JP6645776B2 - 車両用制御装置及び車両用制御方法 - Google Patents
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Description
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の車両用制御装置の全体構成を示す図である。この図において、符号1は車両用制御装置である。
図1に示すように、車両用制御装置1は、架線20から、パンタグラフ21を介して直流電力の入力を受ける。また、車両用制御装置1は、入力された直流電力を、所定の電圧・電流からなる交流電力に変換して、負荷である車両のモータ3に供給する。
車両用制御装置1は、インバータ11、接地電流検出回路12、制御部13、遮断器14及び検出電流変換部15を備えている。
インバータ11は、例えばVVVF(Variable Voltage Variable Frequency)であり、パンタグラフ21を介して架線20から得られた直流電圧・直流電流を入力電力として、負荷であるモータ3に交流電圧・交流電流を供給する。インバータ11は、交流電力供給部の例に該当する。
接地電流検出回路12は、図1に示すように、インバータ11と接地点Bの間に接続され、接地点Bに流れる電流(接地電流)を検出する。
制御部13は、接地電流検出回路12が検出した接地電流に基づいて、種々の処理を実行する。例えば、制御部13は、地絡が発生した際に、接地電流検出回路12が検出する接地電流の増大を検出して、遮断器14を開放する指令信号を出力する。
遮断器14は、自装置及び各種電気系統を保護する目的で、地絡発生の際に制御部13から遮断器開放指令信号が入力された場合に、電気接続を開放して電力の供給を遮断する。
接地電流検出回路12は、抵抗120、キャパシタ121、地絡電流検出器(地絡電流検出部)122、及び交流電流検出器(交流電流検出部)123を備えている。
地絡電流検出器122は、図1に示すように、キャパシタ121と並列に接続されている。これにより、地絡電流検出器122は、主に接地電流の直流成分を検出する。また、地絡電流検出器122は、地絡が発生した際に流れる直流電流(地絡電流)の検出に用いられるため、比較的大きい電流値を検出可能とする。
交流電流検出器123は、図1に示すように、抵抗120、キャパシタ121、地絡電流検出器122、と直列に接続されている。これにより交流電流検出器123は、交流成分を含んだ接地電流を検出する。交流電流検出器123は、運行時に定常的に流れる電流であって、地絡電流よりも微小な交流成分(後述する浮遊容量に基づく高周波リプル)の検出を目的とし、地絡電流検出器122よりも微小な電流値を検出可能とする。
インバータ11及びモータ3を含む回路は、架線20からの電力をモータ3に伝達してモータ3で動力に変換する回路であり、地絡発生の検出、及び、地絡発生の予兆検出の対象となっている回路である。以下では、インバータ11及びモータ3を含む回路を地絡検出対象と称する。
また、バンドパスフィルタ151が高周波をカットすることで、高周波ノイズをカットすることができる。
また、バンドパスフィルタ151を使用することで、地絡検出対象の共振周波数の交流電流を抽出する(地絡検出対象の共振周波数をターゲットとする)ことができる。ここで、地絡検出対象に含まれる機器の劣化が進むと、接地電流のうち地絡検出対象の浮遊容量に起因して変動する共振周波数の交流成分が大きくなることが経験的に見出された。地絡検出対象に含まれる機器が劣化してボイド(劣化によって生じる傷または空隙等)が生じ、浮遊容量が大きくなった場合に、共振周波数に対するインピーダンスが小さくなるものと考えられる。
なお、バンドパスフィルタの周波数を設定するために、地絡検出対象の共振周波数を実測またはシミュレーションによって予め求めておいてもよい。あるいは、地絡検出対象を等価回路にて近似し、共振周波数を予め算出しておいてもよい。
なお、検出電流変換部15が、平滑回路152に代えて、監視対象の電流を監視可能な信号に変換する他の構成を備えるようにしてもよい。例えば、検出電流変換部15が、平滑回路152に代えて、バンドパスフィルタ151からの電流の大きさを数値化して出力する回路を備えていてもよい。
次に、図2を参照しながら、制御部13の機能構成について説明する。
図2に示すように、制御部13は、交流電流判定部130、地絡発生前通知部131、地絡電流判定部132、及び開放指令出力部133を備えている。
具体的には、交流電流判定部130は、交流電流検出器123が検出する接地電流値の入力を受けて、当該接地電流値が所定の電流閾値α(交流電流閾値)を上回るか否かを判定し、上回った場合に所定の地絡発生前判定信号を地絡発生前通知部131に出力する。なお上述したように、交流電流検出器123は、接地電流として定常的に流れる微小な交流成分(高周波リプル)を検出する。そして、バンドパスフィルタ151が、交流電流検出器123が検出した交流成分のうち、地絡検出対象の共振周波数成分を抽出する。
また、電流閾値αは、後述する地絡発生の判定に用いられる電流閾値β(後述)よりも低い値に設定される。
交流電流判定部130の具体的な構成としては、例えば、交流電流判定部130は、A/D(Analog/Digital)変換部を備えている。そして交流電流判定部130は、交流電流検出器123が検出し、検出電流変換部15を介して入力された電流検出信号(アナログ信号)をサンプリングデータ(デジタル信号)として取り込む。そして、交流電流判定部130は、取り込んだサンプリングデータの示す数値が、予め記憶された電流閾値αを上回るか否かの判定処理を行う。
この地絡発生前通知信号は、例えば、警告ランプやブザー音出力器などへ出力され、当該警告ランプの点灯またはブザー音をもって、上記交流成分が増大していることがオペレータに通知される。これによりオペレータは、地絡が発生する前の段階で、電気系統のいずれかにおいて地絡が発生し得る状況にあることを認識することができる。
なお、接地電流の交流成分の増大を、地絡発生の予兆と見なすことができる点については後述する。
具体的には、地絡電流判定部132は、地絡電流検出器122が検出する接地電流値の入力を受けて、当該接地電流値が電流閾値β(地絡電流検出閾値)を上回るか否かを判定し、上回った場合に所定の地絡発生判定信号を開放指令出力部133に出力する。なお上述したように、地絡電流検出器122は、接地電流として地絡が実際に発生した際に流れる直流電流(地絡電流)を検出する。電流閾値βは、この地絡電流の検出をもって遮断器14が開放されるように設定される。
地絡電流判定部132の具体的な構成は、例えば、交流電流判定部130と同様にA/D変換部を備え、地絡電流検出器122が検出した電流検出信号をサンプリングデータとして取り込んで上記判定処理を行うものとしてもよい。
次に、図3を参照しながら、制御部13の処理フローについて順を追って説明する。
まず、車両用制御装置1及び制御部13に電源が投入される(ステップS10)。電源が投入されると、同時に架線20からの電力供給が開始され、インバータ11が動作を開始し、モータ3が駆動する。
モータ3が駆動を開始すると、交流電流判定部130及び地絡電流判定部132は直ちに、地絡電流検出器122及び交流電流検出器123を介して接地電流の入力を受け、その電流値を取得する(ステップS11)。
次に交流電流判定部130は、取得した接地電流値(微小な交流成分を主とした電流値)が電流閾値αを上回っているか否かを判定する(ステップS12)。
ここで取得した接地電流値が電流閾値αを上回っていると判定した場合(ステップS12:YES)、交流電流判定部130は、地絡発生前通知部131へ地絡発生前判定信号を出力する。そして地絡発生前通知部131が地絡発生前通知信号を警告ランプやブザー音出力器等に出力する(ステップS13)。これにより、オペレータは、地絡発生の予兆として、定常的に流れる交流成分が増大していることを認識することができる。
一方、交流電流判定部130は、取得した接地電流値が電流閾値α以下であると判定した場合(ステップS12:NO)は、地絡発生前判定信号を出力しない。
ここで地絡電流検出器122が取得した接地電流値が電流閾値βを上回っていると判定した場合(ステップS14:YES)、地絡電流判定部132は、開放指令出力部133へ地絡発生判定信号を出力する。そして開放指令出力部133は、地絡が発生したものとして、遮断器14へ遮断器開放指令信号を出力する(ステップS15)。これにより、地絡が発生した際に電気系統への電力供給が遮断されるので、地絡による各種電気系統の破損を防止することができる。
一方、地絡電流判定部132は、取得した接地電流値が電流閾値β以下であると判定した場合(ステップS12:NO)は、地絡は発生していないものとして、地絡発生判定信号を出力しない。またこの後、制御部13は、ステップS11に戻って継続的に以降の処理を繰り返す。
同様に、制御部13の処理フローは、制御部13が実施する各処理の目的を達成し得る範囲で変更可能である。
図1に示すように、インバータ11は、架線20からの直流電圧・直流電流をモータ3へ供給するための交流電力を生成する。このようなインバータ11の動作は、いわゆる「高周波リプル」として交流成分を発生させる。この交流成分は、車両の電気系統全体に存在する浮遊容量を介して接地電流検出回路12及び接地点Bにまで伝搬する。
ここで浮遊容量は、電気配線や筐体フレームの配置等に応じて少なからず存在するものである。この浮遊容量を介して微小な交流成分が接地点Bに伝搬すること自体については、車両(モータ3)の駆動上問題とならない。しかしながら、この交流成分が増大した場合、車両の電気系統の何れかの部分において、浮遊容量が増加していることが推察される。浮遊容量が増加しているということは、電気配線間のある部分において電気的な間隔が狭くなっていることが推察され、したがって、その部分で絶縁耐性が低下して地絡が発生する確率が高くなることが予想される。
例えば、地絡発生の要因として、各種配線(100、101、102等)、モータ3における異物(粉塵等)の堆積による短絡が挙げられる。この場合、本実施形態に係る車両用制御装置1は、自装置の駆動により生じる接地電流の交流成分(高周波リプル)をモニタリングすることで、異物の堆積により、電気系統の何れかにおいて浮遊容量が増加していることを識別できる。
このような仕組みにより、車両用制御装置1は、地絡の発生の予兆としての浮遊容量の増加を識別することができる。特に、地絡検出対象の共振周波数成分をモニタリングすることで、浮遊容量が増加していることを識別できる。
さらに、バンドパスフィルタ151が、交流電流検出器123が検出した交流成分から、地絡検出対象の共振周波数成分を抽出することで、地絡検出対象に含まれる機器の絶縁の劣化を検知することができる。
このように、車両用制御装置1がバンドパスフィルタ151を備えることで、バンドパスフィルタ151を備えない構成の場合よりも車両の電気系統における絶縁耐性の評価精度を高めることができる。
また、微小な電流を検出できる電流検出器及びその周辺回路を新たに設けるのみでよいので、車両用制御装置全体の構成を簡素なものとすることができる。
以下、第2の実施形態に係る車両用制御装置を、図面を参照して説明する。
図4は、第2の実施形態の車両用制御装置の全体構成を示す図である。この図において、符号1Aは車両用制御装置である。なお、本実施形態に係る車両用制御装置1Aの構成のうち、第1の実施形態に係る車両用制御装置1と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
以下、交流電流検出器123Aの機能について説明する。
交流電流検出器123Aは、外部から入力されるリセット信号に基づいて、地絡電流が入力された際に発生し得る偏磁を除去する偏磁除去部1230を備えている。ここで、交流電流検出器123Aは、一般的な電流検出器と同様に、検出対象とする電流に応じて発生する磁界を、磁気センサを用いて読み取ることで電流値を検出している。
ここで、交流電流検出器123Aは、定常的に流れる微小な交流電流を検出するために、上記磁気センサが微小な磁気の変化を検出できるようにカスタマイズされている。そうすると、交流電流検出器123Aに地絡電流のような直流大電流が入力された場合、当該磁気センサが偏磁してしまい、以降、精度の高い電流検出を実施できなくなる現象が生じる。
この問題を解決するため、本実施形態に係る接地電流検出回路12Aは、電流検出器として、この偏磁を除去する処理(消磁)を実施可能な偏磁除去部1230を備える。偏磁除去部1230は、一般的な消磁処理として、例えば、交流電流を印加して偏磁を除去する処理を行う。
本実施形態に係る制御部13Aは、図5に示すように、交流電流検出器123Aからの検出電流を、交流電流判定部130及び地絡電流判定部132が取得する構成としている。また制御部13Aは、リセット信号出力部134を備えている点で、第1の実施形態に係る制御部13と異なる。
例えばリセット信号出力部134は、地絡の発生を示す信号が入力された後、所定の期間を開けた後にリセット信号を出力するものであってもよい。このようにすることで、偏磁除去部1230は、遮断器14により電力供給が確実に遮断された後に、消磁処理を実施することができる。
また、第2の実施形態に係る車両用制御装置でも、第1の実施形態で説明した効果と同様の効果を得られる。特に、バンドパスフィルタ151を設けることによる上記の効果を得られる。すなわち、バンドパスフィルタ151が、低周波成分を除去することで、交流電流検出器123が検出した電流からオフセットを除去することができる。また、バンドパスフィルタ151が、高周波成分を除去することで、交流電流検出器123が検出した電流に含まれる高周波ノイズを除去することができる。また、バンドパスフィルタ151が、交流電流検出器123が検出した交流成分から、地絡検出対象の共振周波数成分を抽出することで、地絡検出対象に含まれる機器の絶縁の劣化を検知することができる。
以下、第3の実施形態に係る車両用制御装置を、図面を参照して説明する。
図6は、第3の実施形態の車両用制御装置の全体構成を示す図である。この図において、符号1Bは車両用制御装置である。なお、本実施形態に係る車両用制御装置1Bの構成のうち、第1の実施形態に係る車両用制御装置1と同一の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
このように、交流電流検出器123がキャパシタ121と直列に接続されていることで、交流電流検出器123が検出する低周波電流が小さくなる。特に、上記の配置によれば、交流電流検出器123が抵抗120と直列に接続されている場合よりも、交流電流検出器123が検出する低周波電流が小さくなる。さらには、上記の配置によれば、図1の配置の場合よりも、交流電流検出器123が検出する低周波電流が小さくなる。すなわち、上記の配置によれば、抵抗120とキャパシタ121との並列接続と、交流電流検出器123とが直列に接続されている場合よりも、交流電流検出器123が検出する低周波電流が小さくなる。
ここで、低周波電流は地絡検出対象における絶縁の劣化の影響を受けにくい。従って、交流電流検出器123が検出する低周波電流が大きいと、地絡検出対象における絶縁の劣化による電流の変化を検出しづらくなる。これに対し、上記のように交流電流検出器123が検出する低周波電流が小さくなることで、制御部13が地絡検出対象における浮遊容量増加を検出する精度が向上する。浮遊容量増加の検出精度が向上することで、制御部13が絶縁の劣化を検出する精度が向上する。
これにより、車両用制御装置は、車両の電気系統における絶縁耐性を簡素に評価することができ、かつ、評価精度を高めることができる。具体的には、車両制御装置が、通常運行時において生じる接地電流の交流成分を検出することで、車両の電気系統における絶縁耐性を簡素かつ精度よく評価できる。また、車両用制御装置がバンドパスフィルタを備えることで、バンドパスフィルタを備えない構成の場合よりも車両の電気系統における絶縁耐性の評価精度を高めることができる。
その他、接地電流検出回路12、12Aの回路構成は、その目的を達成し得る範囲で変更可能である。
また制御部13、13Aは、上述した各機能部が、ネットワークを介して接続された複数の装置に分散して具備されるものであってもよい。
Claims (7)
- 外部から電力の入力を受けて負荷へ交流電力を供給するインバータと、
前記インバータと接地点とを電気接続する接地線に設けられ、交流電流を検出する交流電流検出部と、
前記交流電流検出部が検出する交流電流から、前記インバータと前記負荷とを含む回路における共振周波数を含む所定の周波数領域の交流電流を抽出するバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタが抽出した交流電流の大きさと、地絡の発生を検出する電流閾値である地絡電流検出閾値よりも低い値に設定された所定の交流電流閾値との比較結果に応じて、地絡発生の予兆を示す地絡発生前通知信号を出力する地絡発生前通知部と、
を備える車両用制御装置。 - 前記交流電流検出部は、キャパシタと直列に接続されている
請求項1に記載の車両用制御装置。 - 前記接地線に設けられ、前記交流電流検出部よりも大きい電流を検出可能な地絡電流検出部をさらに備える
請求項1または請求項2に記載の車両用制御装置。 - 前記交流電流検出部は、
外部からの所定のリセット信号の入力を受けた場合に、入力された電流に基づいて発生した偏磁を除去する処理を実施する
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の車両用制御装置。 - 前記インバータは、架線からパンタグラフを介して直流電力の入力を受けて車両のモータへ交流電力を供給し、
前記バンドパスフィルタは、前記インバータと前記モータとを含む回路における共振周波数の交流電流を抽出する
請求項1から請求項4の何れか一項に記載の車両用制御装置。 - 前記地絡発生前通知部は、
前記交流電流が前記交流電流閾値を上回った場合に、外部へ通知する
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の車両用制御装置。 - インバータが、外部からの電力の入力を受けて負荷へ交流電力を供給し、
交流電流検出部が、前記インバータと接地点とを接続する接地線に設けられ、当該接地線を流れる交流電流を検出し、
バンドパスフィルタが、前記交流電流検出部が検出する交流電流から、前記インバータと前記負荷とを含む回路における共振周波数を含む所定の周波数領域の交流電流を抽出し、
地絡発生前通知部が、前記バンドパスフィルタが抽出した交流電流の大きさと、地絡の発生を検出する電流閾値である地絡電流検出閾値よりも低い値に設定された所定の交流電流閾値との比較結果に応じて、地絡発生の予兆を示す地絡発生前通知信号を出力する、
車両用制御方法。
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