JP6647680B2 - ガラス板の製造方法、及び、製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ガラス板の製造方法に関し、詳しくはダウンドロー法によって連続成形されて下方に誘導されるガラスリボンに刻線を形成する手段を有するガラス板の製造方法に関する。
従来、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(以下、単にFPDともいう)用ガラス基板として使用されるガラス板を製造する手法として、例えば溶融ガラスを下方に引き出して成形するダウンドロー法が知られている。その具体例としては、例えばオーバーフローダウンドロー法やスロットダウンドロー法が挙げられる。
オーバーフローダウンドロー法は、溶融ガラスを耐火物からなる成形体の両側から溢流させて成形体の下端で合流させ、ガラスリボンとして下方に引き出すという手法である。一方、スロットダウンドロー法は、溶融ガラスを耐火物の底部に設けられた長孔状のスロットから流出させて、ガラスリボンとして下方に引き出すという手法である。そして、このようにして連続成形されるガラスリボンを所定の大きさに分離することで、ガラス板が製作される。
このように連続して成形されて下方へ誘導されるガラスリボンからガラス板を分離する場合には、例えば、ガラスリボンの移動と同期する移動式のスコアリング装置により、ガラスリボンの一方面側に定盤を当接させ、且つガラスリボンの他方面側に刻設刃により刻線を形成する(以下、刻設工程とも称する)と共に、この刻線で区画されたガラス板の分離領域を吸着手段で保持して、ガラスリボンに曲げモーメントを作用させて刻線で折り割りすることにより、ガラスリボンからガラス板を分離させて取り出している(例えば、下記特許文献1参照)。
特開2002−137930号公報
ところで、上記の刻設工程において、ガラスリボンに当接される定盤は、ガラスリボンの幅方向に長尺で、ガラスリボンへの当接面が平坦とされ、且つその材質が金属からなるのが通例である。
刻設工程では、上述のようにガラスリボンの一面側に金属製の定盤の平坦な当接面を当接し、該当接面に沿うように刻設刃を移動させるため、定盤に当接したガラスリボンが、静電気の帯電に起因して定盤に貼り付いたままの状態となり、定盤がガラスリボンから離れようとする際に、ガラスリボンに破損を来たすことがあるという問題があった。また、金属製の定盤の当接面がガラスリボンに直接接触していることに起因して、ガラスリボンが傷付けられる虞もあった。
以上の実情に鑑み、本発明では、ダウンドロー法によって連続成形されるガラスリボンに対して、刻設工程においてガラスリボンが定盤に貼り付くことを防止することにより、ガラスリボンに損傷を与えないことを技術的課題とする。
上記課題を解決するために創案された本発明のガラス板の製造方法は、ダウンドロー法によって連続成形されて下方へ誘導されるガラスリボンに、その流れ方向と直交する幅方向に刻線を形成する刻設手段を備えたガラス板の製造方法において、前記刻設手段は、前記ガラスリボンの一面側に幅方向に亘って当接する当接面を有する定盤と、該定盤の当接面に前記ガラスリボンを押圧しながらその他面側に前記刻線を形成する刻設刃とを備え、前記定盤の当接面に帯電防止部材を備えてなることを特徴とするものである。
本発明の製造方法によれば、定盤の当接面に帯電防止部材を備えていることから、ダウンドロー法によって成形されたガラスリボンに対して刻線を形成する際に、静電気の帯電に起因してガラスリボンが定盤に貼り付くことを防止でき、定盤がガラスリボンから離れる際にガラスリボンが破損するという事態を回避できる。したがって、ガラスリボンに対して刻線を適正に形成でき、ガラスリボンからガラス板を良好に分離、取り出すことが可能となる。
上記の製造方法において、前記定盤は金属板であり、前記帯電防止部材はシート状の帯電防止シートであり、前記帯電防止シートが前記定盤の当接面に貼付されてなることが好ましい。
このようにすれば、簡易にして、定盤に対して帯電防止性能を付与することができる。
上記の製造方法において、前記帯電防止シートは弾性部材からなることが好ましい。
このようにすれば、ガラスリボンの一面側に定盤を当接させ且つガラスリボンの他面側に刻設刃により刻線を形成する際に、適度なクッション性を付与することができ、刻設工程において定盤との接触によりガラスリボンが傷付けられる虞がなく、より良好な刻線の形成を可能にする。
上記の製造方法において、前記帯電防止シートの厚さは、0.2mm〜5mmであることが好ましい。
このようにすれば、ガラスリボンに対して良好な刻線を形成する上で、より適切なクッション性を付与することができる。
上記の製造方法において、前記定盤の前記ガラスリボンの流れ方向の幅は、5mm〜30mmであることが好ましい。
このようにすれば、ガラスリボンに接触する定盤の幅を可及的に狭くすることができ、ガラスリボンの表面品位を良好に保つことができる。
上記の製造方法において、前記ガラスリボンを保持し、前記刻線を開くように前記ガラスリボンに曲げ応力を付与する分離手段を更に備え、前記ガラスリボンの厚みが0.4mm以下であり、前記刻設手段は、前記ガラスリボンに前記刻線を形成した後に前記定盤を前記ガラスリボンから離反させ、前記分離手段は、前記定盤の離反後に、前記ガラスリボンを保持することが好ましい。
ガラスリボンの厚みが0.4mm以下等に薄い場合には、ガラスリボンに発生するしわを伸ばすように刻設刃が刻線を形成するようになるため、刻線の形成よりも先に分離手段がガラスリボンを保持するとガラスリボンが破損し易くなる。一方、分離手段がガラスリボンを保持していない状態で定盤がガラスリボンから離反すると、ガラスリボンの下端部がフリーの状態となるため、静電気の帯電に起因した定盤へのガラスリボンの貼りつきの問題がより顕著となる。従って、上記構成のように、定盤の当接面に帯電防止部材を有することにより、ガラスリボンの下端部がフリーの状態であったとしても、静電気の帯電に起因してガラスリボンが定盤に貼り付くことを防止することができ、ガラスリボンの下端部が揺動することを防止することができる。
上記課題を解決するために創案された本発明のガラス板の製造装置は、ダウンドロー法によって連続成形されて下方へ誘導されるガラスリボンに、その流れ方向と直交する幅方向に刻線を形成する刻設手段を備えたガラス板の製造装置において、前記刻設手段は、前記ガラスリボンの一面側に幅方向に亘って当接する当接面を有する定盤と、該定盤の当接面に前記ガラスリボンを押圧しながらその他面側に前記刻線を形成する刻設刃とを備え、前記定盤の当接面に帯電防止部材を備えてなることを特徴とする。
上記構成によれば、既に述べた対応する構成と同様の効果を享受することができる。
本発明のガラス板の製造方法によれば、ダウンドロー法によって成形されたガラスリボンに対して刻線を形成する際に、静電気の帯電に起因してガラスリボンが定盤に貼り付くことを防止し、ガラスリボンが破損するという事態を回避できる。従って、ガラスリボンに対して刻線を適切に形成でき、ガラスリボンからガラス板を良好に分離、取り出すことが可能となる。
本発明の一実施形態に係るガラス板の製造方法の概略斜視図である。 図1の実施形態に係る製造方法の分離工程を示す概略斜視図である。 図1の実施形態に係る製造方法の分離工程を示す概略斜視図である。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本発明の製造方法を具現化する実施形態に係るガラス板の製造装置1(以下、単に製造装置1と記載する)は、図外の上方に配備され、且つ例えばオーバーフローダウンドロー法を実施すべく溶融ガラスを溢流させる成形体を有し、この成形体から流下した溶融ガラスは、徐々に固化することにより略垂直下方に連続した状態で移動するガラスリボン2になると共に、該ガラスリボン2の表面には、予め設定された高さ位置で、刻設手段3により刻線4が形成される構成である。更に、この製造装置1は、後述するように、刻設手段3の下方に配置され且つガラスリボン2の下縁からの所定領域を前記刻線4で折り割りしてガラス板2aとして分離する分離手段5とを備えてなる(図2、図3参照)。
前記刻設手段3は、ガラスリボン2の裏面に当接され、且つガラスリボン2の流れ方向と直交する幅方向に長尺な定盤3aと、この定盤3aにガラスリボン2を押圧しながらガラスリボン2の表面に幅方向に亘って刻線4を形成する刻設刃3bとを備えている。
定盤3aには、ガラスリボン2の裏面側(一面側)に幅方向に亘って当接する当接面3a1が設けられる。そして、刻設刃3bは、当接面3a1にガラスリボン2を押圧しつつ、その表面側(他面側)に刻線4を形成する。
ここで、本実施形態では、前記定盤3aの当接面3a1に、帯電防止部材3cとして、例えば、シート状樹脂であるMCナイロン(登録商標)、パロニア(登録商標)もしくはゴム等からなる厚さ1mmの弾性シート等が貼着してある。弾性シートは、弾性変形可能な部材(弾性部材)からなり、所定の硬度を有している。
そして、弾性シートは定盤3aの当接面3a1に両面テープを介して貼着されている。これにより、定盤3aがガラスリボン2の一方面側に当接し、ガラスリボン2の他方面側に刻設刃3bにより刻線4を形成する刻設工程において、定盤3aとガラスリボン2との間で静電気による帯電を防止することができ、定盤3aがガラスリボン2から離れようとする際に両者の円滑な離間が達成できる。また刻設工程において、刻設刃3bによりガラスリボン2に刻線4を形成する際に、適度なクッション性を付与することができ、定盤3aとの接触によりガラスリボン2が傷付けられる虞がなく、より良好な刻線4の形成を可能にする。
帯電防止部材3cの厚さは、0.2mm〜5mmであることが好ましく、0.5〜4mmであることがより好ましい。これにより、ガラスリボンに対して良好な刻線を形成する上で、より適切なクッション性を付与することができる。
定盤3aは、ステンレス等の金属板であることが好ましい。定盤3a自体を棒状のゴム等の帯電防止部材自体で作製することも考えられ、この場合も良好な帯電防止効果を奏する。しかしながら、定盤3a自体をゴム等で形成すると金属に比べて剛性に劣るため、刻設刃3bによる刻線4の形成時の押圧により、定盤3aが撓んでしまうという問題が生じるおそれがある。従って、定盤3aについては金属板で作製することで剛性を確保し、その当接面3a1に帯電防止シートを設ける構成のほうが、好ましい。
定盤3aのガラスリボン2の流れ方向に対する幅wは、5mm〜30mmであることが好ましく、10mm〜20mmであることがより好ましい。このようにすれば、ガラスリボン2に接触する定盤3aの幅を可及的に狭くすることができ、ガラスリボン2の表面品位を良好に保つことができる。
ガラスリボン2の厚さは、0.5mm以下であることが好ましく、0.4mm以下であることがより好ましく、0.3mm以下であることがさらに好ましい。ガラスリボン2の厚さが薄いほど定盤3aの貼りつきの影響が大きいため、本発明の帯電防止部材3cの効果がガラスリボン2の厚さがより薄いほど発揮される。
定盤3a及び刻設刃3bは、上下動可能に保持されると共に、その下動速度はガラスリボン2の下降速度と同一となり得るように構成され、この両者の速度が同一となっている時に上述のようにガラスリボン2に刻線4が形成されるようになっている。また、両者は、刻設作業が終了した後、ガラスリボン2から離反しつつ、予め設定された初期位置に上動しながら復帰する。
分離手段5は、図3に示すように、ガラスリボン2の刻線4が形成された面の反対側の面に当接される支点部材5aと、支点部材5a(刻線4)よりも下方でガラスリボン2ないしガラス板2aを支持する支持手段5bとを備えている。
支点部材5aは、ガラスリボン2に刻線4が形成された後、定盤3aと入れ替われるようにして、その下端面5a1を刻線4が形成された位置に合致させた状態でガラスリボン2の幅方向に沿って当接される。また、支持手段5bは、ガラスリボン2ないしガラス板2aの幅方向の一端部側と他端部側とにおいて各々配設されるとともに、ガラスリボン2ないしガラス板2aの表裏面に当接して挟持する構成となっている。
支持手段5bは、ガラスリボン2からガラス板2aを分離する際に、支点部材5aを中心として図3に矢印Bで示す方向に(ガラスリボン2の面と直交する面内で)回動し、ガラスリボン2に対して刻線4が形成された表面からその裏面側に向かって刻線4を開くように折り割り力を作用させるようになっている。なお、ガラスリボン2から分離されたガラス板2aは、支持手段5bによって支持された状態で、後工程へとガラス板2aを搬送する図外の搬送手段へと引き渡されるようになっている。
支点部材5aおよび支持手段5bは、上下動可能に保持されると共に、その下動速度はガラスリボン2の下降速度と同一となり得るように構成され、この両者の速度が同一となっている時に上述のようにガラスリボン2からガラス板2aを分離するようになっている。また、両者は、分離作業が終了した後(支持手段5bは、搬送手段にガラス板2aを引き渡した後)、ガラスリボン2から離反しつつ、予め設定された初期位置に上動しながら復帰するようになっている。
なお、支持手段5bとしては、ガラスリボン2の表裏面のいずれか一方からガラスリボン2を真空吸着して支持するものなどを利用することができる。
製造装置1は、刻設手段3が刻線4を形成した後、定盤3aをガラスリボン2から離反させた後に、分離手段5(支持手段5b)がガラスリボン2を支持することが好ましい。ガラスリボンの厚さが0.4mm以下と非常に薄い場合には、ガラスリボン2に発生するしわを伸ばすように刻設刃3bが刻線4を形成するようになる。刻線4の形成よりも先に分離手段5がガラスリボン2を支持すると、しわが伸びにくくなるため、ガラスリボン2が破損し易くなる。一方、分離手段5がガラスリボン2を支持していない状態で定盤3aがガラスリボン2から離反すると、ガラスリボン2の下端部がフリーの状態となるため、静電気の帯電に起因した定盤3aのガラスリボン2に対する貼りつきの問題がより顕著となる。従って、上記構成のように、定盤3aの当接面3a1に帯電防止部材3cを有するため、ガラスリボン2の下端部がフリーの状態であったとしても、静電気の帯電に起因してガラスリボン2が定盤3aに貼り付くことを防止することができ、ガラスリボン2の下端部が揺動することを防止することができる。
以上のように、本実施形態に係る製造装置1によれば、定盤3aの当接面3a1に帯電防止部材3cを備えていることから、ダウンドロー法によって成形されたガラスリボン2に対して刻線4を形成する際に、静電気の帯電に起因してガラスリボン2が定盤3aに貼り付くことを防止でき、定盤3aがガラスリボン2から離れる際にガラスリボン2が破損するという事態を回避できる。したがって、ガラスリボン2に対して刻線4を適正に形成でき、ガラスリボン2からガラス板2aを良好に分離、取り出すことが可能となる。
なお、本実施形態では、図1等に示すように、平板状のガラスリボン2に、平坦状の当接面3a1を有する定盤3aを当接した状態で、刻設刃3bにより刻線4を形成する場合を説明したが、本発明はこのような刻設手段に限定されるものではない。例えば、幅方向に湾曲したガラスリボンに、この湾曲に対応した曲面(例えば、凸曲面)に形成される当接面を有する定盤を当接した状態で、刻設刃により湾曲に沿うように刻線4を形成するように構成してもよい。
また、本実施形態では、定盤3aと支点部材5aとが別体である場合を説明したが、支点部材5aを省略して、定盤3aが支点部材5aの役割を兼ねるようにしてもよい。すなわち、刻設作業が終了した後、定盤3aの下端面を、刻線4を形成した位置に合致させて、再度位置決めを行うように構成してもよい。
本発明に係るガラス板の製造装置は、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ用のガラス基板として使用されるガラス板を製造する際に利用することができる。
1 製造装置
2 ガラスリボン
3 刻設手段
3a 定盤
3a1 当接面
3b 刻設刃
3c 帯電防止部材
4 刻線

Claims (7)

  1. ダウンドロー法によって連続成形されて下方へ誘導されるガラスリボンに、その流れ方向と直交する幅方向に刻線を形成する刻設手段を備えたガラス板の製造方法において、
    前記刻設手段は、
    前記ガラスリボンの一面側に幅方向に亘って当接する当接面を有する定盤と、
    該定盤の当接面に前記ガラスリボンを押圧しながらその他面側に前記刻線を形成する刻設刃と
    を備え、
    前記定盤の当接面に帯電防止部材を備えてなる、
    ことを特徴とするガラス板の製造方法。
  2. 前記定盤は金属板であり、
    前記帯電防止部材はシート状の帯電防止シートであり、
    前記帯電防止シートが前記定盤の当接面に貼付されてなる、
    ことを特徴とする、請求項1に記載のガラス板の製造方法。
  3. 前記帯電防止シートは弾性部材からなる、
    ことを特徴とする、請求項2に記載のガラス板の製造方法。
  4. 前記帯電防止シートの厚さは、0.2mm〜5mmである、
    ことを特徴とする、請求項2又は3に記載のガラス板の製造方法。
  5. 前記定盤の前記ガラスリボンの流れ方向の幅は、5mm〜30mmである、
    ことを特徴とする、請求項2〜4のいずれかに記載のガラス板の製造方法。
  6. 前記ガラスリボンを支持し、前記刻線を開くように前記ガラスリボンに曲げ応力を付与する分離手段を更に備え、
    前記ガラスリボンの厚さが0.4mm以下であり、
    前記刻設手段は、前記ガラスリボンに前記刻線を形成した後に前記定盤を前記ガラスリボンから離反させ、
    前記分離手段は、前記定盤の離反後に、前記ガラスリボンを支持する、
    ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のガラス板の製造方法。
  7. ダウンドロー法によって連続成形されて下方へ誘導されるガラスリボンに、その流れ方向と直交する幅方向に刻線を形成する刻設手段を備えたガラス板の製造装置において、
    前記刻設手段は、
    前記ガラスリボンの一面側に幅方向に亘って当接する当接面を有する定盤と、
    該定盤の当接面に前記ガラスリボンを押圧しながらその他面側に前記刻線を形成する刻設刃と
    を備え、
    前記定盤の当接面に帯電防止部材を備えてなる、
    ことを特徴とするガラス板の製造装置。
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