以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、図1〜図8を参照して、本発明の一実施形態によるごみクレーン運転装置3を備えるごみ焼却設備100について説明する。
[ごみ焼却設備の概略構成]
本発明の一実施形態によるごみ焼却設備100は、図1に示すように、ごみ収集車Qにより搬入されるごみを一時的に貯留するためのごみ受入設備1と、ごみ受入設備1に併設され、ごみを焼却するためのごみ焼却炉2と、クレーン4によりごみを掴むとともに、掴んだごみを投下または投入するためのごみクレーン運転装置3とを備えている。なお、本実施形態では、「ごみを投下する」とは、所定の高さから掴んだごみをピット11内に落下させることを意味し、「ごみを投入する」とは、掴んだごみをごみ焼却炉2(ホッパ12)に落下させることを意味する。また、ごみ焼却炉2は、X方向(図1において、紙面に対して直交する方向、図3参照)に並ぶように一対設けられている。
ごみ受入設備1は、ごみ収集車Qにより搬入されるごみを貯留するためのピット11と、ピット11に隣接されるとともにピット11内のごみをごみ焼却炉2に供給するためのホッパ12と、ピット11およびホッパ12を覆う建屋13とを含んでいる。なお、ホッパ12は、一対のごみ焼却炉2にそれぞれ対応するように、X方向に並ぶように一対設けられている。
ごみ焼却炉2には、ストーカ式の燃焼室21が設けられている。また、ごみ焼却炉2には、燃焼室21の前端側(Y1側)にホッパ12に接続されたごみ案内通路22が設けられているとともに、後端側(Y2側)に灰取出口23が設けられている。また、燃焼室21の上後方側(Z1側で、かつ、Y2側)には、煙道24が設けられている。煙道24には、煙道24を通る排気の熱を用いて給水を加熱蒸発させることによって、排気の熱エネルギーを回収するための蒸気タービン25が配置されている。
ごみクレーン運転装置3は、図2に示すように、クレーン4と、制御部5とを含んでいる。また、ごみ焼却設備100には、ごみ焼却炉2内を監視するカメラ(図示せず)の画像や、蒸気タービン25における蒸気量などに基づいて、ごみ焼却炉2にごみを投入するか否かを判断する焼却炉監視部6が設けられている。
クレーン4は、図1に示すように、ごみを撹拌する撹拌動作と、ごみをごみ焼却炉2に投入する投入動作とが可能なように構成されている。撹拌動作とは、ピット11内のごみを掴むとともに、掴んだごみをピット11内に投下することによって、ピット11内のごみを撹拌する動作である。これにより、ピット11内のごみのごみ質が均一化される。また、投入動作とは、焼却炉監視部6からのごみの投入指示に基づいて、ピット11内のごみを掴むとともに、掴んだごみをホッパ12を介してごみ焼却炉2の燃焼室21に投入する動作である。これにより、投入されたごみが焼却される。
クレーン4は、建屋13のピット11およびホッパ12の上方(Z1側)に設けられている。また、クレーン4は、建屋13の天井近傍に設けられ、X方向に移動可能に設けられたガーダ41と、ガーダ41の上に配置され、Y方向に移動可能に設けられた横行台車42とを有している。さらに、クレーン4は、ピット11内のごみをつかむためのバケット43と、バケット43と横行台車42とを接続するワイヤ44と、横行台車42に設けられ、ワイヤ44の長さを変化させることによりバケット43を高さ方向(Z方向)に昇降させる巻取機45とを有している。
図2に示すように、制御部5は、クレーン4の駆動を制御する機能を有している。制御部5は、ガーダ41および横行台車42の移動制御、巻取機45の巻取制御、および、バケット43の開閉制御からなるクレーン4の運転制御を行うクレーン運転制御部51と、バケット43の移動する座標(X−Y平面における座標)や、後述するごみの撹拌度αの算出などを行うクレーン位置決定部52とを含んでいる。また、クレーン位置決定部52は、ごみ体積演算部52a、撹拌度演算部52b、座標選択演算部52cおよび記憶部52dを有している。なお、クレーン位置決定部52の詳細に関しては、後述する。
また、ごみクレーン運転装置3は、ごみ高さ検出部3aと、ごみ重量検出部3bとをさらに含んでいる。ごみ高さ検出部3aは、クレーン4のバケット43がピット11内のごみの表面11b(Z1側の面)に接した際の、巻取機45におけるワイヤ44の巻き取り量を検出して、クレーン位置決定部52に送信するように構成されている。これにより、クレーン位置決定部52において、バケット43が接した位置におけるごみの表面11bの高さ(高さレベル)が取得される。ごみ重量検出部3bは、クレーン4のバケット43がごみを掴んだ際のごみの重量を検出して、クレーン位置決定部52に送信するように構成されている。
また、ごみ焼却設備100には、図1に示すように、操作者がごみ受入設備1を監視したりクレーン4を手動で操作したりするための操作室7が設けられている。操作室7には、クレーン4の移動軌跡や、ごみの撹拌度などを操作者に表示するためのディスプレイ7a(図2参照)が配置されている。このディスプレイ7aへの表示指示は、制御部5により行われるように構成されている。
(ピットの説明)
図3に示すように、ピット11は、X−Y平面に広がる直方体の箱状に形成されており、X−Y平面において複数のエリアPに仮想的に区画されている。具体的には、ピット11は、80(=5×16)個のエリアP(i,j)(i:A〜E、j:1〜16)に仮想的に区画されている。なお、i行がY方向に並び、j列がX方向に並ぶようにピット11は区画されている。ここで、各々のエリアPは、バケット43が一度に掴むことができる程度の面積aになるように区画されている。
また、各エリアPのごみは、体積が0.5×a(m3)の直方体状の均一な物体(ブロックR、図4〜図7参照)が積層したものであるとして仮想化した状態で把握されている。そして、クレーン位置決定部52により、エリアPのブロックR毎にごみの攪拌状態を示す撹拌度αが求められるように構成されている。なお、図4〜図7のブロックRに記載された数値は、ブロックRのごみの撹拌度αを意味している。また、図4〜図7では、便宜上、エリアPの一部のみを抜粋して図示している。
また、ピット11のY1側には、複数(5ケ所)の搬入扉11aと、ダンピングボックス11bとが設けられている。搬入扉11aは、ごみ収集車Q(図1参照)によりごみをピット11内に搬入するために設けられている。ダンピングボックス11bは、ごみ収集車Qのごみを一時的に貯留して、ピット11内に貯留したごみを搬入するために設けられている。また、ホッパ12は、ピット11のY2側に設けられている。
なお、ピット11では、エリアPは、搬入扉11aおよびダンピングボックス11b側のD行およびE行の搬入エリアP1と、ごみ焼却炉2側のA行およびB行の投入エリアP2と、ピット11のY方向の中央のC行の土手エリアP3とに区別されている。搬入エリアP1は、新たなごみが搬入されるエリアPである。投入エリアP2は、ごみ焼却炉2に投入されるごみが配置されるエリアPである。土手エリアP3は、ごみ収集車Qからピット11内に搬入されたごみが直接投入エリアP2に移動するのを規制するエリアである。
搬入エリアP1に搬入されたごみは、クレーン4によりごみ袋が破かれてある程度(たとえば、ごみの撹拌度αが後述する所定の閾値よりも1だけ小さくなる程度)まで撹拌されてから適宜投入エリアP2に移動(投下)される。土手エリアP3では、ごみが壁状に積み上げられている。
なお、ごみ収集車Qから新たにピット11内の搬入エリアP1に搬入されたごみの搬入時点および重量は、ごみ収集車Qが搬入用通路(図示せず)を通過する際に求められて、制御部5の記憶部52dに各々記憶される。
<クレーン位置決定部の説明>
(ごみ体積演算部の説明)
クレーン位置決定部52のごみ体積演算部52aは、ピット11内のエリアPにおけるごみの体積および高さを演算する機能を有している。
具体的には、クレーン4のバケット43に任意のエリアPのごみが掴まれた際に、ごみ重量検出部3bによりバケット43に掴まれたごみの重量Wgが検出される。そして、ごみ体積演算部52aにより、掴まれたごみの重量Wgをごみの密度d(推定値、定数)で除することによって、掴まれたごみの体積Vg(=Wg/d)が算出される。
これにより、図4の左側に示すように、ごみ体積演算部52aにより、ごみが掴まれた後の任意のエリアPにおけるごみの高さHaが算出される。具体的には、掴まれたごみの体積VgおよびエリアPの面積aからバケット43により掴まれたごみの高さHg(=Vg/a)が算出される。そして、ごみ高さ検出部3aによって検出されたごみが掴まれたエリアPにおける掴む前のごみの高さHbと、掴まれたごみの高さHgとから、ごみが掴まれたエリアPにおける掴まれた後のごみの高さHa(=Hb−Hg)が算出される。そして、ごみが掴まれたエリアPの掴む前のごみの高さHbが、算出した掴まれた後のごみの高さHaに書き換えられて記憶部52dに記憶される。
また、図4の右側に示すように、掴まれたごみが任意のエリアPに投下された際には、ごみ体積演算部52aにより、投下されたエリアPにおける投下後のごみの高さHaが算出される。具体的には、記憶部52dに記憶された、投下されたエリアPにおける投下前のごみの高さHbと、バケット43により掴まれたごみの高さHgとから、投下されたエリアPにおける投下後のごみの高さHa(=Hb+Hg)が算出される。そして、ごみが投下されたエリアPの投下前のごみの高さHbが、算出した投下後のごみの高さHaに書き換えられて記憶部52dに記憶される。
また、ごみ収集車Qから新たに搬入されたごみに関しても、ピット11内の搬入扉11aに対応するエリアPに搬入された際に、搬入前のごみの高さHbと、搬入されたごみの重量から算出されるごみの高さHgとから、ごみが搬入されたエリアPの搬入後のごみの高さHa(=Hb+Hg)が算出されて記憶部52dに記憶される。
なお、エリアPにおけるごみの高さ(高さレベル)は、図4、図6および図7に示すように、エリアPにおいて積み上げられたブロックRの数として記憶部52dに記憶されている。
(撹拌度演算部および撹拌度の説明)
クレーン位置決定部52の撹拌度演算部52bは、ブロックR毎のごみの撹拌度αを演算する機能を有している。
ここで、ごみの撹拌度αとは、ごみの撹拌度合いを示す指標であり、撹拌度合いが大きくなるにしたがって大きな数値になる変数である。このごみの撹拌度αは、図4〜図7に示すように、ブロックR毎に算出されて記憶部52dに記憶される。
具体的には、ごみ焼却設備100では、まず、ごみ収集車Qからピット11の所定のエリアPにごみが新たに搬入される。なお、撹拌度演算部52bは、新たに搬入されたごみは、撹拌度αが0であるとする。
そして、ごみ焼却設備100では、クレーン4のバケット43によりピット11内の任意のエリアPのごみが掴まれて、掴まれたごみがピット11内の任意のエリアPに投下されることにより撹拌動作が行われる。なお、投下されるエリアPは、ごみが掴まれたエリアPと同一のエリアPでもよいし、異なるエリアPでもよい。この撹拌動作の際に、撹拌度演算部52bは、投下されたごみのブロックRの撹拌度αを演算するように構成されている。具体的には、バケット43により掴まれたブロックRの数をn、バケット43により掴まれた任意のブロックRkの撹拌度をαk、ごみの体積をVk(=0.5×a(m3))(1≦k≦n)とすると、撹拌度演算部52bは、下記の式(1)に基づいて、投下されたごみのブロックRの撹拌度αを算出するように構成されている。
つまり、撹拌度演算部52bは、投下されたごみのブロックRの撹拌度αがバケット43に掴まれたブロックRの撹拌度αの平均に1を加算したものになるように演算を行う。
たとえば、図4に示すように、撹拌度αが、それぞれ2、2および2であるエリアP(A、6)の3つのごみのブロックR(太枠)をZ1側から掴んで、エリアP(A、6)に投下した場合には、投下された3つのブロックR(太枠)の撹拌度αは、共に、α=((2×0.5+2×0.5+2×0.5)/(0.5+0.5+0.5))+1=3になる。
そして、ごみが投下されたエリアPにおいて、算出した撹拌度αを有するブロックRが新たに積層された状態に書き換えられて記憶部52dに記憶される。
また、撹拌度演算部52bは、所定のブロックRが位置する高さと、所定のブロックRにおけるごみの搬入時点からの経過時間(貯蔵時間)とに基づいて、所定のブロックRにおける撹拌度αを減少させて小さく更新する制御を行うように構成されている。具体的には、撹拌度演算部52bは、所定のブロックRにおける貯蔵時間に関する係数tと、所定のブロックRが位置するエリアPにおける、ごみの表面11bの高さHcおよび所定のブロックRの高さHdの差△H(=Hc−Hd)と、ごみ高さ係数kとに基づいて、更新後の撹拌度αaおよび更新前の撹拌度αbとした場合に、αa=αb−k×△H×tの式を満たすように、撹拌度α(αa)を減少させて小さくするように構成されている。なお、貯蔵時間に関する係数tおよびごみ高さ係数kは、共に正の値である。ここで、上記式のうち、(k×△H)の部分は、所定のブロックRの上方(Z1側)に積層されたごみの重量により、所定のブロックRのごみが圧縮されることに起因する。また、(×t)の部分は、所定のブロックRのごみのピット11内に貯蔵された時間(貯蔵時間)の長さにより、所定のブロックRのごみの腐敗が進行したことなどに起因する。
たとえば、図5に示すように、エリアP(A、6)の最下部にあるブロックR(撹拌度αb=2、太枠で図示)は、所定の貯蔵期間が経過した後に、αa=αb−1=1となり減少させて小さく更新される。なお、このエリアP(A、6)の最下部にあるブロックRは、エリアP(A、6)の最下部にあるブロックRよりも上方に積層されているブロックRと比べて、より短時間で撹拌度αが小さく更新される。
(ごみ投入の説明)
ここで、本実施形態では、制御部5の座標選択演算部52cは、焼却炉監視部6からのごみの投入指示を受信した際に、ピット11内のうち、ごみの撹拌度αが所定の閾値以上であるごみを選択するとともに、選択したごみが位置するエリアPの座標を算出するように構成されている。なお、これ以降、「撹拌度の閾値の取得方法」の説明まで、「撹拌度の所定の閾値」は「3」であるとみなして説明するものの、撹拌度αの所定の閾値は3に限られない。
具体的なごみの選択としては、座標選択演算部52cは、撹拌度演算部52bにより算出され、記憶部52dに記憶されたブロックR毎のごみの撹拌度αに基づいて、ホッパ12に投下するごみを掴むエリアPを投入エリアP2から選択するように構成されている。この際、バケット43に掴まれるごみの表面11bから3つのブロックRの全ての撹拌度αが所定の閾値(=3)以上であるエリアPが、ホッパ12に投下するごみを掴むエリアPとして選択される。なお、上から3つのブロックRの全ての撹拌度αが所定の閾値以上であるエリアPが投入エリアP2に複数存在している場合には、複数のエリアPのうち、記憶部52dに記憶された高さの最も大きいものが、ホッパ12に投下するごみを掴むエリアPとして選択される。そして、座標選択演算部52cは、選択されたエリアPの座標を算出するように構成されている。
たとえば、図6に示すように、座標選択演算部52cにより、上から3つのブロックRの全ての撹拌度αが所定の閾値(=3)以上であるエリアP(A、4)、エリアP(A、6)およびエリアP(A、7)のうち、高さレベルが5であり高さの最も大きいエリアP(A、6)が選択されて、エリアP(A、6)の座標が算出される。
そして、座標選択演算部52cにより算出した座標が掴み座標として、制御部5のクレーン運転制御部51に送信される。これにより、クレーン運転制御部51によりクレーン4が運転制御されて、選択されたエリアPのごみ(3つのブロックR)がクレーン4のバケット43により掴まれる。なお、この際、上記例では、エリアP(A、6)の高さレベルが5から2に書き換えられて記憶部52dに記憶される。
そして、座標選択演算部52cにより、ホッパ12が位置する座標が制御部5のクレーン運転制御部51に投下座標として送信される。これにより、クレーン運転制御部51によりクレーン4が運転制御されて、掴まれたごみがホッパ12上に移動されて、ごみ焼却炉2に投入される。
(ごみ投入不可の場合のごみ撹拌の説明)
また、本実施形態では、制御部5は、ごみの投入指示を受信した際に、ピット11内のごみの撹拌度αが所定の閾値(=3)未満である場合には、ピット11内における投入エリアP2のごみを撹拌することによって、投入エリアP2の所定のエリアPのごみの撹拌度αを所定の閾値以上にするようにクレーン4を制御するように構成されている。
具体的には、制御部5の座標選択演算部52cは、ごみの投入指示を受信した際に、図4に示すように、投入エリアP2の全てにおいて、ごみの表面11bから3つのブロックRのうちに、撹拌度αが所定の閾値未満のブロックRが少なくとも1つ以上ある場合に、ピット11内のごみの撹拌度αが所定の閾値未満であると判断するように構成されている。
そして、ピット11内のごみの撹拌度αが所定の閾値未満である場合に、座標選択演算部52cは、投入エリアP2のうちの所定のエリアPを選択するとともに、選択したエリアPの座標を掴み座標として算出するように構成されている。ここで、座標選択演算部52cは、投入エリアP2のうち、ごみの表面11bの撹拌度αが最も小さなエリアPを選択するように構成されている。なお、ごみの表面11bの撹拌度αとは、ごみの表面11bから3つのブロックRの撹拌度αの平均αavを意味する。なお、ごみの表面11bの撹拌度αが最も小さなエリアPが投入エリアP2に複数存在している場合には、複数のエリアPのうち、記憶部52dに記憶された高さの最も大きいものが、ごみを掴むエリアPとして選択される。そして、座標選択演算部52cは、選択されたエリアPの座標(掴み座標)を算出するように構成されている。
たとえば、図4に示すように、投入エリアP2の全てにおいて、ごみの表面11bから3つのブロックRのうちに、撹拌度αが所定の閾値(=3)未満のブロックRが少なくとも1つ以上ある場合に、座標選択演算部52cにより、ごみの表面11bから3つのブロックRの撹拌度αの平均αavが最小(αav=2)であるエリアP(A、6)およびエリアP(A、9)のうち、高さ(高さレベル)の最も大きいエリアP(A、6)が選択されて、エリアP(A、6)の座標が算出される。
その後、算出した掴み座標が制御部5のクレーン運転制御部51に送信されることよって、クレーン運転制御部51によりクレーン4が運転制御される。これにより、選択されたエリアPのごみ(3つのブロックR)が、クレーン4により掴まれる。この際、上記例では、エリアP(A、6)の高さレベルが5から2に書き換えられて記憶部52dに記憶される。
さらに、座標選択演算部52cは、掴んだごみを投下するエリアPを投入エリアP2から選択するとともに、選択したエリアPの座標(投下座標)を算出するように構成されている。ここで、座標選択演算部52cは、投入エリアP2のうち、高さが最も小さなエリアPを選択するように構成されている。この際、上記例では、高さレベルが2で最も小さいエリアP(A、6)が選択されて、エリアP(A、6)の座標が算出される。
その後、算出した投下座標が制御部5のクレーン運転制御部51に送信されることよって、クレーン運転制御部51によりクレーン4が運転制御される。これにより、クレーン4により掴まれたごみが、高さが最も小さなエリアPのごみの表面11bに投下される。この結果、投入エリアP2における各々のエリアPの高さが一定に近づけられる。この際、上記例では、エリアP(A、6)の上に撹拌度αが3の3つのブロックR(太枠)が積層される。また、エリアP(A、6)の高さレベルが2から5に書き換えられて記憶部52dに記憶される。
そして、上記一連の撹拌動作の結果、投入エリアP2において、バケット43に掴まれるごみの表面11bから3つのブロックRの全ての撹拌度αが所定の閾値(=3)以上であるエリアPが形成された際に、形成されたエリアPがホッパ12に投下するごみを掴むエリアPとして選択される。そして、上記したごみのごみ焼却炉2への投下制御が行われる。この際、上記例では、エリアP(A、6)のごみがホッパ12に投下するごみとして選択される。
(ごみ投入指示なしの場合のごみ撹拌の説明)
また、制御部5は、ごみの投入指示を受信していない場合において、ピット11内のごみを撹拌するようにクレーン4を制御するように構成されている。なお、本撹拌動作は、投入エリアP2だけでなく、搬入エリアP1においても行われる点を除いて、図4に示すごみの投入指示を受信した際にピット11内のごみの撹拌度αが所定の閾値未満である場合の撹拌動作と同一であるので、説明を省略する。
(クレーン休止の制御)
また、制御部5は、ごみの投入指示を受信していない場合で、かつ、撹拌度αが所定の閾値(=3)以上のごみがピット11内において所定の割合以上存在する場合には、クレーン4を休止させるように構成されている。具体的には、制御部5の座標選択演算部52cは、投入エリアP2の全て(エリアP(A、1〜16)およびエリアP(B、1〜16))において、図7に示すように、ごみの表面11bから3つのブロックRのごみの撹拌度αが所定の閾値(=3)以上である場合には、掴み座標などをクレーン運転制御部51に送信しないことにより、クレーン4を休止させるように構成されている。これにより、クレーン4によるピット11内のごみの撹拌動作が停止される。
<撹拌度の閾値の取得方法>
また、本実施形態では、撹拌度αの所定の閾値は、ごみ焼却炉2に投入されたごみのごみ焼却炉2での燃焼度合と撹拌度αとに基づいて取得されるように構成されている。具体的には、撹拌度αの所定の閾値は、ごみ焼却炉2に投入されたごみが焼却された際の蒸気タービン25における蒸気量の落ち込み時間yと、投入されたごみの撹拌度αとに基づいて取得される。なお、この蒸気量の落ち込み時間yとごみの撹拌度αとは、共に、ごみ焼却設備100が運用される際に取得される。また、蒸気量の落ち込み時間yは、ピット11に搬入されるごみのごみ質などに応じて変化するごみの燃焼度合に関連する値である。
より詳細に説明すると、本実施形態のごみ焼却設備100が所定の期間(たとえば、1月間)運用されることによって、所定の期間における、ホッパ12(ごみ焼却炉2)に投入されたごみの各々の撹拌度αと、蒸気タービン25における蒸気量の設定値SVおよび実測値PVとが取得される。
この取得したごみの撹拌度αから、任意の撹拌度β未満の撹拌度αを有するごみが、ごみ焼却炉2に投入された回数xが取得される。この回数xは、24時間のうちの任意の2時間の時間帯(たとえば、6時から8時まで)毎に取得される。また、取得した12個の回数xの総和を12で除することによって、回数xの平均xavが算出される。
また、蒸気量の設定値SVおよび実測値PVから、蒸気量の落ち込み時間yが各々取得される。なお、蒸気量の落ち込み時間yは、蒸気量の設定値SVと実測値PVとの差△V(=SV−PV)が設定値SVの10%を超えた(△V>(0.1×SV))時間の長さとして取得される。この蒸気量の落ち込み時間yも、24時間のうちの任意の2時間の時間帯毎に取得される。そして、取得した12個の落ち込み時間yの総和を12で除することによって、落ち込み時間yの平均yavが算出される。
そして、任意の時間帯(たとえば、6時から8時まで)における任意の撹拌度β未満の撹拌度αを有するごみが投入された回数xと、投入されたごみが実際に焼却された時間帯(たとえば、8時から10時まで)における蒸気量の落ち込み時間yとの相関係数cが下記式(2)を用いて求められる。なお、ごみ焼却炉2にごみが投入されてから投入されたごみが実際に焼却されるまでの時間のずれ(上記例では2時間)は、ごみ焼却設備100やごみ焼却炉2毎に適宜設定される。つまり、ごみ焼却炉2にごみが投入されてから投入されたごみが実際に焼却されるまでの時間のずれは2時間に限られない。
そして、相関係数cが撹拌度β毎に求められる。たとえば、下記表1に示すように、任意の撹拌度βが0、1、2、3および4である場合において、それぞれ、相関係数cが求められる。なお、図8に、本実施形態の実施例のごみ焼却設備100において、撹拌度β=3未満の撹拌度αを有するごみが投入された回数xと、蒸気量の落ち込み時間yとを時間帯毎に示す。
そして、相関係数cが0.8未満の撹拌度βであり、かつ、その撹拌度βよりも1つ前の撹拌度βが0.8以上である撹拌度βが、本実施形態のごみ焼却設備100における撹拌度αの所定の閾値とされる。下記表1では、撹拌度β=3の相関係数cが0.8未満(0.730)であり、かつ、その撹拌度β=3よりも1つ前の撹拌度β=2が0.8以上(0.812)である撹拌度β=3が、本実施形態のごみ焼却設備100における撹拌度αの所定の閾値とされる。なお、撹拌度β=0は、相関係数cが0.8未満であるものの、その撹拌度βよりも1つ前の撹拌度βが存在しないため、撹拌度αの所定の閾値とはされない。また、撹拌度β=4は、相関係数cが0.8未満であるものの、その撹拌度βよりも1つ前の撹拌度βも0.8未満であるため、撹拌度αの所定の閾値とはされない。
なお、この撹拌度αの所定の閾値は、プログラミングなどにより制御部5が自動的に取得可能なように構成してもよいし、操作者が算出したものを制御部5の記憶部52dに記憶させるように構成してもよい。
<制御処理フローの説明>
次に、図1〜図4および図6〜図9を参照して、本発明の一実施形態におけるクレーン4の駆動制御フローについて説明する。なお、本制御フローは、制御部5(図2参照)により行われる。
まず、図9に示すように、ステップS1において、焼却炉監視部6(図2参照)からのごみの投入指示があるか否か判断される。なお、この際、ごみの投入指示がある場合には、ごみが投入されるホッパ12(図3参照)が指定される。ごみの投入指示がある場合には、ステップS2において、投入エリアP2に投入可能なごみがあるか否かが判断される。具体的には、図6に示すように、バケット43に掴まれるごみの表面11bから3つのブロックRの全ての撹拌度αが所定の閾値以上であるエリアPが、投入エリアP2にあるか否かが判断される。
投入エリアP2に投入可能なごみがある場合には、ステップS3〜S7において、ごみの投入が行われる。つまり、ステップS3において、投入エリアP2に投入可能なごみが複数あるか否かが判断される。投入可能なごみが複数ある場合には、ステップS4において、投入可能なごみがある複数のエリアPのうち、記憶部52dに記憶された高さの最も大きいエリアPが、ホッパ12に投下するごみを掴むエリアPとして選択される。また、投入可能なごみが1つしかない場合には、投入可能なごみがあるエリアPがホッパ12に投下するごみを掴むエリアPとなる。
次に、ステップS5において、選択されたエリアPの座標(掴み座標)が算出される。そして、ステップS6において、算出された掴み座標に基づいてクレーン4に対して掴み制御が行われる。具体的には、図1に示すように、クレーン4のガーダ41と横行台車42とにより、算出された掴み座標までバケット43が移動されるとともに、巻取機45によりZ2方向にバケット43が下されてごみの表面11bにバケット43が移動される。そして、バケット43が開閉されることによってバケット43にごみが掴まれて、巻取機45によりバケット43がZ1方向に引き上げられる。その後、ステップS7において、ごみが投入されるホッパ12の座標(投入座標)に基づいて、クレーン4に対して投入制御が行われる。具体的には、クレーン4のガーダ41と横行台車42とにより、投入座標までバケット43が移動されるとともに、バケット43が開かれる。これにより、ごみがホッパ12を介してごみ焼却炉2に投入される。そして、ステップS1に戻る。
また、ステップS2において、投入エリアP2に投入可能なごみがないと判断された場合には、ステップS8〜S11において、ごみの撹拌が行われる。つまり、ステップS8において、掴み座標の選択が行われる。具体的には、図4に示すように、投入エリアP2のうち、ごみの表面11bの撹拌度αが最も小さなエリアPが選択されて、選択されたエリアPの座標が算出される。そして、ステップS9において、ステップS6と同様に、算出された掴み座標に基づいてクレーン4に対して掴み制御が行われる。その後、ステップS10において、投下座標の選択が行われる。具体的には、投入エリアP2のうち、記憶部52dに記憶された高さの最も小さいエリアPが、ごみが投下されるエリアPとして選択されて、選択されたエリアPの座標が算出される。そして、ステップS11において、算出された投下座標に基づいて、クレーン4に対して投下制御が行われる。具体的には、クレーン4のガーダ41と横行台車42とにより、投下座標までバケット43が移動されるとともに、バケット43が開かれる。これにより、選択されたエリアPの上にごみが投下されて積層される。そして、ステップS2に戻り、投入可能なごみ(撹拌度αが所定の閾値以上のごみ)が形成されるまで、ステップS8〜S11のごみの撹拌制御が継続されるとともに、投入可能なごみが形成された際には、ステップS3〜S7のごみの投入制御が行われる。
また、ステップS1において、ごみの投入指示がない場合には、ステップS12において、投入エリアP2において、ごみの撹拌度αが所定の閾値以上であるか否かが判断される。具体的には、投入エリアP2の全て(エリアP(A、1〜16)およびエリアP(B、1〜16))において、ごみの表面11bから3つのブロックRのごみの撹拌度αが所定の閾値以上であるか否かが判断される。投入エリアP2においてごみの撹拌度αが所定の閾値以上でないと判断された場合には、ステップS13〜S16において、ごみの撹拌が行われる。なお、ステップS13〜S16は、投入エリアP2だけでなく、搬入エリアP1においても撹拌が行われる点を除いて、それぞれ、ステップS8〜S11と同様であるので説明を省略する。そして、ステップS1に戻る。
また、図7に示すように、投入エリアP2の全てにおいてごみの撹拌度αが所定の閾値以上である場合には、ステップS17において、クレーン4が休止される。そして、ステップS1に戻る。
<本実施形態の効果>
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、ごみの撹拌度α合いを示す撹拌度αが所定の閾値以上のごみをピット11内から選択してごみ焼却炉2に投入するようにクレーン4を制御する制御部5を設けるとともに、所定の閾値として、ごみ焼却炉2に投入されたごみのごみ焼却炉2での燃焼度合(蒸気量の落ち込み時間y)と撹拌度αとに基づいて取得された所定の閾値を用いる。これにより、ピット11内に搬入されるごみのごみ質やごみ焼却炉2の焼却能力など、ごみ焼却設備100の個々の特性に応じて適切に設定された所定の閾値を用いることができる。この結果、所定の閾値が過度に小さく設定されるのを抑制することができるので、ごみ質が十分に均一化されなくなるのを抑制することができる。したがって、ごみ焼却炉2においてごみの燃焼が不安定になるのを抑制することができる。また、所定の閾値が過度に大きく設定されるのも抑制することができるので、過剰にごみの撹拌が行われるのを抑制することができる。これにより、クレーン4を駆動させるための仕事量(たとえば、電力使用量)を少なくすることができるとともに、クレーン4が長時間駆動され続けることに起因してクレーン4に不具合が生じるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、制御部5を、ピット11内のごみの撹拌度αが所定の閾値未満である場合には、ピット11内における投入エリアP2のごみを撹拌することによって、投入エリアP2のエリアPのごみの撹拌度αを所定の閾値以上にするようにクレーン4を制御するとともに、撹拌度αが所定の閾値以上にされた投入エリアP2のエリアPのごみを選択してごみ焼却炉2に投入するようにクレーン4を制御するように構成する。これにより、ピット11内に撹拌度αが所定の閾値未満のごみしかない場合であっても、確実に、撹拌度αが所定の閾値以上のごみをごみ焼却炉2に投入することができるので、ごみ焼却炉2においてごみの燃焼が不安定になるのをより抑制することができる。
また、本実施形態では、制御部5を、撹拌度αが所定の閾値以上のごみがピット11内に複数存在する場合には、撹拌度αが所定の閾値以上のごみのうち、ピット11内の高さが大きいごみを選択してごみ焼却炉2に投入するようにクレーン4を制御するように構成する。これにより、ごみを掴む際や掴んだごみを引き上げる際に、クレーン4の高さ方向(Z方向)の移動量を小さくすることができるので、その分、クレーン4を駆動させるための仕事量を少なくすることができる。また、高さが大きいごみがごみ焼却炉2に投入されることによって、高さが大きいごみが投入された後のピット11内のごみの高さを平準化することができるので、ごみの表面11bに大きな傾斜が形成されるのを抑制することができる。これにより、ごみの表面11bの大きな傾斜に起因してクレーン4のバケット43がピット11内のごみを適切に掴めなくなるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、制御部5を、所定のブロックRが位置する高さと、所定のブロックRにおけるごみの搬入時点からの経過時間(貯蔵時間)とに基づいて、所定のブロックRにおけるごみの撹拌度αを減少させるように更新するように構成する。これにより、ごみ質が悪化しやすいごみの撹拌度αを減少させて小さくすることができるので、撹拌動作が行われた回数がある程度多いものの圧縮や長時間の貯蔵によりごみ質が悪化したごみがごみ焼却炉2に投入されるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、所定のブロックRが位置する高さに基づいて、所定のごみの撹拌度αを減少させることによって、ピット11の高さ方向(Z方向)の長さ(深さ)が大きく圧縮によりごみ質が悪化しやすい場合に、ピット11内の所定のごみにおける高さ方向の位置に基づいてごみの撹拌度αを減少させて小さくすることができるので、上方(Z1側)に積層されたごみによる圧縮に起因してごみ質が悪化したごみがごみ焼却炉2に投入されるのを抑制することができる。これにより、ピット11の深さを大きくすることができるので、その分、ピット11の平面積(X−Y平面方向の面積)を小さくすることができる。この結果、ごみ焼却設備100が占める面積を小さくしてごみ焼却設備100を小型化することができる。
また、本実施形態では、制御部5を、撹拌度αが所定の閾値以上のごみがピット11内において所定の割合以上存在する場合には、クレーン4による撹拌動作を休止するように制御するように構成する。これにより、ごみ焼却炉2に投入可能なごみが十分に確保されてごみの撹拌を行う必要がない状態になった後においても、クレーン4によりごみの撹拌動作が続けられるのを抑制することができるので、クレーン4を駆動させるための仕事量を少なくすることができるとともに、クレーン4が長時間駆動され続けることに起因してクレーン4に不具合が生じるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、制御部5を、ピット11内のごみを撹拌する際に、ピット11内の高さが小さいごみの上に掴んだごみを投下するようにクレーン4を制御するように構成する。これにより、ピット11内のごみの高さを平準化することができるので、ごみの表面11bに大きな傾斜が形成されるのを抑制することができる。この結果、ごみの表面11bの大きな傾斜に起因してクレーン4がピット11内のごみを適切に掴めなくなるのを抑制することができる。
[変形例]
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、撹拌度αの所定の閾値を、ごみ焼却炉2に投入されたごみが焼却された際の蒸気タービン25における蒸気量の落ち込み時間yと、投入されたごみの撹拌度αとに基づいて取得した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ごみ焼却炉に投入されたごみが焼却された際の蒸気タービンにおける蒸気量の落ち込み時間以外のパラメータを用いて、ごみ焼却炉に投入されたごみのごみ焼却炉での燃焼度合を求めてもよい。たとえば、ごみ焼却炉の燃焼室内の温度変化などのパラメータを用いて、ごみ焼却炉に投入されたごみのごみ焼却炉での燃焼度合を求めてもよい。また、ごみ焼却炉の大きさなどの焼却能力や、ごみ焼却設備に持ち込まれると推定されるごみのごみ質などから、ごみ焼却設備の運用前に予め燃焼度合と撹拌度との相関を推定することによって、撹拌度の所定の閾値を予め取得してもよい。
また、上記実施形態では、上記式(1)から算出される撹拌度αを用いた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ピット内のごみの所定の撹拌状態を撹拌度として数値化することができればよい。つまり、上記式(1)以外の方法により撹拌度を求めてもよい。
また、上記実施形態では、上記式(2)から算出される相関係数cを用いて、撹拌度αの所定の閾値を取得した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、相関係数を用いる以外の方法により、撹拌度の所定の閾値を取得してもよい。
また、上記実施形態では、相関係数cが0.8未満の撹拌度βであり、かつ、その撹拌度βよりも1つ前の撹拌度βが0.8以上である撹拌度βを、ごみ焼却設備100における撹拌度αの所定の閾値とした例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、相関係数cが0.7未満の撹拌度βであり、かつ、その撹拌度βよりも1つ前の撹拌度βが0.7以上である撹拌度βを、ごみ焼却設備における撹拌度の所定の閾値としてもよい。つまり、撹拌度の所定の閾値と取得する際に、相関係数と比較する数値として、「0.8」以外の値を用いてもよい。
また、上記実施形態では、蒸気量の落ち込み時間yを、蒸気量の設定値SVと実測値PVとの差△V(=SV−PV)が設定値SVの10%を超えた時間の長さとして取得した例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、蒸気量の落ち込み時間を、蒸気量の設定値SVと実測値PVとの差△Vが設定値SVの15%を超えた時間の長さとして取得してもよいし、蒸気量の実測値PVが設定値SVの90%未満である時間の長さとして取得してもよい。
また、上記実施形態では、ごみの撹拌時において、掴み制御が行われた後に、ごみが投下されるエリアPの選択(投下座標の選択)が行われる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ごみの撹拌時において、掴み制御が行われた後に、投下座標の選択を行わずに、ごみが掴まれたエリアに掴んだごみをそのまま投下するように構成してもよい。これにより、クレーンをX−Y平面方向に駆動させないので、クレーンを駆動させるための仕事量を少なくすることが可能であるとともに、早期にごみの撹拌度を所定の閾値以上に大きくすることが可能である。
また、上記実施形態では、所定のブロックRが位置する高さと、所定のブロックRにおけるごみの搬入時点からの経過時間(貯蔵時間)とに基づいて、所定のブロックRにおける撹拌度αを減少させて小さく更新する制御が行われる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、所定のブロックが位置する高さ、または、所定のブロックの貯蔵時間の一方のみに基づいて、所定のブロックにおける撹拌度を減少させて小さくしてもよい。また、所定のブロックが位置する高さおよび貯蔵時間以外のパラメータを用いて所定のブロックにおける撹拌度を減少させて小さくしてもよい。
また、上記実施形態では、各エリアPのごみを、体積が0.5×a(m3)の直方体状の均一な物体(ブロックR)が積層したものであるとして仮想化した状態で把握する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、直方体状の均一な物体が積層したものであるという仮想化の方法とは別の仮想化によって、各エリアのごみを把握してもよい。
また、上記実施形態では、投入エリアP2の全て(エリアP(A、1〜16)およびエリアP(B、1〜16))において、ごみの表面11bから3つのブロックRのごみの撹拌度αが所定の閾値以上である場合に、クレーン4を休止させる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ピットの全体の50%以上において、ごみの表面から3つのブロックのごみの撹拌度が所定の閾値以上である場合に、クレーンを休止させるように構成してもよい。
また、上記実施形態では、ごみの投入時や撹拌時において、選択されたエリアPの3つのブロックRが、クレーン4により掴まれる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ごみの投入時や撹拌時において、選択されたエリアの掴まれるブロックの数は、3つに限られない。ここで、ごみの投入時において掴まれるブロックの数は、3つ以下であるのが好ましい。これにより、確実に、撹拌度が所定の閾値以上のごみをごみ焼却炉に投入することが可能である。なお、掴まれるブロックの数は、掴まれたごみの体積(掴まれたごみの高さ)から算出することが可能である。
また、上記実施形態では、ピット11において、エリアPを、搬入エリアP1と、投入エリアP2と、土手エリアP3とに区別した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ピットのエリアを機能ごとに区別しなくてもよい。また、たとえば、土手エリアを設けずに、ピットにおいて、エリアを搬入エリアと投入エリアとに区別してもよい。
また、上記実施形態では、説明の便宜上、制御部の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。