(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の水中通信システム10の具体的なシステム構成を示す図である。水中通信システム10は、水中測位装置1、第1移動体2及び第2移動体3を備える。水中測位装置1は、水上に位置し、第1移動体2及び第2移動体3の位置を示す位置情報(以下「移動体位置情報」という。)を取得する。第1移動体2及び第2移動体3は、それぞれ水中を移動する移動体である。第1移動体2は、水中測位装置1と通信することで、移動体位置情報を取得する。第1移動体2は第2移動体3と通信する。第2移動体3は第1移動体2と通信する。第1移動体2と第2移動体3とは、水中測位装置1が取得した位置情報に基づいて指向性の通信をする。
水中通信システム10は、水中測位装置1が移動体位置情報を取得し、取得された移動体位置情報に基づいて第1移動体2及び第2移動体3が指向性の通信をするシステムである。なお、水中通信システム10において、移動体位置情報はどのような水中測位方式で取得されてもよい。水中通信システム10は、例えば、USBL(Ultra Short Base Line)方式で移動体位置情報を取得してもよい。以下、説明の簡単のため、水中通信システム10は、USBL方式で移動体位置情報を取得すると仮定して説明を行う。
図2は、第1の実施形態における水中測位装置1の機能構成の具体例を示す図である。水中測位装置1は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)11やメモリ12や記憶部13などを備え、プログラムを実行する。水中測位装置1は、プログラムの実行によって地上通信用アンテナ部14、第1移動体通信部15、移動体測位部16及びGPS(Global Positioning System)センサ17を備える装置として機能する。
CPU11が記憶部13に記憶されたプログラムをメモリ12に読み込んで実行することにより、制御部100が生成される。
記憶部13は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。記憶部13は移動体位置情報を記憶する。移動体位置情報は、第1移動体2及び第2移動体3の位置を示す情報である。
地上通信用アンテナ部14は、水中測位装置1がインターネットを介して水中測位装置1の周囲の環境に関する情報を取得するためのアンテナである。水中測位装置1の周囲の環境に関する情報は、例えば、気象庁が公表する気象データであってもよい。水中測位装置1の周囲の環境に関する情報は、例えば、海流のデータであってもよい。
第1移動体通信部15は、水中測位装置1を第1移動体2に接続するための通信インタフェースを含んで構成される。第1移動体通信部15は、有線ケーブル又は無線を介して、第1移動体2と通信する。
移動体測位部16は、第1移動体2及び第2移動体3の位置を測位する。移動体測位部16は、第1移動体2及び第2移動体3の位置を測位可能であればどのような方法で第1移動体2及び第2移動体3の位置を測位してもよい。例えば、移動体測位部16は、USBL方式で第1移動体2及び第2移動体3の位置を測位してもよい。移動体測位部16は、測位の結果を示す情報(以下「測位情報」という。)を出力する。
GPSセンサ17は、GPSによって測位された水中測位装置1の位置を示す情報(以下「GPS情報」という。)を取得する。GPSセンサ17は、取得したGPS情報を出力する。
図3は、第1の実施形態における制御部100の機能構成の具体例を示す図である。
制御部100は、測位情報取得部101、GPS情報取得部102、地上通信情報取得部103及び位置情報取得部104、位置情報要求受信部105及び位置情報送信部106を備える。
測位情報取得部101は、移動体測位部16が出力した測位情報を取得する。
GPS情報取得部102は、GPSセンサ17が出力したGPS情報を取得する。
地上通信情報取得部103は、地上通信用アンテナ部14を介して水中測位装置1の周囲の環境に関する情報(以下「地上通信情報」という。)を取得する。
位置情報取得部104は、測位情報取得部101が取得した測位情報と、GPS情報取得部102が取得したGPS情報と、地上通信情報取得部103が取得した地上通信情報とに基づいて第1移動体2及び第2移動体3の位置を示す移動体位置情報を取得する。位置情報取得部104は、取得した移動体位置情報を記憶部13に記録する。なお、位置情報取得部104は、必ずしもGPS情報に基づいて移動体位置情報を取得する必要はない。位置情報取得部104は、測位情報だけに基づいて移動体位置情報を取得してもよい。位置情報取得部104は、測位情報及び地上通信情報だけに基づいて移動体位置情報を取得してもよい。なお、位置情報取得部104は、必ずしも地上通信情報に基づいて移動体位置情報を取得する必要はない。位置情報取得部104は、測位情報及びGPS情報だけに基づいて移動体位置情報を取得してもよい。
位置情報要求受信部105は、位置情報要求信号を受信する。位置情報要求信号は、水中測位装置1に対する移動体位置情報の取得の要求を示す信号である。
位置情報送信部106は、位置情報要求受信部105が位置情報要求信号を受信すると、記憶部13に記憶された移動体位置情報を、第1移動体通信部15を介して、第1移動体2に送信する。
水中測位装置1は、位置情報要求信号を受信したか否かに関わらず定期的に、移動体測位部16、GPSセンサ17、測位情報取得部101、GPS情報取得部102及び位置情報取得部104によって移動体位置情報を取得する。
図4は、第1の実施形態における第1移動体2の機能構成の具体例を示す図である。第1移動体2は、バスで接続されたCPU21やメモリ22や記憶部23などを備え、プログラムを実行する。第1移動体2は、プログラムの実行によってアンテナ部24、水中測位装置通信部25、駆動部26及び測定センサ27を備える装置として機能する。
CPU21が記憶部23に記憶されたプログラムをメモリ22に読み込んで実行することにより、制御部200が生成される。
アンテナ部24は、一つ又は複数のアンテナとアンテナに接続された一つ又は複数の回路とを備え、信号を発信又は受信する。アンテナ部24が発信又は受信する信号はどのような無線媒体によって伝送される信号であってもよい。例えば、アンテナ部24が発信又は受信する信号は電磁波として伝送される信号であってもよい。電磁波は、例えば、可視光であってもよいし、テラヘルツ波であってもよい。例えば、アンテナ部24が発信又は受信する信号は音波として伝送される信号であってもよい。例えば、アンテナ部24が発信又は受信する信号は音波として伝送される信号であってもよい。
水中測位装置通信部25は、第1移動体2を水中測位装置1に接続するための通信インタフェースを含んで構成される。水中測位装置通信部25は、有線ケーブル又は無線を介して、水中測位装置1と通信する。駆動部26は、第1移動体2を移動させる。測定センサ27は、所定の物理量を測定する。測定センサ27は、例えば、温度計であってもよいし、塩分濃度測定器であってもよい。
図5は、第1の実施形態における制御部200の機能構成の具体例を示す図である。
制御部200は、移動体位置情報取得部201、通信開始信号受信部202、モード決定部203、アンテナ制御部204、距離算出部205、通信関連情報送信部206、指向性モードデータ送受信部207、移動制御部208、同期部209、測定部210及び通信開始判定部211を備える。
移動体位置情報取得部201は、水中測位装置通信部25を介して移動体位置情報を取得する。通信開始信号受信部202は、第1移動体2と第2移動体3との間の通信の開始の指示を示す通信開始信号を受信する。第1移動体2が通信開始信号を受信した場合、移動体位置情報取得部201は、水中測位装置通信部25を介して位置情報要求信号を水中測位装置1に送信し、移動体位置情報を取得する。
モード決定部203は、第1移動体2の動作モードを決定する。モード決定部203は、第1移動体2が動作する動作モードを、全方位受信モード、全方位放射モード又は指向性通信モードのいずれかひとつの動作モードに決定する。
全方位受信モードの第1移動体2は、入射方向によらずあらゆる方向から入射する所定の波形の信号を受信する。全方位放射モードの第1移動体2は、あらゆる方向に所定の波形の信号を放射する。指向性通信モードの第1移動体2は、所定の方向のみに所定の波形の信号を放射する。
モード決定部203は、通信開始信号受信部202が通信開始信号を取得すると、第1移動体2の動作モードを全方位送信モードに決定する。
モード決定部203は、後述する通信関連情報送信部206によって第2移動体3に通信関連情報を送信すると、第1移動体2の動作モードを指向性通信モードに決定する。通信関連情報の詳細は、後述するが、通信関連情報は、第1移動体2と第2移動体3との間の通信に関する情報である。
モード決定部203は、第1移動体2の動作モードを指向性通信モードに決定後、定期的に第1チェック判定処理を実行する。第1チェック判定処理は、モード決定部203が、第1移動体2の動作モードに関する所定の条件(以下「第1動作モード条件」という。)が満たされたか否かを判定する処理である。モード決定部203は、第1チェック判定処理において第1動作モード条件が満たされた場合に、第1移動体2の動作モードを全方位受信モードに決定する。
第1動作モード条件は、どのような条件であってもよく、例えば、第1移動体2の動作モードが指向性通信モードに決定されてから所定の時間(以下「最大指向性通信時間」という。)が経過したという条件であってもよい。
第1動作モード条件は、第1移動体2と第2移動体3との間の通信のビットレートが所定のビットレート以下である、という条件であってもよい。
以下、説明の簡単のため、第1動作モード条件が、第1移動体2の動作モードが指向性通信モードに決定されてから最大指向性通信時間が経過したという条件であると仮定(以下「第1仮定」という。)して説明を行う。
アンテナ制御部204は、アンテナ部24を制御する。アンテナ部24を制御するとは、具体的には、アンテナ部24が備えるアンテナの向きの変更や、アンテナに電力を供給する回路をスイッチによって切り替えることや、アンテナが受信した信号を伝送する回路をスイッチによって切り替えること等のアンテナ部24のハードウェアの制御を意味する。
モード決定部203の決定に基づいて、モード決定部203が決定した動作モードで第1移動体2が動作するようにアンテナ部24のアンテナを制御することを意味する。具体的には、モード決定部203が第1移動体2の動作モードを全方位受信モードに決定した場合、アンテナ制御部204は、アンテナ部24が入射方向によらずあらゆる方向から入射する信号を受信するようにアンテナ部24を制御する。モード決定部203が第1移動体2の動作モードを全方位放射モードに決定した場合、アンテナ制御部204は、アンテナ部24があらゆる方向に所定の波形の信号を放射するようにアンテナ部24を制御する。モード決定部203が第1移動体2の動作モードを指向性通信モードに決定した場合、アンテナ制御部204は、所定の方向のみに所定の波形の信号を放射するようにアンテナ部24を制御する。
距離算出部205は、移動体位置情報に基づいて、第1移動体2と第2移動体3との間の距離を算出する。距離算出部205は、算出した距離を示す情報(以下「移動体距離情報」という。)を出力する。
通信関連情報送信部206は、ACT信号、通信関連情報及び通信開始信号を送信する。ACT信号は、通信開始信号を受信したことを示す信号である。通信関連情報は、移動体位置情報、移動体距離情報及び最大指向性通信時間情報を含む。最大指向性通信時間情報は、最大指向性通信時間を示す情報である。通信関連情報は、移動体位置情報、距離情報及び最大指向性通信時間情報だけでなく周波数情報及び出力強度情報を含んでもよい。周波数情報は、第1移動体2と第2移動体3との間の通信に用いる信号の周波数を示す。出力強度情報は、第1移動体2と第2移動体3との間の通信に用いる信号の出力強度を示す。
指向性モードデータ送受信部207は、モード決定部203が第1移動体2の動作モードを指向性通信モードに決定した場合に、アンテナ部24を介して第2移動体3と指向性通信モードにおけるデータの送受信を行う。具体的には、指向性モードデータ送受信部207は、アンテナ制御部204によるアンテナ部24の制御と連動して、アンテナ部24を介して第2移動体3と指向性通信モードにおけるデータの送受信を行う。指向性モードデータ送受信部207が送受信するデータは、どのようなデータであってもよく、例えば、測定部210が測定した量であってもよい。
移動制御部208は第1移動体2の駆動部26を制御して第1移動体2を移動させる。
同期部209は、アンテナ部24を介した通信によって、第1移動体2の時計(不図示)と第2移動体3の時計(不図示)とが示す時間のずれを補正する。同期部209は、時計が示す時間のずれの補正によって第1移動体2と第2移動体3とを同期させる。
測定部210は、測定センサ27が測定した量を取得する。
通信開始判定部211は、第1開始条件が満たされるか否かを判定する。第1開始条件は、どのような条件であってもよい。第1開始条件は、例えば、測定部210が取得した量が所定の第1の値を超えるという条件であってもよい。通信開始判定部211は、第1開始条件が満たされた場合に、通信開始信号を生成する。通信開始判定部211が生成した通信開始信号は、通信関連情報送信部206によって、第2移動体3に送信される。
図6は、第1の実施形態における第2移動体3の機能構成の具体例を示す図である。第2移動体3は、バスで接続されたCPU31やメモリ32や記憶部33などを備え、プログラムを実行する。第2移動体3は、プログラムの実行によってアンテナ部34、駆動部35及び測定センサ36を備える装置として機能する。
CPU31が記憶部33に記憶されたプログラムをメモリ32に読み込んで実行することにより、制御部300が生成される。
記憶部33は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。記憶部33は第1回数情報を記憶する。第1回数情報は、後述する通信開始信号送信部303が通信開始信号を送信した回数を示す情報である。
アンテナ部34は、一つ又は複数のアンテナとアンテナに接続された一つ又は複数の回路とを備え、信号を発信又は受信する。アンテナ部34が発信又は受信する信号はアンテナ部34が発信又は受信する信号はどのような無線媒体によって伝送される信号であってもよい。例えば、アンテナ部34が発信又は受信する信号は電磁波として伝送される信号であってもよい。電磁波は、例えば、可視光であってもよいし、テラヘルツ波であってもよい。例えば、アンテナ部34が発信又は受信する信号は音波として伝送される信号であってもよい。例えば、アンテナ部34が発信又は受信する信号は音波として伝送される信号であってもよい。
駆動部35は、第2移動体3を移動させる。測定センサ36は、所定の物理量を測定する。
図7は、第1の実施形態における制御部300の機能構成の具体例を示す図である。
制御部300は、測定部301、通信開始判定部302、通信開始信号送信部303、モード決定部304、アンテナ制御部305、通信関連情報受信部306、指向性モードデータ送受信部307、移動制御部308及び同期部309を備える。
測定部301は、測定センサ36が測定した量を取得する。
通信開始判定部302は、第2開始条件が満たされるか否かを判定する。第2開始条件は、どのような条件であってもよい。第2開始条件は、例えば、測定部301が取得した量が所定の第2の値を超えるという条件であってもよい。通信開始判定部302は、第2開始条件が満たされた場合に、通信開始信号を生成する。
通信開始信号送信部303は、アンテナ部34を介して通信開始判定部302が生成した通信開始信号を送信する。通信開始信号送信部303が通信開始信号を送信するたびに、記憶部33の第1回数情報が示す回数が、不図示の記録部による記録によって、1ずつ増加する。
モード決定部304は、第2移動体3の動作モードを決定する。モード決定部304は、第2移動体3が動作する動作モードを、全方位受信モード、全方位放射モード、指向性通信モード又は移動モードのいずれかひとつの動作モードに決定する。
具体的には、モード決定部304は、通信開始判定部302の判定結果が、第2開始条件が満たされたと判定した場合に、第2移動体3の動作モードを全方位送信モードに決定する。
モード決定部304は、第1ACT待機期間内に第2移動体3がACT信号を受信した場合に、第2移動体3の動作モードを指向性通信モードに決定する。第1ACT待機期間は、第2移動体3がACT信号の受信を待機する期間に関する期間であればどのような期間であってもよい。第1ACT待機期間は、例えば、通信開始信号送信部303が通信開始信号を送信してからの所定の時間であってもよい。第1ACT待機期間は、通信開始判定部302の判定結果が、第2開始条件が満たされたと判定した時点、以降の所定の期間であってもよい。
モード決定部304は、第2移動体3が、第1移動体2から送信された通信開始信号を受信すると、第2移動体3の動作モードを指向性通信モードに決定する。
モード決定部304は、第2移動体3の動作モードを指向性通信モードに決定後、定期的に第2チェック判定処理を実行する。第2チェック判定処理は、モード決定部304が、第2移動体3の動作モードに関する所定の条件(以下「第2動作モード条件」という。)が満たされたか否かを判定する処理である。モード決定部304は、第2チェック判定処理において第2動作モード条件が満たされた場合に、第2移動体3の動作モードを全方位受信モードに決定する。
第2動作モード条件は、第1動作モード条件に応じた条件である。具体的には、第1仮定における第2動作モード条件は、第2移動体3の動作モードが指向性通信モードに決定されてから最大指向性通信時間が経過したという条件である。
なお、第1動作モード条件が、第1移動体2と第2移動体3との間の通信のビットレートが所定のビットレート以下である、という条件である場合には、第2動作モード条件は、第1移動体2と第2移動体3との間の通信のビットレートが所定のビットレート以下であるという条件である。
モード決定部は、第1ACT待機期間内に第2移動体3がACT信号を受信しなかった場合であって、第1回数情報が示す回数が所定の回数である場合に、第2移動体3の動作モードを移動モードに決定する。以下、説明の簡単のため、所定の回数が2であると仮定して説明する。
モード決定部304が第2移動体3の動作モードを指向性通信モード又は移動モードに決定すると、記憶部33に記憶された第1回数情報は不図示の記録部によって初期化される。初期化とは、第1回数情報が示す回数が0になることを意味する。
以下、説明の簡単のため、第1仮定の元で説明を行う。そのため、以下、第2動作モード条件は、第2移動体3の動作モードが指向性通信モードに決定されてから最大指向性通信時間が経過したという条件である。
アンテナ制御部305は、アンテナ部34を制御する。アンテナ部34を制御するとは、具体的には、アンテナ部34が備えるアンテナの向きの変更や、アンテナに電力を供給する回路をスイッチによって切り替えることや、アンテナが受信した信号を伝送する回路をスイッチによって切り替えること等のアンテナ部34のハードウェアの制御を意味する。具体的には、モード決定部304が第2移動体3の動作モードを全方位受信モードに決定した場合、アンテナ制御部305は、アンテナ部34が入射方向によらずあらゆる方向から入射する信号を受信するようにアンテナ部34を制御する。モード決定部304が第2移動体3の動作モードを全方位放射モードに決定した場合、アンテナ制御部305は、アンテナ部34があらゆる方向に所定の波形の信号を放射するようにアンテナ部34を制御する。モード決定部304が第2移動体3の動作モードを指向性通信モードに決定した場合、アンテナ制御部305は、所定の方向のみに所定の波形の信号を放射するようにアンテナ部34を制御する。
通信関連情報受信部306は、ACT信号、通信関連情報と、第1移動体2が送信した通信開始信号を受信する。
指向性モードデータ送受信部307は、モード決定部304が第2移動体3の動作モードを指向性通信モードに決定した場合に、アンテナ部34を介して第1移動体2と指向性通信モードにおけるデータの送受信を行う。具体的には、指向性モードデータ送受信部307は、アンテナ制御部305によるアンテナ部34の制御と連動して、アンテナ部34を介して第1移動体2と指向性通信モードにおけるデータの送受信を行う。指向性モードデータ送受信部307が送受信するデータは、どのようなデータであってもよく、例えば、測定部301が測定した量であってもよい。
移動制御部308は第2移動体3の駆動部35を制御して第2移動体3を移動させる。
同期部309は、アンテナ部34を介した通信によって、第2移動体3の時計(不図示)と第1移動体2の時計(不図示)とが示す時間のずれを補正する。同期部309は、時計が示す時間のずれの補正によって第2移動体3と第1移動体2とを同期させる。
図8は、第1の実施形態において第1開始条件が満たされた場合に第1移動体2が実行する具体的な処理の流れを示すフローチャートである。
第1開始条件が満たされる(ステップS101)。具体的には、通信開始判定部211において、第1開始条件が満たされたと判定される。ステップS101の次に、第1移動体2が、移動体位置情報取得部201によって水中測位装置1から移動体位置情報を取得する(ステップS102)。ステップS102の次に、第1移動体2は、第1移動体2と第2移動体3との間の距離を算出する(ステップS103)。具体的には、ステップS102において取得された移動体位置情報に基づいて、距離算出部205が、第1移動体2と第2移動体3との間の距離を算出する。
ステップS103の次に、第1移動体2は、全方位放射モードで通信開始信号を送信する(ステップS104)。次に、第1移動体2は、全方位放射モードで通信関連情報を送信する(ステップS105)。
なお、ステップS104及びステップS105の処理は必ずしも全方位放射モードで実行される必要はない。ステップS104及びステップS105の処理は、ステップS102において取得された移動体位置情報に基づいて指向性通信モードで実行されてもよい。ステップS104及びステップS105の処理における、信号の放射強度は、第2移動体3が通信関連情報を受信可能な強度であればどのような強度であってもよい。ステップS104及びステップS105の処理における信号の放射強度は、ステップS103において算出された距離に基づいた強度であってもよい。ステップS103において取得された距離に基づいた強度は、例えば、第2移動体3の位置において1/e(eは自然対数の底)になるような強度であってもよい。
ステップS105の次に、第1移動体2と第2移動体3とが、どちらも指向性通信モードで通信を開始する(ステップS106)。具体的には、モード決定部203が第1移動体2の動作モードを指向性通信モードに決定する。次に、アンテナ制御部204が、指向性通信モードの通信を可能とするようにアンテナ部24を制御する。アンテナ制御部204は移動体位置情報が示す第2移動体3の位置に向かう指向性を持った信号をアンテナ部24が放射するように、アンテナ部24を制御する。第1移動体2は、指向性モードデータ送受信部207によって、アンテナ制御部204によって制御されたアンテナ部24を介して、第2移動体3と通信する。アンテナ部24が放射する信号の強度は、ステップS103において算出された距離に応じた強度である。ステップS103において算出された距離に応じた強度とは、例えば、通信相手の位置において1/e(eは自然対数の底)になるような強度であってもよい。
また、モード決定部304が第2移動体3の動作モードを指向性通信モードに決定する。次に、アンテナ制御部305が、指向性通信モードの通信を可能とするようにアンテナ部34を制御する。次に、アンテナ制御部305は、移動体位置情報が示す第1移動体2の位置に向かう指向性を持った信号をアンテナ部34が放射するように、アンテナ部34を制御する。第2移動体3は、指向性モードデータ送受信部307によって、アンテナ制御部305によって制御されたアンテナ部34を介して、第1移動体2と通信する。アンテナ部34が放射する信号の強度は、ステップS103において算出された距離に応じた強度である。
モード決定部203は、第1移動体2の動作モードを指向性通信モードに決定してから定期的に第1チェック判定処理を実行する(ステップS107)。ステップS107において、第1動作モード条件が満たされた場合(ステップS107:YES)、モード決定部203は、動作モードを全方位受信モードに決定する(ステップS108)。モード決定部203が動作モードを全方位受信モードに決定すると、アンテナ制御部204が、全方位受信モードの通信を可能とするようにアンテナ部24を制御する。ステップS108の次に、通信開始判定部211は、第1開始条件が満たされるか否かを判定する(ステップS109)。ステップS109において、第1開始条件が満たされない場合(ステップS109:NO)、処理が終了する。
一方、ステップS109において、第1開始条件が満たされる場合(ステップS109:YES)、ステップS102の処理に戻る。
一方、ステップS107において、第1動作モード条件が満たされない場合(ステップS107:NO)、ステップS106の処理に戻る。
このようにして第1移動体2は、第2移動体3と通信する。
図9は、第1の実施形態において第1開始条件が満たされた場合に第2移動体3が実行する具体的な処理の流れを示すフローチャートである。
通信関連情報受信部306が第1移動体2が送信した通信開始信号を受信する(ステップS201)。通信関連情報受信部306が、通信関連情報を受信する(ステップS202)。モード決定部304が、第2移動体3の動作モードを指向性通信モードに決定する(ステップS203)。 ステップS203の次に図8におけるステップS106が実行される(ステップS204)。すなわち、第1移動体2と第2移動体3とが、どちらも指向性通信モードで通信する。
なお、ステップS202とステップS203とは必ずしもステップS202の次にステップS203が実行される必要はない。ステップS203の次に、ステップS202が実行されてもよい。この場合、第2移動体3は、通信関連情報を指向性通信によって受信する。
モード決定部304は、第2移動体3の動作モードを指向性通信モードに決定後、定期的に第2チェック判定処理を実行する(ステップS205)。ステップS205において、第2動作モード条件が満たされた場合(ステップS205:YES)、モード決定部304は、動作モードを全方位受信モードに決定する(ステップS206)。モード決定部304が動作モードを全方位受信モードに決定すると、アンテナ制御部305は、第2移動体3が全方位受信モードで動作するようにアンテナ部34を制御する。ステップS205の後、処理が終了する。
一方、ステップS205において第2動作モード条件が満たされない場合(ステップS205:NO)、ステップS204の処理に戻る。
このようにして、第2移動体3は、第1移動体2と通信する。
図10は、第1の実施形態において第2開始条件が満たされた場合に第1移動体2が実行する具体的な処理の流れを示すフローチャートである。
第1移動体2が、第2移動体3が送信した通信開始信号を全方位受信モードの動作モードにおいて受信する(ステップS301)。具体的には、第1移動体2は、通信開始信号受信部202によって、第2移動体3が送信した通信開始信号を受信する。ステップS301の次に、第1移動体2は、ACT信号を第2移動体3に送信する(ステップS302)。ステップS302の次に、図8におけるステップS102からステップS108までの処理が実行される(ステップS303)。ステップS303の次に、図8におけるステップS109の処理が実行される(ステップS304)。ステップS304において、第1開始条件が満たされない場合(ステップS304:NO)、処理が終了する。
一方、ステップS304において、第1開始条件が満たされる場合(ステップS304:YES)、ステップS303の処理に戻る。
図11は、第1の実施形態において第2開始条件が満たされた場合に第2移動体3が実行する具体的な処理の流れを示すフローチャートである。
第2開始条件が満たされる(ステップS401)。具体的には、通信開始判定部302において、第2開始条件が満たされたと判定される。第2開始条件が満たされると、通信開始判定部302は、通信開始信号を生成する。また、第2開始条件が満たされると、モード決定部304は、第2移動体3の動作モードを全方位送信モードに決定する。ステップS401の次に、通信開始信号送信部303が、アンテナ部34を介して、通信開始判定部302が生成した通信開始信号を送信する(ステップS402)。モード決定部304は、通信関連情報受信部306が第1ACT待機期間内にACT信号を取得したか否かを判定する(ステップS403)。ステップS403において、通信関連情報受信部306が、第1ACT待機期間内にACT信号を取得しなかった場合(ステップS403:NO)、モード決定部304は、記憶部33に記憶された第1回数情報を取得し、第1回数情報が示す回数が2か否かを判定する(ステップS404)。ステップS404において、第1回数情報が示す回数が2でない場合(ステップS404:NO)、ステップS402の処理に戻る。
一方、ステップS404において第1回数情報が示す回数が2である場合(ステップS404:YES)、モード決定部304は、第2移動体3の動作モードを移動モードに決定する。動作モードが移動モードである第2移動体3の移動制御部308は、駆動部35を制御することで、予め定められた所定の方向に予め定められた所定の距離だけ移動する(ステップS405)。ステップS405の次に、ステップS402の処理が実行される。
一方、ステップS403において、通信関連情報受信部306が、第1ACT待機期間内にACT信号を取得した場合(ステップS403:YES)、通信関連情報受信部306は、第1移動体2が送信した通信関連情報を受信する(ステップS406)。通信関連情報を受信後、モード決定部304は、第2移動体3の動作モードを指向性モードに決定する(ステップS407)。ステップS407の次に、アンテナ制御部305は、移動体位置情報が示す第1移動体2の位置に向かう指向性を持った信号をアンテナ部34が放射するように、アンテナ部34を制御する。アンテナ制御部305によるアンテナ部34の制御とともに、第2移動体3は、指向性モードデータ送受信部307によって、アンテナ制御部305によって制御されたアンテナ部34を介して、第1移動体2と通信する(ステップS408)。ステップS408の処理は、ステップS106の指向性通信モードによる通信の処理と同様の処理である。
モード決定部304は、第2移動体3の動作モードを指向性通信モードに決定後、定期的に第2チェック判定処理を実行する(ステップS409)。ステップS409において、第2動作モード条件が満たされた場合(ステップS409:YES)、モード決定部304は、動作モードを全方位受信モードに決定する(ステップS410)。モード決定部304が動作モードを全方位受信モードに決定すると、アンテナ制御部305は、第2移動体3が全方位受信モードで動作するようにアンテナ部34を制御する。ステップS410の次に、通信開始判定部302は、第2開始条件が満たされるか否かを判定する(ステップS411)。ステップS411において、第2開始条件が満たされない場合(ステップS411:NO)、処理が終了する。
一方、ステップS411において、第2開始条件が満たされる場合(ステップS411:YES)、ステップS407の処理に戻る。
一方、ステップS409において第2動作モード条件が満たされない場合(ステップS409:NO)、ステップS408の処理に戻る。
このように構成された第1の実施形態の水中通信システム10は、水中における第1移動体2と第2移動体3との間の指向性の通信を行うため、全方位の通信の場合よりも、障害物による反射波や散乱波の発生を抑制することができる。そのため、水中通信システム10は第1移動体2又は第2移動体3が受信する信号の信号強度が反射波や散乱波との干渉によって低下することを抑制することができ、通信の安定性の低下を抑制することができる。
また、このように構成された第1の実施形態の水中通信システム10は、水中における第1移動体2と第2移動体3との間の指向性の通信を行うため、全方位の通信の場合よりも、通信時の消費電力の増大を抑制することができる。
(第2の実施形態)
図12は、第2の実施形態の水中通信システム10aの具体的なシステム構成を示す図である。水中通信システム10aは、水中測位装置1に代えて水中測位装置1aを備える点と、第1移動体2に代えて第1移動体2aを備える点と、第3移動体4を備える点とで、水中通信システム10と異なる。
以下、第2の実施形態の説明において測位情報は、第1の実施形態における測位位置情報と異なり、第1移動体2a、第2移動体3及び第3移動体4の位置を測位した結果を示す。
以下、第2の実施形態の説明において移動体位置情報は、第1の実施形態における移動体位置情報と異なり、第1移動体2a、第2移動体3及び第3移動体4の位置を示す。
また、以下、第2の実施形態において通信開始信号は、第1の実施形態における通信開始信号と異なり、第1移動体2a、第2移動体3及び第3移動体4の間の通信の開始の指示を示す。
また、以下、第2の実施形態において移動体距離情報は、第1の実施形態における移動体距離情報と異なり、第1移動体2aと第2移動体3の間の距離と、第1移動体2aと第3移動体4との間の距離と、第2移動体3と第3移動体4との間の距離とを示す。
また、以下、第2の実施形態において通信関連情報は、第1の実施形態における通信関連情報と異なり、第1移動体2aと第2移動体3との間の通信に関する情報である。
具体的には、第2の実施形態において通信関連情報は、第2の実施形態における移動体位置情報と、第2の実施形態における移動体距離情報と、最大指向性通信時間情報とを含む。最大指向性通信時間情報は、第1の実施形態における最大指向性通信時間と同じである。
第2の実施形態における通信関連情報は、さらに第2の実施形態における周波数情報と、第2の実施形態における出力強度情報とを含んでもよい。
第2の実施形態における周波数情報は、第1の実施形態における周波数情報と異なり、第1移動体2aと第2移動体3との間の通信と、第1移動体2aと第3移動体4との間の通信と、第2移動体3と第3移動体4との間の通信とに用いる信号の周波数を示す。
第2の実施形態における出力強度情報は、第1の実施形態における出力強度情報と異なり、第1移動体2aと第2移動体3との間の通信と、第1移動体2aと第3移動体4との間の通信と、第2移動体3と第3移動体4との間の通信とに用いる信号の出力強度を示す。
水中測位装置1aは、水上に位置し、第1移動体2a、第2移動体3及び第3移動体4の位置を示す移動体位置情報を取得する。第1移動体2a、第2移動体3及び第3移動体4は、それぞれ水中を移動する移動体である。第1移動体2aは、水中測位装置1aと通信することで、移動体位置情報を取得する。第1移動体2aは第2移動体3及び第3移動体4と通信する。第2移動体3は第1移動体2aと通信する。第3移動体4は第1移動体2aと通信する。第1移動体2a、第2移動体3及び第3移動体4は、水中測位装置1aが取得した位置情報に基づいて指向性の通信をする。
水中通信システム10aは、水中測位装置1aが移動体位置情報を取得し、取得された移動体位置情報に基づいて第1移動体2a、第2移動体3及び第3移動体4が指向性の通信をするシステムである。なお、水中通信システム10aにおいて、移動体位置情報はどのような水中測位方式で取得されてもよい。水中通信システム10aは、例えば、USBL方式で移動体位置情報を取得してもよい。以下、説明の簡単のため、水中通信システム10aは、USBL方式で移動体位置情報を取得すると仮定して説明を行う。
以下、図1〜図7と同様の機能をもつものは、同じ符号を付すことで説明を省略する。
水中測位装置1aは、制御部100に代えて制御部100aを備える点と、移動体測位部16に代えて移動体測位部16aを備える点とで水中測位装置1と異なる。
図13は、第2の実施形態における水中測位装置1aの機能構成の具体例を示す図である。水中測位装置1aは、バスで接続されたCPU11aやメモリ12aや記憶部13aなどを備え、プログラムを実行する。水中測位装置1aは、プログラムの実行によって地上通信用アンテナ部14、第1移動体通信部15、移動体測位部16a及びGPSセンサ17を備える装置として機能する。
CPU11aが記憶部13aに記憶されたプログラムをメモリ12aに読み込んで実行することにより、制御部100aが生成される。
移動体測位部16aは、第1移動体2及び第2移動体3の位置を測位することに代えて、第1移動体2a、第2移動体3及び第3移動体4の位置を測位する点で移動体測位部16と異なる。
記憶部13aは、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。記憶部13aは第1移動体2a、第2移動体3及び第3移動体4の位置を示す移動体位置情報を記憶する。
図14は、第2の実施形態における制御部100aの機能構成の具体例を示す図である。
制御部100aは、位置情報取得部104に代えて位置情報取得部104aを備える点で制御部100と異なる。
位置情報取得部104aは、測位情報、GPS情報及び地上通信情報に基づいて第1移動体2及び第2移動体3の位置を示す移動体位置情報を取得する代わりに、測位情報、GPS情報及び地上通信情報に基づいて第1移動体2a、第2移動体3及び第3移動体4の位置を示す移動体位置情報を取得する点で位置情報取得部104と異なる。位置情報取得部104aは、取得した移動体位置情報を記憶部13aに記録する。なお、位置情報取得部104aは、必ずしもGPS情報に基づいて移動体位置情報を取得する必要はない。位置情報取得部104aは、測位情報だけに基づいて移動体位置情報を取得してもよい。位置情報取得部104aは、測位情報及び地上通信情報だけに基づいて移動体位置情報を取得してもよい。なお、位置情報取得部104aは、必ずしも地上通信情報に基づいて移動体位置情報を取得する必要はない。位置情報取得部104aは、測位情報及びGPS情報だけに基づいて移動体位置情報を取得してもよい。
図15は、第2の実施形態における第1移動体2aの機能構成の具体例を示す図である。第1移動体2aは、制御部200に代えて制御部200aを備える点で第1移動体2と異なる。
具体的には、第1移動体2aは、バスで接続されたCPU21aやメモリ22aや記憶部23aなどを備え、プログラムを実行する。第1移動体2aは、プログラムの実行によってアンテナ部24a、水中測位装置通信部25、駆動部26及び測定センサ27を備える装置として機能する。
CPU21aが記憶部23aに記憶されたプログラムをメモリ22aに読み込んで実行することにより、制御部200aが生成される。
図16は、第2の実施形態における制御部200aの機能構成の具体例を示す図である。
制御部200aは、移動体位置情報取得部201に代えて移動体位置情報取得部201aを備える点と、通信開始信号受信部202に代えて通信開始信号受信部202aを備える点と、距離算出部205に代えて距離算出部205aを備える点と、指向性モードデータ送受信部207に代えて指向性モードデータ送受信部207aを備える点と、同期部209に代えて同期部209aを備える点とで制御部200と異なる。
移動体位置情報取得部201aは、水中測位装置通信部25を介して水中測位装置1aが出力した移動体位置情報を取得する。
通信開始信号受信部202aは、通信開始信号を受信する。第1移動体2が通信開始信号を受信した場合、第1移動体2は、移動体位置情報取得部201aによって移動体位置情報を取得する。
距離算出部205aは、移動体位置情報に基づいて、第1移動体2aと第2移動体3との間の距離と、第1移動体2aと第3移動体4との間の距離とを算出する。距離算出部205aは、算出した距離を示す情報を出力する。
指向性モードデータ送受信部207aは、モード決定部203が第1移動体2の動作モードを指向性通信モードに決定した場合に、アンテナ部24を介して第2移動体3及び第3移動体4と指向性通信モードにおけるデータの送受信を行う。具体的には、指向性モードデータ送受信部207は、アンテナ制御部204によるアンテナ部24の制御と連動して、アンテナ部24を介して第2移動体3及び第3移動体4と指向性通信モードにおけるデータの送受信を行う。指向性モードデータ送受信部207が送受信するデータは、どのようなデータであってもよく、例えば、測定部210が測定した量であってもよい。
同期部209aは、アンテナ部24を介した通信によって、第1移動体2の時計(不図示)と第2移動体3の時計(不図示)と第3移動体4の時計(不図示)とが示す時間のずれを補正する。同期部209は、時計が示す時間のずれの補正によって第1移動体2と第2移動体3と第3移動体4とを同期させる。
図17は、第2の実施形態における第3移動体4の機能構成の具体例を示す図である。第3移動体4は、第2移動体3と似通った構成を備える。
具体的には、第3移動体4は、バスで接続されたCPU41やメモリ42や記憶部43などを備え、プログラムを実行する。第3移動体4は、プログラムの実行によってアンテナ部44、駆動部45及び測定センサ46を備える装置として機能する。
CPU41が記憶部43に記憶されたプログラムをメモリ42に読み込んで実行することにより、制御部400が生成される。
記憶部43は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。記憶部43は後述する通信開始信号送信部403が通信開始信号を送信した回数を示す第2回数情報を記憶する。
アンテナ部44は、アンテナ部34と同様の機能を有する。駆動部45は、第3移動体4を移動させる。測定センサ46は、所定の物理量を測定する。
図18は、第2の実施形態における制御部400の機能構成の具体例を示す図である。制御部400は、制御部300と似通った構成を備える。以下、具体的に制御部400の機能構成を説明していく。
制御部400は、測定部401、通信開始判定部402、通信開始信号送信部403、モード決定部404、アンテナ制御部405、通信関連情報受信部406、指向性モードデータ送受信部407、移動制御部408及び同期部409を備える。
測定部401は、測定センサ46が測定した量を取得する。
通信開始判定部402は、第3開始条件が満たされるか否かを判定する。第3開始条件は、どのような条件であってもよい。第3開始条件は、例えば、測定部401が取得した量が所定の第3の値を超えるという条件であってもよい。通信開始判定部302は、第3開始条件が満たされた場合に、通信開始信号を生成する。
通信開始信号送信部403は、アンテナ部44を介して通信開始判定部402が生成した通信開始信号を送信する。通信開始信号送信部403が通信開始信号を送信するたびに、記憶部43の第2回数情報が示す回数が、不図示の記録部による記録によって、1ずつ増加する。
モード決定部404は、第3移動体4の動作モードを決定する。モード決定部404は、第3移動体4が動作する動作モードを、全方位受信モード、全方位放射モード、指向性通信モード又は移動モードのいずれかひとつの動作モードに決定する。
具体的には、モード決定部404は、通信開始判定部402の判定結果が、第3開始条件が満たされたと判定した場合に、第3移動体4の動作モードを全方位送信モードに決定する。
モード決定部404は、第2ACT待機期間内に第3移動体4がACT信号を受信した場合に、第3移動体4の動作モードを指向性通信モードに決定する。第2ACT待機期間は、第3移動体4がACT信号の受信を待機する期間に関する期間であればどのような期間であってもよい。第2ACT待機期間は、例えば、通信開始信号送信部403が通信開始信号を送信してからの所定の時間であってもよい。第2ACT待機期間は、通信開始判定部402の判定結果が、第3開始条件が満たされたと判定した時点、以降の所定の期間であってもよい。
なお、第1ACT待機期間と第2ACT待機期間とは同じ期間であることが望ましい。
モード決定部404は、第3移動体4が、第1移動体2aから送信された通信開始信号を受信すると、第3移動体4の動作モードを指向性通信モードに決定する。
モード決定部404は、第3移動体4の動作モードを指向性通信モードに決定後、定期的に第3チェック判定処理を実行する。第3チェック判定処理は、モード決定部404が、第3移動体4の動作モードに関する所定の条件(以下「第3動作モード条件」という。)が満たされたか否かを判定する処理である。モード決定部404は、第3チェック判定処理において第3動作モード条件が満たされた場合に、第3移動体4の動作モードを全方位受信モードに決定する。
第3動作モード条件は、第1動作モード条件に応じた条件である。具体的には、第1仮定における第3動作モード条件は、第3移動体4の動作モードが指向性通信モードに決定されてから最大指向性通信時間が経過したという条件である。
なお、第1動作モード条件が、第1移動体2と第3移動体4との間の通信のビットレートが所定のビットレート以下である、という条件である場合には、第3動作モード条件は、第1移動体2と第3移動体4との間の通信のビットレートが所定のビットレート以下であるという条件である。
モード決定部404は、第2ACT待機期間内に第3移動体4がACT信号を受信しなかった場合であって、第2回数情報が示す回数が所定の回数である場合に、第3移動体4の動作モードを移動モードに決定する。以下、説明の簡単のため、所定の回数が2であると仮定して説明する。
モード決定部404が第3移動体4の動作モードを指向性通信モード又は移動モードに決定すると、記憶部43に記憶された第2回数情報は不図示の記録部によって初期化される。初期化とは、第2回数情報が示す回数が0になることを意味する。
以下、説明の簡単のため、第1の実施形態と同様に、第1仮定の元で説明を行う。そのため、以下、第2動作モード条件及び第3動作モード条件は、第2移動体3の動作モードと第3移動体4の動作モードとが指向性通信モードに決定されてから最大指向性通信時間が経過したという条件である。
アンテナ制御部405は、アンテナ部44を制御する。アンテナ部44を制御するとは、具体的には、アンテナ部44が備えるアンテナの向きの変更や、アンテナに電力を供給する回路をスイッチによって切り替えることや、アンテナが受信した信号を伝送する回路をスイッチによって切り替えること等のアンテナ部44のハードウェアの制御を意味する。具体的には、モード決定部404が第3移動体4の動作モードを全方位受信モードに決定した場合、アンテナ制御部405は、アンテナ部44が入射方向によらずあらゆる方向から入射する信号を受信するようにアンテナ部44を制御する。モード決定部404が第3移動体4の動作モードを全方位放射モードに決定した場合、アンテナ制御部405は、アンテナ部44があらゆる方向に所定の波形の信号を放射するようにアンテナ部44を制御する。モード決定部404が第3移動体4の動作モードを指向性通信モードに決定した場合、アンテナ制御部405は、所定の方向のみに所定の波形の信号を放射するようにアンテナ部44を制御する。
通信関連情報受信部406は、ACT信号、通信関連情報及び第1移動体2aが送信した通信開始信号を受信する。
指向性モードデータ送受信部407は、モード決定部404が第3移動体4の動作モードを指向性通信モードに決定した場合に、アンテナ部44を介して第1移動体2と指向性通信モードにおけるデータの送受信を行う。具体的には、指向性モードデータ送受信部407は、アンテナ制御部405によるアンテナ部44の制御と連動して、アンテナ部44を介して第1移動体2と指向性通信モードにおけるデータの送受信を行う。指向性モードデータ送受信部407が送受信するデータは、どのようなデータであってもよく、例えば、測定部401が測定した量であってもよい。
移動制御部408は第3移動体4の駆動部45を制御して第3移動体4を移動させる。
同期部409は、アンテナ部44を介した通信によって、第3移動体4の時計(不図示)と第1移動体2の時計(不図示)とが示す時間のずれを補正する。同期部409は、時計が示す時間のずれの補正によって第3移動体4と第1移動体2とを同期させる。
図19は、第2の実施形態において第1開始条件が満たされた場合に第1移動体2aが実行する具体的な処理の流れを示すフローチャートである。
第1開始条件が満たされる(ステップS501)。具体的には、通信開始判定部211において、第1開始条件が満たされたと判定される。ステップS501の次に、第1移動体2が、移動体位置情報取得部201aによって水中測位装置1aから移動体位置情報を取得する(ステップS502)。ステップS502の次に、第1移動体2aは、第1移動体2aと第2移動体3との間の距離と、第1移動体2aと第3移動体4との間の距離とを算出する(ステップS503)。具体的には、ステップS102において取得された位置情報に基づいて、距離算出部205aが、第1移動体2aと第2移動体3との間の距離と、第1移動体2aと第3移動体4との間の距離とを算出する。
ステップS503の次に、第1移動体2aは、全方位放射モードで通信開始信号を送信する(ステップS504)。次に、第1移動体2aは、全方位放射モードで通信関連情報を送信する(ステップS505)。
なお、ステップS504及びステップS505の処理は必ずしも全方位放射モードで実行される必要はない。ステップS504及びステップS505の処理は、ステップS502において取得された位置情報に基づいて指向性通信モードで実行されてもよい。ステップS504及びステップS505の処理における、信号の放射強度は、第2移動体3及び第3移動体4が通信関連情報を受信可能な強度であればどのような強度であってもよい。ステップS504及びステップS505の処理における信号の放射強度は、ステップS503において算出された距離に基づいた強度であってもよい。ステップS503において取得された距離に基づいた強度は、例えば、第2移動体3又は第3移動体4の位置において1/e(eは自然対数の底)になるような強度であってもよい。
ステップS505の次に、第1移動体2aと第2移動体3とがどちらも指向性通信モードで通信を開始するとともに、第1移動体2aと第3移動体4とがどちらも指向性通信モードで通信を開始する(ステップS506)。具体的には、モード決定部203が第1移動体2aの動作モードを指向性通信モードに決定する。次に、アンテナ制御部204が、指向性通信モードの通信を可能とするようにアンテナ部24を制御する。アンテナ制御部204は移動体位置情報が示す第2移動体3及び第3移動体4の位置に向かう指向性を持った信号をアンテナ部24が放射するように、アンテナ部24を制御する。第1移動体2aは、指向性モードデータ送受信部207aによって、アンテナ制御部204によって制御されたアンテナ部24を介して、第2移動体3及び第3移動体4と通信する。アンテナ部24が放射する信号の強度は、ステップS503において算出された距離に応じた強度である。ステップS503において算出された距離に応じた強度とは、例えば、通信相手の位置において1/e(eは自然対数の底)になるような強度であってもよい。
また、モード決定部304が第2移動体3の動作モードを指向性通信モードに決定する。次に、アンテナ制御部305が、指向性通信モードの通信を可能とするようにアンテナ部34を制御する。次に、アンテナ制御部305は、移動体位置情報が示す第1移動体2aの位置に向かう指向性を持った信号をアンテナ部34が放射するように、アンテナ部34を制御する。第2移動体3は、指向性モードデータ送受信部307によって、アンテナ制御部305によって制御されたアンテナ部34を介して、第1移動体2aと通信する。アンテナ部34が放射する信号の強度は、ステップS503において算出された距離に応じた強度である。
また、モード決定部404が第3移動体4の動作モードを指向性通信モードに決定する。次に、アンテナ制御部405が、指向性通信モードの通信を可能とするようにアンテナ部44を制御する。次に、アンテナ制御部405は、移動体位置情報が示す第1移動体2aの位置に向かう指向性を持った信号をアンテナ部44が放射するように、アンテナ部44を制御する。第3移動体4は、指向性モードデータ送受信部407によって、アンテナ制御部405によって制御されたアンテナ部44を介して、第1移動体2aと通信する。アンテナ部44が放射する信号の強度は、ステップS503において算出された距離に応じた強度である。
このようにして、第1移動体2aと第2移動体3とは指向性通信モードで通信を行い、第1移動体2aと第3移動体4とも指向性通信モードで通信を行う。
モード決定部203は、第1移動体2aの動作モードを指向性通信モードに決定してから定期的に第1チェック判定処理を実行する(ステップS507)。ステップS507において、第1動作モード条件が満たされた場合(ステップS507:YES)、モード決定部203は、動作モードを全方位受信モードに決定する(ステップS508)。モード決定部203が動作モードを全方位受信モードに決定すると、アンテナ制御部204が、全方位受信モードの通信を可能とするようにアンテナ部24を制御する。ステップS508の次に、通信開始判定部211は、第1開始条件が満たされるか否かを判定する(ステップS509)。ステップS509において、第1開始条件が満たされない場合(ステップS509:NO)、処理が終了する。
一方、ステップS509において、第1開始条件が満たされる場合(ステップS509:YES)、ステップS502の処理に戻る。
一方、ステップS507において、第1動作モード条件が満たされない場合(ステップS507:NO)、ステップS506の処理に戻る。
このような処理を、第1開始条件が満たされた場合の第1移動体2aは実行する。
第2の実施形態において第1開始条件が満たされた場合に第2移動体3が実行する処理の流れは、図9と同様である。また、第2の実施形態において第1開始条件が満たされた場合に第3移動体4が実行する処理の流れは、図9における第2移動体3の処理を第3移動体4の処理に代えた処理と同様である。
このようにして第1移動体2aは、第2移動体3及び第3移動体4と通信する。
図20は、第2の実施形態において第2開始条件が満たされた場合に第1移動体2aが実行する具体的な処理の流れを示すフローチャートである。
第1移動体2aが、第2移動体3が送信した通信開始信号を全方位受信モードの動作モードにおいて受信する(ステップS601)。具体的には、第1移動体2aは、通信開始信号受信部202によって、第2移動体3が送信した通信開始信号を受信する。ステップS601の次に、第1移動体2aは、ACT信号を第2移動体3に送信する(ステップS602)。ステップS602の次に、図19におけるステップS502からステップS508までの処理が実行される(ステップS603)。ステップS603の次に、図19におけるステップS509の処理が実行される(ステップS604)。ステップS604において、第1開始条件が満たされない場合(ステップS604:NO)、処理が終了する。
一方、ステップS604において、第1開始条件が満たされる場合(ステップS604:YES)、ステップS603の処理に戻る。
第2の実施形態において第2開始条件が満たされた場合に第2移動体3が実行する具体的な処理の流れは、図11のフローチャートが示す処理の流れにおいて、第1移動体2を第1移動体2aに代えた処理の流れと同様の処理の流れである。
なお、第2の実施形態において第2開始条件が満たされた場合に第3移動体4が実行する処理の流れは、図9における第2移動体3の処理を第3移動体4の処理に代えた処理と同様である。
なお、第2の実施形態において第3開始条件が満たされた場合に第3移動体4が実行する処理の流れは、図11のフローチャートが示す処理の流れにおいて、第1移動体2を第3移動体4に代えた処理の流れと同様の処理の流れである。
このように構成された第2の実施形態の水中通信システム10aは、水中における第1移動体2aと第2移動体3との間の指向性の通信を行い、さらに、第1移動体2aと第3移動体4との間の指向性の通信を行う。このため、全方位の通信の場合よりも、障害物による反射波や散乱波の発生を抑制して、第1移動体2a、第2移動体3及び第3移動体4の間の通信を行うことができる。そのため、水中通信システム10aは第1移動体2、第2移動体3又は第3移動体4が受信する信号の信号強度が反射波や散乱波との干渉によって低下することを抑制することができ、通信の安定性の低下を抑制することができる。
また、このように構成された第2の実施形態の水中通信システム10aは、水中における第1移動体2aと第2移動体3との間の指向性の通信と、第1移動体2aと第3移動体4との間の指向性の通信を行うため、全方位の通信の場合よりも、通信時の消費電力の増大を抑制することができる。
(第3の実施形態)
図21は、第3の実施形態の水中通信システム10bの具体的なシステム構成を示す図である。水中通信システム10bは、第1移動体2aに代えて第1移動体2bを備える点と、第2移動体3に代えて第2移動体3aを備える点と、第3移動体4に代えて第3移動体4aを備える点とで、水中通信システム10aと異なる。
水中測位装置1aは、水上に位置し、第1移動体2a、第2移動体3及び第3移動体4の位置を示す移動体位置情報を取得する。第1移動体2a、第2移動体3及び第3移動体4は、それぞれ水中を移動する移動体である。第1移動体2aは、水中測位装置1aと通信することで、移動体位置情報を取得する。第1移動体2aは第2移動体3及び第3移動体4と通信する。第2移動体3は第1移動体2aと通信する。第3移動体4は第1移動体2aと通信する。第1移動体2a、第2移動体3及び第3移動体4は、水中測位装置1aが取得した位置情報に基づいて指向性の通信をする。
水中通信システム10aは、水中測位装置1aが移動体位置情報を取得し、取得された移動体位置情報に基づいて第1移動体2b、第2移動体3a及び第3移動体4aが指向性の通信をするシステムである。なお、水中通信システム10bにおいて、移動体位置情報はどのような水中測位方式で取得されてもよい。水中通信システム10bは、例えば、USBL方式で移動体位置情報を取得してもよい。以下、説明の簡単のため、水中通信システム10bは、USBL方式で移動体位置情報を取得すると仮定して説明を行う。
以下、第3の実施形態の説明において測位情報、移動体位置情報、通信開始信号、移動体距離情報、通信関連情報、最大指向性通信時間情報、周波数情報及び出力強度情報は第2の実施形態と同様である。
以下、図1〜図7及び図12〜図18と同様の機能をもつものは、同じ符号を付すことで説明を省略する。
図22は、第3の実施形態における第1移動体2bの機能構成の具体例を示す図である。第1移動体2bは、バスで接続されたCPU21bやメモリ22bや記憶部23bなどを備え、プログラムを実行する。第1移動体2bは、プログラムの実行によってアンテナ部24、水中測位装置通信部25及び駆動部26を備える装置として機能する。
CPU21bが記憶部23bに記憶されたプログラムをメモリ22bに読み込んで実行することにより、制御部200bが生成される。
図23は、第3の実施形態における制御部200bの機能構成の具体例を示す図である。制御部200bは、距離算出部205aに代えて距離算出部205bを備える点と、指向性モードデータ送受信部207aを備えない点と、測定部210を備えない点と、通信開始判定部211を備えない点とで、制御部200aと異なる。
距離算出部205bは、移動体位置情報に基づいて、第2移動体3aと第3移動体4aとの間の距離を算出する。距離算出部205bは、算出した距離を示す移動体距離情報を出力する。
図24は、第3の実施形態における第2移動体3aの機能構成の具体例を示す図である。第2移動体3aは、バスで接続されたCPU31aやメモリ32aや記憶部33aなどを備え、プログラムを実行する。第2移動体3は、プログラムの実行によってアンテナ部34、駆動部35及び測定センサ36を備える装置として機能する。
CPU31aが記憶部33aに記憶されたプログラムをメモリ32aに読み込んで実行することにより、制御部300aが生成される。
図25は、第3の実施形態における制御部300aの機能構成の具体例を示す図である。制御部300aは、指向性モードデータ送受信部307に代えて指向性モードデータ送受信部307aを備える点で、制御部300と異なる。
指向性モードデータ送受信部307aは、モード決定部304が第2移動体3aの動作モードを指向性通信モードに決定した場合に、アンテナ部34を介して第3移動体4aと指向性通信モードにおけるデータの送受信を行う。具体的には、指向性モードデータ送受信部307aは、アンテナ制御部305によるアンテナ部34の制御と連動して、アンテナ部34を介して第3移動体4aと指向性通信モードにおけるデータの送受信を行う。指向性モードデータ送受信部307aが送受信するデータは、どのようなデータであってもよく、例えば、測定部301が測定した量であってもよい。
図26は、第3の実施形態における第3移動体4aの機能構成の具体例を示す図である。第3移動体4aは、バスで接続されたCPU41aやメモリ42aや記憶部43aなどを備え、プログラムを実行する。第3移動体4aは、プログラムの実行によってアンテナ部44、駆動部45及び測定センサ46を備える装置として機能する。
CPU41aが記憶部43aに記憶されたプログラムをメモリ42aに読み込んで実行することにより、制御部400aが生成される。
図27は、第3の実施形態における制御部400aの機能構成の具体例を示す図である。制御部400aは、指向性モードデータ送受信部407に代えて指向性モードデータ送受信部407aを備える点で、制御部400と異なる。
指向性モードデータ送受信部407aは、モード決定部404が第3移動体4aの動作モードを指向性通信モードに決定した場合に、アンテナ部44を介して第2移動体3aと指向性通信モードにおけるデータの送受信を行う。具体的には、指向性モードデータ送受信部407aは、アンテナ制御部405によるアンテナ部44の制御と連動して、アンテナ部44を介して第2移動体3aと指向性通信モードにおけるデータの送受信を行う。指向性モードデータ送受信部407aが送受信するデータは、どのようなデータであってもよく、例えば、測定部401が測定した量であってもよい。
図28は、第3の実施形態において第2開始条件が満たされた場合に第1移動体2bが実行する具体的な処理の流れを示すフローチャートである。
第1移動体2bが、第2移動体3aが送信した通信開始信号を全方位受信モードの動作モードにおいて受信する(ステップS701)。ステップS701の次に、モード決定部203は、第1移動体2bの動作モードを全方位送信モードに決定する。第1移動体2bは、全方位送信モードでACT信号を第2移動体3aに送信する(ステップS702)。
ステップS701の次に、第1移動体2bが、移動体位置情報取得部201aによって水中測位装置1aから移動体位置情報を取得する(ステップS703)。ステップS703の次に、第1移動体2bは、第2移動体3aと第3移動体4bとの間の距離を算出する(ステップS704)。具体的には、ステップS703において取得された移動体位置情報に基づいて、距離算出部205bが、第2移動体3aと第3移動体4bとの間の距離を算出する。
ステップS704の次に、第1移動体2bは、全方位放射モードで通信開始信号を送信する(ステップS705)。次に、第1移動体2bは、全方位放射モードで通信関連情報を送信する(ステップS706)。
ステップS706の処理が終わると、第1移動体2bが実行する処理が終了する。
図29は、第3の実施形態において第2開始条件が満たされた場合に第2移動体3aが実行する具体的な処理の流れを示すフローチャートである。
図29のフローチャートは、図11のフローチャートにおけるステップS408に代えてステップS801の処理が実行される点で、図11のフローチャートと異なる。
以下、図11と同様の処理には、同じ符号を付すことで説明を省略する。
ステップS407の次に、第2移動体3aは、指向性モードデータ送受信部307a及びアンテナ部34を介して第3移動体4aと指向性通信モードにおけるデータの送受信を行う。具体的には、アンテナ制御部305は、移動体位置情報が示す第3移動体4aの位置に向かう指向性を持った信号をアンテナ部34が放射するように、アンテナ部34を制御する。アンテナ制御部305によるアンテナ部34の制御とともに、第2移動体3aは、指向性モードデータ送受信部307aによって、アンテナ制御部305によって制御されたアンテナ部34を介して、第3移動体4aと通信する(ステップS801)。
図30は、第3の実施形態において第2開始条件が満たされた場合に第3移動体4aが実行する具体的な処理の流れを示すフローチャートである。
通信関連情報受信部406aが、第1移動体2aが送信した通信開始信号を受信する(ステップS901)。通信関連情報受信部406aが、第1移動体2aが送信した通信関連情報を受信する(ステップS902)。モード決定部404が、第3移動体4aの動作モードを指向性通信モードに決定する(ステップS903)。ステップS903の次に、第3移動体4aは、指向性モードデータ送受信部407a及びアンテナ部44を介して第2移動体3aと指向性通信モードにおけるデータの送受信を行う。具体的には、アンテナ制御部405は、移動体位置情報が示す第2移動体3aの位置に向かう指向性を持った信号をアンテナ部44が放射するように、アンテナ部44を制御する。アンテナ制御部405によるアンテナ部44の制御とともに、第3移動体4aは、指向性モードデータ送受信部407aによって、アンテナ制御部405によって制御されたアンテナ部44を介して、第2移動体3aと通信する(ステップS904)。
モード決定部404は、第3移動体4aの動作モードを指向性通信モードに決定してから定期的に第3チェック判定処理を実行する(ステップS905)。ステップS905において、第3動作モード条件が満たされた場合(ステップS905:YES)、モード決定部404は、動作モードを全方位受信モードに決定する(ステップS906)。モード決定部404が動作モードを全方位受信モードに決定すると、アンテナ制御部405が、全方位受信モードの通信を可能とするようにアンテナ部44を制御する。ステップS906の後、処理が終了する。
一方、ステップS905において、第3動作モード条件が満たされなかった場合(ステップS905:NO)、ステップ904の処理が実行される。
第3の実施形態において第3開始条件が満たされた場合に第1移動体2bが実行する具体的な処理の流れは、図28のフローチャートが示す処理の流れにおいて、第2移動体3aを第3移動体4aに代えて、第3移動体4aを第2移動体3aに代えた処理の流れと同様の処理の流れである。
第3の実施形態において第3開始条件が満たされた場合に第2移動体3aが実行する具体的な処理の流れは、図30のフローチャートが示す処理の流れにおいて、第3移動体4aを第2移動体3aに代えた処理の流れと同様の処理の流れである。
第3の実施形態において第3開始条件が満たされた場合に第3移動体4aが実行する具体的な処理の流れは、図29のフローチャートが示す処理の流れにおいて、第2移動体3aを第3移動体4aに代えた処理の流れと同様の処理の流れである。
このように構成された第3の実施形態の水中通信システム10bは、水中における第2移動体3aと第3移動体4aとの間の指向性の通信を行う。このため、全方位の通信の場合よりも、障害物による反射波や散乱波の発生を抑制して、第2移動体3aと第3移動体4aとの間の通信を行うことができる。そのため、水中通信システム10bは第2移動体3a及び第3移動体4aが受信する信号の信号強度が反射波や散乱波との干渉によって低下することを抑制することができ、通信の安定性の低下を抑制することができる。
また、このように構成された第3の実施形態の水中通信システム10bは、水中における第2移動体3aと第3移動体4aとの間の指向性の通信を行うため、全方位の通信の場合よりも、通信時の消費電力の増大を抑制することができる。
(水中測位装置1が移動体位置情報を取得する周期について)
水中測位装置1が第1移動体2及び第2移動体3の位置を取得する周期(秒)と最大指向性通信時間X(秒)との関係について説明する。
水中測位装置1が、第1移動体2及び第2移動体3の位置を、以下の式(1)又は式(2)で表される周期で取得すると、通信の安定性を高めることができる。
式(1)及び式(2)において、Wは、GPSセンサ17や、ユーザの実測によって取得された、水中測位装置1の周囲の水流の速さ(m/s)を表す。M1は、第1移動体2の最高速度(m/s)を表す。M2は、第2移動体3の最高速度(m/s)を表す。Kは、任意の係数である。
Kが大きくなるほど、水中測位装置1が第1移動体2及び第2移動体3の位置を取得する周期が短くなるため、第1移動体2及び第2移動体3の位置が補正される機会が増える。そのため、通信の安定性が高まる。
(アンテナについて)
以下、アンテナ部24、34及び44が備えるアンテナの構成の具体例を示す。以下、説明の簡単のため、第1移動体2のアンテナ部24について説明するが、第1移動体2a及び2bのアンテナ部24と、アンテナ部34及び44についても同様である。
図31は、第1実施形態におけるアンテナ部24の構成の具体例を示す図である。アンテナ部24は、アンテナ241−1〜241−4及びシャッター242を備える。以下、アンテナ241−1〜241−4をそれぞれ区別しない場合、アンテナ241という。アンテナ241は、各アンテナ241が面する方向に信号を出力する。また、アンテナ241は、各アンテナ241が面する方向から入射する信号を受信する。シャッター242は、アンテナ241を取り囲み、信号を遮蔽する。
図32は、第1実施形態における第1移動体2の動作モードが全方位送信モード又はアン全方位受信モードの場合のアンテナ部24の状態の具体例を示す図である。
アンテナ部24は、第1移動体2の動作モードが全方位受信モード及び全方位送信モードの場合、シャッター242をすべて開く。この場合、アンテナ部24が備える全てのアンテナ241は、信号の送受信が可能である。
図32は、第1実施形態における第1移動体2の動作モードが全方位送信モード又はアン全方位受信モードの場合のアンテナ部24の状態の具体例を示す図である。
アンテナ部24は、第1移動体2の動作モードが全方位受信モード及び全方位送信モードの場合、シャッター242をすべて開く。この場合、アンテナ部24が備える全てのアンテナ241は、信号の送受信が可能である。
図33は、第1実施形態における第1移動体2の動作モードが指向性通信モードの場合のアンテナ部24の状態の第1の具体例を示す図である。
アンテナ部24は、第1移動体2の動作モードが指向性通信モードの場合、第2移動体3の方向を向いたアンテナ241の近傍のシャッター242を開く。例えば、アンテナ241−2が面する方向に第2移動体3が位置する場合、シャッター242のアンテナ241−2に面する箇所が開かれる。この場合、アンテナ241−2だけが、シャッター242の開いた箇所を通した信号の送受信が可能になる。そのため、第1移動体2は、指向性の通信が可能になる。
図34は、第1実施形態における第1移動体2の動作モードが指向性通信モードの場合のアンテナ部24の状態の第2の具体例を示す図である。
アンテナ部24のアンテナ241が、回転することで位置を変えることができるとする。アンテナ部24は、第1移動体2の動作モードが指向性通信モードの場合、第2移動体3の方向を向いたシャッター242を開き、アンテナ241を回転させることで、開いたシャッターに面するようにアンテナ241の配置を変える。
例えば、アンテナ241−2を第2移動体3が位置する方向まで移動させることでアンテナ241−2だけが、シャッター242の開いた箇所を通した信号の送受信が可能になる。そのため、第1移動体2は、指向性の通信が可能になる。
なお、アンテナ部24が備えるアンテナ241の数は、必ずしも4つでなくてもよく、5つ以上であってもよいし、4つ未満であってもよい。
(変形例)
第1の実施形態において第1移動体2及び第2移動体3が可視光及び音波によって通信が可能な場合、第1移動体2及び第2移動体3は、無線媒体決定処理を実行した後、決定された無線媒体によって指向性の通信をしてもよい。無線媒体決定処理は、指向性の通信を可視光と音波とのいずれの無線媒体によって行うかを決定する処理である。以下、簡単のため、無線媒体が可視光又は音波であると仮定して説明を行う。
具体的には、第1移動体2及び第2移動体3が可視光及び音波によって通信が可能な場合、例えば、モード決定部203及びモード決定部304が、さらに、無線媒体決定処理を実行する。無線媒体決定処理において、モード決定部203及びモード決定部304は、可視光通信可能条件が満たされた場合には、第1移動体2と第2移動体3との間の指向性の通信を可視光によって行うことを決定する。可視光通信可能条件とは、移動体位置情報が示す第1移動体2と第2移動体3との間の距離が可視光によって通信可能な距離であるという条件である。モード決定部203及びモード決定部304は、可視光通信可能条件が満たされない場合には、第1移動体2と第2移動体3との間の指向性の通信を音波によって行うことを決定する。
第1移動体2及び第2移動体3は、モード決定部203及びモード決定部304が無線媒体決定処理によって決定した無線媒体によって、指向性の通信を行う。
無線媒体決定処理は、図8におけるステップS102の後であって、S106の前に実行される。無線媒体決定処理は、図9におけるステップS202の後であって、S204の前に実行される。
また、モード決定部203は、可視光通信可能条件が満たされない場合、第1移動体2の動作モードを、全方位送信モードで移動指示情報を送信するモード(以下「移動指示送信モード」という。)に決定してもよい。移動指示情報は、可視光通信可能条件が満たされる位置まで移動することを第2移動体3に指示する指示を示す情報である。
動作モードが移動指示送信モードに決定された第1移動体2は、アンテナ部24を介して移動指示情報を第2移動体3に送信する。動作モードが移動指示送信モードに決定された第1移動体2は、不図示の送信部によって移動指示情報を送信する。通信関連情報送信部206が、移動指示情報も送信可能である場合、第1移動体2は、通信関連情報送信部206によってアンテナ部24を介して移動指示情報を第2移動体3に送信してもよい。
第2の実施形態における第1移動体2a、第2移動体3及び第3移動体4が可視光及び音波によって通信が可能な場合、このような通信関連処理が第1移動体2a、第2移動体3及び第3移動体4によって実行されてもよい。このような通信関連処理とは、無線媒体決定処理と、無線媒体決定処理によって決定された無線媒体による指向性の通信とが実行されることである。
第3の実施形態における第1移動体2b、第2移動体3a及び第3移動体4aが可視光及び音波によって通信が可能な場合、このような通信関連処理が第1移動体2b、第2移動体3a及び第3移動体4aによって実行されてもよい。
なお、アンテナ部24は、第1アンテナ部の一例である。駆動部26は、第1駆動部の一例である。第1移動体2及び2aは、第1移動体の一例である。アンテナ部34は、第2アンテナ部の一例である。駆動部35は、第2駆動部の一例である。第2移動体3及び3aは、第2移動体の一例である。アンテナ部44は、第3アンテナ部の一例である。駆動部45は、第3駆動部の一例である。第3移動体4及び4aは、第3移動体の一例である。
なお、水中測位装置1及び1aと、第1移動体2、2a及び2bと、第2移動体3及び3aと、第3移動体4及び4aの各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。