JP6644532B2 - 車両用ドラムブレーキ - Google Patents

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Description

本発明は、車両用ドラムブレーキに関し、特にシューホールドダウン装置におけるシューホールドダウンスプリングの技術に関するものである。
一般的に、車両用ドラムブレーキにおいて、一対のブレーキシューをバッキングプレートに向かって付勢するシューホールドダウンスプリングを備え、そのシューホールドダウンスプリングの付勢力を用いて、一対のブレーキシューをバッキングプレートに対して面方向に相対移動が可能に保持するシューホールドダウン装置が知られている。
従来、シューホールドダウン装置は、付勢力を発生させる圧縮ばね、圧縮ばねが当接されるカップおよび圧縮ばねとカップを貫通してバッキングプレートに掛止されるピンなどで構成されていた。これに対して、特許文献1では、線材が渦巻状に巻回されてブレーキシューをバッキングプレートに向かって付勢するスプリング部と、そのスプリング部のブレーキシューとは反対側からブレーキシューを貫通してバッキングプレートに掛止される直線状の中心軸部とを備える一本の線材から曲成されたシューホールドダウン装置が開示されている。これにより、シューホールドダウン装置の部品点数が削減されて、生産現場での部品管理を容易にすることができ、かつ、コストの低減を図ることができる。
特開2007−278331号公報
しかしながら、上記特許文献1の技術では、シューホールドダウン装置を構成する部品点数を削減して、生産現場での部品管理を容易にすることができ、かつ、コストの低減を図ることができるが、依然、車両用ドラムブレーキに係る部品点数は多く、組付け作業は煩雑であった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、部品点数を減らして、コストを低減させるとともに、組付け作業性を向上させる車両用ドラムブレーキを提供することにある。
本発明の要旨とするところは、一対のブレーキシューをバッキングプレートに向かって付勢するシューホールドダウンスプリングを有し、前記シューホールドダウンスプリングを用いて前記一対のブレーキシューを前記バッキングプレートに対して面方向に相対移動が可能に保持するシューホールドダウン装置と、前記一対のブレーキシューの一方の前記バッキングプレート側に重なる状態で、その一方の端部に位置するレバーピンまわりに回動可能に設けられたパーキングレバーとを備える車両用ドラムブレーキであって、前記シューホールドダウンスプリングは、一本の線材から一体に曲成されたものであり、前記バッキングプレートに相対回転不能に基端が係合し、かつ、前記一対のブレーキシューを貫通する直線状の中心軸部と、前記中心軸部の先端と前記一対のブレーキシューの前記バッキングプレートとは反対側の面との間に前記中心軸部まわりに巻回され、前記中心軸部と前記一対のブレーキシューとが離間する方向に付勢するスプリング部と、前記スプリング部の一端から前記スプリング部の接線方向に突設されて前記パーキングレバーに係合し、前記パーキングレバーを前記ブレーキシュー側へ戻る方向に付勢するリターンスプリング部とを有することにある。
このようにすれば、一本の線材から一体に曲成されたシューホールドダウンスプリングが、バッキングプレートとは相対回転不能に係合される基端と、ブレーキシューを貫通する中心軸部と、中心軸部の先端とブレーキシューとの間に巻回されるスプリング部と、スプリング部の一端から前記スプリング部の接線方向に突設されたリターンスプリング部とを備えるため、シューホールドダウン機能とパーキングレバーのリターンスプリング機能という複数の機能を有する1部品を用いて車両用ドラムブレーキが構成される。これにより、車両用ドラムブレーキを構成する部品の点数が減るため、車両用ドラムブレーキのコストを低減できるとともに、組付け作業性を向上させることができる。
本発明が適用された車両用ドラムブレーキを示す正面図である。 図1の実施例のシューホールドダウンスプリングを拡大して示す図であり、図1のII-II視断面図に対応するものである。
以下、本発明の一実施例について図面を参照して説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用された車両用ドラムブレーキ10を示す正面図である。この車両用ドラムブレーキ10は、略円板形状を成し、たとえば図示しない車軸管、アクスルハウジング、サスペンション装置等の非回転部材に一体的に固設されるバッキングプレート16と、そのバッキングプレート16の左右の外周部に円弧形状の凸側が外側になる姿勢で互いに接近離間可能に略対称的に配設される一対のブレーキシュー18、20と、その一対のブレーキシュー18、20の一端部間すなわち図1における下端部間にリベットにより位置固定に設けられたアンカ22と、一対のブレーキシュー18、20の一端部間に張設されてそれら一端部をアンカ22に常時当接させるスプリング24と、一対のブレーキシュー18、20の他端部間すなわち図1における上端部間に配設されたホイールシリンダ26とを備えている。
ブレーキシュー18、20は、何れもバッキングプレート16の板面と略平行な平板状を成し、かつ、図1に示す正面図において全体が円弧形状に湾曲したシューウェブ28,30と、それらの円弧形状を成す外周側端縁に沿って断面が略T字状を成すように一体的に固設された円弧形状のシューリム32,34と、それらシューリム32,34の外周面に接着剤などで一体的に固着された摩擦材から成るライニング36,38とを備えてそれぞれ構成されている。
ブレーキシュー18、20の他端部間すなわちホイールシリンダ26側の端部間にはリターンスプリング40が張設されると共に、非制動時におけるブレーキシュー18、20と図示しない回転ドラムの内周面との間のギャップを調節する長手板状のストラット42が架け渡されている。
ブレーキシュー18は、シューウェブ28の長手方向の中央付近に配設されたシューホールドダウンスプリング52によってバッキングプレート16側に向かって押圧されている。図2は、図1のII−II視断面に対応する図であり、シューホールドダウンスプリング52を示す。シューホールドダウンスプリング52は、図2で示すように、一本のばね材から成る断面円形の線材が渦巻状に複数回巻回され、かつ、それぞれの端部が一体に曲成されている。シューホールドダウンスプリング52は、バッキングプレート16に相対回転不能に係合する基端52cからブレーキシュー18を貫通して直線状に伸びる中心軸部52bを有する。さらに、シューホールドダウンスプリング52は、基端52cとは反対側の中心軸部52bの先端とブレーキシュー18のバッキングプレート16とは反対側の面との間に、中心軸部52bまわりに巻回されて中心軸部52bの先端とブレーキシュー18とが離間する方向に付勢してブレーキシュー18をバンキングプレート16側へ押圧するスプリング部52aを有する。そして、シューホールドダウンスプリング52は、スプリング部52aのブレーキシュー18側の一端からスプリング部52aの接線方向に突設されてパーキングレバー60に係合し、パーキングレバー60をブレーキシュー18側へ戻る方向に付勢するリターンスプリング部52dを有する。
基端52cは、U字状に形成されており、バッキングプレート16において、相互に接近して形成された一対の係合穴70、72にそれぞれ貫通するようにそれぞれ係合されて相対回転不能にされている。中心軸部52bは、基端52cからブレーキシュー18に設けられた貫通穴56を貫通して直線状に伸びるように形成されている。スプリング部52aは、貫通穴56を貫通してさらに伸ばされた中心軸部52bの先端からブレーキシュー18へ向けて巻回されて形成されている。リターンスプリング部52dは、ブレーキシュー18に係合されたスプリング部52aの一端からシューリム32とは反対側で車両用ドラムブレーキ10の下方側へ向かい、かつ、スプリング部52aの接続される方向に突設されて、捩られたフック形状に形成されて、パーキングレバー60に掛け止めされている。
シューホールドダウンスプリング52は、基端52cがバッキングプレート16に掛け止められることによって、シューホールドダウンスプリング52が装着されるとブレーキシュー18の厚み方向に圧縮された状態とされるので、その圧縮により生じる弾性復帰力によりバッキングプレート16方向に付勢力が発生する。その付勢力をバッキングプレート16に伝達することによって、シューホールドダウンスプリング52はブレーキシュー18をバッキングプレート16側に常時付勢される。そのため、シューホールドダウンスプリング52は、ブレーキシュー18をバッキングプレート16に対して面方向の相対移動可能、すなわち拡開可能に保持される。さらに、中心軸部52bの基端52cがバッキングプレート16に相対回転不能に掛け止められることで、スプリング部52aが捩られることによって発生したリターンスプリング部52dの弾性復帰力でパーキングレバー60が戻り方向に付勢されている。
また、ブレーキシュー20は、シューウェブ30の長手方向の中央付近に配設されたシューホールドダウンスプリング54によってバッキングプレート16側に向かって押圧されている。シューホールドダウンスプリング54は、シューホールドダウンスプリング52と同様に、一本のばね材から成る断面円形の線材が渦巻状に複数回巻回された図示しないスプリング部と、バッキングプレート16に係合する図示しない基端とを有し、そして、基端とスプリング部との間を直線状にブレーキシュー20を貫通して伸びる図示しない中心軸部を有する。スプリング部、基端および中心軸部は、一本の線材によって一体に曲成されている。
ブレーキシュー18の他端部には、平板状のパーキングレバー60の基端部がレバーピン62により回動可能に連結されている。パーキングレバー60の先端部は、パーキングブレーキケーブル64に連結されており、図示しないパーキングブレーキレバーの操作によりパーキングブレーキケーブル64を介してパーキングレバー60の先端部がバッキングプレート16の中心側へ回動させられる。パーキングレバー60の先端部が回動させられると、ブレーキシュー20がストラット42に押されて外周側へ移動させられるとともにブレーキシュー18がレバーピン62に押されて外周側へ移動させられるので、一対のブレーキシュー18、20が拡開されて制動力が発生させられるようになっている。
ここで、本実施例の車両用ドラムブレーキ10によれば、シューホールドダウンスプリング52が一本の線材から一体に曲成されて、バッキングプレート16とは相対回転不能に係合される基端52cと、ブレーキシュー18を貫通する中心軸部52bと、中心軸部52bの先端とブレーキシュー18との間に巻回されるスプリング部52aと、スプリング部52aの一端から突設されたリターンスプリング部52dとを備えるため、シューホールドダウン機能とパーキングレバー60のリターンスプリング機能という複数の機能を有する1部品を用いて車両用ドラムブレーキ10が構成される。これにより、従来パーキングブレーキケーブル64の外周に装着されていた圧縮コイルばねであるパーキングレバーリターンスプリングが不用となって、車両用ドラムブレーキ10を構成する部品の点数が減るため、車両用ドラムブレーキ10のコストを低減できるとともに、組付け作業性を向上させることができる。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、その他一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:車両用ドラムブレーキ
16:バッキングプレート
18:ブレーキシュー
52:シューホールドダウンスプリング
52a:スプリング部
52b:中心軸部
52c:基端
52d:リターンスプリング部
60:パーキングレバー
62:レバーピン

Claims (1)

  1. 一対のブレーキシューをバッキングプレートに向かって付勢するシューホールドダウンスプリングを有し、前記シューホールドダウンスプリングを用いて前記一対のブレーキシューを前記バッキングプレートに対して面方向に相対移動が可能に保持するシューホールドダウン装置と、
    前記一対のブレーキシューの一方の前記バッキングプレート側に重なる状態で、その一方の端部に位置するレバーピンまわりに回動可能に設けられたパーキングレバーとを備える車両用ドラムブレーキであって、
    前記シューホールドダウンスプリングは、一本の線材から一体に曲成されたものであり、
    前記バッキングプレートに相対回転不能に基端が係合し、かつ、前記一対のブレーキシューを貫通する直線状の中心軸部と、
    前記中心軸部の先端と前記一対のブレーキシューの前記バッキングプレートとは反対側の面との間に前記中心軸部まわりに巻回され、前記中心軸部の先端と前記一対のブレーキシューとが離間する方向に付勢するスプリング部と、
    前記スプリング部の一端から前記スプリング部の接線方向に突設されて前記パーキングレバーに係合し、前記パーキングレバーを前記ブレーキシュー側へ戻る方向に付勢するリターンスプリング部とを有することを特徴とする車両用ドラムブレーキ。
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