JP6628362B2 - アルカリシリカ反応の判定方法及びアルカリシリカ反応で生成したアルカリシリカゲルの定量方法 - Google Patents

アルカリシリカ反応の判定方法及びアルカリシリカ反応で生成したアルカリシリカゲルの定量方法 Download PDF

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Description

本発明は、アルカリシリカ反応の判定方法及びアルカリシリカ反応で生成したアルカリシリカゲルの定量方法に関する。
コンクリート構造物の維持管理では、コンクリートの劣化原因を明らかにしながら効果的な対策をおこなう必要がある。コンクリートの劣化原因であるアルカリ骨材反応の存否については、コンクリート構造物から採取したコンクリートを用いて、骨材に生じたアルカリシリカ反応(以下、ASR。)の痕跡としての反応性リムの確認および骨材から生じたひび割れの確認などの間接的な状態の把握、走査型電子顕微鏡観察とEDSを用いたゲル状物質の化学組成分析によりゲル状物質がアルカリシリカゲルであるか否かを確認する手法や、コンクリート構造物から採取したコンクリートの膨張率と水酸化アルカリ濃度との相関関係に従って、ASRを生起したコンクリート構造物の劣化進行を予測する手法が取られている(特許文献1)。
しかし、分析試料の作製や観察自体に高度な技術や技能が必要であり、コンクリートの劣化原因判定においては、ASRによる劣化の可能性が高い場合であっても、確実な判定にまで至らない場合が多く、アルカリシリカ反応によって生成したゲル(以下、ASRゲル。)をミクロ的に捉えられても全体的な分布や量までの把握ができない。そこで、精密機器等を要しない、簡便で確実なASR判定手法の開発が望まれている。
一方、酢酸ウラニル溶液をコンクリートに塗布し、暗室で紫外線を照射することにより、発光するASRゲルの存在を確認する手法を発展させて、コンクリートのASRについて、ウラン濃度約0.0005%から約0.00075%の希釈酢酸ウラニル溶液を試料コンクリート断面に塗布した後、約5分から約30分放置し、反応時間経過後に紫外線を照射し蛍光反応の発光の有無を判定し、発光が有る場合にASRゲルが存在するとして、ASRの存否を判定する手法が開示される(特許文献2)
特開2001−099833号公報 特開2012−078204号公報
しかし、所定濃度の希釈酢酸ウラニル溶液を試料コンクリート断面に塗布した後、約30分放置しても、蛍光反応が完結しない場合があることが判明した。前記のASR存否判定手法は、ASR存否の判定の目安には有用であるが、ASRゲルの定量的な解析には充分な処理時間でなかった。また、希釈酢酸ウラニル溶液は、ASRによる膨張に起因しないセメントマトリックス中へ骨材から流れ出たASRゲルとも反応するので、膨張に寄与しないASRゲルも観察される可能性があり、ASR膨張に寄与するASRゲルを確実に特定できなかった。
そこで、本発明は、ASRゲル生成の精度の高い判定方法と、ASRによる構造部材の膨張が判定できるASRゲルの定量方法を提供することを課題とするものである。
尚、ここで、ASRゲルとは、反応性鉱物(反応性シリカ鉱物)を含む骨材がコンクリート中のアルカリ水溶液と反応して生成するものである。骨材中に生成したASRゲルが、吸水・膨張することにより、コンクリートに異常膨張やひび割れを発生させ、コンクリート構造物の劣化現象を誘発する原因となる。
発明者らは、鋭意検討の結果、次発明を提供するものである。
[1]コンクリート試験体を切断し、切断面にASRゲルを染み出させる湿潤保管の後、水溶性ウラン含有溶液を塗布して、30分を越え120分以下のイオン交換反応時間を確保したのち、その蛍光発色の有無をもって確認することを特徴とするコンクリート試験体中のASRゲルの判定方法を、提供する。
[2]前記ASRゲルを染み出させる湿潤保管が相対湿度95%以上の環境下で1日以上10日以下であることを特徴とする[1]の判定方法を、提供する。
[3]コンクリート試験体を切断し、相対湿度95%以上の環境下で3日以上10日以下の湿潤保管で、切断面にASRゲルを染み出させた後、水溶性ウラン含有溶液を塗布して、30分を越え120分以下のイオン交換反応時間を確保したのち、ASRゲルを染み出させた切断面の画像を取得し、ASRゲルの発色部の面積値の全体面積値との比をASRゲル量とするASRゲルの定量方法を、提供する。
[4]前記切断時に切断面を水で洗浄し、骨材からのASRゲル以外のASRゲルのすくなくとも一部を除去することを特徴とする[1]〜[2]記載の判定方法、提供する。
[5]前記切断時に切断面を水で洗浄し、骨材からのASRゲル以外のASRゲルのすくなくとも一部を除去することを特徴とする[3]記載の定量方法を、提供する。
ASRの判定とASRゲルの定量の、前処理
先ず、コンクリート試験体をコンクリートカッター等で切断する。コンクリート試験体は、実構造物のコンクリートからコア等を採取したものでも、コンクリートがASRを生じるか否かを確認するために試験室で作製したものでもよい。
切断面には、コンクリートの膨張を生起しないセメントペースト中のASRゲルが残存するので、膨張に寄与する骨材中のASRゲルと区別して、特定するため、切断面にASRゲルを骨材から染み出させる湿潤保管を行なう。充分なASRゲル染み出しを待って、ASRゲル検出を行う。湿潤保管後、切断面に水溶性ウラン含有溶液を塗布して、ASRゲルとの充分なイオン交換反応時間を確保したのち、紫外線を照射し、その蛍光発色の有無をもってASRゲルを確認する。イオン交換反応には、30分を越え120分以下程度の時間が好ましい。30分以下では、充分な蛍光反応率が得られない。120分以上放置しても蛍光反応率が飽和に達し、またセメント成分とASRゲルとが反応し発色が低下することがある。このとき、発色があれば、コンクリート試験体中のASRゲルがあると判定することとなる。
水溶性ウラン溶液の塗布
塗布とは、溶液を切断面に、均質に広がった状態を維持して、接触させることをいう。塗布の方法は特に限定されるものではないが、刷毛塗りやスプレーを用いることができる。好ましくは、スポイトで切断面に水溶性ウラン含有溶液を滴下し、水溶性ウラン含有溶液を均質に切断面に広げ、かつ、その後のイオン交換反応時間中の乾燥抑制のためにプラスチックフィルムや板を切断面の上に載せると反応がより効果的に進む。なお、刷毛塗りの場合は表面のASRゲルをこすり定量性が得られないことがあり、スプレーは、水溶性ウラン含有溶液を吸引したりする危険性がある。塗布量は、切断面が十分に水溶性ウラン含有溶液で覆われれば良いが、切断面の断面積あたり0.01〜0.1ml/cmがよりイオン交換反応による発色に効果的で水溶性ウラン含有溶液の無駄が無く、ほぼコンクリート切断面を覆うことができる。
水溶性ウラン含有溶液
本発明で用いる水溶性ウラン含有溶液は、水酸化物ウラニル炭酸ウラニル、硝酸ウラニル、硫酸ウラニル、酢酸ウラニルのような各種カルボン酸ウラニル、フッ化ウラニル、塩化ウラニル、ホスフィンオキシドウラニルやリン酸ウラニルなど、水溶性であれば使用可能であり、また、濃度は特に限定されるものではない。
前記ASRゲルを充分に染み出させる湿潤保管は、相対湿度95%以上の環境下で、判定のみの場合、切断後1日から10日以下が好ましい。判定が確実に行われるためには、切断直後から1日の経過が好ましいからである。定量のときは、1日以上10日以下で、より好ましくは3日以上7日以下の湿潤保管期間であることが好ましい。切断後3日以上で、骨材の種類が異なった場合もASRゲルの染み出しが確保できるからである。相対湿度は95%以上、温度は、10〜50℃程度が好ましい。相対湿度95%未満、又は温度10℃未満では、染み出しに時間を要し、また、温度が50℃を超えるとASR反応を促進させ新たなASRゲルが生成してしまう。骨材の種別により湿潤保管によるASRゲルの染み出しに差異があるが、この条件で確実に膨張に寄与する骨材中のASRゲルを検出でき、これら湿潤保管条件を外れると、正確な定量が可能なASRゲル検出が期待できない。
前記ASRゲルの判定において、ASRゲルを充分染み出させた切断面の画像を取得し、ASRゲルの発色部の面積値の全体面積値との比をASRゲル検出量としてASRゲルの定量が可能である。画像取得には、紫外線照射下で、デジタルカメラ、スキャナー等を用いることができる。このとき、カラー画像で、ASRゲルと水溶性ウラン含有溶液との反応によって発色する固有な色調領域を撮像できる。また、カラー画像とすることで、撮影条件によって差異を生じる全体の明度の影響やコンクリート試験体そのものが持つ色の影響を排除し、発色部と非発色部との区別を明瞭とするために、この部分の面積を画像処理にて測定できることが好ましい。
前記切断時には、すでに、コンクリートの膨張を生起しないセメントペースト中のASRゲルが存在しているので、コンクリート膨張を生起させる、正確なASRゲル検出とASRゲル量の測定のために、切断面を超音波洗浄等の水洗浄により、セメントマトリック中のASRゲル(骨材中のASRゲル以外のゲル)を除去することが好ましい。これにより、研磨材も同時に除去することが可能となる。超音波洗浄の時間は10秒から3分で除去できる。また、水洗浄に替えて、水を使用しながらの切断や、切断後に水を使用した研磨をおこなうことも好ましい。
本発明は、ASRゲル生成の精度の高い判定が可能となり、反応性骨材の種別を問わず、ASRによる構造部材の膨張率が推定可能なASRゲルの定量が可能となる。
湿式研磨の日からの経過日数と、撮影されたASRゲルの染み出し状況の変化の様子を例示した図である。 図1に示した撮影画像から画像解析ソフトを用いてコンクリート断面上に染み出したASRゲルを定量し、関数形で回帰を行い、ASRゲルの滲出面積の収束値を100%としたときの割合として整理して示した図である。 ASR蛍光試薬を塗布してからのコンクリート断面上におけるASRゲルの蛍光反応の時間変化による発色状態を例示した図である。 図3に示した図からコンクリート断面上におけるASRゲルの蛍光反応の変化の時間変化を数値化して示した図である。 (左)撮影画像から得られる色相(Hue)・彩度(Saturation)・明度(Brightness)のHSBヒストグラム例を示した図である。(右)ASRゲル面積の同定に用いたしきい値の一例を示す図である。 図5(右)に示したしきい値で分離した画像解析例(オリジナル ASRゲル)を示す図である。 図5(右)に示したしきい値で分離した画像解析例(骨材 セメントペースト)を示す図である。 画像解析方法から得られたASRゲルの面積とコンクリート試験体の膨張量との関係を示す図である。
用いたコンクリート試験体について
コンクリート試験体は、ASR反応性骨材を用いて室内で製作したコンクリートである。ASR反応性骨材は2種類とし、粗骨材(T)は、ASRの反応性鉱物としてカルセドニーや隠微晶質石英を含む珪質堆積岩であり、粗骨材(N)は、ASRの反応性鉱物としてオパールを含む安山岩である。これらASR反応性骨材は粗骨材として用いているが、粗骨材(N)は、ペシマム現象を示すため、試験体で用いる粗骨材(N)を30体積%、非反応性の石灰岩を粗骨材(L)を70体積%とする試験体も用いた。細骨材は、非反応性の石灰岩を砕いた石灰石骨材とした。
コンクリート試験体のアルカリ総量
コンクリートのアルカリ総量(NaO換算)は、2.00〜5.50kg/mに設定した。設定したアルカリ総量から、セメントからもたらされるアルカリ量を減じ、不足するアルカリ量を試薬グレードのNaOHを上水道水に溶解してコンクリート製作時に混合した。
コンクリート試験体の配合
コンクリート配合は、水セメント比50%、単位水量160kg/m、細骨材率45%とした。前記アルカリ総量となるようしてコンクリートを練混ぜ、75×75×250mm、または100×100×400mmの角柱(以下、角柱試験体)に成形した。なお、セメントは普通ポルトランドセメント(アルカリ量0.61質量%(NaO換算))を用いた。
促進養生条件
ASRは常温環境では反応に時間を要するため促進養生を行った。成形したコンクリートは、20℃湿空条件に置いて材齢1日で脱枠し、試験体からの促進養生期間中のアルカリ溶脱を避けるため、NaOH水溶液を含浸させた不織布を用いて試験体を包み、さらに、プラスチックフィルムで周囲を巻いて乾燥を防ぎ、相対湿度95%以上、20℃、40℃および60℃環境下でASRを促進させた。促進養生期間中に適宜、試験体の長さを、コンパレータを用いて測定し、材齢1日を基長として膨張率を算出した。なお、NaOH水溶液の濃度は、アルカリ総量が5.50kg/mの時は1.33mol/リットルとし、その他試験体のアルカリ総量は、設定したアルカリ総量に比例させた濃度とした。これにより、コンクリートのアルカリ総量は促進養生期間中に系外に溶脱することなく保たれる。
水溶性ウラン含有溶液
本実施の形態で用いた水溶性ウラン含有溶液は、市販されている硝酸ウラニン標準液(ICP汎用混合液:2%HNO3(硝酸)溶液、29元素含有、0.0017%のU(ウラン)を含む)をNaOHにより中和後、酢酸を少量加え、低濃度の酢酸とウランを含む溶液で希釈した希釈酢酸ウラニル溶液である。希釈酢酸ウラニル溶液は、多元素(29元素)が含まれた調合された溶液であり、この溶液からウランを抽出することは困難であると判断できるため、使用量に関らず国際規制物質とはならない。
ASRゲルの観察方法
ASRの促進養生後の角柱試験体から軸直角方向に厚さ約2cmに水による湿式切断を行い、切り出した断面を水と研磨粉(粒度#800)で湿式研磨し、さらに超音波洗浄を1分間行った。研磨後のプレート上の試験体を湿度95%の湿潤環境に保たれた密閉容器に保管し、1日から2日に一度、試験体の断面観察をした。
水溶性ウラン含有溶液の塗布
試験体断面に水溶性ウラン含有溶液を塗布した。塗布は、断面を濡らすのに十分な量としてスポイトで1から3mlをたらし、断面より大きなポリエチレン製フィルムを上から静かに載せて、断面上に試薬が均質に広がった状態(塗布状態)を維持した後、フィルムを取り外し,暗室内で波長254nmの紫外線光源(UV−C)で照らした状態で、切断面上でイオン交換したASRゲルの緑色の蛍光を観察し、高性能デジタルカメラを用いて撮影を行った。
ASRゲルの染み出し速度 と湿潤保管期間
コンクリート試験体を用いた例において、切断、湿式研磨の日からの経過日数と、撮影されたASRゲルの染み出し状況の変化例の様子を図1に示す。また、図1に示した撮影画像から画像解析ソフトを用いてコンクリート断面上に染み出したASRゲルを定量し、1次の反応速度式を基にした関数形で回帰を行い、ASRゲルの滲出面積の収束値を100%としたときの割合として整理したものを図2に示す。なお、コンクリート試験体は粗骨材(N)を30体積%とし、作製時の試験体サイズは100×100×400mmの角柱で不織布は用いていないものとし、促進養生期間は60℃26週であり、水溶性ウラン含有溶液の塗布後40分の放置時間としたものである。
図1、図2に示されるように、コンクリート断面上に染み出るASRゲルを観察により検知するためには、湿潤保管の過程での期間(湿潤保管期間)として、湿式研磨から1日以上経過するのを待つ必要がある。骨材(T)を用いたコンクリート試験体でも同様であった。
更に、試験体間でASRゲルの量を定量的に把握するためには、湿潤保管期間が3日以上経過するのを待つ必要がある。骨材の異なる試験体間で、ASRゲルの染み出し速度が若干異なり、湿潤保管期間を長めとして、ゲルの染み出しが充分行われた時点での比較で正確な定量が可能となる。
ASRゲルの蛍光反応率変化
水溶性ウラン含有溶液を塗布してからのコンクリート断面上におけるASRゲルの蛍光反応の時間変化による発色状態の例を図3に例示し、蛍光反応率の時間変化を数値化したものを図4に例示する。
具体的には、用いたコンクリート試験体は、粗骨材(N)を100%使用し、試験体サイズは100×100×400mmの角柱とし、促進養生期間は60℃26週で、その他の条件は前述のコンクリート試験体に記載した通りである。促進養生期間終了後に、厚さ約2cmに水による湿式切断を行い、切り出した断面を水と研磨粉(粒度#800)で湿式研磨を行った。湿式研磨後、速やかに研磨面を霧吹きで水を吹きかけ、その面にアクリル板を当てた状態で、試験片とアクリル板をPVDCフィルムで密封し、1週間静置しASRゲルを染み出させた。1週間経過後、PVDCフィルムとアクリル板を取り外し、直後に水溶性ウラン含有溶液を切断面に塗布して20℃の恒温室に置かれた暗箱内に静置し、継時的にASRゲルの観察を行った。コンクリート断面上におけるASRゲルの蛍光反応の塗布からの時間経過による発色状態をデジタルカメラで撮影したものが図3であり、ASRゲルの発色面積をt=無限大の時を100%として、各時間における発色面積の割合を蛍光反応率として数値化して表したものが図4となる。図3で示されるように、約30分放置しても蛍光反応による発色が完結しない場合があることが分かり、図4に示されるように、確実にASRゲルを確認できると考えられる蛍光反応率が95%以上に到達するには30分を超える反応時間が必要である。
画像解析法
撮影画像から水溶性ウラン含有溶液との反応によって蛍光発色するASRゲルの面積を同定する画像解析方法の例を示す。用いたコンクリート試験体は、粗骨材(T)を100%使用し、試験体サイズは75×75×250mmの角柱とし、促進養生期間は60℃46週で、その他の条件は前述のコンクリート試験体に記載した通りである。
図5(左)に撮影画像から得られる色相(Hue)・彩度(Saturation)・明度(Brightness)のHSBヒストグラム例を示し、図5(右)にASRゲル面積の同定に用いたしきい値を示す。なお、彩度については、しきい値を設定しなかった。図5(右)に示したしきい値で分離した画像解析例を図6、図7に示す。画像中の赤色部分がしきい値の設定により抽出された部分である。図6、図7に示されるように、デジタルカメラで取得したオリジナル画像と比較してみると、適切にASRゲル、表面にASRゲルが付着していない骨材、表面にASRゲルが付着していないセメントペーストを分離できていることが確認できる。
試験体の評価結果(表1に示すN30,T100試験体の総合評価)
前述した湿潤環境保管、試薬塗布時間、画像解析方法から得られたASRゲルの面積とコンクリート試験体の膨張量との関係を図8に示す。コンクリート試験体は、ASR促進試験終了後の試験体である。試験体名と促進条件、膨張率(%長さ)と、画像解析法によってASRゲルが蛍光発色した部分を総面積として積算し、測定した断面積で除した蛍光面積(%領域)を表1に示す。
試験体の凡例は、骨材種類(TもしくはN)粗骨材中の割合(%)−促進温度(℃)−アルカリ総量(0.01kg/m)であり、T100−60−550は、T骨材を粗骨材の100%使用し、60℃の条件で促進養生し、アルカリ総量を5.50kg/mとしたものである。試験体は、75×75×250mmであり、促進養生は、表1に示す20℃、40℃、60℃の3種類の温度条件にて行った。促進期間は46週であり、46週での膨張率を表1に合わせて示した。
図8に示されるように、蛍光面積(%領域)と膨張率(%長さ)には正の線形相関が得られることがわかる。これらは、骨材種類、アルカリ総量および促進養生温度が異なるコンクリート試験体で、これらの条件の違いによりASRによる膨張率が異なる、すなわちASR劣化が異なるコンクリートであるが、蛍光面積の測定値から、骨材種(T、N等)、配合や温度などのコンクリートが置かれた環境条件によらず、ASRゲルによる膨張率の推定が可能となった。

Claims (5)

  1. コンクリート試験体を切断し、切断面にコンクリートの膨張に寄与する骨材中のASRゲルを染み出させる湿潤保管期間の過程の後、水溶性ウラン含有溶液を塗布して、30分を越え120分以下のイオン交換反応時間を確保したのち、その蛍光発色の有無をもって確認することを特徴とするコンクリート試験体中のASRゲルの判定方法。
  2. コンクリート試験体を切断し、切断面にASRゲルを染み出させる湿潤保管が相対湿度95%以上の環境下で1日以上10日以下の湿潤保管期間の過程の後、水溶性ウラン含有溶液を塗布して、30分を越え120分以下のイオン交換反応時間を確保したのち、その蛍光発色の有無をもって確認することを特徴とするコンクリート試験体中のASRゲルの判定方法。
  3. コンクリート試験体を切断し、相対湿度95%以上の環境下で3日以上10日以下の湿潤保管期間の過程で、切断面にASRゲルを染み出させた後、水溶性ウラン含有溶液を塗布して、30分を越え120分以下のイオン交換反応時間を確保したのち、ASRゲルを染み出させた切断面の画像を取得し、ASRゲルの発色部の面積値の全体面積値との比をASRゲル量とするASRゲルの定量方法。
  4. 前記切断時に切断面を水で洗浄し、骨材からのASRゲル以外のASRゲルのすくなくとも一部を除去することを特徴とする請求項1、請求項2記載の判定方法。
  5. 前記切断時に切断面を水で洗浄し、骨材からのASRゲル以外のASRゲルのすくなくとも一部を除去することを特徴とする請求項3記載の定量方法。
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