JP6641647B2 - 車両用制御装置 - Google Patents
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Description
このハイブリッド自動車は、非力行時(減速走行時等)に、モータを発電機として作動させると共に、車輪の回転(運動)エネルギーを電気エネルギーに変換してバッテリに蓄える回生を行うことにより、エネルギーの効率的利用を図っている。
そこで、車両に対して作用させる総制動力、所謂液圧系制動力発生手段による液圧制動力と回生系制動力発生手段による回生制動力とを協調制御する技術が提案されている。
ABSは、一般に、車輪が高い制動力(例えば、最大制動力)を発揮可能な車輪スリップ率(例えば、20%)を目標スリップ率として予め設定し、車両制動時において車輪スリップ率が所定のABS作動開始閾値を超えたとき、車輪のホイールシリンダ内のブレーキ液圧を減圧状態に切り替え、走行車両の車輪スリップ率が所定の目標状態に対応した目標スリップ率に収束するように構成されている。
これにより、急制動時であっても、車輪のロック継続状態を回避することができるため、操舵性能の向上を図ることができる。
それ故、乗員によるブレーキペダル操作時から車両に作用する制動力が要求制動力に到達するまでの所要時間が短い程、車両の制動距離が短くなり、制動性能が高くなる。
しかし、操舵性能向上を目的としてABSを車両に搭載した場合、車両の制動性能を期待する以上には向上できない。
しかも、粘性流体であるブレーキ液を電磁弁によって流量制御する液圧系制動力発生手段を用いる場合には、電気制御に比べて作動応答性の観点から、安全性確保は担保されているものの、更なる制動距離の増加が懸念される。
これにより、ABSの不本意な作動は回避できるものの、液圧制動力が要求制動力に到達するまでの所要時間が一層長期化し、依然として、安全性確保を担保した上で制動距離の増加が懸念される。
しかし、回生系制動力発生手段は、発電された電力を蓄積するバッテリ特有の性質によって作動期間や作動時期等が制限されるため、安定した制動力の保証が難しく、車両制動時において液圧制動力と回生制動力とを常に併用することは困難である。
即ち、ABSを搭載した車両において、制動性能を向上する有効な技術の確立が望まれている。
乗員によるブレーキペダルの踏込操作に基づき乗員の要求制動力を設定すると共に車両に作用する制動力が前記要求制動力に到達するまでの間において前記アンチスキッド制御手段の所定目標状態に対応した制動力である制動作動特性を超えないように前記液圧系制動力発生手段と回生系制動力発生手段を協調制御する協調制御手段を備えたため、車両に作用する制動力が要求制動力に到達するまでの間においてアンチスキッド制御手段による制動力低下処理を作動させることなく車両の制動力を増加させることができる。
前記協調制御手段は、制動開始から設定期間の間、前記回生制動力を液圧制動力よりも大きくなるように制御するため、車体重量の荷重移動を促進する回生制動力を液圧制動力よりも多く付与することができ、回生エネルギーの回収量の増加を図ることができる。
また、車輪に対する車体重量の荷重移動を検出可能な荷重移動検出手段を有し、前記協調制御手段は、前記荷重移動検出手段が前輪に対する最大荷重移動を検出するまでの期間を前記設定期間に設定するため、回生制動力の付与によって前輪に対する最大荷重移動を早期化することができ、制動性能を向上することができる。
この構成によれば、回生エネルギーの回収量の増加を図ることができ、回生エネルギーの回収効率と制動性能とを両立することができる。
この構成によれば、回生エネルギーの回収量の増加を図ることができ、設定期間を走行路面勾配に応じて最適化することができる。
この構成によれば、荷重移動に有利な回生制動力による単独制動を実行することにより、最大荷重移動を早期化することができ、最大荷重移動後、液圧制動力による単独制動を実行することにより、電源の満充電を遅延することができる。
この構成によれば、設定期間が短くても、最大限の回生エネルギーを回収することができる。
以下の説明は、本発明をハイブリッド車両の制御装置に適用したものを例示したものであり、本発明、その適用物、或いは、その用途を制限するものではない。
図1に示すように、本実施例に係る車両Vは、車両Vの停止性能に係る液圧制動力を制御可能な制動機構Bと、車両Vの走行性能に係る駆動力及び車両Vの停止性能に係る回生制動力を制御可能なパワートレイン機構Pと、乗員が操作可能なインプットディバイスであるブレーキペダル1と、アウトプットディバイスである前後左右の車輪2a〜2d等を備えている。この車両Vは、制動時、アンチスキッド制御機構(以下、ABSという。)により車輪スリップ率sを所定の目標状態に収束するように制御すると共に、液圧制動力による単独制動である摩擦制動モード及び液圧制動力と回生制動力による協調制動である第1〜第3協調モードを選択的に実行可能に構成されている。
尚、図2は、制動機構Bのブレーキ液圧回路図である。
図1,2に示すように、制動機構Bは、ブレーキペダル1に対してペダルストローク(以下、ストロークと略す。)Stに応じた反力を付与するストロークシミュレータ3(反力発生機構)と、液圧制動力に対応したブレーキ液圧を生成可能な電動ブレーキブースタ(以下、電動ブースタと略す。)4と、ブレーキペダル1のストロークStに応じたブレーキ液圧を乗員が直接的に生成可能なマスタシリンダ5と、このマスタシリンダ5又は電動ブースタ4により発生されたブレーキ液圧によって車両Vの4つの前後左右輪2a〜2dの回転を摩擦力を作用させて夫々制動可能なホイールシリンダ6a〜6dと、電動ブースタ4を制御可能な第1ECU(Electronic Control Unit)10等を主な構成要素にしている。
ストロークシミュレータ3は、消費油量をシミュレートしてマスタシリンダから圧送されたブレーキ液圧を吸収して消費すると共に、乗員がブレーキペダル1を踏込又は踏戻操作したとき、ブレーキペダル1を介して予め設定された特性の操作反力を乗員(乗員の脚部)に対して作用可能に構成されている。
このストロークシミュレータ3は、例えば、シリンダと、このシリンダ内に摺動自在なピストンと、ピストンを付勢する付勢手段等によって形成され(何れも図示略)、基本的にブレーキペダル1の操作に伴うブレーキ液圧に基づき乗員に付与する操作反力(踏力)を調整している。
この電動ブースタ4は、開閉可能な電磁弁8bを介して駆動輪である前輪2a,2bを制動可能なホイールシリンダ6a,6bに連通され、開閉可能な電磁弁8cを介して従動輪である後輪2c,2dを制動可能なホイールシリンダ6c,6dに連通されている。電磁弁8b,8cは、通電時、開作動される。
図2に示すように、ホイールシリンダ6a〜6dの上流側流路には、リザーバタンク7に連結されたリターン流路が夫々接続されている。これらのリターン流路に通電により開作動する電磁弁9a〜9dが夫々配設されている。
マスタシリンダ5は、第1圧力発生室5aと、第2圧力発生室5bとを備えている。
第1,第2圧力発生室5a,5bは、リザーバタンク7に夫々接続され、内部に圧縮スプリングを夫々備えている。これら第1,第2圧力発生室5a,5bは、ブレーキペダル1の踏込操作に応じて略同等のブレーキ液圧を圧送可能に構成されている。
第1圧力発生室5aは、開閉可能な電磁弁8aを介してホイールシリンダ6a,6bに連通され、第2圧力発生室5bは、開閉可能な電磁弁8dを介してホイールシリンダ6c,6dに連通されている。電磁弁8a,8dは、通電時、閉作動すると共に電動ブースタ4の異常時、非通電状態にされて開作動される。
尚、電磁弁8b,8cがABSのインレットバルブに相当し、電磁弁9a〜9dがABSのアウトレットバルブに相当している。
第1ECU10は、CPU(Central Processing Unit)と、ROMと、RAMと、イン側インタフェースと、アウト側インタフェース等によって構成され、ブレーキペダル1のストロークStを検出するストロークセンサ21から検出信号を入力している。ROMには、踏力及び制動力を制御するための種々のプログラムやデータ及びマップ等が格納され、RAMには、CPUが一連の処理を行う際に使用される処理領域が設けられている。
図3に示すように、第1ECU10は、操作反力設定部11と、要求制動力設定部12と、液圧制御部13等を備えている。
乗員の感覚の強さは刺激の強さの対数に比例している(ウェーバー・フェヒナーの法則)ため、踏力特性マップは、対数関数によって規定されている。
操作反力設定部11は、ストロークセンサ21で検出されたストロークStと踏力特性マップとに基づき目標操作反力に相当する踏力を設定し、これに対応した作動指令信号を制御用ブレーキ液圧を介してストロークシミュレータ3に出力している。
ストロークStは、乗員の操作量をパラメータとして乗員の減速要求を反映している。
それ故、要求制動力設定部12は、検出されたブレーキペダル1のストロークStを介して設定された踏力と制動特性マップとを用いて乗員が車両Vに対して要求する要求制動力Faを設定している。
また、液圧制御部13は、ABS作動時、車輪スリップ率sを所定の目標状態に収束させるため、車輪スリップ率sに基づいて電磁弁8b,8cと電磁弁9a〜9dの作動指令信号を作成し、各々の電磁弁8b,8c,9a〜9dに出力している。
図1に示すように、パワートレイン機構Pは、回生制動力(回生トルク)発生源兼発電源としてのモータジェネレータ(以下、モータと略す。)31と、このモータ31にプーリ等の動力伝達機構を介して連結された動力源としての多気筒レシプロエンジン32と、差動機構を介して前輪2a,2bに駆動力を伝達可能な流体伝動機構としての自動変速機(以下、ATと略す。)33と、モータ31及びエンジン32等を制御可能な第2ECU40等を備えている。
それ故、車両Vの減速時、モータ31内の誘起電圧に基づく逆トルクが車輪2a,2bに付与され、モータ31によって発電された電力は、補助電源である第2バッテリ36(例えば、リチウムイオンバッテリ等)に蓄電されている。
第2ECU40は、電動ブースタ4と、第1ECU10と、モータ31で発電された電源電圧を変換するDCDCコンバータ34と、車両Vに搭載された空調装置等の各種負荷(図示略)と並列状態で主電源である第1バッテリ35に対して電気的に接続されている。
DCDCコンバータ34は、変換された電源電圧を第1バッテリ35に対して供給可能に構成されている。
ABS制御部41は、車両Vの走行安定性を確保可能な目標状態に基づき設定されたABS作動開始閾値saよりも車輪スリップ率sが大きいとき、電磁弁8b,8cを閉作動すると共に電磁弁9a〜9dを開作動してABS制御を開始するように構成されている。
そして、ABS制御中、車輪スリップ率sが目標スリップ率sb(sb<sa)よりも大きいとき、電磁弁8b,8cを閉作動すると共に電磁弁9a〜9dを開作動し、ホイールシリンダ6a〜6dの液圧を減圧することで車輪2a〜2dのロックを回避する一方、車輪スリップ率sが目標スリップ率sb以下のとき、電磁弁8b,8cを開作動すると共に電磁弁9a〜9dを閉作動し、ホイールシリンダ6a〜6dの液圧を増圧することで車輪2a〜2dの制動力の増加を図っている。
ABS作動開始閾値saと目標スリップ率sbは、路面μに基づき夫々演算されている。本実施例では、路面μは、検出された車輪速度及び車両Vの加速度をμテーブルと照合して推定演算しているが、μセンサを設け、このμセンサからの出力値を用いても良い。
制動作動特性設定部41aは、ABS作動開始閾値saに対応する車両Vの制動力傾向を規定した制動作動特性Aを設定している。
図4〜図6に示すように、制動作動特性Aは、制動開始からの時間tと車両Vに作用する制動力とによって規定されている。
制動作動特性Aは、路面μが一定のとき、次式の一次関数で表すことができる。
A=K1×t …(1)
尚、K1は、ABS作動係数である。
それ故、乗員がブレーキペダル1を踏込操作したとき、車両Vの制動力が要求制動力Faに到達(到達時刻tb)前であっても、一時的な路面μの低下に伴って車両Vに作用する制動力が制動作動特性Aを超えた場合、ABSによる減圧処理が実行され、ホイールシリンダ6a〜6dのブレーキ液圧が低下される。
荷重移動検出部42は、各ロッド変位センサ26から入力した車輪2a〜2dのサスペンションロッド長の変位に基づき車輪2a〜2dのサスペンションロッドの変位速度及び変位加速度を夫々検出している。
これら検出された車輪2a〜2dのサスペンションロッドの変位速度及び変位加速度によって車両Vの車体重量の荷重移動が検出されている。
協調制御部43は、車両制動時、SOCセンサ22によって検出された第2バッテリ36の充電率SOCに応じて摩擦制動モード及び各協調モードの中から対応した制動モードを選択し、所定の協調モードが選択されたとき、制動機構Bによる液圧制動力Ffとパワートレイン機構Pによる回生制動力Frとを協調制御している。
具体的には、SOCが97%以上のとき、摩擦制動モード、SOCが90%以上で且つ97%未満のとき、第1協調モード、SOCが30%以上で且つ90%未満のとき、第2協調モード、SOCが30%未満のとき、第3協調モードが夫々選択されている。
液圧制動力Ffの作動特性は、次式の一次関数で表すことができる。
Ff=K2×t …(2)
尚、K2は、摩擦制動作動係数である。
液圧制動力Ffの作動特性は、車両Vに対する一時的な制動力の変動(路面μの変動)によってABSが作動しないように、制動作動特性Aよりも小さい値に設定されている。
本実施例では、摩擦制動作動係数K2を、車両Vの制動距離を考慮して次式によって規定される範囲内に設定している。
1/2×K1≦K2<2/3×K1 …(3)
図4に示すように、第1協調モード制御部43aは、制動開始から時刻taまでの回生作動期間において、液圧制動力Ffの付与を禁止した回生制動力Frによる単独制動を実行し、時刻ta以降、回生制動力Frの付与を禁止した液圧制動力Ffによる単独制動を実行している。具体的には、時刻taまで回生制動力Frを制動作動特性Aと同じ係数を有する式(4)の作動特性で増加制御し、時刻ta以降は液圧制動力Ffを式(2)の作動特性で増加制御している。
Fr=K1×t …(4)
これにより、第2バッテリ36のSOCが満充電に近い状況であっても、車体重量の荷重移動を促進する回生制動力Frを付与する頻度を増加している。
時刻taは、第2バッテリ36のSOCの逆数に比例して設定されているため、SOCが高い程、回生作動期間は短縮される。
また、時刻taは、第2バッテリ36の内部抵抗の逆数に比例して設定されているため、常温(−20℃〜20℃)の期間を除き、第2バッテリ36の温度が低い程、回生作動期間は短縮され、第2バッテリ36の温度が高い程、回生作動期間は短縮される。
第1協調モード制御部43aは、液圧制動力Ffと回生制動力Frとの和(基本的には、回生作動期間は微小期間であるため、液圧制動力Ff)が要求制動力Faに到達した時点(時刻tb)で制動力の増加制御を終了し、乗員がブレーキペダル1を踏戻操作するまで要求制動力Faを維持している。
図5に示すように、第2協調モード制御部43bは、液圧制動力Ffを制動作動特性Aよりも小さくなるように制御すると共に回生制動力Frを制動作動特性Aと液圧制動力Ffの差分相当の制動力以下に制御している。
この第2協調モード制御部43bは、液圧制動力Ffと回生制動力Frの和が要求制動力Faに到達して所定期間経過後、回生制動力Frの付与を禁止している。
また、回生制動力Frについて、制動作動特性Aが要求制動力Faに対応した時刻tcまで、式(5)の作動特性で増加制御し、時刻tcから時刻tbまで、式(6)の作動特性で減少制御している。
Fr=(K1−K2)×t …(5)
Fr=Fa−K2×t …(6)
尚、液圧制動力Ffが要求制動力Faに到達後、回生制動力Frの付与は禁止される。
図6に示すように、第3協調モード制御部43cは、制動開始から設定期間の間、回生制動力Frを液圧制動力Ffよりも大きくなるように制御している。
この第3協調モード制御部43cは、荷重移動検出部42の検出結果に基づき制動開始から前輪2a,2bに対する車体重量の最大荷重移動するまでの設定期間を設定している。
しかも、車両Vの進行方向前方の路面が下方向に向かう前方下り勾配が大きいとき、勾配センサ27に検出された路面勾配に応じて設定期間が短くなるように時刻tdを早い時刻に変更している。
これにより、荷重移動に基づく切替タイミングを車両Vが走行する路面勾配に応じて最適化することができる。
これにより、制動直後の回生制動力Frの使用比率を大きくすることにより、高い制動力を発揮可能な前輪2a,2bへの最大荷重移動を早期化することにより、車両Vに作用する制動力を要求制動力Faに早期に到達させている。
尚、Si(i=1,2…)は、各処理のためのステップを示している。
S2では、乗員によりブレーキペダル1が踏込操作されたか否か判定する。
S2の判定の結果、乗員によりブレーキペダル1が踏込操作された場合、車速センサ24及び車輪速センサ25の検出信号に基づいて前輪2a,2bの車輪スリップ率sを演算し(S3)、S4に移行する。
S4では、車輪速度及び車両Vの加速度に基づいて路面μを演算し、S5に移行する。
S5では、路面μに基づいてABS作動開始閾値saと目標スリップ率sbを演算し、S6に移行する。
S6の判定の結果、フラグFが0、所謂ABS制御が未だ実行されていない場合、S7に移行する。
S7では、車輪スリップ率sがABS作動開始閾値sa以上か否か判定する。
S7の判定の結果、車輪スリップ率sがABS作動開始閾値sa以上の場合、フラグFに1を代入し(S8)、S9に移行する。
S9では、電磁弁8b,8cを閉作動すると共に電磁弁9a〜9dを開作動して減圧処理を実行した後、リターンする。
S6の判定の結果、フラグFが1、所謂ABS制御が既に実行されている場合、S10に移行する。
S10の判定の結果、車輪スリップ率sが目標スリップ率sb以上の場合、S9に移行し、車輪スリップ率sが目標スリップ率sb未満の場合、S12に移行する。
S12では、電磁弁8b,8cを開作動すると共に電磁弁9a〜9dを閉作動して増圧処理を実行した後、リターンする。
S2の判定の結果、乗員によりブレーキペダル1が踏込操作されていない場合、フラグFに0を代入し(S11)、S12に移行する。
協調制御処理は、所定周期で繰り返し実行されると共に、図7に示したABS制御処理と並行して実行されている。
S22では、乗員によりブレーキペダル1が踏込操作されたか否か判定する。
S22の判定の結果、乗員によりブレーキペダル1が踏込操作された場合、S23に移行する。
S23では、フラグfが0、所謂何れの協調モード処理も実行されていないか否か判定する。
S23の判定の結果、フラグfが0の場合、乗員が要求する要求制動力Faを演算し(S24)、S25に移行する。
S25では、ABS作動開始閾値saに基づきABS作動制動特性A及びABS作動係数K1を演算し、車両Vの制動性能に基づき摩擦制動係数K2を演算した後(S26)、S27に移行する。
S27の判定の結果、第2バッテリ36のSOCが97%以上の場合、回生制動の実行により第2バッテリ36が過充電になる可能性が極めて高いため、S28に移行する。
S28では、摩擦制動モード処理を実行して、リターンする。
S27の判定の結果、第2バッテリ36のSOCが97%未満の場合、S29に移行し、第2バッテリ36のSOCが90%以上か否か判定する。
S29の判定の結果、第2バッテリ36のSOCが90%以上の場合、回生制動の実行により第2バッテリ36が過充電になる可能性が高いため、S30に移行する。
S30では、第1協調モード処理を実行し、フラグfに1を代入した後(S31)、リターンする。
S32の判定の結果、第2バッテリ36のSOCが30%以上の場合、回生制動の実行により第2バッテリ36が過充電になる可能性が低いため、S33に移行する。
S33では、第2協調モード処理を実行し、S31に移行する。
S32の判定の結果、第2バッテリ36のSOCが30%未満の場合、回生制動の実行により第2バッテリ36が過充電になる可能性が極めて低いため、S34に移行する。
S34では、第3協調モード処理を実行し、S31に移行する。
図9のフローチャートに示すように、摩擦制動モード処理では、まず、S41にて、液圧制動力Ffを式(2)と制動開始からの経過時間tに基づき設定すると共に回生制動力Frを0に設定して、S42に移行する。
S42では、設定された液圧制動力Ffと回生制動力Frの作動指令信号を出力して、S43に移行する。
S43では、液圧制動力Ffが要求制動力Fa以上か否か判定する。
S43の判定の結果、液圧制動力Ffが要求制動力Fa以上の場合、終了し、液圧制動力Ffが要求制動力Fa未満の場合、S41にリターンする。
図10のフローチャートに示すように、第1協調モード処理では、まず、S51にて、
第2バッテリ36のSOCや内部抵抗に基づき回生作動期間に対応した時刻taを演算して、S52に移行する。
S52の判定の結果、制動開始からの経過時間tが時刻ta以下の場合、液圧制動力Ffを0に設定すると共に回生制動力Frを式(4)と制動開始からの経過時間tに基づき設定し(S53)、S54に移行する。
S54では、設定された液圧制動力Ffと回生制動力Frの作動指令信号を出力して、S55に移行する。
S55の判定の結果、液圧制動力Ffと回生制動力Frの和が要求制動力Faに到達した場合、終了する。
S55の判定の結果、液圧制動力Ffと回生制動力Frの和が要求制動力Faに到達していない場合、S52にリターンする。
S52の判定の結果、制動開始からの経過時間tが時刻taを超えた場合、液圧制動力Ffを式(2)と制動開始からの経過時間tに基づき設定すると共に回生制動力Frを0に設定して(S56)、S42に移行する。
図11のフローチャートに示すように、第2協調モード処理では、まず、S61にて、液圧制動力Ffと回生制動力Frの和が要求制動力Fa未満か否か判定する。
S61の判定の結果、液圧制動力Ffと回生制動力Frの和が要求制動力Fa未満の場合、液圧制動力Ffを式(2)と制動開始からの経過時間tに基づき設定すると共に回生制動力Frを式(5)と制動開始からの経過時間tに基づき設定し(S62)、S63に移行する。
S61の判定の結果、液圧制動力Ffと回生制動力Frの和が要求制動力Fa以上の場合、式(2)の作動特性で設定された液圧制動力Ffが要求制動力Fa以上か否か判定する(S64)。
S66では、設定された液圧制動力Ffと回生制動力Frの作動指令信号を出力して、終了する。
S64の判定の結果、液圧制動力Ffが要求制動力Fa未満の場合、液圧制動力Ffを式(2)と制動開始からの経過時間tに基づき設定すると共に回生制動力Frを式(6)と制動開始からの経過時間tに基づき設定し(S67)、S63に移行する。
図12のフローチャートに示すように、第3協調モード処理では、まず、S71にて、車両Vの荷重移動に基づく切替タイミング前か否か判定する。
前輪2a,2bに対する車体重量の最大荷重移動する時刻tdにより回生制動から液圧制動に切り替える切替タイミングを判定している。このとき、時刻tdは、前方下り勾配の大きさに応じて短くなるように調整される。
S71の判定の結果、車両Vの荷重移動に基づく切替タイミング前の場合、液圧制動力Ffを0に設定すると共に回生制動力Frを式(4)と制動開始からの経過時間tに基づき設定し(S72)、S73に移行する。
S71の判定の結果、車両Vの荷重移動に基づく切替タイミング以降の場合、式(2)の作動特性で設定された液圧制動力Ffが要求制動力Fa以上か否か判定する(S74)。
S76では、設定された液圧制動力Ffと回生制動力Frの作動指令信号を出力して、終了する。
S74の判定の結果、液圧制動力Ffが要求制動力Fa未満の場合、液圧制動力Ffを式(2)と制動開始からの経過時間tに基づき設定すると共に回生制動力Frを0に設定し(S77)、S73に移行する。
実施例1に係る制御装置によれば、車両制動時に車輪2a〜2dに付与する制動力によって車輪スリップ率sをABS作動開始閾値saに収束するように制御するABS制御部41を備えたため、車輪2a〜2dのブレーキロックを防止することができ、操舵性能を確保することができる。
乗員によるブレーキペダル1の踏込操作に基づき乗員の要求制動力Faを設定すると共に車両Vに作用する制動力が要求制動力Faに到達するまでの間においてABS制御部41のABS作動開始閾値saに対応した制動力である制動作動特性Aを超えないように制動機構Bとパワートレイン機構Pを協調制御する協調制御部43を備えたため、車両Vに作用する制動力が要求制動力Faに到達するまでの間においてABS制御部41による制動力低下処理を作動させることなく車両Vの制動力を増加させることができる。
協調制御部43は、制動開始から設定期間(時刻td)の間、回生制動力Frを液圧制動力Ffよりも大きくなるように制御するため、車体重量の荷重移動を促進する回生制動力Frを液圧制動力Ffよりも多く付与することができ、回生エネルギーの回収量の増加を図ることができる。
1〕前記実施形態においては、車輪をエンジンで駆動可能なハイブリッド車両に適用した例を説明したが、エンジンを搭載しない電気自動車に適用しても良い。
また、前輪駆動車に適用した例を説明したが、後輪駆動車、或いは4輪駆動車に適用しても良い。
例えば、第3協調モードにおいて、時刻tdの液圧制動力を制動作動特性上から開始する場合、第2協調モードにおける液圧制動力の作動特性よりも緩やかな作動特性に設定し、また、時刻tdの液圧制動力を零から開始する場合、第2協調モードにおける液圧制動力の作動特性よりも急激な作動特性に設定する。
2a〜2d 車輪
26 ロッド変位センサ
27 勾配センサ
31 モータ
41 ABS制御部
42 荷重移動検出部
43 協調制御部
B 制動機構
P パワートレイン機構
V 車両
Claims (5)
- 車輪にブレーキ液圧による液圧制動力を付与可能な液圧系制動力発生手段と、前記車輪に電動機の回転負荷による回生制動力を付与可能な回生系制動力発生手段と、車両制動時に前記車輪に付与する制動力によって車輪スリップ率を所定の目標状態に収束するように制御するアンチスキッド制御手段と、乗員によるブレーキペダルの踏込操作に基づき乗員の要求制動力を設定すると共に車両に作用する制動力が前記要求制動力に到達するまでの間において前記アンチスキッド制御手段の所定目標状態に対応した制動力である制動作動特性を超えないように前記液圧系制動力発生手段と回生系制動力発生手段を協調制御する協調制御手段とを備えた車両用制御手段において、
車輪に対する車体重量の荷重移動を検出可能な荷重移動検出手段を有し、
前記協調制御手段は、前記荷重移動検出手段が前輪に対する最大荷重移動を検出するまでの期間を設定期間に設定すると共に、制動開始から前記設定期間の間、前記回生制動力を液圧制動力よりも大きくなるように制御することを特徴とする車両用制御装置。 - 車輪にブレーキ液圧による液圧制動力を付与可能な液圧系制動力発生手段と、前記車輪に電動機の回転負荷による回生制動力を付与可能な回生系制動力発生手段と、車両制動時に前記車輪に付与する制動力によって車輪スリップ率を所定の目標状態に収束するように制御するアンチスキッド制御手段と、乗員によるブレーキペダルの踏込操作に基づき乗員の要求制動力を設定すると共に車両に作用する制動力が前記要求制動力に到達するまでの間において前記アンチスキッド制御手段の所定目標状態に対応した制動力である制動作動特性を超えないように前記液圧系制動力発生手段と回生系制動力発生手段を協調制御する協調制御手段とを備えた車両用制御手段において、
前記協調制御手段は、制動開始から設定期間の間、前記回生制動力を増加すると共に前記回生制動力を液圧制動力よりも大きくなるように制御することを特徴とする車両用制御装置。 - 車輪にブレーキ液圧による液圧制動力を付与可能な液圧系制動力発生手段と、前記車輪に電動機の回転負荷による回生制動力を付与可能な回生系制動力発生手段と、車両制動時に前記車輪に付与する制動力によって車輪スリップ率を所定の目標状態に収束するように制御するアンチスキッド制御手段と、乗員によるブレーキペダルの踏込操作に基づき乗員の要求制動力を設定すると共に車両に作用する制動力が前記要求制動力に到達するまでの間において前記アンチスキッド制御手段の所定目標状態に対応した制動力である制動作動特性を超えないように前記液圧系制動力発生手段と回生系制動力発生手段を協調制御する協調制御手段とを備えた車両用制御手段において、
前記協調制御手段は、制動開始から設定期間の間、前記回生制動力を液圧制動力よりも大きくなるように制御すると共に、路面の前方下り勾配が大きいとき、前記設定期間を短くなるように設定することを特徴とする車両用制御装置。 - 前記協調制御手段は、前記設定期間の間、前記液圧制動力の付与を禁止した状態で前記回生制動力による単独制動を実行した後、前記回生制動力の付与を禁止した状態で前記液圧制動力による単独制動を実行することを特徴とする請求項2に記載の車両用制御装置。
- 前記協調制御手段は、前記回生制動力の増加率を前記制動作動特性の増加率と略等しくなるように設定したことを特徴とする請求項4に記載の車両用制御装置。
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