JP6628385B6 - 改変されたCas9タンパク質及びその用途 - Google Patents
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Description
CRISPR−Casシステムには、typeI、II、IIIがあるが、ゲノム編集で用いるのはもっぱらtypeII CRISPR−Casシステムであり、typeIIではRGNとしてCas9タンパク質が用いられている。S.pyogenes由来のCas9タンパク質はNGGという3つの塩基をPAM配列として認識するため、グアニンが2つ並んだ配列がありさえすればその上流を切断できる。
CRISPR−Casシステムを用いた方法は、目的のDNA配列と相同な短いgRNAを合成するだけでよく、単一のタンパク質であるCas9タンパク質を用いてゲノム編集ができる。そのため、従来用いられていたジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)やトランス活性化因子様作動体(TALEN)のようにDNA配列ごとに異なる大きなタンパク質を合成する必要がなく、簡便かつ迅速にゲノム編集を行うことができる。
特許文献2には、S.thermophilus由来のCRISPR−Casシステムを活用したゲノム編集技術が開示されている。さらに、特許文献2には、Cas9タンパク質のD31A又はN891A変異体が、一方のDNA鎖のみにnickを入れるDNA切断酵素であるnickaseとして機能することが開示されている。さらに、DNA切断後の修復メカニズムで挿入欠失などの変異を起こしやすい非相同末端結合の発生率は少ないままで、野生型Cas9タンパク質と同程度の相同組み換え効率を有することが示されている。
非特許文献1には、S.pyogenes由来のCas9を使用したCRISPR−Casシステムであって、2つのCas9タンパク質のD10A変異体と、該D10A変異体と複合体を形成する1対の標的特異的ガイドRNAを利用するダブルニッカーゼシステムが開示されている。各Cas9タンパク質のD10A変異体及び標的特異的ガイドRNAの複合体は、ガイドRNAと相補するDNA鎖に1つだけニックを作る。一対のガイドRNAは約20塩基程度ずれており、標的DNAの反対鎖に位置する標的配列のみを認識する。各Cas9タンパク質のD10A変異体及び標的特異的ガイドRNAの複合体によって作られた2つのニックはDNA二本鎖切断(DNA double−strand break:DSB)を模倣する状態になり、一対のガイドRNAを利用することで高レベルの効率を維持しつつ、Cas9タンパク質媒介型遺伝子編集の特異性を改善できることが示されている。
特許文献3には、S.pyogenes由来のCas9タンパク質の各種変異体が、特許文献4には、F.novicida由来のCas9タンパク質の各種変異体が開示されている。
このように従来のCas9タンパク質には、認識可能なPAM配列に制限があるため、編集可能な標的配列が制限されるという問題点があった。
本発明は、ガイドRNAとの結合能は維持しつつ標的配列の制限が緩和された改変されたCas9タンパク質及びその用途を提供することを目的とする。
本明細書中、変異を導入する前のCas9タンパク質を野生型Cas9タンパク質、変異を導入した後のCas9タンパク質を改変されたCas9タンパク質あるいは変異型Cas9タンパク質と称する場合がある。
即ち、本発明は以下の通りである。
[2]配列番号1で表されるアミノ酸配列において、さらに1219位に変異を有する、上記[1]に記載のタンパク質。
[3]配列番号1で表されるアミノ酸配列において、さらに1322位に変異を有する、上記[1]又は[2]に記載のタンパク質。
[4]配列番号1で表されるアミノ酸配列において、1335位のアルギニンがアラニン、グリシン、システイン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、バリン、スレオニン、アスパラギン及びアスパラギン酸からなる群より選ばれる1つのアミノ酸で置換され、さらに1219位に変異を有するアミノ酸配列を含む配列からなり、且つ、ガイドRNAとの結合能を有するタンパク質。
[5]配列番号1で表されるアミノ酸配列において、1335位のアルギニンがアラニン、グリシン、システイン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、バリン、スレオニン、アスパラギン及びアスパラギン酸からなる群より選ばれる1つのアミノ酸で置換され、さらに1322位に変異を有するアミノ酸配列を含む配列からなり、且つ、ガイドRNAとの結合能を有するタンパク質。
[6]1335位のアルギニンの置換がアラニンへの置換である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載のタンパク質。
[7]1335位のアルギニンの置換がイソロイシン、メチオニン、スレオニン又はバリンへの置換である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載のタンパク質。
[8]1219位の変異がグルタミン酸のフェニルアラニンへの置換である、上記[2]又は[4]記載のタンパク質。
[9]1322位の変異がアラニンのアルギニン、ヒスチジン又はリジンへの置換である、上記[3]又は[5]記載のタンパク質。
[10]1322位の変異がアラニンのアルギニンへの置換である、上記[9]記載のタンパク質。
[12]配列番号1で表されるアミノ酸配列において、さらに、1111位、1135位、1218位及び1337位からなる群より選択される少なくとも2つの位置に変異を有する、上記[11]に記載のタンパク質。
[13]配列番号1で表されるアミノ酸配列において、さらに、1111位、1135位、1218位及び1337位からなる群より選択される少なくとも3つの位置に変異を有する、上記[11]に記載のタンパク質。
[14]配列番号1で表されるアミノ酸配列において、さらに、1111位、1135位、1218位及び1337位に変異を有する、上記[11]に記載のタンパク質。
[15]1111位の変異がロイシンのアルギニン、ヒスチジン又はリジンへの置換であり;
1135位の変異がアスパラギン酸のバリンへの置換であり;
1218位の変異がグリシンのアルギニン、ヒスチジン又はリジンへの置換であり;
1337位の変異がスレオニンのアルギニン、ヒスチジン又はリジンへの置換である、上記[11]〜[14]のいずれかに記載のタンパク質。
[16]配列番号1の変異が施された位置以外の部位において80%以上の同一性を有する、上記[1]〜[15]のいずれかに記載のタンパク質。
[17]配列番号1の変異が施された位置以外の部位において1〜数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入及び/又は付加された、上記[1]〜[15]のいずれかに記載のタンパク質。
[18]RNA誘導性DNAエンドヌクレアーゼ活性を有する、上記[1]〜[17]のいずれかに記載のタンパク質。
[19]さらに、配列番号1で表されるアミノ酸配列において、ヌクレアーゼ活性を一部あるいは全部を欠失する変異を有する、上記[1]〜[16]のいずれかに記載のタンパク質。
[20]ヌクレアーゼ活性を一部あるいは全部欠失する変異が、配列番号1で表されるアミノ酸配列における、(i)10位、762位、839位、983位及び986位からなる群より選択される少なくとも1つの位置又はそれに相当する位置、及び/又は(ii)840位及び863位からなる群より選択される位置又はそれに相当する位置における変異である、上記[19]に記載のタンパク質。
840位のヒスチジンがアラニン、アスパラギン又はチロシンに置換している、上記[20]に記載のタンパク質。
[22]転写制御因子タンパク質又はドメインを連結した、上記[19]〜[21]のいずれかに記載のタンパク質。
[23]転写制御因子が転写活性化因子である、上記[22]記載のタンパク質。
[24]転写制御因子が転写サイレンサー又は転写抑制因子である、上記[22]記載のタンパク質。
[25]上記[1]〜[24]のいずれかに記載のタンパク質をコードする核酸。
[26]上記[1]〜[24]のいずれかに記載のタンパク質と、標的二本鎖ポリヌクレオチド中のPAM(Proto-spacer Adjacent Motif)配列の1塩基上流から20塩基以上24塩基以下上流までの塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドを含むガイドRNAと、を備えるタンパク質−RNA複合体。
[27]標的二本鎖ポリヌクレオチドを部位特異的に改変するための方法であって、
標的二本鎖ポリヌクレオチドと、タンパク質と、ガイドRNAとを混合し、インキュベートする工程と、
前記タンパク質が、PAM配列の上流に位置する結合部位で前記標的二本鎖ポリヌクレオチドを改変する工程と、を備え、
前記標的二本鎖ポリヌクレオチドは、NG(Nは任意の塩基を、Gはグアニンをそれぞれ意味する)からなるPAM配列を有し、
前記タンパク質は、上記[1]〜[24]のいずれかに記載のタンパク質であり、
前記ガイドRNAは、前記標的二本鎖ポリヌクレオチド中の前記PAM配列の1塩基上流から20塩基以上24塩基以下上流までの塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドを含むものである方法。
[28]改変が、標的二本鎖ポリヌクレオチドの部位特異的な切断である、上記[27]記載の方法。
[29]改変が、標的二本鎖ポリヌクレオチドにおける部位特異的な、1以上のヌクレオチドの置換、欠失及び/又は付加である、上記[27]記載の方法。
[30]細胞の標的遺伝子の発現を増大させる方法であって、前記細胞内で上記[23]に記載のタンパク質と、前記標的遺伝子に対する1つ又は複数のガイドRNAとを発現させることを含む、方法。
[31]細胞の標的遺伝子の発現を減少させる方法であって、前記細胞内で上記[24]に記載のタンパク質と、前記標的遺伝子に対する1つ又は複数のガイドRNAとを発現させることを含む、方法。
[32]細胞が真核細胞である、上記[30]又は[31]に記載の方法。
[33]細胞が酵母細胞、植物細胞又は動物細胞である、上記[30]又は[31]に記載の方法。
本実施形態のタンパク質は、ガイドRNAへの結合力を保ちながら、PAM配列の認識が広範化されたCas9タンパク質である。本実施形態のタンパク質によれば、簡便且つ迅速で標的配列に部位特異的なゲノム編集技術を提供することができる。
ガイドRNAは、本発明の変異型Cas9タンパク質と結合して、該タンパク質を標的DNAに導く機能を有する。ガイドRNAは、その5’末端に標的DNAに相補的な配列を有し、該相補的な配列を介して標的DNAに結合することにより、本発明の変異型Cas9タンパク質を標的DNAに導く。変異型Cas9タンパク質がDNAエンドヌクレアーゼとして機能する場合には、標的DNAが存在する部位でDNAを切断し、例えば、標的DNAの機能を特異的に喪失させることができる。
ガイドRNAは、切断あるいは修飾すべき標的DNAの配列情報に基づき設計され調製される。具体的には実施例で用いられるような配列が挙げられる。
本明細書中において、「PAM配列」とは、標的二本鎖ポリヌクレオチド中に存在し、Cas9タンパク質により認識可能な配列を意味し、PAM配列の長さや塩基配列は細菌種によって異なる。本実施形態のPAM配列の認識が広範化されたCas9タンパク質により認識可能な配列は、「5’−NG−3’」で表すことができる。
配列番号1は、SpCas9タンパク質の全長アミノ酸配列である。SpCas9タンパク質中のPAM配列認識部位の配列は、配列番号1の1097番目〜1368番目までの271残基からなるアミノ酸配列である。
配列番号1の1335位における変異は、具体的には、1335位のアルギニンの、アラニン、グリシン、システイン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、スレオニン、バリン、アスパラギン及びアスパラギン酸からなる群より選ばれる1つのアミノ酸への置換である。好ましくはアラニンへの置換である。また、1335位における別の好ましい変異は、イソロイシン、メチオニン、スレオニン又はバリンへの置換である。
1335位における変異によりPAM配列中の3番目のグアニン(5’−NG『G』−3’)との水素結合がなくなるため、該タンパク質のPAM配列の認識を広範化することができる。
該1219位における変異は、具体的には、1219位のグルタミン酸のフェニルアラニンへの置換である。
1219位における変異は、RNA誘導性DNAエンドヌクレアーゼ活性の発現速度の上昇(維持)に寄与し得る。
該1322位における変異は、具体的には、1322位のアラニンのアルギニン、ヒスチジン又はリジンへの置換である。好ましくは、アルギニンへの置換である。
1322位における変異は、RNA誘導性DNAエンドヌクレアーゼ活性の活性上昇(活性維持)に寄与し得る。
該1111位における変異は、具体的には、1111位のロイシンのアルギニン、ヒスチジン又はリジンへの置換である。好ましくは、アルギニンへの置換である。
該1135位における変異は、具体的には、1135位のアスパラギン酸のバリンへの置換である。
該1218位における変異は、具体的には、1218位のグリシンのアルギニン、ヒスチジン又はリジンへの置換である。好ましくは、アルギニンへの置換である。
該1337位における変異は、具体的には、1337位のスレオニンのアルギニン、ヒスチジン又はリジンへの置換である。好ましくは、アルギニンへの置換である。
該10位における変異は、具体的には、10位のアスパラギン酸のアラニン又はアスパラギンへの置換である。
該762位における変異は、具体的には、762位のグルタミン酸のグルタミンへの置換である。
該839位における変異は、具体的には、839位のアスパラギン酸のアラニン又はアスパラギンへの置換である。
該983位における変異は、具体的には、983位のヒスチジンのアスパラギン又はチロシンへの置換である。
該986位における変異は、具体的には、986位のアスパラギン酸のアスパラギンへの置換である。
該840位における変異は、具体的には、840位のヒスチジンのアラニン、アスパラギン又はチロシンへの置換である。
該863位における変異は、具体的には、863位のアスパラギンのアスパラギン酸、セリン又はヒスチジンへの置換である。
態様5として好ましくは、10位のアスパラギン酸がアラニン若しくはアスパラギンに置換し、又は840位のヒスチジンが、アラニン、アスパラギン若しくはチロシンに置換したタンパク質である。
(i)の変異又は(ii)の変異を有する態様5のタンパク質は、ニッカーゼ活性を有する。
(i)の変異及び(ii)の変異を有する態様5のタンパク質は、ガイドRNAと結合し標的DNAへと運ばれるがエンドヌクレアーゼ活性が失活している。
「アミノ酸の置換、欠失、挿入及び/又は付加」を人為的に行う場合の手法としては、例えば、所定のアミノ酸配列をコードするDNAに対して慣用の部位特異的変異導入を施し、その後このDNAを常法により発現させる手法が挙げられる。ここで部位特異的変異導入法としては、例えば、アンバー変異を利用する方法(ギャップド・デュプレックス法、Nucleic Acids Res., 12, 9441-9456 (1984))、変異導入用プライマーを用いたPCRによる方法等が挙げられる。
前記で改変されるアミノ酸の数については、少なくとも1残基、具体的には1若しくは数個、またはそれ以上である。また前記置換、欠失、挿入または付加のうち、特にアミノ酸の置換が好ましい。当該置換は、疎水性、電荷、pK、立体構造上における特徴等の類似した性質を有するアミノ酸への置換がより好ましい。このような置換としては、例えば、i)グリシン、アラニン;ii)バリン、イソロイシン、ロイシン;iii)アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;iv)セリン、スレオニン;v)リジン、アルギニン;vi)フェニルアラニン、チロシンのグループ内での置換が挙げられる。
本明細書中、置換箇所までのアミノ酸残基数を表わす数字の左側に表示したアルファベットは置換前のアミノ酸の1文字表記を示し、右側に表示したアルファベットは置換後のアミノ酸の1文字表記を示している。
宿主としては、特に限定されず、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞、又は、大腸菌、枯草菌、酵母等の微生物が挙げられる。
一実施形態において、本発明は、上述の<PAM配列の認識が広範化されたCas9タンパク質>において示されたタンパク質と、標的二本鎖ポリヌクレオチド中のPAM(Proto−spacer Adjacent Motif)配列の1塩基上流から20塩基以上24塩基以下上流までの塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドを含むガイドRNAと、を備えるタンパク質−RNA複合体を提供する。
一実施形態において、本発明は、上述の<PAM配列の認識が広範化されたCas9タンパク質>において示されたタンパク質をコードする遺伝子を含む第1のベクターと、標的二本鎖ポリヌクレオチド中のPAM配列の1塩基上流から20塩基以上24塩基以下上流までの塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドを含むガイドRNAを含む第2のベクターと、を備えるCRISPR−Casベクターシステムを提供する。
ガイドRNAは、標的二本鎖ポリヌクレオチド中のPAM配列の1塩基上流から、好ましくは20塩基以上24塩基以下、より好ましくは22塩基以上24塩基以下までの塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドを5’末端領域に含むものを適宜設計すればよい。さらに、標的二本鎖ポリヌクレオチドと非相補的な塩基配列からなり、一点を軸として対称に相補的な配列になるように並び、ヘアピン構造をとり得る塩基配列からなるポリヌクレオチドを1つ以上含んでいてもよい。
elongation factor)プロモーター等の植物細胞における発現用のプロモーター、ポリヘドリンプロモーター、p10プロモーター等の昆虫細胞における発現用のプロモーター等を使用することができる。これらプロモーターは、前記Cas9タンパク質、及び前記ガイドRNA、又は前記Cas9タンパク質、及び前記ガイドRNAを発現する細胞の種類に応じて、適宜選択することができる。
[第1実施形態]
一実施形態において、本発明は、標的二本鎖ポリヌクレオチドを部位特異的に改変するための方法であって、
標的二本鎖ポリヌクレオチドと、タンパク質と、ガイドRNAとを混合し、インキュベートする工程と、前記タンパク質が、PAM配列の上流に位置する結合部位で前記標的二本鎖ポリヌクレオチドを改変する工程と、を備え、
前記標的二本鎖ポリヌクレオチドは、NG(Nは任意の塩基を、Gはグアニンをそれぞれ意味する)からなるPAM配列を有し、
前記タンパク質は、上述の<PAM配列の認識が広範化されたCas9タンパク質>において示されたタンパク質であり、
前記ガイドRNAは、前記標的二本鎖ポリヌクレオチド中の前記PAM配列の1塩基上流から20塩基以上24塩基以下上流までの塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドを含むものである方法を提供する。
まず、前記タンパク質及び前記ガイドRNAを温和な条件で混合し、インキュベートする。温和な条件とは、上述のとおりである。インキュベートする時間は、0.5時間以上1時間以下が好ましい。前記タンパク質及び前記ガイドRNAによる複合体は、安定しており、室温で数時間静置しても安定性を保つことができる。
次に、前記標的二本鎖ポリヌクレオチド上において、前記タンパク質及び前記ガイドRNAは複合体を形成する。前記タンパク質は、「5’−NG−3’」からなるPAM配列を認識し、PAM配列の上流に位置する結合部位で、前記標的二本鎖ポリヌクレオチドに結合する。前記タンパク質がエンドヌクレアーゼ活性を有する場合当該部位で該ポリヌクレオチドを切断する。前記Cas9タンパク質がPAM配列を認識し、PAM配列を起点として、前記標的二本鎖ポリヌクレオチドの二重らせん構造が引き剥され、前記ガイドRNA中の前記標的二本鎖ポリヌクレオチドに相補的な塩基配列とアニーリングすることで、前記標的二本鎖ポリヌクレオチドの二重らせん構造が部分的にほぐれる。このとき、前記Cas9タンパク質は、PAM配列の上流に位置する切断部位、及びPAM配列と相補的な配列の上流に位置する切断部位で、前記標的二本鎖ポリヌクレオチドのリン酸ジエステル結合を切断する。
本実施形態において、インキュベート工程の前に、さらに、上述のCRISPR−Casベクターシステムを用いて、上述の<PAM配列の認識が広範化されたCas9タンパク質>において示されたタンパク質と、ガイドRNAとを発現させる発現工程を備えていてもよい。
[第1実施形態]
一実施形態において、本発明は、標的二本鎖ポリヌクレオチドを部位特異的に改変するための方法であって、
標的二本鎖ポリヌクレオチドと、タンパク質と、ガイドRNAとを混合し、インキュベートする工程と、前記タンパク質が、PAM配列の上流に位置する結合部位で前記標的二本鎖ポリヌクレオチドに結合する工程と、前記ガイドRNAと前記標的二本鎖ポリヌクレオチドの相補的結合によって決定される領域において、修飾された前記標的二本鎖ポリヌクレオチドを得る工程と、を備え、
前記標的二本鎖ポリヌクレオチドは、NG(Nは任意の塩基を、Gはグアニンをそれぞれ意味する)からなるPAM配列を有し、
前記タンパク質は、上述の<PAM配列の認識が広範化されたCas9タンパク質>
において示されたタンパク質であり、
前記ガイドRNAは、前記標的二本鎖ポリヌクレオチド中の前記PAM配列の1塩基上流から20塩基以上24塩基以下上流までの塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドを含むものである方法を提供する。
本実施形態において、インキュベート工程の前に、さらに、上述のCRISPR−Casベクターシステムを用いて、上述の<PAM配列の認識が広範化されたCas9タンパク質>において示されたタンパク質と、ガイドRNAとを発現させる発現工程を備えていてもよい。
本実施形態の発現工程において、まず、上述のCRISPR−Casベクターシステムを用いて、Cas9タンパク質及びガイドRNAを発現させる。発現させる具体的な方法としては、上述の<標的二本鎖ポリヌクレオチドを部位特異的に改変するための方法>の[第2実施形態]において例示された方法と同様である。
一実施形態において、本発明は、標的二本鎖ポリヌクレオチドを細胞内において部位特異的に改変するための方法であって、
上述のCRISPR−Casベクターシステムを細胞に導入し、上述の<PAM配列の認識が広範化されたCas9タンパク質>において示されたタンパク質と、ガイドRNAとを発現させる発現工程と、
前記タンパク質が、PAM配列の上流に位置する結合部位で前記標的二本鎖ポリヌクレオチドに結合する工程と、
前記ガイドRNAと前記標的二本鎖ポリヌクレオチドの相補的結合によって決定される領域において、改変された前記標的二本鎖ポリヌクレオチドを得る工程と、を備え、
前記標的二本鎖ポリヌクレオチドは、NG(Nは任意の塩基を、Gはグアニンをそれぞれ意味する)からなるPAM配列を有し、
前記ガイドRNAは、前記標的二本鎖ポリヌクレオチド中の前記PAM配列の1塩基上流から20塩基以上24塩基以下上流までの塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドを含むものである方法を提供する。
本実施形態における標的二本鎖ポリヌクレオチドの修飾により、標的二本鎖ポリヌクレオチドへの変異の導入、又は、標的二本鎖ポリヌクレオチドの機能が破壊、改変された細胞を得ることができる。
さらに、変異型Cas9タンパク質あるいは変異型Cas9から一部あるいは全部の切断酵素活性を欠失したタンパク質のN末端あるいはC末端に転写制御因子タンパク質又はドメインを連結することができる。転写制御因子又はそのドメインとしては、転写活性化因子又はそのドメイン(例、VP64、NF−κB p65)及び転写サイレンサー又はそのドメイン(例、ヘテロクロマチンタンパク質1(HP1))又は転写抑制因子又はそのドメイン(例、クルッペル関連ボックス(KRAB)、ERFリプレッサードメイン(ERD)、mSin3A相互作用ドメイン(SID))が挙げられる。
DNAのメチル化状態を修飾する酵素(例、DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)、TET)やヒストンサブユニットを修飾する酵素(例、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)、ヒストンメチルトランスフェラーゼ、ヒストンデメチラーゼ)を連結することもできる。
一実施形態において、本発明は、ゲノム編集を実行し、遺伝子を治療するための方法及び組成物を提供する。以前に知られている標的化された遺伝子組換えの方法と対照的に、本実施形態の方法は、実行が、効率的かつ安価であり、そして任意の細胞または生物に適応可能である。細胞又は生物の二本鎖核酸の任意のセグメントは、本実施形態の遺伝子治療方法により改変することができる。本実施形態の遺伝子治療方法は、全ての細胞に内在性である相同組換えプロセス及び非相同組換えプロセスの両方を利用する。
1.野生型及び変異型SpCas9の調製
(1)コンストラクトの設計
遺伝子合成によりコドンが最適化された野生型あるいは変異型SpCas9遺伝子を、pET vector(Novagen)に組み込んだ。さらに、HisタグとSpCas9遺伝子の間にTEV認識配列を付加した。完成したコンストラクトから発現するCas9のN末端には6残基のヒスチジンが連続し(Hisタグ)、TEVプロテアーゼ認識サイトが付加される設計になっている。
使用したSpCas9遺伝子の塩基配列は以下の通り。
WT:野生型SpCas9の塩基配列:配列番号2
m0:変異型SpCas9遺伝子(R1335A)の塩基配列:配列番号3
m4:変異型SpCas9遺伝子(R1335A/G1218R)の塩基配列:配列番号4
m18:変異型SpCas9遺伝子(R1335A/G1218R/T1337R)の塩基配列:配列番号5
m19:変異型SpCas9遺伝子(R1335A/G1218R/T1337R/L1111R)の塩基配列:配列番号6
m20:変異型SpCas9遺伝子(R1335A/G1218R/T1337R/L1111R/D1332R)の塩基配列:配列番号7
m21:変異型SpCas9遺伝子(R1335A/G1218R/T1337R/L1111R/D1332R/A1322R)の塩基配列:配列番号8
m22:変異型SpCas9遺伝子(R1335A/G1218R/T1337R/L1111R/D1332R/A1322R/D1284R/A1285R)の塩基配列:配列番号9
m23:変異型SpCas9遺伝子(R1335A/G1218R/L1111R/D1332R/A1322R)の塩基配列:配列番号10
m24:変異型SpCas9遺伝子(R1335A/G1218R/L1111R/D1332R/A1322R/D1284R/A1285R)の塩基配列:配列番号11
m25:変異型SpCas9遺伝子(R1335A/G1218R/T1337R/L1111R/A1322R)の塩基配列:配列番号12
m26:変異型SpCas9遺伝子(R1335A/G1218R/L1111R/A1322R)の塩基配列:配列番号13
m29:変異型SpCas9遺伝子(R1335A/G1218R/L1111R)の塩基配列:配列番号14
m32:変異型SpCas9遺伝子(R1335A/G1218R/T1337R/L1111R/A1322R/E1219M)の塩基配列:配列番号15
m33:変異型SpCas9遺伝子(R1335A/G1218R/T1337R/L1111R/A1322R/E1219F)の塩基配列:配列番号16
m34:変異型SpCas9遺伝子(R1335A/G1218R/T1337R/L1111R/A1322R/E1219W)の塩基配列:配列番号17
m43:変異型SpCas9遺伝子(R1335A/G1218R/T1337R/L1111R/A1322R/E1219F/D1135V)の塩基配列:配列番号18
m61:変異型SpCas9遺伝子(R1335I/G1218R/T1337R/L1111R/A1322R/E1219F/D1135V)の塩基配列:m43の塩基配列(配列番号18)に対し、4003−4005位のgccがatcに変換した塩基配列。
m62:変異型SpCas9遺伝子(R1335L/G1218R/T1337R/L1111R/A1322R/E1219F/D1135V)の塩基配列:m43の塩基配列(配列番号18)に対し、4003−4005位のgccがctgに変換した塩基配列。
m63:変異型SpCas9遺伝子(R1335M/G1218R/T1337R/L1111R/A1322R/E1219F/D1135V)の塩基配列:m43の塩基配列(配列番号18)に対し、4003−4005位のgccがatgに変換した塩基配列。
m64:変異型SpCas9遺伝子(R1335F/G1218R/T1337R/L1111R/A1322R/E1219F/D1135V)の塩基配列:m43の塩基配列(配列番号18)に対し、4003−4005位のgccがtttに変換した塩基配列。
m65:変異型SpCas9遺伝子(R1335T/G1218R/T1337R/L1111R/A1322R/E1219F/D1135V)の塩基配列:m43の塩基配列(配列番号18)に対し、4003−4005位のgccがaccに変換した塩基配列。
m66:変異型SpCas9遺伝子(R1335V/G1218R/T1337R/L1111R/A1322R/E1219F/D1135V)の塩基配列:m43の塩基配列(配列番号18)に対し、4003−4005位のgccがgtgに変換した塩基配列。
作成したベクターを大腸菌Escherichia coli rosetta2 (DE3)株へ形質転換した。その後、20μg/mlカナマイシン及び20μg/mlクロラムフェニコールを含むLB培地で培養した。OD=0.8になるまで培養した時点で、発現誘導剤としてイソプロピル−β−チオガラクトピラノシド(Isopropyl β−D−1−thiogalactopyranoside:IPTG)(終濃度1mM)を添加し、37℃で4時間培養した。培養後、大腸菌を遠心(5,000g、10分)により回収した。
(2)で回収した菌体を緩衝液Aで懸濁し、超音波破砕した。遠心(25,000g,30分)により上清を回収し、緩衝液Aで平衡化したNi−NTA Superflow樹脂 (QIAGEN)と混合し、1時間穏やかに転倒混和した。素通り画分を回収した後、4カラム容量の緩衝液A、さらに2カラム容量の高塩濃度緩衝液Bで洗浄を行った。
次いで、再度2カラム容量の緩衝液Aで洗浄した後、5カラム容量の高イミダゾール濃度緩衝液Cで目的タンパク質を溶出した。
次いで、粗精製したサンプルをHiTrapSP(GE Healthcare)にチャージした。次いで、5カラム容量分の緩衝液D(0M NaCl)92.5%及び緩衝液F(2M NaCl)7.5%の混合溶液で洗浄を行った後、緩衝液Eを10%から50%へ(NaCl濃度は200mMから1Mへ)直線勾配をかけて目的タンパク質を溶出した。
緩衝液A〜Eの組成を以下に示す。
緩衝液B:20 mM Tris-HCl, pH 8.0, 1000 mM NaCl, 20 mM imidazole
緩衝液C:20 mM Tris-HCl, pH 8.0, 300 mM NaCl, 300 mM imidazole
緩衝液D:20 mM Tris-HCl, pH 8.0
緩衝液E:20 mM Tris-HCl, pH 8.0, 2000 mM NaCl
目的のガイドRNA配列(ggaaauuaggugcgcuuggcguuuuagagcuagaaauagcaaguuaaaauaaggcuaguccguuaucaacuugaaaaagug;配列番号19)が挿入されたベクターの作製を行った。下線部が20塩基のガイド配列を示し、残りがscaffoldの部分(stem−loop 2)に相当する。ガイドRNA配列の上流にT7プロモーター配列を付加し、線状化したpUC119ベクター(TaKaRa)に組み込んだ。作製したベクターを元に、PCRを用いてin vitro転写反応の鋳型DNAを作製した。この鋳型DNAを用いて、37℃、4時間、T7 RNAポリメラーゼによるin vitro転写反応を行った。転写産物を含む反応液に等量のフェノールクロロホルムを加えて混合した後、20℃にて遠心(10,000g、2分)し、上清を回収した。上清に1/10量の3M 酢酸ナトリウムおよび2.5倍量の100%エタノールを添加し、4℃にて遠心(10,000g、3分)し、転写産物を沈殿させた。上清を廃棄して70%エタノールを添加し、4℃にて遠心(10,000g、3分)し再び上清を廃棄した。沈殿を風乾後、TBE緩衝液に再懸濁し、7M Urea変性10%PAGEにより精製した。目的RNAの分子量に位置するバンドを切り出し、Elutrap電気溶出システム(GE Healthcare)によりRNAを抽出した。その後、抽出したRNAをPD−10カラム(GE Healthcare)に通し、緩衝液を緩衝液H(10 mM Tris−HCl (pH 8.0)、150mM NaCl)に交換した。
DNA切断活性測定試験に用いるために、標的DNA配列およびPAM配列が挿入されたベクターの作製を行った。標的DNA配列にPAM配列1〜4をそれぞれ付加し、線状化したpUC119ベクターに組み込んだ。標的配列およびPAM配列1〜4を表1に示す。
培養後、菌体を遠心(8,000g、1分)により回収し、QIAprep Spin Miniprep Kit(QIAGEN)を用いてプラスミドDNAを精製した。
精製したPAM配列が付加した標的プラスミドDNAを用いて切断実験を行った。プラスミドDNAは、制限酵素により1本に線状化した。この線状化DNA中の標的DNA配列を野生型、又は変異型のSpCas9が切断すると、約1,000bpと約2,000bpの切断産物ができる。切断の際のバッファーとしては下記の組成のcleavage buffer Bを用いた。
B(×10)の組成
200 mM HEPES 7.5
1000 mM KCl
50% glycerol
10 mM DTT
5 mM EDTA
20 mM MgCl2
反応後のサンプルについて、1%濃度のアガロースゲルを用いて電気泳動を行い、切断産物のバンドを確認した。結果を図1A〜Dに示す。図中、「Substrate」とは基質を示し、「Product」とは切断産物を示す。PAM配列及び反応条件を図中に示す。
野生型SpCas9では、PAM配列の三番目の塩基がGの場合のみ認識し、標的プラスミドDNAが切断されたのに対し、変異型SpCas9では、三番目の塩基がG以外のPAM配列も認識し、標的プラスミドDNAを切断することができた。
よって、野生型のSpCas9ではPAM配列「NGG」を認識するのに対し、変異型のSpCas9ではPAM配列「NG」を認識することが確かめられた。
以上から、変異型のSpCas9ではPAM配列が広範化されており、簡便且つ迅速に標的配列に対し部位特異的な標的二本鎖ポリヌクレオチドの切断を行えることが明らかとなった。
実施例1で調製した変異型SpCas9(m43)を用いて、実施例1と同様にしてプラスミドDNA切断活性測定試験を行った。結果を図2に示す。
野生型SpCas9では、PAM配列の三番目の塩基がGの場合のみ認識し、標的プラスミドDNAが切断されたのに対し、変異型SpCas9では、三番目の塩基がG以外のPAM配列も認識し、標的プラスミドDNAを切断することができた。
よって、野生型のSpCas9ではPAM配列「NGG」を認識するのに対し、変異型のSpCas9ではPAM配列「NG」を認識することが確かめられた。
実施例1で調製した変異型SpCas9(m43、m61〜m66)を用いて、実施例1と同様にしてプラスミドDNA切断活性測定試験を行った。尚、切断産物の検出には、MultiNAキャピラリー電気泳動装置(島津製作所)を用いた。PAM配列としては、PAM配列4である5’−TGC−3’を用いた。切断実験は0.5分(0.5m)及び2分(2m)で行った。結果を図3に示す。m61、m63、m65及びm66に優れたDNA切断活性が確認された。
実施例1で調製した変異型SpCas9(m43、m61、m63及びm66)を用いて、実施例1と同様にしてプラスミドDNA切断活性測定試験を行った。切断実験は0.5分(0.5m)及び2分(2m)で行った。結果を図4に示す。
野生型SpCas9では、PAM配列の三番目の塩基がGの場合のみ認識し、標的プラスミドDNAが切断されるのに対し、変異型SpCas9では、三番目の塩基がG以外のPAM配列も認識し、標的プラスミドDNAを切断することができた。m61、m63及びm66、特にm63とm66はm43では効率の低かったTGA及びTGCのPAM配列を用いた場合でも高い効率でDNAを切断できることが確認された。
実施例1で調製した野生型SpCas9及び変異型SpCas9(WT、m43)及び実施例1と同様にして調製した下記の変異型SpCas9を用いて実施例1と同様にしてプラスミドDNA切断活性測定試験を行った。切断実験は、経時的(0、0.5、1、2、5分)に行った。結果を図5に示す。m43においてWTに匹敵する切断活性の立ち上がりが確認された。
変異型SpCas9遺伝子(R1335A/G1218R/T1337R/L1111R/A1322R/D1135V)の塩基配列:m25の塩基配列(配列番号12)に対し、3403−3405位のgacがgttに変換した塩基配列。
本出願は、日本で出願された特願2017−108556(出願日:2017年5月31日)を基礎としておりその内容は本明細書に全て包含されるものである。
Claims (10)
- 配列番号1で表されるアミノ酸配列において、1335位、1219位、1322位、1111位、1135位、1218位及び1337位に変異を有するアミノ酸配列を含む配列からなり、且つ、ガイドRNAとの結合能を有するタンパク質であって、
1335位の変異がアルギニンのバリンへの置換であり;
1219位の変異がグルタミン酸のフェニルアラニンへの置換であり;
1322位の変異がアラニンのアルギニンへの置換であり;
1111位の変異がロイシンのアルギニンへの置換であり;
1135位の変異がアスパラギン酸のバリンへの置換であり;
1218位の変異がグリシンのアルギニンへの置換であり;
1337位の変異がスレオニンのアルギニンへの置換である、
タンパク質。 - RNA誘導性DNAエンドヌクレアーゼ活性を有する、請求項1に記載のタンパク質。
- さらに、配列番号1で表されるアミノ酸配列において、ヌクレアーゼ活性を一部あるいは全部を欠失する変異を有する、請求項1に記載のタンパク質。
- ヌクレアーゼ活性を一部あるいは全部欠失する変異が、配列番号1で表されるアミノ酸配列における、(i)10位、762位、839位、983位及び986位からなる群より選択される少なくとも1つの位置又はそれに相当する位置、及び/又は(ii)840位及び863位からなる群より選択される位置又はそれに相当する位置における変異である、請求項3に記載のタンパク質。
- 10位のアスパラギン酸がアラニン又はアスパラギンに置換し;又は
840位のヒスチジンがアラニン、アスパラギン又はチロシンに置換している、請求項4に記載のタンパク質。 - 転写制御因子タンパク質又はドメインを連結した、請求項3〜5のいずれか1項に記載のタンパク質。
- 転写制御因子が転写活性化因子である、請求項6記載のタンパク質。
- 転写制御因子が転写サイレンサー又は転写抑制因子である、請求項6記載のタンパク質。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のタンパク質をコードする核酸。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のタンパク質と、標的二本鎖ポリヌクレオチド中のPAM(Proto-spacer Adjacent Motif)配列の1塩基上流から20塩基以上24塩基以下上流までの塩基配列に相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドを含むガイドRNAと、を備えるタンパク質−RNA複合体。
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