JP6626367B2 - 立体像調整装置及び立体像調整方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献1の方法では、スクリーンの周囲に配置された映像を表示しない枠へマーカーを表示するので、スクリーンの中央部等の画面内側に局所的な歪みがある場合には、そのような歪の補正に対応することができない。
このように立体像調整装置では、マーカー自体を立体像として用いており、マーカーの立体像では、表示面からの奥行き距離を用いて位置を補正することができる。この奥行き距離を大きくしていくと、マーカーの立体像についての基準位置から検出位置までのずれが大きくなることから、光学素子アレイを介した要素画像における補正値をより細かく求めることができる。したがって、立体像調整装置では、サブピクセルレベルの補正をすることができ、従来の2次元の平面パターンを利用する補正方法に比べて高精度な補正が可能になる。
まず、立体像調整方法において立体像調整装置100と協働する立体映像表示装置について説明する。ここでは光学素子アレイとしてレンズアレイ220を用いたインテグラル方式の立体映像表示装置200の場合について説明する。この立体映像表示装置200は、画像表示部210と、レンズアレイ220と、を備えている。
立体像調整装置100は、位置を検出するマーカーを用いて立体像を調整する装置であり、検出器110と、要素画像生成手段120と、補正値算出手段130と、を備えている。
検出器110は、立体映像表示装置200の表示面に要素画像群を表示することで再生された複数の立体像マーカーを検出するものである。検出器110は、例えばフォトディテクターやデジタルカメラから構成され、本実施形態では単一のカメラであるものとする。このように、検出器110にカメラを使用する場合、ピント位置を立体像マーカーの奥行き位置に制御する。また、内部パラメータが既知であり、撮影画像に対してはカメラ光学系の歪み補正を行うものとする。検出器110は、観察者側から、立体像(表示面の近傍に複数個再生された立体像マーカー)を捉える。
要素画像生成手段120は、所定の位置に立体像マーカーが再生されるように要素画像群を生成するものである。ここで、所定の位置とは、立体映像表示装置200の表示面から所定の奥行き距離だけ離間した位置であり、かつ、マーカーを表示させようとする予め設定された基準位置である。つまり、所定の位置は、3次元空間の位置であり、基準位置は画面内の位置(2次元空間の位置)である。なお、基準位置は、この立体像調整装置の利用者が、立体像マーカーを表示させたい所望の位置であり、例えば事前校正で求めた表示装置の画面内を表す位置情報で特定することができる。
ここで、再生される立体像マーカーについて説明する。マーカーの形状の具体例として、余弦二乗の輝度分布を持つ円を使用する方法が下記参考文献1に記載されている。
参考文献1:金澤勝、外3名、"副尺視力に基づく画像解像度と階調の相乗効果の一検討とマルチ画面の位置合わせ用信号への適用"、映像情報メディア学会誌 vol. 57, no. 11, 2003, p. 1491-1500
立体像マーカーは、奥行き距離が大きければ大きいほど、高感度にずれ量を検出できる。図4(a)及び図4(b)は、要素画像の位置のずれと立体像の再生位置(検出位置)のずれの関係を示している。このうち、図4(a)では、表示面から所定の奥行き距離(f+z1)の位置に、立体像マーカーの基準位置を黒丸で表し、立体像マーカーの再生位置(検出位置)を白丸で表している。ここで、fは要素レンズ221の焦点距離、z1は、レンズアレイ220を基準とした奥行き距離である。また、要素レンズ221に対応する要素画像が表示された表示面から焦点距離fだけ離間してレンズアレイ220が配置されている。立体像マーカーは、いくつかの画素が関わって再生されている。ここでは、13画素からなる要素画像を一次元で模式的に示し、要素画像の位置のずれΔpは2画素であるもとして示した。このときの立体像の再生位置のずれ(誤差)はΔg1である。
図1に戻って立体像調整装置100の構成の説明を続ける。
補正値算出手段130は、各立体像マーカーから検出された検出位置と各マーカーを表示させようとする基準位置との誤差に基づいて、表示面に表示される要素画像群全体を補正するための補正値を算出するものである。この補正値算出手段130は、誤差値算出手段131と、位置ずれ算出手段132と、補正値生成手段133と、を備えている。
参考文献2:日下部裕一、金澤勝、岡野文男、"超高精細映像表示システムのコンバーゼンス誤差と素子位置調整の自動化"、映像情報メディア学会誌vol. 60, no. 2, 2006, p. 234-241
次に、立体像調整方法の流れについて図5を参照して説明する。立体像調整装置100は、立体映像表示装置200と協働して、位置を検出するマーカーを用いて以下のステップS13A〜ステップS17Bの一連の補正処理を繰り返すことで、立体像を調整する。この立体像調整方法では、一連の補正処理の前に、例えば事前校正を予め行っておく(ステップS10)。この事前校正の詳細については後記する。
また、立体映像表示装置200は、表示面に表示された要素画像群から立体像マーカーを再生表示する(ステップS13B:再生表示工程)。なお、この要素画像生成工程と再生表示工程とは一対の処理工程であり、連続的に行われる。
一方、人が立体像を観察して、微調整が必要だと思えば、奥行き距離の変更指示を装置に入力する。例えば、要素画像生成手段120に、奥行き距離の変更指示が入力されたと判定した場合(ステップS18:No)、奥行き距離Dに関する識別子iに1を加え(ステップS19)、ステップS12に戻る。すなわち、立体映像表示装置200の表示面から立体像マーカーまでの奥行き距離Diを以前よりも大きくした状態で、前記一連の処理を繰り返す。ステップS19は、少なくとも1回は行う。上記流れにより、順次、立体像マーカーを、表示面からの奥行き距離を大きくしながら、表示し、一連の補正処理を行って、補正精度を高めていくことができる。
事前校正工程(ステップS10)は、カメラ(検出器110)とレンズ(レンズアレイ220)との位置関係を取得する工程である。図6に示すように、検出器110は、立体映像表示装置200の表示面の四隅を検出する(ステップS10A)。すなわち、検出器110は、図3に示すようなレンズアレイ220の四隅C1,C2,C3,C4を捉える。具体的には、検出器110で撮影した画像を基に、四隅の位置を手動で指定する。
図5に示す補正値算出処理の流れについて図7を参照して説明する。
まず、補正値生成手段133は、例えば、立体像マーカーの識別子kの初期値を1に設定する(ステップS161)。そして、誤差値算出手段131は、k番目の立体像マーカーについて、その検出位置と基準位置との誤差値を算出する(ステップS162:誤差値算出工程)。そして、位置ずれ算出手段132は、k番目の立体像マーカーについて、誤差値から要素画像における位置のずれ(離散的な補正値)を算出する(ステップS163:位置ずれ算出工程)。続いて、補正値生成手段133は、すべての立体像マーカーの選択が終了したか否かを判別する(ステップS164)。
立体像マーカーは、輝度分布を持つ円形状に限定されるものではなく、図8に例示した形状でも構わない。
図8(a)に示す立体像マーカーMaは、正面視で十字形状である。
図8(b)に示す立体像マーカーMbは、ドットパターンの形状であり、全体として見れば十字の中心及び十字の両端部に対応した合計5か所にドットが配置されている。
図8(c)に示す立体像マーカーMcは、十字形状に輝度分布を持つ形状を組み合わせたものである。
図8(d)に示す立体像マーカーMdは、ドットパターンと、輝度分布と、カラーとを組み合わせたものである。中心には輝度分布を持つ青い円形が配置され、その周囲であって全体として見れば十字の両端部に対応した合計4か所に赤いドットが配置されている。
第1実施形態では、画像表示部210は、1回の表示で画面内に複数個の立体像マーカーを表示するものとしたが、以下の(1)〜(3)のように、時間分割で異なる位置又は/及び異なる形状で立体像マーカーを順次再生表示するようにしてもよい。
(3)さらに、立体像マーカーを異なる位置且つ異なる形状で表示してもよい。
ステップS13B(図5参照)にて、立体映像表示装置200が立体像マーカーを再生表示するので、この時点で人が立体像マーカーを観察することができる。そして、立体像マーカーを異なる位置や異なる形状で表示したい場合、変更指示を装置に入力する。
なお、上記(1)〜(3)のいずれの方法で時分割処理を行うのか事前に決めておく。
本発明の立体像調整方法は、複数台の立体映像表示装置200を使用した立体像の調整にも適用することができる。例えば2台であれば、1台目の立体映像表示装置200を移動させて、その同じ位置に2台目の立体映像表示装置200を設置してもよいし、異なる位置に設置しておいてもよい。第4実施形態に係る立体像調整装置100の構成は、第1実施形態と同様であるが、立体像マーカーの基準位置を再設定する点が相違する。ここでは、一例として補正値算出手段130が基準位置を再設定することした。
第4実施形態に係る立体像調整方法の流れについて図9を参照して説明する。ここでは、既に、1台目の立体映像表示装置200を用いて一連の処理を繰り返すことで、再生表示される複数の立体像マーカーを調整し終えており、再生表示位置が補正済みの立体像マーカーを表示可能となっているものとする。
第1の立体像マーカーは、同心円の重複部(小さな円)を黒で示し、それ以外を白で示している。
第2の立体像マーカーは、同心円の重複部(小さな円)を白で示し、それ以外を黒で示している。
第1の立体像マーカーと第2の立体像マーカーとは互いに重ねて円の中心を一致させると、1つの黒い円になるような形状である。
なお、これらの形状は一例であって、立体像マーカーはこれらの形状に限るものではない。例えば、第1の立体像マーカーと第2の立体像マーカーとを同一形状としつつ色分けにより、ずれを検出し易いようにしてもよい。また、時間分割で、第1の立体像マーカーを再生表示して検出を行った後、第2の立体像マーカーのみを再生表示するようにしてもよい。
なお、立体映像表示装置200間で立体像マーカーが重なる範囲については、表示システムの構成に合わせて任意に設定することができる。
画像表示部210は、プロジェクタ211でスクリーン212に画像を投影表示するものとしたが、代わりに、液晶パネルやEL(Electroluminescence)等を利用した直視型ディスプレイであってもよい。この直視型ディスプレイとしては、スーパーハイビジョン(7680×4320画素)の透過型液晶ディスプレイが好適に用いられる。また、直視型ディスプレイのバックライトは、面状光源でもよいし、点光源アレイでもよい。
110 検出器
120 要素画像生成手段
130 補正値算出手段
131 誤差値算出手段
132 位置ずれ算出手段
133 補正値生成手段
200 立体映像表示装置
210 画像表示部
211 プロジェクタ
212 スクリーン
220 レンズアレイ(光学素子アレイ)
221 要素レンズ(要素光学素子)
Claims (10)
- 位置を検出するマーカーを用いて立体像を調整する立体像調整装置であって、
立体映像表示装置の表示面から所定の奥行き距離だけ離間した位置であり、かつ、マーカーを表示させようとする予め設定された基準位置に、マーカーの立体像が再生されるように前記表示面に表示される要素画像群を生成する要素画像生成手段と、
前記立体映像表示装置の前記表示面に前記要素画像群を表示することで再生された複数のマーカーの立体像を検出する検出器と、
各マーカーの立体像から検出された検出位置と各マーカーを表示させようとする前記基準位置との誤差に基づいて、前記表示面に表示される要素画像群全体を補正するための補正値を算出する補正値算出手段と、を備え、
要素画像群の生成、再生された複数のマーカーの立体像の検出、前記補正値の算出、前記補正値に基づく要素画像群の補正の一連の処理を、前記奥行き距離を大きくしながら繰り返し行うことを特徴とする立体像調整装置。 - 前記補正値算出手段は、
検出位置と基準位置との誤差値をマーカー毎に算出する誤差値算出手段と、
前記誤差値から要素画像における位置のずれをマーカー毎に算出する位置ずれ算出手段と、
すべてのマーカーについて算出した前記要素画像における位置のずれから、前記要素画像の全画素の位置を補正するための歪補正値を補間生成する補正値生成手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の立体像調整装置。 - マーカーの立体像は、正面視で円形状であり、中心ほど高い輝度分布を有し、
前記検出器は、前記立体像の輝度分布の最も高い中心位置を当該立体像の位置として検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の立体像調整装置。 - マーカーの立体像は、正面視で十字形状であり、
前記検出器は、前記十字形状の水平方向及び垂直方向における4つの端点を検出し、対向した2つの端点を繋ぐ2つの線分の交点位置を当該立体像の位置として検出すると共に、前記線分のいずれかの傾きを当該立体像の再生方向として検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の立体像調整装置。 - 前記検出器は、単一のカメラ、又は、複数の視点から立体像を撮影して当該立体像の3次元位置を検出する多視点カメラであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の立体像調整装置。
- 位置を検出するマーカーを用いて立体像を調整する立体像調整方法であって、
要素画像生成手段によって、立体映像表示装置の表示面から所定の奥行き距離だけ離間した位置であり、かつ、マーカーを表示させようとする予め設定された基準位置に、マーカーの立体像が再生されるように前記表示面に表示される要素画像群を生成する要素画像生成工程と、
前記立体映像表示装置によって、前記表示面に表示された前記要素画像群から複数のマーカーの立体像を再生表示する再生表示工程と、
検出器によって、再生された複数のマーカーの立体像を検出する立体像検出工程と、
補正値算出手段によって、各マーカーの立体像から検出された検出位置と各マーカーを表示させようとする前記基準位置との誤差に基づいて、前記表示面に表示される要素画像群全体を補正するための補正値を算出する補正値算出工程と、
前記要素画像生成手段によって、算出された前記補正値をもとに、前記表示面に表示される要素画像群全体を補正する要素画像補正工程と、を一連の補正処理として含み、
初めに、前記立体映像表示装置の表示面近傍に事前に設定された初期奥行き距離だけ離間させて複数のマーカーの立体像を表示して、前記一連の補正処理を行い、
その後、前記表示面から複数のマーカーの立体像までの奥行き距離を大きくした上で前記一連の処理を繰り返すことで、複数のマーカーの立体像を調整することを特徴とする立体像調整方法。 - 前記立体映像表示装置によって、一度に複数の立体像を再生表示することを特徴とする請求項6に記載の立体像調整方法。
- 前記立体映像表示装置によって、時間分割で異なる位置又は/及び異なる形状で立体像を順次再生表示することを特徴とする請求項6に記載の立体像調整方法。
- 前記要素画像生成工程の前に事前校正工程を有し、
前記事前校正工程は、
前記検出器によって、前記立体映像表示装置の前記表示面の四隅を検出する工程と、
前記補正値算出手段によって、前記表示面の四隅が前記検出器に投影された位置を算出する工程と、を有し、
マーカーに対して予め設定された基準位置は、前記表示面の四隅が前記検出器に投影された位置から算出されることを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の立体像調整方法。 - 前記立体映像表示装置を用いて前記一連の処理を繰り返すことで、再生表示される複数のマーカーの立体像を調整した後に、当該立体映像表示装置によって、調整された複数のマーカーの立体像を再生表示する工程と、
前記検出器によって、前記再生表示された複数のマーカーの立体像を検出する工程と、をさらに含み、
前記補正値算出手段が、マーカーを表示させようとする基準位置に代えて、各マーカーの立体像から検出された検出位置を新たな基準位置に設定した上で、
追加された別の立体映像表示装置によって、初めに、複数のマーカーそれぞれに対して、当該別の立体映像表示装置の表示面近傍に事前に設定された初期奥行き距離だけ離間した位置であり、かつ、前記新たな基準位置に、前記複数のマーカーの立体像を再生表示して、前記一連の補正処理を行い、
その後、前記別の立体映像表示装置の前記表示面から複数のマーカーの立体像までの奥行き距離を大きくした上で前記一連の処理を繰り返すことで、前記別の立体映像表示装置によって再生表示される複数のマーカーの立体像を調整することを特徴とする請求項9に記載の立体像調整方法。
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