JP6634292B2 - 配管検査方法、及び、配管検査装置 - Google Patents

配管検査方法、及び、配管検査装置 Download PDF

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Description

本発明は、保温材等の被覆材が巻かれた状態の配管に対して検査を行う配管検査方法、及び、配管検査装置に関する。
プラント設備に用いられる配管は、その使用状況により、摩耗や腐食が生じて肉厚の低下が生じると、配管の内部を流れる流体やガスの漏えいにより大事故に繋がる危険性がある。そのため、配管の肉厚減衰状況を正確に知ることが必要とされる。
ところで配管は、特許文献1にも開示されているように、保温材や外装板で覆われている。特許文献1では、保温材が巻かれた状態の配管の肉厚測定を可能とするが、配管の肉厚測定精度を向上させるには、保温材内部での配管の配置を精度よく検出できなければならない。
特許第5375541号公報 特許第5400704号公報
しかしながら、配管の設置状況や配管に巻かれる保温材の材質、形態等の様々な要因により、測定対象としての配管は保温材内部でずれていることがあった。
特許文献2には、配管の中心位置検出装置に関する発明が開示されている。特許文献2では、透過画像を取り込み、その透過画像に基づいて配管のエッジ位置、配管の形状情報、及び、照射位置と検出素子との距離を特定し、これら情報に基づいて配管の中心位置を求めている。
しかしながら特許文献2では、透過画像よりエッジ位置を特定するために複雑な画像処理が必要とされる。すなわち画像を拡大投影するために、事前に線源に対する配管の相対位置が特定されていなければならず、相対位置を正確に求めることが困難であるため、エッジ抽出法として複雑な処理を施している(段落番号[0027]以降を参照)。
そこで本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、配管の外面に保温材等が巻かれた状態であっても配管の中心位置を精度よく検出することを可能とし、肉厚測定精度を高めることができる配管検査方法、及び、配管検査装置を提供することにある。
本発明における配管検査方法は、直線性を有する放射線を用いて、被覆材内部での配管の中心ずれを、複数の異なる方向から測定する工程、前記配管の中心位置に基づいて前記配管の肉厚を測定する工程、を有し、前記配管の外周表面の異なる位置に、複数の端部位置を特定し、各端部位置に基づいて前記配管の中心ずれを検出し、このとき、前記端部位置の外側と内側の肉厚内との間で、前記放射線の照射位置を平行移動させながら、前記照射位置に対する放射線透過曲線を取得し、前記放射線透過曲線のうち、一定の変化量にて傾斜する傾斜直線領域の中心を示す前記照射位置を前記端部位置と規定することを特徴とする。これにより、配管が保温材等の被覆材で巻かれた状態であっても、高精度に配管の中心位置を検出でき、したがって配管の肉厚測定精度を従来に比べて向上させることができる。
発明では、配管に保温材等の被覆材が巻かれた状態であっても、複数の端部位置を精度よく求めることができ、中心位置検出精度を向上させることが出来る。
発明では、配管の端部位置の近傍で、放射線の照射位置を平行移動させながら、照射位置に対する放射線透過曲線を取得する。このとき、放射線が配管に掛かると、放射線は配管により遮蔽されるが、放射線の線幅と配管への照射位置との関係で、放射線の透過量(カウント数)が一定変化する領域(傾斜直線領域)が得られる。そして本発明では、傾斜直線領域の中心を示す照射位置を端部位置と規定することが出来る。このため、複数の端部位置を簡単且つ適切に得ることが出来る。
また本発明では、前記配管に対し、少なくとも直交する2方向から前記配管の中心ずれを測定することが好ましい。これにより、配管の中心位置を精度よく且つ簡単に求めることが出来る。
また本発明では、前記中心ずれの測定結果に基づき前記配管の中心位置の位置補正を行った後、前記中心位置に基づいて前記配管の肉厚を測定することが好ましい。これにより肉厚測定時に配管の芯出しがなされた状態にでき、したがって、そのまま配管の肉厚測定に移行でき、配管の肉厚測定を簡単且つ適切に行うことが出来る。
また本発明における配管検査方法は、直線性を有する放射線を用いて、被覆材内部での配管の中心ずれを、複数の異なる方向から測定する工程、前記配管の中心位置に基づいて前記配管の肉厚を測定する工程、を有し、前記配管の肉厚を測定する工程では、放射線の照射方向を少なくとも3方向とし、各照射方向の交点が前記配管の肉厚内に位置するように前記放射線を照射して、夫々の前記放射線の透過量を求め、前記透過量に基づいて前記配管の前記交点での肉厚を算出することを特徴とする。このように本発明では、スリービーム方式により、配管の肉厚を高精度に測定することができる。
また本発明の前記配管の肉厚を測定する工程では、前記配管の中心位置を通るように放射線を照射して前記放射線の透過量を求め、前記透過量に基づいて前記配管の肉厚を算出することもできる。
また本発明における配管検査装置は、直線性の放射線を照射する線源及び、前記放射線を検出する検出器を有し、少なくとも配管の中心位置測定用としての検出機能部と、前記検出機能部を前記配管の周囲に回転移動可能に支持するリング部材と、前記検出機能部を、前記配管から離した位置から、前記配管を介して前記線源と前記検出器とが対向する位置まで直進移動させることが可能な直進移動機構と、を有し、前記配管を覆う被覆材の外面を支持する複数の支持脚部が前記リング部材と前記被覆材との間に設けられ、該支持脚部のうちの少なくとも2つと前記被覆材との支持位置を固定した状態で前記リング部材側を移動補正可能な調整機構が設けられていることを特徴とする。このように本発明の配管検査装置によれば、検出機能部を、リング部材と直進移動機構とで、配管の周囲に回転移動させるとともに、配管に対して離れた位置(後退位置)から対向する位置まで直進移動させることで、配管の中心ずれを、複数の異なる方向から検出することができ、配管の中心位置に基づいて配管の肉厚を精度よく測定することが可能である。
また、配管の芯出しを高精度に行うことができるとともに、支持脚部による固定支持を適切に行うことができる。
また本発明では、前記調整機構が、前記支持脚部のうちの前記少なくとも2つに設けられていることが好ましい。これにより、リング部材側の移動補正を簡便に実施することができる。
また本発明では、前記検出機能部は、前記配管の肉厚測定用も兼ねることが好ましい。本発明では、中心位置測定用としての検出機能部により配管の中心位置を求めた後、配管の肉厚測定用の検出機能部に取り換えて、肉厚測定を行うこともできるが、中心位置測定用及び肉厚測定用の双方を兼ね備える検出機能部を用いることで、少ない部品点数で配管の中心位置と肉厚の双方を高精度に且つスピーディに測定することができる。
本発明によれば、配管の外面に保温材等の被覆材が巻かれた状態であっても配管の中心位置を精度よく検出することを可能とし、肉厚測定精度を高めることができる。
保温材が巻かれた測定対象の配管を示す縦断面図である。 本実施の形態における、Y方向における配管の中心ずれの測定工程を示す模式図である。 本実施の形態における、X方向における配管の中心ずれの測定工程を示す模式図である。 放射線透過曲線の模式図である。 線源と、検出器と、線源から検出器に向けて照射される放射線とを示す模式図である。 本実施の形態の配管検査装置の斜視図である。 配管検査装置の一部を拡大して示した部分拡大平面図である。 配管検査装置によるY方向への中心位置測定工程を示す部分平面図である。 配管検査装置によるX方向への中心位置測定工程を示す部分平面図である。 配管検査装置の直進移動機構を用いて、検出機能部を配管に対しY方向へ直進移動させた状態を示す部分平面図である。 測定された配管の中心ずれ量に基づいて、配管の設置位置を補正した状態を示す部分平面図である。 配管検査装置による肉厚測定工程を示す部分平面図である。 本実施の形態における支持脚部の一例を示す部分斜視図である。 スリービーム方式による肉厚測定方法を説明するための説明図である。 肉厚合算方式による肉厚測定方法を説明するための説明図である。 基準位置に対する配管と、放射線の照射位置との関係を示す説明図である。 肉厚の異なる複数の配管に対する、放射線の照射位置の基準位置からの距離と、カウント数(計測値)との関係を示すグラフである。 肉厚の異なる複数の配管に対する、放射線の照射位置の基準位置からの距離と、カウント数(計測値)との関係を示すグラフである。 外装板にSPCCを用いた保温材付き配管に対して、検出機能部を0度、90度、180度、270度と回転させたときの、放射線の照射位置の基準位置(配管中心)からの距離と、カウント数(計測値)との関係を示すグラフである。 外装板にアルミを用いた保温材付き配管に対して、検出機能部を0度、90度、180度、270度と回転させたときの、放射線の照射位置の基準位置(配管中心)からの距離と、カウント数(計測値)との関係を示すグラフである。
以下、本発明の一実施の形態(以下、「実施の形態」と略記する。)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
図1は、保温材が巻かれた測定対象の配管を示す縦断面図である。図1に示す配管1は円筒形であるが、円筒形に限定するものでなく多角筒形等であってもよい。図1に示す断面は配管1の肉厚方向に平行に沿って切断した縦断面を示している。図1に示す断面の紙面横方向(紙面左右方向)をX方向とし、図1に示す断面の紙面縦方向(紙面上下方向)をY方向とする。X方向とY方向とは直交関係にある。また配管1の材質を特に限定するものでないが、例えばステンレス鋼や炭素鋼で形成されている。
図1に示すように配管1の外周表面1aには、被覆材としての保温材2が巻かれており、測定者は、保温材2内部における配管1の配置を外部から確認することが出来ない。保温材2は断熱性が高い材質で形成されており、特に材質を限定するものでないが、例えば、CaSiOやガラスウールで形成される。また本実施の形態では、被覆材が配管1の外周表面1aの全体でなく一部を被覆する形態にも適用される。保温材2がガラスウールの場合、配管1の中心ずれが生じやすい。一方、保温材2がCaSiOで形成される場合、ガラスウールよりも中心ずれは生じにくいものの、使用状況等により中心ずれが生じている可能性もあるため、配管1の肉厚測定前の中心位置測定は重要とされる。
なお本実施の形態において、保温材2の表面に外装板(図示せず)が被覆されていてもよい。外装板は、アルミや、冷間圧延鋼板(SPCC)等で形成される。
図1では、配管1の中心位置O1は、保温材2の中心位置O2から外れた位置にある。このように配管1は、保温材2内にずれた状態で収まっている。
本実施の形態は、図1のように、配管1の外周表面1aに保温材2が巻かれた状態であっても、保温材2内部での配管1の中心ずれを高精度に測定できる。これにより、配管1の中心位置O1を特定したうえで、肉厚測定に移行させることを可能とする。
本実施の形態では、配管1の肉厚測定前に、直線性を有する放射線を用いて、保温材2内部での配管1の中心ずれを、複数の異なる方向から測定する。ここで「異なる方向」とは、配管1の中心軸(すなわち中心位置O1を紙面垂直方向に連ねた方向を指す)に対し直交する方向において異なる2方向以上を指す。例えば、図1に示すように、直交するX方向とY方向との複数の方向に対して、配管1の各中心ずれ量G1、G2を求めることで、配管1の中心位置O1を精度よく特定することができる。配管1の中心ずれ量G1、G2は、図1に示すように、仮に保温材2の中心位置O2を配管1の中心位置(仮想中心位置)として考えると、当該中心位置O2のXY座標と実際の配管1の中心位置O1のXY座標との差である。
このように本実施の形態では、配管1に対して複数の異なる方向から保温材2内部での配管1の中心ずれを求めて配管1の中心位置O1を検出するものであり、中心ずれの測定方向は2方向に限定されず3方向以上とすることができる。配管1に対して中心ずれの測定方向を増やすことで、中心位置検出精度をより向上させることが出来る。ただし増やしすぎても測定が煩雑化し、またある程度の数の中心ずれデータが揃えば中心位置精度はそれ以上中心ずれデータを増やしてもあまり変わらないため、中心ずれの測定方向は2方向以上12方向以下であることが好適である。また測定方向は夫々等角度ずつ、ずれていることが好適である。また、配管1に対しては図1に示すように、少なくとも、直交する2方向(X方向とY方向)から中心ずれの測定を行うことが好ましい。これにより、配管1の中心位置を精度よく且つ簡単に求めることが出来る。
そして本実施の形態では、特定された配管1の中心位置O1に基づいて、配管1の肉厚を測定する。本実施の形態では、肉厚測定方法については特に限定されず既存の方法を用いることができる。なお、具体的な肉厚測定方法については後で詳述する。
このように、本実施の形態では、配管1が保温材2で巻かれた状態であっても、高精度に配管1の中心位置O1を特定でき、したがって、配管1の肉厚測定精度を従来に比べて向上させることが出来る。
次に、配管の中心位置検出の具体的方法について図2から図5を用いて説明する。なお図2、図3では、配管の一部を拡大して示している。また、保温材や外装板は図面上削除して説明する。
図2Aでは、配管1に対して図示上方向に後退した位置に、線源10と、検出器(センサ)11とが配置されている。線源10と検出器11はX方向にて相対向した位置関係にあり、線源10と検出器11はX方向に対して直交するY1−Y2方向に向けて平行移動可能に支持されている。なお図2では、Y方向に対して紙面上方向をY1、紙面下方向をY2と区別して表示する。
図2Aに示すように、線源10から照射された放射線Rの照射中心線C1はX方向と平行な方向である。線源10を限定するものでないが、例えばセシウム線源を用いることが出来る。また検出器11は、シンチレータ、ライトガイド及び光電子増倍管等を有して構成される。放射線Rが検出器11の検出面からシンチレータに入射されると、シンチレータは、放射線に感応し発光する。この光は、光電子増倍管にて電流パルスである検出パルス(電子信号)に変換され、出力される。そして制御部では、検出パルスをカウントする。
図2Aに示すように放射線Rは所定の線幅W1を有しており、図2Aでは線幅W1を一定幅で図示しているが、実際には図5に示すように線源10から検出器11に向かって放射線Rの線幅W2は徐々に広がって照射されている。
図5に示すように線源10の照射口には一定の開口幅(開口径)のコリメータ12が配置されている。また図5に示すように、検出器(センサ)11には所定の大きさの検出面11aが設けられている。図5に示すように、検出面11aはコリメータ12の開口幅よりも広くされている。図5に示すように、線源10から放射線Rは検出器11に向けて照射されるが、検出面11aよりも外側に広がった放射線外縁部ROは、検出器11にて検出されない。図5に示す実線で示した放射線RCが検出器11にて検出される。図5に示すように、検出器11の検出面11aは、コリメータ12の開口幅よりも広いため、放射線RCの線幅W2は検出器11に向けて広がりを持っているが、説明を簡略化するため図2では、線幅W1を一定幅として説明する。なお検出器11の検出面11aは、コリメータ12の開口幅よりも広いほうが線源10からの放射線Rをより多く拾うことができる。したがって、放射線強度が比較的弱くても、中心位置検出を適切に行うことができる。しかしながら、検出面11aが広くなるにつれて検出精度は低下しやすい。一方、検出面11aの大きさやコリメータ12の開口幅を絞ると検出精度は向上するものの、放射線強度をより強くしなければ、検出そのものが不能になる。このため、使用可能な放射線強度に基づいて検出面11aと、コリメータ12の開口幅との大きさを調整することが必要とされる。例えば、コリメータ12の開口幅に対する検出面11aの長さの比率は、4〜10程度で調整される。
また「直線性を有する放射線」とは、図2Aに示すように、照射中心線C1が略直線であることを指す。
図2Aの状態から図2Bに示すように、線源10及び検出器11を配管1に徐々に近づける(Y2方向に移動させる)。やがて、放射線Rの線幅W1の配管側下端(紙面下端)3が、放射線R側から見て、最も突出した箇所に該当する、配管1の外周表面1aの端部位置4に当接する。図2Bの段階では、線源10から照射された放射線Rが配管1に妨げられることなく検出器11に到達している。
図4は、放射線透過曲線の模式図である。図4に示す横軸は、配管1に対する照射中心線C1の位置を示している。また図4の縦軸は放射線Rの透過量であり、具体的には検出器11にて検出されたカウント数(検出パルス)を示している。カウント数が大きいほど透過量が大きいことを示している。
図4に示す領域αは、図2Aから図2Bにかけての範囲の検出状態を示す。すなわち、図2Aから図2Bについては、線源10から検出器11に向けて照射された放射線Rに対する遮蔽がない。したがって図4の縦軸に示すように値の大きい略一定値のカウント数が得られる。
続いて図2Bから図2Cに示すように、線源1及び検出器11を更にY2方向に移動させると、放射線Rの照射中心線C1よりも紙面下側に位置する放射線下部領域5は、配管1により徐々に遮蔽される。このため、検出器11に到達する放射線量(透過量)は徐々に減っていき、図4に示す領域βに示すように、検出器11にて得られるカウント数は徐々に小さくなっていく。
図4に示す領域αと領域βの境界位置P1は、放射線Rの線幅W1の配管側下端3が、配管1の外周表面1aの端部位置4に当接した図2Bの位置を示す。
続いて、図2Cから図2Dに示すように、線源1及び検出器11を更にY2方向に移動させる。すると今度は、放射線Rの照射中心線C1よりも紙面上側に位置する放射線上部領域6が、配管1により徐々に遮蔽されるため、益々、検出器11に到達する放射線量(透過量)は減り、図4に示す領域βに示すように、一層、検出器11にて得られるカウント数は小さくなる。
図2Dは、放射線Rの線幅W1の全域が、配管1に対向した位置関係にあり、図2Dから更に線源1及び検出器11をY2方向に移動させても検出器11にて検出されるカウント数は非常に小さく(あるいは0であり)、且つ変化がほとんど見られない図4の領域γが得られる。
図4に示す領域βと領域γの境界位置P3は、ちょうど放射線Rの線幅W1の全域が配管1の外周表面1aに対向した位置関係になる図2Dの位置を示す。
なお図4おいて、領域α及び領域γは、カウント値が一定値とされているが、これはあくまでも模式図であり、実際には、後述する実験データに示すように、多少の変動が見られる。しかしながら領域α及び領域γの変動は、以下に説明する領域βの変化に比べて小さく、あるいは変動がランダムにばらつくために、一定変化量を示す領域βと区別することが可能である。
図4に示す放射線透過曲線の領域αと領域γとの間には領域βが存在する。図4に示すように領域βは、配管1に対する照射中心線C1の位置変化に対して、一定の変化量にて傾斜する傾斜直線領域(以下、傾斜直線領域βと称する場合がある)である。なお、傾斜直線領域βは、後述する実験に示すように、配管1の肉厚が異なってもほぼ同じ結果が得られることがわかっている。
そして、傾斜直線領域βの中心位置を示すP2が、ちょうど照射中心線C1が配管1の外周表面1aの端部位置4に当接した位置関係にある(図2C参照)。したがって図4に示すP2の位置を、配管1の外周表面1aの端部位置4と規定することが出来る。
よって図2に示す中心位置測定工程により、図4の放射線透過曲線を得て、傾斜直線領域βの中心位置(P2)から端部位置4を導き出すことができる。これにより端部位置4のY座標を得ることができる。
図2では保温材2及び外装板の図示を省略したが、保温材2や外装板が存在しても、保温材2や外装板の部分では放射線Rは透過し遮蔽効果はほとんどない。後述する実験では、外装板にアルミやSPCCを用いた実験を行ったが、外装板の材質の違いによっても傾斜直線領域βを適切に得ることができることが確認されている。したがって、図4と同様の放射線透過曲線、あるいは少なくとも傾斜直線領域βを備える放射線透過曲線を得ることができ、これにより端部位置4を求めることが可能である。
図3では、図2に対して線源10及び検出器(センサ)11を90度回転させた状態にし、線源10及び検出器11をX1−X2方向に平行移動可能に支持している。なお図3では、X方向に対して紙面右方向をX1、紙面左方向をX2と区別して表示する。
図3Aでは、配管1に対して図示右方向に後退した位置に、線源10と、検出器(センサ)11とが配置されている。図3Aに示すように、線源10から照射された放射線Rの照射中心線C1はY方向と平行な方向である。図2Aに示すように放射線Rは所定の線幅W1を有している。
図3Aの状態から線源1及び検出器11を配管1に徐々に近づける(X2方向に移動させる)。やがて、放射線Rの線幅W1の配管側左端7が、放射線R側から見て、最も突出した箇所に該当する、配管1の外周表面1aの端部位置8に当接する。まだこの段階では、線源10から照射された放射線Rが配管1に妨げられることなく検出器11に到達している。したがって図4に示す領域αを得ることができる。
更に線源10及び検出器11をX2方向へ移動させると、放射線Rの照射中心線C1よりも紙面左側に位置する放射線左部領域9が配管1により徐々に遮蔽される。このため、検出器11に到達する放射線量(透過量)は徐々に減っていき、図4に示す領域βに示すように、検出器11にて得られるカウント数は徐々に小さくなっていく。
図3Bは、ちょうど照射中心線C1が配管1の端部位置8に当接した状態を示している。更に図3Bから線源10及び検出器11をX2方向へ移動させる。すると今度は、放射線Rの照射中心線C1よりも紙面右側に位置する放射線右部領域13が、配管1により徐々に遮蔽される。このため、益々、検出器11に到達する放射線量(透過量)は減り、図4に示す領域βに示すように、一層、検出器11にて得られるカウント数は小さくなる。
このように、図3の測定工程においても図4と同様の放射線透過曲線を得ることができる。したがって図4の傾斜直線領域βの中心位置(P2)から端部位置8のX座標を導き出すことができる。
このように図3で得られた端部位置8は、図2で得られた端部位置4に対して90度回転した位置にある。
本実施の形態では、図2、図3に示すように、配管1の外周表面1aの異なる位置に複数の端部位置4、8のXY座標を特定する。そして各端部位置4、8に基づいて配管1のX方向及びY方向の中心ずれを検出することができる。例えば、端部位置の座標を、0度、90度、180度及び、270度の4点で計測する。このとき、0度と180度の回転位置で、例えば、Y方向の両側に存在する端部位置の各Y座標を検出し、90度と270度の回転位置で、例えば、X方向の両側に存在する端部位置の各X座標を検出する。これら各端部位置の座標に基づいて、配管1の中心位置O1を算出でき、配管1の保温材2内部での中心ずれ量(図1に示す中心ずれ量G1、G2)を得ることができる。なお、図2、図3に示すように端部位置4、8を2点だけ測定した場合は、配管1の直径が既知であれば、当該端部位置4、8にそれぞれ対向する端部位置を特定することができるため、図1に示す配管1の中心ずれ量G1、G2を得ることが可能である。
また本実施の形態では図1に示すように、配管1の中心ずれ量G1、G2を、少なくとも、直交する2方向であるX方向とY方向の夫々から測定することが好ましい。これにより、配管1の中心位置O1を精度よく且つ簡単に求めることができる。
次に、本実施の形態の配管検査装置について説明する。図6は、本実施の形態の配管検査装置の斜視図である。図7は、配管検査装置の一部を拡大して示した部分拡大平面図である。
図6、図7に示すように本実施の形態の配管検査装置100は、検出機能部101と、検出機能部101を回転支持するリング部材102と、検出機能部101を配管に対して直進移動させることが可能な直進移動機構103と、を有して構成される。
図6、図7に示すように、検出機能部101は、直線性の放射線を照射する線源10と、放射線を検出する検出器(センサ)11と、線源10と検出器11とを支持する支持部材104と、を有して構成される。線源10と検出器11とは所定の間隔Lを空けて相対向して配置されており、間隔Lは、リング部材102の内側に支持され、配管に保温材や外装板等の被覆材が巻かれた状態の被測定物120の直径D2よりも広くされている。
図6、図7に示すように、支持部材104は、ベース部105と、ベース部105の一方の端部に取り付けられる線源側アーム106と、ベース部105の他方の端部に取り付けられる検出器側アーム107と、を備える。そして、線源10は、線源側アーム106の先端に取り付けられ、検出器11は、検出器側アーム107の先端に取り付けられている。図7に示すように、線源側アーム106と検出器側アーム107は、Y方向に延出して設けられる。線源10と検出器11とが対向する方向はY方向に直交するX方向である。そして、線源10と検出器11とが対向する方向(X方向)は、放射線Rの照射中心線C1(図2参照)の方向と一致している。
図6、図7に示すように、ベース部105の裏面側には、線源側アーム106及び検出器側アーム107と同方向であるY方向に延出する2本のレール部材110、111がX方向に間隔を空けて配置されている。これらレール部材110、111は支持枠体112にて固定支持されている。この支持枠体112は、ベース部105に固定接続されている。また、図7に示すように、支持枠体112のリング部材102と対向する位置には、ローラ支持体113が設けられ、ローラ支持体113には2個のローラ114、115が回転可能に支持されている。
リング部材102は、真円状の一定幅を有するリング構造であり、円周方向に沿うリング状突条部116が設けられている。リング状突条部116の外側には同じく円周方向に沿い、リング状突条部116よりも一段低い平坦面を備えるリング状テーブル部117が設けられている。そして、リング状突条部116とリング状テーブル部117との間の段差の部分にローラ114、115が配置される。図7に示すように、ローラ支持体113には、リング部材102の内壁面118方向に延びる延出部119が設けられ、延出部119の先端部分にローラ140が配置されている。図6、図7に示すように、リング部材102には、リング状突条部116の内側に円周方向に沿い、リング状突条部116よりも一段低い平坦面を備えるリング状テーブル部141が設けられている。そして、リング状突条部116とリング状テーブル部141との間の段差の部分にローラ140が配置される。内側に配置されたローラ140は、外側に配置されたローラ114、115のちょうど真ん中に位置している。
そしてローラ114、115、140の回転により、検出機能部101をリング部材102の円周方向に沿って回転移動させることができる。図7に示すローラ114、115、140を用いた回転機構により、線源10と検出器11との対向方向(図7に示す間隔Lの方向)を、検出機能部101がリング部材102を一周するまでの間に360度回転させることができる。
また図6に示すように、ベース部105の裏面には、レール部材110、111を通す貫通孔を備えたレール移動体143が設けられている。そして、レール部材110、111とレール移動体143とが検出機能部101を前後方向に直進移動させることが可能な直進移動機構103を構成している。例えば、レール部材110、111の表面にはネジ(ボールねじ)が切ってあり、図示しない駆動発生部からの駆動力を用いて、検出機能部101を前後方向に直進移動させることが可能である。
図7に示すように、リング部材102は、その内径D1が、被測定物120の外周表面120aの直径D2よりも大きい。したがって、リング部材102の内径D1の内側に被測定物120を設置して、被測定物120に対して配管の中心位置測定及び肉厚測定を行う。
まず図6、図7に示す配管検査装置100を用いて実行される配管の中心位置検出について説明する。
図8に示すように、被測定物120を、リング部材102の内側に配置し、被測定物120の外周表面120aを例えば4本の支持脚部121、122にて固定支持する。なお図7では、支持脚部121、122を省略した。
支持脚部121の構造について図8及び図13を用いて説明する。図8に示すように、支持脚部121は、被測定物120に対しY方向の両側に位置している。図8及び図13に示すように、支持脚部121は、被測定物120の外周表面120aに当接する当接部149と、当接部149に接続された調整軸154と、貫通孔に調整軸154を通し、リング部材102に固定支持された調整軸受155と、調整軸154の先端に位置する頭部156と、を有して構成される。
図13に示すように、調整軸受155にはX方向に延びる矩形状の貫通孔155aが設けられている。調整軸154にはブロック体157が取り付けられている。ブロック体157のZ方向(X方向及びY方向に直交する方向)の幅寸法は、貫通孔155aのZ方向の幅寸法とほぼ同じである。また、ブロック体157のX方向の幅寸法は、貫通孔155aのX方向の幅寸法よりも短く、図13では、貫通孔155aの幅寸法の約半分とされている。
図13に示すように、ブロック体157にはX方向に貫通する長穴157aが設けられている。図13に示すように、長穴157aにはレール軸158が挿入されており、レール軸158の両端に抜け止め部159が設けられている。なお、ブロック体157とレール軸158は固定されている。図13に示すように、レール軸158のX方向への長さ寸法は、調整軸受155のX方向における外面両側間の幅寸法よりも長い。したがって図13に示すように、レール軸158には調整軸受155の外面から外側に突出する部分158aが存在する。
図13に示すように、ブロック体157には当接部149側に、Z方向に突出する突出部160が形成されている。一方、貫通孔155aの突出部160と対向する部分には段差161が設けられている。突出部160は段差161の面上を摺動するように支持されている。
図13に示すように、ブロック体157は、貫通孔155aのX方向の幅寸法よりも小さく且つ、レール軸158が、調整軸受155よりも長い。このため、ブロック体157をレール軸158とともに貫通孔155aの移動許容範囲にてX方向に相対的に移動させることができる。なお、ブロック体157及びレール軸158の移動は、例えば、調整軸受155のレール軸158が挿入される穴とレール軸158とが螺子切りされ嵌合する構成とすることで、抜け止め部159を回すことで実現される。この実施の形態において「調整機構」は、調整軸受155、ブロック体157、及び、レール軸158にて構成されるが、調整機構の構成を限定するものではない。
なお図13に示すように、調整軸受155の表面や調整軸154の表面には目盛が振ってあり、X方向及びY方向への移動距離を知ることが可能である。
次に、被測定物120に対しX方向の両側に位置している支持脚部122について説明する。図6、図8に示すように、支持脚部122は、被測定物120の外周表面120aに当接する当接部150と、当接部150に接続された調整軸151と、貫通孔に調整軸151を通し、リング部材102に固定支持された調整軸受152と、調整軸151の先端に位置する頭部153と、を有して構成される。
図8に示すように、当接部150は、平板状の剛性の高い部材であり、図8に示すようにY方向に長く形成されている。
図8に示すように各支持脚部121、122は、初期位置において、リング部材102の中心O3からX方向及びY方向に向けた線上に配置されている。したがって各支持脚部121、122は、中心O3から見て90度ずつ回転した位置に配置されている。すなわち、図8に示すように、初期位置の一対の支持脚部121の中心を通るY方向の直線と、一対の支持脚部122の中心を通るX方向の直線との交点は、ちょうど、リング部材102の中心位置O3に一致した状態である。
被測定物120に対する支持機構は、例えば、被測定物120に対して紙面上下方向(Y方向)から支持する支持脚部121が主であり、紙面横方向(X方向)から支持する支持脚部122は補助的に設けられている。
図8では、リング部材102は真円状であり、リング部材102の内側で固定支持される被測定物120の中心位置(保温材2の中心位置O2)は、リング部材102の中心位置O3に一致した状態にある。
一方、図8に示すように、保温材2の内部に配置された配管1の中心位置O1は、中心位置O2、O3からずれた状態にある。
図8では、線源10と検出器11とがX方向にて対向した配置とされており、図10Aに示すように線源10及び検出器11を配管1より離れた位置(後退した位置)から図10Bに示すように、配管1を介して線源10と検出器11とが対向する位置まで直進移動機構103を用いてY方向に直進移動させる。そして、直進移動時、線源10からX方向に放射線Rを照射しながら、その放射線Rを検出器11にて検出し、図4に示した放射線透過曲線を得る。図10Aでは、線源10と検出器11とが保温材2を介して対向した位置関係にあり、このとき、放射線Rは保温材2内を透過するので、図4に示す領域αが得られる。図10Aの状態から線源10及び検出器11を図示上方に直進移動させると、放射線Rが徐々に配管1にかかり、図4に示す傾斜直線領域β及び領域γを得ることができる。そして傾斜直線領域βの中心位置を配管1の端部位置123(図10参照)と規定することができる。
また図9に示すように、図8に示す位置から線源10及び検出器11を反時計方向に90度回転させ、図10と同様に、線源10及び検出器11を配管1より離れた位置(後退した位置)から、配管1を介して線源10と検出器11とが対向する位置まで直進移動機構103を用いてX方向に直進移動させる。これによって、図4に示す放射線透過曲線を得ることができる。そして、放射線透過曲線の傾斜直線領域βの中心位置より端部位置124(図10参照)を検出することが出来る。
例えば、線源10及び検出器11を配管1に対して90度ずつ回転させながら4点の端部位置を検出する。これら端部位置のXY座標により配管1の中心位置O1を検出することができ、保温材2内部での配管1のX方向及びY方向の中心ずれ量を得ることが出来る。
次に、配管1の中心ずれ量に基づいて、リング部材102の中心位置O3の位置補正を行う。まず本実施の形態では、被測定物120(保温材2で巻かれた配管1)をY方向から支える各支持脚部121の当接部149と、被測定物120の外周表面120aとの支持位置は固定したままとする。そのうえで、リング部材102の中心位置O3が配管1の中心位置O1に一致するように(図11参照)、リング部材102をX方向へ所定距離だけ移動させる。リング部材102には支持脚部121の調整軸受155が固定されており、調整軸受155にはリング部材102を調整軸154に対してX方向に移動させることが可能な貫通孔155aが存在する(図13参照)。したがって貫通孔155aに設けられたX方向への空間幅分だけリング部材102をX方向に移動させることが可能である。リング部材102のX方向への移動距離は、図13に示した調整軸受155の表面に表示された目盛にて判別することが出来る。また、各支持脚部121のY方向への長さ寸法も調整してリング部材102の中心位置O3と配管1の中心位置O1とを一致させる。このとき、リング部材102のY方向への移動距離は、図13に示した調整軸154の表面に表示された目盛にて判別することが出来る。
上記のように、各支持脚部121の調整機構を用いて、支持脚部121の当接部149と、被測定物120の外周表面120aとの支持位置は固定したままリング部材102をX方向及びY方向に移動させて位置補正を行う。このように、被測定物120に対して紙面上下方向(Y方向)に配置された各支持脚部121でリング部材102の位置調整を行った後、被測定物120の紙面左右方向(X方向)から各支持脚部122の当接部150を被測定物120の外周表面120aに押し当てて各支持脚部122により被測定物120を補助的に支持する。このとき、支持脚部122の当接部150はY方向に長く延出した平板状である。このため、支持脚部121による調整機構により、リング部材102とともに支持脚部122がY方向へ移動しても、外周表面120aを固定支持することができる。
上記により、被測定物120に対するリング部材102のX方向及びY方向への移動によっても各支持脚部121、122により被測定物120を適切に固定支持することができる。
なお本実施の形態における支持脚部121、122の構成は一例である。例えば、被測定物120を支持する支持脚部が、全て図13に示す支持脚部121であってもよい。また本実施の形態では、少なくとも被測定物120をY方向から支持する一対の支持脚部121が設けられていればよく、支持脚部122は設けられていなくてもよい。ただし、支持脚部121の他に補助的に支持脚部122を設けることで、被測定物120の支持機構をより安定したものにすることができる。
このように、リング部材102を被測定物120に対してX方向及びY方向に移動させて、配管1の中心位置O1の、リング部材102の中心O3に対する相対的な位置補正を行った後、位置補正された中心位置O1に基づいて、配管1の肉厚測定を実行する。このとき、図12に示すように、中心位置測定用の検出機能部101から肉厚測定用の検出機能部130に取り換える。検出機能部130には線源131と線源131から照射される放射線を検出する検出器(センサ)132が設けられている。そして線源131と検出器132が支持アーム133により支持されており、支持アーム133は、リング部材102の円周上を回転移動可能に支持されている。あるいは、中心位置測定用の検出機能部101が、肉厚測定用の検出機能部を兼ね備えることもできる。このように検出機能部101が、中心位置測定用及び肉厚測定用の双方を兼ね備えることで、少ない部品点数で配管1の中心位置O1と肉厚の双方を高精度に且つスピーディに測定することができる。
次に、配管の肉厚測定方法について説明する。図14は、スリービーム方式による肉厚測定方法を説明するための説明図である。図14Aは、スリービーム演算式図であり、図14Bは、放射線透過長さと肉厚との関係を示す模式図である。
スリービーム方式では、まず、各放射線照射ビーム(N、N、N)の配管肉厚測定値を求める。図14Aに示すように、配管1の中心位置O1(リング部材102の中心O3)に対して線源131及び検出器132を120度ずつ回転させながら、配管1に対して放射線を照射する。図14Aに示すR1、R2、R3がそれぞれ放射線の照射方向を示している。このとき、図14Aに示すように、照射方向R1と照射方向R2、照射方向R2と照射方向R3及び、照射方向R1と照射方向R3は、夫々、配管1の肉厚内に交点を有するように配管1に対して放射線を照射する。
放射線(γ線)を利用した厚さ計の原理は、放射線を被測定物(配管)に照射してその透過した放射線から被測定物(配管)の肉厚を測定するものである。例えば、被測定物の肉厚をt、被測定物がないときの放射線をN、放射線のエネルギーと被測定物の材質等で決まる定数をμ(吸収係数)とすると、透過後の減衰した放射線Nは以下の式(1)で表される。
N=N−μ0t・・・(1)
式(1)を配管の厚さtの式に変換すると以下の式(2)に示すことができる。
t=ln(N/KN)/(−μ)・・・(2)
ここで、Kは、保温材、外装板の合成減衰量であり、μは、配管の吸収係数である。すなわち、Kとμがわかれば、NとNを測定することで配管の肉厚を算出することが出来る。
本実施の形態では、上記に挙げた式(2)を用い、スリービーム方式により測定されたNとNにより、図14Bに示す関係を下に、以下の3つの式(3)、式(4)、式(5)を得ることが出来る。
t1/cos30°+t2/cos30°=ln(N/(K・N))/(−μ)
・・・(3)
t2/cos30°+t3/cos30°=ln(N/(K・N))/(−μ)
・・・(4)
t3/cos30°+t1/cos30°=ln(N/(K・N))/(−μ)
・・・(5)
式(3)、式(4)及び式(5)を夫々、肉厚t1、肉厚t2及び肉厚t3の式に変換して、以下の3つの式(6)、式(7)、式(8)を得ることができる。
t1=((ln(N/(K・N))/(−μ))+(ln(N/(K・N))/(−μ))−(ln(N/(K・N))/(−μ)))・cos30°/2 ・・・(6)
t2=((ln(N/(K・N))/(−μ))+(ln(N/(K・N))/(−μ))−(ln(N/(K・N))/(−μ)))・cos30°/2 ・・・(7)
t3=((ln(N/(K・N))/(−μ))+(ln(N/(K・N))/(−μ))−(ln(N/(K・N))/(−μ)))・cos30°/2 ・・・(8)
そして、式(6)、式(7)、式(8)による連立方程式に従い、肉厚t1、肉厚t2、及び肉厚t3を算出することができる。
あるいは、図15に示すように、配管1の中心位置O1を通るように線源131から検出器132にかけて放射線を照射する。このときの放射線の透過量に基づいて、上記した式(2)により、配管の肉厚t4と肉厚t5との合算値を得ることができる。そして合算値を二分して肉厚を求めることができる。図15に示す肉厚測定方法では、測定される肉厚は概算値になるため、肉厚を高精度に求める場合には、図14に示したスリービーム方式による肉厚測定方法を用いることが好ましい。一方、大凡の肉厚がわかればよい場合には、図15に示す合算方式を用いることができる。
図14、図15に示すように、配管1の肉厚測定の際、いずれも配管1の中心位置O1を利用して、線源131からの照射条件を規定するが、本実施の形態では、配管1が保温材2で巻かれた状態であっても、配管1の中心位置O1を精度よく且つ簡単に検出することができる。したがって本実施の形態では、配管1の肉厚測定精度を効果的に向上させることが可能になる。
以下、本発明の効果を明確にするために実施した実施例により本発明を詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
(肉厚が異なる配管に対する実験)
実験では、図2に示した測定方法を用いて端部位置を検出した。実験では、肉厚が5mmのステンレス鋼管、肉厚が10mmのステンレス鋼管、及び肉厚が23mmの炭素鋼管を夫々用いた。
またこの実験では図16に示すように配管1の外周表面1aの端部位置4を基準位置(0mm)とし、端部位置4から外方へ離れる方向への距離をマイナス値で示した。一方、端部位置4から配管1の内側に向かう方向への距離をプラス値で示した。
線源10には、セシウム線源(10MBq)を用いた。また検出器11にはCsIシンチレータを用いた。図2に示すように、線源10及び検出器11を配管1に対して平行移動させながら放射線透過曲線を得た。その実験結果が図17に示されている。
図17に示すように、基準位置からの距離が±4mmの範囲内では、配管の肉厚にかかわらず、ほぼ同一の傾斜直線領域を得ることができた。この実験では、配管1の外周表面1aの端部位置4を基準位置(0mm)としているため、傾斜直線領域の中心位置が端部位置4を示していることがわかった。
続く実験では、図16に示す配管1の端部位置を−2mmの位置まで移動させた状態で、図2に示した測定方法を用いて端部位置を検出した。実験条件は、図17に示す実験と同様とした。その実験結果が図18に示されている。なお図18では、上記したように、配管1の端部位置を−2mmの位置まで移動させた実験結果であるため、図18に示す基準位置は、配管1の端部位置から2mmずれた位置に存在する。
図18に示すように、基準位置からの距離が−6mmから2mmの範囲内では、配管の肉厚にかかわらず、ほぼ同一の傾斜直線領域を得ることができた。傾斜直線領域の中心位置は、基準位置から−2mmの位置を示しているが、この実験では、上記したように、配管1を図16の状態から−2mmの位置まで移動させているため、傾斜直線領域の中心位置が端部位置4を示していることがわかった。
すなわち上記の実験から、配管の肉厚に係らず、ほぼ同じ傾斜直線領域が得られることと、傾斜直線領域の中心位置から配管1の端部位置を求めることができるとわかった。そして、図18の実験結果では、配管1の端部位置が−2mmの位置ずれを起こしていることがわかるので、すなわち中心ずれ量は−2mmであり、端部位置を特定することで配管の中心ずれ量を検出できることがわかった。
(90度ずつ測定方向を異ならせたときの実験)
続いて保温材(厚み30mm(130kg/m))/外装板(0.3mm(SPCC))を巻いた状態の配管を用い、中心位置から0度、90度、180度、270度の回転角の位置にて、図2に示した測定方法を用いて放射線透過曲線を求めた。その実験結果が図19に示されている。なお、図7に示す支持枠体112には目盛が表示されており、図19の横軸は、この支持枠体112の目盛の値とした。図19での基準位置(0mm)は、保温材の端部位置を示している。
図19に示すように、基準位置から−10mm〜25mmの範囲内では、放射透過曲線に大きな変動は見られず、基準位置から25mmの位置を変曲点として35mmの範囲まで回転角度に係らず、ほぼ一定の変化量で傾斜する傾斜直線領域が得られることがわかった。傾斜直線領域は基準位置から25mm〜35mmの範囲内であり、傾斜直線領域の中心位置は基準位置から30mmであることがわかった。したがって、配管の端部位置はどの回転角度での測定でも基準位置から30mmの位置にあることがわかった。また、基準位置付近にも変曲点が見られるが、この位置はちょうど保温材の外周表面の位置であって、保温材の外周表面には保温材よりも遮蔽効果の大きい外装板(0.3mm)が位置している。これより、図示のような放射線透過曲線になるものと考えられる。
続いて保温材(厚み30mm(130kg/m))/外装板(0.3mm(アルミ))を巻いた状態の配管を用い、中心位置から0度、90度、180度、270度の回転角の位置にて、図2に示した測定方法を用いて放射線透過曲線を求めた。その実験結果が図20に示されている。
図20は、図19と異なって外装板を変更しただけでそれ以外は図19と同様の実験条件とした。図20と同様に、得られた放射線透過曲線から傾斜直線領域は基準位置から25mm〜35mmの範囲内であり、傾斜直線領域の中心位置は基準位置から30mmであることがわかった。したがって、配管の端部位置はどの回転角度での測定でもから基準位置から30mmの位置にあることがわかった。また、基準位置付近にも変曲点が見られるが、上記と同様に、この位置はちょうど保温材の外周表面の位置であって、保温材の外周表面には保温材よりも遮蔽効果の大きい外装板(0.3mm)が位置している。アルミニウムは、原子番号が小さくγ線遮蔽効果が小さいため、図示のような放射線透過曲線になるものと考えられる。
本発明の配管検査方法によれば、配管に保温材が巻かれた状態であっても配管の中心位置及び肉厚測定を高精度に行うことができる。したがって配管が外観から見えない状態であっても配管の肉厚減少状況を適切に測定でき、配管メンテナンスを適切に行うことができる。
1 配管
2 保温材
4、8、123、124 端部位置
10、131 線源
11、132 検出器
100 配管検査装置
101、130 検出機能部
102 リング部材
103 直進移動機構
104 支持部材
110、111 レール部材
114、140 ローラ
120 被測定物
120a 外周表面
121、122 支持脚部
149、150 当接部
151、154 調整軸
152、155 調整軸受
157 ブロック体


Claims (8)

  1. 直線性を有する放射線を用いて、被覆材内部での配管の中心ずれを、複数の異なる方向から測定する工程、前記配管の中心位置に基づいて前記配管の肉厚を測定する工程、を有し、
    前記配管の外周表面の異なる位置に、複数の端部位置を特定し、各端部位置に基づいて前記配管の中心ずれを検出し、このとき、前記端部位置の外側と内側の肉厚内との間で、前記放射線の照射位置を平行移動させながら、前記照射位置に対する放射線透過曲線を取得し、前記放射線透過曲線のうち、一定の変化量にて傾斜する傾斜直線領域の中心を示す前記照射位置を前記端部位置と規定することを特徴とする配管検査方法。
  2. 前記配管に対し、少なくとも直交する2方向から前記配管の中心ずれを測定することを特徴とする請求項に記載の配管検査方法。
  3. 前記中心ずれの測定結果に基づき前記配管の中心位置の位置補正を行った後、前記中心位置に基づいて前記配管の肉厚を測定することを特徴とする請求項1又は請求項に記載の配管検査方法。
  4. 直線性を有する放射線を用いて、被覆材内部での配管の中心ずれを、複数の異なる方向から測定する工程、前記配管の中心位置に基づいて前記配管の肉厚を測定する工程、を有し、
    前記配管の肉厚を測定する工程では、放射線の照射方向を少なくとも3方向とし、各照射方向の交点が前記配管の肉厚内に位置するように前記放射線を照射して、夫々の前記放射線の透過量を求め、前記透過量に基づいて前記配管の前記交点での肉厚を算出することを特徴とする配管検査方法。
  5. 前記配管の肉厚を測定する工程では、前記配管の中心位置を通るように放射線を照射して前記放射線の透過量を求め、前記透過量に基づいて前記配管の肉厚を算出することを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の配管検査方法。
  6. 直線性の放射線を照射する線源及び、前記放射線を検出する検出器を有し、少なくとも配管の中心位置測定用としての検出機能部と、
    前記検出機能部を前記配管の周囲に回転移動可能に支持するリング部材と、
    前記検出機能部を、前記配管から離した位置から、前記配管を介して前記線源と前記検出器とが対向する位置まで直進移動させることが可能な直進移動機構と、
    を有し、
    前記配管を覆う被覆材の外面を支持する複数の支持脚部が前記リング部材と前記被覆材との間に設けられ、該支持脚部のうちの少なくとも2つと前記被覆材との支持位置を固定した状態で前記リング部材側を移動補正可能な調整機構が設けられていることを特徴とする配管検査装置。
  7. 前記調整機構が、前記支持脚部のうちの前記少なくとも2つに設けられていることを特徴とする請求項記載の配管検査装置。
  8. 前記検出機能部は、前記配管の肉厚測定用も兼ねることを特徴とする請求項6又は請求項に記載の配管検査装置。
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