから送り出されたシートが画像形成装置11に供給不能となる。場合によっては、開位置に変位されたロアトレイLTの位置でシートのジャムが発生するおそれがある。第1通信対象のロアトレイLT以外のロアトレイTLについては、画像形成装置11に近い順に、第2通信対象、第3通信対象、・・・、第n通信対象に決定される。これにより、第1通信対象のロアトレイLTよりも画像形成装置11に近い位置のロアトレイLTが開位置に変位された場合に、サブCPU42が画像形成装置11に近い位置のロアトレイLTのLTマイコン51から開位置に変位されたという情報を迅速に受信することができる。その結果、メインCPU41による制御において、ロアトレイLTが開位置に変位されたことに対する迅速な対応が可能となる。
また、ジョブの実行中でないときに、いずれかのロアトレイLTが開位置から閉位置に変位された場合、ロアトレイLTにシートが補充されるなどの作業が行われた可能性があり、その後に実行されるジョブでは、その変位されたロアトレイLTがシートの供給元に設定される可能性がある。ジョブの非実行中に開位置から閉位置に変位されたロアトレイLTが第1通信対象に決定されることにより、その後に実行されるジョブで第1通信対象のロアトレイLTがシートの供給元に設定された場合に、サブCPU42が第1通信対象のロアトレイLTのLTマイコン51から必要な情報を迅速に受信することができる。その結果、第1通信対象のロアトレイLTの増設供給路22にシートが送り出されたという情報を使用した本体制御の応答性を向上することができる。
MB通信の際には、画像形成装置11のメインCPU41により、たとえば、ジョブの実行中である場合、ネットワークインタフェース47に入力されるジョブに含まれる画像形成条件に基づいて、シートの排出先に設定されているメールボックスMBが第1通信対象に決定される。そして、サブCPU42と各MBマイコン61との通信では、第1通信対象のメールボックスMBのMBマイコン61からの送信が最先に行われ、その後に第1通信対象のメールボックスMB以外のメールボックスMBのMBマイコン61からの送信が行われる。これにより、サブCPU42が第1通信対象のメールボックスMBのMBマイコン61に必要な情報を迅速に送信することができる。その結果、第1通信対象のメールボックスMBのMBマイコン61がサブCPU42から受信する情報を使用したメールボックスMBの動作制御、たとえば、画像形成装置11の本体搬送路15における画像形成部12と分岐排出路18の分岐点との間の位置をシートが通過したという情報を使用した制御の応答性を向上することができ、第1通信対象のメールボックスMBの動作を良好に制御することができる。
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の実施形態では、図5に示されるように、メインCPU41からサブCPU42への送信指令信号の入力に応答して、サブCPU42と各LTマイコン51との間での情報の送信及び受信が連続して行われるとした。しかしながら、図6に示されるように、メインCPU41からサブCPU42への送信指令信号の入力に応答して、サブCPU42と第1通信対象のロアトレイLTのLTマイコン51との間での情報の送信及び受信が行われ、第1タイマ処理周期ごとの処理開始タイミングが次に到来した後に、サブCPU42と第2通信対象のロアトレイLTのLTマイコン51との間での情報の送信及び受信と、サブCPU42と第3通信対象のロアトレイLTのLTマイコン51との間での情報の送信及び受信とが行われてもよい。
これにより、第1タイマ処理周期を少なくともサブCPU42と第1通信対象のロアトレイLTのLTマイコン51との間での情報の送信及び受信が完了するのに必要かつ十分な時間に短縮することができ、本体制御の精度を向上させることができる。
サブCPU42と第1通信対象のロアトレイLTのLTマイコン51との間での情報の送信及び受信については、第1タイマ処理周期ごとに行われることが好ましい。一方、サブCPU42と第2通信対象のロアトレイLTのLTマイコン51との間での情報の送信及び受信と、サブCPU42と第3通信対象のロアトレイLTのLTマイコン51との間での情報の送信及び受信とについては、第1タイマ処理周期よりも長い周期ごとに少なくとも1回行われてもよい。
また、前述の実施形態では、第1タイマ処理周期ごとの処理開始タイミングが到来すると、メインCPU41により、受信制御、本体制御及び送信制御がこの順に実行されるとした。しかしながら、受信制御、本体制御及び送信制御の実行順は、その順序に限らず、たとえば、送信制御、受信制御及び本体制御の順に実行されてもよい。
画像形成装置の一例として、プリンタを取り上げたが、画像形成装置は、プリンタ機能を有する装置であれば、たとえば、MFP(Multi-Function Peripheral)であってもよい。
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。