[リハビリ支援システムの全体構成]
図1は、実施の形態に係るリハビリ支援システムSの全体構成を示すブロック図である。リハビリ支援システムSは、ヘッドマウントディスプレイ1と、第1のコントローラ3と、第2のコントローラ4とから構成される。また、ヘッドマウントディスプレイ1内には、リハビリ支援装置2が搭載される。
ヘッドマウントディスプレイ1は、リハビリテーション(以下、「リハビリ」と省略して記載する。)を行う際にリハビリ支援システムSを用いる利用者が頭部に装着する装置である。利用者がリハビリを行う際にこのヘッドマウントディスプレイ1を装着するのは、VRの環境下においてリハビリを行うためである。
リハビリは、運動機能を向上させるために行われるが、上述したように、疼痛を有する者は、運動することに対して、運動恐怖を有していることがある。運動恐怖があると、十分な運動を行うことが困難なため、必要なリハビリが実行されず、運動機能の向上ならびに疼痛の緩和が図れない。
そこで、VRの持つ没入感を利用し、かつ適切な難易度調整が行われたオーダーメイドのリハビリを提供することで、利用者の運動恐怖を取り除き、十分な運動を行うことができる環境を提供する。そのために、本発明の実施の形態においては、上述したように、リハビリをVRの環境下において実施するものである。具体的には、利用者のデータをもとに、目標物をVR環境下におけるディスプレイに表示させて、その目標物に対して体を向ける動作を行うことで疼痛解消の運動(リハビリ)を行う。
なお、以下、利用者がリハビリ支援システムSを用いて行うリハビリとして、疼痛の中でも腰痛の解消のために行われるリハビリを例に挙げて説明する。従って、リハビリ対象部位は腰であり、利用者はリハビリを行うことで、腰を様々な方向に動かす運動を行う。このようなリハビリを行うことで、腰の運動機能を向上させることができる。
ヘッドマウントディスプレイ1は、リハビリを行う利用者が頭部に装着し、画像の視聴環境を構築することでVR環境を作出する装置である。ヘッドマウントディスプレイ1としては、様々な機能を備える装置が市販されている。ここではこのようなヘッドマウントディスプレイ1のいずれを選択しても良い。
但し、リハビリ支援システムSの利用者は、後述するように、リハビリ支援プログラムがヘッドマウントディスプレイ1を介して見せるVRの環境下においてリハビリを行うものであることから、少なくとも当該リハビリ支援プログラムを実行可能な機能を備えている必要がある。
ヘッドマウントディスプレイ1は、リハビリ支援装置2を備えている。但しここでは、リハビリ支援プログラムが後述する記憶部から読み込まれることによって、リハビリ支援プログラムがヘッドマウントディスプレイ1に実装され、リハビリ支援装置2を構成する例を挙げて、以下説明する。
図2は、実施の形態に係るヘッドマウントディスプレイ1及びリハビリ支援装置2の内部構成を示すブロック図である。ヘッドマウントディスプレイ1では、制御部11及び入出力インターフェイス12がバス13を介して接続されている。入出力インターフェイス12には、入力部14と、ディスプレイ15と、記憶部16と、通信制御部17とが接続されている。また、後述するリハビリ支援装置2もバス13を介して、制御部11等と接続されている。
制御部11は、上述したヘッドマウントディスプレイ1を構成する各部を制御する。具体的な構成としては、例えば、図2では図示しない、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、GPU(Graphics Processing Unit)を備える。
またCPUは、入力部14や入出力インターフェイス12を介して、図2において図示していないその他の外部機器からの入力信号に基づいて各種装置の制御を行う。さらにCPUは、RAMや記憶部16等に記憶されたプログラム及びデータを読み出してRAMにロードする。そして、CPUは、例えば、RAMから読み出されたプログラムのコマンドやリハビリ支援プログラムとは関係のないその他のプログラムに基づく内容をディスプレイ15に表示する制御を行う処理装置である。また、GPUはリアルタイム画像処理に特化した演算を行う処理装置である。
入力部14は、リハビリ支援システムSを利用する利用者の様々な動きを、例えば、利用者が両手に把持する第1のコントローラ3、第2のコントローラ4を介して受け付ける。この入力部14としては、例えば、ダイアル、ボタンやタッチパッドといった入力デバイスを用いることが可能である。
ディスプレイ15は、ヘッドマウントディスプレイ1を装着した者に対する各種情報を制御部11の制御に従って表示する。また、利用者がリハビリを行う際にヘッドマウントディスプレイ1を装着する場合には、ディスプレイ15には、利用者が実行するリハビリ内容がリハビリ支援装置2の制御に従って表示される。利用者はディスプレイ15に表示された指示に従って体を動かす。このディスプレイ15としては、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイなどを用いることが可能である。
記憶部16は、例えば、半導体や磁気ディスク等で構成されている。記憶部16には、制御部11やリハビリ支援装置2で実行されるプログラムやデータが記憶されている。本発明の実施の形態においては、リハビリ支援プログラムは記憶部16に記憶されていることを前提とする。
但し、当該記憶部16は必ずしもヘッドマウントディスプレイ1内に設けられている必要はなく、例えば、後述する通信制御部17を介して外部の記憶装置として構成されていても良い。
通信制御部17は、LANカードやモデム等を含んで構成され、ヘッドマウントディスプレイ1を後述するインターネットやLAN等の通信ネットワークに接続することを可能とする。通信制御部17を介して通信ネットワークに接続されている機器との間で送受信されたデータは、入力信号または出力信号として、入出力インターフェイス12及びバス13を介して制御部11、或いは、リハビリ支援装置2に送受信される。
リハビリ支援装置2は、リハビリ支援システムSを利用してリハビリを行う利用者の身体情報を取得し、利用者がリハビリを行うに当たっては、利用者にリハビリのメニュー提示し、或いは、リハビリを行った結果を表示させる装置である。本発明の実施の形態においては、上述したように、記憶部16に記憶されているリハビリ支援プログラムがヘッドマウントディスプレイ1に実装されることによってリハビリ支援装置2を構成する。
リハビリ支援装置2は、図2に示すように、測定部21と、条件設定部22と、表示制御部23と、動作検出部24と、判定部25と、評価部26とを備える。
測定部21は、利用者がリハビリを開始する前に、利用者の身体情報を取得する。ここで取得される利用者の身体情報は、リハビリの対象部位によって異なる。例えば一例として、本発明の実施の形態においては、リハビリ対象部位が腰であることから、利用者の頭部の位置、腕の長さ、肩の高さ、脊椎及び肩関節の可動域を挙げることができる。
利用者は、腰痛のリハビリを行う際、椅子等に腰を掛けて運動を行う。この際、頭部にはヘッドマウントディスプレイ1を装着し、両手には、それぞれ第1のコントローラ3、第2のコントローラ4を把持する。
ここで、ヘッドマウントディスプレイ1は、装着した利用者の頭部の動きを取得するセンサの働きを備えている。すなわち、ヘッドマウントディスプレイ1は、利用者の身体部位(ここでは頭部)の位置情報を取得する。また、第1のコントローラ3と第2のコントローラ4は、腕の位置情報を取得するセンサである。なお、センサが取得する位置情報としては、ヘッドマウントディスプレイ1、第1のコントローラ3や第2のコントローラ4の空間的な位置の情報のみならず、方向の情報も含むものである。
測定部21は、ヘッドマウントディスプレイ1を装着した利用者の頭部の位置、すなわち、ヘッドマウントディスプレイ1の位置を測定する。このときのヘッドマウントディスプレイ1の位置は、利用者が椅子等に腰を掛けて正面を向いた際の位置である。位置測定の方法としては、例えば、空間のいずれかの位置を基準位置とし、当該基準位置との関係でヘッドマウントディスプレイ1の位置を測定する等、既知の方法を採用することができる。次に、利用者の腕の長さを測定する。この場合も利用者は頭部にヘッドマウントディスプレイ1を装着したままである。
なお、測定部21による利用者の身体情報の取得に当たっては、利用者がリハビリを行うに当たって正しい姿勢で行っていることが前提となる。正しい姿勢でリハビリを行わないと十分な効果が見込めないことや却って体の他の部位に負担を掛けることになってしまいかねないからである。
図3は、実施の形態における測定処理の際における利用者の姿勢を外部から見た状態を示す説明図である。利用者は椅子等に腰を掛けて正面を向いた状態で、まず、腕を正面に突き出すような位置に置く。この際、利用者は、頭部にヘッドマウントディスプレイ1を装着し、右手には第1のコントローラ3を、左手には第2のコントローラ4をそれぞれ把持している。
なお、図3においては、椅子に腰を掛けた利用者を左側から見ていることから、第2のコントローラ4を把持する左手が手前に見え、第1のコントローラ3を把持する右手は左手に隠れて見えていない。
このような状態で利用者はヘッドマウントディスプレイ1のディスプレイ15を見ている。図4は、実施の形態における測定処理の際にヘッドマウントディスプレイ1に表示される画面の一例を示す画面例である。
図4に示されているように、ディスプレイ15には利用者が腕を伸ばした状態が表示されている。また、ディスプレイ15には、利用者が何の動作を行うべきかの指示が示されている。ここでは、「肩の高さ&腕の長さを測定」と表示されている。
そして腕を伸ばした状態で、利用者は把持している第1のコントローラ3、第2のコントローラ4のボタンを押す。利用者が当該操作を行うことによって、腕を伸ばした位置が特定される。すなわち、第1のコントローラ3、第2のコントローラ4からヘッドマウントディスプレイ1に向けて、第1のコントローラ3、第2のコントローラ4の位置情報が送信される。
なお、ヘッドマウントディスプレイ1と第1のコントローラ3、第2のコントローラ4とはそれぞれ有線、或いは、無線で信号のやり取りができるように接続されている。無線でやり取りする際の通信方式については、既知の様々な方式を採用することができる。
肩の高さは、腕の位置が特定された後、頭部の位置と腕の位置とから測定部21において算出される。
さらに測定部21は、脊椎及び肩関節の可動域を測定する。この腰の可動域は、腕を上下左右に移動させることによって測定する。図5は、実施の形態における測定処理の際における利用者の姿勢を外部から見た状態を示す説明図である。
図5には、矢印に示されているように、第1のコントローラ3を把持する右手を左方向に水平に移動させている状態が示されている。この場合、椅子に腰を掛けた状態の利用者の足は正面を向いたままで、腰が左方向に回転する。
従って、図5においては、図3に示す場合に比べて、頭部及び上半身が左側に向けて回転した状態が示されている。また、この場合には左手は特に動かす必要がないことから、第2のコントローラ4を把持する左手は腰の辺りに位置している。
図6は、実施の形態における測定処理の際にヘッドマウントディスプレイ1に表示される画面の一例を示す画面例であり、脊椎及び肩関節の可動域を測定する際の画面例である。
図6では、ディスプレイ15に前方にまっすぐ伸ばした右手が連続して表示される球体状の物に接している状態が表示されている。この球体状の物には矢印が表示されており、図6ではこの矢印は左を向いている。そしてディスプレイ15には表示されていないが、利用者はリハビリ支援装置2の指示に従い、右手で当該球体状の物を連続して矢印が示す左方向に触れていく動作を行う。すなわち、利用者がこのような動作を行うことで、椅子等に座った状態で腰が左方向に回転することになる。
利用者は右手を可能な限り左側に向けて移動させ、最大限移動した位置で把持しているコントローラの例えば、ボタンを押す。この操作が行われることで右手の左方向への最大移動位置が把握できる。
なお、ここでは、ディスプレイ15に表示される球体状の物に連続して触れていくことによって、利用者の脊椎及び肩関節の可動域を測定している。但し、脊椎及び肩関節の可動域を測定する際にディスプレイ15に表示される画像はどのような画像でも良く、例えば、利用者が移動させる対象として、ディスプレイ15の縦方向に表示される板状の物等を表示させることとしても良い。
そして測定部21は、例えば以下に説明する方法によって腰の左側への回転可動域について算出する。すなわち、人体構造上、腰椎の可動域5度、胸椎の可動域30ないし35度、肩関節の水平内転が腕を正面に上げたところから45度であることが既に知られている。この既知の情報からすれば、例えば、腕を正面前方に伸ばした状態で左側に水平に移動させると、スタート位置となる正面前方の位置から左側に80ないし85度移動した位置が人体構造上、最も遠くまで移動した位置と考えられる。
そこで測定部21は、利用者の身体情報を取得するために、VRの環境下で利用者に球体状の物に連続して左方向に触れていく動作をしてもらい、最大限移動した位置を把握する。測定部21は、この把握された位置情報を基に、利用者の脊椎及び肩関節の可動域を算出する。
同じように、利用者に左手を使って球体状の物に連続して右方向に触れていく動作をさせることで、脊椎及び肩関節の右側の方向に対する可動域を算出することができる。さらに上下方向については、正面前方の位置に伸ばした両手を上方向、下方向にそれぞれ移動させることで、脊椎及び肩関節の上下方向に対する可動域を算出することができる。
なお、図4、或いは、図6に示す、ヘッドマウントディスプレイ1のディスプレイ15に表示される画面例は、あくまでも例示であって、表示される画像や利用者に対する指示等を示す文字情報については、自由に設定することができる。また、ディスプレイ15に表示させる内容を自由に設定できることは、後述する図7、或いは、図9においても同様である。
さらに、測定部21によって取得された身体情報は、例えば、空間座標で表すことができる。また、その他、方向、距離の組み合わせ、ベクトルで表すことも可能である。上述したように、ここで測定部21によって取得される身体情報には、少なくとも位置と方向の情報が含まれる。
さらに、ここでは、測定部21はヘッドマウントディスプレイ1や第1のコントローラ3と第2のコントローラ4といった、利用者が装着するセンサを用いて利用者の身体情報を取得している。但し、このような方法ではなく、例えば、カメラを使用する等、利用者がセンサを装着せずに利用者の身体情報を外部から取得する方法を採用することで利用者の身体情報を取得することもできる。
条件設定部22は、取得された利用者の身体情報を基に目標物のディスプレイ15への表示位置を設定する。ここで「目標物」とは、利用者がリハビリを行う際にリハビリの対象部位を動かすための目標となる物のことである。
例えば、リハビリのメニューとしてVRの環境下で利用者が手で卵を巣に移動させるメニューの場合には、卵を移動させるための目標となる巣がここでの目標物となる。また、リハビリのメニューがボクシングのように手を的に当てるようなメニューの場合には、この的が目標物となる。
条件設定部22は、利用者の身体情報である、例えば、手が最大限移動した位置の位置情報を用いて、目標物の表示位置を設定する。上述したように、身体情報としては上下左右の4方向についての情報を取得している。そして、取得されたこれらの方向の情報に基づいて、様々な方向に目標物の位置が設定される。
また、目標物の位置を設定するための条件としては、上述した利用者の身体情報の他、例えば、次の内容も考えられる。まず、「利用者の一般的な状態」である。これはリハビリ支援システムSの利用者の性別や年齢等によって設定される条件である。また既往歴等が含まれても良い。また、「疼痛の度合い」も条件の1つとして考えられる。リハビリの対象部位に応じた疼痛の度合いが、例えば複数設定されており、利用者に適した度合いが設定される。
さらに、「評価結果(リハビリの目標)」に関する条件も考えられる。これは、利用者がリハビリを行うに当たって、今回のリハビリにおける目標を設定するものである。また、強めのリハビリを行いたい、或いは、弱めのリハビリを行いたい場合等、リハビリ当日の利用者の体調等に基づいて決定することもできる。
また、利用者は、リハビリを行うに当たって求められる質問調査に回答する。すなわち、自身の身体状態に対する申告を行う。実際には、例えば、利用者がディスプレイ15に表示される質問に答えていくことで申告が行われる。そこで、この申告の内容に基づいて「疼痛の度合い」や「評価結果(リハビリの目標)」を設定することもできる。ここで得られた回答もリハビリに反映させることによって、より利用者の現在の状況に即したリハビリを提供することができる。
また、これまでリハビリ支援システムSを用いてのリハビリを行ったことがある利用者に対しては、さらに「リハビリの進捗」についても目標物の設定条件として用いることができる。これは、例えば同じリハビリの対象部位に対して複数回リハビリが行われている場合に、これまでのリハビリの結果を新たなリハビリを実行する際に参照するものである。
例えば、これまでのリハビリ結果を参照して、取得された利用者の身体情報を基にした条件設定ではなく、例えば、イージーモードといった、腰への負荷が若干弱くなるような条件を設定することも可能である。一方、例えば、チャレンジモードといった、逆に腰への負担が若干強くなるような条件を設定することも可能である。
この場合、入力部14として例えば、イージーモードについてのボタン等が設けられていても良い。また、方向ごとに例えばイージーモードが選択可能とされているように、方向ごとに個別に条件を設定することも可能である。
また、これまで説明してきたように、条件設定部22は、測定部21において測定された利用者の身体情報を基に目標物の表示位置を設定する。但し、何らかの事情により、例えば利用者がリハビリを開始する前に身体情報を測定することができない場合も考えられる。
そこでこのような場合に備えて、デフォルトモードといった、事前に設定されている条件と持って目標物の表示位置を設定することとしても良い。この場合には、利用者の身体情報を取得することができていないので、例えばリハビリ対象部位に対する負荷が軽くなるような条件設定とすることとしても良い。また、デフォルトモードを複数設定しておき、利用者の性別や年齢等に合わせた条件を設定することも可能である。
さらに、1回のリハビリの中に、同じ方向に対するトレーニングが複数設定される場合、その方向に対する前回のトレーニング結果を反映して目標物の位置を設定することとしても良い。すなわち、例えば、左斜め下に巣Nが表示され、その巣Nに向けて利用者が右手を使って卵Eを移動させることで腰を回転させるトレーニングが、1回のリハビリの中に3回設定されている状態を想定する。
例えば、1回目の左斜め下に右手を移動させる動作において、卵Eを巣Nに入れることができなかった場合、設定部22は、利用者に2回目の左斜め下に右手を移動させる動作を行わせる際に、巣Nの表示位置を1回目よりも近づけて設定することができる。つまり利用者は、2回目に左斜め下に右手を移動させる動作を行う場合、1回目よりも腰に負担を掛けずにトレーニングすることができる。
このように設定部22は、同じ方向に対するトレーニングが複数設定される場合、その方向に対する前回のトレーニング結果を反映して目標物の位置を設定することができる。一方で、このようなトレーニング結果を反映させず、1回目のトレーニングが開始される前に、1回のリハビリで予定されている全てのトレーニングにおける目標物の位置の設定を行ってしまっても良く、いずれの処理を行うかは、自由に設定することができる。
なお、リハビリの条件を設定する場合には、例えば、これまで説明してきたように、条件設定部22が自動的に目標物の位置を設定することができる。但し、条件の設定画面をディスプレイ15に表示させて、利用者と理学療法士が相談の上設定することも可能である。利用者、或いは、理学療法士が単独で設定することも可能である。理学療法士が条件を設定する場合には、ヘッドマウントディスプレイ1のディスプレイ15以外の外部モニタに条件設定のための画面を表示させる。
以上、条件設定部22が目標物の設定を行うに当たっての条件について説明した。但し、ここで説明した条件についてはあくまでも例示であり、自由に設定することが可能である。
表示制御部23は、条件設定部22において表示位置が設定された目標物をディスプレイ15に表示させる。また、利用者に対してVRの状態を作出するために様々な映像を表示させるための制御を行う。
動作検出部24は、リハビリを行っている利用者の動作を検出する。具体的には、例えば、利用者が把持している第1のコントローラ3、第2のコントローラ4の位置、すなわち利用者の手の位置を検出する。また、ヘッドマウントディスプレイ1の位置から利用者の頭部の動きも検出する。
動作検出部24は、具体的には、例えば、取得された利用者の身体部位の位置情報と、当該位置情報の直前に取得された位置情報との差分をもって、利用者がどのように動いたかを検出する。また、例えば、カメラ等を用いて利用者の動きを外から検出することもできる。なお、このように利用者の動作の検出の方法については、既知の方法を適宜採用することができる。
判定部25は、利用者が所定のリハビリを完了させたか否かを判定する。また、利用者が行う1回のリハビリには、複数のトレーニングが含まれることを前提とする。卵を巣に運ぶメニューを例に挙げれば、例えば、右手を使って卵を左方向に移動させて巣に入れると、次に右斜め上に表示された巣に卵を移動させて卵を巣に入れる。このように利用者はリハビリの開始から終了までの間に、複数の方向に設定される巣に向けて卵を移動させる動作を行う。このように卵を巣まで移動させる1つの動作を1回のトレーニングとし、複数のトレーニングが行われて1回のリハビリとなる。
以下、本発明の実施の形態におけるリハビリのメニューとして、上述した卵を巣に運ぶメニューである場合を例に挙げて判定部25の機能について、図7ないし図10を用いて説明する。ここで図7及び図9は、実施の形態において、利用者が実際にリハビリを行う際にヘッドマウントディスプレイ1に表示される画面の一例を示す画面例である。また、図8及び図10は、実施の形態において、利用者が実際にリハビリを行う際における利用者の姿勢を外部から見た状態を示す説明図である。
すなわち、図7及び図9は、ディスプレイ15に表示される画面であり、リハビリ中に利用者が見る画面(画像)である。そして、表示されている内容に従って利用者が動作することによってリハビリが行われることになる。また、図9は、図7に示す画像がディスプレイ15に表示された後に表示される画像である。
利用者が図7に示されている画面を見ている際の姿勢を外部から見ると図8のように見える。同じように、利用者が図9に示されている画面を見ている際の姿勢を外部から見ると図10のように見える。
上述したように、本発明の実施の形態におけるリハビリのメニューは、ディスプレイ15に表示されている卵を、巣に移動させる内容である。図7に示すように、例えば、木々が立ち並ぶ森の中に卵Eが示されている。また、卵Eの右下には、利用者の右手が表示されている。さらに、卵Eの左下には、左斜め上を示す矢印が表示されている。すなわち、このトレーニングでは、利用者は、左斜め上に示されている巣(目標物)(図9参照)に向かって右手を使って卵Eを左斜め上に移動させる。
ここで利用者が右手を使うことを認識するのは、ディスプレイ15において、卵Eの右側に右手のイラストが表示されているからである。このように、トレーニングが開始されると、利用者に対して、卵Eを移動させる手と移動させる方向とが示される。
また、ディスプレイ15には、「TIME」として、利用者がリハビリのメニューを実行するために使用できる時間が示されている。従って、利用者はトレーニングの開始とともにディスプレイ15に表示される指示に従った動作を行うことになるが、トレーニングを行う時間がディスプレイ15上に表示され、その時間は次第に少なくなる。
なお、ディスプレイ15に表示される時間については、1回のトレーニングの開始から終了までの時間を示しても良く、或いは、複数のトレーニングを含む1回のリハビリの開始から終了までの時間を示しても良い。
トレーニングが開始される前には、図7に示すように、どの腕を使って卵Eをどの方向に示される巣Nの方向に動かすかがディスプレイ15に表示される。この状態では、図8に示すように、利用者は使用する腕を前に伸ばし、頭部も正面を向いている。図7では右手を使うよう指示されていることから、図8においても右手が前に伸びている。
一方、トレーニングが開始されると、図9に示すように、腕の移動に従って卵Eも移動する。すなわち、巣Nの方向に向かって利用者が卵Eを移動させる。図9では、利用者によって移動された卵Eが巣Nに近づいている。この状態を外部から見ると、利用者は図10に示すような姿勢となっている。すなわち、左斜め上に右手を移動させている。
利用者は、VR環境下において右手で卵を左斜め上に移動させ、巣Nに向かって卵Eを移動させる。このような当該移動に伴う利用者の動作については、動作検出部24によって検出される。卵Eが巣Nに入ったら1回のトレーニングが完了したものと判定部25によって判定される。
なお、卵Eが巣Nのどの位置まで移動されると1回のトレーニングが完了したものと見做されるかについては、自由に設定することができる。例えば、卵Eの外縁と巣Nの外縁とが接触することで、卵Eが巣Nに入ったものと見做してトレーニングが完了したと判定することができる。その他、例えば、卵Eの中心と巣Nの中心とが重なったことをもって卵Eが巣Nに入ったものと見做してトレーニングが完了したと判定しても良い。
以上、判定部25の機能について図7ないし図10を用いて説明した。ここで図7、図9の表示態様は自由に設定し、表示させることができる。例えば、図7、図9に表示される木々や時間の表示といった、いわば背景に該当する表示は、配置、形状、色彩等、利用者のリハビリに対する没入感を維持しつつリハビリの動作を阻害しなければどのようにでも設定することができる。
このように判定部25は、1回のトレーニングが完了したか否かの判定を行い、完了したと判定した場合には、次のトレーニングを行うように表示制御部23を介してディスプレイ15に新たな巣Nを表示させる。また、利用者の動作に関する情報については、トレーニングの結果として記憶部16に記憶される。
評価部26は、全てのトレーニングが完了し、リハビリが終了した後に、リハビリの結果について利用者に通知する機能を備える。評価部26は、判定部25が全てのトレーニングが完了してリハビリが終了したと判定した場合に、記憶部16にアクセスしてその利用者のリハビリの結果を取得する。そして、利用者が行ったリハビリの結果を利用者に通知する。
図11は、実施の形態において、評価結果の一例を示す表示例である。図7では、利用者に手渡すために、紙に示されたシートを示している。当該シートでは、空欄で示されているが、最上部に利用者に関する情報やリハビリが行われた日にち等の、いわゆる書誌的な事項が表示されている。また、この書誌的事項の下には、6つの項目が示されている。
左側上段には、「可動域」の項目が示されている。この可動域は、利用者がVR環境下でリハビリを行った結果として、腰がどのように動いたか、どの位置まで動かすことができたのか、すなわち脊椎及び肩関節の可動域を示すものである。ここでは、リハビリの対象となった、上下左右の合計4方向における可動域がレーダーチャートに配置され、それぞれの方向にどれだけ腰が動いたかが示されている。
当該レーダーチャートでは、「1」から「5」までの5つの段階が示されており、数字が大きくなるにつれより大きく腰を動かすことができたことを示している(「可動域」の右側、「今回の記録」の下側に示されている「可動域の方向」の表示参照)。
図11のレーダーチャートからは、上、左の方向については腰を大きく移動させることができていることが読み取れる。一方、特に右方向については、5段階のうち「2」の段階との結果が表示されている。ここからは、例えば、左手を用いて卵Eを右方向に表示されている巣Nに移動させる動作が十分に行われなかったことが読み取れる。また、下方向についても「3」の段階であり、まだ可動域は十分ではないと読める。
なお、ここでは可動域のみを示しているが、例えば、4方向それぞれの方向ごとに平均速度等、その他の情報を併せて表示させるようにしても良い。
「可動域」の右側には、「今回の記録」の表示がされている。今回のリハビリが行われたことによって利用者が取得した「獲得ポイント」と「ランク」が表示される。「獲得ポイント」は、利用者が設定された巣Nに対して卵Eを何回移動させることができたかを表す。従って、巣Nに卵Eを移動させることに成功した回数が多ければ多いほど獲得ポイントは大きくなる。付与される「獲得ポイント」と「ランク」については、数字に限定されず、例えば金銀銅のメダルのような態様であっても良い。
左側中段には、「痛みの強さの推移」が示されている。ここでは、横軸が時間軸を示し、縦軸が痛みの強さを示している。当該推移を見ると、リハビリを行った利用者は、2018年3月からリハビリを開始して、今回のリハビリは2019年2月に行われたことが分かる。また、3つの折れ線グラフが表示されており、図11ではその表示を省略しているが、丸は「運動恐怖」を、四角は「運動時痛」、三角は「安静時痛」を示している。図11に示す「痛みの強さの推移」を見ると、運動恐怖等のいずれもリハビリを重ねるごとに痛みの強さが和らいでいることが理解できる。特に、「安静時痛」については、リハビリ開始当初から比べれば大幅にその痛みが改善されている。
右側中段には、「可動域の推移」が示されている。ここでは、横軸が時間軸を示し、縦軸が可動域の量を示している。当該「可動域の推移」を見ると、リハビリのたびに順調に腰の可動域が広がっていることが分かる。
下段は獲得ポイントとの関係で2つのグラフが示されている。左側下段には、「可動域と獲得ポイントの判定」が示されている。ここでは横軸が獲得ポイントであり、縦軸に可動域が示されている。上述したようにリハビリのたびに腰の可動域が広がって卵Eを巣Nまで移動させることができるようになり、それに伴って獲得ポイントも増えていることが読み取れる。
また、右側下段は「獲得ポイントの推移」について示している。リハビリを開始した2018年3月の時点では、10,000ポイントであったものが、利用者は今回のリハビリによって、最終的に40,000ポイント獲得したことが示されている。
なお、図11では、利用者に手渡す紙媒体としてのシートに評価部26がリハビリの結果を示して通知している。但し、利用者への通知に当たっては、このような紙媒体の他、例えば、理学療法士のアドバイスを受ける際にモニタに表示させたり、或いは、利用者の情報端末に結果を通知することとしても良い。
さらに、利用者に渡すシートの裏面には、例えば、お勧めのストレッチの紹介や理学療法士のアドバイス等の情報を記載させることも可能である。また、評価部26が利用者に提供する情報として上述したような6つの項目を挙げたが、利用者への提供情報の項目、内容、表示方法等については、自由に設定、記載することが可能である。また、理学療法士向けに、別途評価結果を作成しても良く、この場合には、より詳細な情報を提供することとしても良い。
なお、ここでは例えば、リハビリ支援装置2が測定部21と、条件設定部22と、表示制御部23と、動作検出部24と、判定部25と、評価部26とを備えていることを前提に説明を行ってきた。すなわち、制御部11が所定のメモリや記憶部16等に記憶される、例えば、リハビリ支援プログラムといったプログラムをプロセッサに実行させることを前提にしている。
ここで本明細書における「プロセッサ」という文言は、例えば、専用又は汎用のCPU(Central Processing Unit) arithmetic circuit(circuitry)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))、GPU(Graphics Processing Unit)等の回路を意味する。
また、測定部21と、条件設定部22と、表示制御部23と、動作検出部24と、判定部25と、評価部26の各機能を、リハビリ支援装置2を制御回路として構成し、それぞれを個別に測定回路、条件設定回路、表示制御回路、動作検出回路、判定回路、或いは、評価回路として構成することも可能である。
また、ヘッドマウントディスプレイ1が備える、入力部14と、記憶部16と、通信制御部17をそれぞれ、入力回路と、記憶回路と、通信制御回路として構成しても良い。
[リハビリ支援装置の処理の流れ]
次に、利用者がリハビリを行う際に利用するリハビリ支援装置2の処理の流れについて、図12ないし図15に示すフローチャートを用いて説明する。図12ないし図15は、実施の形態において、測定、リハビリ、判定、結果表示といった各処理の流れを示すフローチャートである。
まずリハビリが開始されるに当たって、リハビリを行う利用者の特定が行われる(ST1)。これは、例えば、利用者の名前や性別、年齢等の情報をヘッドマウントディスプレイ1に入力することによって行われる。また、既に利用者に関する情報が存在するのであれば、通信制御部17を介して、他の装置から情報を取得することも可能である。なお、どのような情報を入力、取得するかについては、自由に設定することができる。
また、同時に、リハビリを行う利用者は、ヘッドマウントディスプレイ1を頭部に装着し、両手にはそれぞれ第1のコントローラ3と第2のコントローラとを把持してリハビリの準備を行う。
利用者がヘッドマウントディスプレイ1を装着し、第1のコントローラ3と第2のコントローラ4を把持したら、利用者の身体情報を取得する。具体的には、上述したリハビリの対象部位が腰である場合には、まず測定部21が頭部の位置測定を行う(ST2)。この測定は、上述したようにヘッドマウントディスプレイ1の位置を測定するものである。次に、利用者の腕の長さ(肩からコントローラまでの距離)を測定する(ST3)。さらに、腰の可動域を算出する(ST4)。
なお、頭部の位置測定と腕の長さの測定の順番については、ここでは頭部を先に行っているが、腕の長さを先に測定する処理としても良い。
測定部21は、利用者の全ての身体情報を取得したか否かを判定し(ST5)、測定が完了していない場合には(ST5のNO)、ステップST2に戻って引き続き測定を続ける。
一方、全ての測定が完了した場合には(ST5のYES)、さらに質問調査がヘッドマウントディスプレイ1のディスプレイ15に表示される。利用者は例えばコントローラを利用して質問内容に対する回答を入力する(ST6)。リハビリ支援装置2は、利用者による回答の入力が完了するまで待機し(ST6のNO)、入力が完了すると(ST6のYES)、次の確認事項へと遷移する。
ヘッドマウントディスプレイ1は、これからリハビリを行う利用者がこれまでリハビリを行ったことがあるか否かを確認する(図13のST7)。利用者がリハビリの経験者であるのか、或いは、全くリハビリを行ったことがなく、初めてのリハビリであるのかについては、リハビリのメニューや運動強度等を設定するに当たって必要な情報である。
もし利用者が初回のリハビリに臨む場合には(ST7のNO)、測定部21による測定結果に基づいて、条件設定部22においてリハビリの条件が設定される(ST8)。これまで説明してきたリハビリのメニューで言えば、条件設定部22が各トレーニングにおける卵Eを移動させる巣Nの表示位置を設定する。
一方、既にリハビリを受けたことがある場合には(ST7のYES)、条件設定部22はこれまで行われたリハビリに関する情報を、例えば、記憶部16、或いは、別の記憶装置等から取得する(ST9)。そして条件設定部22は、これまでのリハビリ内容に基づいて条件設定をするか否か判定する(ST10)。この判定条件については、事前に設定されている。
もしこれまでのリハビリ内容に基づいて条件を設定するのであれば(ST10のYES)、測定部21によって測定された結果とこれまでのリハビリ内容に基づいて条件が設定される(ST11)。
これに対して、これまでのリハビリ内容に基づかず条件を設定する場合には(ST10のNO)、上述したように測定結果に基づいて条件が設定される(ST8)。
このようにして、VR環境下における目標物の表示条件が設定されると、条件設定部22は、トレーニングの回数をN=1と設定する(ST12)。
そして、表示制御部23は、設定条件に基づいて、ヘッドマウントディスプレイ1のディスプレイ15に1回目のトレーニング内容を表示させる(ST13)。すなわち、両者の手の他、移動対象となる卵E、及び、目標物である巣Nを設定位置に表示させる。この状態でリハビリ(トレーニング)が開始される。なお、図13のステップST13では、ヘッドマウントディスプレイを「HMD」と表わしている。
動作検出部24は、トレーニングを行っている利用者の動作を検出する(図14のST14)。また、検出された利用者の動作に関する情報は、表示制御部23に送信され、当該情報に基づいて、表示制御部23はディスプレイ15の表示を随時更新する。
また、検出された利用者の動作に関する情報は判定部25にも送信され、検出された利用者の動作を判定する(ST15)。判定部25では、利用者が卵Eを巣Nに移動させたか否か、すなわち、予定されていたN回目のトレーニングが完了したか否かを判定し(ST16)、完了していない場合には(ST16のNO)、ステップST14に戻って、動作検出部24による利用者の動作の検出、判定部25による検出された動作の判定処理が行われる。
一方、判定部25が、例えば、利用者が卵Eを巣N移動させて予定されていたトレーニングが完了したと判定した場合には(ST16のYES)、トレーニングの結果を記憶部16に送信し、トレーニングの結果を記憶させる(ST17)。
また、1回目のトレーニングが完了した旨の信号を条件設定部22に送信する。条件設定部22では、トレーニングの回数を1回増やして「N+1」と設定する(ST18)。表示制御部23は、N+1回目のトレーニングの内容をディスプレイ15に表示させる(ST19)。この状態で、改めて新たなトレーニングが開始される。
動作検出部24は、トレーニングを行っている利用者の動作を検出する(ST20)。また、検出された利用者の動作に関する情報は、表示制御部23に送信され、当該情報に基づいて、表示制御部23はディスプレイ15の表示を随時更新する。
また、検出された利用者の動作に関する情報は判定部25にも送信され、検出された利用者の動作を判定する(ST21)。判定部25では、利用者が卵Eを巣Nに移動させたか否か、すなわち、予定されていたN+1回目のトレーニングが完了したか否かを判定し(ST22)、完了していない場合には(ST22のNO)、ステップST20に戻って、動作検出部24による利用者の動作の検出、判定部25による検出された動作の判定処理が行われる。
一方、判定部25が、例えば、利用者が卵Eを巣N移動させて予定されていたトレーニングが完了したと判定した場合には(ST22のYES)、トレーニングの結果を記憶部16に送信し、トレーニングの結果を記憶させる(図15のST23)。
さらに、判定部25は、リハビリ支援装置2を利用する利用者が全てのトレーニングを完了させたか否かも判定する(ST24)。もし全てのトレーニングが完了していない場合には(ST24のNO)、改めてステップST18に戻って予定のトレーニングが続けられる。
一方、全てのトレーニングが完了したと判定した場合には、(ST24のYES)、改めて利用者に対する質問調査を行い、質問調査の入力を受け付ける(ST25)。そして、評価部26によって、リハビリ結果の集計がなされ、利用者に対して表示される(ST26)。
以上実施の形態において説明した通り、VRの環境下において、利用者の動作を定量的に評価し、その評価に応じて利用者がリハビリの対象となる部位を動かすことによって、当該部位に対してリハビリの直接的な効果である疼痛緩和及び運動機能向上を付与することが可能である。
すなわち、VR内に目標物を配置して、利用者にその目標物に対して体を向けるように促すことで、リハビリの対象部位を動かすことができる。そのため本発明の実施の形態に説明したリハビリ支援装置及びリハビリ支援プログラムは、リハビリの対象部位に対する直接的な働きかけができ、当該部位における運動療法として機能させることができる。
また、併せてリハビリの結果を利用者等に開示することから、リハビリに基づく改善点を可視化することができ、さらなるリハビリの対象部位に対する運動機能向上を図ることができる。
なお、これまでは、ヘッドマウントディスプレイ1にリハビリ支援装置2が搭載される例を挙げて各種処理の内容を説明してきた。但し、このような装置構成だけではなく、その他の装置構成を採用することも可能である。図16は、別の変形例に係るリハビリ支援システムS1の全体構成を示すブロック図である。
リハビリ支援システムS1は、ヘッドマウントディスプレイ1Aと、第1のコントローラ3と、第2のコントローラ4とを備え、それぞれが情報端末5と接続されている。そして、当該情報端末5内に、リハビリ支援装置2が設けられる。
ここで、情報端末5としては、例えば、リハビリが行われる機関に設置されているワークステーション、機関内に構築されている各種システムを構成する端末、或いは、理学療法士等が所持するスマートフォンやPDA等の各種携帯情報端末であっても良い。
また、情報端末5内に設けられるリハビリ支援装置2は、これまで説明してきたように、情報端末5や当該情報端末5に接続される外部記憶装置等に記憶されているリハビリ支援プログラムが制御部に実装されることによって構成されても良い。さらには、リハビリ支援装置2を構成する各部がそれぞれ回路として構成されても良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。