JP6627617B2 - モータの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ロータとステータを備えるモータの製造方法に関する。本発明は、特に、ロータに非晶質組織を有する薄板を用い、かつ、ステータに結晶組織を有する薄板を用いる、モータの製造方法に関する。
モータは、軸を中心に回転するロータと、ロータと相互作用して回転モーメントを発生させるステータとを備える。
モータの性能向上については、高回転化が考えられるが、その実現には、ロータに用いる薄板の高強度化が必要である。
従来のモータに関しては、ロータとステータの両方に電磁鋼板が用いられていた。そのため、このようなモータは、高トルクを得られるが、低損失化には改善の余地があった。
その改善の試みとして、例えば、特許文献1及び特許文献2には、ロータ用とステータ用の薄板を、同一の無方向性電磁鋼板から採取し、ステータ用の薄板のみを歪取焼鈍することによって、ロータは高強度化を、ステータは低損失化を図ったことが開示されている。さらに、これらの文献には、歪取焼鈍によって、無方向性電磁鋼板中の結晶粒が成長するため、ステータの低損失化を達成できたことが開示されている。しかし、これらの試みでは、モータの高トルク化と低損失化の両立は充分ではなかった。
ロータとステータとで、軟磁性材料の種類を異ならせる例として、特許文献3に、ロータには珪素鋼板又は圧粉鉄心を用い、ステータにはアモルファス、フェライトコア、又はパーマロイのいずれかを用いることが開示されている。そして、特許文献3には、ロータとステータの材質を選択することにより、ロータよりも、ステータの方が、鉄損を小さくできることが記載されている。
特許文献4には、Fe100−x−y−zCuSi(ただし、1<x<2、10≦y≦20、0<z≦9、10<y+z≦24)で表される組成を有するナノ結晶合金が開示されている。
また、特許文献4には、このナノ結晶合金は、高飽和磁束密度を有すること、このナノ結晶合金は、同じ組成の非晶質合金を熱処理して得られること、及び、Fe基非晶質薄板は、一般的に靱性が良好であること、が開示されている。
特開2008−050686号公報 特開2004−270011号公報 特開2009−293907号公報 特開2013−067863号公報
ロータに高強度薄板が、ステータに高飽和磁束密度薄板が求められるとき、モータの製造において、ロータ用薄板とステータ用薄板を別々に準備すると、製造工数が増加し、薄板の歩留が低下する、という課題を、本発明者らは見出した。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明は、低損失で高トルクを得られるモータを、少ない工数かつ高い薄板歩留で製造できる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意検討を重ね、本発明を完成させた。本発明の要旨は、次のとおりである。
〈1〉ロータとステータを備えるモータの製造方法であって、
Fe100−x−y−zCuSi(ただし、1<x<2、10≦y≦20、0<z≦9、10<y+z≦24)で表される組成を有し、かつ非晶質組織を有する薄板を準備すること、
前記薄板の一部から、ロータに用いる第1板片を採取すること、及び、
前記薄板の残部から、ステータに用いる第2板片を採取すること、
を含み、
前記非晶質組織がナノ結晶組織になる温度で、前記第2板片を採取する前の前記残部、又は、前記第2板片を熱処理する、
モータの製造方法。
本発明によれば、同一のFe基非晶質合金薄板から、ロータ用板片とステータ用板片を採取し、ステータ用板片の採取の前又は後にナノ結晶化熱処理することにより、低損失で高トルクのモータを、少工数かつ高薄板歩留で製造できる方法を提供することができる。
ロータとステータの構造の一例を示す上面図である。 従来の製造方法において、別々の薄板から、ロータ用板片とステータ用板片を採取する方法を示す模式図である。 本発明の製造方法において、同一の薄板から、ロータ用板片とステータ用板片を採取する方法を示す模式図である。
以下、モータに関し、本発明の製造方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明を限定するものではない。
本発明の製造方法で得られるモータは、ロータとステータを備える。図1は、ロータとステータの構造の一例を示す上面図である。
図1に示したように、ロータ10とステータ20は、環状の部品である。ロータ10の内周側には、回転軸(図示しない)が挿入される。ステータ20の内周側には、ロータ10が配置される。ロータ10とステータ20との間で、磁気に起因する回転モーメントが生じ、それによって、ロータ10が、その回転軸を中心に回転する。
ロータ10は、切欠き部を有する薄板(以下、「ロータ用板片」ということがある。)を積層することによって形成される。そして、その切欠き部の一部に永久磁石15が配置される。
ステータ20は、その内周が櫛状である薄板(以下、「ステータ用板片」ということがある。)を積層することによって形成される。そして、その櫛状部分に、コイル25が配置される。
低損失で高トルクのモータを得るため、ロータ10には、高い強度を有する軟磁性薄板を用い、ステータ20には、高い飽和磁束密度を有する軟磁性薄板を用いる。
図2は、従来の製造方法において、別々の薄板から、ロータ用板片とステータ用板片を採取する方法を示す模式図である。図2(a)は、高い飽和磁束密度を有する軟磁性薄板40(以下、「高飽和磁束密度薄板40」ということがある。)から、ステータ用板片21を採取する方法を示す模式図である。図2(b)は、高い強度を有する軟磁性薄板30(以下、「高強度薄板30」ということがある。)から、ロータ用板片11を採取する方法を示す模式図である。
従来の製造方法においては、高飽和磁束密度薄板40と高強度薄板30とを、別々に準備する。そして、高飽和磁束密度薄板40と高強度薄板30は、別々の工程を経て製造される。
図2(a)に示したように、高飽和磁束密度薄板40から、環状のステータ用板片21を採取するため、ステータ用板片21の外周よりも外側の部分40aと、ステータ用板片21の内周よりも内側の部分40bとを除去する。以下、「ステータ用板片21の外周よりも外側の部分40a」を「ステータ用板片21の外側残部40a」と、「ステータ用板片21の内周よりも内側の部分40b」を「ステータ用板片21の内側残部40b」ということがある。
図2(b)に示したように、高強度薄板30から、環状のロータ用板片11を採取するため、ロータ用板片11の外周よりも外側の部分30aと、ロータ用板片11の内周よりも内側の部分30bとを除去する。以下、「ロータ用板片11の外周よりも外側の部分30a」を「ロータ用板片11の外側残部30a」と、「ロータ用板片11の内周よりも内側の部分30b」を「ロータ用板片11の内側残部30b」ということがある。
上述したように、ステータ20の内周側には、ロータ10が配置される(図1、参照)ため、ステータ20の内周の直径は、ロータ10の外周の直径よりも大きい。したがって、ステータ用板片21の内周の直径は、ロータ用板片11の外周の直径よりも大きい(図2(a)及び図2(b)、参照)。
ステータ用板片21とロータ用板片11の両方を、同一の薄板から採取することができれば、ステータ用板片21の内側残部40bから、ロータ用板片11を採取することができるため、薄板歩留を向上させることができる。そして、同一の薄板から、ステータ用板片21とロータ用板片11の両方を採取することができれば、別々の材質の薄板を準備する工数も省くことができる。
本発明者らは、所定の組成を有するFe基非晶質合金薄板は、高い強度を有し、その非晶質合金薄板を熱処理すると、高い飽和磁束密度を有するナノ結晶合金になることを知見した。また、本発明者らは、Fe基非晶質合金薄板からロータ用板片11を採取し、ロータ用板片11の外側残部30aからステータ用板片21を採取し、その外側残部30a又はステータ用板片21を熱処理することにより、所望のモータを製造できることを知見した。すなわち、本発明者らは、高強度を有するステータと、高飽和磁束密度を有するステータとを備えることによって、低損失で高トルクのモータを、少ない工数かつ高い薄板歩留で製造することができることを知見した。
これらの知見に基づく、本発明に係るモータの製造方法の構成を、次に説明する。本発明の製造方法は、ロータとステータを備えるモータを対象とする。
(薄板準備工程)
Fe100−x−y−zCuSi(ただし、1<x<2、10≦y≦20、0<z≦9、及び10<y+z≦24)で表される組成を有し、かつ非晶質組織を有する薄板(以下、「非晶質薄板」ということがある。)を準備する。なお、x、y、及びzは原子%である。
薄板中に、非晶質組織を含有させるため、Fe100−x−y−zCuSi(ただし、1<x<2、10≦y≦20、0<z≦9、及び10<y+z≦24)で表される組成を有する溶湯を急冷する。
溶湯については、その組成が、Fe100−x−y−zCuSi(ただし、1<x<2、10≦y≦20、0<z≦9、及び10<y+z≦24)になるように、Fe、Cu、B、及びSiを含有する原材料を配合し、それを溶解する。原材料としては、Fe−B及びFe−Si等の合金鉄(フェロアロイ)を使用してもよい。
原材料の溶解方法については、特に制限はない。原材料を迅速に溶解でき、溶解途中で溶湯の酸化を抑制することができる観点から、高周波溶解が好ましい。溶解途中又は溶解後の保持中に、溶湯を良好に撹拌して、溶湯中の成分を均一にする観点からも、高周波溶解が好ましい。
溶湯を急冷する方法としては、非晶質薄板を製造することができれば、特に制限はない。例えば、単ロール法及び双ロール法等が挙げられる。
単ロール法の場合、冷却ロールは水冷することが好ましい。また、冷却ロールの周速は15〜70m/sであることが好ましい。冷却ロールを水冷し、冷却ロールの周速を15〜70m/sにすることにより、薄板内の非晶質組織の体積分率を、70〜100%にすることができる。また、このように急冷することにより、薄板内の結晶組織の体積分率を、0%を超え、30%未満にすることができ、かつ、その結晶組織の平均結晶粒径を、0.1〜30nmにすることができる。薄板内の金属組織をこのようにしておけば、薄板内に結晶組織が存在していても、薄板の特性は、薄板内の全てが非晶質組織であるときと、実質的に同一であると考えることができる。なお、このような金属組織を得られる、溶湯の冷却速度は、1×10〜1×10K/秒である。
溶湯の急冷は、不活性ガス又は窒素ガス雰囲気中で行うことが好ましい。このような雰囲気にすることで、溶湯が酸化され難く、その結果、薄板中に酸化物が介在することを抑制することができる。
溶湯の急冷によって得られる薄片の厚さは、0.01〜0.20mmであることが好ましい。厚さが0.01〜0.20mmであれば、溶湯の急冷後に、所望の金属組織が得られ、かつ、ロータ及びステータの渦電流損失を低減することができる。
次に、溶湯の組成を、Fe100−x−y−zCuSi(ただし、1<x<2、10≦y≦20、0<z≦9、及び10<y+z≦24)に特定する理由について説明する。
Feは、Cu、B、及びSiの残部である。Feの含有量が、74原子%以上89原子%未満であれば、薄板に後述する熱処理を施したとき(以下、「熱処理後」ということがある。)、高飽和磁束密度を有する薄板を得られる。
Cuの含有量が、1原子%を超え、2原子%未満であれば、溶湯を急冷した段階で、薄板に少量存在する結晶組織を微細化することができる。また、Cuの含有量が前述の範囲であれば、熱処理後、高飽和磁束密度を有する薄板を得られる。
Bの含有量が10〜20原子%であれば、溶湯を急冷した段階で、薄板に少量存在する結晶組織を微細化することができ、かつ、熱処理後、薄板中の結晶組織も微細化して、薄板は優れた軟磁性を有する。
Siの含有量が適量であると、軟磁性及び鋳造性を向上させ、かつ、薄板の特性のばらつきを低減する。一方、Siの含有量が過剰であると、熱処理後、薄板の飽和磁束密度が著しく低下する。したがって、Siの含有量は、0原子%を超え、9原子%以下である。
Bの含有量とSiの含有量の和、すなわち、y+zが24原子%以下であれば、熱処理後、高飽和磁束密度を有する薄板を得られる。一方、y+zが10原子%を超えていれば、熱処理後、薄板の軟磁性が劣化することはない。
また、Feの一部を、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、白金族元素、Au、Ag、Zn、In、Sn、As、Sb、Bi、S、Y、N、O、及び希土類元素から選ばれた1種以上の元素で置換してもよい。ただし、その置換量は、これらの元素の合計で1.8原子%以下とする。置換量が1.8原子%以下であれば、飽和磁束密度が実質的に低下しない。これらの元素で置換することにより、耐食性、電気抵抗率、磁気特性等を向上させることができる。また、これらの元素の他に、Feが不可避的不純物で置換されてもよい。不可避的不純物の許容量は、上述した置換量に含まれる。なお、不可避的不純物とは、原材料に含まれる不純物等、その含有を回避することが避けられない、あるいは、回避するためには著しい製造コストの上昇を招くような不純物のことをいう。
これまで説明してきたように、溶湯を急冷して得た薄板から、ロータ用板片とステータ用板片を採取する。次に、これらの採取方法について説明する。図3は、本発明の製造方法において、同一の薄板から、ロータ用板片とステータ用板片を採取する方法を示す模式図である。
(第1薄板採取工程)
溶湯を急冷して得た薄板50の一部から、ロータに用いる第1板片12を採取する。薄板50は、急冷のままで用いられる。急冷のままとは、鋳放しと同義である。急冷のままとすることによって、第1板片12は非晶質組織を有するため、第1板片12を積層して得たロータは、高強度を有する。その結果、このようなロータを用いて製造したモータは、高トルクを達成できる。
図3に示したように、第1板片12は、薄板50の一部であり、第1板片12以外は、薄板50の残部である。薄板50の残部のうち、第1板片12の内周よりも内側の部分50b(以下、「第1板片12の内側残部50b」ということがある。)は、モータの回転軸が挿入される部分であるため、その面積は小さい。したがって、第1板片12の内側残部50bからは、ロータ用板片及びステータ用板片のいずれも採取することができない。一方、第1板片12の外周よりも外側は、その面積が充分に広い。したがって、第1板片12の外周よりも外側の部分から、後述する第2板片22を採取することができる。
第1板片12の採取方法は、第1板片12と薄板50の残部に損傷を与えなければ、特に制限はない。ここでいう「損傷を与えない」とは、薄板50から、第1板片12を採取し、この第1板片12を用いてロータを製造しても、このロータが、問題なく機能することをいう。また、薄板50の残部から、後述するように、ステータ用板片(第2板片22)を採取し、この板片を用いてステータを製造しても、このステータが、問題なく機能することをいう。
第1板片12の採取方法としては、例えば、打ち抜き等が挙げられる。打ち抜き方法としては、非晶質薄板又は非晶質薄片を打ち抜く際に行われている常法でよい。打ち抜きによって得られた第1板片12の内周及び/又は外周を、必要に応じて、シェービング加工してもよい。シェービング加工することにより、第1板片12の内周及び/又は外周の「バリ」を除去することができるため、複数の第1板片12を、隙間なく積層することができる。
(第2板片採取工程)
薄板50の残部から、ステータに用いる第2板片22を採取する。第2板片22の採取に際しては、その採取前又は採取後に、後述する熱処理を施す。
図3に示したように、薄板50の残部の外周と第2板片22の外周とが交差することなく、かつ、第1板片12を採取した後の穴と第2板片22の内周とが交差することなく、第2板片22を採取する。このように第2板片22を採取することにより、第2板片22は、その外周及び内周のいずれにも欠肉部を有することはない。
上述した欠肉部を有することなく第2板片22を採取するには、薄板50において、第1板片12の中心(以下、「第1中心」という。)と第2板片22の中心(以下、「第2中心」という。)を、できるだけ同じ位置にすることが好ましい。モータを組み立てた際、ロータが円滑に回転できるように、ロータとステータとの間には、隙間(クリアランス)を設ける。第1中心と第2中心の「ずれ」の許容範囲は、隙間(クリアランス)の最大値の1/2以下である。
第2板片22の採取方法は、第1板片12の採取方法と同様でよい。また、第2板片22の内周及び/又は外周も、同様に、必要に応じて、シェービング加工してもよい。
(熱処理工程)
第2板片22の採取前に熱処理を行う場合には、非晶質組織がナノ結晶組織になる温度で、薄板50の残部を熱処理する。第2板片22の採取後に熱処理を行う場合には、非晶質組織がナノ結晶組織になる温度で、第2板片22を熱処理する。すなわち、非晶質組織がナノ結晶組織になる温度で、第2板片22を採取する前の薄板50の残部、又は、第2板片22を熱処理する。このように熱処理することによって、薄板50の残部中又は第2板片22中の非晶質組織がナノ結晶組織になるため、第2板片22を積層して得たステータは、高飽和磁束密度を有する。その結果、このようなステータを用いて製造したモータは、低損失を達成できる。
本発明において、ナノ結晶組織は、30nm以下の平均結晶粒径を有する組織をいう。結晶粒径を、平均結晶粒径で30nm以下にすることによって、飽和磁束密度を一層向上させることができ、その結果、モータの損失を一層低減することができる。また、本発明においては、平均結晶粒径を、次のように定義する。X線回折測定(XRD)を用いて、bcc構造のFe(α−Fe)のメインピークを測定し、シェラーの式により算出した値を平均結晶粒径とする。厳密には、シェラーの式から算出した値は結晶子サイズであるが、ナノ結晶組織における結晶粒はほぼ単結晶であるため、結晶細サイズを平均結晶粒径とみなすことができる。
熱処理を行う時期については、第2板片22の採取前に、薄板50の残部を熱処理してもよいし、第2板片22の採取後に、第2板片22を熱処理してもよい。モータを製造する全ての工程を考慮して、熱処理を行う時期を適宜決定すればよい。
熱処理温度は、非晶質組織をナノ結晶組織にすることができる温度であれば、特に制限はない。また、熱処理温度を、例えば、熱処理の際の最高到達温度で設定することができる。最高到達温度の一例としては、300〜600℃が挙げられる。最高到達温度が300℃以上であれば、ナノ結晶化を迅速に行うことができる。この観点から、最高到達温度は、330℃以上、360℃以上、又は390℃以上であってもよい。一方、600℃以下であれば、結晶粒径をより微細にすることができる。この観点から、最高到達温度は、570℃以下、540℃以下、又は510℃以下であってもよい。
最高到達温度までの昇温速度は、特に制限されない。最高到達温度までの昇温速度は、例えば、平均昇温速度で、0.1〜500℃/分、好ましくは、1〜300℃/分であってよい。最高到達温度からの冷却速度は、非晶質組織が生成するようなことがなければ、特に制限されない。例えば、放冷でよい。最高到達温度からの冷却速度は、例えば、平均冷却速度で、0.1〜3000℃/分、好ましくは、0.1〜200℃/分であってよい。昇温速度及び冷却速度が上述した範囲であれば、飽和磁束密度を特に向上させることができる。
熱処理時間は、熱処理温度、昇温速度、冷却速度、及び、薄板50の残部の質量を考慮して、適宜決定すればよい。熱処理時間(昇温開始から冷却開始まで)は、100時間以下、好ましくは4時間以下、より好ましくは1時間以下、特に好ましくは20分以下であってよい。
熱処理雰囲気は、真空雰囲気又は露点が−30℃以下の不活性ガス又は窒素ガス雰囲気が好ましく、露点が−60℃以下の不活性ガス又は窒素ガス雰囲気がより好ましい。熱処理雰囲気を、このようにすることにより、熱処理後の薄板50の磁気特性のばらつきを低減することができる。
(その他工程)
これまで説明してきた工程の他に、モータを製造するために、通常行われる工程を含んでよい。このような工程としては、ロータ10に永久磁石15を配置する工程、及び、ステータ20にコイル25を配置する工程等が挙げられる。
(変形)
図3では、1枚の薄板50から、1枚の第1板片12と1枚の第2板片22を採取する場合を示した。図3に示した薄板50よりも、面積が大きい薄板50を準備すれば、1枚の薄板50から、複数の第1板片12と複数の第2板片を採取することができる。1枚の薄板50から、複数の第1板片12と複数の第2板片を採取する場合、個々の第2板片22同士の間隔を狭くすることによって、第2板片22の外周よりも外側の部分50aの面積を小さくすることができるため、薄板歩留をさらに向上させることができる。
第1板片12と第2板片22は、同時に採取してもよい。このようにすることで、第1板片12と第2板片22の採取の工数をさらに低減することができる。この場合、熱処理は、第2板片の採取後に行う。
また、第2板片22を、第1板片12よりも先に採取しても、必然的に第1板片12が採取できるため、上述した同時採取と同様になる。
これまで説明してきたように、本発明の製造方法によれば、ロータ用板片(第1板片)とステータ用板片(第2板片)を、同一のFe基非晶質薄板から採取できるため、薄板の製造工数を低減でき、かつ、薄板歩留を向上させることができる。また、ステータ用板片(第2板片)の採取の前又は後に、その採取する薄板又はステータ用板片(第2板片)をナノ結晶化熱処理することにより、ステータ用板片(第2板片)の飽和磁束密度を向上させることができる。これにより、ロータは高強度を有し、ステータは高飽和磁束密度を有するため、低損失で高トルクのモータを、少工数かつ高薄板歩留で製造できる方法を提供することができる。
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例で用いた条件に限定されるものではない。
(実施例)
Fe85.5Cu1.511Siの組成を有する溶湯を準備し、単ロール法で、薄板を作製した。溶湯の温度は1400℃、冷却ロールの周速は50m/sであった。このようにして得た薄板は、体積分率で、100%の非晶質組織を有していた。
急冷のままの薄板から、打ち抜きにより、第1板片(ロータ用板片)を採取した。第1板片(ロータ用板片)を打ち抜いた後の薄板残部から、さらに、打ち抜きにより、第2板片(ステータ用板片)を採取し、それを熱処理した。
熱処理条件については、最高到達温度は450℃、平均昇温速度は400℃/分、平均冷却速度は100℃/分、熱処理時間(昇温開始から冷却開始まで)は6分間であった。熱処理は、真空雰囲気で行った。熱処理後の薄板残部は、平均結晶粒径が20nmのナノ結晶組織を有していた。
このようにして得た第1板片及び第2板片それぞれを積層し、ロータ及びステータを作製した。また、ロータに永久磁石を、ステータにコイルを配置し、モータを組み立て、実施例1のモータとした。
(比較例)
第2板片を熱処理しなかったこと以外、実施例と同様にして、比較例のモータを作製した。
(従来例1)
平均結晶粒径が38μmの電磁鋼板を準備し、打ち抜きにより、第1板片を採取した。その後、第1板片を採取した後の残部を熱処理した。熱処理後の平均結晶粒径は80μmであった。そして、熱処理後の残部から、打ち抜きにより、第2板片を採取した。このようにして採取した第1板片及び第2板片それぞれを積層し、ロータ及びステータを作製した。また、ロータに永久磁石を、ステータにコイルを配置し、モータを組み立て、従来例1のモータとした。
(従来例2)
引張強度が600MPaの高強度電磁鋼板と、鉄損が12W/kgの低損失電磁鋼板とを、それぞれ別々に準備した。そして、高強度電磁鋼板から第1板片を、低損失電磁鋼板から第2板片を、それぞれ、打ち抜きにより採取した。このようにして採取した第1板片及び第2板片それぞれを積層し、ロータ及びステータを作製した。また、ロータに永久磁石を、ステータにコイルを配置し、モータを組み立て、従来例2のモータとした。
(評価)
このようにして作製したモータそれぞれのトルクと損失を測定した。結果を表1に示す。表1には、それぞれのモータを作製したときの薄板歩留を併記した。薄肉歩留、トルク、及び損失については、従来例1の薄板歩留、トルク、及び損失を100としたときの値を、それぞれ示した。
Figure 0006627617
表1から分かるように、実施例のモータは、同一の薄板から第1板片と第2板片を採取していることから、薄板の準備工数が少なく、かつ、薄板歩留もよい。また、実施例のモータについては、ロータとステータの両方が電磁鋼板であるモータ(従来例1及び従来例2)と同等のトルクを維持しつつ、ロータとステータの両方が非晶質材であるモータと同様に、損失を低減できていることが確認できた。このように、実施例のモータがトルクの向上と損失の低減とを両立できているのは、ロータが非晶質材であり、かつ、ステータがナノ結晶材であるためであることも、併せて確認できた。
以上の結果から、本発明が顕著な効果を奏することを、確認できた。
10 ロータ
11 ロータ用板片
12 第1板片
15 永久磁石
20 ステータ
21 ステータ用板片
22 第2板片
25 コイル
30 高強度薄板
30a ロータ用板片の外周よりも外側の部分(ロータ用板片の外側残部)
30b ロータ用板片の内周よりも内側の部分(ロータ用板片の内側残部)
40 高飽和磁束密度薄板
40a ステータ用板片の外周よりも外側の部分(ステータ用板片の外側残部)
40b ステータ用板片の内周よりも内側の部分(ステータ用板片の内側残部)
50 薄板
50a 第2板片の外周よりも外側の部分(第2板片の外側残部)
50b 第1板片の内周よりも内側の部分(第1板片の内側残部)

Claims (1)

  1. ロータとステータを備えるモータの製造方法であって、
    Fe100−x−y−zCuSi(ただし、1<x<2、10≦y≦20、0<z≦9、10<y+z≦24)で表される組成を有する溶湯を急冷して、非晶質組織を有する薄板を準備すること、
    前記薄板の一部から、ロータに用いる第1板片を採取すること、及び、
    前記薄板の残部から、ステータに用いる第2板片を採取すること、
    を含み、
    前記非晶質組織がナノ結晶組織になる温度で、前記第2板片を採取する前の前記残部、又は、前記第2板片を熱処理してステータに用い、かつ
    前記第1板片を急冷のままロータに用いる、
    モータの製造方法。
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