JP6647277B2 - 換気装置を有するバレル型ポンプ、ならびにこれに対応する方法 - Google Patents

Description

本発明は、請求項１の前提項に記載されているバレルケーシングを備える遠心ポンプに関する。

バレルケーシングの中には、内側の圧力室を外側の圧力室から分離する中間ケーシングで取り囲まれた少なくとも１つの羽根車が配置されるシャフトを有する差込ユニットが配置される。

このような種類の遠心ポンプ型式は、バレル型ポンプ、二重ケーシングポンプ、ないし“Ｂａｒｒｅｌ−Ｔｙｐｅ”ポンプあるいはバレルケーシングポンプとしても知られる。このようなバレル型ポンプはたとえば特許文献１に記載されている。

このようなポンプはカップ類似のケーシングで取り囲まれる。これはしばしば高圧ポンプや超高圧ポンプとして使用するための、特に発電所でボイラー供給ポンプとして利用するための多段ポンプである。さらに、このような多段バレル型ポンプは鉄鋼産業や石油化学で、たとえば精製の際などに適用される。

特許文献２には、バレルケーシング型式の遠心ポンプが記載されている。個々のポンプ羽根車の間に、流動案内をする中間ケーシングが配置される。

特許文献３は、バレルケーシングを有する遠心ポンプに関するものである。バレルケーシングは吸込部を備えていて、これを通して送出媒体が流れ込む。バレルケーシングの中に差込ユニットが配置される。差込ユニットは、複数の羽根車と、付属の中間ケーシングを有する案内車とが配置されたシャフトで構成される。中間ケーシングは、羽根車が中に配置される内側の圧力室を、中間ケーシングとバレルケーシングとの間の外側の圧力室から分離する。

バレル型ポンプは使用前に圧力検査にかけられなくてはならない。そのために従来のバレル型ポンプでは、ポンプの圧力シースを形成するバレルケーシングが、圧力側の最大圧力に合わせて設計される。圧力試験は最終組立の前に実施されなければならない。

ドイツ特許出願公開第４００５９２３Ａ１号明細書 ドイツ特許出願公開第４３１０４６７Ａ１号明細書 ドイツ実用新案登録出願公開第２９８１９３６３Ｕ１号明細書

本発明の課題は、組み立てられた状態で圧力試験が可能であるバレル型ポンプを提供することにある。このポンプは、信頼度が高く低コストの動作形態を特徴とすることが望まれる。さらにこのポンプは、長い耐用寿命を有することが望まれる。さらにこのバレル型ポンプは、可能な限り安価に製造することができ、簡単な組立を特徴とすることが望まれる。プラントでの反復試験が時間節約的かつ低リスクであることが望まれる。

この課題は、請求項１の構成要件を有する遠心ポンプによって解決される。好ましい変形例は従属請求項に記載されている。

本発明によると、遠心ポンプの中間ケーシングに換気のための開口部が穿設される。本発明による遠心ポンプは、中間ケーシングの自動式の換気がなされる、全面的に組み立てられた状態でのポンプの充填を可能にする。それぞれの中間ケーシングの間の分離継目がメタルシーリングされているために、空気が内側の圧力室から中間ケーシングを介して逃げることができない従来のバレル型ポンプとは異なり、本発明によるポンプは換気装置を有している。

換気装置は、内側の圧力室を外側の圧力室と接続する少なくとも１つの開口部を含んでいるのが好ましい。従来の遠心ポンプでは、たとえば発電所や精製所での流体静力学的な圧力検査のためのポンプの設備変更は、複数の労働日を必要とする。このような著しい時間コストは、本発明のバレル型ポンプを採用すれば大部分が削減される。専用工具を用いてのポンプの解体、および高圧室と低圧室圧への圧力シースの分離が少なくとも部分的に不要になるからである。このことは著しいコスト削減を可能にする。発電所や精製所ではしばしば複数のバレル型ポンプが並列式に採用されるが、本発明による設計により、これらのポンプの各々で著しい作業コストが節約されるからである。

ポンプは全面的に組み立てられた状態で充填され、換気装置を介して、空気を内側の圧力室から中間ケーシングの開口部を介して逃がすことができる。このように、中間ケーシングの自動式の換気がなされるバレル型ポンプが提供される。

本発明の特別に好都合な実施形態では、換気装置は、内側の圧力室から外側の圧力室への媒体交換の解放、または内側と外側の圧力室の間での媒体交換の阻止を惹起することができる部材を含んでいる。この部材は、バレル型ポンプの充填時に空気が換気装置を介して内側の圧力室からさしあたり逃げることができることを可能にする。バレル型ポンプが作動媒体で、たとえば水で充填されると、この部材が開口部を閉じ、それによって内側と外側の圧力室の間での媒体交換を阻止する。それにより、作動媒体が外側の圧力室から内側の圧力室へと流れることが防止される。

この部材は案内部に配置されるのが好ましい。この案内部は該部材のスライドを可能にする。このようなスライドにより、該部材がたとえば換気のために内側と外側の圧力室の間での媒体交換を解放するか、または、媒体交換を阻止し、それによりバレル型ポンプの充填後に作動液が外側の圧力室から内側の圧力室へ流れ戻らないようにすることが可能である。

そのために中間ケーシングに、該部材が中に配置される収容部が穿設されていてよい。この収容部は、たとえば円筒状または円板状の部材が中で位置決めされる穴であってよい。このとき収容部の壁部によって、該部材の横方向の案内部ならびに運動制限部が形成される。

開口部が収容部へと移行しているのが好ましい。たとえば開口部も中間ケーシングにある穴として施工されていてよく、開口部の穴の直径は、該部材が中に配置される収容部の穴の直径よりも小さい。このようにして、内側と外側の圧力室の間で中間ケーシングに穿設される接続部は、小さい開口部直径から、封止面としてだけでなく、封止の役目をする該部材の運動制限の役目も果たす大きい収容部直径へと拡張していく。

本発明によると、収容部の壁部と該部材との間には、空気が外に出るのを可能にする十分に広い自由横断面が依然として存在する。空気は開口部を通って収容部へ、そして該部材と収容部の壁部との間の自由横断面を通って外側の圧力室へと流れ込む。

該部材は開口部よりも大きく構成される。この構成要件は、作動媒体が還流するときに該部材が開口部を閉じることができるための前提条件である。すなわち本発明のこの構成では、換気装置は還流防止部を装備する。外側の圧力室の圧力が内側の圧力室の圧力よりも上昇すると、該部材が開口部に押し付けられて、媒体交換が妨げられる。

このとき円筒状または円板状の部材が収容部の底面に押し付けられて、収容部の底面に穿設された開口部を適当な封止面構成によって閉止し、たとえば、該部材と一体的に構成された、中間ケーシングのほうを向く環状の隆起部によって閉止する。

換気装置は該部材のためのストッパを有しているのが好ましい。このストッパは、たとえば収容部の壁部に配置されていてよい。これは、収容部の中へ突入し、そのようにして収容部からの該部材の押し出しや引っ掛かりを防ぐ突起であり得る。このときストッパは、いくつかの個所でのみ収容部へ突入するのが好ましく、それにより、空気が外に出るための自由横断面が依然として残される。

換気装置は中間ケーシングの上側領域に配置されるのが好ましく、空気はもっとも高い点に集まるので、特に１２時の位置が好適である。

本発明のさらに別の課題は、バレル型ポンプの圧力検査を実施する方法を提供することにある。

本発明によると、バレル型ポンプがまず全面的に組み立てられる。そして、遠心ポンプが作動媒体で充填される。本発明による方法では、全面的に組み立てられた状態で空気を中間ケーシングから逃がすことができる。

本発明のその他の利点や構成要件は、図面を参照した実施例の説明、および図面そのものから明らかとなる。

バレル型ポンプを示す軸方向断面図である。 換気装置を示す模式図である。

図１は、バレルケーシング１を有する遠心ポンプを示している。バレルケーシング１の中に差込ユニット２が配置される。差込ユニット２は、複数の羽根車４が相前後して配置されたシャフト３を含んでいる。羽根車４は、本実施例ではラジアルホイールである。

各々の羽根車４が中間ケーシング５で取り囲まれる。隣接する中間ケーシング５は互いに接している。それぞれの中間ケーシング５の間の分離継目は、本実施例ではメタルシーリングされている。

バレルケーシング１には吸込接続管６が一体成形されていて、これを通って作動媒体が遠心ポンプの中に入る。作動媒体は、圧力接続管７を介して遠心ポンプから出ていく。

本発明によると、圧力ハウジング５に上側領域のそれぞれ１２時の位置に換気装置８が配置されている。このように本発明によるバレル型ポンプは、全面的に組み立てられた状態で圧力検査にかけることができる。このことは、換気装置８が組み込まれることで初めて可能となる。換気装置８は、すでに全面的にプラントに組み付けられたバレル型ポンプを充填することができ、その際に、喚起装置８を介して空気を逃がすことができるように作用する。

図２は、換気装置８の模式図を示している。換気装置８は各々の中間ケーシング５に組み込まれる。中間ケーシング５は、内側の圧力室９を外側の圧力室１０から分離する。内側の圧力室９は羽根車４を中心として配置される。外側の圧力室１０は中間ケーシング５とバレルケーシング１との間にあり、圧力接続管７の内部と圧力工学的に接続される。

本発明によると、換気装置８は中間ケーシング５に穴として穿設された開口部１１を有している。さらに、換気装置８は収容部１２を含んでいる。収容部１２は、本実施例では円形のくぼみとして中間ケーシング５の外側の外套面に穴の形態で穿設された凹部である。収容部は、内径が拡大された開口部１１の領域を形成する。収容部１２に部材１３が配置されている。この部材１３は、本実施例では、円筒状に形成された円板状の部材である。部材１３の直径は収容部１２の直径よりも小さいので、部材１３は半径方向へスライド可能なように収容部１２の中に配置される。

図２に示す態様では、換気装置８は、部材１３が収容部１２から飛び出されるのを防止するストッパ１４を含んでいる。ストッパ１４は、収容部１２の中へ突入する突起であってよく、または、収容部１２に設けられた環状溝に挿入されるスナップリングであってよい。

バレル型ポンプが圧力検査のために作動媒体で充填されると、部材１３が上方に向かって、ないしは半径方向外側に向かって押圧されて、空気を逃がすための自由横断面を解放する。ストッパ１４が止め部材として作用し、たとえば作動時の振動や換気時の空気流などによって、部材１３が収容部１２から飛び出されるのを防止する。充填プロセスのとき、増加していく作動媒体が内側の圧力室９で部材１３を流体静力学的な水柱によって、全部の空気が逃げるまで持ち上げる。そして完全に換気されたシステムが作動する。作動時には、外側の圧力室１０で内側の圧力室９に比べて高い動作圧力が生じる。この圧力差によって、該部材が中間ケーシング５の収容部１２の底面に押圧される。部材１３は封止部材として製作されていて、作動媒体が外側の圧力室１０から内側の圧力室９へ流れ戻るのを防止する。そのために、収容部１２の底面と部材１３との間の接触面は、信頼度の高い封止が保証されるように製作される。

本発明による換気装置は、完全にばね部材なしですませることができる。ばね部材が省略されることで、本発明による換気装置は摩擦がなくローメンテナンスであることが示されている。この換気装置は、信頼度の高い作動形態および長い耐用寿命という特徴がある。しかも、作動媒体以外にはいかなるエネルギー源も必要ない。このように、本発明の換気装置は外部のエネルギー源に左右されることがなく、操業コストを追加的に高めることがない。
本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された請求項は、以下の通りであった。
請求項１：
バレルケーシング（１）と、内側の圧力室（９）を外側の圧力室（１０）から分離する少なくとも１つの中間ケーシング（５）とを有する遠心ポンプにおいて、
前記中間ケーシング（５）に少なくとも１つの換気装置（８）が配置されていることを特徴とする遠心ポンプ。
請求項２：
前記換気装置（８）は前記内側の圧力室（９）を前記外側の圧力室（１０）と接続する少なくとも１つの開口部（１１）を有することを特徴とする、請求項１に記載の遠心ポンプ。
請求項３：
前記換気装置（８）は前記内側の圧力室（９）と前記外側の圧力室（１０）との間の媒体交換を解放または阻止するための部材（１３）を含んでいることを特徴とする、請求項１または２に記載の遠心ポンプ。
請求項４：
前記部材（１３）は案内部に配置されていることを特徴とする、請求項３に記載の遠心ポンプ。
請求項５：
前記中間ケーシング（５）に、前記部材（１３）が中に配置される収容部（１２）が穿設されていることを特徴とする、請求項３または４に記載の遠心ポンプ。
請求項６：
前記収容部（１２）の底面に前記開口部（１１）が穿設されていることを特徴とする、請求項５に記載の遠心ポンプ。
請求項７：
前記収容部（１２）の壁部と前記部材（１３）との間に媒体交換のための自由横断面が存在することを特徴とする、請求項５または６に記載の遠心ポンプ。
請求項８：
前記収容部（１２）は穴として前記中間ケーシング（５）に穿設されていることを特徴とする、請求項５から７のいずれか１項に記載の遠心ポンプ。
請求項９：
前記開口部（１１）は穴として前記中間ケーシング（５）に穿設されていることを特徴とする、請求項２から８のいずれか１項に記載の遠心ポンプ。
請求項１０：
前記部材（１３）は前記開口部（１１）よりも大きく構成されていることを特徴とする、請求項３から９のいずれか１項に記載の遠心ポンプ。
請求項１１：
前記部材（１３）は円板状に構成されていることを特徴とする、請求項３から１０のいずれか１項に記載の遠心ポンプ。
請求項１２：
前記換気装置（８）は前記部材（１３）のためのストッパ（１４）を有していることを特徴とする、請求項３から１０のいずれか１項に記載の遠心ポンプ。
請求項１３：
前記換気装置（８）は前記中間ケーシング（５）の上側領域で好ましくは１２時の位置に配置されることを特徴とする、請求項１から１２のいずれか１項に記載の遠心ポンプ。
請求項１４：
請求項１から１３のいずれか１項に記載の遠心ポンプで圧力検査を実施する 方法において、次の各ステップを有し、すなわち、
前記遠心ポンプがプラントの中で組み立てられ、
前記遠心ポンプが作動媒体で充填され、
内側の圧力室（９）から中間ケーシング（５）を介して外側の圧力室（１０）へと空気を逃がす方法。

Claims (3)

1. バレルケーシング（１）と、内側の圧力室（９）を外側の圧力室（１０）から分離する少なくとも１つの中間ケーシング（５）とを有する遠心ポンプにおいて、
   前記中間ケーシング（５）の上側領域で、１２時の位置に配置された少なくとも１つの換気装置（８）を備え、
   前記換気装置（８）は、
   前記内側の圧力室（９）と前記外側の圧力室（１０）との間の媒体交換を解放または阻止するための部材（１３）と、
   穴として前記中間ケーシング（５）に穿設され、前記部材（１３）が中に配置される収容部（１２）と、
   穴として前記収容部（１２）の底面に穿設され、前記内側の圧力室（９）を前記外側の圧力室（１０）と接続する少なくとも１つの開口部（１１）と、
   前記収容部（１２）の壁部と前記部材（１３）との間の媒体交換のための自由横断面と、
   前記部材（１３）のためのストッパ（１４）とを備え、
   前記部材（１３）は前記開口部（１１）よりも大きく構成されていることを特徴とする、遠心ポンプ。
2. 前記部材（１３）は円板状に構成されていることを特徴とする、請求項１に記載の遠心ポンプ。
3. 請求項１または２に記載の遠心ポンプで圧力検査を実施するために、
   前記遠心ポンプをプラントの中で組み立て、
   前記遠心ポンプを作動媒体で充填し、
   内側の圧力室（９）から中間ケーシング（５）を介して外側の圧力室（１０）へ空気を逃がす方法。

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