以下、本発明による空調システムについて、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。本実施の形態による空調システムは、開放部における空気の移動を低減すると共に、適宜、外気を有効利用するものである。また、本実施の形態による空調システムは、空調空間の区画ごとの人流の予測結果を用いて、快適性を向上させることができる空調の制御を区画ごとに行うものである。また、本実施の形態による空調システムは、空調空間内において空気を移動させて有効利用することにより、省エネルギー化を図るものである。
図1、図2は、本実施の形態による空調システム100の構成を示す模式図であり、図3は、空調システム100の構成を示すブロック図である。図4は、空調空間200の上面図である。なお、図1では、空調空気の流れに関する構成について主に示しており、図2では、空調空間200内での空気の移動に関する構成について主に示しており、図3では、制御関係の構成について主に示している。空調空間200は、空調システム100が空調を行う対象となる空間である。
図1〜図3で示されるように、本実施の形態による空調システム100は、空調機12と、供給部14a、14bと、吸込部18と、センサ31a、31bと、内部温度センサ32と、屋外温度センサ33と、風量制御部34と、区画供給部41a〜41dと、レーザレンジファインダ42a〜42dと、人流取得部43と、記憶部44と、人流予測部45と、区画制御部46と、ブロック温度センサ51a〜51hと、複数のダクト53と、送風部54a〜54hと、ダンパ55a〜55h、56a〜56h、57a〜57h、58a〜58hと、ブロック間送風制御部59とを備える。また、供給部14aと供給部14bとを特に区別しない場合には、単に供給部14を呼ぶこともある。他の構成要素についても同様である。
なお、ここに明記したのは主な構成であって、空調システム100は、その他の構成、例えば、熱源機器11や、ダクト13,17、供給口(吹出口)15、吸込口16,52、ダンパ19,21、送風機20等を備えていてもよい。
本実施の形態では、説明を簡単にするため、空調空間200が水平方向に分割された4個の区画201a〜201dを有する地下街であり、図1の左右端側に屋外への開放部を有する場合について説明する。空調空間200は、それ以外の個数の区画に分けられていてもよい。例えば、区画の個数は、2個や3個でもよく、5個以上であってもよい。
図1では、開放部の位置を一点鎖線で示している。なお、空調空間200が有する開放部の個数は、1以上であればよく、例えば、3以上であってもよい。その開放部には、通常、扉などが存在せず、開放されたままになっているものとする。また、空調空間200は、地下街や、空港、駅などのような大規模な空間であってもよい。
また、本実施の形態では、図2で示されるように、空調空間200が、水平方向及び垂直方向に分割された8個のブロック301a〜301hを有するものとする。ブロック301a〜301dは、空調空間200の上方側のブロックであり、ブロック301e〜301hは、空調空間200の下方側のブロックである。なお、図2では、空調空間が垂直方向に2個のブロックに分割された例について示しているが、空調空間は、垂直方向に3個以上のブロックに分割されてもよい。
本実施の形態では、図4で示されるように、ブロック301a,301eの水平方向の領域は、区画201aの水平方向の領域と一致しており、ブロック301b,301fの水平方向の領域は、区画201bの水平方向の領域と一致しており、ブロック301c,301gの水平方向の領域は、区画201cの水平方向の領域と一致しており、ブロック301d,301hの水平方向の領域は、区画201dの水平方向の領域と一致しているものとするが、ブロックの水平方向の領域と、区画の水平方向の領域とは独立して決められてもよい。
また、区画、及びブロックは共に、空調空間200において仮想的に設定されたものである。したがって、空調空間200の実空間上には、区画の境界やブロックの境界に壁や仕切りなどが存在していなくてもよい。
空調機12は、空気の温度を調整する。その空調に、ボイラーや冷凍機を有する熱源機器11から供給される冷水や温水を用いてもよい。また、空調機12は、例えば、湿度の調整や、換気、空気の清浄を行ってもよい。空調機12によって調整された空気は、ダクト13を介して、供給部14に供給される。本実施の形態では、中央方式における空気供給方式によって空調が行われる場合について主に説明するが、その他の方式、例えば、中央方式における水・空気併用供給方式や水供給方式、分散方式における冷媒供給方式によって空調が行われてもよいことはいうまでもない。
[開放部における風量制御]
まず、開放部における風量の制御について説明する。
供給部14は、空調機12によって温度の調整された空気を、開放部に設けられた供給口15から空調空間200に可変風量で供給する。供給部14は、例えば、可変風量装置(VAV: Variable Air Volume)であってもよく、インバータ制御等によって風量を調整できる送風機であってもよく、両者の組み合わせであってもよく、または、風量を調整できるその他の構成であってもよい。本実施の形態では、供給部14が可変風量装置である場合について主に説明する。供給部14の供給口15が開放部に設けられているとは、開放部の付近に設けられていればよい、という意味である。なお、供給部14の供給口15は、開放部よりも空調空間200側に設けられていることが好適である。また、空調空間200が複数の開放部を有する場合には、開放部のそれぞれに少なくとも1個の供給部14が設けられることが好適である。なお、空調空間200に複数の供給部が設けられている場合には、開放部に供給口15が設けられている供給部が、供給部14であると考えてもよい。
吸込部18は、空調空間200の空気を吸込口16から可変風量で吸い込む。吸込口16から吸い込まれた空気は、ダクト17を介して吸込部18に導かれ、吸込部18から空調機12に還気されてもよく、または、ダンパ19、送風機20を介して、外部に排気されてもよい。吸込口16からの空気が還気されるか、排気されるかは、ダンパ19や送風機20を制御することによって変更できる。また、吸込口16からの空気の一部が排気され、一部が還気されるようにしてもよい。また、吸込部18は、例えば、可変風量装置であってもよく、インバータ制御等によって風量を調整できる送風機であってもよく、両者の組み合わせであってもよく、または、風量を調整できるその他の構成であってもよい。本実施の形態では、吸込部18が、インバータ制御によって風量を調整できる送風機である場合について主に説明する。
センサ31は、開放部における空調空間200と屋外との間の風に関する風情報を取得する。風情報は、少なくとも風の強弱(すなわち、空気の移動の強弱)が分かるものであればよく、例えば、開放部における空調空間200と屋外との間の風量を含んでいてもよく、開放部における空調空間200と屋外との間の風の速度(風速)を含んでいてもよく、開放部における空調空間200と屋外との間の風の方向(風向)を含んでいてもよい。その風向は、例えば、2次元または3次元の風向であってもよい。また、風情報に風向が含まれる場合には、センサ31は、例えば、2次元または3次元の風速を取得するものであってもよい。したがって、センサ31は、例えば、風量センサであってもよく、風向風速計であってもよく、風に関する情報を取得できるその他のセンサであってもよい。本実施の形態では、センサ31が風向風速計であり、風情報に風速と風向とが含まれている場合について主に説明する。センサ31によって取得された風情報は、例えば、有線または無線を介して風量制御部34に渡されてもよい。
内部温度センサ32は、空調空間200の温度である内部温度を取得する。内部温度は、空調空間200の温度であれば、どの位置の温度であってもよいが、開放部から離れた位置の温度であることが好適である。また、内部温度は、例えば、空調空間200の複数の位置における温度の測定結果の代表値であってもよい。代表値は、例えば、平均や中央値であってもよい。内部温度センサ32によって取得された内部温度は、例えば、有線または無線を介して風量制御部34に渡されてもよい。
屋外温度センサ33は、屋外の温度である屋外温度を取得する。屋外温度は、空調空間200の外部の温度であれば、どの位置の温度であってもよいが、開放部の付近の屋外の温度であることが好適である。屋外温度によって、開放部から流入する外気の温度を知りたいからである。また、外気温度は、例えば、屋外の複数の位置における温度の測定結果の代表値であってもよい。代表値は、例えば、平均や中央値であってもよい。屋外温度センサ33によって取得された屋外温度は、例えば、有線または無線を介して風量制御部34に渡されてもよい。
風量制御部34は、屋外温度が内部温度に対して、空調機12による温度調整方向の目標側(すなわち、調整後の側)にある場合には、センサ31によって取得される風向が、開放部において屋外から空調空間200に空気が流入する方向となるように供給部14の供給量と吸込部18の吸込量との少なくとも一方を制御する。また、風量制御部34は、そうでない場合、すなわち、屋外温度が内部温度に対して、空調機12による温度調整方向の目標側にない場合には、センサ31によって取得された風情報によって示される空調空間200と屋外との間の風が弱くなるように、供給部14の供給量と吸込部18の吸込量との少なくとも一方を制御する。なお、空調空間200と屋外との間の風が弱くなるとは、風量や風速の絶対値が小さくなること、すなわち、開放部における空調空間200と屋外との間の空気の移動が少なくなることである。
温度調整方向とは、空調機12によって冷房が行われる場合には、温度を下げる方向となり、空調機12によって暖房が行われる場合には、温度を上げる方向となる。したがって、冷房の場合には、温度調整方向の目標側は、温度の低い側となり、暖房の場合には、温度調整方向の目標側は、温度の高い側となる。より具体的には、冷房が行われている場合において、屋外温度が内部温度に対して温度調整方向の目標側にあるときには、外部温度の方が内部温度よりも低いことになり、屋外温度が内部温度に対して温度調整方向の目標側にないときには、外部温度の方が内部温度よりも高いか同じであることになる。また、暖房が行われている場合において、屋外温度が内部温度に対して温度調整方向の目標側にあるときには、外部温度の方が内部温度よりも高いことになり、屋外温度が内部温度に対して温度調整方向の目標側にないときには、外部温度の方が内部温度よりも低いか同じであることになる。
屋外温度が内部温度に対して、空調機12による温度調整方向の目標側にある場合には、空調空間200に外気を導入することによって、空調機12と同じ方向の温度の調整を行うことができるため、外気を導入するように、すなわち、開放部において屋外から空調空間200に空気が流入する方向となるように制御されることになる。一方、屋外温度が内部温度に対して、空調機12による温度調整方向の目標側にない場合には、空調空間200に外気が流入すると、空調の効率が悪くなるため、開放部の位置において内部と外部との間での空気の移動が少なくなるように制御されることになる。なお、この場合の制御は、理想的には、開放部の位置における内部と外部との間での空気の移動がなくなるようにすることである。一方、制御を行わない場合よりも、制御を行った場合の方が、開放部における内部と外部との間での空気の移動が少なくなるのであれば、それだけ省エネルギーになっていると考えられる。したがって、風量制御部34は、そのように、開放部における内部と外部との間での空気の移動が少なくなるように制御を行ってもよい。
なお、風量制御部34による制御は、供給部14の供給量を変更する制御であってもよく、吸込部18の吸込量を変更する制御であってもよく、その両方であってもよい。開放部における外部から内部への空気の流入量を減らしたい場合には、風量制御部34は、供給部14の供給量の増加、及び/または、吸込部18の吸込量の減少を行えばよい。また、開放部における外部から内部への空気の流入量を増やしたい場合、または、開放部における内部から外部への空気の流出量を減らしたい場合には、風量制御部34は、供給部14の供給量の減少、及び/または、吸込部18の吸込量の増加を行えばよい。風量制御部34による供給部14や吸込部18の制御は、風量制御部34からの制御指示が有線または無線を介して供給部14や吸込部18に渡されることによって行われてもよい。
また、後述するように、空調空間200には、複数の区画供給部41によっても、空調空気が供給されることになるが、風量制御部34は、複数の区画供給部41による空調空気の供給が行われた状態において、上記の制御を行ってもよい。また、屋外温度が内部温度に対して、空調機12による温度調整方向の目標側にある場合であっても、風量制御部34は、開放部における屋外から空調空間200の方向への風の強さが、所定の上限を超えないように制御してもよい。
また、風情報に風向が含まれていない場合には、風量制御部34は、試行錯誤によって、開放部における風量や風速の絶対値が小さくなるように、供給部14の供給量、及び吸込部18の吸込量の少なくとも一方を制御してもよい。具体的には、風量制御部34は、ある制御(例えば、供給量を増加させる制御)を行ったことにより、開放部における風量や風速の絶対値が上昇した場合には、逆の制御(例えば、供給量を減少させる制御)を行うようにしてもよい。
また、空調空間200が複数の開放部を有しており、その開放部ごとに供給部14が設けられている場合には、供給部14ごとに、制御が変えられてもよい。例えば、図1において、センサ31aによって、外部から内部への流入の多いことが示され、センサ31bによって、内外間の空気の移動がほとんどないことが示される場合には、風量制御部34は、供給部14bの風量は変更せず、供給部14aの風量を増やすように制御してもよい。
また、本実施の形態では、上記のように、内部温度と外部温度との関係に応じて、適宜、外気導入を行う場合について主に説明するが、そのような外気導入を行わなくてもよい。外気導入を行わない場合には、風量制御部34は、内部温度と外部温度との関係に関わらず、センサ31によって取得された風情報によって示される空調空間200と屋外との間の風が弱くなるように、供給部14の供給量と吸込部18の吸込量との少なくとも一方を制御してもよい。その場合には、空調システム100は、内部温度センサ32や屋外温度センサ33を備えていなくてもよい。また、その場合には、風情報に風向が含まれていなくてもよい。
[区画ごとの人流予測に応じた空調制御]
次に、区画ごとの人流の予測結果に応じて行われる区画ごとの空調制御について説明する。
区画供給部41は、空調空間200における1以上の区画ごとに設けられている。そして、区画供給部41は、空調機12によって温度の調整された空気を、その1以上の区画に供給する。本実施の形態では、1個の区画に、1個の区画供給部41が設けられている場合について主に説明する。より具体的には、区画供給部41a〜41dは、それぞれ区画201a〜201dに設けられており、空調空気をそれぞれの区画に供給する。なお、ある区画に区画供給部41が設けられているとは、その区画供給部41が、その区画に空調空気を供給することを意味していると考えてもよい。なお、区画の大きさや形状は問わない。区画の形状は、例えば、矩形状や、正方形状、多角形状等であってもよい。また、区画が矩形状である場合に、1辺の長さは特に限定されるものではないが、例えば、3〜20メートル程度であってもよい。また、複数の区画の面積は、例えば、同じであってもよく、または、異なっていてもよい。
中央方式における空気供給方式によって空調が行われる場合には、区画供給部41は、可変風量で空調空気を各区画に供給してもよい。したがって、区画供給部41は、例えば、可変風量装置であってもよく、インバータ制御等によって風量を調整できる送風機であってもよく、両者の組み合わせであってもよく、または、風量を調整できるその他の構成であってもよい。本実施の形態では、区画供給部41が、可変風量装置である場合について主に説明する。
レーザレンジファインダ(レーザレンジセンサ)42は、複数の方向についてそれぞれ距離を測定するセンサである。1個のレーザレンジファインダ42は、1個の区画の全域について距離を測定できることが好適であるが、測域よりも区画の方が大きい場合には、2個以上のレーザレンジファインダ42を用いて、1個の区画の全域について距離を測定してもよい。レーザレンジファインダ42による測定結果は、例えば、有線または無線を介して人流取得部43に渡されてもよい。
人流取得部43は、区画ごとの人流情報を取得する。人流情報とは、人流に関する情報である。ある区画の人流情報は、例えば、その区画における単位時間あたりの総通行時間を含んでもよく、その区画における単位時間あたりの通行者数を含んでもよい。ある区画における単位時間あたりの総通行時間とは、その区画における通行者ごとの通行時間に関する単位時間分の総和である。例えば、単位時間に相当する期間内に、ある区画を、一人目の通行者が10秒で通行し、二人目の通行者が5秒で通行し、三人目の通行者が15秒で通行した場合には、その区画における単位時間あたりの総通行時間は、30秒(=10+5+15)となる。また、ある区画における単位時間あたりの通行者数とは、その区画における単位時間あたりの通行者の延べ人数である。上記の例の場合には、三人となる。なお、複数の区画の面積が等しくない場合には、人流情報は、その面積を考慮した値、例えば、単位面積あたりの値となっていてもよい。そのため、人流情報は、例えば、人密度であってもよい。
レーザレンジファインダ42の計測結果を用いて、通行者の動線を推定する人流計測システムが知られている。その人流計測システムについては、例えば、特開2016−009281号公報等を参照されたい。同様の手法を用いることによって、人流取得部43は、ある区画に対応するレーザレンジファインダ42の測定結果に基づいて、各通行者の動線を得ることができ、総通行時間や通行者数を取得することができる。
なお、本実施の形態では、レーザレンジファインダ42の測定結果を用いて人流情報を取得する場合について主に説明するが、人流取得部43は、他のセンサ等による測定結果を用いて人流情報を取得してもよい。その場合には、空調システム100は、例えば、レーザレンジファインダ42に代えて、人流情報の取得で用いる他のセンサ等を備えていてもよい。
人流取得部43は、例えば、カメラによる撮影画像を用いて、人流情報を取得してもよい。その場合には、人流取得部43は、例えば、撮影画像である動画において、人物を認識し、その認識した人物のトラッキングを行うことによって、各通行者の動線を得ることができ、上記と同様に、総通行時間や通行者数を取得することができる。また、撮影画像を用いた場合には、通行者の属性(例えば、性別や年齢等)を取得することもできる。したがって、この場合には、人流取得部43は、例えば、通行者の属性の分布(例えば、性別の割合や年代ごとの割合等)を含む人流情報を取得してもよい。
人流取得部43は、例えば、サーモカメラによる撮影画像を用いて、人流情報を取得してもよい。その場合には、人流取得部43は、例えば、サーモカメラによる撮影画像において、人物を認識し、その認識した人物のトラッキングを行うことによって、各通行者の動線を得ることができ、上記と同様に、総通行時間や通行者数を取得することができる。
また、ある区画への進入経路が複数ある場合、例えば、屋外からの進入経路や、店舗からの進入経路などがある場合には、人流取得部43は、進入経路の分布(例えば、進入経路ごとの割合等)を含む人流情報を取得してもよい。
また、人流取得部43は、後述する学習器を用いた人流予測において、学習器に入力する情報となる、人流情報以外の情報を取得してもよい。例えば、後述するように、学習器に入力される人流情報に対応する時点に関する属性情報を取得してもよく、学習器から出力される人流情報に対応する時点(例えば、現時点から所定の期間内の時点など)に関する属性情報を取得してもよい。その時点は、例えば、ピンポイントの時点であってもよく、または、幅を有する期間であってもよい。その属性情報は、例えば、属性情報に対応する時点の時間に関する情報(以下、「時間情報」と呼ぶ。)を含んでいてもよく、属性情報に対応する時点の天候に関する情報(以下、「天候情報」と呼ぶ。)を含んでいてもよく、属性情報に対応する時点のイベントに関する情報(以下、「イベント情報」と呼ぶ。)を含んでいてもよく、属性情報に対応する時点のその他の情報を含んでいてもよい。
時間情報は、例えば、春、夏、冬、秋などを示す季節を含んでいてもよく、1月、2月などの月を含んでいてもよく、月曜、火曜などの曜日を含んでいてもよく、平日か休日かを示す情報を含んでいてもよく、7時台、8時台などの時間や、早朝、朝ラッシュなどの時間帯を含んでいてもよく、時間に関するその他の情報を含んでいてもよい。人流取得部43は、例えば、図示しないカレンダー部や時計部などから、時間情報を取得してもよい。
天候情報は、例えば、晴、曇、雨などの天気を含んでいてもよく、温度を含んでいてもよく、湿度を含んでいてもよく、風速を含んでいてもよく、日照時間を含んでいてもよく、天候に関するその他の情報を含んでいてもよい。その天気や温度、湿度、風速、日照時間等は、通常、空調空間200の付近の屋外における情報である。人流取得部43は、天候情報を、例えば、気象庁などのウェブサイトから取得してもよく、天気や温度等を取得するセンサ等から取得してもよい。なお、学習器から出力される人流情報に対応する時点に関する天候情報は、例えば、天候に関して予測された情報であってもよい。
イベント情報は、例えば、空調空間200内におけるイベントに関する情報を含んでいてもよく、空調空間200外におけるイベントに関する情報を含んでいてもよく、空調空間200内または空調空間200外における交通機関に関する情報を含んでいてもよく、イベントに関するその他の情報を含んでいてもよい。空調空間200内におけるイベントに関する情報や、空調空間200外におけるイベントに関する情報は、例えば、対応する時点にイベントが有るかどうかを示すイベントの有無や、大規模や中規模、小規模などのイベントの規模、花火大会、祭り、野球の試合、サッカーの試合などのイベントの種類などを含んでいてもよい。交通機関に関する情報は、例えば、対応する時点における遅延の有無や、乗降車数、電車やバスの発車や到着の有無等を含んでいてもよい。人流取得部43は、イベント情報を、例えば、イベントに関する情報が掲載されているウェブサイトから取得してもよく、管理者等が手入力した情報を読み出すことによって取得してもよい。
属性情報も取得する場合には、人流取得部43は、人流情報を取得した際に、例えば、その人流情報に対応する時点の属性情報を取得してもよい。取得された属性情報は、例えば、人流情報に対応付けられて、図示しない記録媒体に蓄積されてもよい。また、人流取得部43は、学習器を用いた人流情報の取得を行い場合に、学習器から出力される人流情報に対応する時点に関する属性情報を取得してもよい。
記憶部44では、学習器が記憶される。この学習器は、区画ごとに取得された所定の期間の人流情報を含む訓練用入力情報と、所定の期間の後に区画ごとに取得された人流情報である訓練用出力情報との組を複数用いて学習されたものである。なお、訓練用入力情報と訓練量出力情報との組を訓練情報と呼ぶこともある。
訓練用出力情報に含まれる人流情報に対応する時点は、その訓練用出力情報と組になる訓練用入力情報に含まれる人流情報に対応する最後の時点の直後であってもよい。その場合には、例えば、訓練用入力情報に、8:00〜8:30の人流情報と、8:30〜9:00の人流情報と、9:00〜9:30の人流情報と、9:30〜10:00の人流情報が含まれ、その訓練用出力情報と組になる訓練用出力情報に、10:00〜10:30の人流情報が含まれてもよい。
一方、訓練用出力情報に含まれる人流情報に対応する時点は、その訓練用出力情報と組になる訓練用入力情報に含まれる人流情報に対応する最後の時点の直後でなくてもよい。その場合には、例えば、訓練用入力情報に、ある日の8:00〜8:30の人流情報と、8:30〜9:00の人流情報と、9:00〜9:30の人流情報と、9:30〜10:00の人流情報が含まれ、その訓練用出力情報と組になる訓練用出力情報に、その日の1週間後の9:30〜10:00の人流情報が含まれてもよい。
訓練用入力情報に、その訓練用入力情報に含まれる人流情報に対応する時点に関する属性情報が含まれてもよく、その訓練用入力情報と組になる訓練用出力情報に含まれる人流情報に対応する時点に関する属性情報が含まれてもよい。例えば、訓練用入力情報に複数の時点に対応する人流情報が含まれる場合には、その訓練用入力情報に、各時点に関する属性情報が含まれてもよく、または、一部の時点に関する属性情報が含まれてもよい。また、訓練用出力情報に複数の時点に対応する人流情報が含まれる場合には、その訓練用出力情報と組になる訓練用入力情報に、各時点に関する属性情報が含まれてもよく、または、一部の時点に関する属性情報が含まれてもよい。
学習器は、例えば、ニューラルネットワーク(NN:Neural Network)の学習結果であってもよく、サポートベクターマシン(SVM:Support Vector Machine)やサポートベクター回帰(SVR:Support Vector Regression)の学習結果であってもよく、または、それ以外の機械学習の学習結果であってもよい。
ニューラルネットワークは、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)であってもよく、それ以外のニューラルネットワーク(例えば、全結合層から構成されるニューラルネットワーク等)であってもよい。畳み込みニューラルネットワークとは、1以上の畳み込み層を有するニューラルネットワークのことである。また、ニューラルネットワークが少なくとも1個の中間層(隠れ層)を有する場合には、そのニューラルネットワークの学習は、深層学習(ディープラーニング、Deep Learning)であると考えてもよい。また、機械学習にニューラルネットワークを用いる場合において、そのニューラルネットワークの層数、各層におけるユニット数、各層の種類(例えば、畳み込み層、全結合層など)等については、適宜、選択したものを用いてもよい。なお、入力層と出力層のユニット数は、通常、訓練情報に含まれる訓練用入力情報と訓練用出力情報とによって決まることになる。本実施の形態では、学習器がCNNの学習結果である場合について主に説明し、それ以外の場合については後述する。
なお、学習器が記憶部44で記憶されているとは、例えば、学習器そのもの(例えば、入力に対して値を出力する関数や学習結果のモデル等)が記憶されていることであってもよく、学習器を構成するために必要なパラメータ等の情報が記憶されていることであってもよい。後者の場合であっても、そのパラメータ等の情報を用いて学習器を構成できるため、実質的に学習器が記憶部44で記憶されていると考えることができるからである。本実施の形態では、学習器そのものが記憶部44で記憶されている場合について主に説明する。
記憶部44に学習器が記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して学習器が記憶部44で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された学習器が記憶部44で記憶されるようになってもよい。記憶部44での記憶は、RAM等における一時的な記憶でもよく、または、長期的な記憶でもよい。記憶部44は、所定の記録媒体(例えば、半導体メモリや磁気ディスク、光ディスクなど)によって実現されうる。
ここで、学習器の生成について説明する。図5は、本実施の形態による学習器製造装置400の構成を示すブロック図である。本実施の形態による学習器製造装置400は、訓練情報受付部401と、学習器製造部402と、学習器出力部403とを備える。学習器製造装置400は、通常、学習を行う情報処理装置であるが、例えば、携帯可能な情報処理端末等の汎用の装置であってもよく、学習を行う専用の装置であってもよく、サーバ等であってもよい。
訓練情報受付部401は、区画ごとに取得された所定の期間の人流情報を含む訓練用入力情報と、その所定の期間の後に区画ごとに取得された人流情報である訓練用出力情報との組を複数受け付ける。訓練用入力情報には、上記の属性情報が含まれてもよい。その属性情報は、上記のように、訓練用入力情報に含まれる人流情報に対応する時点に関する属性情報が含まれてもよく、訓練用出力情報に含まれる人流情報に対応する時点に関する属性情報が含まれてもよい。また、上記以外の属性情報が訓練用入力情報に含まれてもよい。具体的には、図11(a)を用いて後述するように、各区画に空調空間である通路が含まれるかどうかを示す属性情報が訓練用入力情報に含まれてもよい。
人流取得部43によって取得された人流情報や属性情報を用いて、複数の訓練情報が構成されてもよい。例えば、30分ごとに人流情報及び属性情報を取得している場合には、連続した2時間分の人流情報、すなわち4個の人流情報を訓練用入力情報に含み、その2時間の直後の30分間の人流情報を訓練用出力情報に含む訓練情報を用意することができる。また、訓練用入力情報に含まれる4個の人流情報にそれぞれ対応する属性情報を訓練用入力情報に含めるようにしてもよく、4個の人流情報の一部に対応する属性情報を訓練用入力情報に含めるようにしてもよい。また、訓練用出力情報に含まれる1個の人流情報に対応する属性情報を訓練用入力情報に含めるようにしてもよい。また、30分ごとに時間帯をずらすことによって、別の訓練情報を用意することができる。このようにして、複数の訓練情報を用意し、訓練情報受付部401に入力することができる。
なお、訓練用入力情報に含まれる人流情報の個数は、例えば、1個であってもよく、2個以上であってもよく、その個数は問わない。また、訓練用入力情報に含まれる人流情報は、例えば、数時間程度の人流情報であってもよく、1週間程度の人流情報であってもよく、その期間は問わない。また、訓練用入力情報に複数の人流情報が含まれている場合に、その複数の人流情報は、連続した期間に対応していてもよい。
また、訓練用出力情報に含まれる人流情報の個数は、例えば、1個であってもよく、2個以上であってもよく、その個数は問わない。また、訓練用出力情報に含まれる人流情報は、例えば、30分程度の人流情報であってもよく、1時間程度の人流情報であってもよく、1日程度の人流情報であってもよく、その期間は問わない。また、訓練用出力情報に複数の人流情報が含まれている場合に、その複数の人流情報は、連続した期間に対応していてもよい。
また、訓練用入力情報に、訓練用入力情報に含まれる人流情報に対応する属性情報は含まれているが、訓練用出力情報に含まれる人流情報に対応する属性情報は含まれていなくてもよく、逆に、訓練用入力情報に含まれる人流情報に対応する属性情報は含まれていないが、訓練用出力情報に含まれる人流情報に対応する属性情報は含まれていてもよい。また、訓練用入力情報に、訓練用入力情報に含まれる人流情報に対応する属性情報と、訓練用出力情報に含まれる人流情報に対応する属性情報との両方が含まれていてもよい。
訓練用入力情報に、複数の人流情報に対応する属性情報が含まれている場合であって、その複数の人流情報について共通している属性情報については、複数の人流情報に対応する1つの属性情報にまとめられてもよい。例えば、訓練用入力情報に4個の人流情報が含まれ、訓練用出力情報に1個の人流情報が含まれ、それらに対応する季節や、月、曜日などの時間情報が共通している場合には、5個の人流情報に対応する1個の時間情報が、訓練用入力情報に含まれるようにしてもよい。なお、天候情報などのように、時間の経過に応じて変化する属性情報については、各人流情報に対応する属性情報がそれぞれ、訓練用入力情報に含まれることが好適である。
以下、機械学習が畳み込みニューラルネットワークの機械学習である場合における訓練情報について、具体的に説明する。
図9(a)は、開放部を有する空調空間である地下街の地図の一例を示す図である。図9(a)において、通路である空調空間の領域を斜線で示している。図9(b)は、図9(a)で示される地下街が複数の区画に分割された状態を示す図である。図9(b)で示されるように、図9(a)で示される地下街の地図は、幅方向が10区画、高さ方向が5区画に分割され、合計50区画を有していることになる。そのうち、空調空間である通路の区画は16個である。なお、ここでは、通路の一部が含まれる区画は、通路の区画であるとしている。
例えば、人流情報などのように、区画ごとに値が異なる情報については、図9(c)で示されるように、対応する区画ごとに値を有する10×5の行列(画像)となる。ただし、空調空間以外の区画については、0を設定している。この場合には、1個の区画の情報が1画素の情報となっている。また、人流情報の値は、0から1までの値となるように正規化している。すなわち、空調空間の地図がグリッド状に分割され、1つの区画が1個の画素に対応し、1つの区画の情報(例えば、人流情報等)が、1個の画素の画素値に対応するように入力情報が構成されることになる。人流情報以外の気温や湿度等の定量的な情報も、0から1までの値となるように正規化されることが好適である。一方、定性的な情報は、バイナリ変数化して訓練情報に含めるようにしてもよい。なお、定量的な情報であっても、バイナリ変数化された定性的な情報であっても、区画ごとに値が変化するものについては、図9(c)と同様に、区画ごとに値の異なる画像として訓練情報に含めるようにしてもよい。例えば、空調空間の一部においてイベントが行われる場合には、区画ごとにイベントの有無を示す情報が、イベント情報として用いられてもよい。また、そのイベント情報において、イベントの有無を示す情報に代えて、イベントの規模に応じた数値が定量的な情報として用いられてもよい。一方、区画ごとに値が変化しない情報、例えば、時間情報や天候情報等の属性情報については、すべての画素値が「0」である画像、またはすべての画素値が「1」である画像によって表現されてもよい。すなわち、区画ごとに値が変化しない情報については、すべての画素値が同じ値になる画像が入力情報として用いられてもよい。上記のことは、出力情報についても同様である。また、以下の説明において、W×Hは、画像の幅×高さであるとする。また、W×H×Cと記載した場合には、Cはチャネル数を示すものとする。
図10は、訓練用入力情報に含まれる4個の人流情報の一例を示す図である。図10(a)は、ある日の8:00〜8:30の人流情報であり、図10(b)は、同日の8:30〜9:00の人流情報であり、図10(c)は、同日の9:00〜9:30の人流情報であり、図10(d)は、同日の9:30〜10:00の人流情報である。図10では、それぞれ地下街の地図上に値を示しているが、訓練用入力情報に含まれる人流情報は、10×5の画像となる。したがって、この場合には、訓練用入力情報に含まれる人流情報は、10×5×4の画像となる。
なお、人流情報が、総通行時間と通行者数との両方である場合には、総通行時間に対応する画像と、通行者数に対応する画像とが必要になるため、訓練用入力情報に含まれる人流情報は、10×5×8の画像となってもよい。また、人流情報に、通行者の性別の分布が含まれる場合には、その性別の分布を示す人流情報も、10×5×4の画像となってもよい。
図11(a)は、各区画に空調空間(すなわち、通路)が含まれるかどうかを示す属性情報である。図11(a)では、空調空間である通路を含む区画に「1」が設定されており、それ以外の区画が「0」に設定されている。また、図11(a)で示される画像とは別に、空調空間である通路を含む区画に「0」が設定されており、それ以外の区画に「1」が設定されている、空調空間である通路を含まない区画を示す属性情報も訓練用入力情報に含まれてもよい。両者が訓練用入力情報に含まれる場合には、チャネル数が2個増えることになる。なお、このような各区画に空調空間が含まれているかどうかを示す属性情報は、図9(a)で示される地下街の通路においてのみ、人流予測を行う場合には用いなくてもよいが、異なる2以上の領域について人流予測を行う場合には、用いることが好適である。
図11(b)は、人流情報に対応する時点の月を示す属性情報の一例を示す図である。図11(b)で示されるように、人流情報に対応する時点が6月である場合には、6月に対応する画像の各値が「1」となり、それ以外の月に対応する画像の各値が「0」となるように設定されてもよい。この場合には、12チャネルの画像を用いて、人流情報に対応する時点の月を示すことができる。
図11(c)は、人流情報に対応する時点の曜日を示す属性情報の一例を示す図である。図11(c)で示されるように、人流情報に対応する時点が日曜日である場合には、日曜日に対応する画像の各値が「1」となり、それ以外の曜日に対応する画像の各値が「0」となるように設定されてもよい。この場合には、7チャネルの画像を用いて、人流情報に対応する時点の曜日を示すことができる。
図12(a)は、人流情報に対応する時点が平日か祝日かを示す属性情報の一例を示す図である。図12(a)で示されるように、人流情報に対応する時点が平日である場合には、平日に対応する画像の各値が「1」となり、祝日に対応する画像の各値が「0」となるように設定されてもよい。この場合には、2チャネルの画像を用いて、人流情報に対応する時点が平日か祝日かを示すことができる。
図12(b)は、人流情報に対応する時点が、早朝、朝ラッシュ、午前中間帯、昼、午後中間帯、夕ラッシュ、夜、深夜のいずれであるのかを示す属性情報の一例を示す図である。図12(b)で示されるように、人流情報に対応する時点が午前中間帯である場合には、午前中間帯に対応する画像の各値が「1」となり、それ以外の時間帯に対応する画像の各値が「0」となるように設定されてもよい。この場合には、8チャネルの画像を用いて、人流情報に対応する時点の時間帯を示すことができる。
図12(c)は、人流情報に対応する時点の天気を示す属性情報の一例を示す図である。図12(c)で示されるように、人流情報に対応する時点の天気が曇である場合には、曇に対応する画像の各値が「1」となり、晴、雨に対応する画像の各値が「0」となるように設定されてもよい。この場合には、3チャネルの画像を用いて、人流情報に対応する時点の天気を示すことができる。
図12(d)は、人流情報に対応する時点の外気温を示す属性情報の一例を示す図である。図12(d)で示されるように、人流情報に対応する時点の外気温25℃である場合には、外気温に対応する画像の各値が、その外気温が正規化された「0.65」となるように設定されてもよい。この場合には、1チャネルの画像を用いて、人流情報に対応する時点の外気温を示すことができる。したがって、訓練用入力情報に、外気温、外気湿度、風速、日照時間が含まれる場合には、それらの情報は、4チャネルの画像となってもよい。
図13は、訓練用出力情報に含まれる1個の人流情報の一例を示す図である。図13は、図10(a)〜図10(d)と同日の10:00〜10:30の人流情報である。図13で示される人流情報は、10×5の画像となる。なお、訓練用入力情報に、総通行時間を示す人流情報と、通行者数を示す人流情報との両方が含まれる場合には、訓練用出力情報にも、両者の人流情報が含まれてもよい。その場合には、訓練用出力情報に含まれる人流情報は、10×5×2の画像となってもよい。また、訓練用入力情報に、通行者の性別の分布を示す人流情報が含まれる場合には、訓練用出力情報にも、通行者の性別の分布を示す人流情報が含まれてもよい。その訓練用出力情報に含まれる、性別の分布を示す人流情報は、10×5の画像となってもよい。
例えば、訓練用入力情報に、図10で示される4チャネルの人流情報の画像が含まれ、図11(a)に対応する、2チャネルの画像が含まれ、図11(b)、図11(c)、図12(a)に対応する合計21チャネルの画像が含まれるとすると、それらの合計は、27チャネルとなる。また、図12(b)に対応する8チャネルの画像と、図12(c)に対応する3チャネルの画像と、図12(d)に関連する、外気温、外気湿度、風速、日照時間の4チャネルの画像が、入力及び出力に含まれる5個の人流情報のそれぞれについて含まれるとすると、それらの合計は、75(=15×5)チャネルとなる。その結果、訓練用入力情報に含まれる画像は、合計102チャネルとなる。したがって、例えば、訓練用入力情報には、10×5×102の画像が含まれ、訓練用出力情報には、10×5×1の画像が含まれることになる。なお、このような訓練情報が複数、用意されることになる。
訓練情報受付部401は、例えば、有線または無線の通信回線を介して送信された情報を受信してもよく、所定の記録媒体(例えば、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)から読み出された情報を受け付けてもよい。なお、訓練情報受付部401は、受け付けを行うためのデバイス(例えば、モデムやネットワークカードなど)を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、訓練情報受付部401は、ハードウェアによって実現されてもよく、または所定のデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
学習器製造部402は、訓練用入力情報と訓練用出力情報との複数の組を学習することによって学習器を製造する。この学習器は、区画ごとに取得された所定の期間の人流情報を含む訓練用入力情報と、その所定の期間の後に区画ごとに取得された人流情報である訓練用出力情報との複数の組の機械学習の結果である。したがって、例えば、この学習器に、所定の期間の人流情報を含む入力情報が適用されると、その入力情報に含まれる人流情報に対応する期間の後の区画ごとの人流情報である出力情報を得ることができる。なお、入力情報には、訓練用入力情報と同様の情報が含まれていることが好適である。例えば、訓練用入力情報に属性情報が含まれている場合には、入力情報にも、同様の属性情報が含まれていることが好適である。より具体的には、訓練用入力情報が10×5×102の画像である場合には、入力情報も同様に、10×5×102の画像であることが好適である。なお、この学習の詳細については後述する。
学習器出力部403は、学習器製造部402によって製造された学習器を出力する。学習器出力部403によって出力された学習器が、図3で示される空調システム100の記憶部44で記憶されることになる。ここで、この出力は、例えば、所定の機器への通信回線を介した送信でもよく、記録媒体への蓄積でもよく、他の構成要素への引き渡しでもよい。なお、学習器出力部403は、出力を行うデバイス(例えば、通信デバイスなど)を含んでもよく、または含まなくてもよい。また、学習器出力部403は、ハードウェアによって実現されてもよく、または、それらのデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
次に、学習器製造部402による機械学習について説明する。この機械学習は、教師ありの学習であり、ニューラルネットワークの学習であってもよく、サポートベクターマシンやサポートベクター回帰の学習であってもよく、または、それ以外の機械学習であってもよい。ここでは、機械学習がニューラルネットワークの学習である場合について主に説明する。
学習器であるニューラルネットワークは、例えば、入力画像の各画素値に対して所定の演算を行い、出力画像の各画素値を出力する畳み込みニューラルネットワークであってもよい。そのニューラルネットワークは、例えば、図14で示されるように、入力層の後段に、複数の畳み込み層(conv1,conv2)を有していてもよい。図14は、入力層から出力層(全結合2)までの各層の構成の一例を示すものである。機械学習によって、複数の畳み込み層の各フィルタのパラメータ値や、全結合層のパラメータ値が算出されることになる。なお、このニューラルネットワークは、前段に複数の連続した畳み込み層を有しており、その畳み込み層の後段に1以上のプーリング層を有しており、そのプーリング層の後段に2以上の全結合層を有しているものであってもよい。そのニューラルネットワークが有する連続した畳み込み層の層数は問わない。例えば、ニューラルネットワークは、連続した2層以上の畳み込み層を有してもよく、連続した3層以上の畳み込み層を有してもよい。また、そのニューラルネットワークが有する全結合層の層数は問わない。例えば、ニューラルネットワークは、1層の全結合層を有してもよく、連続した2層以上の全結合層を有してもよく、連続した3層以上の全結合層を有してもよい。
また、ニューラルネットワークの各層において、適宜、パディングが行われてもよい。そのパディングは、例えば、ゼロパディングであってもよく、画像の最外周の画素値を外挿するパディングであってもよく、画像の各辺で折り返した画素値とするパディングであってもよい。図14では、2個の畳み込み層において、サイズ1のパディングを行っている例について示している。また、プーリング層におけるフィルタサイズ(2×2)は、プーリングサイズを示している。プーリングは、例えば、最大値プーリングであってもよく、平均プーリングであってもよく、その他のプーリングであってもよい。後述する実験においては、最大値プーリングを使用した。
また、各層におけるストライドは問わないが、例えば、畳み込み層におけるストライドは、1または2などの小さい値であることが好適であり、プーリング層のストライドは、2以上であることが好適である。
また、各層において、バイアスを用いてもよく、または、用いなくてもよい。バイアスを用いるかどうかは、層ごとに独立して決められてもよい。そのバイアスは、例えば、層ごとのバイアスであってもよく、または、フィルタごとのバイアスであってもよい。前者の場合には、各層において1個のバイアスが用いられることになり、後者の場合には、各層において1個以上(フィルタと同数)のバイアスが用いられることになる。畳み込み層でバイアスを用いる場合には、各画素値にフィルタのパラメータを掛けて足し合わせた結果にバイアスを加算したものが、活性化関数に入力されることになる。
ニューラルネットワークにおける各設定は、次のようであってもよい。活性化関数は、例えば、ReLU(正規化線形関数)であってもよく、シグモイド関数であってもよく、その他の活性化関数であってもよい。また、学習では、例えば、誤差逆伝搬法を用いてもよく、ミニバッチ法を用いてもよい。また、損失関数(誤差関数)は、平均二乗誤差であってもよい。また、epoch数(パラメータの更新回数)は特に問わないが、過剰適合とならないepoch数が選択されることが好適である。なお、機械学習における学習方法としては、公知の方法を用いることができ、その詳細な説明を省略する。
なお、本実施の形態では、ニューラルネットワークに入力される人流情報が画像状のものである場合について主に説明するが、そうでなくてもよい。例えば、人流情報は、区画ごとの人流に関する情報であり、画像状の情報でなくてもよい。その場合には、例えば、図9等で示される例において、区画ごとに値が変化する情報、例えば、人流情報については、チャネル数に区画数(図9では16個)を掛けた個数の情報量となり、区画ごとに値が変化しない情報については、チャネル数に相当する個数の情報量となる。また、この場合には、図11(a)に対応する2チャネルの情報は不要となる。したがって、入力される情報数は、4チャネルの人流情報に対応する64(=4×16)個と、96チャネルのそれ以外の情報に対応する96個とになり、入力層のユニット数は160(=64+96)個となる。この場合には、ニューラルネットワークの各層は、すべて全結合層であってもよい。その全結合層の層数は、例えば、2個であってもよく、3個であってもよく、4個以上であってもよい。なお、本願の発明者らによる実験によれば、図9等で示されるように、入力情報を画像状の情報とした方が、そうでない場合よりも予測の精度が高かった。詳細な理由は不明であるが、おそらく、図9(c)で示されるように人流情報を入力することによって、各区画の隣接状況等についても学習されることになり、その結果として、予測の精度が向上したのではないかと推察される。
また、畳み込みニューラルネットワークを用いる場合であっても、例えば、図9等の例において、16個の区画を、4×4の画像にした人流情報を用いて学習を行ってもよい。その場合には、実空間において近い区画が、入力画像において近い位置となるように4×4の入力画像が構成されることが好適である。この場合にも、図9等の情報を用いた畳み込みニューラルネットワークにおける学習よりは、精度が低下するのではないかと考えられる。
なお、学習器として、ニューラルネットワーク以外の学習結果である学習器を用いてもよいことは上記のとおりである。例えば、SVMやSVRの学習結果である学習器が用いられてもよい。その場合には、例えば、区画ごとに学習が行われてもよい。具体的には、空調空間が16個の区画に分割される場合には、16個の区画にそれぞれ対応する16個の学習器が製造され、16個の区画の人流予測に16個の学習器が用いられてもよい。その場合における入力情報や出力情報としては、上記のニューラルネットワークの学習における入力情報や出力情報が区画ごとの情報となった以外は、上記と同様の入力情報や出力情報を用いることができる。なお、SVMを用いて人流情報の予測を行う場合には、人流情報を複数の段階(例えば、3段階や5段階など)に分類し、SVMの多値分類の手法を用いて、その人流情報に関する段階を予測するようにしてもよい。
図3に戻り、人流予測部45は、人流取得部43によって取得された、所定の期間の人流情報を含む入力情報を学習器に適用することによって、予測された人流情報を取得する。なお、入力情報の画像サイズや情報数は、訓練用入力情報の画像サイズや情報数と同じであることが好適である。そのため、入力情報には、例えば、訓練用入力情報と同様に、属性情報が含まれていてもよい。その属性情報は、例えば、上記のように、人流取得部43によって取得されてもよい。人流予測部45は、入力情報を学習器に入力することによって、その学習器の出力である出力情報、すなわち予測された人流情報を取得することができる。記憶部44に学習器である関数やモデル等が記憶されている場合には、人流予測部45は、撮影画像について、その関数やモデル等を用いた演算を行うことによって出力情報を取得してもよい。
また、人流予測部45は、人流の平均速度を含む人流情報を取得してもよい。この平均速度は、ある区画における、通行人ごとの速度の平均値であってもよい。例えば、人流情報に、ある区画の単位時間あたりの総通行時間と、単位時間あたりの通行者数とが含まれる場合には、その区画の通行方向の長さを用いて、次のように人流の平均速度を算出することができる。
人流の平均速度=区画の通行方向の長さ×単位時間あたりの通行者数/単位時間あたりの総通行時間
なお、区画が一方向に延びる通路などであれば、その区画の通行方向の長さは、その一方向に延びる通路の長さとなる。一方、区画が十字路や曲がり角などのように、一方向に延びる通路ではない場合には、通行者の通行特性等を考慮して、平均的な通行方向の長さを特定し、その特定した通行方向の長さを上記平均速度の計算に用いてもよい。また、人流情報を用いて人流の平均速度を算出できる場合には、その人流情報に人流の平均速度が含まれていると考えてもよい。その場合には、人流情報に、人流の平均速度そのものが含まれているのと同等であると考えられるからである。具体的には、上記のように、人流情報に歩行者数と総通行時間とが含まれる場合には、人流情報に、人流の平均速度が含まれていると考えてもよい。
なお、本実施の形態では、学習器を用いて人流予測を行う場合について主に説明するが、人流予測部45は、学習器を用いないで、区画ごとに、人流に関する情報である人流情報を予測してもよい。具体的には、人流の変化には、1週間周期や1年周期などの周期性があるというモデルに基づいて、区画ごとの人流情報の履歴を用いて人流予測を行ってもよい。その場合には、人流予測部45は、例えば、予測対象の時点の1週間前や1年前の人流に関する人流情報を、予測した人流情報として取得してもよい。また、人流を予測するその他の手法を用いて、人流の予測を行ってもよい。その他の手法としては、例えば、特開2018−195215号公報を参照されたい。そのように、学習器を用いないで人流予測を行う場合には、空調システム100は、記憶部44を備えていなくてもよい。また、学習器を用いない人流予測に、人流取得部43によって取得された人流情報等を用いない場合には、空調システム100は、人流取得部43も備えていなくてもよい。
区画制御部46は、人流予測部45によって予測された人流情報に基づいて、複数の区画供給部41を制御する。なお、予測された人流情報に基づく複数の区画供給部41の制御とは、その複数の区画供給部41の制御に少なくとも人流情報が用いられるという意味である。したがって、後述するように、その制御に、例えば、人流情報が直接用いられてもよく、または、人流情報を用いて算出された発熱量が用いられてもよい。区画制御部46による区画供給部41の制御は、区画制御部46からの制御指示が有線または無線を介して区画供給部41に渡されることによって行われてもよい。
その制御は、例えば、人流に応じた熱負荷の多い区画と、少ない区画とについて、異なる制御を行うことであってもよい。例えば、区画制御部46は、空調機12によって冷房が行われている場合には、人流予測部45によって予測された人流情報によって示される熱負荷が多い区画の供給冷熱量が多くなるように、その区画に対応する区画供給部41を制御し、人流予測部45によって予測された人流情報によって示される熱負荷が少ない区画の供給冷熱量が少なくなるように、その区画に対応する区画供給部41を制御してもよい。また、例えば、区画制御部46は、空調機12によって暖房が行われている場合には、人流予測部45によって予測された人流情報によって示される熱負荷が多い区画の供給温熱量が少なくなるように、その区画に対応する区画供給部41を制御し、人流予測部45によって予測された人流情報によって示される熱負荷が少ない区画の供給温熱量が多くなるように、その区画に対応する区画供給部41を制御してもよい。予測された人流情報によって示される熱負荷が多い区画とは、例えば、予測された人流情報によって示される人流が第1の閾値より多い区画であってもよく、予測された人流情報を用いて算出される発熱量が第3の閾値より多い区画であってもよい。また、予測された人流情報によって示される熱負荷が少ない区画とは、例えば、予測された人流情報によって示される人流が第2の閾値より少ない区画であってもよく、予測された人流情報を用いて算出される発熱量が第4の閾値より少ない区画であってもよい。第1及び第2の閾値は、例えば、同じ値であってもよく、または、第1の閾値が、第2の閾値より大きくてもよい。また、第3及び第4の閾値は、例えば、同じ値であってもよく、または、第3の閾値が、第4の閾値より大きくてもよい。また、ある区画に対応する区画供給部41とは、その区画に空調空気を供給する区画供給部41のことである。なお、人流予測は区画ごとに行われるため、人流が多いとは、人密度が高いことを意味し、また、人流が少ないとは、人密度が低いことを意味すると考えてもよい。
例えば、4.8(km/h)で歩行している通行人の人体からの発熱量は276.8(W)となることが知られている。その発熱量については、例えば、以下の文献を参照されたい。そのため、ある区画の人流が多くなればなるほど、通行者による発熱量も増えることになり、その区画の温度が上昇することになる。したがって、予測された人流情報を用いることによって、区画ごとに人流に応じた発熱量を算出することもでき、その算出した発熱量を、区画制御部46による上記の制御に用いてもよい。また、上記のように、人流が多い区画については、温度が低くなるように制御し、人流が少ない区画については、温度が高くなるように制御することは、各区画の通行者の快適性を向上させるために適切な制御である。
文献:郡公子、佐藤豊、「人体発熱負荷の推定に関する研究」、空気調和・衛生工学会大会、学術講演論文集1990(0), pp. 745-748, 1990
通行者の発熱量に応じた制御を行うため、区画制御部46は、例えば、冷房が行われている場合に、予測された人流情報によって示される熱負荷が多い区画に、空調機12からの空調空気がより多く供給されるように、その区画に対応する区画供給部41を制御してもよく、予測された人流情報によって示される熱負荷が少ない区画に、空調機12からの空調空気がより少なく供給されるように、その区画に対応する区画供給部41を制御してもよい。また、通行者の発熱量に応じた制御を行うため、区画制御部46は、例えば、暖房が行われている場合に、予測された人流情報によって示される熱負荷が多い区画に、空調機12からの空調空気がより少なく供給されるように、その区画に対応する区画供給部41を制御してもよく、予測された人流情報によって示される熱負荷が少ない区画に、空調機12からの空調空気がより多く供給されるように、その区画に対応する区画供給部41を制御してもよい。なお、空調空気がより多く供給されるとは、例えば、通常(デフォルトの設定)よりも多い空調空気が供給されることであってもよく、空調空気がより少なく供給される区画と比較して、より多くの空調空気が供給されることであってもよい。また、空調空気がより少なく供給されるとは、例えば、通常よりも少ない空調空気が供給されることであってもよく、空調空気がより多く供給される区画と比較して、より少ない空調空気が供給されることであってもよい。なお、例えば、空調空気の供給量の制御に代えて、供給される空調空気の温度が制御されてもよい。区画制御部46は、例えば、冷房が行われている場合に、予測された人流情報によって示される熱負荷が多い区画に、空調機12からのより低い温度の空調空気が供給されるように、その区画に対応する区画供給部41を制御してもよく、予測された人流情報によって示される熱負荷が少ない区画に、空調機12からのより高い温度の空調空気が供給されるように、その区画に対応する区画供給部41を制御してもよい。
なお、上記のように、人流情報に応じて、各区画に応じた通行者に応じた発熱量の合計を算出することも可能である。例えば、予測された人流情報に、通行者の属性が含まれている場合には、区画制御部46は、その属性を用いて発熱量の合計を算出してもよい。具体的には、通常、男性の発熱量は、女性の発熱量よりも多くなるため、そのことを考慮した発熱量の合計の算出を行ってもよい。そのようにして算出された発熱量の合計に応じて、区画制御部46は、上記と同様の処理を行ってもよい。すなわち、区画制御部46は、例えば、冷房が行われている場合に、発熱量の合計が多い区画の供給冷熱量が多くなるように、その区画に対応する区画供給部41を制御し、発熱量の合計が少ない区画の供給冷熱量が少なくなるように、その区画に対応する区画供給部41を制御してもよい。この場合でも、通常、上記の人流の予測結果を用いた制御と同様の結果になると考えられる。
また、予測された人流情報に基づいた区画供給部41の制御は、例えば、人流のない区画について、空調空気の供給を行わない制御であってもよい。例えば、区画制御部46は、人流予測部45によって予測された人流情報によって人のいないことが示される区画については、空調機12によって調整された空気の供給を行わないように、その区画に対応する区画供給部41を制御してもよい。予測された人流情報によって人のいないことが示される区画とは、予測された人流情報によって示される人流が0である区画であってもよく、または、予測された人流情報によって示される人流が所定の閾値より少ない区画であってもよい。後者の場合であっても、所定の閾値が十分に小さい値であれば、人流が所定の閾値より少ないときに、人が実質的にいないとみなすことができるからである。そのため、その所定の閾値は、上記第2の閾値などと比較して、小さい正の値に設定されることが好適である。このように、人のいない区画については空調を行わないようにすることによって、通行人の快適さを損なうことなく、省エネルギー化を図ることができるようになる。なお、このように、ある区画について空調空気の供給をなくしたとしても、上記のように、空調空間は連続しているため、他の区画からの空調空気の流れ込みもあり、また、仮に通行人が空調空気の供給のなされていない区画を通ることになったとしても、通行するのは短期間であるため、通行人に対する影響は少ないと考えられる。
また、予測された人流情報に、通行者の属性の分布が含まれている場合には、区画制御部46は、その通行者の属性の分布に基づいて、区画供給部41を制御してもよい。例えば、男性や若者の多いことが予測される区画については、他の区画よりも温度が低くなるように制御されてもよい。逆に、女性や老人の多いことが予測される区画については、他の区画よりも温度が高くなるように制御されてもよい。
[ブロック間での空気の移動制御]
次に、ブロック間での空気の移動制御について説明する。
ブロック温度センサ51は、ブロックごとに設けられており、各ブロックの温度を取得する。例えば、図2において、ブロック温度センサ51aは、ブロック301aの温度を取得する。その温度は、ブロック内の温度であればどの位置の温度であってもよいが、そのブロックを代表する位置の温度、例えば、ブロックの中心付近の温度であってもよい。また、ブロック温度センサ51は、例えば、あるブロックについて、複数の位置における温度の測定結果の代表値である温度を取得してもよい。ブロック温度センサ51によって取得された温度は、例えば、有線または無線を介してブロック間送風制御部59に渡されてもよい。
なお、複数のブロック温度センサ51の少なくとも一部と、内部温度センサ32とは同じものであってもよい。例えば、いずれかのブロック温度センサ51によって取得されたブロック内の温度が、内部温度として用いられてもよい。その場合には、空調システム100が有する内部温度センサ32と、少なくともいずれかのブロック温度センサ51とは、物理的には一体のものであってもよい。
また、図2では、各ブロック301a〜301hにダクト53が接続されている場合について示しているが、そうでない場合、すなわち、ダクト53の接続されていないブロックが存在する場合には、そのブロックには、ブロック温度センサ51が設けられていなくてもよい。
図2において、複数のダクト53は、複数のブロック301a〜301hの間で空気を導くものである。複数の送風部54は、ダクト53を介してブロック間において、空気を送風するものである。なお、図2で示されるように、本実施の形態では、空調システム100が複数のダクト53と、複数の送風部54とを有する場合について主に説明するが、空調システム100は、1個のダクト53のみを有していてもよく、1個の送風部54のみを有していてもよい。
上方側のブロック301a〜301dの空気はそれぞれ、吸込口52を介して吸い込まれ、送風部54a〜54dと、ダクト53とを介して、下方側のブロック301e〜301hの少なくともいずれかに供給される。その際に、ダンパ55〜58が操作されることにより、下方側の所望のブロックに上方側のブロックの空気を導入することができる。例えば、ブロック301aの空気は、ダンパ55e〜55hのそれぞれを開閉することによって、下方側の任意の1以上のブロック301e〜301hに導入することができる。
下方側のブロック301e〜301hの空気はそれぞれ、吸込口52を介して吸い込まれ、送風部54e〜54hと、ダクト53とを介して、上方側のブロック301a〜301dの少なくともいずれかに供給される。その際に、ダンパ55〜58が操作されることにより、上方側の所望のブロックに下方側のブロックの空気を導入することができる。例えば、ブロック301eの空気は、ダンパ55a〜55dのそれぞれを開閉することによって、上方側の任意の1以上のブロック301a〜301dに導入することができる。
なお、図2においては、下方側のブロック301e〜301hの空気は、上方側のブロック301a〜301dにしか供給することができず、上方側のブロック301a〜301dの空気は、下方側のブロック301e〜301hにしか供給することができないが、そうでなくてもよい。下方側のブロック301e〜301hの空気を、下方側の他のブロックに供給できてもよく、上方側のブロック301a〜301dの空気を、上方側の他のブロックに供給できてもよい。
また、図2においては、ダンパ55〜58を操作することによって、ダクト53を介した空気の供給に関する供給元のブロックと、供給先のブロックとを変更することができる場合について示しているが、そうでなくてもよい。ブロックの間で空気を導くダクト53に関して、接続先のブロックが固定されていてもよい。また、その場合に、送風方向は固定されていてもよく、または切り替えることができてもよい。例えば、空調システム100が、接続先のブロックが固定された1個のダクト53と、そのダクト53を介した送風を行う1個の送風機54を有しているとする。その場合には、空調空間は、垂直方向に2個のブロックに分割されているだけであってもよい。すなわち、空調空間は、水平方向にはブロックに分割されていなくてもよい。そして、ブロック間送風制御部59は、その2個のブロックの各温度に基づいて、下方側のブロックの冷気を上方側のブロックに移動させたり、上方側のブロックの暖気を下方側のブロックに移動させたりするように、送風部54を制御してもよい。
ブロック間送風制御部59は、複数のブロック温度センサ51によって取得された温度を用いて、空気の供給元のブロックの温度が、空気の供給先のブロックの温度に対して、空調機12による温度調整方向の目標側となるように、送風部54を制御する。上記のように、冷房の場合には、温度調整方向の目標側は、温度の低い側となり、暖房の場合には、温度調整方向の目標側は、温度の高い側となる。したがって、冷房が行われている場合には、供給元のブロックの相対的に冷たい空気が、供給先のブロックに供給されることになり、暖房が行われている場合には、供給元のブロックの相対的に暖かい空気が、供給先のブロックに供給されることになる。このようにして、空気を有効利用することができ、省エネルギー化を促進することができるようになる。なお、本実施の形態では、冷房が行われている場合には、下方側のブロック301e〜301hの少なくともいずれかが、ブロック間での空気の移動に関する供給元のブロックとなり、暖房が行われている場合には、上方側のブロック301a〜301dの少なくともいずれかが、ブロック間での空気の移動に関する供給元のブロックとなる場合について主に説明するが、空気の供給元ブロックは、上方側のブロックや下方側のブロックに限定されないで任意に選択できてもよい。
例えば、図2において、冷房が行われている場合には、通常、下方側のブロック301e〜301hの温度の方が、上方側のブロック301a〜301dの温度よりも低くなるため、下方側のブロックから上方側のブロックへの空気の供給が行われることになる。下方側のブロックと上方側のブロックとの接続関係は問わないが、ブロック間送風制御部59は、例えば、最も温度の低い下方側のブロックの空気を、最も温度の低い上方側のブロックに供給するように制御してもよい。また、ブロック間送風制御部59は、例えば、同様にして、2番目〜4番目に温度の低い下方側のブロックの空気をそれぞれ、2番目〜4番目に温度の低い上方側のブロックに供給するように制御してもよい。なお、それらの制御において、供給元のブロックの温度の方が、供給先のブロックの温度よりも低いことを前提としている。その前提がみたされない場合には、ブロック間送風制御部59は、上下間での空気の移動を行わなくてもよい。
また、例えば、図2において、暖房が行われている場合には、通常、上方側のブロック301a〜301dの温度の方が、下方側のブロック301e〜301hの温度よりも高くなるため、上方側のブロックから下方側のブロックへの空気の供給が行われることになる。上方側のブロックと下方側のブロックとの接続関係は問わないが、ブロック間送風制御部59は、例えば、最も温度の高い上方側のブロックの空気を、最も温度の高い下方側のブロックに供給するように制御してもよい。また、ブロック間送風制御部59は、例えば、同様にして、2番目〜4番目に温度の高い上方側のブロックの空気をそれぞれ、2番目〜4番目に温度の高い下方側のブロックに供給するように制御してもよい。なお、それらの制御において、供給元のブロックの温度の方が、供給先のブロックの温度よりも高いことを前提としている。その前提がみたされない場合には、ブロック間送風制御部59は、上下間での空気の移動を行わなくてもよい。
また、ブロック間送風制御部59は、供給元のブロックのうち、より温度の高いブロックの空気が、人流予測部45によって予測された人流情報によって、人流の平均速度の低いことが示される区画に対応する供給先のブロックに供給され、より温度の低いブロックの空気が、予測された人流情報によって、人流の平均速度の高いことが示される区画に対応する供給先のブロックに供給されるように複数の送風部54を制御してもよい。
より温度の高いブロックとは、例えば、温度が最も高いブロックであってもよく、温度が最も高いブロックからN番目までのブロックであってもよく、温度が閾値より高いブロックであってもよい。Nは2以上の整数である。より温度の低いブロックとは、例えば、温度が最も低いブロックであってもよく、温度が最も低いブロックからN番目までのブロックであってもよく、温度が閾値より低いブロックであってもよい。
人流の平均速度が低いことが示される区画とは、例えば、人流の平均速度が最も低いことが示される区画であってもよく、人流の平均速度が最も低いことが示される区画からM番目であることが示される区画までであってもよく、人流の平均速度が閾値より低いことが示される区画であってもよい。Mは2以上の整数である。人流の平均速度が高いことが示される区画とは、例えば、人流の平均速度が最も高いことが示される区画であってもよく、人流の平均速度が最も高いことが示される区画からM番目であることが示される区画までであってもよく、人流の平均速度が閾値より高いことが示される区画であってもよい。
なお、供給元の候補となるブロックが複数存在する場合には、その複数の候補のブロックから、ランダムに1個のブロックが選択されてもよく、または、その複数の候補のブロックのそれぞれが供給元のブロックとなってもよい。供給先の候補のブロックが複数存在する場合にも同様である。また、図2においては、上記のように、ブロックと区画とが一致しているが、そうでない場合には、ある区画に対応するブロックとは、その区画に最も近いブロックであってもよい。
人流の平均速度の高いことが示される区画の通行者は、より速い速度で移動しており、発熱量もより多くなる。したがって、その通行者の快適性を向上させるため、より低い温度の空気を供給することが好適となる。一方、人流の平均速度が低いことが示される区画の通行者は、より遅い速度で移動しており、発熱量も少なくなる。したがって、その通行者の快適性を向上させるため、より高い温度の空気を供給することが好適となる。
例えば、図2において、冷房が行われている場合には、ブロック間送風制御部59は、下方側のブロック301e〜301hのうち、最も温度の低いブロックの空気が、人流の平均速度が最も高いことが示される区画に対応する上方側のブロックに供給されるように制御してもよい。また、ブロック間送風制御部59は、下方側のブロック301e〜301hのうち、最も温度の高いブロックの空気が、人流の平均速度が最も低いことが示される区画に対応する上方側のブロックに供給されるように制御してもよい。なお、それらの制御において、供給元のブロックの温度の方が、供給先のブロックの温度よりも低いことを前提としている。その前提がみたされない場合には、ブロック間送風制御部59は、上下間での空気の移動を行わなくてもよい。
また、例えば、図2において、暖房が行われている場合には、ブロック間送風制御部59は、上方側のブロック301a〜301dのうち、最も温度の低いブロックの空気が、人流の平均速度が最も高いことが示される区画に対応する下方側のブロックに供給されるように制御してもよい。また、ブロック間送風制御部59は、上方側のブロック301a〜301dのうち、最も温度の高いブロックの空気が、人流の平均速度が最も低いことが示される区画に対応する下方側のブロックに供給されるように制御してもよい。なお、それらの制御において、供給元のブロックの温度の方が、供給先のブロックの温度よりも高いことを前提としている。その前提がみたされない場合には、ブロック間送風制御部59は、上下間での空気の移動を行わなくてもよい。
また、ブロック間送風制御部59は、例えば、区画供給部41と同様に、人流予測部45によって予測された人流情報によって人のいないことが示される区画に対応するブロックについては、ブロック間での空気の移動の供給先とならないように制御してもよい。
また、ブロック間送風制御部59は、供給元のブロックと、そのブロックからの空気が供給される供給先のブロックとの組を決めると、その供給元のブロックから、供給先のブロックに空気が供給されるように、送風部54やダンパ55〜58を制御してもよい。具体的には、ブロック301eからブロック301aに空気を移動させることが決まった場合には、ブロック間送風制御部59は、ダンパ55aを開け、ダンパ55b〜55dを閉めるように制御すると共に、送風部54eを動作させるように制御する。なお、ブロック間送風制御部59による送風部54やダンパ55〜58の制御は、ブロック間送風制御部59からの制御指示が有線または無線を介して送風部54やダンパ55〜58に渡されることによって行われてもよい。また、ダンパ55〜58は、制御指示に応じて自動的に開閉するものである。
次に、空調システム100の動作について図6、図7のフローチャートを用いて説明する。図6のフローチャートは、開放部における風量の制御に関する処理を示すフローチャートである。
(ステップS101)風量制御部34は、開放部における風量制御を行うかどうか判断する。そして、その風量制御を行う場合には、ステップS102に進み、そうでない場合には、風量制御を行うと判断するまで、ステップS101の処理を繰り返す。なお、風量制御部34は、例えば、風量制御を行うと定期的に判断してもよい。
(ステップS102)内部温度センサ32は、内部温度を取得して風量制御部34に渡し、屋外温度センサ33は、屋外温度を取得して風量制御部34に渡す。
(ステップS103)風量制御部34は、現在、空調機12によって冷房が行われているかどうか判断する。そして、冷房が行われている場合には、ステップS104に進み、そうでない場合、すなわち暖房が行われている場合には、ステップS107に進む。なお、風量制御部34は、例えば、現在の空調が冷房か暖房かを示す所定の情報を図示しない記録媒体から読み出すことによって、上記判断を行ってもよい。その情報は、例えば、空調機12によって行われる冷暖房に応じて、図示しない制御部によって適宜、更新されてもよい。
(ステップS104)風量制御部34は、内部温度の方が屋外温度よりも高いかどうか判断する。そして、内部温度の方が屋外温度よりも高い場合には、ステップS105に進み、そうでない場合には、ステップS108に進む。
(ステップS105)センサ31は、開放部における風情報を取得して風量制御部34に渡す。
(ステップS106)風量制御部34は、開放部において、屋外から空調空間に空気が流入するように、供給部14及び吸込部18の少なくとも一方を制御する。この制御において、風量制御部34は、センサ31からの風情報の取得を繰り返すことによって、外気が空調空間に導入されるように、供給部14の供給量及び吸込部18の吸込量の少なくとも一方を調整してもよい。そして、ステップS101に戻る。なお、次の制御のタイミングとなるまでは、ステップS106における制御が継続されてもよい。
(ステップS107)風量制御部34は、屋外温度の方が内部温度よりも高いかどうか判断する。そして、屋外温度の方が内部温度よりも高い場合には、ステップS105に進み、そうでない場合には、ステップS108に進む。
(ステップS108)センサ31は、開放部における風情報を取得して風量制御部34に渡す。
(ステップS109)風量制御部34は、開放部において、屋外と空調空間との間における空気の移動が少なくなるように、供給部14及び吸込部18の少なくとも一方を制御する。この制御において、風量制御部34は、センサ31からの風情報の取得を繰り返すことによって、屋外と空調空間との間における空気の移動が少なくなるように、供給部14の供給量及び吸込部18の吸込量の少なくとも一方を調整してもよい。そして、ステップS101に戻る。なお、次の制御のタイミングとなるまでは、ステップS109における制御が継続されてもよい。
なお、図6のフローチャートにおける処理の順序は一例であり、同様の結果を得られるのであれば、各ステップの順序を変更してもよい。また、図6のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
図7のフローチャートは、人流予測に応じた空調制御、及びブロック間の送風制御に関する処理を示すフローチャートである。
(ステップS201)人流取得部43は、人流情報を取得するかどうか判断する。そして、人流情報を取得する場合には、ステップS202に進み、そうでない場合には、ステップS203に進む。なお、人流取得部43は、人流情報を取得すると定期的に判断してもよい。
(ステップS202)人流取得部43は、空調空間の区画ごとに、人流情報を取得する。なお、このステップS202における人流情報の取得は、人流情報の更新や、人流情報を取得するために用いられる情報の取得であってもよい。すなわち、このステップS202の処理が繰り返されることによって、最終的に人流情報が取得されてもよい。より具体的には、人流情報が30分間の人流に関する情報である場合には、ステップS202において、所定の時間ごとに人流情報の更新が行われ、30分が経過した時点で、その時点の人流情報が、最終的な30分間の人流情報として蓄積されてもよい。また、属性情報の取得も行う場合には、人流取得部43は、人流情報と共に、属性情報の取得も行ってもよい。そして、ステップS201に戻る。
(ステップS203)人流予測部45は、人流予測を行うかどうか判断する。そして、人流予測を行う場合には、ステップS204に進み、そうでない場合には、ステップS207に進む。なお、人流予測部45は、例えば、人流予測を行うと所定の期間ごとに判断してもよい。その所定の期間は、例えば、人流情報に対応する期間であってもよい。上記の例の場合には、人流予測部45は、新たな人流情報が取得されるごと、例えば30分ごとに人流予測を行うと判断してもよい。
(ステップS204)人流予測部45は、人流取得部43によって取得された人流情報を含む入力情報を、記憶部44で記憶されている学習器に適用することによって、予測された人流情報を取得する。その取得された将来の人流情報は、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。なお、入力情報に、出力情報に対応する属性情報が含まれる場合には、人流取得部43は、その属性情報をも取得してもよい。そして、人流予測部45は、その出力情報に対応する属性情報を人流取得部43から受け取って、入力情報に含めるようにしてもよい。
(ステップS205)区画制御部46は、ステップS204で得られた、予測された人流情報を用いて、区画ごとに、温度に関する設定を行う。その設定は、例えば、人流が多いことが予測される区画について、低い温度を設定することであってもよく、人流が少ないことが予測される区画について、高い温度を設定することであってもよく、人流のないことが予測される区画について、空調を行わないことを設定することであってもよい。
(ステップS206)区画制御部46は、ステップS205における設定に応じて、それぞれ対応する区画供給部41を制御する。そして、ステップS201に戻る。なお、次の人流情報の予測が行われるまでは、ステップS205における設定に応じた制御が継続されてもよい。
(ステップS207)ブロック間送風制御部59は、ブロック間での送風制御を行うかどうか判断する。そして、ブロック間での送風制御を行う場合には、ステップS208に進み、そうでない場合には、ステップS201に戻る。なお、ブロック間送風制御部59は、例えば、ブロック間での送風制御を行うと定期的に判断してもよい。
(ステップS208)ブロック温度センサ51は、各ブロックにおける温度を取得してブロック間送風制御部59に渡す。
(ステップS209)ブロック間送風制御部59は、上記のように、ステップS208で受け取ったブロックごとの温度を用いて、空気の供給元のブロックと、空気の供給先のブロックとの組み合わせを決定する。
(ステップS210)ブロック間送風制御部59は、ステップS209で決定した、空気の供給元のブロックと、空気の供給先のブロックとの間で送風が行われるように、送風部54、及びダンパ55〜58を制御する。そして、ステップS201に戻る。なお、次の制御のタイミングとなるまでは、ステップS210における制御が継続されてもよい。
なお、図7のフローチャートにおいて、区画制御部46は、ステップS205における温度の設定を行わずに、直接、区画供給部41の制御を行うようにしてもよい。その場合には、図7のフローチャートにおいて、ステップS205の処理は行われなくてもよい。また、図7のフローチャートにおける処理の順序は一例であり、同様の結果を得られるのであれば、各ステップの順序を変更してもよい。また、図7のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
次に、学習器製造装置400の動作について図8のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS301)訓練情報受付部401は、訓練用入力情報と訓練用出力情報との複数の組を受け付けたかどうか判断する。そして、訓練用入力情報と訓練用出力情報との複数の組を受け付けた場合には、ステップS302に進み、そうでない場合には、それらを受け付けるまでステップS301の処理を繰り返す。
(ステップS302)学習器製造部402は、ステップS301で受け付けられた訓練情報を用いて、機械学習によって学習器を製造する。
(ステップS303)学習器出力部403は、ステップS302で製造された学習器を出力する。このようにして、学習器を製造する一連の処理が終了する。
なお、図8のフローチャートにおける処理の順序は一例であり、同様の結果を得られるのであれば、各ステップの順序を変更してもよい。
次に、本実施の形態による学習器製造装置400、及び空調システム100の動作について、簡単に説明する。
まず、空調空間において、人流情報、及びそれに対応する属性情報の取得を行う。その取得は、例えば、人流取得部43を用いて行われてもよい。そのようにすることで、複数の訓練情報を用意することができる。そして、用意した複数の訓練情報を学習器製造装置400に入力し、学習を開始させる。すると、訓練情報受付部401によって複数の訓練情報が受け付けられ、学習器製造部402によって複数の訓練情報を用いた学習が行われて学習器が製造され、その製造された学習器が、学習器出力部403によって、図示しない記録媒体に蓄積される(ステップS301〜S303)。
その後、その学習器が記憶部44に蓄積された後に、空調システム100による空調が開始される。その空調においては、内部温度と屋外温度とが取得され、冷房が行われている場合には、屋外温度の方が内部温度よりも低いかどうか判断される(ステップS101〜S104)。そして、内部温度が屋外温度と同じか、屋外温度より低い場合には、センサ31によって取得される風情報を用いて、開放部において、内外での空気の移動が少なくなるように、または起こらないように供給部14の供給量、及び/または、吸込部18の吸込量が制御される(ステップS108,S109)。その結果、空調空気が開放部から屋外に流出したり、屋外の暑い空気が空調空間に流入したりすることを低減することができ、省エネルギー化を促進することができる。また、冷房が行われている場合であって、屋外温度が内部温度より低い場合には、センサ31によって取得される風情報を用いて、開放部において、外気が空調空間に導入されるように供給部14の供給量、及び/または、吸込部18の吸込量が制御される(ステップS105,S106)。その結果、空調空間に外気を導入することができ、より効率的に空調を行うことができるようになる。例えば、その外気導入に応じて、熱源機器11のエネルギー消費を抑えることができ、省エネルギー化を促進することができる。
また、区画ごとの人流情報の取得や、属性情報の取得が繰り返して行われる(ステップS201,S202)。また、例えば、新たな時間帯の人流情報を予測する際には、過去の人流情報や、その人流情報に対応する属性情報、及び、予測対象の人流情報に対応する属性情報を含む入力情報を学習器に適用することによって、予測された人流情報が取得される(ステップS203,S204)。また、その予測された人流情報を用いて、区画ごとに温度設定が行われて、区画ごとの空調空気の供給が制御される(ステップS205,S206)。その結果、人流の多いことが予測される区画については、より温度が低くなるように制御され、その区画における通行人から発せられる熱によって、その区画の温度が高くなることを抑制でき、その区画の通行人の快適性を向上させることができる。また、人流の少ないことが予測される区画については、より温度が高くなるように制御され、例えば、冷房が行われている場合には、その区画に関するエネルギー消費を低減することができるようになる。
また、ブロックごとの温度が取得され、それに応じて、利用価値のある空気、例えば、冷房が行われている場合における冷たい空気が、ブロック間で移動させることによって、有効に利用されることになる(ステップS207〜S210)。その結果、そのような利用価値のある空気を、そのまま放置したり、排気したりする場合と比較して、よりエネルギー消費を低減することができ、省エネルギー化に資することになる。
以上のように、本実施の形態による空調システム100によれば、空調空間内の人々の快適性を損なうことなく、省エネルギー化を図ることができる。具体的には、開放部における気流の制御を行うことによって、省エネルギー化を図ることができる。具体的には、開放部における内外の空気の移動を抑制することによって、空調空気の漏れ出しや、不快な空気の流入を抑えることができ、空調に関するエネルギー消費を低減することができる。また、開放部にエアカーテン等を設けなくてよいため、通行人に不快感を与えることなく、省エネルギー化を図ることができるようになる。また、屋外に快適な空気がある場合には、空調空間に外気を導入することによって、熱源機器11や空調機12の稼働を抑えることができ、より省エネルギー化を促進することができるようになる。
また、人流予測に基づいて、区画ごとの空調制御を行うことによって、例えば、人流が多いことが予測される区画については、より冷房が効くようにすることができ、通行人の快適性を向上させることができるようになる。また、例えば、人流が少ないことが予測される区画については、冷房の効きを弱くすることによって、省エネルギー化を図ることができる。また、人流の現在のセンシング結果に応じて空調を制御した場合には、制御が行われてから、空調空気が実際に空調空間に提供されるまでにタイムラグが生じるため、通行人の快適性が低下することもありうるが、予測された人流情報に基づいて制御を行うことによって、そのようなタイムラグが生じないようにすることができ、快適性をより向上させることができるようになる。
また、各ブロックでの温度を取得して、ブロック間で空気を適切に移動させることによって、空調空気をより効率的に利用することができるようになり、省エネルギー化を促進することができる。例えば、冷房時において、地下街の中心付近での27℃の空気は、その中心付近では快適性の低い空気であるかも知れないが、温度が高くなりがちな開放部付近では、快適な空気となりうる。そのため、その27℃の空気を開放部付近に移動させることによって、空気を有効利用することができ、より省エネルギー化を促進することができるようになる。
なお、本願の発明者らは、大規模な空調空間である地下街において、開放部における風量の制御、人流予測に基づいた区画ごとの空調制御、ブロック間での空気の移動制御のすべてを実施する実験を行った。その実験の結果、本実施の形態の空調システム100による制御によって、空調消費エネルギーを約40%程度、削減できることが確認された。このように、本実施の形態による空調システム100の有効性は、このようにして実際に確認されている。
また、本実施の形態では、図1で示されるように、固定の吸込口16から吸い込まれた空気を還気したり、排気したりする場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、空調空間200の上方側と下方側とのそれぞれに、吸込口が設けられていてもよい。そして、冷房時には、例えば、下方側の吸込口から吸い込んだ空気を排気せずに還気して再利用し、上方側の吸込口から吸い込んだ空気を還気せずに排気してもよい。逆に、暖房時には、例えば、上方側の吸込口から吸い込んだ空気を排気せずに還気して再利用し、下方側の吸込口から吸い込んだ空気を還気せずに排気してもよい。
また、本実施の形態では、空調システム100が、開放部における風量制御、人流予測に基づいた区画ごとの空調制御、ブロック間での空気の移動制御のすべてを行う場合について主に説明したが、そうでなくてもよい。空調システム100は、それらの3個の制御のうち、任意の1以上の制御を行うものであってもよい。
例えば、空調システム100が開放部における風量制御を行わない場合には、空調システム100は、センサ31、供給部14、吸込部18、風量制御部34を備えていなくてもよい。その場合であっても、空調システム100は、空調空間からの空気の吸い込みを行うための吸込部や、空調空間に空調空気を供給する供給部を別途、備えていてもよい。
また、例えば、空調システム100が人流予測に基づいた区画ごとの空調制御を行わない場合であって、ブロック間での空気の移動制御において予測された人流情報を用いない場合には、空調システム100は、区画供給部41、レーザレンジファインダ42、人流取得部43、記憶部44、人流予測部45などを備えていなくてもよい。
また、例えば、空調システム100がブロック間での空気の移動制御を行わない場合には、空調システム100は、ブロック温度センサ51、ダクト53、送風部54、ダンパ55〜58、ブロック間送風制御部59を備えていなくてもよい。
例えば、区画に分割された空調空間において、人流予測に応じた区画ごとの空調制御を行う空調システムは、空気の温度を調整する空調機と、空調機によって温度の調整された空気を空調空間における1以上の区画に供給する、その1以上の区画ごとに設けられた複数の区画供給部と、区画ごとに、人流に関する情報である人流情報を予測する人流予測部と、人流予測部によって予測された人流情報に基づいて、複数の区画供給部を制御する区画制御部とを備えたものであってもよい。
例えば、ブロックに分割された空調空間において、ブロック間での空気の移動制御を行う空調システムは、空気の温度を調整する空調機と、ブロックの温度を取得する、ブロックごとに設けられた複数のブロック温度センサと、複数のブロックの間で空気を導く1以上のダクトと、ダクトを介して空気を送風する1以上の送風部と、複数のブロック温度センサによって取得された温度を用いて、空気の供給元のブロックの温度が、空気の供給先のブロックの温度に対して、空調機による温度調整方向の目標側となるように、1以上の送風部を制御するブロック間送風制御部とを備えたものであってもよい。
また、本実施の形態による人流予測のために用いられる学習器は、空調以外のための人流予測に用いられてもよい。その場合には、予測を行う複数の区画に分割された空間は、空調空間以外の空間、例えば、屋外における通路等であってもよい。
また、上記実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、または、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、または、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いる閾値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していなくても、図示しない記録媒体において、一時的に、または長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、または、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、または、図示しない読み出し部が行ってもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いる閾値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していなくても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、または、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
また、上記実施の形態において、空調システム100や、学習器製造装置400に含まれる2以上の構成要素が通信デバイスや入力デバイス等を有する場合に、2以上の構成要素が物理的に単一のデバイスを有してもよく、または、別々のデバイスを有してもよい。
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、または、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。その実行時に、プログラム実行部は、記憶部や記録媒体にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。
また、このプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、CD−ROMなどの光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。また、このプログラムは、プログラムプロダクトを構成するプログラムとして用いられてもよい。
また、このプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、または分散処理を行ってもよい。
図15は、上記プログラムを実行して、上記実施の形態による空調システム100の少なくとも一部の構成要素、または、学習器製造装置400を実現するコンピュータの外観の一例を示す模式図である。上記実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されうる。
図15において、コンピュータシステム900は、CD−ROMドライブ905を含むコンピュータ901と、キーボード902と、マウス903と、モニタ904とを備える。
図16は、コンピュータシステム900の内部構成を示す図である。図16において、コンピュータ901は、CD−ROMドライブ905に加えて、MPU(Micro Processing Unit)911と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM912と、MPU911に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶すると共に、一時記憶空間を提供するRAM913と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するハードディスク914と、MPU911、ROM912等を相互に接続するバス915とを備える。なお、コンピュータ901は、LANやWAN等への接続を提供する図示しないネットワークカードを含んでいてもよい。
コンピュータシステム900に、上記実施の形態による空調システム100の少なくとも一部の構成要素の機能や、学習器製造装置400の機能を実行させるプログラムは、CD−ROM921に記憶されて、CD−ROMドライブ905に挿入され、ハードディスク914に転送されてもよい。これに代えて、そのプログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ901に送信され、ハードディスク914に記憶されてもよい。プログラムは実行の際にRAM913にロードされる。なお、プログラムは、CD−ROM921、またはネットワークから直接、ロードされてもよい。また、CD−ROM921に代えて他の記録媒体(例えば、DVD等)を介して、プログラムがコンピュータシステム900に読み込まれてもよい。
プログラムは、コンピュータ901に、上記実施の形態による空調システム100の少なくとも一部の構成要素の機能や、学習器製造装置400の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティプログラム等を必ずしも含んでいなくてもよい。プログラムは、制御された態様で適切な機能やモジュールを呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいてもよい。コンピュータシステム900がどのように動作するのかについては周知であり、詳細な説明は省略する。
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。