JP6637466B2 - トランスミッションユニット及びその制御方法 - Google Patents

トランスミッションユニット及びその制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、無段変速機を構成する無端ベルトのスリップを抑制可能なトランスミッションユニット及びその制御方法に関する。
特許文献1では、動力伝達機構に付加する圧力を適正に、精度良く、容易に設定することのできる制御装置を提供することを目的としている([0010]、要約)。
当該目的を達成するため、特許文献1(要約)では、付加される圧力に応じて伝達トルク容量が変化する動力伝達機構の制御装置が開示される。この制御装置は、所定の入力トルクが作用している状態で滑りが開始する滑り開始圧力とその入力トルクに基づいて定まる理論圧力とから定まる物理量によって、動力伝達機構に付加する圧力を設定する圧力設定手段を備える。
特開2004−360890号公報
上記のように、特許文献1では、所定の入力トルクが作用している状態で滑りが開始する滑り開始圧力とその入力トルクに基づいて定まる理論圧力とから定まる物理量によって、動力伝達機構に付加する圧力を設定する(要約)。特許文献1では、実際に滑りが起こった場合に所定の圧力設定を行うため、滑り(スリップ)が起こる前に当該対応を取ることができない。
本発明は上記のような課題を考慮してなされたものであり、スリップの発生を未然に防ぐことが可能なトランスミッションユニット及びその制御方法を提供することを目的とする。
本発明に係るトランスミッションユニットは、
ドライブプーリ、ドリブンプーリ及び無端ベルトを含む無段変速機と、
前記ドライブプーリ及び前記ドリブンプーリに油圧を供給する油圧回路と、
前記油圧回路を介して前記ドライブプーリ及び前記ドリブンプーリに供給する前記油圧を制御する制御装置と
を有するものであって、
前記制御装置は、前記ドリブンプーリの前記油圧の下限値である油圧下限値を前記ドリブンプーリの前記油圧が下回るとき、前記ドリブンプーリの前記油圧を増加させ又は所定の警告出力を行い、
さらに、前記制御装置は、
前記ドリブンプーリへの入力トルクと前記無段変速機のトルク伝達容量との比率であるトルク比の限値であるトルク比限値を設定し、
前記無端ベルトがスリップしていない状態での前記トルク比の推定値である推定トルク比を取得し、
前記トルク比限値及び前記推定トルク比に基づいて前記ドリブンプーリの前記油圧を前記油圧下限値に換算して前記油圧下限値を設定又は更新する
ことを特徴とする。
本発明によれば、トルク比限値及び推定トルク比に基づいてドリブンプーリの油圧を油圧下限値に換算して油圧下限値を設定又は更新する。これにより、例えばスリップ防止のための閾値として油圧下限値を用いれば、スリップの発生を未然に防ぐことが可能となる。
前記制御装置は、前記ドリブンプーリの前記油圧、前記ドライブプーリと前記ドリブンプーリのレシオ、前記ドリブンプーリへの前記入力トルク、及び前記推定トルク比の1つ又は複数からなる安定判定指標が所定時間安定している場合、前記油圧下限値の設定又は更新を許可してもよい。また、前記制御装置は、前記安定判定指標が前記所定時間安定していない場合、前記油圧下限値の設定及び更新を制限してもよい。これにより、高精度な油圧下限値を設定又は更新することが可能となる。
前記制御装置は、前記レシオと前記ドリブンプーリへの前記入力トルクとの組合せ毎に前記油圧下限値を記憶するマップを備えてもよい。また、前記制御装置は、前記レシオと前記ドリブンプーリへの前記入力トルクとの組合せに対応する前記トルク伝達容量を算出してもよい。さらに、前記制御装置は、前記レシオと前記ドリブンプーリへの前記入力トルクの組合せそれぞれについて、前記トルク伝達容量、前記トルク比限値及び前記推定トルク比に基づいて前記ドリブンプーリの前記油圧を前記油圧下限値に換算して前記マップの前記油圧下限値を設定又は更新してもよい。
これにより、レシオとドリブンプーリへの入力トルクの組合せそれぞれについて油圧下限値を設定又は更新可能となる。従って、各組合せについて油圧下限値を早期に設定可能になる。或いは、より多くの情報に基づいて油圧下限値を設定又は更新するため、油圧下限値の精度を高めることが可能となる。
前記制御装置は、車両がクルーズ走行をしているとき、前記油圧下限値の設定又は更新を許可してもよい。また、前記制御装置は、前記車両がクルーズ走行をしていないとき、前記油圧下限値の設定及び更新を制限してもよい。これにより、油圧下限値の設定又は更新に用いる各種の値が安定しているときに油圧下限値を設定又は更新し易くなる。また、エネルギ効率を改善するため、クルーズ走行中にドライブプーリ及びドリブンプーリの油圧を下げる構成では、ベルトスリップを抑制し易くなる。
本発明に係るトランスミッションユニットの制御方法は、
ドライブプーリ、ドリブンプーリ及び無端ベルトを含む無段変速機と、
前記ドライブプーリ及び前記ドリブンプーリに油圧を供給する油圧回路と、
前記油圧回路を介して前記ドライブプーリ及び前記ドリブンプーリに供給する前記油圧を制御する制御装置と
を有するトランスミッションユニットの制御方法であって、
前記制御装置は、前記ドリブンプーリの前記油圧の下限値である油圧下限値を前記ドリブンプーリの前記油圧が下回るとき、前記ドリブンプーリの前記油圧を増加させ又は所定の警告出力を行い、
さらに、前記制御装置は、
前記ドリブンプーリへの入力トルクと前記無段変速機のトルク伝達容量との比率であるトルク比の限値であるトルク比限値を設定し、
前記無端ベルトがスリップしていない状態での前記トルク比の推定値である推定トルク比を取得し、
前記トルク比限値及び前記推定トルク比に基づいて前記ドリブンプーリの前記油圧を前記油圧下限値に換算して前記油圧下限値を設定又は更新する
ことを特徴とする。
本発明によれば、無段変速機の無端ベルトにおけるスリップの発生を未然に防ぐことが可能となる。
本発明の一実施形態に係る車両の概略構成図である。 前記実施形態のベルトスリップ抑制制御のフローチャートである。 前記実施形態においてドリブンプーリの油圧下限値の算出に用いるDN油圧下限値マップを簡略的に示す図である。 前記実施形態のマップ設定・更新制御のフローチャートである。 図5A、図5B及び図5Cは、前記実施形態における前記DN油圧下限値マップの設定又は更新の基本的な考え方を説明するための第1、第2及び第3説明図である。 図6A、図6B及び図6Cは、図5A、図5B及び図5Cの内容をより具体的にした第1、第2及び第3説明図である。 前記実施形態において前記DN油圧下限値マップを設定又は更新するタイミングの例を示すタイムチャートである。
A.一実施形態
<A−1.構成>
[A−1−1.概要]
図1は、本発明の一実施形態に係る車両10の概略構成図である。本実施形態の車両10は、動力源としてエンジン30を有するエンジン車両である。後述するように、車両10は、エンジン車両以外の種類の車両であってもよい。車両10は、動力系20と、油圧系22と、制御系24とを有する。
[A−1−2.動力系20]
動力系20は、車両10を走行させるための動力(又は駆動トルク)を生成する。動力系20は、エンジン30(回転駆動源)に加え、トランスミッションユニット32と、ドライブシャフト34と、車輪36l、36rとを有する。
また、トランスミッションユニット32(以下「TMユニット32」ともいう。)は、トルクコンバータ50と、ロックアップクラッチ52と、無段変速機54と、中間ギア56と、ファイナルギア58とを有する。無段変速機54(以下「CVT54」ともいう。)は、ドライブプーリ70と、ドリブンプーリ72と、無端ベルト74とを有する。ドライブプーリ70は、固定プーリ半体76aと可動プーリ半体76bを有する。ドリブンプーリ72は、固定プーリ半体78aと可動プーリ半体78bを有する。無端ベルト74は、金属製であり、無端リング(図示せず)と、無端リングの周囲に配置された複数のエレメント(図示せず)とを有する。
なお、例えば、後述するベルトスリップ抑制制御及びマップ設定・更新制御の観点からすれば、動力系20は、上記構成に限らず、その他の構成を有してもよい。
[A−1−3.油圧系22]
油圧系22(油圧回路)は、TMユニット32(特に、トルクコンバータ50、ロックアップクラッチ52、ドライブプーリ70及びドリブンプーリ72)に対する油圧を供給する。油圧系22は、油圧ポンプ80と、油流路82a、82b、82c、82dと、制御弁84a、84b、84c、84dとを有する。油圧ポンプ80は、エンジン30が生成した動力(又は駆動トルク)により作動する。換言すると、エンジン30をメカニカルポンプの一部として利用する。或いは、油圧ポンプ80は、エンジン30と、図示しない電動モータとを組み合わせて構成してもよい。或いは、油圧ポンプ80は、前記電動モータのみにより構成してもよい。
[A−1−4.制御系24]
(A−1−4−1.制御系24の概要)
制御系24は、動力系20及び油圧系22を制御する。制御系24は、センサ群100と、電子制御装置102(以下「ECU102」という。)とを有する。
(A−1−4−2.センサ群100)
センサ群100には、アクセルペダルセンサ110と、車速センサ112と、エンジン回転速度センサ114と、ドライブプーリ回転速度センサ116と、ドリブンプーリ回転速度センサ118と、ドライブプーリ油圧センサ120と、ドリブンプーリ油圧センサ122と、クルーズスイッチ124とを有する。
アクセルペダルセンサ110(以下「APセンサ110」ともいう。)は、図示しないアクセルペダルの操作量θap(以下「AP操作量θap」ともいう。)[%]を検出する。車速センサ112は、車両10の車速V[km/h]を検出する。エンジン回転速度センサ114は、エンジン30の回転速度Ne(以下「エンジン回転速度Ne」)[rpm]を検出する。
ドライブプーリ回転速度センサ116(以下「DR回転速度センサ116」ともいう。)は、ドライブプーリ70の回転速度Ndr(以下「DR回転速度Ndr」ともいう。)[rpm]を検出する。ドリブンプーリ回転速度センサ118(以下「DN回転速度センサ118」ともいう。)は、ドリブンプーリ72の回転速度Ndn(以下「DN回転速度Ndn」ともいう。)[rpm]を検出する。
ドライブプーリ油圧センサ120(以下「DR油圧センサ120」ともいう。)は、制御弁84aとドライブプーリ70の間に設けられ、ドライブプーリ70の油圧Pdr(以下「DR油圧Pdr」ともいう。)[Pa]を検出する。ドリブンプーリ油圧センサ122(以下「DN油圧センサ122」ともいう。)は、制御弁84bとドリブンプーリ72の間に設けられ、ドリブンプーリ72の油圧Pdn(以下「DN油圧Pdn」ともいう。)[Pa]を検出する。
クルーズスイッチ124は、クルーズ走行に関してユーザが操作するスイッチ(換言すると、クルーズ走行に関するユーザの操作を検出するセンサ)である。本実施形態のクルーズスイッチ124では、クルーズ走行の開始及び終了を指令すると共に、目標クルーズ車速Vctarを設定可能である。なお、クルーズスイッチ124以外の方法(例えば、図示しないマイクロフォンを介した音声入力)に基づいて、クルーズ走行に関するユーザ指令を入力してもよい。
(A−1−4−3.ECU102)
図1に示すように、ECU102は、ハードウェアの構成として、入出力部130と、演算部132と、記憶部134とを有する。ECU102は、各センサからの出力値に基づき、動力系20及び油圧系22を制御する。
入出力部130は、ECU102と外部機器(例えば、APセンサ110、車速センサ112)との入出力を行う。
演算部132は、中央演算装置(CPU)を含み、記憶部134に記憶されているプログラム及びデータを用いて動力系20及び油圧系22を制御する。演算部132は、ベルトスリップ抑制制御及びマップ設定・更新制御を実行する(詳細は、図2〜図7を参照して後述する。)。演算部132は、エンジン制御部150と、TMユニット制御部152と、クルーズ制御部154とを有する。
エンジン制御部150(以下「ENG制御部150」ともいう。)は、センサ群100(例えば、APセンサ110、車速センサ112、エンジン回転速度センサ114)からの出力値に基づき、エンジン30を制御する。
TMユニット制御部152は、センサ群100からの出力値に基づき、TMユニット32を制御する。TMユニット制御部152は、トルクコンバータ制御部160と、無段変速機制御部162と、ロックアップクラッチ制御部164とを有する。
トルクコンバータ制御部160は、制御弁84cとトルクコンバータ50との間に設けられたトルクコンバータ油圧センサ(図示せず)等からの出力値に基づき、トルクコンバータ50を制御する。
無段変速機制御部162(以下「CVT制御部162」ともいう。)は、DR油圧センサ120及びDN油圧センサ122等からの出力値に基づき、制御弁84a、84bを介してドライブプーリ70及びドリブンプーリ72を制御する。これにより、CVT54のレシオR(ギア比)を制御する。本実施形態のCVT制御部162は、ベルトスリップ抑制部180と、マップ設定・更新部182とを有する。ベルトスリップ抑制部180は、無端ベルト74のスリップを抑制するベルトスリップ抑制制御を実行する。マップ設定・更新部182は、DN油圧下限値マップ200(図3)の設定及び更新を行うマップ設定・更新制御を実行する。
ロックアップクラッチ制御部164(以下「LC制御部164」ともいう。)は、制御弁84dとロックアップクラッチ52との間に設けられたLC油圧センサ(図示せず)等からの出力値に基づき、ロックアップクラッチ52を制御する。
クルーズ制御部154は、車両10のクルーズ走行を制御する。具体的には、クルーズ制御部154は、クルーズスイッチ124に対するユーザの操作入力に対応させてクルーズ走行を開始又は終了させる。また、クルーズ走行の実行中において、クルーズ制御部154は、クルーズスイッチ124を介して入力された目標クルーズ車速Vctarを実現するように車両10の加減速を制御する。
車両10の加減速を制御するに当たっては、クルーズ制御部154は、エンジン制御部150を介してエンジン30を制御すると共に、TMユニット制御部152を介してTMユニット32を制御する。さらに、クルーズ制御部154は、図示しない制動システムを介して車両10の減速を制御する。さらにまた、車両10(自車)の前方に先行車が存在する場合、クルーズ制御部154は、図示しない前方センサ(レーダ、カメラ等)からの出力に基づいて衝突余裕時間(TTC:Time To Collision)等に基づいて加減速を制御してもよい。
記憶部134は、演算部132が用いるプログラム及びデータを記憶するものであり、ランダム・アクセス・メモリ(以下「RAM」という。)を備える。RAMとしては、レジスタ等の揮発性メモリと、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリとを用いることができる。また、記憶部134は、RAMに加え、リード・オンリー・メモリ(以下「ROM」という。)を有してもよい。
<A−2.本実施形態の制御>
[A−2−1.概要]
上記のように、本実施形態のECU102は、ベルトスリップ抑制制御(図2)を実行する。また、ECU102は、ベルトスリップ抑制制御で用いるDN油圧下限値マップ200(図3)を設定又は更新するマップ設定・更新制御(図4)を実行する。まずは、本実施形態におけるレシオRの制御として、通常時レシオ制御及びクルーズ時レシオ制御を説明し、その後、ベルトスリップ抑制制御及びマップ設定・更新制御を説明する。
[A−2−2.通常時レシオ制御及びクルーズ時レシオ制御]
通常時レシオ制御は、車両10がクルーズ走行中でないときのCVT54のレシオRを制御する。クルーズ時レシオ制御は、車両10がクルーズ走行中であるときのCVT54のレシオRを制御する。クルーズ時レシオ制御及び通常時レシオ制御以外のレシオ制御を設けてもよい。
通常時レシオ制御において、ECU102は、AP操作量θap、車速V及びエンジン回転速度Neに基づいて目標レシオRtarを算出する。具体的には、AP操作量θap、車速V及びエンジン回転速度Neの組合せと、これに対応する目標レシオRtarとを規定したマップが記憶部134に予め記憶されている。ECU102は、当該マップを用いて目標レシオRtarを算出する。目標レシオRtarは、車両10の目標駆動トルクTtarに対応する。
クルーズ時レシオ制御において、ECU102は、車速V、目標車速Vtar及びエンジン回転速度Neに基づいて目標レシオRtarを算出する。具体的には、車速V(検出車速)と目標車速Vtarの差ΔVが所定範囲内に収まるようにフィードバック制御する。その際、エンジン回転速度Neに応じて目標レシオRtarを算出する。目標車速Vtarは、クルーズスイッチ124で設定された値が用いられる。或いは、運転者がクルーズスイッチ124を押したときの車速Vを目標車速Vtarとして設定してもよい。
また、クルーズ時レシオ制御では、エネルギ効率(ここでは燃費)を改善するため、通常時レシオ制御よりもドライブプーリ70及びドリブンプーリ72の側圧(油圧Pdr、Pdn)を低く設定する。なお、ドライブプーリ70及びドリブンプーリ72の側圧(油圧Pdr、Pdn)を低く設定する条件として、車速Vが車速閾値THv以上であること及び目標レシオRtar又はレシオRがレシオ閾値THr以下であることの一方又は両方を用いてもよい。
通常時レシオ制御及びクルーズ時レシオ制御いずれの場合も、ECU102は、目標レシオRtarに対応するドライブプーリ70及びドリブンプーリ72への供給油圧の指令値(以下「DR指令油圧Pdrcom」及び「DN指令油圧Pdncom」という。)を算出する。さらに、ECU102は、DR指令油圧Pdrcom及びDN指令油圧Pdncomを実現するように制御弁84a、84bを制御する。
[A−2−3.ベルトスリップ抑制制御]
図2は、本実施形態のベルトスリップ抑制制御のフローチャートである。ステップS11において、ECU102は、DN油圧Pdn、レシオR及びDN入力トルクTdnを取得する。
DN油圧Pdnは、油圧センサ122から取得する。レシオRは、例えば、DR回転速度センサ116が検出したDR回転速度Ndrを、DN回転速度センサ118が検出したDN回転速度Ndnで割って算出する(R=Ndr/Ndn)。或いは、DR回転速度Ndrの位相と、DN回転速度Ndnの位相のずれに基づいてレシオRを算出してもよい。以下では、測定値により算出したレシオRを特に「測定レシオRmst」ともいう。
DN入力トルクTdn(以下「DNトルクTdn」又は「DNプーリトルクTdn」ともいう。)は、ドリブンプーリ72に入力されるトルク[kgfm]である。DN入力トルクTdnは、エンジン30のトルクTeng(以下「エンジントルクTeng」ともいう。)、レシオR等に基づいて算出する。エンジントルクTengは、エンジン回転速度Neに基づいて算出する。
ステップS12において、ECU102は、レシオR及びDN入力トルクTdnに基づいてDN油圧Pdnの下限値Pdnmin(以下「DN油圧下限値Pdnmin」ともいう。)を算出する。DN油圧下限値Pdnminは、ベルト74のスリップを防ぐために設定した値であり、DN油圧Pdnがこの値を下回る場合、スリップの発生可能性が高くなる。本実施形態では、図3に示すDN油圧下限値マップ200(以下「マップ200」ともいう。)を用いてDN油圧下限値Pdnminを算出する。
図3は、本実施形態においてDN油圧下限値Pdnminの算出に用いるDN油圧下限値マップ200(以下「マップ200」ともいう。)を簡略的に示す図である。図3に示すように、マップ200は、レシオRとDN入力トルクTdnの組合せ毎にDN油圧下限値Pdnminを記憶する。従って、ECU102は、ステップS11で取得したレシオR及びDN入力トルクTdnの組合せに対応する油圧下限値Pdnminをマップ200(又はテーブル)から読み出すことで、油圧下限値Pdnminを取得する。
なお、図3では、DN油圧下限値Pdnminの値としてマップ200の各セルに「X11、X12」等が入っているが、実際には、具体的な数値が入ることに留意されたい。後述する図5B、図5C及び図6BにおけるDN油圧Pdn並びに図6CにおけるDN油圧下限値Pdnminも同様である。
図2に戻り、ステップS13において、ECU102は、ステップS11で取得したDN油圧Pdnが、ステップS12で算出したDN油圧下限値Pdnmin以下であるか否かを判定する。DN油圧Pdnが下限値Pdnmin以下である場合(S13:TRUE)、ステップS15に進む。DN油圧Pdnが下限値Pdnmin以下でない場合(S13:FALSE)、ステップS14に進む。なお、DN油圧下限値Pdnminが設定されていない場合、今回の処理を終了して所定時間経過後にステップS11に戻ってもよい。
ステップS14において、ECU102は、無端ベルト74にスリップが実際に発生していないか否かを判定する。例えば、特許文献1に記載の方法を用いることができる。スリップが実際に発生していない場合(S14:TRUE)、今回の処理を終えて、所定時間経過後にステップS11に戻る。スリップが発生した場合(S14:FALSE)、ステップS15に進む。
ステップS15において、ECU102は、制御弁84a、84bを制御してDR油圧Pdr及びDN油圧Pdnそれぞれを増加させる。この際、レシオRは維持する。或いはレシオRを増加又は減少させてもよい。これにより、スリップを抑制することが可能となる。
[A−2−4.マップ設定・更新制御]
(A−2−4−1.マップ設定・更新制御の概要)
図4は、本実施形態のマップ設定・更新制御のフローチャートである。ステップS21において、ECU102は、車両10がクルーズ走行中であるか否かを判定する。当該判定は、例えば、クルーズスイッチ124がオンであるか否かにより行う。車両10がクルーズ走行中である場合(S21:TRUE)、ステップS22に進む。車両10がクルーズ走行中でない場合(S21:FALSE)、今回の処理を終了し、所定時間経過後にステップS21に戻る。
なお、上記のような、エネルギ効率改善のためのドライブプーリ70及びドリブンプーリ72の側圧(油圧Pdr、Pdn)を低く設定することに合わせて、ステップS21では、車速Vが車速閾値THv以上であること及びレシオRがレシオ閾値THr以下であることの一方又は両方を付加的な条件としてもよい。
ステップS22において、ECU102は、ドリブンプーリ72への油圧Pdnの測定値(以下「測定DN油圧Pdn」ともいう。)、DNプーリトルクTdn、測定レシオRmst及び摩擦係数μを取得する。
摩擦係数μは、ドリブンプーリ72及びベルト74間の摩擦の程度を示すものであり、固定値又は可変値とすることができる。摩擦係数μが可変値である場合、ECU102は、例えば測定レシオRmstとDR回転速度Ndrに基づいて摩擦係数μを算出する。具体的には、測定レシオRmstとDR回転速度Ndrの組合せと摩擦係数μとの関係を規定したマップ(摩擦係数マップ)を記憶部134に記憶しておく。そして、ECU102は、測定レシオRmstとDR回転速度Ndrの組合せに対応する摩擦係数μを当該摩擦係数マップから読み出して用いる。測定DN油圧Pdnは、DN油圧センサ122から取得する。
ステップS23において、ECU102は、トルク伝達容量Tmaxを算出する。トルク伝達容量Tmaxは、CVT54が伝達可能なトルクの最大値であり、下記の式(1)で算出される。
Tmax=2μ・R・Q/cosα (1)
上記式(1)において、Rは、ドリブンプーリ72に対するベルト74の巻付半径を示す。Qは、ドリブンプーリ72の軸推力を示す。軸推力Qは、可動プーリ半体78bを固定プーリ半体78aに向かって押圧する推力を示す。αは、ドリブンプーリ72を構成する固定プーリ半体78aと可動プーリ半体78bとがなす溝部のうちベルト74(特にエレメント)が接触する部分の接線が垂直線に対してなす角度である。角度αは、溝部の形状に応じて固定値又は可変値とすることができる。
角度αが固定値である場合、溝部は、固定プーリ半体78a側の平面と可動プーリ半体78b側の平面がなすV字状の角度の半分である。角度αが可変値である場合とは、固定プーリ半体78a及び可動プーリ半体78bそれぞれが湾曲面を有している場合である。角度αが可変値である場合、ECU102は、DN油圧Pdnに基づいて角度αを算出する。具体的には、DN油圧Pdnと角度αとの関係を規定したマップを記憶部134に記憶しておく。そして、ECU102は、DN油圧Pdnに対応する角度αを当該マップから読み出して用いる。
ステップS24において、ECU102は、トルク比Rtqの推定値(以下「推定トルク比Rtqest」ともいう。)を算出する。推定トルク比Rtqestは、DNプーリトルクTdnをトルク伝達容量Tmaxで割った商である。トルク比Rtqは、下記の式(2)により算出する。
Rtqest=Tdn/Tmax=Tdn・cosα/2μ・Rdn・Q (2)
或いは、DR回転速度センサ116及びDN回転速度センサ118からの出力信号(回転速度Ndr、Ndn)の位相差及び振幅比に基づいて推定トルク比Rtqestを算出してもよい。
ステップS25において、ECU102は、DN油圧下限値Pdnminに関する各値が安定しているか否かを判定する。ここにいう値には、レシオR、DN入力トルクTdn、推定トルク比Rtqest及びDN油圧Pdnが含まれる。以下では、これらの値を安定判定指標Isともいう。各値が安定している場合(S25:TRUE)、ステップS26に進む。いずれかの値が安定していない場合(S25:FALSE)、ステップS21に戻る。
ステップS26において、ECU102は、レシオR(測定レシオRmst)、DNトルクTdn、推定トルク比Rtqest及びトルク比限値Rtqmaxに基づいてDN油圧下限値Pdnminを設定又は更新する。トルク比限値Rtqmaxは、ベルト74のスリップを未然に防止することを目的として設定される。本実施形態のトルク比限値Rtqmaxは固定値であるが、可変値としてもよい。上記のように、本実施形態では、DN油圧下限値マップ200(図3)を用いる。このため、ステップS26では、マップ200の設定又は更新を行う(詳細は、図5A〜図6Cを参照して後述する。)。なお、ステップS26では、マップ設定・更新許可フラグFLG(図7)を所定時間立たせる。
(A−2−4−2.マップ200の設定・更新(図4のS26))
図5A、図5B及び図5Cは、本実施形態におけるDN油圧下限値マップ200の設定又は更新の基本的な考え方を説明するための第1、第2及び第3説明図である。図5A〜図5Cでは、説明用のマップ210、212、214が示されている。マップ210→212→214の順に処理が進んで行く。
図5Aの例では、トルク比Rtq(推定トルク比Rtqest)が0.7[−]、DN油圧Pdnが3[kgf/cm2]、レシオR(測定レシオRmst)が0.43[−]、DNトルクTdnが2.3[kgfm]という値が取得されたことを示している。
図5Bのマップ212では、これらの値のうちレシオRを補間して0.4と0.5とする(レシオ軸の補間)。0.4と0.5は、当初の0.43に近い小数第1位までの値である。そして、補間後のレシオRである0.4と0.5に対応するDN油圧Pdnを算出する。なお、図5Bでは、DN油圧Pdnの値としてマップ212の各セルに「x11、x21」が入っているが、上記の通り、実際には、具体的な数値が入ることに留意されたい。
上記式(2)を変形すると、ドリブンプーリ72の軸推力Qについて下記の式(3)が成り立つ。
Q=Tdn・cosα/2μ・Rdn・Rtqest (3)
本実施形態では、式(3)のうち、レシオRの変化に応じて変化する値としては、角度α(又はcosα)、摩擦係数μ及びDN半径Rdnがある。そこで、ECU102は、補間後のレシオRである0.4と0.5に対応するcosα、摩擦係数μ及びDN半径Rdnを算出する。そして、トルク比Rtq(推定トルク比Rtqest)0.7、レシオR(測定レシオRmst)0.43と、新たなDNトルクTdn2.3、cosα、摩擦係数μ及びDN半径Rdnとを式(3)に代入して、新たなDN油圧x11、x21を算出する。
図5Cのマップ214では、マップ212の値のうちDNトルクTdnを補間して2と3とする(DNトルク軸の補間)。2と3は、当初の2.3に近い整数である。そして、補間後のDNトルクTdnである2と3に対応するDN油圧Pdnを算出する。
繰り返しになるが、ドリブンプーリ72の軸推力Qについては、式(3)が成り立つ。
Q=Tdn・cosα/2μ・Rdn・Rtqest (3)
本実施形態では、式(3)のうち、DNトルクTdnの変化に応じて変化する値としては、摩擦係数μがある。そこで、ECU102は、補間後のDNトルクTdnである2と3に対応する摩擦係数μを算出する。そして、トルク比Rtq(推定トルク比Rtqest)0.7、レシオR(測定レシオRmst)0.4、0.5と、新たな、DNトルクTdn2、3、摩擦係数μとを式(3)に代入して、新たなDN油圧x12、x22を算出する。
以上のように、本実施形態では、式(3)を用いてレシオ軸の補間(図5A→図5B)とDNトルク軸の補間(図5B→図5C)を行うことで、トルク比Rtq、レシオR及びDNトルクTdnの組合せに対応するDN油圧Pdnを補間する。
図6A、図6B及び図6Cは、図5A、図5B及び図5Cの内容をより具体的にした第1、第2及び第3説明図である。図6Aでは、図5Aと同じマップ210が示されている。図6Bでは、説明用のマップ220が示されている。図6Cでは、図3と同じマップ200が示されている。マップ210→220→200の順に処理が進んで行く。
図6Bのマップ220は、レシオ軸の補間(図5A→図5B)とDNトルク軸の補間(図5B→図5C)をまとめて行っている。また、レシオ軸の補間及びDNトルク軸の補間の範囲を拡張している(格子点の拡張)。例えば、図5Bでは、図5AのレシオRの値0.43に近い小数第1位までの値として0.4と0.5を設定した。これに対し、図6Bでは、それ以外の値(0.6、0.7等)を含む。なお、図6Bでは、0.4よりも小さい値及び0.8よりも大きい値がレシオRとして含まれていないが、それらの値をマップ220に含ませてもよい。
図6Cのマップ200は、図6Bのマップ220におけるDN油圧PdnをDN油圧下限値Pdnminに換算した値を記憶している。上記のように、DN油圧PdnからDN油圧下限値Pdnminへの換算は、式(3)で示される関係に基づいて行う。
(A−2−4−3.DN油圧下限値マップ200の設定・更新タイミング)
図7は、本実施形態においてDN油圧下限値マップ200を設定又は更新するタイミングの例を示すタイムチャートである。時点t11において、レシオR(測定レシオRmst)、DN入力トルクTdn、推定トルク比Rtqest及びDNプーリ油圧Pdn(安定判定指標Is)の全てが安定状態となり、時点t12において安定状態が所定時間継続する(図4のS25:TRUE)。そこで、マップ設定・更新許可フラグFLG(以下「フラグFLG」ともいう。)が立ち、マップ200の設定が行われる。これに伴って、DN油圧下限値Pdnminが設定され(S26)、DN油圧Pdnが変化(低下等)する。
時点t13において、レシオR、DN入力トルクTdn、推定トルク比Rtqest及びDNプーリ油圧Pdn(安定判定指標Is)の全てが再度安定状態となり、時点t14において安定状態が所定時間継続する(図4のS25:TRUE)。そこで、フラグFLGが立ち、マップ200の更新が行われる。これに伴って、DN油圧下限値Pdnminが更新され(S26)、DN油圧Pdnが変化(低下等)する。
<A−3.本実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態によれば、トルク比限値Rtqmax及び推定トルク比Rtqestに基づいてDN油圧Pdnを油圧下限値Pdnminに換算して油圧下限値Pdnminを設定又は更新する(図4のS26、図5A〜図6C)。これにより、例えばスリップ防止のための閾値として油圧下限値Pdnminを用いれば、スリップの発生を未然に防ぐことが可能となる。
本実施形態において、ECU102(制御装置)は、レシオR、DN入力トルクTdn、推定トルク比Rtqest及びDN油圧Pdnそれぞれの値(安定判定指標Is)が所定時間安定している場合(図4のS25:TRUE)、油圧下限値Pdnminの設定又は更新を許可する(S26)。また、安定判定指標Isが所定時間安定していない場合(S25:FALSE)、油圧下限値Pdnminの設定及び更新を行わない。換言すると、油圧下限値Pdnminの設定又は更新を制限する。これにより、高精度な油圧下限値Pdnminを設定又は更新することが可能となる。
本実施形態において、ECU102(制御装置)は、レシオRとDN入力トルクTdnとの組合せ毎に油圧下限値Pdnminを記憶するマップ200を備える(図3)。また、ECU102は、レシオRとDN入力トルクTdnとの組合せに対応するトルク伝達容量Tmaxを算出する(図4のS23)。さらに、ECU102は、レシオRとDN入力トルクTdnの組合せそれぞれについて、トルク伝達容量Tmax、トルク比限値Rtqmax及び測定トルク比Rtqestに基づいてDN油圧Pdnを油圧下限値Pdnminに換算してマップ200の油圧下限値Pdnminを設定又は更新する(図4のS26、図6B、図6C)。
これにより、レシオRとDN入力トルクTdnの組合せそれぞれについて油圧下限値Pdnminを設定又は更新可能となる。従って、各組合せについて油圧下限値Pdnminを早期に設定可能になる。或いは、より多くの情報に基づいて油圧下限値Pdnminを設定又は更新するため、油圧下限値Pdnminの精度を高めることが可能となる。
本実施形態において、ECU102(制御装置)は、車両10がクルーズ走行をしているとき(図4のS21:TRUE)、油圧下限値Pdnminの設定又は更新を許可する(S26)。また、ECU102は、車両10がクルーズ走行をしていないとき(S21:FALSE)、油圧下限値Pdnminの設定及び更新を行わない(換言すると、油圧下限値Pdnminの設定及び更新を制限する)。これにより、油圧下限値Pdnminの設定又は更新に用いる各種の値が安定しているときに油圧下限値Pdnminを設定又は更新し易くなる。また、エネルギ効率を改善するため、クルーズ走行中にDR油圧Pdr及びDN油圧Pdnを下げる構成では、ベルトスリップを抑制し易くなる。
B.変形例
なお、本発明は、上記実施形態に限らず、本明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
<B−1.適用対象>
上記実施形態の車両10は動力源としてエンジン30のみを有するエンジン車両であった(図1)。しかしながら、例えば、ベルトスリップ抑制制御(図2)又はマップ設定・更新制御(図4)に着目すれば、これに限らない。例えば、車両10は、動力源としてエンジン30及び走行モータを有するハイブリッド車両であってもよい。
上記実施形態では、車両10にECU102(制御装置)を適用した。しかしながら、例えば、ベルトスリップ抑制制御(図2)又はマップ設定・更新制御(図4)に着目すれば、これに限らない。例えば、ECU102(及びTMユニット32)は、船舶等の乗り物(vehicle)に適用してもよい。或いは、乗り物以外の装置に本発明を適用してもよい。
<B−2.ECU102>
上記実施形態では、ECU102を車両10に搭載することを念頭に説明した(図1)。しかしながら、例えば、ECU102の一部を携帯端末に設け、当該携帯端末を車両10のネットワークに接続することでECU102を構成してもよい。
上記実施形態では、1つのECU102が、動力系20及び油圧系22の両方を制御した(図1)。しかしながら、動力系20及び油圧系22に分けて別々のECU102を設けることも可能である。さらには、動力系20のうちエンジン30、トルクコンバータ50及びCVT54に分けて別々のECU102を設けることも可能である。
<B−3.ベルトスリップ抑制制御(図2)>
上記実施形態では、ベルトスリップが発生していないか否か(図2のS14)を判定した。しかしながら、例えば、ベルトスリップの未然防止に着目すれば、ステップS14を省略することも可能である。
上記実施形態では、DN油圧PdnがDN油圧下限値Pdnmin以下であるとき(図2のS13:TRUE)、DR油圧Pdr及びDN油圧Pdnを増加させた(S15)。しかしながら、例えば、マップ設定・更新制御(図4)に着目すれば、これに限らない。例えば、DR油圧Pdr及びDN油圧Pdnの増加に加えて又はこれに代えて、所定の警告出力を行うことも可能である。そのような警告出力としては、例えば、図示しない警告灯の点灯、故障コード(DTC)の記憶等を行うことができる。
<B−4.マップ設定・更新制御(図4)>
上記実施形態では、DN油圧下限値Pdnminのデフォルト値を設けない場合があることを前提としていた(図4のS26、図7参照)。しかしながら、DN油圧下限値Pdnminのデフォルト値を記憶部134に記憶しておき、ベルトスリップ抑制制御の開始時に当該デフォルト値を用いてもよい。
上記実施形態では、今回の演算周期におけるトルク比Rtqを推定トルク比RtqestとしてステップS25、S26を行った。しかしながら、例えば、各値の安定状態判定(S25)又はDN油圧下限値Pdnminの設定若しくは更新の観点からすれば、これに限らない。例えば、直前のトルク比Rtq(例えば1演算周期前のトルク比Rtq)を推定トルクRtqestとしてステップS25又はS26を行うことも可能である。
図4のステップS25において安定状態であるかを判定する値(安定判定指標Is)は、レシオR(測定レシオRmst)、DN入力トルクTdn、推定トルク比Rtqest及びDN油圧Pdnとした。しかしながら、例えば、少なくとも1つの安定判定指標Isに基づいてマップ200の設定又は更新を許可するか否かを判定する観点からすれば、これに限らない。例えば、レシオR、DN入力トルクTdn、推定トルク比Rtqest及びDN油圧Pdnの1つ又は複数を対象から外してもよい。或いは、その他の値を対象に含めてもよい。
上記実施形態では、マップ200(図3)の設定又は更新に際し、レシオ補間(図5A→図5B)及びDNトルク軸補間(図5B→図5C)を行った。しかしながら、例えば、取得したDN油圧Pdn、推定トルク比Rtqest及びトルク比限値Rtqmaxに基づいてDN油圧下限値Pdnminを設定する観点からすれば、これに限らない。換言すると、式(2)又は式(3)によれば、トルク伝達容量Tmaxは固定値であるとした場合、推定トルク比Rtqest及びトルク比限値Rtqmaxの関係がわかれば、DN油圧PdnをDN油圧下限値Pdnminに換算することができる。そこで、例えば、レシオ補間及びDNトルク軸補間の一方又は両方を省略することも可能である。
上記実施形態では、クルーズ走行中である場合(図4のS21:TRUE)のみ、マップ200の設定又は更新を許可した(S26)。しかしながら、例えば、DN油圧下限値Pdnminの設定又は更新に着目すれば、これに限らず、クルーズ走行中以外の場合に、マップ200の設定又は更新をしてもよい。
<B−5.その他>
上記実施形態では、図4に示すフローでマップ設定・更新制御を行った。しかしながら、例えば、本発明の効果を得られる場合、フローの内容(各ステップの順番)は、これに限らない。例えば、ステップS21をステップS25とS26の間に配置することが可能である。
上記実施形態では、数値の比較において等号を含む場合と含まない場合とが存在した(図2のS13等)。しかしながら、例えば、等号を含む又は等号を外す特別な意味がなければ(換言すると、本発明の効果を得られる場合)、数値の比較において等号を含ませるか或いは含ませないかは任意に設定可能である。
その意味において、例えば、図2のステップS13におけるDN油圧PdnがDN油圧下限値Pdnmin以下であるか否かの判定(Pdn≦Pdnmin)を、DN油圧PdnがDN油圧下限値Pdnminを下回るか否かの判定(Pdn<Pdnmin)に置き換えることができる。
10…車両 22…油圧系(油圧回路)
32…トランスミッションユニット 54…無段変速機
70…ドライブプーリ 72…ドリブンプーリ
74…無端ベルト 102…ECU(制御装置)
200…マップ Pdn…ドリブンプーリの油圧
Pdnmin…油圧下限値 Pdr…ドライブプーリの油圧
R…レシオ Rtqest…推定トルク比
Tdn…ドリブンプーリへの入力トルク Tmax…トルク伝達容量

Claims (5)

  1. ドライブプーリ、ドリブンプーリ及び無端ベルトを含む無段変速機と、
    前記ドライブプーリ及び前記ドリブンプーリに油圧を供給する油圧回路と、
    前記油圧回路を介して前記ドライブプーリ及び前記ドリブンプーリに供給する前記油圧を制御する制御装置と
    を有するトランスミッションユニットであって、
    前記制御装置は、前記ドリブンプーリの前記油圧の下限値である油圧下限値を前記ドリブンプーリの前記油圧が下回るとき、前記ドリブンプーリの前記油圧を増加させ又は所定の警告出力を行い、
    さらに、前記制御装置は、
    前記ドリブンプーリへの入力トルクと前記無段変速機のトルク伝達容量との比率であるトルク比の限値であるトルク比限値を設定し、
    前記無端ベルトがスリップしていない状態での前記トルク比の推定値である推定トルク比を取得し、
    前記トルク比限値及び前記推定トルク比に基づいて前記ドリブンプーリの前記油圧を前記油圧下限値に換算して前記油圧下限値を設定又は更新する
    ことを特徴とするトランスミッションユニット。
  2. 請求項1に記載のトランスミッションユニットにおいて、
    前記制御装置は、
    前記ドリブンプーリの前記油圧、前記ドライブプーリと前記ドリブンプーリのレシオ、前記ドリブンプーリへの前記入力トルク、及び前記推定トルク比の1つ又は複数からなる安定判定指標が所定時間安定している場合、前記油圧下限値の設定又は更新を許可し、
    前記安定判定指標が前記所定時間安定していない場合、前記油圧下限値の設定及び更新を制限する
    ことを特徴とするトランスミッションユニット。
  3. 請求項1に記載のトランスミッションユニットにおいて、
    前記制御装置は、前記ドライブプーリと前記ドリブンプーリのレシオと、前記ドリブンプーリへの前記入力トルクとの組合せ毎に前記油圧下限値を記憶するマップを備え、
    さらに、前記制御装置は、
    前記レシオと前記ドリブンプーリへの前記入力トルクとの組合せに対応する前記トルク伝達容量を算出し、
    前記レシオと前記ドリブンプーリへの入力トルクの組合せそれぞれについて、前記トルク伝達容量、前記トルク比限値及び前記推定トルク比に基づいて前記ドリブンプーリの前記油圧を前記油圧下限値に換算して前記マップの前記油圧下限値を設定又は更新する
    ことを特徴とするトランスミッションユニット。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のトランスミッションユニットにおいて、
    前記制御装置は、
    車両がクルーズ走行をしているとき、前記油圧下限値の設定又は更新を許可し、
    前記車両がクルーズ走行をしていないとき、前記油圧下限値の設定及び更新を制限する
    ことを特徴とするトランスミッションユニット。
  5. ドライブプーリ、ドリブンプーリ及び無端ベルトを含む無段変速機と、
    前記ドライブプーリ及び前記ドリブンプーリに油圧を供給する油圧回路と、
    前記油圧回路を介して前記ドライブプーリ及び前記ドリブンプーリに供給する前記油圧を制御する制御装置と
    を有するトランスミッションユニットの制御方法であって、
    前記制御装置は、前記ドリブンプーリの前記油圧の下限値である油圧下限値を前記ドリブンプーリの前記油圧が下回るとき、前記ドリブンプーリの前記油圧を増加させ又は所定の警告出力を行い、
    さらに、前記制御装置は、
    前記ドリブンプーリへの入力トルクと前記無段変速機のトルク伝達容量との比率であるトルク比の限値であるトルク比限値を設定し、
    前記無端ベルトがスリップしていない状態での前記トルク比の推定値である推定トルク比を取得し、
    前記トルク比限値及び前記推定トルク比に基づいて前記ドリブンプーリの前記油圧を前記油圧下限値に換算して前記油圧下限値を設定又は更新する
    ことを特徴とするトランスミッションユニットの制御方法。
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