JP6626930B1 - 採水ディスペンサー及び純水製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】含まれる生菌の数を低減した純水を常に供給することが可能な採水ディスペンサーを提供する。【解決手段】純水の採水に用いられる採水ディスペンサーは、純水源に接続する開閉弁と、開口を有し、開閉弁の出口から流出した純水を開口から吐出するノズルと、紫外線LEDと、を備える。ノズルに供給される純水が流れる流路を、ノズルの開口を一端とする区間において直線に形成する。直線に形成されている区間を流れる純水に対し、当該区間での純水の流れの上流側から、流れの軸方向に沿って紫外線を照射するように、紫外線LEDを配置する。【選択図】図2

Description

本発明は、純水製造装置などに接続され、需要に応じて純水を吐出する採水ディスペンサーと、そのような採水ディスペンサーを備える純水製造装置とに関する。
研究機関などにおいて純水を利用する場合、比較的小型の純水製造装置を用いて純水を製造することが多い。そしてユースポイントにおいて純水を例えばビーカー、フラスコ、試験管などに採水するために、純水製造装置に接続する採水ディスペンサーが広く用いられている。採水ディスペンサーは、純水を吐出するノズルと、ノズルへの純水の経路に設けられてノズルに対して純水を供給し、またこの供給を遮断する開閉弁とを備えている。採水ディスペンサーは、通常、純水製造装置の本体とは離れた場所に設けられ、配管によって純水製造装置本体の純水出口に接続される。利用者が開閉弁を操作することによってノズルから純水が吐出し、これにより、利用者はその必要に応じた量で純水を採水することができる。開閉弁としては、手動のものを用いることもできるが、電磁弁を用いることもできる。手動の開閉弁としては、手で操作されるものに限定されず、例えば、足踏みペダル等によって操作されるものも含まれる。電磁弁を用いる場合には、指で操作できる押しボタンスイッチあるいは足によって操作できる足踏みスイッチ等により電磁弁を制御し、ノズルから純水を吐出させる。さらに、流量センサーと電磁弁とを組み合わせることにより、1回のスイッチ操作があったときに流量センサーによって計測される流量が規定値に達するまで電磁弁を開放することにより、規定量の純水を採水できるようにすることもできる。特許文献1には、採水量に応じてノズルを交換することができる採水ディスペンサーと、採水量ごとのノズルの構成とが開示されている。
バイオサイエンスなどの分野では、純水中の生菌数が多いと実験・分析結果が影響を受けるため、純水中の生菌数を低減させることが必要となる。そこで従来から、純水製造装置の内部に紫外線殺菌装置を設けることが行われている。例えば特許文献2には、被処理水を処理して純水を製造する純水製造装置内に、紫外線LED(発光ダイオード;light emitting diode)により発生した紫外線を被処理水に照射して殺菌を行う紫外線殺菌装置を組み込むことを開示している。また実験室などにおいて使用される水を殺菌するための装置として、特許文献3には、管の端部に紫外線LEDからなる紫外光源を設け、この管に通水して殺菌を行う装置が開示され、特許文献4には、容器の蓋部分に紫外線LEDからなる紫外光源を設け、容器内の被処理水を殺菌する構成が開示されている。
特許文献5には、製薬分野で用いられる純水の水質管理のために純水配管から純水を採水するサンプリングバルブにおいて、純水のサンプリング後にバルブ内に残った微生物を殺菌または滅菌することができるようにするために、配管から管路を分岐させるとともに紫外線を管路内に照射するための光源を設けることを開示している。
特開2013−180285号公報 特開2016−123930号公報 特表2016−523594号公報 特表2016−525906号公報 国際公開第2016/002475号
研究機関などでは1日当たりの純水使用量は比較的小さく、採水も非連続的に行なわれることが多い。しかしながら、このように非連続的に採水を行なう場合には、たとえ紫外線殺菌装置を備える純水製造装置を使用したとしても、採水を行なっていないときに装置内や配管内で純水が滞留するため、純水中で生菌の繁殖が進んでしまうおそれがある。
本発明の目的は、含まれる生菌の数を低減した純水を常に供給することが可能な採水ディスペンサーと、含まれる生菌の数を低減した純水を常に供給することが可能な純水製造装置とを提供することにある。
本発明の採水ディスペンサーは、純水の採水に用いられる採水ディスペンサーであって、純水源に接続する開閉弁と、開口を有し、開閉弁の出口から流出した純水を開口から吐出するノズルと、紫外線LEDと、を備え、ノズルに供給される純水が流れる流路は、ノズルの開口を一端とする区間において直線に形成され、紫外線LEDは、直線に形成されている区間を流れる純水に対し、その区間での純水の流れの上流側から、流れの軸方向に沿って紫外線を照射するように配置されている。
本発明の純水製造装置は、本発明の採水ディスペンサーを備えることを特徴とする。
本発明によれば、純水を吐出するノズルの開口までの区間において純水に紫外線を照射できるように構成されているので、ノズルから吐出されるその瞬間まで純水に紫外線を照射でき、含まれる生菌の数を低減した純水を常に供給することが可能になる。
純水製造装置の構成の一例を示す図である。 (a),(b)は、それぞれ、本発明の実施形態の一形態の採水ディスペンサーを示す図で側面図及び正面図である。 (a),(b)は、それぞれ、採水ディスペンサーのヘッド部の平面図と側面図である。 実施例における配置を示す図である。
次に、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して説明する。本発明に基づく採水ディスペンサーを具体的に説明する前に、まず、採水ディスペンサーに対する純水源としての純水製造装置について、図1を用いて説明する。採水ディスペンサー50は純水製造装置10に対して取り外し可能に接続されるものであるが、図1では、既に採水ディスペンサー50が接続されているものとして純水製造装置10が描かれている。
図1に示す純水製造装置10は、循環精製により純水を生成するサブシステム(二次純水システム)として構成されたものであり、一次純水が供給される貯槽11と、貯槽11の出口に接続して貯槽11内の純水を給送するポンプ12と、ポンプ12の出口に接続された流量センサ(FI)13と、紫外線酸化装置(UV)14と、強酸性カチオン交換樹脂と強塩基性アニオン交換樹脂とが混床で充填された非再生型イオン交換装置(CP:カートリッジポリッシャーともいう)15と、限外濾過装置(UF)16とを備えている。紫外線酸化装置14、非再生型イオン交換装置15及び限外濾過装置16は、この順で、流量センサ13の出口に接続している。紫外線酸化装置14は純水中の全有機炭素(TOC)を分解するためのものであって殺菌作用も有するが、紫外線酸化装置14とは別に貯槽11に紫外線殺菌ランプを設けてもよい。
純水製造装置10は循環精製によって純水を生成するが、本実施形態では、純水は採水ディスペンサー50も含めて循環するようにしている。そのため、限界濾過装置16の出口は配管17を介して純水製造装置10の循環出口18に接続している。また、純水製造装置10は、採水ディスペンサー50から戻ってきた純水を受け入れる循環入口19を備えており、循環入口19は配管20を介して貯槽11に接続している。一次純水としては、例えば市水をフィルター、活性炭処理装置及びイオン交換装置に通水して得られた水が用いられる。
この純水製造装置10では、貯槽11からポンプ12を経て、流量センサ13、紫外線酸化装置14、非再生型イオン交換装置15、限外濾過装置16及び採水ディスペンサー50を通り貯槽11に戻る循環精製系が構成されている。ポンプ11を動作させて循環精製系に純水を循環させることによって、純水がさらに精製される。採水ディスペンサー50が接続していない状態でも純水を循環させることができるように、配管17と配管20とを短絡する配管21が設けられ、配管21にはバイパス弁22が設けられている。バイパス弁22は、採水ディスペンサー50が純水製造装置10に接続しているときには閉じられ、接続していないときには開けられる。後述する定量採水を実施するために、配管20において、配管21が接続する位置よりも循環入口19側の位置に、電磁弁23が設けられている。さらに純水製造装置10には、純水製造装置10の全体の動作を制御し、特に、利用者の入力に基づいて採水ディスペンサー50からの純水の吐出を制御するために、制御装置30が設けられている。図1において点線は、制御装置30に対する電気系統の配線のうち、採水ディスペンサー50からの純水の吐出の制御に関わる配線を示している。
採水ディスペンサー50は、例えば実験台の上に載置される本体部50aと、利用者が手に持って動かすことができるヘッド部50bとから構成されている。ヘッド部50bには実際に純水を吐出するノズル66が設けられている。採水ディスペンサー50は、純水製造装置10の循環出口18及び循環入口19にそれぞれ接続する配管51,52を備えており、配管51,52は、本体部50aを経てヘッド部50bにまで延びている。本体部50aには、利用者に対して情報を提示し、利用者からの入力を受け付けるための、例えばタッチパネルからなる操作パネル53が設けられている。
配管51,52は、本体部50aとヘッド部50bの間では、これらの配管51,52を一体化させた複合配管60として設けられており、ヘッド部50bは、その接続部材63によって複合配管60に接続する。ヘッド部50bの内部には、接続部材63によって配管51,52とそれぞれ一端が接続する配管61,62が設けられている。配管61,62の他端は相互に接続し、この接続点からノズル66に至る流路が形成されている。この流路の構成については後述するが、この流路には電磁弁65が設けられており、また、流路内の純水に紫外線を照射するように紫外線LED64が配置されている。さらにヘッド部50bには、電磁弁65の操作のためのスイッチ67も設けられている。電磁弁65を開とすることにより、ノズル66に形成されている開口から純水が吐出する。
図2(a),(b)はそれぞれ採水ディスペンサー50の側面図と正面図であり、図3(a),(b)はそれぞれヘッド部50bの平面図と側面図である。以下、これらの図を使用して採水ディスペンサー50についてさらに詳しく説明する。
本体部50aは、実験台の上などに載置される部分であるベース54と、ベース54から上方に延びる柱状部55と、ベース54に一端が取り付けられた屈曲可能なアーム56と、アーム56の先端に設けられてヘッド部56を取り外し可能に保持するヘッドホルダ57と、を備えている。ヘッドホルダ57には、ヘッド部50bに形成された固定用孔69に係合するピン58が設けられており、ヘッドホルダ57にヘッド部50bを支持させたときにヘッド部50bが容易には移動しないようになっている。可撓性を有する上述した複合配管60は、本体部54の背面とヘッド部50bとの間を接続している。なお、説明のため、図2(a),(b)では純水製造装置10と本体部50aの間を接続する配管類や配線類は示されおらず、図2(b)では複合配管60は示されていない。操作パネル53はベース54に設けられている。
ヘッド部50bは、利用者が手で持って容易に動かすことができるように、ハンドル(取っ手)70が形成されている。ハンドル70を持ってヘッド部50bを上方に動かせば、固定用孔69からヘッドホルダ57のピン58が離脱する。これによって、利用者は、ヘッドホルダ57を介してヘッド部50bを本体部50bに固定して採水を行なったり、あるいは、ヘッド部50bを手で持って実験台の上に整列して置かれた多数の試験管に対して次々と純水を注いだりすることができるようになる。ハンドル70には、スイッチ67に対して機械的に接続するボタン73が設けられており、スイッチ67とボタン73とによって押しボタンスイッチが構成されている。この押しボタンスイッチは、採水のために採水要求を入力して電磁弁65の開閉を制御するために用いられ、例えば、ボタン73が指により押圧されているときだけ電磁弁65を開けてノズル66から純水を吐出させるような制御を実行することができる。さらに、ハンドル70の外面にダイヤルを設け、ヘッド部50b内に設けたロータリーエンコーダによってダイヤルの回転を検出するようにしてもよい。このようにヘッド部50bにダイヤルとロータリーエンコーダを設け、さらにロータリーエンコーダの出力に応じて電磁弁65を開状態としたときの開度を制御できるようにすれば、利用者は、ダイヤルを回転させることによって、電磁弁65を流れてノズル66から吐出される純水の流量を調整することが可能になる。
ノズル66は、ヘッド部50bにおいて、ヘッドホルダ57にヘッド部50bを載置したときに下側となる面に設けられている。ノズル66は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)やPVDF(ポリフッ化ビニリデン)などのフッ素樹脂から構成されており、内部に直線状の貫通孔が流路として形成されており、貫通孔の先端である開口から純水を吐出する。ノズル66を保護し、また、ノズル66から吐出している純水に大気中からのごみなどが混入しないように、ノズル66の周辺を囲みかつ下方に向かって開く透明な保護カバー74が設けられている。
ヘッド部50bの内部において接続部材63から延びる配管61,62は三方継手71の2つの端部にそれぞれ接続している。三方継手71のもう1つの端部すなわち出口は、PTFEやPVDFなどのフッ素樹脂からなる中空体すなわちケース72の内部に連通している。ここでは三方継手71としては図示されるようにY字継手を用いているが、Y字継手の代わりにT字継手を用いてもよい。三方継手71は、配管61,62の接続点を構成し、これにより、純水製造装置10と採水ディスペンサー50との間で循環精製のために純水を循環させる経路が完成することになる。電磁弁65は、少なくとも純水と接触する部分がPTFEやPVDFなどのフッ素樹脂で構成されたものであり、開状態では入口側から出口側に向けて直線の流路が形成されるものである。三方継手71の出口からノズル66の先端の開口に至るまでの純水の流路は、ケース72、電磁弁65及びノズル66で構成されることになる。特に本実施形態の採水ディスペンサー50では、図3(b)において一点鎖線Lで示すように、ケース72、電磁弁65及びノズル66による流路は一直線上に配置されている。すなわち、ノズル66に供給される純水が流れる流路は、ノズルの先端の開口を一端とする区間において直線に形成されている。
紫外線LED64は、ケース72の側からノズル66に向けて、一点鎖線Lすなわちケース72からノズル66への流路の軸方向に沿って、純水の流れの上流側から、この流路内の純水に紫外線を照射するように配置されている。ケース72内に紫外線を導入することができるように、ケース72の紫外線LED64を向いた面は、紫外線導入窓となる石英ガラス板75によって構成されている。実際には紫外線は紫外線LED64からある広がりをもって出射するから、ケース72内に対して図示矢印で示すように紫外線が入射することになる。特に電磁弁65が開状態にあるときは、紫外線LED64からの紫外線は、ノズル66にまで達することができ、その結果、吐出のためにノズル66に至る流路内を流れる純水に紫外線を照射でき、ノズル66からの吐出の直前のタイミングで純水の殺菌処理を行なえることになる。紫外線導入窓である石英ガラス板75の部分を除き、ケース72、電磁弁65及びノズル66からなる流路の内壁はフッ素樹脂で構成されているが、フッ素樹脂は、純水に対する溶出が少なく、紫外線に対する耐久性を有し、しかも紫外線を大きく乱反射(拡散反射)するので、紫外線が照射される部分を構成する素材として好ましいものである。
次に、紫外線LED64として用いることができる素子について説明する。本実施形態においては、紫外線LED64によって発生する紫外線により純水中の生菌を低減するので、紫外線LED64が発生する紫外線は殺菌効果の高い波長のものである必要がある。この観点から、紫外線LED64としては、その発光ピーク波長が260nm以上285nm以下の範囲内にあるものを使用することが好ましい。この程度の波長の紫外線LED64は、動作時の発熱量が大きいから、紫外線LED64には適宜の放熱板あるいはヒートシンクを取り付けることが好ましい。
従来は殺菌用の紫外線の光源としては水銀ランプが多用されていたが、水銀ランプは大型であって採水ディスペンサーなどへの組み込みが不可能であった。また、水銀ランプは、立ち上がりに時間がかかり、かつ、オン/オフの頻度が高いと著しく寿命が短くなるため、ユースポイントでの純水の需要があるたびに動作させるという使い方には適さないものであった。これに対し本実施形態では、小型であって立ち上がり時間が早く、オン/オフを繰り返しても劣化が少ない紫外線LEDを用いることにより、採水ディスペンサーに組み込んで、ノズル66から吐出する直前のタイミングでの殺菌処理を可能にしている。例えば、紫外線LEDのサイズは数mm角から2cm角程度であり、紫外線LEDの立ち上がり時間もミリ秒のオーダーであってこれは電磁弁65の作動時間に匹敵するかそれよりも速い。紫外線LEDを用いれば、純水の需要があるときだけ紫外線の照射を行うようにしても、素子の寿命の問題を生じることなく、確実に殺菌処理を行うことができる。
次に、本実施形態の採水ディスペンサー50を制御するための構成を説明する。純水製造装置10内の制御装置30は、流量センサ13からの流量検出結果と、採水ディスペンサー50のスイッチ67の状態とが入力し、純水製造装置10内の電磁弁23と、採水ディスペンサー50内の紫外線LED64及び電磁弁65を制御する。また、採水ディスペンサー50の操作パネル53も制御装置30に接続しており、制御装置30は、操作パネル53を介して利用者に対して情報の表示を行なうとともに設定の入力を促し、利用者からの設定の入力を受け付ける。制御装置30とヘッド部50b内の紫外線LED64、電磁弁65及びスイッチ67とを接続する電気配線は、本体部50aを経由しており、特に本体部50aとヘッド部50bとの間では、複合配管60を経由している。採水ディスペンサー50に設けられたスイッチ67は、採水を行なうための採水要求を入力するために利用者によって操作される。もっとも、採水要求を入力するための手段は、採水ディスペンサー50に設けられたスイッチ67に限定されるものではない。例えば、利用者の足で操作可能なフットスイッチ(不図示)を設け、フットスイッチの操作によって採水要求が制御装置30に入力するようにしてもよい。さらには、採水ディスペンサー50にスイッチ67を設けるとともにフットスイッチも設け、いずれかのスイッチが操作されることで採水要求が制御装置30に入力されるようにしてもよい。
操作パネル53を介して利用者によって設定可能な項目には、例えば、採水量や採水モードがある。採水モードには、例えば定量モードと任意量モードがある。定量モードは、1回のスイッチ操作(すなわち1回の採水要求)によって、予め設定された量の純水を採水するモードである。これに対して任意量モードは、スイッチ67などのスイッチが操作されている期間中(すなわち採水要求が出されている期間中)、純水をノズル66から吐出し続けるモードである。制御装置30は、定量モードが設定されているときにスイッチ操作などによる採水要求を受け付けたときは、電磁弁23を閉じ、流量センサー13で検出される流量の累積値が設定値となるまで電磁弁65を開放する制御を行なう。流量の累積値が設定に達したら電磁弁23を開けて純水の循環を再開させるとともに、ヘッド部50b内の電磁弁65を閉じて採水を終了させる。これにより、予め定めた量の純水が採水できたことになる。一方、採水モードが任意量モードであるときにスイッチ67などが操作されて採水要求を受け付けたときには、制御装置30は、採水要求が出ている期間だけ電磁弁65を開放する制御を行なう。その結果、利用者がスイッチ67などを操作している期間中、純水が電磁弁65を介してノズル66から吐出する。任意量モードの場合には電磁弁23は開放状態のままであり、純水製造装置10と採水ディスペンサー50との間の純水の循環は継続する。さらに制御装置30は、ここで説明した電磁弁23,65の制御のほかに、ヘッド部50b内の電磁弁65が開放しているときには採水モードによらずに紫外線LED64が駆動され、電磁弁65が閉じているときには紫外線LED64が消灯するように制御を行なう。この制御は、実際には、電磁弁65の開閉と連動して紫外線LED64の駆動を行なうことにより実現される。これにより、ノズル66から吐出される純水が、ノズル66からの吐出の直前のタイミングで紫外線を照射され、殺菌処理されることになる。
純水を循環させつつその循環の経路のいずれかにおいて紫外線照射による殺菌処理を行なっていれば、生菌類は増殖しにくい。これに対し、循環せずに滞留する箇所にある純水では生菌類が増殖しやすい。採水ディスペンサー50のヘッド部50b内のケース72や電磁弁65も、長時間にわたって採水を行なわなかった場合には、生菌類が繁殖しやすくなる条件を満たす可能性がある。そこで、本実施形態では、採水が行われない場合であっても、例えば1時間に1回、1分間程度にわたって紫外線LED64を駆動し、ケース72や電磁弁65内に滞留している純水に対する殺菌処理を行なうことが好ましい。
上述した採水ディスペンサー50では、紫外線LED64からの紫外線が入射するケース72と、純水を吐出するノズル66との間に電磁弁65を配置しているが、電磁弁65を設ける場所はこれに限られない。例えば、三方継手71とケース72とに間に電磁弁65を配置し、ノズル66はケース72に直接接続するようにしてもよい。すなわち採水ディスペンサー50は、電磁弁65の位置によらず、電磁弁65から流出した純水に対して紫外線を照射できるように構成されていればよい。さらには、純水製造装置10の循環精製系を構成する配管を採水ディスペンサー50にまで引き伸ばさずに、純水製造装置10内で循環精製系から分岐した単一の配管を採水ディスペンサー50に接続するようにしてもよい。しかしながら、上述したように純水が滞留しやすい箇所では生菌が繁殖しやすいので、できる限り、この滞留しやすい箇所の全体に紫外線を照射できて殺菌処理を行なえることが好ましい。そのため、電磁弁65にも紫外線が照射されるようにケース72とノズル66の間に電磁弁65を設けることが好ましく、また、循環精製系から分岐する部分の配管長をできるだけ短くするために、循環精製系を構成する配管を採水ディスペンサー50に引き込むことが好ましい。
次に、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
上述した実施形態で説明した採水ディスペンサー50のヘッド部50bを利用して、図4に示す装置を組み立てた。大気開放型の貯槽81に純水を貯え、ポンプ82及び弁83を介し、ヘッド部50bの配管61に純水を供給するようにした。ヘッド部50bの配管62の出口は閉じた。そして、弁83を調整し電磁弁65を開くことによって、0.2mL/分の流量でヘッド部50bのノズル66から純水を吐出した。紫外線LED64としては、日機装株式会社製のVPC161(中心波長:277nm)を使用し、純水に紫外線を照射するときはこの紫外線LED64を300mAで駆動した。紫外線LED64によって純水に紫外線を照射したときと照射しなかったときのそれぞれについて、吐出された純水を100mLに対し、日本薬局方第17改正の参考情報G8「製薬用水の品質管理」の4.4「微生物モニタリング」に規定する生菌数評価法(注射用水)にしたがって、生菌数を評価した。培地としてはR2Aカンテン培地を使用し、培養期間を7日間とし、培養温度を23±1℃とした。そして100mLあたりのcfu(コロニー形成単位)により生菌数を求めた。
紫外線照射を行なった純水では生菌が検出されなかったのに対し、紫外線照射を行なわなかった純水では、生菌数が45cfu/100mLであった。本発明に基づく採水ディスペンサーによれば、含まれる生菌の数を低減した純水を常に供給することが可能になることが分かった。
10 純水製造装置
23,65 電磁弁
30 制御装置
50 採水ディスペンサー
50a 本体部
50b ヘッド部
64 紫外線LED
66 ノズル
70 三方継手
72 ケース

Claims (6)

  1. 純水の採水に用いられる採水ディスペンサーであって、
    純水源に接続し、開状態において入口側から出口側に向けて直線の内部流路を形成する開閉弁と、
    開口を有し、前記開閉弁の出口から流出した純水を前記開口から吐出するノズルと、
    紫外線LEDと、
    を備え、
    前記ノズルに供給される純水が流れる流路は、前記ノズルの前記開口を一端とする区間において直線に形成され、
    前記直線に形成されている区間内に前記開閉弁が配置され、前記開閉弁の内部流路は前記直線に形成されている区間における前記流路の一部を構成し、
    前記紫外線LEDは、前記直線に形成されている区間を流れる純水に対し、当該区間での純水の流れの上流側から、前記流れの軸方向に沿って前記ノズルに向けて紫外線を照射するように配置されている、採水ディスペンサー。
  2. 前記開閉弁は駆動信号によって開く電磁弁であり、前記紫外線LEDは、前記駆動信号に連動して、前記電磁弁が開状態であるときに駆動される、請求項1に記載の採水ディスペンサー。
  3. 前記直線に形成されている区間における流路の壁面は、紫外線を導入するための窓となる部分を除き、前記開閉弁において純水と接触する部分も含めてフッ素樹脂によって構成されている、請求項1または2に記載の採水ディスペンサー。
  4. 前記純水源から純水が供給される第1の配管と、
    前記純水源に純水を戻す第2の配管と、
    前記第1の配管と前記第2の配管と前記直線に形成されている区間とに接続する三方継手と、
    を有する請求項1乃至のいずれか1項に記載の採水ディスペンサー。
  5. 前記純水源は循環精製による純水を生成する純水製造装置であり、前記第2の配管は循環精製のために前記純水を前記純水製造装置に戻す、請求項に記載の採水ディスペンサー。
  6. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の採水ディスペンサーを備えることを特徴とする純水製造装置。
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