以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るシート処理装置を備えた画像形成装置の構成を示す図である。図1において、900は画像形成装置、900Aは画像形成装置本体(以下、装置本体という)、900Bはシートに画像を形成する画像形成部である。950は、装置本体900Aの上部に設けられ、原稿搬送装置950Aを備えた画像読取装置であり、100は装置本体900Aの上面と画像読取装置950の間に配置されたシート処理装置であるフィニッシャである。
ここで、画像形成部900Bは、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色のトナー画像を形成する感光体ドラムa〜dと、画像情報に基づいてレーザビームを照射して感光体ドラム上に静電潜像を形成する露光装置906を備えている。なお、この感光体ドラムa〜dは不図示のモータにより駆動されると共に、周囲には、それぞれ不図示の一次帯電器、現像器、転写帯電器が配置されており、これらはプロセスカートリッジ901a〜901dとしてユニット化されている。
また、画像形成部900Bは、矢印方向に回転駆動される中間転写ベルト902、順次中間転写ベルト902に形成されたフルカラー画像をシートPに転写する2次転写部903等を備えている。そして、この中間転写ベルト902に転写帯電器902a〜902dによって転写バイアスを印加することにより、感光体ドラム上の各色トナー像が順次中間転写ベルト902に多重転写される。これにより、中間転写ベルト上にはフルカラー画像が形成される。
2次転写部903は、中間転写ベルト902を支持する2次転写対向ローラ903b及び中間転写ベルト902を介して2次転写対向ローラ903bと当接する2次転写ローラ903aとから構成される。なお、図1において、909はレジストレーションローラ、904は給紙カセット、908は給紙カセット904に収容されたシートPを給送するピックアップローラである。200は装置本体900A及びフィニッシャ100の制御を司る制御部であるCPU回路部である。
次に、このように構成された画像形成装置900の画像形成動作について説明する。画像形成動作が開始されると、まず不図示のパソコン等からの画像情報に基づき露光装置906はレーザ光を照射し、表面が所定の極性・電位に一様に帯電されている感光体ドラムa〜dの表面を順次露光して感光体ドラムa〜dに静電潜像を形成する。この後、この静電潜像をトナーにより現像し、可視化する。
例えば、まず感光体ドラムaに、原稿のイエロー成分色の画像信号によるレーザ光を露光装置906のポリゴンミラー等を介して照射し、感光体ドラムa上にイエローの静電潜像を形成する。そして、このイエローの静電潜像を、現像器からのイエロートナーにより現像し、イエロートナー像として可視化する。この後、このトナー像が感光体ドラムaの回転に伴って感光体ドラムaと中間転写ベルト902とが当接する1次転写部に到来する。ここで、このようにトナー像が1次転写部に到来すると、転写帯電器902aに印加した1次転写バイアスにより、感光体ドラムa上のイエロートナー像が中間転写ベルト902に転写される(1次転写)。
次に、中間転写ベルト902のイエロートナー像を担持した部位が移動すると、このときまでに上記と同様な方法で感光体ドラムb上に形成されたマゼンタトナー像がイエロートナー像上から中間転写ベルト902に転写される。同様に、中間転写ベルト902が移動するにつれて、それぞれ1次転写部においてシアントナー像、ブラックトナー像が、イエロートナー像、マゼンタトナー像上に重ね合わせて転写される。これにより、中間転写ベルト902上にフルカラートナー画像が形成される。
また、このトナー画像形成動作に並行して給紙カセット904に収容されたシートPは、ピックアップローラ908により1枚ずつ送り出される。そして、シートPは、レジストレーションローラ909に達し、レジストレーションローラ909によりタイミングを合わされた後、2次転写部903に搬送される。この後、この2次転写部903において、転写手段である2次転写ローラ903aに印加される2次転写バイアスによって中間転写ベルト902上の4色のトナー像がシートP上に一括して転写される(2次転写)。
次に、トナー像が転写されたシートPは、2次転写部903から搬送ガイド920に案内されて定着部905に搬送され、定着部905を通過する際、熱及び圧力を受けて定着される。この後、このように画像が定着されたシートPは、定着部905の下流に設けられた排出通路921を通過した後、排出ローラ対918によって排出され、フィニッシャ100に搬送される。
ここで、フィニッシャ100は、装置本体900Aから排出されたシートを順に取り込み、取り込んだ複数のシートを整合して1つの束に束ねる処理、束ねたシート束のシート排出方向上流端(以下、後端という)を綴じる綴じ処理を行う。そして、フィニッシャ100は、図2に示すように、必要に応じて綴じ処理を施し、積載トレイ114にシートを排出、積載する処理部139を備えている。なお、この処理部139は、綴じ処理を施すシートを積載するシート積載手段である中間処理トレイ107、中間処理トレイ107に積載されたシートを綴じる綴じ部100Aを備えている。
また、中間処理トレイ107には、中間処理トレイ107に、装置本体900Aの奥行き方向と直交する方向から搬送されたシートの幅方向(奥行き方向)の両側端位置を規制(整合)する前及び奥整合板109a,109bが設けられている。なお、この中間処理トレイ107に積載されたシートの幅方向の側端位置を整合する側端整合手段である前及び奥整合板109a,109bは、後述する図6に示す整合モータM253により駆動されて幅方向に移動する。
また、この前及び奥整合板109a,109bは、通常、不図示の整合HPセンサの検知信号に基づいて駆動される整合モータM253によりシートを受け入れる受け入れ位置に移動する。そして、中間処理トレイ107に積載されたシートの両側端位置を規制する際には、整合モータM253を駆動し、前及び奥整合板109a,109bを幅方向に沿って移動させて中間処理トレイ上に積載されたシートの両側端に当接させる。
また、中間処理トレイ107の搬送方向下流側の上方には引き込みパドル106が配置されている。ここで、この引き込みパドル106は、シートが処理部139に搬入される前に、後述する図6に示すパドルHPセンサS243の検知情報に基づいてパドル昇降モータM252を駆動することにより、排出シートの邪魔にならない上方で待機した状態になる。
また、引き込みパドル106は、中間処理トレイ107にシートが排出されると、パドル昇降モータM252の逆転駆動により、下方に移動すると共に、不図示のパドルモータにより、適切なタイミングで反時計方向に回転する。この回転により、シートを引き込んでシート後端を後端ストッパ108に突き当てる。ここで、本実施の形態において、この引き込みパドル106と、後端ストッパ108と、前及び奥整合板109a,109bとにより、中間処理トレイ107に積載されたシートを整合する整合手段130が構成される。なお、例えば中間処理トレイ107の傾斜が大きい場合には、引き込みパドル106や、後述するローレットベルト117を用いることなく、シートを後端ストッパ108に当接させることができる。
なお、図2において、112は後端アシストである。この後端アシスト112は、後述する図6に示すアシストHPセンサS244の検知信号に基づいて駆動されるアシストモータM254により、後述するステイプラの移動を妨げない位置からシートを受け入れる受け入れ位置に移動する。そして、この後端アシスト112は、後述するようにシート束に対して綴じ処理が施された後、シート束を積載トレイ114に排出する。
また、フィニッシャ100は、シートを装置内部に取り込むための入口ローラ対101及び排紙ローラ103を備えており、装置本体900Aから排出されたシートPは、入口ローラ対101に受け渡される。なお、この時、入口センサS240によりシートの受渡しタイミングも同時に検知される。そして、入口ローラ対101に受け渡されたシートPは、シート排出手段である排紙ローラ103により順次中間処理トレイ107に排出され、この後、引き込みパドル106やローレットベルト117等の戻し手段により後端ストッパ108に突き当てられる。これにより、シートのシート搬送方向の整合が行われ、整合処理されたシート束を形成する。
なお、図2において、105は後端落しであり、この後端落し105は、図2の(a)に示すように排紙ローラ103を通過するシートPにより押し上げられる。そして、この後端落し105は、シートPが排紙ローラ103を通過すると、図2の(b)に示すように自重により落下してシートPの後端を上側から押し下げる。
また、104は除電針、115は束押さえであり、この束押さえ115は後述する図6に示す束押さえモータM255によって回転することにより、積載トレイ114に積載されたシート束を押さえる。S242はトレイ下限センサ、S245は束押さえHPセンサである。S241はトレイHPセンサであり、シート束がトレイHPセンサS241を遮光している場合には、図6に示すトレイ昇降モータM251により積載トレイ114をトレイHPセンサS241が透過状態になるまで下降させて紙面位置を確定させる。
また、綴じ部100Aは、針無し綴じ手段である針無し綴じユニット102を備えている。ここで、針無し綴じユニット102は、図3の(a)に示すように、針無し綴じモータM257と、針無し綴じモータM257により回転するギア1021と、ギア1021により回転する段ギア1022〜1024を備えている。さらに、針無し綴じユニット102は、段ギア1022〜1024により回転するギア1025を備えている。また、針無し綴じユニット102は、フレーム10213に固定された下アーム1012と、下アーム1012に揺動軸10211を中心に揺動自在に設けられ、不図示の付勢部材により下アーム側に付勢された上アーム1029とを備えている。
ここで、ギア1025は、回転軸1026に取り付けられている。そして、この回転軸1026には図3の(b)に示すようにカム1027が取り付けられており、このカム1027は、上アーム1029と下アーム1012の間に設けられている。これにより、針無し綴じモータM257が回転すると、針無し綴じモータM257の回転はギア1021、段ギア1022〜1024、ギア1025を介して回転軸1026に伝わり、カム1027が回転する。
なお、図3において、102Aは、上アーム1029を揺動させる移動手段である。そして、この移動手段102Aにより、上アーム1029を揺動させ、後述する上歯10210と下歯10214とにより複数のシートを噛み込んで綴じる綴じ位置に移動させる。また、この移動手段102Aにより、上アーム1029を逆方向に揺動させ、上歯10210と下歯10214とを離間させてシートの噛み込みを解除する解放位置(待機位置)に移動させる。そして、本実施の形態において、この移動手段102Aは、針無し綴じモータM257と、カム1027と、ギア1021、段ギア1022〜1024、ギア1025とにより構成される。
ここで、図4に示すように、第1の支持手段である上アーム1029のカム1027とは反対側の端部の下端には上歯ブロック10212が取り付けられており、この上歯ブロック10212には第1の歯型である上歯10210が取り付けられている。また、第2の支持手段である下アーム1012のカム1027とは反対側の端部の上端には保持手段である下歯ブロック1013が取り付けられており、この下歯ブロック1013には第2の歯型である下歯10214が取り付けられている。なお、図4において、102Bは、一対の歯型である上歯10210及び下歯10214を有し、複数のシートを上歯10210及び下歯10214により挟持して、言い換えれば噛み込んで綴じる綴じ手段である。なお、後述する図10の(b)に示すように下歯10214は複数の谷型の歯を有する谷型形状のものであり、上歯10210は複数の山型の歯を有する山型形状のものである。
これにより、上アーム1029のカム側端部が上昇すると、上アーム1029のカム1027とは反対側の端部が下降し、これに伴い上歯10210が下降して下歯10214と共にシート束を挟持して加圧する。そして、このように加圧されると、シート束のシートは引き延ばされることによって表面の繊維が露出し、さらに加圧されることによってシート同士の繊維が互いに絡み合うことでシート束の締結が行われる。
つまり、シート束に対する綴じ処理を行う際には、上アーム1029を揺動させ、上アーム1029の上歯10210と、下アーム1012の下歯10214とによってシートを噛み合い加圧することにより、シート束が締結される。ここで、カム1027の位置は、後述する図6に示すカムセンサS247により検出される。
図5は、画像形成装置900の制御ブロック図であり、図5において、200は図1に示すように装置本体900Aの所定の位置に配置されたCPU回路部である。このCPU回路部200は、CPU201、制御プログラム等を格納したROM202、制御データを一時的に保持するための領域や、制御に伴う演算の作業領域として用いられるRAM203を有している。
また、図5において、209は画像形成装置900と外部PC(コンピュータ)208との外部インターフェイスである。この外部インターフェイス209は外部PC208からのプリントデータを受信すると、このデータをビットマップ画像に展開し、画像データとして画像信号制御部206へ出力する。
そして、この画像信号制御部206は、このデータをプリンタ制御部207へ出力し、プリンタ制御部207は、画像信号制御部206からのデータを不図示の露光制御部へ出力する。なお、イメージリーダ制御部205から画像信号制御部206へは、画像読取装置950に設けられた不図示のイメージセンサで読み取った原稿の画像が出力され、画像信号制御部206は、この画像出力をプリンタ制御部207へ出力する。
また、操作部210は、画像形成に関する各種機能を設定するための複数のキー及び設定状態を表示するための表示部等を有している。そして、ユーザによる各キーの操作に対応するキー信号をCPU回路部200に出力すると共に、CPU回路部200からの信号に基づき対応する情報を表示部に表示する。
CPU回路部200は、ROM202に格納された制御プログラム及び操作部210の設定に従い、画像信号制御部206を制御すると共に、DF(原稿搬送装置)制御部204を介して原稿搬送装置950A(図1参照)を制御する。また、イメージリーダ制御部205を介して画像読取装置950(図1参照)を、プリンタ制御部207を介して画像形成部900B(図1参照)を、フィニッシャ制御部220を介してフィニッシャ100をそれぞれ制御する。
なお、本実施の形態において、フィニッシャ制御部220はフィニッシャ100に搭載され、CPU回路部200と情報のやり取りを行うことによってフィニッシャ100の駆動制御を行う。また、フィニッシャ制御部220をCPU回路部200と一体的に装置本体側に配設し、装置本体側から直接、フィニッシャ100を制御するようにしてもよい。
図6は本実施の形態に係るフィニッシャ100の制御ブロック図である。フィニッシャ制御部220は、CPU(マイコン)221、ROM222、RAM223で構成されている。そして、このフィニッシャ制御部220は、通信IC224を介してCPU回路部200と通信してデータ交換を行い、CPU回路部200からの指示に基づきROM222に格納されている各種プログラムを実行してフィニッシャ100の駆動制御を行う。
また、フィニッシャ制御部220は、ドライバ225を介して搬送モータM250、トレイ昇降モータM251、パドル昇降モータM252、整合モータM253、アシストモータM254、束押さえモータM255、針無し綴じモータM257を駆動している。
また、フィニッシャ制御部220には、入口センサS240、排紙センサS246、トレイHPセンサS241、トレイ下限センサS242、パドルHPセンサS243、アシストHPセンサS244、束押さえHPセンサS245が接続されている。また、フィニッシャ制御部220には、カムセンサS247が接続されている。そして、フィニッシャ制御部220は、これら各センサからの検知信号に基づき整合モータM253、針無し綴じモータM257等を駆動する。
ところで、このような針無し綴じユニット102の動作を制御するフィニッシャ制御部220は、シート束に対して針無し綴じを行う場合は、まず不図示のセンサによってカム1027の位置を検出する。そして、針無し綴じを行う前のシート受入時は、既述した図4の(a)に示すようにカム1027が下死点に位置するよう針無し綴じモータM257の回転を制御する。
なお、揺動軸10211を中心に揺動可能に設けられた上アーム1029は、不図示の付勢手段によりカム1027に圧接する方向に付勢されている。そして、カム1027が下死点に位置するときは上歯10210と下歯10214の間に間隔Gが生まれ、針無し綴じを行う際には、この間隔Gにシート束を進入させる。
また、綴じ動作時は、針無し綴じモータM257を回転させ、カム1027により上アーム1029を、揺動軸10211を中心に時計回りに揺動させる。そして、既述した図4の(b)に示すようにカム1027が上死点に位置すると、上アーム1029の上歯10210と下アーム1012の下歯10214ととによりシート束が挟持され、シート束が締結される。
なお、上死点に位置した後、カム1027がさらに回転すると、上アーム1029に設けられた撓み部1029aが撓むことでコロ1028がカム1027の上死点を乗り越えることができる。そして、このようにコロ1028がカム1027の上死点を乗り越えると、上アーム1029は、上歯10210が下歯10214から離れる方向に移動する。この後、カム1027がさらに回転して再び下死点に到達すると、不図示のセンサがカム1027を検出し、これによりフィニッシャ制御部220は針無し綴じモータM257の回転を停止する。
次に、本実施の形態に係るフィニッシャ100のシート綴じ処理動作について説明する。画像形成装置900から排紙されたシートPは、既述した図2の(a)に示すように、搬送モータM250により駆動されている入口ローラ対101に受け渡される。この時、シートPの先端が入口センサS240によりシートの受渡しタイミングが同時に検知されている。
次に、入口ローラ対101に受け渡されたシートPは、入口ローラ対101から排紙ローラ103に受け渡され、先端部が後端落し105を持ち上げながら搬送されると同時に、除電針104により除電されながら中間処理トレイ107に排出される。排紙ローラ103により中間処理トレイ107に排出されたシートPは、後端落し105の自重により上側から押さえられることで、シートPの後端部が中間処理トレイ107に落下する時間が短縮される。
次に、排紙センサS246により検知されたシートP後端の信号を基に、フィニッシャ制御部220は中間処理トレイ内の制御を行う。即ち、既述した図2の(b)に示すように、パドル昇降モータM252により引き込みパドル106を中間処理トレイ107側に下降させ、シートPに接触させる。このとき、引き込みパドル106は、搬送モータM250により反時計周り方向に回転しているため、引き込みパドル106によりシートPは図中右方向の後端ストッパ108側に搬送され、この後、シートPの後端がローレットベルト117に受け渡される。なお、シートPの後端がローレットベルト117に受け渡されると、パドル昇降モータM252が上昇方向に駆動し、パドルHPセンサS243によりHPに到達したことを検知すると、フィニッシャ制御部220はパドル昇降モータM252の駆動を停止する。
ローレットベルト117は、引き込みパドル106により搬送されてきたシートPを後端ストッパ108まで搬送した後、シートPに対しスリップしながら搬送することで、シートPを常時後端ストッパ108に付勢させることになる。このスリップ搬送により、シートPを後端ストッパ108に突き当てることでシートPの斜行補正することができる。次に、このようにシートPを後端ストッパ108に突き当てた後、フィニッシャ制御部220は整合モータM253を駆動して整合板109をシート排出方向と直交する幅方向に移動させ、シートPの幅方向の位置を整合する。この一連の動作を綴じ処理する所定枚数のシートに対して繰り返し行うことで、図7の(a)に示すように、中間処理トレイ107上で整合されたシート束PAが形成される。
次に、このような整合動作が行われた後、綴じモードが選択されている場合には、綴じ部による綴じ処理が施される。この後、図7の(b)に示すように、アシストモータM254により駆動されるシート排出手段である後端アシスト112と排出爪113によりシート束PAの後端が押され、中間処理トレイ107上のシート束PAは積載トレイ114上に束排出される。
なお、この後、図7の(c)に示すように、積載トレイ114上に積載されたシート束PAが後続して排出されるシート束により搬送方向に押し出されるのを防止するため、束押さえ115が反時計周りに回転してシート束PAの後端部を押さえる。そして、この束押さえ115による束押さえ動作完了後、シート束PAがトレイHPセンサS241を遮光している場合には、積載トレイ114をトレイ昇降モータM251により、トレイHPセンサS241が透過状態になるまで下降して紙面位置を確定させる。これまでの一連の動作を繰り返し行うことで、必要な部数のシート束PAを積載トレイ114上に排出することができる。
なお、動作中、積載トレイ114が下降してトレイ下限センサS242を遮光した場合には、積載トレイ114の満載がフィニッシャ制御部220から画像形成装置900のCPU回路部200に通知され、画像形成が中止される。この後、積載トレイ114上のシート束が取り除かれると、積載トレイ114がトレイHPセンサS241を遮光するまで上昇した後、下降してトレイHPセンサS241が透過することで再び積載トレイ114の紙面が確定される。これにより、画像形成装置900の画像形成が再開される。
次に、針無し綴じを行う際のフィニッシャ制御部220の針無し綴じ動作制御について図8に示すフローチャートを用いて説明する。フィニッシャ制御部220は、シートに対して針無し綴じを行う場合は、まずカム1027を下死点位置であるHP(ホームポジション)に移動させるように針無し綴じモータM257を駆動する。
そして、図6に示すカムセンサS247によってカム1027の位置を検出し(ST1)、カム1027がHPに無いと判断した場合には(ST2のN)、引き続き針無し綴じモータM257を駆動する(ST3)。この後、カムセンサS247によりカム1027がHPに位置したことを検出すると(ST2のY)、針無し綴じモータM257を停止させる(ST4)。これにより針無し綴じを行う前のシート受入状態が完了する。
次に、フィニッシャ制御部220は、綴じ動作を行うか否かを判断する(ST5)。針無し綴じを行う場合は(ST5のY)、針無し綴じモータM257を駆動し(ST6)、カム1027により上アーム1029を、揺動軸10211を中心に時計回りに揺動させる。さらにカム1027が回転し、図4の(b)に示す位置に達すると、上アーム1029の上歯10210と下アーム1012の下歯10214とによりシート束が挟持され、シート束が締結される。この後、カム1027がさらに回転すると、上アーム1029は、揺動軸10211を中心に反時計回りに揺動して、上歯10210は、下歯10214に対して離れる方向に移動を行う。
次に、フィニッシャ制御部220は、カムセンサS247によりカム1027の位置を検出し(ST7)、カム1027がHPに無いと判断した場合には(ST8のN)、引き続き針無し綴じモータM257を駆動する(ST9)。この後、カムセンサS247によりカム1027がHPに位置したことを検出すると(ST8のY)、針無し綴じモータM257を停止させる(ST10)。これにより、シート束の綴じ動作が完了する。また綴じ動作を行わない場合は(ST5のN)、そのままシート束の綴じ動作を完了させる。
ところで、揺動軸10211を中心に揺動自在に設けられた上アーム1029は、上アーム1029と下アーム1012との間に介在する図9の(a)に示すように弾性部材であるバネ座金10216によって揺動軸10211の軸方向に付勢されている。また、本実施の形態において、図9の(a)に示すように、下歯10214は、揺動軸10211の中心線Aに対して歯の並び方向と平行な直線Bが所定の角度をもって傾斜している。つまり、下歯10214は、揺動軸10211に対して所定量傾斜して下アーム1012に取り付けられている。なお、この所定量は、中心線Aと直線Bが平行とならない量であり、中心線Aと直線Bとを直交させる量を含む。これにより、下歯10214の歯の並び方向の一端と揺動軸10211との距離L1と、下歯10214の歯の並び方向の他端と揺動軸10211との距離L2が異なるようになる。
なお、本実施の形態において、下歯10214の歯の向きを示す、下歯10214の歯の並び方向と直交する方向の直線Cは、直線Bに対して直角となるよう配置されている。また、上歯10210も、下歯10214と同様の角度をもって配置されており、これにより図9の(b)に示すように上歯10210と下歯10214が噛み合うことができる。なお、本実施の形態において、シート束を綴じる際、綴じ処理が施されるシート束の一端が揺動軸10211の中心線Aが平行となる状態で、既述した図4に示す上歯10210と下歯10214の間に間隔Gにセットされる。
また、本実施の形態において、上歯10210及び下歯10214の噛み合わせは、組み立て段階において調整するようになっている。ここで、上歯10210は、後述する図11に示すセットビス10217により上歯ブロック10212に固定されている。なお、既述したように上アーム1029は弾性部材であるバネ座金10216によって下アーム1012に圧接しているので、揺動軸10211の中心線Aの方向のガタはない。
そして、本実施の形態においては、このような状態で予め固定された上歯10210を基準に下歯10214の位置を調整する。ここで、図10の(a)に示すように、下歯10214は下歯ブロック1013に固定され、下歯ブロック1013は、既述した図9の(a)の矢印Hに示すように、揺動軸10211の中心線Aと平行に移動可能である。このように下歯ブロック1013を移動可能とすることにより、下歯ブロック1013を介して下歯10214を、上歯10210と噛合する位置に移動させることが可能となる。また、図10の(a)に示すように、下アーム1012には取り付け穴1015が形成されており、この取り付け穴1015に、図10の(b)に示すように第2の固定手段であるビス1014が取り付けられる。
そして、下歯10214の位置を調整する際は、例えば手動によりカム1027を回転させて上アーム1029を揺動させ、上歯10210を下降させる。このとき、上歯10210と下歯10214が当接することなく噛合った場合には、この状態でビス1014により、下歯10214を固定する。また、下歯10214に上歯10210が当接した場合には、図10の(b)に示すように上歯10210が下歯10214に噛合うまで下歯ブロック1013を揺動軸10211の中心線Aと平行に移動させる。
この後、下歯10214が上歯10210と噛合する位置に移動した下歯ブロック1013をビス1014によって下アーム1012の当接部10121に押し付けることにより、下歯10214を、上歯10210と噛合する位置に固定することができる。これにより、上歯10210、上歯ブロック10212、上アーム1029、揺動軸10211、下アーム1012、下歯ブロック1013、下歯10214の加工精度にとらわれずに歯型の噛み合い精度を満たすことができる。この結果、針無し綴じを確実に行うことができる。
なお、上歯10210と下歯10214の位置決めを行った後、シート束に対して針無し綴じを行う場合、シートの厚みが厚い場合は、図11に示すように、上アーム1029はシート束PAの厚み分わずかに開いた状態となる。このため、上アーム1029の歯側が下降すると、上歯10210には矢印Dの方向に力が加わる。
ここで、上歯ブロック10212は第1の固定手段であるセットビス10217により、上アーム1029に設けられた当接部102121対して、揺動軸10211の径方向である矢印Dの方向に押し付けられている。これにより、上歯10210は、上歯ブロック10212を介して上アーム1029に固定されている。つまり、上歯10210は、固定方向が揺動軸10211の径方向であるセットビス10217により、矢印Dに移動しないように固定されている。これにより、綴じ処理の際、矢印Dの方向に力が加わった場合でも、上歯10210の固定が緩むのを防ぐことができる。
針無し綴じが行われる際、既述した図4に示すカム1027が回転する前は、図12の(a)に示すように、上歯10210と下歯10214の間には間隔L3,L4があけられている。この間隔L3,L4は上歯10210及び下歯10214が揺動軸10211に対して斜めに配置されているためL3<L4となる。この後、カム1027の回転によって上アーム1029が下降を始めると、徐々に間隔L3とL4の差が縮まっていく。これに伴い図12の(b)に示すように間隔の狭いL3の端部側から順にシート束PAは圧接されていく。やがて、図12の(c)に示すように上歯10210と下歯10214との間隔の差がなくなって上歯10210と下歯10214によるシート束PAの加圧が終了したところで上アーム1029の下降が停止する。
次に、上歯10210の回動軌跡について、既述した図9の(a)に示す直線Cの方向から上歯10210及び下歯10214を見た図である図13を用いて説明を行う。なお、図13では説明のため上歯10210及び下歯10214のみ図示している。ここで、図12に示すように、上歯10210が揺動軸10211を中心に揺動して開放位置にあるとき、上歯10210及び下歯10214の歯の間隔L3,L4は揺動軸10211に近い側の間隔L3が狭く、遠い側の間隔L4が広くなる。
この状態から上アーム1029が下降を始めると、図13の(a)、及び図13の(b)〜(d)に示すように、徐々に間隔L3とL4の差が縮まっていく。そして、このように徐々に間隔が縮まることにより、上歯10210及び下歯10214の一端から他端に向かってシート束が順次に挟持されていく。つまり、本実施の形態において、シート束PAは間隔の狭いL4の側から徐々に変形が行われるので、変形に伴う荷重を分散させることができる。このように構成した場合、シート束PAを同時に変形させる場合の荷重Fに比べて小さな荷重F´でシート束の針無し綴じを完了させることができる。
以上説明したように、本実施の形態のように上歯10210及び下歯10214を、揺動軸10211の軸方向に対して傾斜させて配置することにより、上歯10210及び下歯10214の一端から他端に向かってシート束を順次挟持することができる。これにより、締結に必要な荷重fを与えつつ総荷重を低減させることが可能となり、この結果、コストを高めることなく、強い締結力を得ることができる。
また、既述したように、本実施の形態においては、上歯10210をセットビス10217により上アーム1029に固定している。また、下歯ブロック1013を、下歯10214が上歯10210と噛合する位置に移動させた状態でビス1014により固定している。これにより、下歯10214は、下歯ブロック1013を介して上歯10210と噛合する位置に固定される。そして、このように、下歯10214を固定することにより、上歯10210及び下歯10214、さらにその間に介在する複数の部品を高精度に加工することなく、針無し綴じを確実に、かつ低コストで行うことができる。
なお、これまでの説明においては、上歯10210及び下歯10214として、歯の向きが、歯の並び方向と直交する方向のものを用いた。しかし、上歯及び下歯として、例えば、図14に示す上歯10210A及び下歯10214Aのように、歯の向きが、歯の並び方向に対して揺動軸10211の中心線Aに対して直角となるものを用いても良い。
このような上歯10210A及び下歯10214Aを用いた場合でも、揺動軸10211の中心線Aと歯型の中心線Bとが互いに所定の角度をもって傾斜しているため端部の間隔L1<L2となる。よって、シート束PAは間隔の狭いL1の側から徐々に変形が行われるので、変形に伴う荷重を分散させることができる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図15は、本実施の形態に係る針無し綴じユニット102の構成を示す図である。なお、図15において、既述した図9と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
図15の(a)において、1012Aは下アーム、1013Aは下アーム1012Aに取り付けられた下歯ブロックである。また、図15の(b)に示すように、下アーム1012A及び下歯ブロック1013Aにはタップ穴1017が形成されている。ここで、本実施の形態において、下歯ブロック1013Aには、歯型の中心線Bの方向、すなわち歯の並び方向に凹部10131が形成されており、下歯10214は、この凹部10131に上歯10210と噛合する位置に移動可能に取り付けられている。そして、タップ穴1017には、下歯ブロック1013Aに下歯10214を固定するための第2の固定手段であるセットビス1016が取り付けられる。
そして、下歯10214の位置を調整する際は、既述したように上歯10210を下降させる。この際、下歯10214に上歯10210が当接した場合には、上歯10210が下歯10214に噛合うまで下歯10214を下歯ブロック1013Aに対して揺動軸10211の中心線Aと平行に、言い換えれば揺動中心に沿って移動させる。この後、上歯10210と噛合う位置に移動した下歯10214を、図15の(b)に示すようにセットビス1016により下歯ブロック1013Aに対して下歯10214の固定を行う。
このように、本実施の形態においては、上歯10210に対して下歯10214を直接移動して下歯10214の位置を調整しているので、より正確に歯型10210,10214の位置合わせを行うことができる。
なお、これまでは上歯10210と下歯10214を揺動軸10211に対して傾斜して配置する場合について説明したが、本発明は、これに限らず、上歯10210と下歯10214を揺動軸10211に対して直交させて配置するようにしても良い。また、これまでの説明において、上アーム1029を揺動させる場合について説明したが、本発明は、これに限らず、下アーム1012,1012Aを揺動させるようにしても良い。つまり、上アーム1029及び下アーム1012,1012Aの少なくとも一方を揺動させるようにしても良い。