本発明の導電ペーストは、スクリーン印刷法、感光性法(フォトリソグラフィー法)などの方法により導電パターンを形成することが可能な導電性成分と有機成分の混合物に関する。
本発明の導電ペーストは、導電性成分(A)として、少なくとも銀レジネートを含有することが重要である。銀レジネートと、後述する、光または熱により酸もしくは塩基を発生する化合物(B)を含有することで、低温キュア条件においても、比抵抗の低い導電パターンを得ることが可能となる。そのメカニズムとしては、パターン形成プロセスにおいて銀レジネート中の銀イオンの還元反応が促進されるためと考えている。
本発明における銀レジネートとしては、有機酸であるカルボン酸と銀の塩、すなわち、カルボン酸銀が好ましい。カルボン酸銀としては、例えば、酢酸銀、プロピオン酸銀、酪酸銀、イソ酪酸銀、乳酸銀、ピルビン酸銀、グリオキシル酸銀、マロン酸銀、ラウリン酸銀、2−エチルヘキサン酸銀、ネオデカン酸銀、ステアリン酸銀、パルミチン酸銀、ベヘン酸銀、オレイン酸銀、リノール酸銀、銀アセチルアセトナート、アセトンジカルボン酸銀、イソブチリル酢酸銀、ベンゾイル酢酸銀、アセト酢酸銀、プロピオニル酢酸銀、α−メチルアセト酢酸銀、α−エチルアセト酢酸銀、ピバロイル酢酸銀、安息香酸銀、ピクリン酸銀、などが挙げられる。
また、導電性成分(A)として、銀レジネート以外の導電性成分を含有することも好ましい。銀レジネートとその他の導電性成分を併用することで、比抵抗がより低い導電パターンを得ることが可能となる。そのメカニズムとしては、銀レジネート中の銀イオンの還元反応により、その他の導電性成分の粒子間を還元銀で架橋でき、銀レジネート単独の場合に比べ効率的に導電パスを形成できるためと考えている。銀レジネート以外の導電性成分(A)としては例えば、銀、金、銅、白金、鉛、錫、ニッケル、アルミニウム、タングステン、モリブデン、酸化ルテニウム、クロム、チタン、カーボン若しくはインジウムの粒子又はこれら金属の合金の粒子、あるいは、これらの混合物が挙げられる。なかでも、導電性成分(A)として、銀レジネートおよび銀粒子を含有することが好ましい。かかる構成とすることで、より低抵抗の導電パターンを形成できる。銀粒子のメジアン径(D50)は、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜6μmがより好ましい。D50が0.1μm以上であると、キュア工程での導電性成分(A)同士の接触確率が向上し、製造された導電パターンの比抵抗が低くなる。一方で、体積平均粒子径が10μm以下であると、製造された導電パターンの表面平滑度及び寸法精度が向上する。なお、D50は、レーザー光散乱法により測定することができる。
導電性成分(A)における銀レジネートの含有比としては、0.1〜100重量%とすることが好ましい。0.1%以上とすることで、低温キュア条件における導電性の効果を十分に得ることができる。好ましくは0.5〜90重量%であり、さらに好ましくは1〜50重量%である。
導電ペースト中の全固形分に占める導電性成分(A)の割合は、導電ペースト中の全固形分に対して70重量%以上であることが重要である。全固形分に対する添加量が70重量%未満であると、導電パターン中の導電性成分の密度が小さくなり、導電性が不十分となる。全固形分に対する添加量は、75〜98重量%が好ましく、80〜95重量%がより好ましい。全固形分に対する添加量が75重量%以上であると、導電パターン中の導電性成分(A)の密度が大きくなり、導電性が良好となる。一方、全固形分に対する添加量が98重量%以下であると、基板との密着性が良好となる。
ここで全固形分とは、溶剤を除く、導電ペーストの全構成成分をいう。導電ペースト中の全固形分に占める導電性成分(A)の割合は、導電ペースト作製時の導電性成分(A)および有機成分の添加量で制御できる。
本発明の導電ペーストは、有機成分として少なくとも、光または熱により酸もしくは塩基を発生する化合物(B)、及びバインダー(C)を含有することを特徴とする。
光または熱により酸もしくは塩基を発生する化合物(B)(以下、「化合物(B)」)を含有することにより、パターン形成プロセスにおいて銀レジネート中の銀イオンの還元反応が促進し、低温キュア条件においても比抵抗の低い導電パターンが得られる。
化合物(B)としては、光酸発生剤、熱酸発生剤、塩基発生剤などが挙げられるが、特定のものに限定されるものではなく、またこれらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
光酸発生剤としては、例えば、SI−101、SI−105、SI−106、SI−109、PI−105、PI−106、PI−109、NAI−100、NAI−1002、NAI−1003、NAI−1004、NAI−101、NAI−105、NAI−106、NAI−109、NDI−101、NDI−105、NDI−106、NDI−109、PAI−01、PAI−101、PAI−106若しくはPAI−1001(以上、いずれもみどり化学(株)製)、SP−077若しくはSP−082(以上、いずれも(株)ADEKA製)、TPS−PFBS(東洋合成工業(株)製)、CGI−MDT若しくはCGI−NIT(以上、いずれもチバジャパン(株)製)又はWPAG−281、WPAG−336、WPAG−339、WPAG−342、WPAG−344、WPAG−350、WPAG−370、WPAG−372、WPAG−449、WPAG−469、WPAG−505若しくはWPAG−506(以上、いずれも和光純薬工業(株)製)、イルガキュアPAG103、イルガキュアPAG121、イルガキュアPAG203(BASF製)が挙げられるが、特定のものに限定されるものではなく、またこれらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
加熱により酸を発生する化合物である熱酸発生剤としては、例えば、SI−60、SI−80、SI−100、SI−110、SI−145、SI−150、SI−60L、SI−80L、SI−100L、SI−110L、SI−145L、SI−150L、SI−160L、SI−180L(以上、いずれも三新化学工業(株)製)、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム、2−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム、2−メチルベンジル−4−アセチルフェニルメチルスルホニウム、2−メチルベンジル−4−ベンゾイルオキシフェニルメチルスルホニウム、これらのメタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩が挙げられる。より好ましくは4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム、2−メチルベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム、2−メチルベンジル−4−アセチルフェニルメチルスルホニウム、2−メチルベンジル−4−ベンゾイルオキシフェニルメチルスルホニウム、これらのメタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、などが挙げられるが、特定のものに限定されるものではなく、またこれらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
塩基発生剤としては、コバルトなど遷移金属錯体、オルトニトロベンジルカルバメート類、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルカルバメート類、アシルオキシイミノ類などが挙げられる。
発生する塩基の種類としては有機、無機の塩基のいずれの場合も好ましく用いることができるが、光照射による発生効率の点から有機アミン類が特に好ましい。発生する有機アミン類の種類としては脂肪族、芳香族のいずれでもよく、また、1官能でも多官能でも良い。紫外線照射により発生するアミン類の具体例としては、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、デシルアミン、セチルアミン、ヒドラジン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ベンジルアミン、アニリン、ナフチルアミン、フェニレンジアミン、トルエンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ヘキサメチルテトラミン、ピペリジン、ピペラジンなどが挙げられる。
好ましい塩基発生剤の具体例として、遷移金属錯体としては、ブロモペンタアンモニアコバルト過塩素酸塩、ブロモペンタメチルアミンコバルト過塩素酸塩、ブロモペンタプロピルアミンコバルト過塩素酸塩、ヘキサアンモニアコバルト過塩素酸塩、ヘキサメチルアミンコバルト過塩素酸塩、ヘキサプロピルアミンコバルト過塩素酸塩などが挙げられ、オルトニトロベンジルカルバメート類としては、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]メチルアミン、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]プロピルアミン、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキシルアミン、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]アニリン、[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ピペリジン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサメチレンジアミン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]フェニレンジアミン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]トルエンジアミン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ジアミノジフェニルメタン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ピペラジン、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]メチルアミン、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]プロピルアミン、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキシルアミン、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]アニリン、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ピペリジン、ビス[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサメチレンジアミン、ビス[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]フェニレンジアミン、ビス[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]トルエンジアミン、ビス[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ジアミノジフェニルメタン、ビス[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ピペラジンなどが挙げられ、α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジルカルバメート類としては、[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]メチルアミン、[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]プロピルアミン、[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキシルアミン、[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]アニリン、[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ピペリジン、ビス[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサメチレンジアミン、ビス[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]フェニレンジアミン、ビス[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]トルエンジアミン、ビス[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ジアミノジフェニルメタン、ビス[[(α,α−ジメチル−3,5−ジメトキシベンジル)オキシ]カルボニル]ピペラジンなどが挙げられ、アシルオキシイミノ類としては、プロピオニルアセトフェノンオキシム、プロピオニルベンゾフェノンオキシム、プロピオニルアセトンオキシム、ブチリルアセトフェノンオキシム、ブチリルベンゾフェノンオキシム、ブチリルアセトンオキシム、アジポイルアセトフェノンオキシム、アジポイルベンゾフェノンオキシム、アジポイルアセトンオキシム、アクロイルアセトフェノンオキシム、アクロイルベンゾフェノンオキシム、アクロイルアセトンオキシムなどが挙げられ、その他の塩基発生剤として、WPBG−018、WPBG−027、WPBG−140、WPBG−165、WPBG−266(以上、いずれも和光純薬工業(株)製)などが挙げられるが、特定のものに限定されるものではなく、またこれらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
導電性成分(A)に対する化合物(B)の割合は、0.1〜5重量%であることが好ましく、0.2〜3重量%がより好ましい。化合物(B)の割合が0.1重量%以上であると、低温キュア条件において、比抵抗の低い導電パターンが得られる。一方、化合物(B)の割合が5重量%以下であると、導電パターン中の絶縁成分量が少なくなるので、比抵抗の低い導電パターンが得られる。また、熱酸発生剤、光酸発生剤、および塩基発生剤を併用しても構わない。
本発明の導電ペーストが含有する、バインダー(C)は、ペースト化および導電パターンの基板への密着性に必要な成分である。バインダー(C)としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、セルロース化合物、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂などが好適に用いられる。これらを単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
アクリル樹脂としては、共重合成分に炭素−炭素二重結合を有するアクリル系モノマを含む、共重合体を用いることができる。炭素−炭素二重結合を有するアクリル系モノマとしては、例えば、メチルアクリレート、アクリル酸、2−エチルヘキシルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、iso−プロパンアクリレート、グリシジルアクリレート、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−エトキシメチルアクリルアミド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミド、N−イソブトキシメチルアクリルアミド、ブトキシトリエチレングリコールアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、オクタフロロペンチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリフロロエチルアクリレート、アクリルアミド、アミノエチルアクリレート、フェニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、1−ナフチルアクリレート、2−ナフチルアクリレート、チオフェノールアクリレート若しくはベンジルメルカプタンアクリレート等のアクリル系モノマ、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン若しくはヒドロキシメチルスチレン等のスチレン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドン、アリル化シクロヘキシルジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、グリセロールジアクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エポキシ基を不飽和酸で開環させた水酸基を有するエチレングリコールジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物、グリセリンジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのアクリル酸付加物、ビスフェノールFのアクリル酸付加物若しくはクレゾールノボラックのアクリル酸付加物等のエポキシアクリレートモノマ、又は、上記アクリル系モノマのアクリル基を、メタクリル基に置換した化合物が挙げられる。具体的な製品例としては、オリコックスKC−1700P、KC−1100(共栄社化学(株)製)、ハイパールM−4003、M−4006、M−4501、M−5000、M−5001、M−6003、M−6701、M−6664、M−0603(根上工業(株)製)などが挙げられる。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、ビスフェノールAのノボラック型、ビフェノール型、ビキシレノール型、トリスフェノールメタン型、N−グリシジル型、αートリグリシジルイソシアネート、βートリグリシジルイソシアヌレート、脂環式、複素環式など、公知のエポキシ樹脂、フェノキシ樹脂が挙げられるが、特定のものに限定されるものではなく、またこれらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。具体的な製品例として、jER(登録商標)825、827、828、1001、1002、1003、1055、1004、1007、1009、1010、806、807、4004P、4005P、4007P、4010P、1256、4250、4275、154、1031S、YX7700、YX8000、YX8034(三菱化学(株)製)などが挙げられる。
セルロース化合物としては、例えばメチルセルロース、エチルセルロース等が挙げられ、具体的な製品例として、ETHOCEL(登録商標)4cp、7cp、10cp、14cp、20cp、45cp、70cp、100cp、200cp、300cp(ダウケミカル(株)製)などが挙げられる。
導電性成分(A)に対する化合物(C)の割合は、2〜50重量%であることが好ましく、2.5〜30重量%がより好ましい。化合物(C)の割合が2重量%以上であると、基材との密着性の良好な導電パターンが得られる。一方、化合物(C)の割合が50重量%以下であると、導電パターン中の絶縁成分量が少なくなるので、比抵抗の低い導電パターンが得られる。
本発明の導電ペーストは、必要に応じて、炭素−炭素二重結合を有する化合物(D)(以下、「化合物(D)」)を含有することが好ましい。
化合物(D)としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシトリエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、ヘプタデカフロロデシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、オクタフロロペンチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリフロロエチルアクリレート、アリル化シクロヘキシルジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、グリセロールジアクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アクリルアミド、アミノエチルアクリレート、フェニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、1−ナフチルアクリレート、2−ナフチルアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物のジアクリレート、ビスフェノールA−プロピレンオキサイド付加物のジアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステル、チオフェノールアクリレート若しくはベンジルメルカプタンアクリレート又はこれらモノマの芳香環の水素原子の1〜5個を塩素若しくは臭素原子に置換したモノマ、あるいは、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、塩素化スチレン、臭素化スチレン、α−メチルスチレン、塩素化α−メチルスチレン、臭素化α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、カルボシキメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン又はビニルカルバゾールが挙げられる。また、上記の炭素−炭素二重結合を含有する化合物の分子内のアクリレートの一部若しくはすべてをメタクリレートに置換したものも挙げられる。また、多官能モノマにおいては、アクリル基、メタクリル基、ビニル基又はアリル基が混在していても構わない。
本発明の導電ペーストは、必要に応じて、バインダー(C)がアルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、カルボキシル基を有するアクリル樹脂が挙げられる。カルボキシル基を有するアクリル樹脂は、構成モノマとして不飽和カルボン酸などの不飽和酸を用いることにより得られる。不飽和酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸若しくはビニル酢酸又はこれらの酸無水物が挙げられる。用いる不飽和酸の多少により、得られるアクリル系共重合体の酸価を調整することができる。
また、上記アクリル系共重合体が有するカルボキシル基と、グリシジル(メタ)アクリレート等の不飽和二重結合を有する化合物と、を反応させることにより、側鎖に反応性の不飽和二重結合を有する、アルカリ可溶性のアクリル系共重合体が得られる。
化合物(C)の酸価は、化合物(C)のアルカリ可溶性を至適なものとするため、40〜250mgKOH/gであることが好ましく、50〜200mgKOH/gであることがより好ましい。酸価が40mgKOH/g以上であると、可溶部分の溶解性が良好となる。一方、酸価が250mgKOH/g以下であると、現像許容幅が広くなる。なお、化合物(C)の酸価は、JIS K 0070(1992)に準拠して測定することができる。
本発明の導電ペーストは、必要に応じて、光ラジカル重合開始剤(E)を含有することが好ましい。ここで光ラジカル重合開始剤(E)とは、紫外線等の短波長の光を吸収して分解するか、又は、水素引き抜き反応を起こして、ラジカルを生じる化合物をいう。光ラジカル重合開始剤(E)としては、例えば、1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、エタノン,1−[9−エチル−6−2(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4,4’−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、四臭化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン又はメチレンブルー等の光還元性色素と、アスコルビン酸若しくはトリエタノールアミン等の還元剤との組み合わせが挙げられる。
本発明において、導電性成分(A)、化合物(B)、アルカリ可溶性樹脂、化合物(D)により構成される導電ペースト、および、導電性成分(A)、化合物(B)、アルカリ可溶性樹脂、化合物(D)、光ラジカル重合開始剤(E)により構成される導電ペーストは、感光性を有するペーストであり、露光・現像工程によりパターン形成が可能となる。線幅50μm以下のパターンを形成する場合は、感光性を有する方が好ましい。
本発明の導電ペーストは、増感剤を含んでいても構わない。増感剤としては、例えば、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,3−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カルボニルビス(4−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−トリルジエタノールアミン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオテトラゾール又は1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオテトラゾールが挙げられる。
本発明の導電ペーストは、溶剤を含有しても構わない。溶剤としては、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(以下、「CA」)、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、乳酸エチル、3−メトキシ−3−メチルブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジアセトンアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。
本発明の導電ペーストは、その所望の特性を損なわない範囲であれば、可塑剤、レベリング剤、界面活性剤、シランカップリング剤、消泡剤若しくは顔料等の添加剤を含有しても構わない。
可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ポリエチレングリコール又はグリセリンが挙げられる。
レベリング剤としては、例えば、特殊ビニル系重合物又は特殊アクリル系重合物が挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン又はビニルトリメトキシシランが挙げられる。
導電ペーストの全成分分析方法は以下のとおりである。
(i)導電ペーストを有機溶媒で希釈し、1H−NMR測定、GC測定及びGC/MS測定をしてその概要を調べる。
(ii)導電ペーストを有機溶媒抽出した後に遠心分離を行い、可溶分と不溶分とを分離する。
(iii)上記不溶分について、高極性有機溶媒で抽出した後に遠心分離を行い、可溶分と不溶分とをさらに分離する。
(iv)上記(ii)及び(iii)で得られた可溶分の混合液について、IR測定、1H−NMR測定及びGC/MS測定を行う。さらに、上記混合液をGPC分取し、得られた分取物についてIR測定及び1H−NMR測定を行う。また、該分取物については、必要に応じてGC測定、GC/MS測定、熱分解GC/MS測定及びMALDI/MS測定を行う。
(v)上記(iii)で得られた不溶分についてIR測定又はTOF−SIMS測定を行い、有機物が存在することが確認された場合には、熱分解GC/MS又はTPD/MS測定を行う。
(vi)上記(i)、(iv)及び(v)の測定結果を総合的に判断することで、導電ペーストが含有する各成分の含有率を求めることができる。なお、上記(iii)で用いる高極性有機溶媒としては、クロロホルム又はメタノール等が好ましい。
本発明の導電ペーストは、例えば、“あわとり練太郎”(登録商標)(ARE−310;(株)シンキー製)などの自転・公転ミキサー、もしくは、三本ローラー、ボールミル若しくは遊星式ボールミル等の分散機又は混練機を用いて製造される。
次に本発明の導電ペーストを用いた、導電パターンの製造方法について説明する。
本発明の導電パターンの製造方法により得られた導電パターンは、有機成分と無機成分との複合物となっており、本発明の導電ペーストに含まれる導電性成分(A)中の銀レジネート由来の還元銀同士、あるいは還元銀と金属粒子の接触により、導電性が発現するものである。
導電パターンを製造するための工程として、例えば、塗布工程、熱処理工程、露光工程、現像工程などが挙げられる。
本発明における塗布工程としては、例えば、スピナーを用いた回転塗布、スプレー塗布、ディスペンサー塗布、ロールコーティング、スクリーン印刷又はブレードコーター、ダイコーター、カレンダーコーター、メニスカスコーター若しくはバーコーターなどを用いた基板への塗布が挙げられる。
基板としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「PETフィルム」)、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、アラミドフィルム、エポキシ樹脂基板、ポリエーテルイミド樹脂基板、ポリエーテルケトン樹脂基板、ポリサルフォン系樹脂基板、ポリカーボネート基板、ガラス基板、シリコンウエハー、アルミナ基板、窒化アルミニウム基板、炭化ケイ素基板、加飾層形成基板又は絶縁層形成基板などが挙げられる。
本発明における熱処理工程としては、例えば、オーブン、イナートオーブン、ホットプレート若しくは赤外線等による加熱乾燥又は真空乾燥などが挙げられる。
本発明における露光工程としては、感光法によりパターン形成する場合はフォトマスクを介した露光、あるいは、レーザー直接描画である必要があるが、それ以外の場合は、フォトマスクやレーザー直接描画をする必要はなく、全面露光すればよい。露光装置としては、例えば、ステッパー露光機又はプロキシミティ露光機などが挙げられる。この際使用される活性光源としては、例えば、近紫外線、紫外線、電子線、X線又はレーザー光等が挙げられるが紫外線が好ましい。紫外線の光源としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ又は殺菌灯が挙げられるが、超高圧水銀灯が好ましい。
本発明における現像工程としては、感光性ペーストの場合、現像液を用いて現像し、未露光部を溶解除去することで、所望のパターンが得られる。アルカリ現像を行う場合の現像液としては、例えば、水酸化テトラメチルアンモニウム、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン又はヘキサメチレンジアミンの水溶液が挙げられるが、これらの水溶液に、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド若しくはγ−ブチロラクトン等の極性溶媒、メタノール、エタノール若しくはイソプロパノール等のアルコール類、乳酸エチル若しくはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン若しくはメチルイソブチルケトン等のケトン類又は界面活性剤を添加しても構わない。有機現像を行う場合の現像液としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド若しくはヘキサメチルホスホルトリアミド等の極性溶媒又はこれら極性溶媒とメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、キシレン、水、メチルカルビトール若しくはエチルカルビトールとの混合溶液が挙げられる。
現像の方法としては、例えば、基板を静置又は回転させながら現像液を塗布膜面にスプレーする方法、基板を現像液中に浸漬する方法、又は、基板を現像液中に浸漬しながら超音波をかける方法などが挙げられる。
現像により得られたパターンは、リンス液によるリンス処理を施しても構わない。ここでリンス液としては、例えば、水あるいは水にエタノール若しくはイソプロピルアルコール等のアルコール類又は乳酸エチル若しくはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類を加えた水溶液などが挙げられる。
本発明において、溶剤を揮発除去する方法としては、例えば、オーブン、ホットプレート若しくは赤外線等による加熱乾燥又は真空乾燥が挙げられる。
導電パターンの製造方法としては、塗布工程を経た後に熱処理工程を経る方法、塗布工程を経た後に、露光工程、熱処理工程を経る方法、あるいは、塗布工程を経た後に、溶剤を揮発除去し、露光工程、熱処理工程を経る方法、もしくは、塗布工程を経た後に、溶剤を揮発除去し、露光工程、現像工程を経てパターン形成し、熱処理工程を経る方法、などが挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
各実施例及び比較例で用いた材料は、以下のとおりである。
[導電性成分(A)]
(A−1)ネオデカン酸銀(和光純薬工業(株)製)
(A−2)銀アセチルアセトナート(シグマアルドリッチジャパン製)
(A−3)1次粒子径が1.5μmの銀粒子(三井金属(株)製)
(A−4)1次粒子径が2.0μmの銀粒子(三井金属(株)製)
[化合物(B)]
(B−1)サンエイド SI−60L(三新化学工業(株)製)(熱酸発生剤)
(B−2)WPBG−140(和光純薬工業(株)製)(光塩基発生剤)
(B−3)イルガキュア(登録商標)PAG−121(BASF製)(光酸発生剤)
[バインダー(C)]
(C−1)オリコックスKC−1700P(共栄社化学(株)製)
(C−2)ETHOCEL(登録商標)20cp(ダウケミカル(株)製)
(C−3)jER(登録商標)1256(三菱化学(株)製)
(C−4)窒素雰囲気の反応容器中に、150gのCAを仕込み、オイルバスを用いて80℃まで昇温した。これに、20gのEA、40gの2−EHMA、20gのSt、15gのAA、0.8gの2,2’−アゾビスイソブチロニトリル及び10gのCAからなる混合物を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに6時間重合反応を行った。その後、1gのハイドロキノンモノメチルエーテルを添加して、重合反応を停止した。引き続き、5gのGMA、1gのトリエチルベンジルアンモニウムクロライド及び10gのCAからなる混合物を、0.5時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間付加反応を行った。得られた反応溶液をメタノールで精製することで未反応不純物を除去し、さらに24時間真空乾燥することで、アルカリ可溶性樹脂(C−4)を得た。得られたアルカリ可溶性樹脂(C−4)の酸価は97mgKOH/g、重量平均分子量は16000であった。
[炭素−炭素二重結合を有する化合物(D)]
ライトアクリレートBP−4EA(共栄社化学(株)製)
[光重合開始剤(E)]
IRGACURE(登録商標)369(BASF(株)製)
[溶剤]
CA(東京化成工業(株)製)
(実施例1)
100mLクリーンボトルに、0.25gの化合物(B−1)、4.75gのバインダー(C−1)、12.5gのCAを入れ、“あわとり練太郎”(登録商標)(ARE−310;(株)シンキー製)で混合して、17.5gの樹脂溶液を得た。得られた17.5gの樹脂溶液と、45.0の銀レジネート(A−1)を混ぜ合わせ、“あわとり練太郎”(登録商標)(ARE−310;(株)シンキー製)で混合して、62.5gの導電ペーストを得た。
得られた導電ペーストを用いて、導電パターンの比抵抗及び基材との密着性を評価した。
図1に示す線幅0.40mm、線長80mmの導電パターンをスクリーン印刷(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)にて、PETフィルム上にパターン印刷した。得られた塗布膜を60℃、80℃、100℃の条件でそれぞれ10分間熱処理を行い、比抵抗評価パターンを得た。得られた比抵抗評価パターンのそれぞれの端部に抵抗計でつないで抵抗値を測定し、以下の式(1)に基づいて比抵抗を算出した。
比抵抗 = 抵抗値×膜厚×線幅/線長 ・・・ (1)
導電パターンの比抵抗は670μΩcm(60℃10分)、190μΩcm(80℃10分)、76μΩcm(100℃10分)であり、いずれの条件においても比抵抗が1000μΩcm以下で良好であった。また、導電パターンを光学顕微鏡で観察し、導電パターンが基板と密着しているかを判定した結果、基板からの剥離は確認されず、密着性は○であった。
(実施例2、3、6、比較例2、4)
表1、2に示す組成の導電ペーストを実施例1と同様の方法で製造し、実施例1と同様の評価を行った結果を表3、4に示す。
(実施例4)
100mLクリーンボトルに、0.25gの化合物(B−2)、4.75gのバインダー(C−1)、12.5gのCAを入れ、“あわとり練太郎”(登録商標)(ARE−310;(株)シンキー製)で混合して、17.5gの樹脂溶液を得た。得られた17.5gの樹脂溶液と、45.0の銀レジネート(A−1)を混ぜ合わせ、“あわとり練太郎”(登録商標)(ARE−310;(株)シンキー製)で混合して、62.5gの導電ペーストを得た。
得られた導電ペーストを用いて、導電パターンの比抵抗及び基材との密着性を評価した。
図1に示す線幅0.40mm、線長80mmの導電パターンをスクリーン印刷(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)にて、PETフィルム上にパターン印刷した。得られた塗布膜を25℃、10Paで2分真空乾燥した。その後、露光装置(PEM−6M;ユニオン光学株式会社製)を用いて露光量150mJ/cm2(波長365nm換算)で全線露光を行った。得られた露光膜を、60℃、80℃、100℃の条件でそれぞれ10分間熱処理を行い、比抵抗評価パターンを得た。熱処理なしのパターンも含め、実施例1と同様の方法で比抵抗評価した結果、いずれの条件においても導電パターンの比抵抗が1000μΩcm以下で良好であった。また、導電パターンの基板からの剥離は確認されず、密着性は○であった。
(実施例5、7)
表1に示す組成の導電ペーストを実施例4と同様の方法で製造し、実施例4と同様の評価を行った結果を表3に示す。
(実施例8)
100mLクリーンボトルに、0.25gの化合物(B−1)、4.75gのバインダー(C−1)、12.5gのCAを入れ、“あわとり練太郎”(登録商標)(ARE−310;(株)シンキー製)で混合して、17.5gの樹脂溶液を得た。得られた17.5gの樹脂溶液と、40.0の銀レジネート(A−1)を混ぜ合わせ、“あわとり練太郎”(登録商標)(ARE−310;(株)シンキー製)で混合して後に、銀粒子(A−3)5.0gを混ぜ合わせ、3本ローラー(EXAKT M−50;EXAKT社製)を用いて混練し、62.5gの導電ペーストを得た。
得られた導電ペーストを用いて、導電パターンの比抵抗及び基材との密着性を評価した。
図1に示す線幅0.40mm、線長80mmの導電パターンをスクリーン印刷(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)にて、PETフィルム上にパターン印刷した。得られた塗布膜を60℃、80℃、100℃の条件でそれぞれ10分間熱処理を行い、比抵抗評価パターンを得た。実施例1と同様の方法で比抵抗評価した結果、いずれの条件においても比抵抗が1000μΩcm以下で良好であった。また、導電パターンの基板からの剥離は確認されず、密着性は○であった。
(実施例9〜14、17、比較例3)
表1、2に示す組成の導電ペーストを実施例8と同様の方法で製造し、実施例8と同様の評価を行った結果を表3、4に示す。
(実施例15)
100mLクリーンボトルに、0.25gの化合物(B−2)、4.75gのバインダー(C−1)、12.5gのCAを入れ、“あわとり練太郎”(登録商標)(ARE−310;(株)シンキー製)で混合して、17.5gの樹脂溶液を得た。得られた17.5gの樹脂溶液と、0.5の銀レジネート(A−1)を混ぜ合わせ、“あわとり練太郎”(登録商標)(ARE−310;(株)シンキー製)で混合して後に、銀粒子(A−3)44.5gを混ぜ合わせ、3本ローラー(EXAKT M−50;EXAKT社製)を用いて混練し、62.5gの導電ペーストを得た。
得られた導電ペーストを用いて、導電パターンの比抵抗及び基材との密着性を評価した。
図1に示す線幅0.40mm、線長80mmの導電パターンをスクリーン印刷(印刷版:SUS製325メッシュ/インチ)にて、PETフィルム上にパターン印刷した。得られた塗布膜を25℃、10Paで2分真空乾燥した。その後、露光装置(PEM−6M;ユニオン光学株式会社製)を用いて露光量150mJ/cm2(波長365nm換算)で全線露光を行った。得られた露光膜を、60℃、80℃、100℃の条件でそれぞれ10分間熱処理を行い、比抵抗評価パターンを得た。熱処理なしのパターンも含め、実施例1と同様の方法で比抵抗評価した結果、いずれの条件においても導電パターンの比抵抗が1000μΩcm以下で良好であった。また、導電パターンの基板からの剥離は確認されず、密着性は○であった。
(実施例16、18、19、23)
表2に示す組成の導電ペーストを実施例15と同様の方法で製造し、実施例15と同様の評価を行った結果を表4に示す。
(実施例20)
100mLクリーンボトルに、0.5gの化合物(B−3)、7.5gのバインダー(C−4)、1.0gの化合物D、12.5gのCAを入れ、“あわとり練太郎”(登録商標)(ARE−310;(株)シンキー製)で混合して、21.5gの樹脂溶液を得た。得られた21.5gの樹脂溶液と、0.5の銀レジネート(A−1)を混ぜ合わせ、“あわとり練太郎”(登録商標)(ARE−310;(株)シンキー製)で混合して後に、銀粒子(A−3)40.5gを混ぜ合わせ、3本ローラー(EXAKT M−50;EXAKT社製)を用いて混練し、62.5gの導電ペーストを得た。
得られた導電ペーストを用いて、導電パターンの比抵抗及び基材との密着性を評価した。
PETフィルム上に導電ペーストをスクリーン印刷にて100mm角で塗布し、25℃、10Paで2分真空乾燥した。その後、フォトマスクを介して乾燥後の塗布膜を露光、現像して、図1に示す線幅0.40mm、線長80mmの導電パターンを得た。なお、露光は露光装置(PEM−6M;ユニオン光学株式会社製)を用いて露光量150mJ/cm2(波長365nm換算)で全線露光を行い、現像は0.2%のNa2CO3溶液に基板を30秒浸漬させた後、超純水によるリンス処理を施して行った。その後、60℃、80℃、100℃の条件でそれぞれ10分間熱処理を行い、比抵抗評価パターンを得た。実施例1と同様の方法で比抵抗評価した結果、いずれの条件においても導電パターンの比抵抗が1000μΩcm以下で良好であった。また、導電パターンの基板からの剥離は確認されず、密着性は○であった。
(実施例21、22)
表2に示す組成の導電ペーストを実施例20と同様の方法で製造し、実施例20と同様の評価を行った結果を表4に示す。
(比較例1)
表2に示す組成の導電ペーストを実施例1と同様の方法で製造した。
得られた導電ペーストを用いて、導電パターンの比抵抗及び基材との密着性を評価した。
図1に示す線幅0.40mm、線長80mmの導電パターンをディスペンサーにて、PETフィルム上に塗布した。得られた塗布膜を60℃、80℃、100℃の条件でそれぞれ10分間熱処理を行い、比抵抗評価パターンを得た。実施例1と同様の方法で比抵抗評価した結果、いずれの条件においても比抵抗が1000μΩcm以下で良好であったが、導電パターンが基板からの剥離した箇所が確認され、密着性は×であった。
実施例1〜23の導電ペーストでは、いずれも比抵抗、基材との密着性に優れた導電パターンを形成することができた。比較例2〜4の導電ペーストで形成した導電パターンは、比抵抗が高かった。