JP6630033B2 - 椅子 - Google Patents

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Description

本発明は椅子に関し、特に、スポーツを行うスタジアムのスタンドなど、屋外で使用される観客席用として適する椅子に関する。
野球、サッカーなどを行うスポーツスタジアムのスタンドなどで使用される観戦用の椅子は、数百席から数万席というように多数設置されるため、安価に製造可能なものが多く用いられている。例えば、硬質プラスチック製で、背もたれが座部に対して略90度で立ち上がっただけのシンプルな形状のものが多い。また、屋外での使用では、降雨対策を行う必要があり、座部に水抜き孔を形成したものもある(特許文献1参照)。
一方、本発明者は、特許文献2に示したように、三次元立体編物を用いた乗物用シートを各種提案している。三次元立体編物は、所定以上の面積で押圧されると高い剛性を示す一方で、部分的に押圧されると柔らかなバネ特性を示し、薄型でも人体をしっかりと支持できると共に、部分的に強い反力で押圧することがなく、長時間着座に適している。
特開2004−147772号公報 WO2002/091881号公報
上記のようにスタジアムでの観戦用の椅子は、多数設置されるものであるため、コンパクトかつ低コストで製造可能なものが多く用いられる。現状、その多くは、座部に略直角に背もたれが配置された単純な作業椅子をベースにしたものか、あるいは、VIP席などで用いられる座部及び背もたれに厚手のクッション部材が配置された安楽椅子のようなものであり、必ずしも観戦に適したものとは言い難い。スタジアムでの観戦は、試合時間が数時間に及ぶこともあるため、観戦に適した感情と姿勢を保ち易いという意味での座り心地、掛け心地に秀でた椅子の存在は限られたものになっている。特許文献2に示された三次元立体編物は、軽量、薄型でありながらクッション性、保温性、通気性に富むため、特に屋外スタジアムでの観戦用の椅子のクッション部材としても適している。しかし、特許文献2のように、三次元立体編物の下に面状バネ部材を配置し、さらに、この面状バネ部材をコイルスプリングで支持するといった構造は、乗物用シートして要求される特性を満足するために必要であるが、振動等の外部から入力される加速度が少ないスタジアムでの観戦用の椅子にそれらの構造を全て適用したのでは、コストがかかりすぎ、また、設置スペースも大きくなりがちである。
また、観戦用の椅子は、特許文献1に示されているように、水平ラインに対する座面角が0度から数度(背もたれ側に数度)で、背もたれの垂直ラインに対するバックアングルが0度から数度(座部の水平ラインを基準にした場合には、その水平ラインから背もたれまでの角度で略90度)で形成されている場合が多い。バックアングルが大きすぎると、後席における足置きスペースを侵害する。バックアングルが小さすぎると窮屈であり、座り心地がいいとは言い難い。すなわち、大腿骨と脊柱との間の角度を100度前後かそれ以上とれないと、腹部が圧迫されて呼吸がしにくく、リラックスしにくい。その一方、試合観戦に夢中になると着座者は、背もたれに背をつけたリラックス姿勢から、背を背もたれから離しての前傾姿勢になり易く、座面の前部寄りに着座するような姿勢をとりがちである。また、立ち上がったりすることもある。つまり、試合観戦中は、このような姿勢変化も頻繁に起きるため、姿勢変化の助けとなる機能を有することが望ましい。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、簡易な構成で安価に製造可能であると共に、排水性に優れ、屋外における使用に適し、特に、リラックスな状態を継続可能な構成でありつつも、重心移動による姿勢変化への追従性が高く、試合観戦用として適する椅子を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明の椅子は、座部及び背もたれを備えた椅子であって、前記座部が、座部フレームに支持される座部用クッション部材を備え、水平ラインに対して前部が後部よりも下方に位置する前下がりの座面角で形成され、前記背もたれが、背もたれフレームに支持される背もたれ用クッション部材を備え、垂直ラインに対して後方に傾斜する所定のバックアングルを有して形成されていることを特徴とする。
前記座部用クッション部材及び前記背もたれ用クッション部材の境界点を中心とした、前記座部用クッション部材の前縁部から前記背もたれ用クッション部材の上縁部までの背座角が、100〜150度の範囲であることが好ましい。前記座面角が、前記水平ラインに対して前部が後部よりも下方に2〜25度の範囲で傾斜するように設定されていることが好ましい。前記バックアングルが、前記垂直ラインに対して後方に8〜35度の範囲で設定されていることが好ましい。
前記座部用クッション部材と前記背部用クッション部材との境界点と、前記座部用クッション部材の前縁部との高低差が、20〜120mmの範囲であることが好ましい。
前記座部用クッション部材の前縁部の設置面からの高さが、420〜500mmの範囲となるように設けられていることが好ましい。
前記座部フレームは、前部に配置される所定長さの前部フレームと、前記前部フレームに対して所定間隔をおいて後方に配置される所定長さの後部フレームと、前記前部フレーム及び後部フレームの各端部間に掛け渡される座部用サイドフレームとを有する枠状に形成され、前記前部フレーム、後部フレーム及び各座部用サイドフレームが、側面から見て、前記水平ラインに対して、前部が後部よりも下方に位置する形状となるように形成されていることが好ましい。
前記座部用クッション部材において最も沈み込んだときの高さが、前記前部フレームの下部の高さと同じかそれ以上となるように設定されていることが好ましい。
前記座部用クッション部材は、二次元又は三次元の布帛からなる座部用ベースネットを含み、前記座部用ベースネットが前記座部フレームに掛け渡されていることが好ましい。
前記背もたれは、前記背もたれフレームは枠状に形成され、前記背もたれ用クッション部材が、前記背もたれの両側位置に上下に掛け渡され、下部が前記座部用ベースネットの後部に連結される帯状の背もたれ用サイドベースネットと、前記背もたれの両側に位置する前記2つの背もたれ用サイドベースネットの間において、前記背もたれフレームの上下に掛け渡される1本以上の帯状の背もたれ用中央ベースネットとを有し、側面から見た場合に、前記背もたれ用中央ベースネットの下部が、前記背もたれ用サイドベースネットの下部よりも後方に位置するように前記座部用ベースネットの後部にそれぞれ連結されていることが好ましい。
前記背もたれ用サイドベースネット及び前記背もたれ用中央ベースネットに略直交する方向である前記背もたれの幅方向に沿って、腰部支持用の弾性部材が積層されていることが好ましい。
本発明の椅子は、座部が、水平ラインに対して前部が後部よりも下方に位置する前下がりの座面角となるように設定され、かつ、背もたれが、垂直ラインに対して後方に傾斜するバックアングルが所定の角度となるように設定されている。すなわち、着座者が背もたれによりかかると、所定角度の後傾姿勢をとることができ、しかも、座部の座面角は前下がり(水平ラインに対してマイナス方向に座面角がついている構成)であるため、脚も伸ばしやすく、ストレッチ運動もしやすい大きな背座角(座部と背もたれとのなす角)をとることもでき、リラックスして集中力の高い状態にもなりやすい。また、本発明は、座部の座面角が0度以上の通常の椅子(前上がりの椅子)と比較した場合、背座角を同じとしたときのバックアングルが小さくなるため、後席着座者の足置きスペースへの背もたれの侵入を小さくすることができる。
また、本発明の椅子に背を背もたれにつけるようにして人が着座した際には、座骨結節に対応する部位を中心として座部用クッション部材は所定量沈み込むが、非着座時における座面角がマイナス(前下がり)であるため、通常の前上がりの椅子と比較して膝裏の圧力は低く、骨盤より100mm前後膝方向寄りの部位が比較的圧力が高くなる。すなわち、臀部いわゆる座骨結節を支点とした着座姿勢ではなく、大腿後端部にも圧力を集中させて着座することになるため、骨盤が前方にずれるいわゆる尻滑りは生じにくい。そのため、広い面で体重が支えられ、安定した着座姿勢をとることができる。また、座部用クッション部材の表面が、非着座時において前下がりであるため、着座時において、臀部の高さが、大腿前部ないし膝裏が当接する前部フレームの下部の高さ以上になりやすい。そのため、大腿骨周りに存在する筋肉群に曲げモーメントが入りにくくなり、また結果として広い面で体重を支持することになり、座骨結節に対応する部位への荷重集中が、座面角が0度以上の通常の椅子よりも軽減される。すなわち、体幹の重心を前方に移動させることで体圧分散性が高くなり、長時間着座においても臀部、大腿部へのしびれが生じにくい。その結果、着座者の集中力の妨げとなる事象いわゆる疲労感が起こりにくい。
また、着座時において、臀部を前上方に付勢する力が作用しやすいことから、重心移動によって観戦に夢中になったときの臀部の前方への移動も容易であり、また、立ち上がりやすくもなり、姿勢変化に対する追従性、姿勢変化を促すアシスト性に優れている。
これらのことから、本発明の椅子は、リラックスしやすいことはもとより、集中のための姿勢変化もとりやすい構造であり、冷静な状態を維持しやすい一方で、適度な興奮状態への移行もスムースであり、スポーツなどの試合観戦用の椅子として好適であるばかりか、仕事用、勉強用等の椅子としても使いやすい。
また、非着座時においては、座部表面が前下がりあるため、雨露などは座部表面を伝って前方に流れ落ちやすく、排水性に優れ、屋外での使用に適する。さらに、本発明は、座部用クッション部材を枠状の座部フレームに支持し、背もたれにおいても、枠状の背もたれフレームに背もたれ用クッション部材を支持するという簡易な構成であるため、薄型化、軽量化に貢献できると共に、製造コストが大きく嵩むこともない。
図1は、本発明の一の実施形態に係る4人掛け用の椅子の外観を示した斜視図である。 図2は、図1に示した椅子の座部フレーム、背もたれフレーム及び脚部を示した斜視図である。 図3は、図2の平面図である。 図4は、図2の側面図である。 図5は、図1のA−A線断面図である。 図6は、本発明の一の実施形態に係る3人掛け用の椅子の分解斜視図である。 図7は、図1〜図6に示した椅子の作用を説明するための図である。 図8(a),(b)は、乗り心地の評価手法を用いた評価結果を示した図である。 図9は、被験者Dの通常姿勢での着座時における体圧分布の測定結果を示した図である。 図10は、被験者Nの通常姿勢での着座時における体圧分布の測定結果を示した図である。 図11は、被験者Hの通常姿勢での着座時における体圧分布の測定結果を示した図である。 図12(a)〜(c)は、被験者D,N,Hの前屈み姿勢での着座時における体圧分布の測定結果を示した図である。 図13は、着座時の圧力と、安定して着座できる時間(負荷時間)との関係を調べた図である。 図14は、本発明の他の実施形態に係る1人掛け用の椅子の外観を示した斜視図である。 図15は、図14のA−A線断面図である。 図16は、図14に示した椅子の座部フレーム及び背もたれフレームを示した斜視図である。 図17は、図16の側面図である。 図18は、座部用ベースネットの一例にかかる荷重-たわみ特性を示した図である。
以下、図面に示した実施形態に基づき、本発明をさらに詳細に説明する。本実施形態の椅子1は、座部10、背もたれ20及び脚部30を有して構成される。なお、本実施形態の椅子1は、後述するように、座部フレーム11の座部用サイドフレーム113,114が前下がりで、臀部を前上方に付勢しやすい構成であればよく、1人掛け用であってもよいし、2人掛け以上の長椅子タイプであってもよいが、本実施形態では、複数人掛け用を例にとり説明する。
図1〜図5は4人掛けの構成の例を示し、図6は3人掛けの構成の例を示したものである。図1〜図5の4人掛けの椅子1と図6の三人掛けの椅子1とは、座部10及び背もたれ20の幅方向に設けられる着座スペース1aに関して前者が4人分であるのに対し、後者が3人分である点を除いて、その構造は全く同じである。従って、以下の説明において、特に断りのない場合には、4人掛け、3人掛けの図を区別することなく一つの実施形態として説明する。
座部10は、座部フレーム11と座部用クッション部材12を有して構成される。座部フレーム11は、略長方形の枠状に形成され、図2では4人掛けに相当する長さ(椅子1の幅方向の長さ)を有し、図6では3人掛けに相当する長さを有している。座部10の前部には、前部フレーム111が配置され、前部フレーム111に対して所定の間隔をもって座部10の後方に後部フレーム112が配置され、前部フレーム111及び後部フレーム112の長手方向各端部間に、座部用サイドフレーム113,114が配設される。
背もたれ20は、背もたれフレーム21と背もたれ用クッション部材22とを有して構成される。背もたれフレーム21は、長手方向(椅子1の幅方向)の両側部に位置する背もたれ用サイドフレーム213,214を有すると共に、各背もたれ用サイドフレーム213,214の上部間を結ぶ上部フレーム211を備えた、略コ字型の枠状に形成される。そして、各背もたれ用サイドフレーム213,214の下部が各座部用サイドフレーム113,114の後部に連結される。従って、上部フレーム211は、座部フレーム11の前部フレーム111及び後部フレーム112に相当する長さ(椅子1の幅方向の長さ)を有する。また、各背もたれ用サイドフレーム213,214は、側面から見て、下部よりも上部が後方に位置するように後ろ下がりに傾斜して配設される。このため、背もたれ用サイドフレーム213,214に沿って背もたれ用クッション部材22を配置すると、垂直ラインに対して、上部が後方に位置するバックアングルθ2(座部用クッション部材12の表面と背部用クッション部材22の表面との境界点D1を中心として、垂直ラインと、背もたれ用クッション部材22の表面の上縁部U1を通過する仮想線とのなす角度)を有する構造となる。このバックアングルθ2は、着座時にリラックス性を助長できるように、図7に示したように、垂直ラインに対して後方に好ましくは8〜35度の範囲で、より好ましくは17〜27度の範囲で設定される。なお、この点についてはさらに後述する。
脚部30は座部フレーム11の長手方向(椅子1の幅方向)の両側部にそれぞれ設けられる主脚部31,31と、主脚部31,31の間に配置される補助脚部32とを有している。各主脚部31,31は、略垂直に配置される前脚部31a,31aと、上部ほど前方に傾斜する後脚部31b,31bと、前脚部31a,31aの下部及び後脚部31b,31bの下部間を接続する接続部材31c,31cとを有して構成される。各主脚部31,31は、各前脚部31a,31aが各座部用サイドフレーム113,114の前部付近にそれぞれ連結され、各後脚部31b,31bが各座部用サイドフレーム113,114の後部付近にそれぞれ連結される。
また、各主脚部31,31は、前脚部31,31の上端よりも、後脚部31b,31bの上端の方が高い位置となる長さで形成され、これにより、座部フレーム11は、図4、図5及び図6に示したように、前部フレーム111の高さが、後部フレーム112の高さよりも低くなるように、すなわち、前部フレーム111及び後部フレーム112を接続する各座部用サイドフレーム113,114が前下がりになるように傾斜して設けられることになる。
従って、この座部フレーム11に沿って座部用クッション部材12を配設すると、座部用クッション部材12は、前部が後部よりも下方に位置する前下がりの座面角θ1(座部用クッション部材12の表面と背部用クッション部材22の表面との境界点D1を中心として、水平ラインと、座部用クッション部材12の表面の前縁部F1を通過する仮想線とのなす角度)となる。この前下がりの座面角θ1(図7参照)は、2〜25度であることが好ましく、5〜20度であることがより好ましい。詳細は後述する。
ここで、座部フレーム11は、さらに、前部フレーム111よりも側面視で若干後方寄りであって、着座者が背もたれ20に背をつけて着座した際(通常姿勢で着座した際)に座骨結節に対応する部位となる設計上の荷重中心部位から前方100〜150mmの範囲に、前部フレーム111と平行に前部補助フレーム115が配設されている(図3参照)。また、後部フレーム112の下方であって、後部フレーム112よりも平面視で若干前方であって、前部フレーム111及び前部補助フレーム115よりも低所に、後部補助フレーム116が配設されている(図3参照)。前部補助フレーム115により、前方への尻滑りが防止され、後部補助フレーム116により、臀部の後方からの支持性が高まる。
また、隣接する着座スペース1a,1a間に位置する座部用境界フレーム117が、図2の4人掛けの場合は3本、図6の3人掛けの場合は2本、いずれも略等間隔で、座部用サイドフレーム113,114に略平行となる姿勢で、前部補助フレーム115と後部補助フレーム116間に掛け渡されている。従って、座部用境界フレーム117は、前部側が高く、後部側が低くなるように設けられる。これは、座部用クッション部材12に着座した際のストローク感を着座者に与えるためである。
背もたれフレーム21は、背もたれ用サイドフレーム213,214間において、隣接する着座スペース1a,1a間に位置する背もたれ用境界フレーム217が、図2の4人掛けの場合は3本、図6の3人掛けの場合は2本、いずれも略等間隔で、背もたれ用サイドフレーム213,214に略平行となる姿勢で配置されている。従って、背もたれ用境界フレーム217は、座部用境界フレーム117と平面視では同じ直線上に配置されることになり、上部が背もたれフレーム21の上部フレーム211に、下部が、座部用境界フレーム117の後部にそれぞれ連結されて支持される。
なお、座部用境界フレーム117のうち、図2の4人掛けの場合は中央の座部用境界フレーム117に、図6の3人掛けの場合は図の左側の座部用境界フレーム117に、補助脚部32が設けられる。
座部用クッション部材12は、座部用ベースネット121、座部用中間クッション122及び座部用トリムクッション123を有して構成される。座部用ベースネット121は、二次元の布帛又は三次元の布帛から略方形状に形成され、図5に示したように、座部用トリムクッション123の表皮123aの前部が前部フレーム111に上側から掛け回されて前部補助フレーム115の上面に接合されて固定される。
座部用ベースネット121の後部121bには、背もたれ用クッション部材22の帯状の背もたれ用サイドベースネット221及び同じく帯状の背もたれ用中央ベースネット222のそれぞれの下部221b,222bが縫製により連結され、さらにこの下部221b,222bは、後部フレーム112にその上面から巻き掛けられて固定されている。すなわち、座部用ベースネット121の後部121bは、背もたれ用サイドベースネット221及び背もたれ用中央ベースネット222によって後方に引き込まれて張設される(図5参照)。なお、背もたれ用サイドベースネット221及び背もたれ用中央ベースネット222の各上部221a,222aは、背もたれフレーム21の上部フレーム211に固定される。すなわち、座部用ベースネット121は、帯状の背もたれ用サイドベースネット221及び背もたれ用中央ベースネット222によって、後部が上部フレーム211に吊り下げ支持される構成となっており、振り子作用によって着座時における様々な姿勢に追従しやすくなっている。また、着座ショックを隣の人に与えることも少なく、さらに、2人分の着座スペース1a,1aを1人で使うようなこともできる。
そしてこれらの構成により、座部用ベースネット121は、図5に示したように、後部121bよりも前部121aの方が下方に位置するように、すなわち、座部フレーム11の座部用サイドフレーム113,114の表面とほぼ平行に、前下がりとなるように配設されることになる。
また、図6に示したように、座部用ベースネット121の後部121bは、後部側縁121c,121cよりも、それらの間の後部中間部121dの方が後方に突出した形状となっている。このうち、後部側縁121c,121cに帯状の背もたれ用サイドベースネット221,221がそれぞれ連結され、より後方に突出している後部中間部121dに、2本の帯状の背もたれ用中央ベースネット222がそれぞれ連結される。従って、図6に示したように、背もたれ用サイドべースネット221,221は、背もたれ用中央ベースネット222の前方にその下部が突出することになるため、着座者の体幹は、背もたれ用中央ベースネット222によって脊柱付近が深い位置で支持され、背もたれ用サイドベースネット221,221によって体の両側部が支持された体側支持となり、ホールド感が高まる。
背もたれ用サイドベースネット221,221及び背もたれ用中央ベースネット222、並びに、座部用ベースネット121は、二次元の布帛又は三次元の布帛から構成される。これらのベースネット121,221,222は、いずれも座部フレーム11又は背もたれフレーム21に張った状態で所定以上の面剛性を有するものが用いられる。ここでいう所定以上の面剛性を有するものとしては、例えば座部フレーム11に弛みのない状態で張設して、臀部面積に略相当する直径200mmの加圧板で1000Nまで加圧した際の荷重−たわみ特性において、人の着座時の平均的な荷重である400〜750Nの範囲の加圧時のばね定数が50〜80N/mmの範囲となるものが好ましい。つまり、伸びやすくないものであり、ばね定数がこれよりも低く、荷重値が小さくても伸びやすいものは、座部用ベースネット121の沈み込みが大きくなる。例えば、図18は、旭化成商事(株)製の製品番号Y27013NPの二次元布帛のデータであるが、荷重400〜750Nの範囲の加圧時のばね定数が約70N/mmとなっており、この素材は座部用ベースネット121として適している。そして、座部用ベースネット121は、座部フレーム11に自然長に対して6〜12%の張力をかけて張って使用される。
なお、本実施形態では、後述のように、座部用中間クッション122に合成樹脂製薄板22aを積層していることから、座部用ベースネット121としては、例えば、弾性繊維を用いた織編組織からなる株式会社川島織物セルコン製「banex(登録商標)」、旭化成せんい株式会社製の三次元立体編物「FUSION(登録商標)」、住江織物株式会社製の三次元立体編物等を用いても、着座荷重による沈み込みが大きくなることがはない。
座部用中間クッション122は、所定の厚さを有し、所定のクッション性を有するものであれば何であってもよく限定されるものではない。例えば、ポリウレタンフォームから形成したものでもよいが、通気性、排水性の観点から、三次元の布帛を用いることが好ましく、中でも、体圧分散性が高く、薄くても所定のクッション性が得られる三次元立体編物を用いることが好ましい。
座部用中間クッション122は、本実施形態では2枚の三次元立体編物を積層して構成される。また、本実施形態では厚さ1mm程度のポリプロピレン等からなる合成樹脂製薄板122aをさらに積層している。合成樹脂製薄板122aを積層することにより、体圧分散性をより高めることができる。
座部用中間クッション122、本実施形態では合成樹脂製薄板122aの表面を覆うように座部用トリムクッション123が配設される。座部用トリムクッション123は、表皮123aと、その裏面に一体に設けられた三次元の布帛、本実施形態では三次元立体編物からなる表皮クッション材123bとを有してなる。表皮123aは、合成皮革、本革、ファブリック、二次元の布帛又は三次元の布帛等を用いることができる。
なお、本実施形態では、座部用トリムクッション123をこのように配置した後、表皮123aの前縁部を前部フレーム111に面ファスナーを介するなどして固定される。なお、面ファスナーを用いると、それらを構成するループ部、フック部の弾性が、座部用トリムクッション123の動きに対する復元力として機能する。また、座部用クッション材12は、着座スペース1a毎に配設され、図1〜図3の例では4つ、図6の例では3つ配設されるが、隣接する座部用トリムクッション123同士は、互いに、ファスナー(図示せず)により連結される。また、幅方向両端部に位置する座部用トリムクッション123の各外側縁は、被覆カバー40にファスナー(図示せず)により連結される。なお、被覆カバー40は、図6に示したように、座部フレーム11の各座部用サイドフレーム113,114及び背もたれフレーム21の各背もたれ用サイドフレーム213,214を被覆する側面視で略L字状のサイドカバー部41と、このサイドカバー部41の背面間に掛け渡される位置に設けられ、上部が上部フレーム211に固定され、背もたれフレーム21の背面を被覆する背面カバー部42とを備えている。
背もたれ用クッション部材22は、上記した帯状の背もたれ用サイドベースネット221及び帯状の背もたれ用中央ベースネット222に加えて、背もたれ用中間クッション223、背もたれ用トリムクッション224を備えている(図5及び図6参照)。また、上記した帯状の背もたれ用サイドベースネット221及び帯状の背もたれ用中央ベースネット222には、幅方向帯状部材225が積層される(図1及び図5参照)。この幅方向帯状部材225は、二次元又は三次元の布帛、本実施形態では二次元の布帛225aに帯状のゴム等からなる弾性部材225bを積層した構成であり、その弾性力によって腰部付近のサポート性を高めるために配設される。
背もたれ用中間クッション223は、上部フレーム211から座部用クッション部材12の後部付近に至るまでの長さを有する略方形に形成され、着座スペース1a毎に配設される。素材としては、座部用中間クッション122と同様のものを用いることができ、三次元立体編物を用いることが好ましく、座部用中間クッション122と同様に2枚積層して用いられるが、腰部付近には、ランバーサポート用クッション223aが挿入配設されている(図5参照)。背もたれ用中間クッション223の表面には、座部用中間クッション122と同様に、厚さ1mm程度のポリプロピレン等からなる合成樹脂製薄板223bがさらに積層され、体圧分散性を高めている。
背もたれ用トリムクッション224は、座部用トリムクッション123と同様に、表皮224aと、その裏面に一体に設けられた三次元の布帛、本実施形態では三次元立体編物からなる表皮クッション材224bとを有してなる。表皮224aは、上縁部が上部フレーム211に面ファスナーなどにより固定され、隣接する背もたれ用トリムクッション224同士は、互いに、ファスナー(図示せず)により連結される。また、幅方向両端部に位置する背もたれ用トリムクッション224の各外側縁は、被覆カバー40にファスナー(図示せず)により連結される。これらの点は、座部用トリムクッション123と同様である。
本実施形態の椅子1は、このような構成からなるため、着座ストロークを少なくでき、姿勢のくずれが生じにくい。そして、図7に示したように、非着座時においては、座部10の座部用クッション部材12の座面角θ1は、上記のように、水平ラインに対してD1を中心とした左回りの角度で、好ましくは2〜25度の範囲に、より好ましくは5〜20度の範囲に設定され、背もたれ20の背もたれ用クッション部材22のバックアングルθ2は、上記のように、垂直ラインに対し後方に好ましくは8〜35度の範囲で、より好ましくは17〜27度の範囲で設定される。この結果、座部用クッション部材12の表面と背部用クッション部材22の表面との境界点D1を中心として、座部用クッション部材12の表面の前縁部F1を通過する仮想線と、背部用クッション部材22の表面の上縁部U1を通過する仮想線とのなす角度(本明細書では、このように定義される角度を「背座角」と称する)θ3は、非着座時において、好ましくは100〜150度の範囲に、より好ましくは110〜140度の範囲に設定されることになる。円滑な呼吸を促し楽に着座できる姿勢は、大腿骨と脊柱とのなす角度で105度以上が好ましく、最適角度は135度と言われている。本実施形態によれば、背座角が上記範囲であるため、この楽に着座できる姿勢を維持するのに適している。
また、座部用クッション部材12の表面と背部用クッション部材22の表面との境界点D1と、座部用クッション部材の前縁部F1との高低差H1が、20〜120mmの範囲であることが好ましい。また、座部用クッション部材12の前縁部F1の設置面からの高さH2が、420〜500mmの範囲となるように設けられていることが好ましい。設置面からの高さH2は、主脚部31や補助脚部32の高さの設定によって達成することができる。
上記した条件のうち、座部10が前下がりでかつ背座角θ3が上記の条件を満たすことが最も重量であり、次いで、座面角θ1及びバックアングルθ2の条件を満たすことが重要である。さらに、好ましくは、前縁部F1と境界点D1の高低差H1及び前縁部F1の高さH2の条件を満たすことが重要である。これらの条件を満たすことにより、座部用クッション部材12において最も沈み込んだときの高さB1が、前部フレーム111の下部の高さB2以上となり、換言すれば、設計上の想定荷重をかけた際にB1及びB2の関係がこのようになるように、上記した座部フレーム11構成、座部用クッション部材12における座部用ベースネット121の素材や張力、あるいは、座部用クッション部材12を構成する座部用中間クッション122や座部用トリムクッション123の素材や張力等を設定する。これにより、着座時において大腿部下での荷重分担率が高くなり、体圧分散性の機能を高め、さらに、姿勢変化への追従性、姿勢変化を促すアシスト性に優れ、かつ、立ち上がり性も向上させることができる。
椅子1が例えば屋外の野球場やサッカースタジアムなどの観客席に設置されているとして、雨が降った場合には、上記のような座面角θ1であるため、雨水は座部用クッション部材12上に溜まらず、前方に向かって流れ落ちる。従って、表皮123aが、素材自体に透水性がないものであっても、雨水が溜まることはない。もちろん、表皮123aが三次元立体編物等であれば、雨水は表皮123aの隙間を通じて下方に速やかに排水されるため、雨水の排水性はより高まる。
人が椅子1に、背を背もたれ用クッション部材22につけるように深く腰掛けた場合、座骨結節部に対応する部位を中心として座部用ベースネット121が伸び、その分、座部用クッション材12が所定のストローク沈み込む。しかしながら、非着座時における座面角θ1が上記のように水平ラインよりもマイナスであるため、座面角が0度以上の通常の椅子と比較して、臀部いわゆる座骨結節部の落ち込みが少なくなり、大腿中央部への圧力が高くなく、大転子を中心とした大腿骨の回転運動となり、大腿骨全体で圧力を受けることになり、体圧分散性に優れている。すなわち、大腿前部ないし膝裏付近を支持する前部フレーム111の高さと比較し、臀部の高さがほぼ同じかそれよりも高い位置で支持され、膝裏よりも臀部の位置が低くなり、大腿部が弓なりとなる姿勢が回避され、前部フレーム111や前部補助フレーム115の膝裏での当たりを感じにくい。その結果、大腿部から臀部付近に違和感が生じることも抑制され、長時間着座における疲労が少ない。
また、前部フレーム111の手前に配設された前部補助フレーム115と後部フレーム112の下方に位置する後部補助フレーム116との間に臀部が位置するため、前方への骨盤の移動を防ぐ堰ができ、尻滑りが起きずに安定して着座できる。背もたれ20に背をつけた状態では、上記のような所定のバックアングルθ2を有し、背座角θ3も大きいため、リラックスした状態で試合の観戦を行うことができる。
一方、例えば観戦に夢中になって、臀部の位置が前部フレーム111寄りに移動して前屈みに近い姿勢となった場合、座部用クッション部材12の沈み込み量は小さくなり、その位置も座部用クッション部材12の前方寄りとなる。このような前方寄りに着座した場合でも、前部フレーム111及び前部補助フレーム115があり、この面を中心に鉛直方向に大腿部が支持されるため、尻滑りは生じにくく安定して座ることができる。また、座部用クッション部材12の後方にかかる荷重が小さくなるため、着座者には臀部後方から手で支えられているような柔らかな支持感が働く。この前傾姿勢と呼吸により、リラックスの中にある程度の緊張感が生じ、交感神経活動が亢進しやすくなり、また、交感神経と副交感神経との切り替わりが起こりやすくなる。すなわち、交感神経・副交感神経が、あるゆらぎをもって出現し、心拍変動のゆらぎ解析では、1/fゆらぎに相当するものとなり、観戦への集中を高める助けとなる。
図8は、株式会社デルタツーリングが出願人である特開2012−251913に開示された手法に従って評価した乗り心地点数を示したものであり、人体の振動感受性の高い周波数帯域における前後方向及び上下方向の頭部加速度応答のデータに、動揺病発生の関連性の高い周波数帯域の頭部加速度応答のデータを加味して評価したものである。具体的には、背部に当接した生体信号測定手段から採取した心部揺動波(APW)を用い、APWの時系列波形のゼロクロスの時間間間隔から周波数傾き時系列波形を求め、さらに、この周波数傾き時系列波形を周波数解析し、得られたゆらぎ波形を両軸対数表示する。このゆらぎ波形を、ULF、VLFと言われる周波数帯域に着目し、長周期領域(0.003Hz周辺の領域)、中周期領域(0.01Hz周辺の領域)及び短周期領域(0.015Hz〜0.03Hzの領域)の3つに分け、それぞれについて近似線の傾きの変化を単位時間毎に求め、その変化の度合いを乗り心地点数としたものである。変化の度合いは、近似線の傾きの符号と、3つの近似線間における折れ点いわゆる分岐現象の数で決定する。点数は、全体的な形状(折れ点が少ないほど高得点)、並びに、グラフ中の長周期領域、中周期領域及び短周期領域のそれぞれの傾向別の得点を加味して算出する。
図8(b)は、国際線の航空機で採用されている厚みのあるポリウレタンフォームを用いたシートについて求めたものであり、全体的な形状の中で折れ点が3箇所であり、中周期領域、短周期領域において右肩上がりで、交感神経活動が活発でリラックスし難いものであると評価できる。これに対し、同じ被験者が本実施形態の椅子1に着座して同様の実験を行った結果が図8(a)であり、全体的な形状として折れ点が1箇所で約45度の右肩下がりとなっており、1/fゆらぎが現れ、得点も9点と高く、リラックスした中で適度な集中を保つのに適していることがわかる。
さらに、観戦に夢中になって立ち上がったり、あるいは、休憩などにより席を外すために立ったりする場合には、ストロークの少ない座部用クッション部材12は、非着座時の座面角θ1に復帰しようとするため、重心移動により体重を前方に移動することにより、臀部を押し上げる力が働き、速やかな立ち上がり動作を行うことができる。
(実験例)
図9〜図11は、背を背もたれ用クッション部材22に接するように着座した通常姿勢での体圧分布を示した図であり、3名の成人男性の測定例を示すが、被験者Dは細目の体型(図9)、被験者Nは普通体型(図10)、被験者Hは太め体型(図11)である。
通常姿勢の場合、座部10では、55g/cm以下の面積は、被験者Dが約87%、被験者Nが約88%、被験者Hが約79%であり、最も低い太め体型の被験者Hでも約80%が55g/cm以下の圧力値であり、高い体圧分散性を示した。また、特に、被験者D及び被験者Hの2名は、座骨結節下付近だけでなく、大腿部前方でも55g/cm以上の圧力値が生じており、この点も体圧分散性の高いことを示している。
ここで図13は、着座時の圧力と、臀部のしびれや痛みを感じることなく連続して安定して着座できる時間(負荷時間)との関係を調べた図である。この図から、約55g/cmの圧力の場合には、連続5時間安定して着座できることがわかるが、本実施形態の椅子1は、上記のように約80〜90%の面積が55g/cm以下の圧力であることから、疲労の生じにくい長時間着座に適していることがわかる。
バック(背もたれ20)においては、55g/cm以下の圧力値がほとんどであり、荷重集中が極めて少なく、リラックス性の高いことを示している。
図12(a)〜(c)は、各被験者D,N,Hが背を背もたれ用クッション部材22から離し、図7の前屈み姿勢で着座した際の体圧分布を示した図である。前屈み姿勢では、座骨結節下を中心としてしっかりと支持できていることがわかる。
図14〜図17は、本発明の他の実施形態に係る椅子1’を示す。本実施形態の椅子1’は、1人掛け用である。本実施形態も、枠状の座部フレーム11’に座部用クッション部材12’が支持された座部10’と、背もたれフレーム21’に背もたれ用クッション部材22’が支持された背もたれ20’を有する点で上記実施形態と同様である。座部10’が前下がりであること、座面角θ1、バックアングルθ2、背座角θ3、前縁部F1と境界点D1の高低差H1、前縁部F1の高さH2等の好ましい範囲は全て上記実施形態と同様である。
本実施形態においても、座部フレーム11’は、前部フレーム111’、後部フレーム112’、左右のサイドフレーム113’,114’を有し、尻ずれ防止用の前部補助フレーム115’が配置されて構成されている。そして、前部フレーム111’が後部フレーム112’よりも前下がりの位置となるように配置されている。
座部用クッション部材12’を構成する座部用ベースネット121’は、図15に示したように、前部フレーム111’と後部フレーム112’との間にループ状に掛け回され、座部用ベースネット121’の表面を被覆して座部用トリムクッション123’が掛け渡されている。なお、座部用ベースネット121’と座部用トリムクッション123’との間に上記実施形態の座部用中間クッションに相当する部材が配置されていないが、必要に応じて適宜に配置してよいことはもちろんである。
本実施形態の座部用クッション部材12’は、座部用ベースネット121’がループ状に掛け回されているため、その表面側部位と裏面側部位との間に隙間のある2層になっている。着座時において最も荷重がかかって沈み込んだときの高さB1が前部フレーム111’の下部の高さB2以上となるように設計されている点も上記実施形態と同様であるが、座部用ベースネット121’を2層の構成としたことで、座部用ベースネット121’のクッション性が高く、人の荷重をしっかりと支持でき、底付き感が抑制される。従って、本実施形態の上記実施形態のものよりもVIP席用として適している。
背もたれフレーム21’も枠状に形成され、上部フレーム211’、下部フレーム212’、上部フレーム211’及び下部フレーム212’の左右に配置される背もたれ用サイドフレーム213’,214’を有して構成される。
背もたれ用クッション部材22’は、背もたれ用ベースネット221’と背もたれ用トリムクッション224’を備えて構成され、背もたれ用ベースネット221’は、上部フレーム211’及び下部フレーム212’間に張設されている。また、腰部付近には、上記実施形態と同様に幅方向帯状部材225’が、背もたれ用サイドフレーム213’214’間に掛け渡されている。また、本実施形態では、胸部付近にも、幅方向帯状部材226’が幅方向に掛け渡されており、背を支持する背もたれ用クッション部材22’も高いクッション性が得られる構成となっている。
本実施形態の椅子1’も、上記実施形態と同様の条件の背座角θ3、座面角θ1及びバックアングルθ2等に設定されており、観戦に適した姿勢を維持でき、疲れが生じにくいと共に、深く腰掛けた位置から浅く腰掛けた位置への姿勢変化や、立ち上がり動作を容易に行うことができる。
1,1’ 椅子
10,10’ 座部
11,11’ 座部フレーム
111,111’ 前部フレーム
112,112’ 後部フレーム
113,114,113’,114’ 座部用サイドフレーム
115,115’ 前部補助フレーム
116 後部補助フレーム
117 座部用境界フレーム
12,12’ 座部用クッション部材
121,121’ 座部用ベースネット
122 座部用中間クッション
123,123’ 座部用トリムクッション
20,20’ 背もたれ
21,21’ 背もたれフレーム
211,211’ 上部フレーム
213,214,213’,214’ 背もたれ用サイドフレーム
217 背もたれ用境界フレーム
22,22’ 背もたれ用クッション部材
221 背もたれ用サイドベースネット
221’ 背もたれ用ベースネット
222 背もたれ用中央ベースネット
223 背もたれ用中間クッション
224,224’ 背もたれ用トリムクッション
225,225’,226’ 幅方向帯状部材
30 脚部
31 主脚部
32 補助脚部

Claims (7)

  1. 座部及び背もたれを備えた椅子であって、
    前記座部が、座部フレームに支持される座部用クッション部材を備え、水平ラインに対して前部が後部よりも下方に位置する前下がりの座面角で形成され、
    前記背もたれが、背もたれフレームに支持される背もたれ用クッション部材を備え、垂直ラインに対して後方に傾斜する所定のバックアングルを有して形成され
    前記座部フレームは、前部に配置される所定長さの前部フレームと、前記前部フレームに対して所定間隔をおいて後方に配置される所定長さの後部フレームと、前記前部フレーム及び後部フレームの各端部間に掛け渡される座部用サイドフレームとを有する枠状に形成され、
    前記背もたれフレームは、下部が前記座部用サイドフレームのそれぞれに連結される背もたれ用サイドフレームと、前記背もたれ用サイドフレームのそれぞれの上部間を結ぶ上部フレームを備えた枠状に形成され、
    前記座部用クッション部材は、二次元又は三次元の布帛からなる座部用ベースネットを含んで構成されると共に、前記座部用ベースネットの前部が前記座部フレームの前記前部フレームに掛け回され、
    前記背もたれ用クッション部材は、
    前記背もたれの両側位置に上下に掛け渡され、下部が前記座部用ベースネットの後部に連結される帯状の背もたれ用サイドベースネットと、
    前記背もたれの両側に位置する前記2つの背もたれ用サイドベースネットの間において、前記背もたれフレームの上下に掛け渡され、下部が前記座部用ベースネットの後部に連結される1本以上の帯状の背もたれ用中央ベースネットと
    を有し、
    前記座部用ベースネットは、前記背もたれ用中央ベースネット及び前記背もたれ用サイドベースネットにより、前記座部用ベースネットの前部が前記座部用ベースネットの後部よりも下方に位置するように支持され、かつ、
    側面から見た場合に、前記背もたれ用中央ベースネットの下部が、前記背もたれ用サイドベースネットの下部よりも後方に位置するように前記座部用ベースネットの後部にそれぞれ連結されていることを特徴とする椅子。
  2. 前記座部用クッション部材及び前記背もたれ用クッション部材の境界点を中心とした、前記座部用クッション部材の前縁部から前記背もたれ用クッション部材の上縁部までの背座角が、100〜150度の範囲である請求項1記載の椅子。
  3. 前記座面角が、前記水平ラインに対して前部が後部よりも下方に2〜25度の範囲で傾斜するように設定されている請求項1又は2記載の椅子。
  4. 前記バックアングルが、前記垂直ラインに対して後方に8〜35度の範囲で設定されている請求項1〜3のいずれか1に記載の椅子。
  5. 前記座部フレームは、前記前部フレーム、後部フレーム及び各座部用サイドフレームが、側面から見て、前記水平ラインに対して、前部が後部よりも下方に位置する形状となるように形成されている請求項〜4のいずれか1に記載の椅子。
  6. 前記座部用クッション部材において最も沈み込んだときの高さが、前記前部フレームの下部の高さと同じかそれ以上である請求項〜5のいずれか1に記載の椅子。
  7. 前記背もたれ用サイドベースネット及び前記背もたれ用中央ベースネットに略直交する方向である前記背もたれの幅方向に沿って、腰部支持用の弾性部材が積層されている請求項1〜6のいずれか1に記載の椅子。
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