以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の断面図である。この画像形成装置100は、電子写真方式のフルカラータンデム式の画像形成装置である。画像形成装置100は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の画像を形成するための4つの現像ステーション125(125y、125m、125c、125k)を有する。
各現像ステーション125(以下、ステーション125と略記する)は、プロセスユニット101(101y、101m、101c、101k)、レーザ露光装置104(104y、104m、104c、104k)を有する。各ステーション125はさらに、トナー容器106(106y、106m、106c、106k)を有する。各プロセスユニット101は、現像器105(105y、105m、105c、105k)、感光ドラム102(102y、102m、102c、102k)、クリーナ103(103y、103m、103c、103k)を有する。各トナー容器106には、各ステーション125に対応する色のトナーが格納されている。各トナー容器106にはまた、不揮発性メモリであるトナー残量記憶部121(121y、121m、121c、121k)が備えられている(図2参照)。中間転写ベルト108を挟んで各感光ドラム102の反対側には一次転写ローラ107(107y、107m、107c、107k)が配置される。
各ステーション125で形成されたトナー像は中間転写ベルト108に重ね合わされて一次転写される。中間転写ベルト108上で重ね合わされたトナー像は搬送され、駆動ローラ122と二次転写ローラ110が当接するニップ上において、レジストローラ115によって同期されたシート(用紙)上に転写される。
本実施の形態では、画像形成装置100を白黒の画像形成装置として使用する態様を例示する。具体的には、トナー容器106kだけでなくトナー容器106y、106m、106cにもブラック(K)のトナーを格納し、カラー画像形成の場合と同じような要領で、単色(黒色)のトナー像を中間転写ベルト108に重ね合わせる。そして中間転写ベルト108のトナー像をシートに転写する。従って、各ステーション125は同一色の画像を形成するための複数のステーションとなる。なお、搬送されるシートと各ステーション125との位置関係はカラー画像形成の場合と変わらないので、画像同期のタイミングは上述した通りである。
図2は、画像形成装置100の制御機構を示すブロック図である。制御基板600は、画像形成装置100の基本制御を行うCPU604、制御プログラムのワークエリアとして機能するRAM602、制御プログラムが格納されるROM601を有する。画像形成部608には、各4つのステーション125及び一次転写ローラ107が該当する。操作部603は、キー入力の受け付けと制御情報の表示が可能なタッチパネルである。CPU604は操作部603からプリントを指示されると、ROM601に格納されたプログラムに従って、画像形成部608、モータ609〜612及び離間モータ613を制御する。モータ612は感光ドラム102kと現像器105kを駆動するモータである。モータ609、610、611はそれぞれ、モータ612と同様に感光ドラム102y、102m、102cと現像器105y、105m、105cを駆動するモータである。離間モータ613は中間転写ベルト108と各プロセスユニット101間の当接を制御するモータである。
画像データ管理部700は、画像形成を行う画像データが格納されている画像データ記憶部701と、画像データに関する演算や操作を行う画像データ処理部702とを有する。画像データ記憶部701は、データバス703によってレーザ露光装置104と接続され、画像形成動作時にはデータバス703を介して画像データをレーザ露光装置104に送ることで所望の画像が得られる。画像データ処理部702は、CPU604と通信インターフェース704を介して接続されている。
トナー残量記憶部121は、対応するトナー容器106内に収容されているトナーの重量の情報をトナー残量として保持している。その仕組みは次のようになっている。まず、画像形成装置100の工場出荷時に、トナー容器106内に収容されるトナーの重量をトナー残量記憶部121に初期値として記憶させる。画像形成動作中、現像動作に同期して、画像データ管理部700からCPU604で実行される制御プログラムに、動作しているステーション125における消費トナー量が通知される。この通知に応じて、制御プログラムは対応するトナー残量記憶部121からトナー残量を読み出し、消費トナー量分だけ減じた値をそのトナー残量記憶部121に上書きする。これにより、画像形成動作に応じてトナー残量が更新される。CPU604は必要に応じ、IOインターフェース605を介してトナー残量記憶部121にアクセスし、トナー残量を取得することができる。従って、CPU604によるトナー残量検出は、各トナー容器106内のトナー残量記憶部121からトナー残量を読み出すことで実現される。
次に、図1及び図2を参照して、画像形成装置100を白黒機として使用する場合の画像形成動作について説明する。4つのステーション125のうち、代表してステーション125kに関する基本的な画像形成動作を説明する。
画像形成開始信号が発せられると、離間モータ613が駆動され、中間転写ベルト108がプロセスユニット101kに当接し、所定のプロセススピードで回転駆動される感光ドラム102kは負極性に帯電される。そして、レーザ露光装置104kは、画像データ管理部700からデータバス703を介して入力される画像信号に応じたレーザ光を照射し、感光ドラム102k上に静電潜像を形成する。
そして、感光ドラム102k上に形成された静電潜像に、感光ドラム102kの帯電極性(負極性)と同極性の現像バイアスが印加された現像器105kにより、黒トナーが付着してトナー像として可視像化される。一次転写においては、一次転写ローラ107kに一次転写バイアス(トナーと逆極性(正極性))が印加される。その際、一次転写ローラ107kが中間転写ベルト108を介して感光ドラム102kに対して圧接された状態で、感光ドラム102k上のトナー像が、駆動されている中間転写ベルト108に一次転写される。
中間転写ベルト108上のトナー像は、図1に示す駆動ローラ122と二次転写ローラ110と間の二次転写部に搬送される。このトナー像の先端が二次転写部に移動するタイミングに合わせて、給送カセット113によって給送される用紙が、略垂直に形成された搬送パスを通り、レジストローラ115により二次転写部に搬送される。二次転写部に搬送された用紙に、二次転写バイアス(トナーと逆極性(正極性))が印加された二次転写ローラ110により、トナー像が一括して二次転写される。二次転写後に中間転写ベルト108上に残留した残留トナーは、転写クリーニング装置111で掻き落とされ、回収トナーとして搬送・回収される。
トナー像が形成された記録媒体は、二次転写部より下流に位置する定着装置117に搬送され、定着ローラ118と加圧ローラ119との間の定着ニップ部でトナー像が加熱、加圧されて用紙の表面に熱定着されて、一連の画像形成動作を終了する。
その他のプロセスユニット101(101y,101m,101c)については、中間転写ベルト108がプロセスユニット101y、101m、101cに当接してから、プロセスユニット101kについて上述したのと同様に画像形成動作が行われる。
次に、画像形成モードを説明する。本実施の形態において、画像形成モードには、単一のステーション125が動作して単色の画像をシートに形成する「単一モード」と、2以上のステーション125が並行して動作して同色の画像を重ね合わせてシートに形成する「複数モード」がある。「複数モード」には、所定のモードとして「使い切りモード」が含まれる。ここでいう単色や同色はブラックを意味するが、他の色であってもよい。CPU604は、画像形成モードを選択的に切り替えて画像形成動作を制御する制御手段として機能する。後述する画像形成処理(図6、図7)においては、ステップS104〜S108の処理が単一モードに相当する。また、ステップS115〜S119の処理が複数モードのうち使い切りモードでないモードに相当し、ステップS124〜S129の処理が使い切りモードに相当する。
図3は、現像ステーション自動切り替え制御における動作の概要を示すタイムチャートである。この図3では、特に、単一モード→複数モード→単一モードと切り替わる場合を示している。
本実施の形態では、単一モードでの画像形成中に動作しているステーション125におけるトナー残量が基準値T1を下回ると、画像形成モードを複数モードに切り替え、順番が次であるステーション125との並行動作に移行する。ここで、単一モードから複数モードに切り替わるときに動作に加わるべき次のステーション125の順番は予め定まっており、その情報はROM601等に格納されている。順番の一例として、最初のステーション125がステーション125yで、その後、ステーション125m、125c、125kの順となっている。なお、順番はこの例に限るものではなく、画像形成開始時にCPU604がランダムに定めてもよい。
以下、単一モードで動作する1つのステーション125を第1のステーションS1と呼称する。複数モードで動作する2つのステーション125のうち後から加わったステーション125を第2のステーションS2と呼称する。
図3に示した例は、プリントジョブに従って第1のステーションS1を使用して画像形成を開始したが、途中で第1のステーションS1のトナー容器106のトナーが少なくなったために第2のステーションS2へと漸次切り換えていくという状況である。すなわち、プリントジョブが投入されると、時刻t0において、単一の第1のステーションS1を使用した単一モードで画像形成が開始される。そして時刻t1で、第1のステーションS1のトナー容器106中のトナー残量Tr1が基準値T1(例えば10mg)未満となったとする。
仮に、このまま単一モードを継続し、第1のステーションS1のトナーが無くなってから、使用するステーション125を次のステーション125に切り替えて単一モードで画像形成するとする。この場合、第1のステーションS1と次のステーション125との切り替え前後のページで画質の変化が目立つおそれがある。そこで、一旦、CPU604は、ステーションS1、S2の並行動作による複数モードに切り替える。
ステーションS1、S2による複数モードでは、ステーションS1、S2によって形成されたトナー像が中間転写ベルト108にそれぞれ一次転写され、中間転写ベルト108上で重ね合わされたトナー像が二次転写ローラ110で用紙上に転写される。これらの動作は、ステーションS1、S2の画像同期のタイミングで行われる。時刻t1から時刻t2までが複数モードによる制御期間である。時刻t2以降は、それまでステーションS2であったステーション125(ステーションS1と呼称されることになる)を用いた単一モードによる画像形成が実施される。
ここでCPU604は、複数モードで画像形成動作を制御する場合に、動作するステーションS1、S2の各々が分担する画像濃度比率である画像濃度分担率N(N1、N2)を設定する。各々の画像濃度分担率N(以下、分担率Nと略記する)は、画像形成モードの切り替え時に突然切り替わるのではなく、複数モードでの制御期間中、徐々に変化するように設定される。
図4(a)は、複数モード動作期間における第1、第2のステーションS1、S2の分担率N1、N2の推移を示す図である。単一モードから複数モードに切り替わる時刻t1においては、第1のステーションS1の分担率N1は100%で、第2のステーションS2の分担率N2は0%である。その後CPU604は、画像の1ページごとに、分担率N1から分担率の増減値Cn(例えば、Cnは10%の固定値)を減算すると共に、分担率N2には増減値Cnを加算していく。そして、複数モードから単一モードに切り替わる時刻t2においては、第1のステーションS1の分担率N1は0%となり、第2のステーションS2の分担率N2は100%となる。このように、徐々に(段階的に)、濃度分担の比重を第1のステーションS1から第2のステーションS2へ移していく。
ここで、分担率Nは、各レーザ露光装置104(のレーザ発光部)から照射されるレーザ光量によって制御される。図4(b)に、レーザ光量設定値と画像濃度分担率Nとの関係を示す。画像濃度分担率Nが大きいほどレーザ光量設定値は大きい。分担率Nからレーザ光量を算出するために、ROM601に以下の式を格納しておく。
[数1]
レーザ光量設定値=255×画像濃度分担率N
CPU604は、数式1で算出したレーザ光量設定値に基づき、使用するステーション125のレーザ露光装置104内の光量設定回路(不図示)へ、レーザ光量の設定を行う。CPU604は、画像データ管理部700からデータバス703を介して入力される画像信号とレーザ光量設定値とに応じた光量のレーザ光をレーザ露光装置104から照射する。そしてCPU604は、対応する感光ドラム102上に、指定した分担率Nで静電潜像を形成するよう制御する。
なお、本実施の形態では、分担率Nをレーザ光量によって制御している。しかしこれに限られず、例えば、現像器105の現像バイアス印加電圧によって制御してもよい。また、分担率Nを設定するために数式1を用いたが、分担率N1と分担率N2との合計がほぼ100%となるようにすればよく、演算式でなくテーブル等を用いてもよい。また、4つのステーション125の全てが、単色画像形成のために単一モードや複数モードで動作する対象となり得るとしたが、対象となり得るステーション125は2つまたは3つであってもよく、その組み合わせは問わない。
図5は、現像ステーション自動切り替え制御における使い切りモード時の動作の概要を示すタイムチャートである。使い切りモードは、複数のステーション125のうちトナー残量が限界値T0を下回っていない2以上のステーション125が並行して動作して同色の画像を重ね合わせてシートに形成するモードである。本実施の形態では、4つ全てのステーション125のトナー残量Trがいずれも基準値T1未満である場合に、トナー無しでないステーション125を並行して動作させる。使い切りモード実施中は、各ステーション125はトナーが無くなるまで動作し、トナーを極力最後まで使い切る。
図5に示した例は、4つ全てのステーション125のトナー残量Trがいずれも基準値T1未満であり、且つ、2つのステーション(第1のステーションS1と第2のステーションS2とする)だけがトナー無しになっていない状況を想定したものである。ここで、トナー無しの判定閾値は限界値T0(例えば1mg)とし、トナー残量が限界値T0未満となるとトナー無しとされる。なお、限界値T0の値は基準値T1より小さく且つ、0または0に近い値であればよく、1mgに限定されない。ステーションS1、S2のトナー容器106のトナー残量をそれぞれTr1、Tr2とする。
仮に、第1のステーションS1による単一モードで画像形成を継続したとすると、トナーをTr1分消費した時点で第1のステーションS1がトナー無しとなり、第2のステーションS2へいきなり切り替える必要がある。その後、第2のステーションS2による単一モードで画像形成を継続し、トナーをTr2分消費した時点で第2のステーションS2がトナー無しとなり、画像形成が停止される。このような制御においては、並行動作を経ないステーション切り替えが一度発生するため、切り替え前後のページ間で画質変化が生じるおそれがある。
そこで、本実施の形態では、使い切りモードにより、ステーションS1、S2を並行して動作させ、その際、分担率Nをそれぞれのトナー残量Trに応じて設定することで、トナー無しとなるタイミングを極力一致させる。これにより、ほぼTr1+Tr2分のトナーを消費するまでの間、画像形成を継続できるので、同色の画像形成継続期間を長くすることができる。しかもその間、ステーション切り替えが発生しないので、画質の変化を抑制することができる。
使い切りモードでは、次の数式2によって、動作するステーション125の分担率Nが算出される。トナー残量Trが限界値T0以上であるステーション125に対して、予め定めた優先順位に従って順番が決められる。それらのうちi番目のステーション125の分担率、トナー残量Trを、それぞれNi、Triと記す。
[数2]
Ni=Tri/ΣTri
従って、トナー残量Triが多いステーション125ほど、分担率Niは大きい値となる。図5に示す例では、Tr2<Tr1であるとする。この場合、ステーションS1、S2の各分担率N1、N2の大小関係は、N1>N2となる。2つのステーションS1、S2による使い切りモードにおいては、ステーションS1、S2のいずれかでトナー無しとならない限り、図4(c)に示すように、一定の分担率のまま画像形成が継続される。
ところで、図5では、トナー残量Trが基準値T1未満で且つ限界値T0であるステーション125が2つの場合を例示した。しかし、そのようなステーション125が3つ、4つであれば、それぞれ、図5の最上段に示した直線は3本、4本となり、分担率Nも3つ、4つ算出される。
図6及び図7は、単色画像に関する画像形成処理を示すフローチャートである。この処理は、プリントジョブの投入により開始され、CPU604により実行される。まず、ステップS101で、CPU604は、第1のステーションS1を示す番号S1に1を代入する。ここで、番号S1や番号S2に代入される数値は、上述のように予め定まっており、ステーション125y、125m、125c、125kにそれぞれ、1、2、3、4の番号が対応している。従って、S1=1であることは第1のステーションS1がステーション125yであることを意味する。S1=2であることは第1のステーションS1がステーション125mであることを意味する。同様に、S2=2であることは第2のステーションS2がステーション125mであることを意味する。
次に、ステップS102で、CPU604は、第1のステーションS1のトナー容器106内のトナー残量Tr1を、トナー残量記憶部121から読み出すことで検出する。次に、ステップS103で、CPU604は、トナー残量Tr1と基準値T1とを比較し、Tr1≧T1が成立するか否かを判別し、Tr1≧T1が成立する場合は処理をステップS104へ進める。
ステップS104では、CPU604は、画像形成モードを、第1のステーションS1を用いた単一モードに設定し、ステップS105で、第1のステーションS1を使用して画像形成動作を行う。次に、CPU604は、印刷完了したか、すなわちプリントジョブの処理が完了したか否かを判別する(ステップS106)。その判別の結果、CPU604は、プリントジョブの処理が完了した場合は図6、図7の処理を終了させる一方、処理が完了していない場合は、第1のステーションS1のトナー残量Tr1を検出する(ステップS107)。
次に、ステップS108で、CPU604は、トナー残量Tr1と基準値T1とを比較し、Tr1≧T1が成立するか否かを判別する。その判別の結果、Tr1≧T1が成立する場合は処理をステップS105に戻って第1のステーションS1による画像形成を継続する。一方、Tr1≧T1が成立しない場合は、第1のステーションS1のトナー残量Tr1が少なくなったので、CPU604は、第2のステーションS2を設定するべく、第2のステーションS2を示す番号S2にS1+1を代入する(ステップS109)。
次に、CPU604は、S2>4が成立するか否かを判別する(ステップS110)。その判別の結果、S2>4が成立する場合は、第2のステーションS2として設定し得るステーション125が存在しないので、CPU604は画像形成を中止し(ステップS111)、図6、図7の処理を終了させる。一方、S2>4が成立しない場合は、CPU604は、第2のステーションS2のトナー容器106内のトナー残量Tr2を、トナー残量記憶部121から読み出すことで検出する(ステップS113)。次にCPU604は、トナー残量Tr2と基準値T2とを比較し、Tr2≧T2が成立するか否かを判別する(ステップS114)。
ここで、基準値T2は予め定めたトナー量であり、ステーション切り替え時の条件として、切り替え先のステーション125が有しているべき必要トナー残量である、基準値T2の値は基準値T1より大きい値で、例えば20mgとされる。これは、ステーション切り替えの後、更に次のステーション切り替えが必要になることを考慮し、T1値より十分に大きい値(約2倍)に設定したものである。なお、基準値T2と基準値T1とを同一の値としてもよい。
ステップS114の判別の結果、Tr2≧T2が成立しない場合は、第2のステーションS2はトナー残量Tr2があまり多くなく、複数モードに用いるのに適さない。そこでCPU604は、第2のステーションS2を設定し直すべく、第2のステーションS2を示す番号S2にS2+1を代入し(ステップS112)、処理をステップS110に戻す。一方、Tr2≧T2が成立する場合は、現在設定されているステーションS1、S2を並行して用いて複数モードを実行するのが適切であるので、CPU604は、処理をステップS115以降の複数モードへ移行させる。
ステップS115では、CPU604は、画像形成モードを複数モードに設定し、動作する2つのステーション125として、第1のステーションS1及び第2のステーションS2を設定する。またCPU604は、第1のステーションS1の分担率N1を100%、第2のステーションS2の分担率N2を0%にそれぞれ設定する。次に、CPU604は、分担率N1から増減値Cnを減算することで分担率N1を更新し(ステップS116)、N1≦0が成立するか否かを判別する(ステップS117)。
その判別の結果、N1≦0が成立しない場合は、CPU604は、N2=100−N1で求まる値を分担率N2に設定することで分担率N2を更新すると共に、ステーションS1、S2を用いた複数モードによる画像形成を実行する(ステップS118)。次に、CPU604は、印刷完了したか、すなわちプリントジョブの処理が完了したか否かを判別する(ステップS119)。その判別の結果、CPU604は、プリントジョブの処理が完了した場合は図6、図7の処理を終了させる一方、処理が完了していない場合は、処理をステップS116に戻す。ステップS116〜S119を繰り返すことで、分担率N1は0%に向かって段階的に減少する一方、分担率N2は100%に向かって段階的に増加する(図4(a)参照)。
一方、ステップS117の判別の結果、N1≦0が成立する場合は、第1のステーションS1が画像濃度比率を分担しなくなる。そこでCPU604は、動作するステーション125から第1のステーションS1を除外するべく、処理をステップS120に進め、第1のステーションS1を示す番号S1に現在の番号S2を代入し、処理をステップS102に戻す。これにより、それまで第2のステーションS2であったものが新たな第1のステーションS1となる。そしてその後、ステップS105まで進めば、新たな第1のステーションS1を用いた単一モードによる画像形成へ移行することになる。従って、単一モード→複数モード→単一モードというモード切り替えを経ることになる。従来のように単一モードのまま単純にステーション125を切り替えるのに比し、複数モードを一旦経由することで、成果物の画質の変化を目立たなくすることができる。
ステップS103の判別の結果、Tr1≧T1が成立しない場合は、現在の第1のステーションS1を単一モードで用いるのに適さない。そこでCPU604は、次のステーション125を第1のステーションS1として設定するべく、番号S1にS1+1を代入する(図7のステップS121)。そして、CPU604は、S1>4が成立するか否かを判別し(ステップS122)、S1>4が成立しない場合は処理をステップS102に戻す。これにより、新たに第1のステーションS1として設定されたステーション125のトナー残量がトナー残量Tr1として検出される。
一方、S1>4が成立する場合は、ステーション125の全てにおいてトナー残量Trが少なくなっている(T1未満である)ため、単一モードにおいて第1のステーションS1として設定し得るステーション125が存在しない。そこでCPU604は、ステップS123で、これから実行する画像形成がプリントジョブ投入後の1枚目の画像形成であるか否かを判別する(ステップS123)。その判別の結果、これから実行する画像形成がプリントジョブ投入後の1枚目の画像形成でない場合は、ジョブ処理の途中に該当する。仮にジョブ処理の途中で一律に使い切りモードに切り替えるとすると、切り替え前後で画質変化が発生する恐れがある。そこで、CPU604は、図8に例示するように、確認メッセージの表示による報知を行う(ステップS131)。次にCPU604は、ユーザから受け付けた指示が、画像形成継続であるか否かを判別する(ステップS131)。
図8は、使い切りモード移行時に表示される確認メッセージの例を示す図である。CPU604は、この確認メッセージを操作部603に表示させ、ユーザから、画像形成を続行することの許可を受け付ける。ユーザは、画面上で画像形成を継続するか中止するかを選択できる。これにより、ジョブ処理の途中から画質変化の可能性があることを知らせると共に、ユーザの意思に従って、ジョブ処理の途中での画質変化を回避することができる。
ステップS131の判別の結果、CPU604は、受け付けた指示が画像形成継続でなく中止である場合は、図6、図7の処理を終了させる一方、受け付けた指示が画像形成継続である場合は、ステップS124以降の使い切りモードへ移行する。ステップS124では、CPU604は、画像形成モードを使い切りモードへ切り替え、動作するステーション125として、トナー無しとなっていないステーション125を設定する。その際、CPU604は、全てのステーション125のそれぞれの、既にトナー残量記憶部121から読み出したトナー残量Tr(Tri)を参照し、Tr≧T0であるステーション125を、トナー無しとなっていないステーション125であるとする。
次にCPU604は、動作するステーション125の各々の分担率Niを、上述した数式2により算出し(ステップS125)、算出した分担率Niに従って複数のステーション125を並行動作させて画像形成を実行する(ステップS126)。次にCPU604は、再度、動作している各ステーション125のトナー残量Triを検出し(ステップS127)、動作しているステーション125の全てのトナー残量Triが限界値T0以上であるか否かを判別する(ステップS128)。その判別の結果、全てのトナー残量Triが限界値T0以上である場合は、CPU604は、印刷完了したか、すなわちプリントジョブの処理が完了したか否かを判別する(ステップS129)。
その判別の結果、CPU604は、プリントジョブの処理が完了した場合は図6、図7の処理を終了させる一方、処理が完了していない場合は、処理をステップS126に戻して画像形成を継続する。一方、ステップS128の判別の結果、動作しているステーション125のうち、トナー残量Triが限界値T0未満であるステーション125が1つでも生じた場合は、画像形成を中止する(ステップS111)。従って、動作しているステーション125のいずれかのトナー残量Triが限界値T0未満とならない限り、印刷完了まで、一定の分担率Niで画像形成が繰り返される(図4(c)参照)。
なお、ステップS128の判別の結果、トナー残量Triが限界値T0未満であるステーション125が生じた場合に、処理をステップS124に戻してもよい。このようにすれば、トナー残量Triが限界値T0以上である複数のステーション125の新たな組み合わせによる使い切りモードの実行が可能となる。この場合、トナー残量Triが限界値T0以上であるステーション125が無くなったときに画像形成が中止されるとする。分担率Niの通りにトナーが消費されないような場合に有用である。
本実施の形態によれば、単一モードと複数モードとを備え、複数モード時には、各々設定される画像濃度分担率Nにて2以上のステーション125が動作する。これにより、ステーション125の単独動作と複数動作との切り替わり前後における画質変化を抑制し、目立たなくすることができる。特に、複数モード時においては、動作するステーション125の分担率Nを画像ページごとに変化させるので、画質変化の度合いを小さくすることができる。
また、単一モードで動作している第1のステーションS1におけるトナー残量Tr1が基準値T1を下回ると複数モードに切り替わるので、1つのステーション125においてトナー残量が少なくなっても画質変化を抑制しつつ画像形成を継続できる。
また、複数モード時において、第1のステーションS1の分担率N1が0になると、第2のステーションS2だけを動作させる単一モードに切り替わるので、円滑なステーション切り替えを行える。さらに、単一モードから複数モードへの切り替わりのタイミングから、複数モードから単一モードへの切り替わりのタイミングまでの間、分担率N1を減少させると共に分担率N2を増加させるので、形成される画像の濃度をほぼ一定に保つことができる。
また、ステーション125の全てにおけるトナー残量Trが基準値T1を下回ると、使い切りモードに切り替わるので、同色の画像形成継続期間を長くすることができる。しかも、使い切りモードにおいては、動作する各ステーション125のトナー残量Triに応じて分担率Niが設定され、トナー残量Triが多いほど分担率Niが高く設定される。これにより、トナー無しになるタイミングを、動作する各ステーション125間で極力一致させることができる。
なお、本実施の形態において、複数モード期間中におけるステーションS1、S2の分担率N1、N2を、増減値Cnを用いて複数段階で徐々に変化させた。しかし、複数モード期間中におけるステーションS1、S2の分担率Nの変化は少なくとも1段階を経由すればよい。例えば、分担率N1、N2が100%と0%との間を遷移する間に、100%でも0%でもない値(例えば、50%)を経るようにしてもよい。
なお、複数モードにおいて分担率Nは画像の1ページごとに変化させたが、複数ページごとに変化させてもよい。なお、複数モードにおいて動作するステーション125の数は2以上であればよく、3以上であってもよい。
なお、制御を簡単にする観点からは、複数モードにおいて動作する各ステーション125の分担率の各々は、固定値であってもよい。
なお、本実施の形態では、タンデム式の画像形成装置への適用を例示したがこれに限るものでない。例えば、特許文献1に示されるような、1体の感光ドラムに対して複数(4つ)の現像器が対応しているような構成の画像形成装置にも本発明を適用可能である。その場合のステーションは、感光ドラムを除いたものとして考えることができる。
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。