JP6646294B2 - バルブ付加物による抵抗軽減船首形状及び抵抗軽減船首形状を有した船舶 - Google Patents
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Description
ここで、特許文献1には、波浪中抵抗増加の低減を目的として、船首バルブに左右対称に設置するフィンを、所定の位置、かつ、フィン前端部がフィン後端部よりも上方となるように傾斜して取り付けた船首フィン付き船舶が記載されている。
また、特許文献2には、船首部の左舷及び右舷それぞれから突出する船首翼と、船舶の上下揺と縦揺と横揺とを同時に抑制するように左右の船首翼の翼角をそれぞれ独立に制御する制御手段とを備えた動揺抑制装置が記載されている。
また、特許文献3には、船舶の両舷側部に配置され上下方向に俯仰自在に枢支された推進用フィンと、推進用フィンの枢支軸を回転駆動させて仰角を可変制御するためのフィン角制御手段とを備えた波力フィン推進装置が記載されている。
これに対し、発明者らは、船首バルブを有した船舶についての実験の結果、図10の船速−波浪中抵抗増加の関係に示す通り、波浪中抵抗は一定の船速までは単調増加するが、その一定の船速を越えると単調減少することを見出した。図10において、横軸はフルード数(Fn)で示した船速であり、縦軸は波浪中抵抗増加係数(KAW)である。Fn=0.13までは波浪中抵抗増加係数(KAW)が単調増加し、Fn=0.13を超えると単調減少していることが分かる。
このように一定の船速を越えると波浪中抵抗が単調減少するのは、船首バルブ2にかかる波は、船速が遅いときは水位が低いので船首バルブ2に乗り上がらないが、船速が速いときは水位が上昇して船首バルブ2に乗り上がるためであり、したがって、船首バルブ2の上面2aに乗り上がる波の数量を増やすことによって、船速が低速〜中速のとき又は波高が小〜中程度の大きさのときであっても抵抗を軽減できると考えられる。
ここで、特許文献1は、船首バルブよりも長く、フィン前端部がフィン後端部よりも上方となるように傾斜して取り付けたフィンによって波の上昇を抑えるものであるから、船首バルブに乗り上がる波の数量は少なくなってしまう。また、フィンが船首バルブよりも長いので、フィン自体による抵抗が大きくなってしまう。
また、特許文献2及び特許文献3についても、船首翼又は推進用フィンにより船首バルブの上面に乗り上がる波の数量を増やすことによって抵抗を軽減するものではない。また、船首翼又は推進用フィン自体の抵抗を考慮して船首翼又は推進用フィンの長さを定めるものではない。
請求項1に記載の本発明によれば、造波誘起手段によって船首バルブにかかる波が誘起されて水位が上昇するので、バラスト状態での走行時において、船首バルブの上面に乗り上がる波の数量が増え、抵抗軽減効果を得やすくなる。また、造波誘起手段を前下がりに設けることで、船首バルブの上面に波がより一層乗り上がりやすくなる。
請求項2に記載の本発明によれば、造波誘起手段によって船首バルブにかかる波が誘起されて水位が上昇するので、バラスト状態での走行時において、船首バルブの上面に乗り上がる波の数量が増え、抵抗軽減効果を得やすくなる。また、波浪中の抵抗を軽減することができる。
請求項3に記載の本発明によれば、造波誘起手段によって船首バルブにかかる波が誘起されて水位が上昇するので、バラスト状態での走行時において、船首バルブの上面に乗り上がる波の数量が増え、抵抗軽減効果を得やすくなる。また、平水中の抵抗を軽減することができる。
請求項4に記載の本発明によれば、造波誘起手段が長くなり過ぎないようにすることで、船首バルブの上面に有効に波を乗り上げさせることができ、また造波誘起手段自体の抵抗を少なくすることができる。
請求項5に記載の本発明によれば、船首バルブの上面に効率よく波を乗り上げさせることができる。
請求項6に記載の本発明によれば、造波抵抗手段が、満載状態での走行時の摩擦抵抗増加の原因となることを防止できる。
請求項7に記載の本発明によれば、造波誘起手段を収納しやすい。
請求項8に記載の本発明によれば、造波誘起手段によって水位が上昇しても船首バルブの上面に乗り上がらない波であっても、船首バルブを流れ過ぎることができる。船首バルブではね返されずに後方に流れ去る波の数量が増えることによって抵抗軽減効果を得ることができる。
請求項9に記載の本発明によれば、バルブを上下2段に形成することで、船首バルブにかかる波が小さい場合であっても、その波が下段バルブに乗り上がることによる抵抗軽減効果を得ることができる。また、下段バルブの上面に乗り上がらないほど更に小さい波であっても、下段バルブに設けた造波誘起手段によって水位が上昇して下段バルブの上面に波が乗り上がりやすくなり、抵抗を軽減できる。
請求項10に記載の本発明によれば、バルブを上下2段に形成することで、船首バルブにかかる波が小さい場合であっても、その波が下段バルブに乗り上がることによる抵抗軽減効果を得ることができる。また、下段バルブの上面に乗り上がらないほど更に小さい波であっても、下段バルブに設けた造波誘起手段によって水位が上昇して下段バルブの上面に波が乗り上がりやすくなり、抵抗を軽減できる。
請求項11に記載の本発明によれば、バルブを上下2段に形成することで、船首バルブにかかる波が小さい場合であっても、その波が下段バルブに乗り上がることによる抵抗軽減効果を得ることができる。また、造波誘起手段によって静的水位上昇が大きくなり下段バルブの上面に波が乗り上がりやすくなるので、平水中の抵抗を軽減することができる。
請求項12に記載の本発明によれば、バルブを上下2段に形成することで、船首バルブにかかる波が小さい場合であっても、その波が下段バルブに乗り上がることによる抵抗軽減効果を得ることができる。また、造波誘起手段によって静的水位上昇が大きくなり下段バルブの上面に波が乗り上がりやすくなるので、平水中の抵抗を軽減することができる。
請求項13に記載の本発明によれば、船舶において、バラスト状態での走行時の抵抗を軽減することができる。
請求項14に記載の本発明によれば、肥大船において、バラスト状態での走行時の抵抗を軽減することができる。
図1は本発明の一実施形態によるバルブ付加物による抵抗軽減船首形状を示す図であり、図1(a)は側面図、図1(b)は正面図、図1(c)は上面図である。
また、図2は船速と波浪中抵抗増加の関係を示す図である。
船首バルブ20の側面には、バルブ付加物としてフィン状のフィン30を備えている。なお、「フィン状」には、板状、翼状のものを含む。
フィン30は、船舶のバラスト状態での走行時に船首バルブ20の上面20aに乗り上げる波を誘起する造波誘起手段である。フィン30は、船首バルブ20の両側面に設けられており、船首バルブ20の側方に突出している。
また、フィン30は、船舶毎の代表的な速度として設計時に設定されている航海速力で波の無い状態である平水中を走行するときに生じる水面の盛り上がり位置であるバラスト状態・静的水位上昇位置Aよりも上方に設けられている。フィン30をバラスト状態・静的水位上昇位置Aよりも上方に設けることによって、波浪中抵抗を軽減することができる。なお、バラスト状態・静的水位上昇位置Aは、図1(b)に示すように、船幅方向に減衰する。
したがって、フィン30を備えない従来型の船舶の場合は、波浪中をバラスト状態で低速力〜中速力で走行するときに、破線X1で示す波は船首バルブ20の上面20aに乗り上がらない。船首バルブ20にかかる波の水位は船舶の速力が上がるにつれて徐々に上昇するので、船首バルブ20にかかる波の水位が船首バルブ20の上面20aよりも高くなる速力に到達した場合に、ようやく波が船首バルブ20の上面20aに乗り上がることによる抵抗軽減効果を得ることができる。
これに対して本実施形態のフィン30を備える船舶の場合は、波浪中をバラスト状態で低速力〜中速力で走行するときに、破線X1で示す波はフィン30によって誘起されて水位が上昇し、船首バルブ20の上面20aよりも高い波(実線X2)となる。したがってフィン30を備える場合には、船舶が低速力〜中速力で走行するときにも、波が船首バルブ20の上面20aに乗り上がることによる抵抗軽減効果を得ることができる。
このように、フィン30によって船首バルブ20にかかる波が誘起されて水位が上昇するので、バラスト状態での走行時において、船首バルブ20の上面20aに乗り上がる波の数量が増え、抵抗軽減効果を得やすくなる。
すなわち、図2に示すように、本実施形態による船舶(実線矢印α)は、従来型の船舶(破線矢印β)に比べて、波浪中抵抗が単調増加から単調減少に転じるときの船速が遅い。したがって、増速時には、船首バルブ20の上面20aに波が乗り上がることによる抵抗軽減効果を早い段階から得ることができる。また、減速時には、船首バルブ20の上面20aに波が乗り上がることによる抵抗軽減効果をより長く得ることができる。
また、フィン30の船舶の前後方向の長さLFは、船首バルブ20の船舶の前後方向の長さLVよりも短く形成されている。フィン30自体も抵抗となりうるので、フィン30が長すぎるとフィン30を設けることによる抵抗軽減効果が薄れてしまう。そこで、フィン30の長さLFを船首バルブ20の長さLVを超えないものとすることで、フィン30自体の抵抗を少なくしている。このため、波を船首バルブ20後方の船体に導くことを無くし、また前方の水面の盛り上がりを押さえることなく、船首バルブ20の上面20aに有効に波を乗り上げさせることができる。
図1(c)に示すように、フィン30は、幅方向(矢印γ)に収納可能に構成してもよいが、船尾方向(矢印σ)に収納可能に構成したほうがフィン30を収納しやすいのでより好ましい。船尾方向に収納可能に構成した場合において、フィン30を収納するときは、取り付け部33を中心としてフィン30を船尾方向に回転させて船首バルブ20内に保持し、フィン30を張出すときは、取り付け部33を中心としてフィン30を船首方向に回転させて船首バルブ20の側方に突出させた状態で保持する。
例えば、周期が短く波高が大きい波のときは波の傾斜が急なので、それに合わせてフィン30の傾斜角度も急にする(静止水面Bに対して後端部32よりも前端部31がより低くなるようにする)。また、波高が大きくても周期が長い波のときは波の傾斜が緩やかなので、それに合わせて前端部31をやや起こしてフィン30の傾斜角度を緩やかにする。
このようにフィン30の角度を波の傾斜に合わせて変更するように制御することで、波がフィン30を駆け上がりやすくなる。したがって、船首バルブ20の上面20aに効率よく波を乗り上げさせることができる。
船首バルブ120のステムラインを上下2段に形成し、下段バルブ121を上段バルブ122よりも前方に突出させるとともに、フィン30(30A、30B)を下段バルブ121の両側面と上段バルブ122の両側面に設けている。また、下段バルブ121のフィン30Aをバラスト状態・静的水位上昇位置Aよりも上方に配置している。
破線X3は、船舶が波浪中をバラスト状態で低速力で走行するときに船首バルブ120にかかる波を示す。破線X3で示す波の水位は、下段バルブ121の上面121aよりも低い。
破線X5は、船舶が波浪中をバラスト状態で中速力で走行するときに船首バルブ120にかかる波を示す。破線X5で示す波の水位は、下段バルブ121の上面121aよりも高く、上段バルブ122の上面122aよりも低い。
しかし、破線X3で示す波の水位は、下段バルブ121の上面121aよりも低いので、フィン30を備えない船舶の場合は、破線X3で示す波は下段バルブ121の上面121aに乗り上がることができず、抵抗軽減効果を得ることができない。
これに対して本実施形態のフィン30を備える船舶の場合は、破線X3で示す波は、フィン30Aによって誘起されて水位が上昇し、下段バルブ121の上面121aよりも高い波(実線X4)となり、下段バルブ121の上面121aに乗り上がる。したがって、抵抗軽減効果を得ることができる。
これに対して本実施形態のフィン30を備える船舶の場合は、破線X5で示す波は、フィン30Bによって誘起されて水位が上昇し、上段バルブ122の上面122aよりも高い波(実線X6)となり、上段バルブ122の上面122aに乗り上がる。したがって、フィン30Bを備える場合には、船首バルブ120に乗り上がる波の数量が増えるので、抵抗軽減効果をより一層得やすくなる。
図4(a)に示すように、船首バルブ220のフレームラインを上下2段に形成し、下段バルブ221を上段バルブ222よりも幅方向に張り出させている。
また、図4(b)は図4(a)の変形例であり、船首バルブ320のフレームラインを上下2段に形成し、下段バルブ321を上段バルブ322よりも幅方向に張り出させ、さらに上段バルブ322の側端上部を幅方向へ張り出している。なお、上段バルブ322の張り出した側端上部の部分は、下段バルブ321の側端よりも側方には張り出していない。このように、上段バルブ322を部分的に幅方向に再張り出しさせることによって、上段バルブ322の波が乗り上がる部分である上面322aを広くすることができ、波が上段バルブ322の上面322aに乗り上がることによる抵抗軽減効果をより得ることができる。
また、下段バルブ221、321のフィン30Aをバラスト状態・静的水位上昇位置Aよりも上方に配置している。
破線X7は、船舶が波浪中をバラスト状態で低速力で走行するときにバルブ220、320にかかる波を示す。破線X7で示す波の水位は、下段バルブ221、321の上面221a、321aよりも低い。
破線X9は、船舶が波浪中をバラスト状態で中速力で走行するときに船首バルブ220、320にかかる波を示す。破線X9で示す波の水位は、下段バルブ221、321の上面221a、321aよりも高く、上段バルブ222、322の上面222a、322aよりも低い。
しかし、破線X7で示す波の水位は、下段バルブ221、321の上面221a、321aよりも低いので、フィン30を備えない船舶の場合は、破線X7で示す波は下段バルブ221、321の上面221a、321aに乗り上がることができず、抵抗軽減効果を得ることができない。
これに対して本実施形態のフィン30を備える船舶の場合は、破線X7で示す波は、フィン30Aによって誘起されて水位が上昇し、下段バルブ221、321の上面221a、321aよりも高い波(実線X8)となり、下段バルブ221、321の上面221a、321aに乗り上がる。したがって、抵抗軽減効果を得ることができる。
これに対して本実施形態のフィン30を備える船舶の場合は、破線X9で示す波は、フィン30Bによって誘起されて水位が上昇し、上段バルブ222、322の上面222a、322aよりも高い波(実線X10)となり、上段バルブ222、322の上面222a、322aに乗り上がる。したがって、フィン30Bを備える場合には、船首バルブ220、320に乗り上がる波の数量が増えるので、抵抗軽減効果をより一層得やすくなる。
図5(a)は1段に形成した船首バルブ420を示し、図5(b)はフレームラインを上下2段に形成した船首バルブ520を示す。
図5(a)において、船首バルブ420の両側面には、フィン30が設けられている。なお、図5(a)では、片側のフィン30を省略している。
図5(b)において、下段バルブ521の両側面と上段バルブ522の両側面には、フィン30(30A、30B)が設けられている。
船首バルブ420は、船舶を正面視した場合に、船首バルブ420の頂点と船首バルブ420の側端のうち船首バルブ420の半分の高さH2の位置にある側端とを結ぶ仮想線Zを仮定すると、仮想線Zと船体中心線Yとが成す角度θが60度以下となるように形成されている。このように仮想線Zと船体中心線Yとが成す角度θを60度以下として船首バルブ420の横幅を所定以下にすることで、仮想線Zと船体中心線Yとが成す角度θが60度より大きい場合と比べて、船首バルブ420の側面を急傾斜にすることができる。
また、図5(b)においても同様に、船首バルブ520の最下点から頂点までのバルブ高さはH1であり、バルブ高さH1の半分(1/2)の高さはH2である。
船首バルブ520は、船舶を正面視した場合に、船首バルブ520の頂点と船首バルブ520の側端のうち船首バルブ520の半分の高さH2の位置にある側端とを結ぶ仮想線Zを仮定すると、仮想線Zと船体中心線Yとが成す角度θが60度以下となるように形成されている。このように仮想線Zと船体中心線Yとが成す角度θを60度以下として船首バルブ520の横幅を所定幅以下にすることで、仮想線Zと船体中心線Yとが成す角度θが60度より大きい場合と比べて、上段バルブ522の側面を急傾斜にすることができる。
破線X11は、船舶が波浪中をバラスト状態で中速力で走行するときに船首バルブ420、520にかかる波を示す。破線X11で示す波の水位は、船首バルブ420の上面420a及び上段バルブ522の上面522aよりも低い。
しかし、船首バルブ420の側面及び上段バルブ522の側面は、仮想線Zと船体中心線Yとが成す角度θが60度より大きい場合と比べて急傾斜となるように形成されているので、実線X12で示す波は、船首バルブ420、520を流れ過ぎることができる。このように船首バルブ420、520ではね返されずに後方に流れ去る波の数量が増えることによって、抵抗軽減効果を得ることができる。
船首バルブ620の側面には、フィン30を備えている。フィン30は、船首バルブ620の側面に左右対称に設けられており、船首バルブ620の側方に突出している。
フィン30の取り付け部33は、船舶毎の代表的な速度として設計時に設定されている航海速力で波の無い状態である平水中を走行するときに生じる水面の盛り上がり位置であるバラスト状態・静的水位上昇位置Aよりも下方で、バラスト状態での静止水面Bよりも上方に配置されている。図6(b)において点線Eは、フィン30の取り付け位置の高さを示す。
また、図6(b)において、船首バルブ620の最下点から頂点までのバルブ高さはH1であり、バルブ高さH1の半分(1/2)の高さはH2である。
船首バルブ620は、船舶を正面視した場合に、船首バルブ620の頂点と船首バルブ620の側端のうち船首バルブ620の半分の高さH2の位置にある側端とを結ぶ仮想線Zを仮定すると、仮想線Zと船体中心線Yとが成す角度θが60度以下となるように形成されている。このように仮想線Zと船体中心線Yとが成す角度θを60度以下として船首バルブ620の横幅を所定以下にすることで、仮想線Zと船体中心線Yとが成す角度θが60度より大きい場合と比べて、船首バルブ620の側面を急傾斜にすることができる。
しかし、船首バルブ620の側面は、仮想線Zと船体中心線Yとが成す角度θが60度より大きい場合と比べて急傾斜となるように形成されているので、海水は、船首バルブ620を流れ過ぎることができる。このように船首バルブ620ではね返されずに後方に流れ去る波の数量が増えることによって、平水中においても抵抗軽減効果を得ることができる。
船首バルブ720のステムラインを上下2段に形成し、下段バルブ721を上段バルブ722よりも前方に突出させるとともに、フィン30(30A)を下段バルブ721の両側面に設けている。また、フィン30Aの取り付け部33は、バラスト状態・静的水位上昇位置Aよりも下方で、バラスト状態での静止水面Bよりも上方に配置されている。
フィン30Aによって波が誘起されて静的水位上昇が大きくなり、バラスト状態・静的水位上昇位置Cとなる。バラスト状態・静的水位上昇位置Cは、下段バルブ721の上面721aより高いので、海水は下段バルブ721の上面721aに乗り上がることができる。したがって平水中においても抵抗軽減効果を得ることができる。
波浪中における船舶のバラスト状態での走行時において、フィン30Bを設けることによって船首バルブ720にかかる波が誘起されて水位が上昇するので、上段バルブ722の上面722aに乗り上がる波の数量が増え、抵抗軽減効果を得やすくなる。
したがって、フィン30Aを設けることによって平水中の抵抗を軽減でき、さらにフィン30Bを設けることによって波浪中の抵抗を軽減できる。
本実施形態においては、図8(a)に示すように、船首バルブ820のフレームラインを上下2段に形成し、下段バルブ821を上段バルブ822よりも幅方向に張り出させている。
また、図8(b)は図8(a)の変形例であり、船首バルブ920のフレームラインを上下2段に形成し、下段バルブ921を上段バルブ922よりも幅方向に張り出させ、さらに上段バルブ922の側端上部を幅方向へ張り出している。なお、上段バルブ922の張り出した側端上部の部分は、下段バルブ921の側端よりも側方には張り出していない。
フィン30Aの取り付け部33は、バラスト状態・静的水位上昇位置Aよりも下方で、バラスト状態での静止水面Bよりも上方に配置されている。
フィン30Aによって波が誘起されて静的水位上昇が大きくなり、バラスト状態・静的水位上昇位置Cとなる。バラスト状態・静的水位上昇位置Cは、下段バルブ821、921の上面821a、921aより高いので、海水は下段バルブ821、921の上面821a、921aに乗り上がることができる。したがって平水中においても抵抗軽減効果を得ることができる。
波浪中における船舶のバラスト状態での走行時において、フィン30Bを設けることによって船首バルブ820、920にかかる波が誘起されて水位が上昇するので、上段バルブ822,922の上面822a、922aに乗り上がる波の数量が増え、抵抗軽減効果を得やすくなる。
したがって、フィン30Aを設けることによって平水中の抵抗を軽減でき、さらにフィン30Bを設けることによって波浪中の抵抗を軽減できる。
20、120、220、320、420、520、620、720、820、920 船首バルブ
20a、420a、620a 船首バルブの上面
121、221、321、521、721、821、921 下段バルブ
121a、221a、321a、521a、721a、821a、921a 下段バルブの上面
122、222、322、522、722、822、922 上段バルブ
122a、222a、322a、522a、722a、822a、922a 上段バルブの上面
30 フィン(造波誘起手段)
31 前端部
32 後端部
33 取り付け部
A バラスト状態・静的水位上昇位置
B 静止水面位置
C バラスト状態・静的水位上昇位置(フィンによって誘起されたもの)
H1 船首バルブ高さ
H2 船首バルブの半分の高さ
LF フィンの長さ
LV 船首バルブの長さ
X1、X3、X5、X7、X9、X11 船首バルブにかかる波
X2、X4、X6、X8、X10、X12 船首バルブにかかる波(フィンによって誘起されたもの)
Y 船体中心線
Z 仮想線
θ 仮想線と船体中心線とが成す角度
Claims (14)
- 船舶の船首部に船首バルブを有する船首形状であって、前記船首バルブに設けるバルブ付加物として前記船首バルブの側方に突出した、前記船舶のバラスト状態での走行時に前記船首バルブの上面に乗り上げる波を誘起する造波誘起手段を備え、前記造波誘起手段が、静止水面に対して後端部よりも前端部が低くなるように配置されていることを特徴とするバルブ付加物による抵抗軽減船首形状。
- 船舶の船首部に船首バルブを有する船首形状であって、前記船首バルブに設けるバルブ付加物として前記船首バルブの側方に突出した、前記船舶のバラスト状態での走行時に前記船首バルブの上面に乗り上げる波を誘起する造波誘起手段を備え、前記造波誘起手段を、船舶毎の代表的な速度として設計時に設定されている航海速力で波の無い状態である平水中を走行するときに生じる水面の盛り上がり位置であるバラスト状態・静的水位上昇位置よりも上方に配置したことを特徴とするバルブ付加物による抵抗軽減船首形状。
- 船舶の船首部に船首バルブを有する船首形状であって、前記船首バルブに設けるバルブ付加物として前記船首バルブの側方に突出した、前記船舶のバラスト状態での走行時に前記船首バルブの上面に乗り上げる波を誘起する造波誘起手段を備え、前記造波誘起手段の取り付け部を、船舶毎の代表的な速度として設計時に設定されている航海速力で波の無い状態である平水中を走行するときに生じる水面の盛り上がり位置であるバラスト状態・静的水位上昇位置よりも下方で静止水面よりも上方に配置したことを特徴とするバルブ付加物による抵抗軽減船首形状。
- 前記造波誘起手段の前記船舶の前後方向の長さが、前記船首バルブの長さを超えないことを特徴とする請求項1から請求項3のうちの1項に記載のバルブ付加物による抵抗軽減船首形状。
- 前記造波誘起手段の取付け角度を可変とし、前記船舶に向かってくる海洋波の傾斜に応じて前記角度を制御したことを特徴とする請求項1から請求項4のうちの1項に記載のバルブ付加物による抵抗軽減船首形状。
- 前記造波誘起手段を前記船首バルブに収納可能に構成し、前記バラスト状態での走行時以外に収納させたことを特徴とする請求項1から請求項5のうちの1項に記載のバルブ付加物による抵抗軽減船首形状。
- 前記造波誘起手段を船尾方向に収納可能に構成したことを特徴とする請求項6に記載のバルブ付加物による抵抗軽減船首形状。
- 前記船舶を正面視した場合に、前記船首バルブの頂点と前記船首バルブの側端のうち前記船首バルブの半分の高さの位置にある側端とを結ぶ仮想線を仮定し、前記船首バルブを、前記仮想線と船体中心線とが成す角度が60度以下となるように形成したことを特徴とする請求項1から請求項7のうちの1項に記載のバルブ付加物による抵抗軽減船首形状。
- 前記船首バルブのステムラインを上下2段に形成し、下段バルブを上段バルブよりも前方に突出させるとともに、前記造波誘起手段を少なくとも前記下段バルブに設け、前記下段バルブの前記造波誘起手段を前記バラスト状態・静的水位上昇位置よりも上方に配置したことを特徴とする請求項2に記載のバルブ付加物による抵抗軽減船首形状。
- 前記船首バルブのフレームラインを上下2段に形成し、下段バルブを上段バルブよりも幅方向に張り出させるとともに、前記造波誘起手段を少なくとも前記下段バルブに設け、前記下段バルブの前記造波誘起手段を前記バラスト状態・静的水位上昇位置よりも上方に配置したことを特徴とする請求項2に記載のバルブ付加物による抵抗軽減船首形状。
- 前記船首バルブのステムラインを上下2段に形成し、下段バルブを上段バルブよりも前方に突出させるとともに、前記造波誘起手段を少なくとも前記下段バルブに設け、前記下段バルブの前記造波誘起手段の前記取り付け部を前記バラスト状態・静的水位上昇位置よりも下方で静止水面よりも上方に配置したことを特徴とする請求項3に記載のバルブ付加物による抵抗軽減船首形状。
- 前記船首バルブのフレームラインを上下2段に形成し、下段バルブを上段バルブよりも幅方向に張り出させるとともに、前記造波誘起手段を少なくとも前記下段バルブに設け、前記下段バルブの前記造波誘起手段の前記取り付け部を前記バラスト状態・静的水位上昇位置よりも下方で静止水面よりも上方に配置したことを特徴とする請求項3に記載のバルブ付加物による抵抗軽減船首形状。
- 請求項1から請求項12のうちの1項に記載のバルブ付加物による抵抗軽減船首形状を船舶に採用したことを特徴とする抵抗軽減船首形状を有した船舶。
- 前記船舶が肥大船であることを特徴とする請求項13に記載の抵抗軽減船首形状を有した船舶。
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