JP6628029B2 - レーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物及びその成形品に関する。
樹脂は技術の発展に伴って、車両用部品、家電部品、各種工業用材料など、近年益々その適用分野を拡大している。樹脂の接合に関する二次加工技術も、その拡大に寄与する技術の一つである。
樹脂の接合としては、例えばネジやボルトなどによる機械的接合、ホットメルトなど接着剤による接合、熱板溶着に代表される、熱を与えて溶融させることによる熱接合、接合部を振動させることにより発生する摩擦熱を利用した振動溶着、接合部にレーザー光を照射しその部位の吸収発熱を利用したレーザー溶着などが挙げられる。加工工程の削減や軽量化、環境負荷の低減などの観点から、最近では熱板溶着、振動溶着、レーザー溶着が、その有用性を高めている。
レーザー溶着では、通常、レーザー光を透過する「透過材」と、レーザー光を吸収する「吸収材」との2つの材料を接合する。透過材側から材料接触界面に非接触で照射されたレーザー光は、そのまま透過材を透過して吸収材表面に到達する。吸収材表面で吸収された光エネルギーは熱に変換され、照射部位を溶融する。また、その溶融熱は透過材にも熱伝達し、透過材も溶融される。その後、溶融部位が冷却とともに固化、融着される。このような工程を経てレーザー溶着された樹脂接合体は、強度や気密性、外観(バリ発生が無いなど)に優れるほか、作業環境、内蔵部品へのダメージなどの観点からも非常に良好であるという特長を有している。
しかし、レーザー光の照射が強すぎると樹脂の発熱量が増大するため、発泡や焦げ、変色などの外観不良を引き起こす原因となる。一方、レーザー光の照射が弱すぎると接合強度が低下、場合によっては十分に溶着しないといった不具合が起こりうる。このため、レーザー溶着を行う上で樹脂の発熱量を適切な範囲に制御することは非常に重要である。
樹脂の発熱量を制御する方法としては、樹脂へのレーザー光の吸収を制御する手法が考えられる。そのような技術として、例えば特許文献1には、レーザー吸収性物質として芳香環を有するホスホン酸銅と、樹脂とを含有する樹脂組成物が開示されている。
特許文献1に記載の樹脂組成物は、ホスホン酸銅が淡色であり、しかもホスホン酸銅の添加量が少量であるため、色調変化を出来るだけ抑えたままレーザー光の吸収量を上げることが可能である。しかし、この方法では元々吸収量の大きい樹脂には適用が困難である。
ところで、熱可塑性樹脂より得られる成形品は、通常、顔料によって着色された状態(着色成形品)で利用されることが多く、製品意匠性の観点からその色調は非常に重要視される。車両用部品などにおいても色調の重要性は高いが、中でもそのデザインが市場で好まれることから、黒色に対する要求は年々高くなる傾向にある。黒色の着色剤として代表的なカーボンブラックはレーザー光の吸収性が高いため、発熱量を増大して樹脂を溶融させることにおいては効率がよい。
しかし、カーボンブラックの添加量が増え過ぎると発熱量が過剰になるため、上述したように、レーザー光を照射すると焦げや変色などの外観不良を引き起こす原因となる。つまり、深い黒味を出すためにカーボンブラックの添加量を増やすと、逆にレーザー溶着後の外観は低下してしまう。よって、色調(特に黒味)とレーザー溶着後の外観を両立させることは非常に困難である。
特許文献2には、Mnを含まない金属酸化物を配合したレーザー溶着用熱可塑性樹脂が開示されている。特許文献2に記載レーザー溶着用熱可塑性樹脂は、主にレーザー光の透過材として用いられるものであり、透過性とダーク系の無彩色という色調に特徴がある。そのため、より深い黒味とレーザー光の吸収を制御する観点においては技術的に問題がある。
特許文献3には、ポリプロピレン系樹脂に酸化チタンとカーボンブラックを配合したレーザー光溶着用プロピレン系樹脂組成物が開示されている。
しかし、特許文献3の場合、一般的に白着色剤として使用される酸化チタンを用いるため、得られる成形品の黒味が低下するという問題がある。特に特許文献3では、含有比率として酸化チタンがカーボンブラックの10倍以上配合されることを推奨しているため、より深い黒味を出すという観点においては適用困難な技術である。
特開2005−290087号公報 特開2007−23263号公報 特開2011−116933号公報
本発明は、色調とレーザー溶着後の外観に優れ、かつ樹脂部材として十分な耐衝撃性を有する成形品を得ることができる熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。また、色調とレーザー溶着後の外観に優れ、かつ樹脂部材として十分な耐衝撃性を有する成形品を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、ゴム含有グラフト共重合体を含む熱可塑性樹脂組成物に、特定量のカーボンブラック及び特定量の赤外反射能を有する顔料を配合することによって上記の課題を解消できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を包含する。
[1] 熱可塑性樹脂成分(A)と、前記熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対して、カーボンブラック(B)を0.2〜1.5質量部と、赤外反射能を有する顔料(C)を0.2〜5質量部とを含有するレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物であって、前記カーボンブラック(B)の含有量をx質量部とし、前記顔料(C)の含有量をy質量部としたときに、0.5≦y/x≦10を満たし、かつ、前記熱可塑性樹脂成分(A)は、ゴム状重合体(d1)にビニル系重合体(d2)がグラフトされたグラフト共重合体(D)を含む、レーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物。
[2] 前記レーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物を2mmの厚さに成形した試験片に、波長920nmのレーザー光を照射したときの反射率が5〜7%である、[1]に記載のレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物。
[3] 前記ゴム状重合体(d1)が、アクリル系ゴム状重合体を含むことを特徴とする、[1]または[2]に記載のレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物。
[4] [1]〜[3]のいずれか1つに記載のレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物を成形した、成形品。
本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、色調とレーザー溶着後の外観に優れ、かつ樹脂部材として十分な耐衝撃性を有する成形品を得ることができる。
本発明の成形品は、色調とレーザー溶着後の外観に優れ、かつ樹脂部材として十分な耐衝撃性を有する。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、以下の説明において、「成形品」とは、本発明のレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物を成形してなるものである。また、以下の説明において特に断りがない限り、「色調が優れる」とは、成形品の黒味が深い(濃い)ことを意味する。また、「溶着外観が優れる」とは、レーザー溶着後の接合部において焦げや変色が抑制されていることを意味する。
「レーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物」
本発明のレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物(以下、単に「熱可塑性樹脂組成物」ともいう。)は、熱可塑性樹脂成分(A)と、カーボンブラック(B)と、赤外反射能を有する顔料(C)とを含有する。
<熱可塑性樹脂成分(A)>
熱可塑性樹脂成分(A)は、ゴム状重合体(d1)にビニル系重合体(d2)がグラフトされたグラフト共重合体(D)を含む。
(グラフト共重合体(D))
グラフト共重合体(D)を構成するゴム状重合体(d1)としては特に制限されないが、例えばポリブタジエン、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル/ブタジエン共重合体等のブタジエン系ゴム状重合体;スチレン/イソプレン共重合体等の共役ジエン系ゴム状重合体;ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム状重合体;エチレン/プロピレン共重合体等のオレフィン系ゴム状重合体;ポリオルガノシロキサン等のシリコーン系ゴム状重合体などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、これらゴム状重合体は、モノマーから使用することができ、ゴム状重合体の構造は複合ゴム構造やコア/シェル構造をとってもよい。
上述したゴム状重合体の中でも、得られる成形品の耐候性が良好である点から、アクリル系ゴム状重合体、オレフィン系ゴム状重合体、シリコーン系ゴム状重合体、及びそれらの複合ゴム状重合体が好ましく、アクリル系ゴム状重合体がより好ましい。
アクリル系ゴム状重合体は、(メタ)アクリル酸エステルに由来する単位と、架橋剤に由来する単位及びグラフト交叉剤に由来する単位のいずれか一方または両方を有する共重合体であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルとしては、アルキル基の炭素数が1〜12である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、芳香族炭化水素基(フェニル基、ベンジル基等)を有するアクリル酸エステルなどが挙げられ、成形品の耐衝撃性の点から、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸エチルが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
架橋剤としては、ジメタクリレート系化合物、具体例には、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレートなどが挙げられる。
グラフト交叉剤としては、アリル化合物、具体的には、メタクリル酸アリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリルなどが挙げられる。
アクリル系ゴム状重合体の製造方法は、特に制限されない。例えば、(メタ)アクリル酸エステルと、架橋剤及びグラフト交叉剤のいずれか一方または両方とを含む単量体混合物を乳化重合してアクリル系ゴム状重合体の水性分散体を得る方法;該アクリル系ゴム状重合体の水性分散体と他のゴム成分の水性分散体とをヘテロ凝集または共肥大化する方法;アクリル系ゴム状重合体の水性分散体または他のゴム成分水性分散体のいずれか一方の存在下で他方を構成する単量体混合物を重合させて複合化させる方法等が挙げられる。
ゴム状重合体(d1)のゲル含有量は、50〜99質量%が好ましく、60〜95質量%がより好ましく、70〜85質量%が特に好ましい。ゲル含有量が上記範囲内であれば、成形品の耐衝撃性がより良好となる。
ゴム状重合体(d1)のゲル含有量は、以下のようにして測定できる。
秤量したゴム状重合体(d1)を、適当な溶剤に室温(23℃)で20時間かけて溶解させる。次いで遠心分離し、上澄みをデカンテーションして残存した不溶分を60℃で24時間乾燥した後、秤量する。最初に秤量したゴム状重合体(d1)に対する不溶分の割合(質量%)を求め、これをゴム状重合体(d1)のゲル含有量とする。
ゴム状重合体(d1)の溶解に用いる溶剤としては、例えばトルエン、アセトンなどが挙げられる。
ゴム状重合体(d1)の平均粒子径は特に制限されないが、0.1〜1μmが好ましく、0.2〜0.5μmがより好ましい。平均粒子径が上記範囲内であれば、成形品の耐衝撃性がより向上する。
ゴム状重合体(d1)の平均粒子径は、粒度分布測定器を用いて体積基準の粒子径分布を測定し、得られた粒子径分布より算出することができる。
グラフト共重合体(D)は、種々のビニル系単量体を重合することによって得られるビニル系重合体(d2)が、上記ゴム状重合体(d1)にグラフトされた形態を有している。
ビニル系単量体としては特に制限されないが、例えば芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、シアン化ビニル化合物などが挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチルなどが挙げられる。
シアン化ビニル化合物としては、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。
これらのビニル系単量体は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述したビニル系単量体の中でも、成形品の耐衝撃性がより向上することから、スチレンとアクリロニトリルとを併用することが好ましい。
グラフト共重合体(D)は、ゴム状重合体(d1)にビニル系重合体(d2)をグラフト重合して得られる。
グラフト重合を行う方法としては特に制限されないが、反応が安定して進行するように制御可能であることから乳化重合が好ましい。具体的には、ゴム状重合体(d1)にビニル系単量体を一括して仕込んだ後に重合する方法;ゴム状重合体(d1)にビニル系単量体の一部を先に仕込み、随時重合させながら残りを重合系に滴下する方法;ゴム状重合体(d1)にビニル系単量体の全量を滴下しながら随時重合する方法などが挙げられ、これらを1段ないしは2段以上に分けて行うことができる。また、各段におけるビニル系単量体の種類や組成比を変えて行うことも可能である。
ゴム状重合体(d1)とビニル系重合体(d2)の質量比は特に制限されないが、ゴム状重合体(d1)を10〜80質量%、ビニル系重合体(d2)を20〜90質量%とすることが好ましく、ゴム状重合体(d1)を30〜70質量%、ビニル系重合体(d2)を30〜70質量%とすることがより好ましい(ただし、ゴム状重合体(d1)とビニル系重合体(d2)の合計を100質量%とする。)。かかる質量比でグラフト重合すると、成形品の耐衝撃性がより優れたものとなる傾向にある。
グラフト重合には、通常、ラジカル重合開始剤及び乳化剤を用いる。
ラジカル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開始剤、酸化剤と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤などが挙げられる。これらの中では、レドックス系開始剤が好ましく、特に硫酸第一鉄と、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩と、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートと、ハイドロパーオキサイドとを組み合わせたスルホキシレート系開始剤が好ましい。
また、ラジカル重合を行う際には、得られるグラフト共重合体(D)の分子量やグラフト率を制御するため、各種公知の連鎖移動剤を添加してもよい。
乳化剤としては特に制限されないが、ラジカル重合時のラテックスの安定性に優れ、重合率を高められることから、サルコシン酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、脂肪酸ナトリウム、アルケニルコハク酸ジカリウム、ロジン酸石鹸等の各種カルボン酸塩が挙げられる。これらの中では、得られるグラフト共重合体(D)及びこれを含む熱可塑性樹脂成分(A)を高温成形した際にガスの発生を抑制できることから、アルケニルコハク酸ジカリウムが好ましい。
グラフト共重合体(D)は、通常、ラテックスの状態で得られる。グラフト共重合体(D)のラテックスからグラフト共重合体(D)を回収する方法としては、例えばグラフト共重合体(D)のラテックスを、凝固剤を溶解させた熱水中に投入することによってスラリー状に凝析する湿式法;加熱雰囲気中にグラフト共重合体(D)のラテックスを噴霧することによって半直接的にグラフト共重合体(D)を回収するスプレードライ法などが挙げられる。
湿式法に用いる凝固剤としては、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸等の無機酸;塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の金属塩などが挙げられ、重合で用いた乳化剤に応じて選定される。例えば、乳化剤として脂肪酸石鹸やロジン酸石鹸等のカルボン酸石鹸のみが使用されている場合には、上述した凝固剤の1種以上を用いることができる。また、乳化剤としてアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の酸性領域でも安定な乳化力を示す乳化剤を使用した場合には、凝固剤としては金属塩が好適である。
湿式法を用いると、スラリー状のグラフト共重合体(D)が得られる。このスラリー状のグラフト共重合体(D)から乾燥状態のグラフト共重合体(D)を得る方法としては、まず残存する乳化剤残渣を水中に溶出させて洗浄し、次いで、このスラリーを遠心またはプレス脱水機等で脱水した後に気流乾燥機等で乾燥する方法;圧搾脱水機や押出機等で脱水と乾燥とを同時に実施する方法などが挙げられる。かかる方法によって、粉体または粒子状の乾燥グラフト共重合体(D)が得られる。
洗浄条件としては特に制限されないが、乾燥後のグラフト共重合体(D)100質量%中に含まれる乳化剤残渣量が0.5〜2質量%の範囲となる条件で洗浄することが好ましい。グラフト共重合体(D)中の乳化剤残渣が0.5質量%以上であれば、得られるグラフト共重合体(D)及びこれを含む熱可塑性樹脂成分(A)の流動性がより向上する傾向にある。一方、グラフト共重合体(D)中の乳化剤残渣が2質量%以下であれば、熱可塑性樹脂成分(A)を高温成形した際にガスの発生を抑制できる。
なお、圧搾脱水機や押出機から排出されたグラフト共重合体(D)を回収せず、直接、熱可塑性樹脂組成物を製造する押出機や成形機に送って成形品としてもよい。
(他の樹脂)
熱可塑性樹脂成分(A)は、上述したグラフト共重合体(D)のみを含むものでもよいが、得られる熱可塑性樹脂組成物の成形性や、成形品の成形外観の観点から、グラフト共重合体(D)以外の熱可塑性樹脂(他の熱可塑性樹脂(E))をさらに含むことが好ましい。
他の熱可塑性樹脂(E)としては特に制限されないが、例えばアクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−α−メチルスチレン共重合体(αSAN樹脂)、スチレン−無水マレイン酸共重合体、アクリロニトリル−スチレン−N−置換マレイミド三元共重合体、スチレン−無水マレイン酸−N−置換マレイミド三元共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体(ASA樹脂)、アクリロニトリル−エチレン−プロピレン−ジエン−スチレン共重合体(AES樹脂)、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET樹脂)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−ブタジエン(SBR)、水素添加SBS、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)等のスチレン系エラストマー、各種オレフィン系エラストマー、各種ポリエステル系エラストマー、ポリスチレン、メチルメタクリレート−スチレン共重合体(MS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、ポリアセタール樹脂、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE樹脂)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、PPS樹脂、PES樹脂、PEEK樹脂、ポリアリレート、液晶ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン)などが挙げられる。
これら他の熱可塑性樹脂(E)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂成分(A)中のグラフト共重合体(D)の含有量は20〜60質量%であることが好ましく、他の熱可塑性樹脂(E)の含有量は40〜80質量%(ただし、グラフト共重合体(D)と他の熱可塑性樹脂(E)の合計を100質量%とする。)であることが好ましい。グラフト共重合体(D)の含有量が20質量%以上(他の熱可塑性樹脂(E)の含有量が80質量%以下)であれば、成形品の耐衝撃性がより高まる。一方、グラフト共重合体(D)の含有量が60質量%以下(他の熱可塑性樹脂(E)の含有量が40質量%以上)であれば、熱可塑性樹脂組成物が十分な成形性を有する。
<カーボンブラック(B)>
カーボンブラック(B)は、主に成形品の色調を高める、具体的には成形品の黒味を深くする成分である。
カーボンブラック(B)の含有量は、熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対して0.2〜1.5質量部であり、0.2〜1.0質量部が好ましく、0.4〜1.0質量部がより好ましい。カーボンブラックの含有量が0.2質量部未満であると、成形品の色調が劣る傾向にある。また、レーザー溶着後に十分な接合強度が得られない可能性がある。一方、カーボンブラックの含有量が1.5質量部を超えると、成形品を吸収材として用い、前記吸収材と透過材とをレーザー溶着した際に焦げや変色が発生し、溶着外観が低下する傾向にある。また、成形品の耐衝撃性が低下することもある。
<顔料(C)>
本発明に用いる顔料(C)は赤外反射能を有する。
ここで、「赤外反射能を有する」とは、800〜1200nmの波長域での反射率を増加させることを意味する。
顔料(C)としては、800〜1200nmの波長域での反射率を増加させるものであれば特に制限されないが、例えば鉄−クロム複合酸化物、鉄−亜鉛複合酸化物、鉄−ニッケル複合酸化物、鉄−クロム−コバルト複合酸化物、鉄−クロム−亜鉛複合酸化物、鉄−チタン−アルミニウム複合酸化物、クロム−チタン−アンチモン複合酸化物、チタン−アンチモン−ニッケル複合酸化物、亜鉛−コバルト−チタン−ニッケル複合酸化物、コバルト−アルミニウム複合酸化物、マンガン−ビスマス複合酸化物、マンガン−イットリウム複合酸化物、銅−マグネシウム複合酸化物等の複合酸化物などが挙げられる。
顔料(C)の含有量は、熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対して0.2〜5質量部であり、0.2〜2質量部が好ましく、0.4〜2質量部がより好ましい。顔料(C)の含有量が0.2質量部未満であると、成形品を吸収材として用い、前記吸収材と透過材とをレーザー溶着した際に焦げや変色が発生し、溶着外観が低下する傾向にある。一方、顔料(C)の含有量が5質量部を超えると、成形品の耐衝撃性が低下するほか、成形品の表面外観が著しく低下する傾向にある。
また、カーボンブラック(B)の含有量をx質量部とし、顔料(C)の含有量をy質量部としたときに、0.5≦y/x≦10、好ましくは1≦y/x≦3を満たすように、カーボンブラック(B)及び顔料(C)の含有量を決定する。y/xが0.5未満であると、成形品を吸収材として用い、前記吸収材と透過材とをレーザー溶着した際に焦げや変色が発生し溶着外観が低下する傾向にある。一方、y/xが10を超えると、レーザー溶着後に十分な接合強度が得られない傾向にある。
<任意成分>
本発明のレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物は、上述した熱可塑性樹脂成分(A)、カーボンブラック(B)及び顔料(C)の他にも、必要に応じて、本発明の効果が著しく損なわれない範囲内であれば、任意成分を含有してもよい。
任意成分としては、例えば酸化防止剤や光安定剤等の各種安定剤、滑剤、可塑剤、離型剤、染料、顔料(但し、カーボンブラック(B)及び顔料(C)を除く)、帯電防止剤、難燃剤、無機充填剤など添加剤が挙げられる。
<製造方法>
レーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂成分(A)と、カーボンブラック(B)と、顔料(C)と、必要に応じて任意成分とをV型ブレンダやヘンシェルミキサー等により混合分散させ、これにより得られた混合物をスクリュー式押出機、バンバリーミキサ、加圧ニーダ、ミキシングロール等の溶融混練機等を用いて溶融混練することにより製造される。また、必要に応じてペレタイザー等を用いて溶融混練物をペレット化してもよい。
<反射率>
本発明のレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物を2mmの厚さに成形して得られる試験片に、波長920nmのレーザー光を照射したときの反射率は、5〜7%が好ましい。反射率が5%以上であれば、レーザー光の吸収が制御され、レーザー溶着後の外観の焦げや変色がより抑制される傾向にある。一方、反射率が7%以下であれば、レーザー溶着後に十分な接合強度が得られやすくなる。
<作用効果>
以上説明した本発明のレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂成分(A)と、カーボンブラック(B)と、顔料(C)とを特定量含有するので、色調とレーザー溶着後の外観に優れ、かつ樹脂部材として十分な耐衝撃性を有した成形品を得ることができる。
本発明のレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物は、成形品とした際に、色調、特に黒味を出すという点で優れ、かつレーザー溶着後の外観に焦げや変色が抑制され、十分な接合強度を発現することが可能であり、しかも樹脂部材として十分な耐衝撃性を有している。よって、本発明のレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物は、灯具・内装・外装などの車両用部品、OA機器や家電部品、医療用器具、各種工業用材料として好適な成形品を得ることができる。
「成形品」
本発明の成形品は、上述した本発明のレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物を公知の成形方法によって成形してなるものである。
成形方法としては、例えば射出成形法、プレス成形法、押出成形法、真空成形法、ブロー成形法等が挙げられる。
本発明の成形品は、色調、特に黒味を出すという点で優れ、かつレーザー溶着後の外観に焦げや変色が抑制され、十分な接合強度を発現することが可能であり、しかも樹脂部材として十分な耐衝撃性を有する。
成形品の用途としては、灯具・内装・外装等の車両用部品、OA機器や家電部品、医療用器具、各種工業用材料などが挙げられ、車両用灯具が好適である。
本発明の成形品は、レーザー溶着により他の成形品と溶着し、樹脂接合体とすることができる。レーザー溶着する際、本発明の成形品をレーザー光を吸収する「吸収材」として用い、他の成形品をレーザー光を透過する「透過材」として用いる。
透過材の材料としては、レーザー光を透過できるものであれば特に制限されないが、例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。
本発明により得られる樹脂接合体は、接合部において焦げや変色が抑制され、外観に優れる。しかも、十分な接合強度を発現できる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の例中の「%」及び「部」は明記しない限りは質量基準である。
以下の実施例及び比較例における各種測定及び評価方法は、以下の通りである。
「測定・評価」
<反射率の測定>
4オンス射出成形機(株式会社日本製鋼所製)を用い、シリンダー設定温度260℃、金型温度60℃、射出率20g/秒の条件で、ペレット状のレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物から、長さ100mm、幅100mm、厚み2mmの板状の試験片(成形品)を作製した。次いで分光光度計(株式会社島津製作所製、「UV−3100PC」)を用い、波長920nmのレーザー光を照射し、標準白板(BaSO)の全反射率を100%としたときの試験片の全反射率を測定した。
<耐衝撃性の評価>
ISO 3167に準拠して、射出成形機(東芝機械株式会社製、「IS55FP−1.5A」)を用い、ペレット状のレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物から、試験片(成形品)を作製した。得られた試験片のシャルピー衝撃強度をISO 179に準拠して、23℃雰囲気下で測定した。
<レーザー溶着外観の評価>
4オンス射出成形機(株式会社日本製鋼所製)を用い、シリンダー設定温度260℃、金型温度60℃、射出率20g/秒の条件で、ペレット状のアクリル樹脂から、長さ100mm、幅100mm、厚み2mmの板状の試験片(成形品)を作製し、これを透過材として用いた。
一方、吸収材としては、反射率の測定に使用したものと同じ試験片を用いた。
吸収材と透過材を重ね合わせ、レーザー溶着機(ライスター社製、「NOVOLAS−C型」)を用い、下記条件でレーザー光を透過材側から照射して吸収材と溶着させ、樹脂接合体を得た。得られた樹脂接合体の接合部における溶着外観を目視で評価した。
(溶着条件)
・出力:3W
・焦点径:2mm
・走査速度:20mm/秒
・溶着長:30mm
<色調の評価>
反射率の測定に使用したものと同じ試験片を用い、測色計により色調(L)を測定した。Lが低いほど黒色となり、色調に優れる。
「グラフト共重合体(D)の製造」
<製造例1:グラフト共重合体(D−1)の製造>
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機及び攪拌装置を備えた反応器内に、ポリオルガノシロキサンラテックス(体積平均粒子径50nm)を固形分換算で2.0部と、アルケニルコハク酸ジカリウム0.8部と、イオン交換水190部とを仕込んで混合した。次いで、アクリル酸n−ブチル48.0部、アリルメタクリレート0.6部、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート0.1部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.1部からなる混合物を添加した。この反応器に窒素気流を通じることによって雰囲気の窒素置換を行い、内温を60℃まで昇温した。内温が60℃に達した時点で、硫酸第一鉄七水塩0.000075部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.00023部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.2部、イオン交換水10部からなる水溶液を添加し、ラジカル重合を開始させた。重合発熱が確認された後、ジャケット温度を75℃とし、重合発熱が確認されなくなるまで重合を継続し、さらに1時間この状態を維持し、ポリオルガノシロキサンとポリブチルアクリレートゴムとが複合した複合ゴムを得た(ラジカル重合工程)。得られた複合ゴムの体積平均粒子径は90nmであった。
反応器内部の液温が70℃に低下した後、5%ピロリン酸ナトリウム水溶液を固形分として0.60部添加した。内温70℃で制御した後、酸基含有共重合体ラテックスを固形分として0.60部添加し、30分撹拌、肥大化を行い、複合ゴム状重合体のラテックスを得た(肥大化工程)。
得られたラテックス状の複合ゴム状重合体の体積平均粒子径は0.2μmであった。
得られた複合ゴム状重合体のラテックスに、硫酸第一鉄七水塩0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.003部、ロンガリット0.3部、イオン交換水10部からなる水溶液を添加した。次いで、アクリロニトリル10部、スチレン30部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.18部からなる混合液を80分間にわたって滴下し、重合した。滴下終了後、温度75℃の状態を30分保持した後、アクリロニトリル2.5部、スチレン7.5部、t−ブチルハイドロパーオキサイド0.05部、n―オクチルメルカプタン0.02部からなる混合物を20分にわたって滴下し、重合した。滴下終了後、温度75℃の状態を30分保持した後、クメンヒドロパーオキシド0.05部を添加し、さらに温度75℃の状態を30分保持した後、冷却し、複合ゴム状重合体に、アクリロニトリルとスチレンをグラフト重合させたシリコーン/アクリル複合ゴム系のグラフト共重合体(D−1)のラテックスを得た。
次いで、1%酢酸カルシウム水溶液150部を60℃に加熱し、この中へグラフト共重合体(D−1)のラテックス100部を徐々に滴下して凝固した。そして、析出物を分離し、脱水、洗浄した後に乾燥して、グラフト共重合体(D−1)を得た。
<製造例2:グラフト共重合体(D−2)の製造>
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機及び攪拌装置を備えた反応器内に、イオン交換水150部、ポリブタジエンラテックス(体積平均粒子径0.2μm)を固形分換算で50部、不均化ロジン酸カリウム1部、水酸化カリウム0.03部を仕込み、60℃に加熱後、硫酸第一鉄七水塩0.007部、ピロリン酸ナトリウム0.1部、結晶ブドウ糖0.3部を添加した。次いで、アクリロニトリル15部、スチレン35部、クメンハイドロパーオキサイド0.4部、t−ドデシルメルカプタン0.5部からなる混合液を120分間にわたって滴下し、重合した。滴下終了後、温度70℃の状態を60分保持した後、クメンハイドロパーオキサイド0.05部を添加し、さらに温度70℃の状態を30分保持した後、冷却し、ポリブタジエンに、アクリロニトリルとスチレンをグラフト重合させたポリブタジエン系のグラフト共重合体(D−2)のラテックスを得た。
次いで、ラテックスに酸化防止剤を添加し、1%硫酸水溶液150部を60℃に加熱し、この中へグラフト共重合体(D−2)のラテックス100部を徐々に滴下して凝固した。そして、析出物を分離し、脱水、洗浄した後に乾燥して、グラフト共重合体(D−2)を得た。
「他の熱可塑性樹脂(E)」
<製造例3:他の熱可塑性樹脂(E−1)の製造>
アクリロニトリル27部及びスチレン73部を公知の懸濁重合により重合し、N,N−ジメチルホルムアミド溶液から25℃で測定した還元粘度が0.61dl/gであるアクリロニトリル−スチレン共重合体を得た。これを他の熱可塑性樹脂(E−1)として用いた。
<製造例4:他の熱可塑性樹脂(E−2)の製造>
アクリロニトリル19部、スチレン53部及びN−フェニルマレイミド28部を公知の連続溶液重合により重合し、N,N−ジメチルホルムアミド溶液から25℃で測定した還元粘度が0.65dl/gであるアクリロニトリル−スチレン−N−フェニルマレイミド三元共重合体を得た。これを他の熱可塑性樹脂(E−2)として用いた。
「カーボンブラック(B)」
カーボンブラック(B)として、三菱化学株式会社製のカーボンブラック「#960」を用いた。
「顔料(C)」
赤外反射能を有する顔料(C)として、アサヒ化成工業株式会社製の赤外反射顔料「Black 6301」(マンガン−ビスマス複合酸化物)を用いた。
「実施例1〜7、比較例1〜6」
表1〜2に示す量のグラフト共重合体(D)、他の熱可塑性樹脂(E)、カーボンブラック(B)及び顔料(C)と、エチレンビスステアリルアミド1部と、シリコーンオイルSH200(東レ・ダウコーニング株式会社製)0.2部と、アデカスタブAO−60(株式会社ADEKA製)0.2部と、アデカスタブLA−57(株式会社ADEKA製)0.4部とをヘンシェルミキサーを用いて混合した。スクリュー式押出機(株式会社日本製鋼所製、「TEX−30α型二軸押出機」)を用いて、得られた混合物を250℃にて溶融混練した後、ペレタイザーにてペレット化したレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物を得た。
得られたペレット状のレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物を用いて試験片(成形品)を作製し、反射率を測定し、耐衝撃性、レーザー溶着外観及び色調を評価した。これらの結果を表1〜2に示す。
Figure 0006628029
Figure 0006628029
表1〜2中の「y/x」は、カーボンブラック(B)の含有量をx質量部、顔料(C)の含有量をy質量部とした場合の、カーボンブラック(B)の含有量に対する顔料(C)の割合である。
表1〜2に示すように、各実施例で得られたレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物からは、耐衝撃性に優れ、レーザー溶着外観に優れ、しかも色調にも優れた成形品が得られた。また、各実施例で得られた樹脂接合体は、透過材と吸収材とが十分に接合していた。
一方、各比較例の場合、成形品の耐衝撃性、レーザー溶着外観、色調のいずれかの項目に劣る結果となった。
具体的には、比較例1の場合、カーボンブラック(B)の含有量が0.1質量部であったため、色調に劣っていた。
比較例2の場合、カーボンブラック(B)の含有量が1.6質量部であったため、耐衝撃性と溶着外観に劣っていた。
比較例3の場合、赤外反射能を有する顔料(C)を含有しなかったため、溶着外観に劣っていた。
比較例4の場合、カーボンブラック(B)の含有量に対する顔料(C)の割合y/xが0.4であったため、溶着外観が劣っていた。
比較例5の場合、顔料(C)の含有量が6質量部であり、またカーボンブラック(B)の含有量に対する顔料(C)の割合y/xが12であったため、耐衝撃性に劣っていた。また、比較例5で得られた樹脂接合体は、透過材と吸収材とが十分に接合していなかった。
比較例6の場合、グラフト共重合体(D)を含有しなかったため、耐衝撃性に劣っていた。
本発明によれば、色調とレーザー溶着後の外観に優れ、かつ樹脂部材として十分な耐衝撃性を有した成形品を得ることができるレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。特に成形品の色調とレーザー溶着後の外観とのバランスは、従来知られているレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物では得られない非常に高いレベルであり、灯具・内装・外装などの車両用部品、OA機器や家電部品、医療用器具、各種工業用材料としての利用価値は極めて高い。

Claims (4)

  1. 熱可塑性樹脂成分(A)と、前記熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対して、カーボンブラック(B)を0.2〜1.5質量部と、赤外反射能を有する顔料(C)を0.2〜5質量部とを含有するレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物であって、
    前記カーボンブラック(B)の含有量をx質量部とし、前記顔料(C)の含有量をy質量部としたときに、≦y/x≦10を満たし、
    かつ、前記熱可塑性樹脂成分(A)は、ゴム状重合体(d1)にビニル系重合体(d2)がグラフトされたグラフト共重合体(D)を含む、レーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記レーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物を2mmの厚さに成形した試験片に、波長920nmのレーザー光を照射したときの反射率が5〜7%である、請求項1に記載のレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記ゴム状重合体(d1)が、アクリル系ゴム状重合体を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のレーザー溶着用熱可塑性樹脂組成物を成形した、成形品。
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