JP6646570B2 - ロボット鉗子 - Google Patents

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Description

本発明は、液圧を利用してグリッパーの開閉を行うロボット鉗子に関する。
従来から、内視鏡手術などでは、ロボット鉗子が用いられている。例えば、特許文献1には、図7Aに示すような、液圧を利用してグリッパー103の開閉を行うロボット鉗子100が開示されている。このロボット鉗子100は手動で操作される。
具体的に、図7Aに示すロボット鉗子100は、操作部本体101、挿入管102及びグリッパー103を含む。操作部本体101には、グリッパー103用の開閉操作部104が設けられている。
グリッパー103は、図7Bに示すように、ガイド筒120内を摺動するピストン110と連結されている。すなわち、ピストン110及びガイド筒120は、挿入管102の先端部内に配置されている。一方、開閉操作部104には筒体140が設けられている。筒体140とガイド筒120とは、挿入管102内を通るチューブ130によって接続している。筒体140内にはシリンダ150が配置されており、プッシャ160の小径部がシリンダ150内に挿入され、プッシャ160の大径部が筒体140から露出している。
そして、プッシャ160を筒体140内に押し込むと、作動液がシリンダ150内から押し出され、ピストン110が前進してグリッパー103が開く。グリッパー103を閉じる際には、ロッド180を操作して弁体170を開状態とした上でプッシャ160を筒体140から引き出す。これにより、作動液がシリンダ150内に引き込まれ、ピストン110が後退してグリッパー103が閉じる。
特開昭63−160631号公報
しかしながら、図7A及び図7Bに示すロボット鉗子100では、ピストン110を前進又は後退させて、グリッパー103を開閉している。このため、グリッパー103の開閉に際し、直線運動するピストン110に加えて、この直線運動をグリッパー103を開閉させるための回転運動に変換する機構が必要になる。したがって、ロボット鉗子100が大型化してしまう。
そこで、本発明は、従来よりも小型化が可能なロボット鉗子を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明のロボット鉗子は、挿入管と、前記挿入管の先端に設けられたグリッパーと、を備え、前記グリッパーは、互いに対向して配置される第1爪部及び第2爪部と、前記第1爪部に接続し、第1圧力室内への作動液の供給により前記第1爪部を回転駆動する第1ロータリアクチュエータと、を有している。
上記の構成によれば、第1爪部をロータリアクチュエータにより回転駆動することにより、互いに対向して配置される第1爪部と第2爪部との間隔を変更してグリッパーを開閉することができる。このように、グリッパーの開閉に際し、第1爪部の回転運動に変換するための機構が必要ない。このため、ロボット鉗子を従来よりも小型化することができる。
このロボット鉗子では、前記第2爪部に接続し、第2圧力室内への作動液の供給により前記第2爪部を回転駆動する第2ロータリアクチュエータと、を備えていてもよい。この構成によれば、第1爪部及び第2爪部を第1ロータリアクチュエータ及び第2ロータリアクチュエータによって回転駆動することにより、グリッパーを開閉することができる。また、挿入管の先端において第1爪部及び第2爪部がそれぞれ回転移動することにより、挿入管の前方だけでなく、第1爪部及び第2爪部の回転方向の両側のそれぞれにグリッパーの開閉位置を変えることができる。
ロボット鉗子では、前記第1ロータリアクチュエータは、第1軸部、扇形状の第1窪みを有する第1ハウジングと、前記第1窪みを覆う第1蓋と、前記第1窪みと前記第1蓋とにより形成される第1空間を一対の前記第1圧力室に分割し、作動液の圧力により前記第1軸部を中心に回転する第1ベーンと有し、前記第2ロータリアクチュエータは、第2軸部、扇形状の第2窪みを有する第2ハウジングと、前記第2窪みを覆う第2蓋と、前記第2窪みと第2蓋とにより形成される第2空間を一対の前記第2圧力室に分割し、作動液の圧力により前記第2軸部を中心に回転する第2ベーンと有し、前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングは一体的に形成されていてもよい。この構成によれば、第1ハウジングと第2ハウジングを一体的に形成することにより、小型化及び低コスト化を図ることができる。
ロボット鉗子では、前記挿入管と前記グリッパーとの間に介在する手首部、をさらに備え、前記手首部は、第3圧力室内への作動液の供給により前記グリッパーを前記挿入管に対して回転駆動する第3ロータリアクチュエータを有していてもよい。この構成によれば、第3ロータリアクチュエータにより挿入管に対してグリッパーを回転駆動することにより、グリッパーを挿入管に対して屈曲(傾斜)させることができる。
ロボット鉗子では、前記第3ロータリアクチュエータは、第3軸部、扇形状の第3窪みを有する第3ハウジングと、前記第3窪みを覆う第3蓋と、前記第3窪みと前記第3蓋とにより形成される第3空間を一対の前記第3圧力室に分割し、作動液の圧力により前記第3軸部を中心に回転する第3ベーンと有し、前記第3ハウジングが前記グリッパーに固定されており、前記手首部は、前記第3軸部に固定され、且つ、前記挿入管に接続した支持部と、を有していてもよい。この構成によれば、第3軸部が固定された支持部に対しグリッパーに固定された第3ハウジングが回転する。これにより、支持部に接続する挿入管に対してグリッパーを屈曲(傾斜)させることができる。
また、ロボット鉗子では、前記第3空間は前記第3軸部に対して前記第1爪部及び前記第2爪部と反対側にあり、前記第3ベーンにより前記第3空間が仕切られた一対の前記第3圧力室のそれぞれに接続し、U字状に曲がる一対の流路部分と、前記挿入管を通過し、前記支持部と前記第3ロータリアクチュエータとの間を通り、一対の前記流路部分とそれぞれ接続する一対の配管と、をさらに備えていてもよい。
この構成によれば、配管と流路部分との接続部分を、第3軸部に近い位置に配置することができる。これにより、第3軸部に対して第3ハウジングが回転して手首部を屈曲した場合と屈曲していない場合との配管の移動距離の差を小さくすることができる。また、手首部を屈曲した場合に第3ロータリアクチュエータから突出する配管を小さくすることができる。
本発明によれば、従来よりも小型化が可能なロボット鉗子を提供することができるという効果を奏する。
本発明の第1実施形態に係るロボット鉗子の図である。 図2A及び図2Bは、図1のロボット鉗子の先端部の斜視図である。 図3Aは、図2Aのロボット鉗子を第2方向の第2a側から視た図であり、図2Bのロボット鉗子を第2方向の第2a側から視た図である。 図4Aは、図3AのA−A線により切断されたロボット鉗子の断面図であり、図4Bは、図3Aのロボット鉗子を前側から視た図であり、図4Cは、図3Bのロボット鉗子を後側から視た図である。 図2Aのロボット鉗子を第1方向の第1b側から視た図である。 図6Aは、図5のB−B線により切断されたロボット鉗子の断面図であり、図6Bは、図5のC−C線により切断されたロボット鉗子の断面図である。 図7Aは、従来のロボット鉗子の斜視図であり、図7Bは、従来のロボット鉗子の内部構造を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、説明の便宜上、挿入管の軸方向を前後方向(グリッパー側を前方、駆動ユニット側を後方)という。また、前後方向に対して直交する方向を第1方向(第1爪部側を第1a側、第2爪部側を第1b側)と称し、前後方向及び第1方向に直交する方向を第2方向(第1連結部側を第2a側、第2連結部側を第2b側)と称する。ただし、ロボット鉗子の方向はこれらの方向に限定されず、任意である。
(第1実施形態)
[ロボット鉗子の構成]
図1に、本発明の第1実施形態に係るロボット鉗子1を示す。このロボット鉗子1は、作動液の液圧を利用してグリッパー2の開閉を行うものである。作動液は、特に限定されるものではないが、例えば、水、生理食塩水及び油などである。
例えば、ロボット鉗子1は手術支援ロボットに用いられる。この場合、ロボット鉗子1がスレーブ側装置のマニピュレータに取り付けられ、マスタ側装置で医師により遠隔操作される。マニピュレータは、患者の皮膚に設けられた穴が支点となるようにロボット鉗子1の姿勢を自在に変更する。
具体的に、ロボット鉗子1は、駆動ユニット3と、駆動ユニット3から延びて患者の体内に挿入される挿入管4と、挿入管4の先端に手首部5を介して設けられたグリッパー2を含む。
挿入管4は、直線状に延びる高剛性の管である。挿入管4には、グリッパー2及び手首部5の各ロータリアクチュエータ30、40、60と駆動ユニット3とを繋ぐ一対の配管8が延びている。グリッパー2及び手首部5の詳細については後述する。
駆動ユニット3は、作動液を操作するための給排機構6を含む。給排機構6は、一対の爪部21、22及び手首部5を一方方向に移動させる際に一対の配管8の一方配管8を通じて各ロータリアクチュエータ30、40、60に作動液を供給する。また、給排機構6は、一対の爪部21、22及び手首部5を他方方向に移動させる際に一対の配管8の他方配管8を通じて各ロータリアクチュエータ30、40、60から作動液を供給又は排出する。なお、各ロータリアクチュエータ30、40、60には2つの圧力室があり、各圧力室に給排機構6が配管8により連結しているため、ロボット鉗子1には6つの給排機構6が備えられている。
具体的に、給排機構6は、配管8が接続したシリンダ6aと、シリンダ6a内に配置されたピストン6bを含む。シリンダ6aは、ピストン6bを摺動可能に保持する管状部と、管状部の前側開口を閉塞する前壁を有している。そして、ピストン6bとシリンダ6aの前壁との間に、配管8を介して各ロータリアクチュエータ30、40、60の圧力室と連通する圧力室が形成されている。ピストン6bは、ロッド6cにより直動機構7と連結されている。直動機構7は、モータ71の出力シャフト72と連結されており、モータ71の出力シャフト72の回転運動をロッド6cの直線運動に変換する。モータ71は、例えばサーボモータである。
[グリッパーの構成]
図2A〜図6Bにグリッパー2を示す。グリッパー2は、例えば、患部及び縫合用の針などを把持する。グリッパー2は、一対の爪部(第1爪部21及び第2爪部22)、及び第1支持部23を有する。第1爪部21及び第2爪部22は、互いに対向して配置され、互いの間隔を変更可能に相対移動する。
第1爪部21は、例えば、平面視において三角形状の平板であって、その頂点が前方になり、底辺が第1支持部23と間隔を空けて、第1連結部24により第1支持部23に接続している。第1連結部24は、第1爪部21の底部から第2方向の第2a側へ延び、後方へ曲がって、第1支持部23の第2方向の第2a側面に沿って延びる。第1連結部24の後部は、第1ロータリアクチュエータ30の第1軸部31に接続する。
第2爪部22は、例えば、平面視において三角形状の平板であって、その頂点が前方になり、底辺が第1支持部23と間隔を空けて、第2連結部25により第1支持部23に接続している。第2連結部25は、第2爪部22の底部から第2方向の第2b側へ延び、後方へ曲がって、第1支持部23の第1方向の第1b側面に沿って延びる。第2連結部25の後部は、第2ロータリアクチュエータ40の第2軸部41に接続する。
第1支持部23は、略直方体形状の本体を有している。第1支持部23には、第1ロータリアクチュエータ30及び第2ロータリアクチュエータ40が設けられている。
第1ロータリアクチュエータ30は、第1爪部21に接続し、第1爪部21を回転駆動する。第1ロータリアクチュエータ30は、第1軸部31、第1ハウジング32、第1蓋33及び第1ベーン34を有している。第1ハウジング32は、第1支持部23の本体に設けられており、例えば、本体の第2方向の第2a側に配置されている。第1ハウジング32には、底面が扇形状(例えば、半円状)の第1窪み35が設けられている。第1窪み35においてその扇形状の円弧部分は直線部分よりも前方にあり、第1窪み35の扇形状は前方のグリッパー2側に突出する。第1窪み35の開口は第1蓋33により覆われており、これにより第1ハウジング32には第1内部空間が設けられる。第1内部空間は第1軸部31よりも第1及び第2爪部21、31側にあり、第1内部空間には作動液が充填されている。
第1軸部31は、第1窪み35の扇形状の中心に設けられ、第2方向に延びて第1蓋33を貫通し、グリッパー2の第1連結部24に接続している。第1内部空間において、第1軸部31に第1ベーン34が接続している。第1ベーン34は、板状体であって、第1軸部31から第1窪み35の扇形状の径方向に延び、第1内部空間を一対の第1圧力室(第1a圧力室36aと第1b圧力室36bと)に区切る。
第1a圧力室36aの接続口は、第1窪み35の直線部分に設けられ、第1a流路部分37aに接続する。第1a流路部分37aは、第1支持部23の本体に設けられ、前後方向に延びて、挿入管4を通る第1a配管81aに接続する。第1a流路部分37a及び第1a配管81aは第1a管路を構成し、第1a圧力室36aは第1a管路を介して給排機構6(図1)に接続している。
第1b圧力室36bの接続口は、第1窪み35の直線部分に設けられ、第1b流路部分37bが接続する。第1b流路部分37bは、第1支持部23の本体に設けられ、前後方向に延びて、挿入管4を通る第1b配管81bに接続する。第1b流路部分37b及び第1b配管81bは第1b管路を構成し、第1b圧力室36bは第1b管路を介して給排機構6(図1)に接続している。
給排機構6により第1a及び第1b管路を介して第1a及び第1b圧力室36a、36bに作動液が供給される。この第1a圧力室36aと第1b圧力室36bとの作動液の圧力差によって第1ベーン34は第1軸部31を中心に回転する。そして、第1軸部31を介して第1ベーン34に接続する第1爪部21が移動する。
第2ロータリアクチュエータ40は、第2爪部22に接続し、第2爪部22を回転駆動する。第2ロータリアクチュエータ40は、第2軸部41、第2ハウジング42、第2蓋43及び第2ベーン44を有している。第2内部空間は、第2ハウジング42の第2窪み45と第2蓋43とにより形成され、第2ベーン44により一対の第2圧力室(第2a圧力室46aと第2b圧力室46bと)に区切られる。第2a圧力室46aに接続する第2a流路部分47a及びこれに接続する第2a配管82aは第2a管路を構成し、第2a圧力室46aは第2a管路を介して給排機構6(図1)に接続する。第2b圧力室46bに接続する第2b流路部分47b及びこれに接続する第2b配管82bは第2b管路を構成し、第2b圧力室46bは第2b管路を介して給排機構6(図1)に接続する。
第2ロータリアクチュエータ40は、第2方向に直交する面に対して第1ロータリアクチュエータ30と対称に第1支持部23に配置されている。このため、第2ロータリアクチュエータ40の各部については面対称を除いて第1ロータリアクチュエータ30の各部と同様であるため、その説明を省略する。
このように、第1支持部23において面対称に配置された第1ハウジング32及び第2ハウジング42は、第1支持部23の本体において一体的に形成されている。また、第1軸部31及び第2軸部41とは同一直線上に配置されている。
[手首部の構成]
図2A〜図6Bにグリッパー2及び手首部5を示す。手首部5は、挿入管4の先端に設けられ、グリッパー2と接続する部分であって、第2支持部51及び第3ロータリアクチュエータ60を有している。第2支持部51は円筒部52及び一対の伸延部53を有しており、円筒部52は挿入管4の先端に取り付けられる。
伸延部53は、略板状体であって、円筒部52から前方に延びる。一対の伸延部53は第1方向において互いに対向して配置され、円筒部52の周方向に沿って一対の伸延部53の互いの間に切欠き部が設けられる。
第3ロータリアクチュエータ60は、グリッパー2の第1支持部23に固定され、グリッパー2を挿入管4に対して回転駆動する。第3ロータリアクチュエータ60は、第3軸部61、第3ハウジング62、第3蓋63及び第3ベーン64を有している。第3ハウジング62は、例えば、直方体形状であって、その前面が第1支持部23の後面に接続し、一対の伸延部53の間であってその中心より第1方向の第1b側に配置されている。第3ハウジング62には、底面が扇形状(例えば、半円状)の第3窪み65が設けられている。第3窪み65においてその扇形状の円弧部分は直線部分よりも後方にあり、第1窪み35の扇形状は後方の挿入管4側に突出する。第3窪み65の開口は第3蓋63により覆われており、これにより第3ハウジング62には第3内部空間が設けられている。第3内部空間は第3軸部61よりも第1及び第2爪部21、31側と反対側(挿入管4側)にあり、第3内部空間には作動液が充填されている。
第3軸部61は、第3窪み65の扇形状の中心に設けられ、第1方向に延びて第3ハウジング62及び第3蓋63を貫通し一対の伸延部53のそれぞれに接続する。第3ベーン64は、板状体であって、その一方端が第3軸部61に接続し、第3軸部61から第3窪み65の扇形状の径方向に延び、第3内部空間を一対の第3圧力室(第3a圧力室66aと第3b圧力室66bと)に区切る。
第3a圧力室66aの接続口は、第3窪み65の直線部分に設けられ、第3a1流路部分(流路部分)67a1が接続する。第3a1流路部分67a1は、第3ハウジング62に設けられ、前方に延びて、第3a2流路部分(流路部分)67a2に接続する。第3a2流路部分67a2は、第1支持部23の本体に設けられ、本体の後端面から前方に延びてU字状に曲がって後方に延び、挿入管4を通る第3a(配管)配管83aに接続する。第3a1流路部分67a1、第3a2流路部分67a2及び第3a配管83aは第3a管路を構成し、第3a圧力室66aは第3a管路を介して給排機構6(図1)に接続している。
第3b圧力室66bの接続口は、第3窪み65の直線部分に設けられ、第3b1流路部分(流路部分)67b1が接続する。第3b1流路部分67b1は、第3ハウジング62に設けられ、前方に延びて、第3b2流路部分(流路部分)67b2に接続する。第3b2流路部分67b2は、第1支持部23の本体に設けられ、本体の後端面から前方に延びてU字状に曲がって後方に延び、挿入管4を通る第3b配管(配管)83bに接続する。第3b1流路部分67b1、第3b2流路部分67b2及び第3b配管83bは第3b管路を構成し、第3b圧力室66bは第3b管路を介して給排機構6(図1)に接続している。
また、第2支持部51の一方側(第2b側)に第3ロータリアクチュエータ60が配置され、各管路の流路部分37a、37b、47a、47b、67a2、67b2と配管8との接続部分26が第2支持部51の他方側(第2a側)に配置されている。なお、配管8は、第1a配管81a、第1b配管81b、第2a配管82a、第2b配管82b、第3a配管83a、第3b配管83bを含む。以下、これらを区別する必要がない場合、単に配管8と称することがある。また、第1a配管81aと第1b配管81bとが対であり、第2a配管82aと第2b配管82bとが対であり、第3a配管83aと第3b配管83bとが対である。
このように、第2支持部51の第1b側の伸延部53と配管8及びその接続部分26との間に第3ロータリアクチュエータ60が配置される。第2支持部51の第1a側の伸延部53と第3ロータリアクチュエータ60との間に配管8及びその接続部分26が配置される。この配管8は互いに平行であって、挿入管4に延びている。このうち、第2方向に並ぶ一対の配管8は、その互いの間に第3ロータリアクチュエータ60の第3軸部61を挟んで、第2支持部51及び挿入管4における第2方向に延びる中心線に対して線対称に配置されている。
[ロボット鉗子の動作方法]
図1〜図6Bに示すように、給排機構6により各管路を介してグリッパー2の第1及び第2ロータリアクチュエータ30、40に作動液を供給又は排出する。作動液は、各管路により各接続口を通り第1及び第2ロータリアクチュエータ30、40の各圧力室36a、36b、46a、46bに流入又は各圧力室36a、36b、46a、46bから流出する。隣接する各圧力室36a、36b、46a、46b間の第1及び第2ベーン34、44に作動液の圧力が加わり、隣接する各圧力室36a、36b、46a、46b間の圧力差によって第1及び第2ベーン34、44がこれに接続する第1及び第2軸部31、41と共に回転する。この回転に伴い、第1及び第2軸部31、41に第1及び第2連結部24、25により接続する第1及び第2爪部21、22は、第1及び第2ロータリアクチュエータ30、40が設けられた第1支持部23に対して傾斜する。
例えば、隣接する圧力室36a、36b、46a、46bにより構成される第1及び第2内部空間は半円形状である。この場合、第1及び第2ベーン34、44は第1方向に約180°(前後方向に対し±約90°)回転し、これに連結される第1及び第2爪部21、22も第1方向に約180°傾斜する。なお、約180°は180°及びこれに製造誤差などを含む値であり、約90°は90°及びこれに製造誤差などを含む値である。
このように傾斜する第1爪部21及び第2爪部22が相対的に移動することにより、対向して配置される第1爪部21及び第2爪部22の互いの間隔を拡げたり狭めたりすることができる。この第1爪部21及び第2爪部22の互いの間隔を狭める(グリッパー2を閉じる)ことにより、体内組織及び器具などの把持対象物を第1爪部21及び第2爪部22により挟んで把持することができる。一方、第1爪部21及び第2爪部22の互いの間隔を拡げる(グリッパー2を開く)ことにより、第1爪部21及び第2爪部22により挟んでいた把持対象物を放すことができる。
なお、第1爪部21は第1ロータリアクチュエータ30により駆動し、第2爪部22は第2ロータリアクチュエータ40により駆動する。このため、第1爪部21及び第2爪部22はそれぞれ独立して動くこともでき、また、連動させて動くこともできる。さらに、第1爪部21及び第2爪部22は、その一方を固定し、他方のみが動いてもよい。
また、給排機構6により挿入管4内の各管路を介して手首部5の第3ロータリアクチュエータ60に作動液を供給又は排出する。作動液は、各管路により各接続口を通り第3ロータリアクチュエータ60の各圧力室66a、66bに流入又は各圧力室66a、66bから流出する。隣接する各圧力室66a、66b間の第3ベーン64に作動液の圧力が加わり、隣接する各圧力室66a、66b間の圧力差によって各圧力室66a、66bを構成する第3ハウジング62が第3ベーン64及びこれに接続する第3軸部61に対して回転する。この回転に伴い、第3ハウジング62に第1支持部23を介して接続する第1及び第2爪部21、22は、第3軸部61と接続する第3支持部に対して傾斜する。この傾斜方向は、第1方向に延びる第3軸部61に対して垂直な方向(第2方向)である。また、傾斜範囲は、その内部に第3ベーン64が配置された第3内部空間が半円形状である場合、第3内部空間を有する第3ハウジング62は約180°(前後方向に対し±約90°)回転するため、これに連結された第1及び第2爪部21、22も約180°傾斜する。なお、約180°は180°及びこれに製造誤差などを含む値であり、約90°は90°及びこれに製造誤差などを含む値である。
[作用、効果]
このように、第1及び第2ロータリアクチュエータ30、40は第1及び第2爪部21、22を回転駆動する。このため、第1及び第2爪部21、22を駆動するための回転運動に変換する機構が必要ない。よって、ロボット鉗子1を小型化することができ、例えば、体内の限られたスペースにおける手術にロボット鉗子1を用いることができる。
また、第1及び第2爪部21、22を駆動する第1及び第2ベーン34、44は、第1及び第2ロータリアクチュエータ30、40内において回転する。このため、第1及び第2ベーン34、44が動作するための空間を別途、設ける必要がない。よって、ロボット鉗子1を小型化することができる。
さらに、第1及び第2爪部21、22は、これを駆動する第1及び第2ロータリアクチュエータ30、40の各軸部31、41に接続している。よって、第1及び第2爪部21、22とこの駆動部との間にワイヤー及びプーリー等の動力伝達機構を設ける必要がない。このため、動力伝達機構における摩擦などによる第1及び第2爪部21、22の動力の損失がなく、第1及び第2爪部21、22による把持力の低下を抑制することができる。また、プーリーによるワイヤー摩耗などの動力伝達機構の劣化がなく、この劣化によるロボット鉗子1の耐久性の低下を抑制することができる。
さらに、第1及び第2爪部21、22が第1及び第2ロータリアクチュエータ30、40により前後方向に対し±約90°傾斜し、その可動範囲が広い。また、第1爪部21と第2爪部22とが独立して回転移動することができる。このため、第1及び第2爪部21、22は、挿入管4の前方だけでなく、それよりも第1方向の第1a側又は第1b側(第1及び第2爪部21、22の回転方向の両側のそれぞれ)に移動させて、グリッパー2を開閉することができる。よって、挿入管4に対してグリッパー2の開閉位置を変えるために第1及び第2爪部21、22を第1a側及び第1b側に移動させるための機構が必要なく、ロボット鉗子1を簡素化でき、また、別の機構を操作する必要がなく、操作性に優れる。
また、第1ハウジング32と第2ハウジング42とは第1支持部23の本体に一体的に形成されている。このため、これらを別体で設けた場合よりもコスト及び製造工程よりも少なく抑えることができる。
さらに、第3a2及び第3b2流路部分67a2、67b2が第1方向にU字状に曲がり、第3a及び第3b配管83a、83bとの接続部分26が第3ロータリアクチュエータ60と第2支持部51の第1a側伸延部53との間に配置されている。このため、手首部5が傾斜して屈曲する際の第3a及び第3b配管83a、83bの突出及び長さの差を小さくすることができる。
つまり、第3ロータリアクチュエータ60の接続口が第3a及び第3b圧力室66a、66bの後部に設けられると、この接続口に接続する各流路部分が後方に延びて、第3ハウジング62の後部で第3a及び第3b配管83a、83bに接続する。このため、流路部分と第3a及び第3b配管83a、83bとの接続部分26が第3ロータリアクチュエータ60の後部に位置し、第3軸部61から離れて設けられる。よって、第3ロータリアクチュエータ60が回転して手首部5を屈曲した際に、第3a及び第3b配管83a、83bが第3ロータリアクチュエータ60から第2方向に延びてから後方へ曲がるため、第3ロータリアクチュエータ60から突出してしまう。また、手首部5を屈曲した場合と屈曲していない場合との第3a及び第3b配管83a、83bの長さの差が大きい。
これに対して、第3ロータリアクチュエータ60の各圧力室66a、66bの接続口が前方に設けられ、この接続口に第3a1及び第3b1流路部分67b1を介して接続する第3a2及び第3b2流路部分67a2、67b2をU字状に曲げて、第3a及び第3b配管83a、83bに接続する。これにより、第3a2及び第3b2流路部分67a2、67b2と第3a及び第3b配管83a、83bとの接続部分26を第3軸部61に近づけて設けることができる。このため、手首部5を屈曲した場合と屈曲していない場合との第3a及び第3b配管83a、83bの長さの差が小さい。このため、第3a及び第3b配管83a、83bに伸縮しないパイプを用いることができる。
また、手首部5を屈曲した際に、第3a及び第3b配管83a、83bが第1支持部23から第2方向に延びてから後方へ曲がる。この接続部分26が第3ロータリアクチュエータ60と第2支持部51の第1a側伸延部53との間の第1支持部23の後部に位置する。このため、第3a及び第3b配管38a、83bが第3ロータリアクチュエータ60から突出することを抑えることができる。
また、第2支持部51において第1b側に第3ロータリアクチュエータ60が配置され、第1a側に各管路の流路部分と配管8との接続部分26が配置されている。これにより、第3ロータリアクチュエータ60の第1b側に接続部分26が設けられないため、第3ロータリアクチュエータ60の第1b側に第3蓋63が配置される。よって、第1b側から第3ハウジング62の第3窪み65等の内部加工を行うことができる。また、第1b側から第3ハウジング62に第3蓋63を容易に取り付けることができる。
(その他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
例えば、上記の実施形態において、第1ロータリアクチュエータ30の第1窪み35の内面、及び、これに接する第1ベーン34の端面の少なくともいずれか一方にコーティング等の表面処理が施されていてもよい。これにより、第1窪み35と第1ベーン34との間の液密性を確保して、第1ベーン34に連結する第1爪部21の移動精度を高く維持することができる。しかもこれらの摩耗を低減して、耐久性を向上することができる。また、これと同様に、第2ロータリアクチュエータ40の第2窪み45の内面、及び、これに接する第2ベーン44の端面の少なくともいずれか一方、並びに、第3ロータリアクチュエータ60の第3窪み65の内面、及び、これに接する第3ベーン64の端面の少なくともいずれか一方にコーティング等の表面処理が施されていてもよい。
上記の実施形態において、第1爪部21及び第2爪部22の両方を移動可能にロボット鉗子1に設けたが、第2爪部22が固定されていてもよい。この場合、第2爪部22に接続される第2ロータリアクチュエータ40がロボット鉗子1に設けられていなくてもよい。この場合であっても、第1ロータリアクチュエータ30が接続した第1爪部21が第2爪部22に対して移動し、これらの間隔を変更可能であり、グリッパー2を開閉することができる。
上記の実施形態において、手首部5は第3ロータリアクチュエータ60により構成されていたが、手首部5はワイヤー及びこれを操作するための機構により構成されていてもよい。この場合、ワイヤーを引っ張ることによりグリッパー2が挿入管4に対して傾斜して屈曲する。
上記の実施形態において、直動機構7及びモータ71が省略され、ピストン6bが手動で操作されてもよい。
上記の実施形態において、挿入管4がフレキシブルであり、挿入管4内に所定ピッチでリングが設けられ、これらのリングで各配管8がガイドされてもよい。
上記の実施形態において、給排機構6は、必ずしもシリンダ6a及びピストン6bを含む必要はなく、小型の回転式ポンプであってもよい。この場合、モータ71とポンプとの間にギアボックスを介在させてもよい。
1 :ロボット鉗子
2 :グリッパー
4 :挿入管
5 :手首部
21 :第1爪部
22 :第2爪部
36a :第1a圧力室(第1圧力室)
36b :第1b圧力室(第1圧力室)
30 :第1ロータリアクチュエータ
31 :第1軸部
32 :第1ハウジング
33 :第1蓋
34 :第1ベーン
35 :第1窪み
40 :第2ロータリアクチュエータ
41 :第2軸部
42 :第2ハウジング
43 :第2蓋
44 :第2ベーン
45 :第2窪み
46a :第2a圧力室(第2圧力室)
46b :第2b圧力室(第2圧力室)
51 :第2支持部(支持部)
60 :第3ロータリアクチュエータ
61 :第3軸部
62 :第3ハウジング
63 :第3蓋
64 :第3ベーン
65 :第3窪み
66a :第3a圧力室(第3圧力室)
66b :第3b圧力室(第3圧力室)
67a1 :第3a1流路部分(流路部分)
67a2 :第3a2流路部分(流路部分)
67b1 :第3b1流路部分(流路部分)
67b2 :第3b2流路部分(流路部分)
83a :第3a配管(配管)
83b :第3b配管(配管)

Claims (5)

  1. 挿入管と、
    前記挿入管の先端に設けられたグリッパーと、を備え、
    前記グリッパーは、
    互いに対向して配置される第1爪部及び第2爪部と、
    前記第1爪部に接続し、第1圧力室内への作動液の供給により前記第1爪部を回転駆動する第1ロータリアクチュエータと、
    前記第2爪部に接続し、第2圧力室内への作動液の供給により前記第2爪部を回転駆動する第2ロータリアクチュエータと、を有し、
    前記第1ロータリアクチュエータは、第1軸部、扇形状の第1窪みを有する第1ハウジングと、前記第1窪みを覆う第1蓋と、前記第1窪みと前記第1蓋とにより形成される第1空間を一対の前記第1圧力室に分割し、作動液の圧力により前記第1軸部を中心に回転する第1ベーンと有し、
    前記第2ロータリアクチュエータは、第2軸部、扇形状の第2窪みを有する第2ハウジングと、前記第2窪みを覆う第2蓋と、前記第2窪みと第2蓋とにより形成される第2空間を一対の前記第2圧力室に分割し、作動液の圧力により前記第2軸部を中心に回転する第2ベーンと有し、
    前記第1ハウジング及び前記第2ハウジングは一体的に形成されている、ロボット鉗子。
  2. 前記挿入管と前記グリッパーとの間に介在する手首部、をさらに備え、
    前記手首部は、第3圧力室内への作動液の供給により前記グリッパーを前記挿入管に対して回転駆動する第3ロータリアクチュエータを有している、請求項に記載のロボット鉗子。
  3. 前記第3ロータリアクチュエータは、第3軸部、扇形状の第3窪みを有する第3ハウジングと、前記第3窪みを覆う第3蓋と、前記第3窪みと前記第3蓋とにより形成される第3空間を一対の前記第3圧力室に分割し、作動液の圧力により前記第3軸部を中心に回転する第3ベーンと有し、
    前記第3ハウジングが前記グリッパーに固定されており、
    前記手首部は、前記第3軸部に固定され、且つ、前記挿入管に接続した支持部を有している、請求項に記載のロボット鉗子。
  4. 挿入管と、
    前記挿入管の先端に設けられたグリッパーと、を備え、
    前記グリッパーは、
    互いに対向して配置される第1爪部及び第2爪部と、
    前記第1爪部に接続し、第1圧力室内への作動液の供給により前記第1爪部を回転駆動する第1ロータリアクチュエータと、
    前記第2爪部に接続し、第2圧力室内への作動液の供給により前記第2爪部を回転駆動する第2ロータリアクチュエータと、を有し、
    前記挿入管と前記グリッパーとの間に介在する手首部、をさらに備え、
    前記手首部は、第3圧力室内への作動液の供給により前記グリッパーを前記挿入管に対して回転駆動する第3ロータリアクチュエータを有し、
    前記第3ロータリアクチュエータは、第3軸部、扇形状の第3窪みを有する第3ハウジングと、前記第3窪みを覆う第3蓋と、前記第3窪みと前記第3蓋とにより形成される第3空間を一対の前記第3圧力室に分割し、作動液の圧力により前記第3軸部を中心に回転する第3ベーンと有し、
    前記第3ハウジングが前記グリッパーに固定されており、
    前記手首部は、前記第3軸部に固定され、且つ、前記挿入管に接続した支持部を有している、ロボット鉗子。
  5. 前記第3空間は前記第3軸部に対して前記第1爪部及び前記第2爪部と反対側にあり、
    前記第3ベーンにより前記第3空間が仕切られた一対の前記第3圧力室のそれぞれに接続し、U字状に曲がる一対の流路部分と、
    前記挿入管を通過し、前記支持部と前記第3ロータリアクチュエータとの間を通り、一対の前記流路部分とそれぞれ接続する一対の配管と、をさらに備えている、請求項3又は4に記載のロボット鉗子。
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