1. 本発明の構成
本発明の粒子は、抗生物活性化合物と疎水性の重合性ビニルモノマーとから疎水性液を調製し、疎水性液を、カチオン性化合物の存在下、水中で乳化させ、重合性ビニルモノマーをミニエマルション重合させることにより得られる。
以下、上記した本発明の粒子の実施形態について説明する。
2. 各成分の説明
2−1. 抗生物活性化合物
抗生物活性化合物は、例えば、殺菌、抗菌、防腐、防藻、防かび、殺虫などの抗生物活性を有する、殺菌剤(例えば、プロピコナゾール(後述)など)、抗菌剤(例えば、BIT(後述)など)、防腐剤(例えば、BITなど)、防藻剤(例えば、MBACT(後述)など)、防かび剤(例えば、OIT(後述)、DCOIT(後述)、テブコナゾール(後述)、IPBC(後述)など)、殺虫剤(例えば、ピリプロキシフェンなど)、除草剤(例えば、ピラクロニル、ペンディメタリン、インダノファンなど)、誘引剤、忌避剤(例えば、ディートなど)および殺鼠剤などから選択される。これら抗生物活性を有する化合物としては、例えば、ヨウ素系化合物、トリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、カルバモイルイミダゾール系化合物、ジチオール系化合物、イソチアゾリン系化合物、パラオキシ安息香酸エステルなどの殺菌抗菌防腐防藻防かび剤、例えば、ピレスロイド系化合物、ネオニコチノイド系化合物、有機塩素系化合物、有機リン系化合物、カーバメート系化合物、アルコキシアミン系化合物、オキサジアジン系化合物などの防蟻剤(殺蟻剤などの殺虫剤)などが挙げられる。また、抗生物活性化合物は、例えば、ノニオン性またはアニオン性である。換言すれば、抗生物活性化合物は、例えば、カチオン性でない。
ヨウ素系化合物としては、例えば、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート(IPBC)、1−[[(3−ヨード−2−プロピニル)オキシ]メトキシ]−4−メトキシベンゼン、3−ブロモ−2,3−ジヨード−2−プロペニルエチルカーボネートなどが挙げられる。
トリアゾール系化合物としては、例えば、1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−n−プロピル−1,3−ジオキソラン−2−イルメチル]−1H−1,2,4−トリアゾール(プロピコナゾール)、ビス(4−フルオロフェニル)メチル(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチルシラン)(別称:フルシラゾール、1−[[ビス(4−フルオロフェニル)メチルシリル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール)、1−p−クロロフェニル−4,4−ジメチル−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)ペンタン−3−オール(テブコナゾール)などが挙げられる。
トリアジン系化合物として、例えば、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン(MBACT)などが挙げられる。
カルバモイルイミダゾール系化合物としては、例えば、N−プロピル−N−[2−(2,4,6−トリクロロ−フェノキシ)エチル]イミダゾール−1−カルボキサミド(プロクロラズ)などが挙げられる。
ジチオール系化合物としては、例えば、4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール−3−オンなどが挙げられる。
イソチアゾリン系化合物としては、例えば、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(OIT)、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(DCOIT)、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン(BIT)、n−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(BBIT)などが挙げられる。
パラオキシ安息香酸エステルとしては、例えば、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピルなどが挙げられる。
ピレスロイド系化合物としては、例えば、シロバナムシヨケギクより得られるピレトリン、シネリン、ジャスモリンなどが挙げられ、例えば、これらから誘導されるアレスリン、ビフェントリン、アクリナトリン、アルファシペルメトリン、トラロメトリン、シフルトリン([(R)−シアノ−[4−フルオロ−3−(フェノキシ)フェニル]メチル](1R,3R)−3−(2,2−ジクロロエテニル)−2,2−ジメチルシクロプロパン−1−カルボキシラート(異性体を含んでいてもよい)、シフェノトリン、プラレトリン、エトフェンプロックス(2−(4−エトキシフェニル)−2−メチルプロピル−3−フェノキシベンジル−エーテル)、シラフルオフェン、フェンバレレートなども挙げられる。
ネオニコチノイド系化合物としては、例えば、(E)−N1−[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]−N2−シアノ−N1−メチルアセトアミジン(アセタミプリド)などが挙げられる。
有機塩素系化合物としては、例えば、ケルセンなどが挙げられる。
有機リン系化合物としては、例えば、ホキシム、ピリダフェンチオン、フェニトロチオン、テトラクロルビンホス、ジクロフェンチオン、プロペタンホスなどが挙げられる。
カーバメート系化合物としては、例えば、フェノブカルブ、プロポクスルなどが挙げられる。
アルコキシアミン系化合物としては、例えば、3−ラウリルオキシプロピリアミンなどが挙げられる。
オキサジアジン系化合物としては、例えば、インドキサカルブなどが挙げられる。
抗生物活性化合物として、好ましくは、殺菌抗菌防腐防藻防かび剤、より好ましくは、ヨウ素系化合物、トリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、イソチアゾリン系化合物、ピレスロイド系化合物、さらに好ましくは、IPBC、プロピコナゾール、テブコナゾール、MBACT、OIT、DCOIT、BBIT、シフルトリン、エトフェンプロックスが挙げられる。
抗生物活性化合物は、例えば、水に対する室温(20〜25℃)における溶解度が極めて小さく、より具体的には、例えば、室温の溶解度が、質量基準で、1質量部/水100質量部(10000ppm)以下、好ましくは、0.5質量部/水100質量部(5000ppm)以下、さらに好ましくは、0.1質量部/水100質量部(1000ppm)以下である。
抗生物活性化合物の水に対する溶解度が、上記した範囲を超える場合には、重合性ビニルモノマーを重合するときに、抗生物活性化合物がミニエマルション重合のハイドロホーブとして機能せず、粒子が肥大するとともに、粒子外(つまり、水相)へ漏出し易く、重合後に、水相に溶解していた抗生物活性化合物が析出するので、抗生物活性化合物がポリマー中に分散する粒子を形成することが困難となる場合がある。
これら抗生物活性化合物は、単独使用または2種以上併用することができる。
2−2. 重合性ビニルモノマー
重合性ビニルモノマーは、例えば、ノニオン性またはアニオン性であって(つまり、カチオン性でなく)、例えば、重合性の炭素−炭素二重結合(具体的には、ビニル基など)を少なくとも1つ分子内に有する。
重合性ビニルモノマーとしては、例えば、重合性の炭素−炭素二重結合を分子内に1つ含有する第1モノマー、例えば、重合性の炭素−炭素二重結合を分子内に2つ以上含有する第2モノマー、例えば、官能基をさらに含有する第3モノマーなどが挙げられる。
2−2(1) 第1モノマー
第1モノマーは、重合性ビニルモノマーに主成分として含有される主モノマーである。第1モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、芳香族ビニルモノマー、ビニルエステル系モノマー、マレイン酸エステル系モノマー、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、窒素含有ビニルモノマーなどが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル系モノマーは、メタクリル酸エステルおよび/アクリル酸エステルであって、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル(MMA/MA)、(メタ)アクリル酸エチル(EMA/EA)、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル(n−BMA/n−BA)、(メタ)アクリル酸iso−ブチル(i−BMA/i−BA)、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸iso−ノニル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル(ラウリル)、(メタ)アクリル酸n−オクタデシル(ステアリル)、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどのアルキル部分が直鎖状、分岐状または環状の炭素数1〜20のアルキル部分を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。好ましくは、炭素数1〜4のアルキル部分を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
芳香族系ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン(Sty)、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、α−メチルスチレンなどが挙げられる。
ビニルエステル系モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどが挙げられる。
マレイン酸エステル系モノマーとしては、例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
ハロゲン化ビニルとしては、例えば、塩化ビニル、フッ化ビニルなどが挙げられる。
ハロゲン化ビニリデンとしては、例えば、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどが挙げられる。
窒素含有ビニルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、N−フェニルマレイミド、ビニルピリジンなどが挙げられる。
第1モノマーとして、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー、芳香族ビニルモノマーが挙げられる。
第1モノマーは、単独使用または2種以上併用することができる。
第1モノマーの配合割合は、重合性ビニルモノマーに対して、例えば、50質量%以上、好ましくは、55質量%以上、さらに好ましくは、60質量%以上であり、また、100質量%以下である。
2−2(2) 第2モノマー
第2モノマーは、重合性ビニルモノマーに任意的に含有される副モノマーであって、第1モノマーと共重合可能な架橋性モノマーである。架橋性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート(EGDA/EGDMA)、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのモノまたはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、例えば、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどのアルカンジオールジ(メタ)アクリレート、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート(PETM/PETA)などのアルカンポリオールポリ(メタ)アクリレート、例えば、アリル(メタ)メタクリレート、トリアリル(イソ)シアヌレートなどのアリル系モノマー、例えば、ジビニルベンゼンなどのジビニル系モノマーなどが挙げられる。
第2モノマーとして、好ましくは、モノまたはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、より好ましくは、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
第2モノマーは、単独使用または2種以上併用することができる。
第2モノマーの配合割合は、重合性ビニルモノマーに対して、例えば、1質量以上し、好ましくは、5質量%以上であり、また、例えば、20質量%以下、好ましくは、10質量%以下である。また、第2モノマーの配合割合は、第1モノマー100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、5質量部以上であり、また、例えば、30質量部以下、好ましくは、20質量部以下である。
2−2(3) 第3モノマー
第3モノマーは、重合性ビニルモノマーに任意的に含有される副モノマーであって、また、第1モノマーと共重合可能な官能基含有ビニルモノマーである。官能基含有ビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸系モノマー、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル、重合反応性乳化剤などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸系モノマーとしては、例えば、アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、イタコン酸などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルなどが挙げられる。
エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル(GMA/GA)などが挙げられる。
重合反応性乳化剤は、乳化剤であると同時に、重合性モノマーである。重合反応性乳化剤は、乳化機能を発現する親水性基を分子内に有しており、そのような親水性基としては、例えば、ポリオキシエチレン基などのノニオン性の親水基などが挙げられる。
第3モノマーとして、好ましくは、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルは、抗生物活性化合物、具体的には、殺菌防腐防藻防かび剤、詳しくは、ヨウ素系化合物、とりわけ、IPBCの熱や紫外線による変色を抑える働きがある。
第3モノマーは、単独使用または2種以上併用することができる。
第3モノマーの配合割合は、重合性ビニルモノマーに対して、例えば、0.5質量%以上、好ましくは、1質量%以上であり、また、例えば、45質量%以下、好ましくは、40質量%以下である。また、第3モノマーの配合割合は、第1モノマー100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上、好ましくは、1質量部以上であり、また、例えば、80質量部以下、好ましくは、60質量部以下である。また、第3モノマーの配合割合は、第2モノマー100質量部に対して、例えば、30質量部以上、好ましくは、50質量部以上であり、また、例えば、1000質量部以下、好ましくは、500質量部以下である。
2−2(4) 重合性ビニルモノマーの物性
重合性ビニルモノマーは、実質的に疎水性であって、例えば、水に対する室温における溶解度が極めて小さく、具体的には、室温における溶解度が、例えば、8質量部/水100質量部以下、好ましくは、5質量部/水100質量部以下、さらに好ましくは、3質量部/水100質量部以下である。なお、重合性ビニルモノマーは、異なる種類が併用される場合(例えば、第1モノマー〜第3モノマーが併用される場合)には、重合性ビニルモノマー全体(つまり、異なる種類の重合性ビニルモノマーの混合物)として実質的に疎水性である。
2−3. カチオン性化合物
カチオン性化合物は、粒子、さらには、粒子の表面にカチオン性を付与できる化合物であって、具体的には、カチオン性基を有する。そのようなカチオン性基としては、例えば、四級アンモニウム塩基([N+R4]X−(式中、Rは、炭化水素基を示し、X−は、アニオンを示す。))、ピリジニウム塩基(下記一般式(1))などが挙げられる。
一般式(1)
(式(1)中、Rは、炭化水素基を示し、X−は、アニオンを示す。)
また、カチオン性化合物は、高級アルキル基をさらに有する。高級アルキル基としては、炭素数が、例えば、6以上、好ましくは、8以上、より好ましくは、10以上であり、また、例えば、20以下、好ましくは、18以下の、例えば、直鎖状または分岐状のアルキル基、好ましくは、直鎖状のアルキル基が挙げられる。高級アルキル基の炭素数が上記した下限以下であれば、乳濁液の酸性下における分散安定性を十分に向上させることができず、また、酸性下かつ高温下における着色の抑制効果を十分に得ることができない場合がある。
高級アルキル基としては、例えば、n−ヘキシル、イソヘキシル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、イソヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、sec−オクチル、tert−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル(ラウリル)、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル(セチル)、ヘプタデシル、オクタデシル(ステアリル)、ノナデシル、エイコシルなどの、直鎖状のまたは分岐状のアルキル基が挙げられ、好ましくは、直鎖状のアルキル基が挙げられる。
具体的には、カチオン性化合物としては、例えば、カチオン性界面活性剤、カチオン性抗生物活性化合物などが挙げられる。
2−3(1) カチオン性界面活性剤
カチオン性界面活性剤は、後述する乳化工程および重合工程において、疎水性液からなるエマルション粒子を安定化して、凝集および肥大化を有効に防止し、重合工程における重合安定性を向上させることができ、かつ、生成する粒子にカチオン性を付与することができる界面活性剤である。カチオン性界面活性剤としては、例えば、四級アンモニウム塩、アルキルアミン塩が挙げられる。好ましくは、四級アンモニウム塩が挙げられる。
四級アンモニウム塩は、四級アンモニウム塩基を有し、具体的には、例えば、下記一般式(2)で示される。
一般式(2):
[N+R1 nR2 4−n]X− (2)
(式(2)中、R1は、炭素数6以上の炭化水素基、R2は、炭素数5以下の低級アルキル基、X−は、アニオンを示す。nは、1〜4の整数である。)
R1で示される炭化水素基としては、高級アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基などが挙げられる。好ましくは、高級アルキル基が挙げられる。
高級アルキル基としては、上記した高級アルキル基と同様のもの挙げられる。好ましくは、ドデシル(ラウリル)、テトラデシル、ヘキサデシル(セチル)、オクタデシル(ステアリル)が挙げられ、より好ましくは、ヘキサデシル、オクタデシルが挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシルなどの炭素数6〜10のシクロアルキル基が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、ビフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、アズレニルなどの炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、1−フェニルプロピル、2−フェニルプロピル、3−フェニルプロピル、ジフェニルメチル、o、mまたはp−メチルベンジル、o、mまたはp−エチルベンジル、o、mまたはp−イソプロピルベンジル、o、mまたはp−tert−ブチルベンジル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジメチルベンジル、2,3,4−、3,4,5−または2,4,6−トリメチルベンジル、5−イソプロピル−2−メチルベンジル、2−イソプロピル−5−メチルベンジル、2−メチル−5−tert−ブチルベンジル、2,4−、2,5−または3,5−ジイソプロピルベンジル、3,5−ジ−tert−ブチルベンジル、1−(2−メチルフェニル)エチル、1−(3−メチルフェニル)エチル、1−(4−メチルフェニル)エチル、1−(2−イソプロピルフェニル)エチル、1−(3−イソプロピルフェニル)エチル、1−(4−イソプロピルフェニル)エチル、1−(2−tert−ブチルフェニル)エチル、1−(4−tert−ブチルフェニル)エチル、1−(2−イソプロピル−4−メチルフェニル)エチル、1−(4−イソプロピル−2−メチルフェニル)エチル、1−(2,4−ジメチルフェニル)エチル、1−(2,5−ジメチルフェニル)エチル、1−(3,5−ジメチルフェニル)エチル、1−(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)エチルなどの炭素数7〜16のアラルキル基が挙げられる。
R1として、好ましくは、高級アルキル基が挙げられる。
一般式(2)において、nが2以上であれば、R1を複数の異なる基から構成することができる。
R2で示される低級アルキル基の炭素数は、例えば、1以上であり、また、例えば、5以下、好ましくは、4以下、より好ましくは、3以下、さらに好ましくは、2以下である。具体的には、R2で示される低級アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチルなどの、直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。低級アルキル基として、好ましくは、メチルが挙げられる。
一般式(2)において、nが2以下であれば、R2を複数の異なる基から構成することができる。
X−としては、例えば、無機アニオン、有機アニオンが挙げられる。好ましくは、無機アニオンが挙げられる。
無機アニオンとしては、例えば、ハロゲンイオン(例えば、F−、Cl−、Br−、I−など)、ヨウ素酸イオン(IO3 −)、臭素酸イオン(BrO3 −)、塩素酸イオン(ClO3 −)、過ヨウ素酸イオン(IO4 −)、過塩素酸イオン(ClO4 −)、硝酸イオン(NO3 −)、亜硝酸イオン(NO2 −)などが挙げられる。無機イオンとして、好ましくは、ハロゲンイオンが挙げられ、より好ましくは、Cl−(塩化物イオン)が挙げられる。
有機アニオンとしては、例えば、カルボキシレートイオン(COO−)(アセテートイオン(CH3COO−)を含む)などが挙げられる。
一般式(2)において、nは、好ましくは、1〜3の整数、より好ましくは、1または2である。
具体的には、四級アンモニウム塩として、例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド(ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド)、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド(セチルトリメチルアンモニウムクロライド)、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド(ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド)などのモノ高級アルキルトリ低級アルキルアンモニウム塩(より具体的には、モノ高級アルキルトリ低級アルキルアンモニウムクロライド)などが挙げられ、また、例えば、ジドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジテトラデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジヘキサデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライド(ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド)などのジ高級アルキルジ低級アルキルアンモニウム塩(より具体的には、ジ高級アルキルジ低級アルキルアンモニウムクロライド)などが挙げられ、さらに、高級アルキルベンジルジ低級アルキルアンモニウム塩(具体的には、高級アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド)なども挙げられる。好ましくは、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。
アルキルアミン塩は、アミノ基を有し、具体的には、下記一般式(3)で示される。
[R1−NH3 +]X− (3)
(R1は、炭素数6以上の炭化水素基、X−は、アニオンを示す。)
R1およびX−は、上記した一般式(2)で例示したR1およびX−とそれぞれ同様である。X−としては、好ましくは、有機アニオンが挙げられ、より好ましくは、カルボキシレートイオンが挙げられる。
具体的には、アルキルアミン塩としては、例えば、ココナットアミンアセテート(ラウリルアミンアセテートおよびミリスチルアミンアセテートの混合物)、ステアリルアミンアセテートが挙げられる。
カチオン性界面活性剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
2−3(2) カチオン性抗生物活性化合物
カチオン性抗生物活性化合物は、例えば、殺菌、抗菌、防腐、防藻、防かび、殺虫などの抗生物活性を有する、殺菌剤、抗菌剤、防腐剤、防藻剤、防かび剤、殺虫剤、除草剤、誘引剤、忌避剤および殺鼠剤などから選択される。カチオン性抗生物活性化合物としては、より具体的には、細菌、かび、酵母、藻の防除剤、つまり、微生物防除剤が挙げられる。カチオン性抗生物活性化合物は、例えば、下記一般式(4)で示されるビス四級アンモニウム化合物である。
一般式(4):
(式中、R11およびR12は、同一または相異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基を、R13およびR14は、同一または相異なって、置換基を有していてもよい炭化水素基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基または水素原子を、R15は、置換基を有していてもよい炭化水素基または炭素−炭素間単結合を、Y1は、−NRnCO−、−CONRn−、−NRnCS−、−CRnO−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)、−COO−、−COS−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合を、Y2は、−CONRn−、−NRnCO−、−OCRn−、−CSNRn−(前記Rnは、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子を示す。)、−OOC−、−SOC−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合を、Zはアニオン、aは、1または2の整数を示す。)
一般式(4)の式中、R11およびR12で示される置換基を有していてもよい炭化水素基の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基およびアラルキル基などが挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、iso−ペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、イソデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシルなどの炭素数1〜18のアルキル基が挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、メタリル、イソプロペニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプチニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、オクタデセニルなどの炭素数2〜18のアルケニル基が挙げられる。
アルキニル基としては、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、ブチニル、ペンチニル、オクテニルなどの炭素数2〜8のアルキニル基が挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどの炭素数3〜8のシクロアルキル基が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル、トリル、キシリル、ビフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、アズレニルなどの炭素数6〜14のアリール基が挙げられる。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、1−フェニルプロピル、2−フェニルプロピル、3−フェニルプロピル、ジフェニルメチル、o、mまたはp−メチルベンジル、o、mまたはp−エチルベンジル、o、mまたはp−イソプロピルベンジル、o、mまたはp−tert−ブチルベンジル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジメチルベンジル、2,3,4−、3,4,5−または2,4,6−トリメチルベンジル、5−イソプロピル−2−メチルベンジル、2−イソプロピル−5−メチルベンジル、2−メチル−5−tert−ブチルベンジル、2,4−、2,5−または3,5−ジイソプロピルベンジル、3,5−ジ−tert−ブチルベンジル、1−(2−メチルフェニル)エチル、1−(3−メチルフェニル)エチル、1−(4−メチルフェニル)エチル、1−(2−イソプロピルフェニル)エチル、1−(3−イソプロピルフェニル)エチル、1−(4−イソプロピルフェニル)エチル、1−(2−tert−ブチルフェニル)エチル、1−(4−tert−ブチルフェニル)エチル、1−(2−イソプロピル−4−メチルフェニル)エチル、1−(4−イソプロピル−2−メチルフェニル)エチル、1−(2,4−ジメチルフェニル)エチル、1−(2,5−ジメチルフェニル)エチル、1−(3,5−ジメチルフェニル)エチル、1−(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)エチルなどの炭素数7〜16のアラルキル基が挙げられる。
R11およびR12で示される置換基を有していてもよい炭化水素基の置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、ハロゲン原子(例えば、塩素、フッ素、臭素およびヨウ素など)、シアノ基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどの炭素数1〜6のアルコキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニルなどの炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基など)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオなどの炭素数1〜4のアルキルチオ基など)およびアリールチオ基(例えば、フェニルチオ基など)などが挙げられる。これらの置換基は同一または相異なって1〜5個、好ましくは1〜3個置換していてもよい。
上記したR11およびR12で示される置換基を有していてもよい炭化水素基としては、置換基を有していない炭化水素基が好ましく、その中でも、アルキル基が好ましい。
アルキル基としては、好ましくは、炭素数が1〜18のアルキル基、より好ましくは、炭素数が6以上である、ヘキシル、ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、イソデシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシルなどの炭素数6〜18の高級アルキル基が挙げられる。
一般式(4)の式中、R13およびR14で示される置換基を有していてもよい炭化水素基としては、R11およびR12で示される置換基を有していてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられ、好ましくは、アルキル基、より好ましくは、例えば、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、iso−ペンチル、sec−ペンチル、ヘキシルなどの炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
また、R13およびR14で示される置換基を有していてもよいアルコキシ基のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシなどの炭素数1〜8のアルコキシ基が挙げられる。
また、R13およびR14で示される置換基を有していてもよいアルコキシ基の置換基としては、R11およびR12で示される置換基を有していてもよい炭化水素基の置換基と同様のものが挙げられる。
上記したR13およびR14で示される置換基を有していてもよいアルコキシ基としては、置換基を有していないアルコキシ基が好ましく、その中でも、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなどの炭素数1〜3のアルコキシ基が挙げられる。
R13およびR14は、同一または相異なって、それぞれ炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基または水素原子であることが好ましく、その中でも、ともに水素原子であることが好ましい。
一般式(4)の式中、R15で示される置換基を有していてもよい炭化水素基の炭化水素基としては、好ましくは、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、アリレン基などの2価の炭化水素基が挙げられる。
アルキレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、iso−プロピレン、ブチレン、iso−ブチレン、sec−ブチレン、ペンチレン、iso−ペンチレン、sec−ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、2−エチルヘキシレン、ノニレン、デシレン、イソデシレン、ドデシレン、テトラデシレン、ヘキサデシレン、オクタデシレンなどの炭素数1〜18のアルキレン基が挙げられる。
アルケニレン基としては、例えば、ビニレン、プロペニレン、ブテニレン、ブタジエニレン、オクテニレン、デセニレン、ウンデセニレン、ドデセニレン、テトラデセニレン、ヘキサデセニレン、オクタデセニレンなどの炭素数2〜18のアルケニレン基が挙げられる。
アルキニレン基としては、例えば、エチニレン、プロピニレン、ブチニレン、ペンチニレン、オクテニレンなどの炭素数2〜8のアルキニレン基が挙げられる。
シクロアルキレン基としては、例えば、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン、シクロオクチレンなどの炭素数3〜8のシクロアルキレン基が挙げられる。
アリレン基としては、例えば、フェニレン、トリレン、キシリレン、ナフチレンなどの炭素数6〜10のアリレン基が挙げられる。
また、R15で示される置換基を有していてもよい炭化水素基の置換基としては、R11およびR12で示される置換基を有していてもよい炭化水素基の置換基と同様のものが挙げられ、好ましくは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどの炭素数1〜6のアルコキシ基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニルなどの炭素数1〜6のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。
R15で示される置換基を有していてもよい炭化水素基として、好ましくは、炭素数2〜18のアルキレン基が挙げられる。
また、一般式(4)の式中、Y1で示される−NRnCO−、−CONRn−、−NRnCS−、−CRnO−、および、Y2で示される−CONRn−、−NRnCO−、−OCRn−、−CSNRn−のRnとしては、置換基を有していてもよい炭化水素基または水素原子が挙げられ、置換基を有していてもよい炭化水素基としては、R11およびR12で示される置換基を有していてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられる。好ましくは、アルキル基または水素原子が挙げられ、アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、ペンチル、iso−ペンチル、sec−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、2−エチルヘキシルなどの炭素数1〜8のアルキル基が挙げられる。
一般式(4)の式中、Y1として、好ましくは、−NHCO−、−CONH−、−CH2O−、−COO−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合が挙げられ、さらに好ましくは、−CONH−および−CH2O−が挙げられる。また、Y2として、好ましくは、−CONH−、−NHCO−、−OCH2−、−OOC−、−O−、−S−または炭素−炭素間単結合が挙げられ、さらに好ましくは、−NHCO−および−OCH2−が挙げられる。
一般式(4)の式中、Zで示されるアニオンとしては、例えば、無機アニオン、有機アニオンが挙げられる。
無機アニオンとしては、例えば、ハロゲンイオン(例えば、F−、Cl−、Br−、I−など)、ヨウ素酸イオン(IO3 −)、臭素酸イオン(BrO3 −)、塩素酸イオン(ClO3 −)、過ヨウ素酸イオン(IO4 −)、過塩素酸イオン(ClO4 −)、硫酸イオン(SO4 2−)、硝酸イオン(NO3 −)、リン酸イオン(PO4 3−)、亜硫酸イオン(SO3 2−)、亜硝酸イオン(NO2 −)などが挙げられる。
有機アニオンとしては、例えば、遊離の有機カルボン酸や遊離の有機スルホン酸などの遊離の有機酸などが挙げられる。遊離の有機酸としては、炭素数1〜20、好ましくは、炭素数1〜10の遊離の有機酸が挙げられる。
遊離の有機カルボン酸としては、例えば、1価の飽和カルボン酸イオン、2価の飽和カルボン酸イオン、1価の不飽和カルボン酸イオン、2価の不飽和カルボン酸イオン、ヒドロキシカルボン酸イオン、オキソカルボン酸イオン、芳香族カルボン酸イオンなどが挙げられる。
1価の飽和カルボン酸イオンとしては、例えば、蟻酸イオン(HCOO−)、酢酸イオン(CH3COO−)、プロピオン酸イオン(C2H5COO−)、酪酸イオン(C3H7COO−)、イソ酪酸イオン((CH3)2CHCOO−)、吉草酸イオン(CH3(CH2)3COO−)、イソ吉草酸イオン((CH3)2CHCH2COO−)、ピバル酸イオン((CH3)3CCOO−)、オクタン酸イオン(CH3(CH2)6COO−)、デカン酸イオン(CH3(CH2)8COO−)、ラウリン酸イオン(CH3(CH2)10COO−)、ミリスチン酸イオン(CH3(CH2)12COO−)、パルミチン酸イオン(CH3(CH2)14COO−)、ステアリン酸イオン(CH3(CH2)16COO−)などの炭素数1〜18の1価の飽和カルボン酸イオンなどが挙げられる。
2価の飽和カルボン酸イオンとしては、例えば、シュウ酸イオン((COO−)2)、マロン酸イオン(CH2(COO−)2)、コハク酸イオン((−OOC)(CH2)2(COO−))、グルタル酸イオン((−OOC)(CH2)3(COO−))、アジピン酸イオン((−OOC)(CH2)4(COO−))、ピメリン酸イオン((−OOC)(CH2)5(COO−))、スベリン酸イオン((−OOC)(CH2)6(COO−))、アゼライン酸イオン((−OOC)(CH2)7(COO−))、セバシン酸イオン((−OOC)(CH2)8(COO−))などの炭素数2〜10の2価の飽和カルボン酸イオンなどが挙げられる。
1価の不飽和カルボン酸イオンとしては、例えば、アクリル酸イオン(CH2=CHCOO−)、メタクリル酸イオン(CH2=C(CH3)COO−)、クロトン酸イオン(CH3CH=CHCOO−)、cis−クロトン酸イオン(CH3CH=CHCOO−)、ソルビン酸イオン(CH3CH=CHCH=CHCOO−)、オレイン酸イオン(CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COO−)、trans−9−オクタデセン酸イオン(CH3(CH2)7CH=CH(CH2)7COO−)、フランカルボン酸イオン(C4H3OCOO−)などの炭素数3〜18の1価の不飽和カルボン酸イオンなどが挙げられる。
2価の不飽和カルボン酸イオンとしては、例えば、マレイン酸イオン(CH(COO−)=CHCOO−)、シトラコン酸イオン((CH3)C(COO−)=CHCOO−)、メサコン酸イオン((COO−)C(CH3)=CHCOO−)などの炭素数4〜5の2価の不飽和カルボン酸イオンなどが挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸イオンとしては、例えば、乳酸イオン(CH3CH(OH)COO−)、リンゴ酸イオン(CH(OH)(COO−)CH2COO−)、クエン酸イオン(CH2(COO−)C(OH)(COO−)CH2COO−)、グリコン酸イオン(CH2(OH)CH(OH)CH(OH)CH(OH)CH(OH)COO−)などの炭素数3〜6のヒドロキシカルボン酸イオンなどが挙げられる。
オキソカルボン酸イオンとしては、例えば、ピルビン酸イオン(CH3COCOO−)、アセト酢酸イオン(CH3COCH2COO−)などの炭素数3〜4のオキソカルボン酸イオンなどが挙げられる。
芳香族カルボン酸イオンとしては、例えば、安息香酸イオン(C6H5COO−)、フタル酸イオン(C6H4(COO−)2)、ナフタレンカルボン酸イオン(C10H7COO−)、ピリジンカルボン酸イオン(C5H5NCOO−)などの炭素数5〜11の芳香族カルボン酸イオンなどが挙げられる。
また、遊離の有機スルホン酸としては、例えば、メチル硫酸イオン((CH3)SO4 −)、エチル硫酸イオン((C2H5)SO4 −)、メチルベンゼンスルホン酸イオン(CH3C6H4SO3 −)などの炭素数1〜7の有機スルホン酸イオンが挙げられる。
また、一般式(4)の式中、Zで示される有機アニオンとしては、その他に、アミノ酸、エリソルビン酸、アスコルビン酸、デヒドロ酢酸、アルコラート、フェノラートおよび水酸基に起因する有機アニオンなどが挙げられる。
これらアニオンは、単独または2種以上併用することができる。好ましくは、有機アニオンおよびハロゲンイオンが挙げられる。
また、aは、1または2の整数を示し、具体的には、ビス四級アンモニウム化合物およびアニオンの種類に応じて、適宜決定される。aは、2が好ましい。
このようなビス四級アンモニウム化合物は、以下に示す具体的な化合物に準じて公知の方法により製造することができ、その具体例としては、例えば、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(4−カルバモイル−1−オクチルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(4−カルバモイル−1−ドデシルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(4−カルバモイル−1−テトラデシルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(4−カルバモイル−1−ヘキサデシルピリジニウム塩)などのN,N’−アルキレン−ビス(4−カルバモイル−1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3−カルバモイル−1−オクチルピリジニウム塩、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3−カルバモイル−1−デシルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3−カルバモイル−1−ドデシルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3−カルバモイル−1−テトラデシルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3−カルバモイル−1−ヘキサデシルピリジニウム塩)、N,N’−ヘキサメチレン−ビス(3−カルバモイル−1−オクタデシルピリジニウム塩)などのN,N’−アルキレン−ビス(3−カルバモイル−1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−オクチルピリジニウム塩)、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウム塩)、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−ドデシルピリジニウム塩)、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−テトラデシルピリジニウム塩)、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−ヘキサデシルピリジニウム塩)などの4,4’−(アルキレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、4,4’−(ヘキサメチレンジチオ)ビス(1−オクチルピリジニウム塩)などの4,4’−(アルキレンジチオ)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、4,4’−(p−キシリルジチオ)ビス(1−ブチルピリジニウム塩)、4,4’−(p−キシリルジチオ)ビス(1−ヘキシルピリジニウム塩)、4,4’−(p−キシリルジチオ)ビス(1−オクチルピリジニウム塩)、4,4’−(p−キシリルジチオ)ビス(1−デシルピリジニウム塩)、4,4’−(p−キシリルジチオ)ビス(1−ドデシルピリジニウム塩)、4,4’−(p−キシリルジチオ)ビス(1−テトラデシルピリジニウム塩)、4,4’−(p−キシリルジチオ)ビス(1−ヘキサデシルピリジニウム塩)、4,4’−(p−キシリルジチオ)ビス(1−オクタデシルピリジニウム塩)などの4,4’−(p−キシリルジチオ)ビス((1−アルキル)ピリジニウム塩)、例えば、3,3’−(m−キシリルジチオ)ビス(1−テトラデシルピリジニウム塩)などの3,3’−(m−キシリルジチオ)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、N,N’−(p−フェニレン)ビス(4−カルバモイル−1−ヘキシルピリジニウム塩)、N,N’−(p−フェニレン)ビス(4−カルバモイル−1−オクチルピリジニウム塩)、N,N’−(p−フェニレン)ビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウム塩)、N,N’−(p−フェニレン)ビス(4−カルバモイル−1−ドデシルピリジニウム塩)、N,N’−(p−フェニレン)ビス(4−カルバモイル−1−テトラデシルピリジニウム塩)、N,N’−(p−フェニレン)ビス(4−カルバモイル−1−ヘキサデシルピリジニウム塩)、N,N’−(p−フェニレン)ビス(4−カルバモイル−1−オクタデシルピリジニウム塩)などのN,N’−(p−フェニレン)ビス(4−カルバモイル−1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、N,N’−(m−フェニレン)ビス(3−カルバモイル−1−ドデシルピリジニウム塩)などのN,N’−(m−フェニレン)ビス(3−カルバモイル−1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−ブチルピリジニウム塩)、4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−ペンチルピリジニウム塩)、4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−ヘキシルピリジニウム塩)、4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−ヘプチルピリジニウム塩)、4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−オクチルピリジニウム塩)、4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−デシルピリジニウム塩)、4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−ドデシルピリジニウム塩)、4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−テトラデシルピリジニウム塩)、4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−ヘキサデシルピリジニウム塩)、4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−オクタデシルピリジニウム塩)などの4,4’−(p−フタルアミド)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、3,3’−(m−フタルアミド)ビス(1−オクタデシルピリジニウム塩)などの3,3’−(m−フタルアミド)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、1,4−テトラメチレンビス(4−カルバモイル−1−ヘキサデシルピリジニウム塩)、1,6−ヘキサメチレンビス(3−カルバモイル−1−ドデシルピリジニウム塩)、1,6−オクタメチレンビス(3−カルバモイル−1−テトラデシルピリジニウム塩)、3,3’−(1,3−トリメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−ドデシルピリジニウム塩)などの(アルキレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、4,4’−(1,8−オクタメチレンジオキシ)ビス(1−ドデシルピリジニウム塩)、3,3’−(1,6−ヘキサメチレンジオキシ)ビス(1−ヘキサドデシルピリジニウム塩)などの(アルキレンジオキシ)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、4,4’−(1,6−ヘキサメチレンジオキシジカルボニル)ビス(1−オクチルピリジニウム塩)、3,3’−(1,6−テトラメチレンジオキシジカルボニル)ビス(1−ドデシルピリジニウム塩)などの(アルキレンジオキシジカルボニル)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、4,4’−(1,4−テトラメチレンジカルボニルジオキシ)ビス(1−オクチルピリジニウム塩)などの(アルキレンジカルボニルジオキシ)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、4,4’−(1,8−オクタメチレンジカルボニルジチオキシ)ビス(1−オクタデシルピリジニウム塩)などの(アルキレンジカルボニルジチオキシ)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、3,3’−(p−フタロイルジオキシ)ビス(1−デシルピリジニウム塩)、3,3’−(m−フタロイルジチオキシ)ビス(1−デシルピリジニウム塩)などの(フタロイルジチオキシ)ビス(1−アルキルピリジニウム塩)、例えば、1−オクチル−1’−(3−ヒドロキシトリメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−オクチル−1’−(6−ヒドロキシヘキサメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−オクチル−1’−(8−ヒドロキシオクタメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−オクチル−1’−(10−ヒドロキシデカメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−オクチル−1’−(12−ヒドロキシドデカメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−デシル−1’−(3−ヒドロキシトリメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−デシル−1’−(6−ヒドロキシヘキサメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−デシル−1’−(8−ヒドロキシオクタメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−デシル−1’−(10−ヒドロキシデカメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−デシル−1’−(12−ヒドロキシドデカメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−ドデシル−1’−(3−ヒドロキシトリメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−ドデシル−1’−(6−ヒドロキシヘキサメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−ドデシル−1’−(8−ヒドロキシオクタメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−ドデシル−1’−(10−ヒドロキシデカメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、1−ドデシル−1’−(12−ヒドロキシドデカメチレン)−4,4’−ジピリジニウム塩などの1−アルキル−1’−(12−ヒドロキシアルキレン)−4,4’−ジピリジニウム塩、例えば、1,1’−ジデシル−3,3’−[ブタン−1,4−ジイルビス(オキシメチレン)]ジピリジニウム塩などの1,1’−ジアルキル−3,3’−[アルキル−1,4−ジイルビス(オキシメチレン)]ジピリジニウム塩などが挙げられる。
なお、上記したビス四級アンモニウム化合物のピリジニウム塩としては、上記したZで示されるアニオンとの塩であれば特に制限されないが、例えば、ブロマイド(ピリジニウムブロマイド)、アイオダイド(ピリジニウムアイオダイド)、アセテート(ピリジニウムアセテート)などが挙げられる。
これらのうち、好ましくは、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムブロマイド)(ダイマー38、日本エンバイロケミカルズ社製)、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムアセテート)(フレッシュメイトDA5、日本エンバイロケミカルズ社製)、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウムブロマイド)(ダイマー136、イヌイ社製)、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウムアセテート)(ダイマー136A、イヌイ社製)、1,1’−ジデシル−3,3’−[ブタン−1,4−ジイルビス(オキシメチレン)]ジピリジニウム=ジブロミドが挙げられる。さらに好ましくは、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムアセテート)(フレッシュメイトDA5、日本エンバイロケミカルズ社製)が挙げられる。
これらビス四級アンモニウム化合物は、単独または2種以上併用することができる。
3. 粒子の製造方法
次に、上記した粒子を得る方法(つまり、粒子の製造方法)について、具体的に説明する。
3−1. 疎水性液調製工程
この方法では、まず、抗生物活性化合物と疎水性の重合性ビニルモノマーとから疎水性液を調製する(疎水性液調製工程)。
疎水性液調製工程では、抗生物活性化合物と重合性ビニルモノマーとを配合する。
抗生物活性化合物の重合性ビニルモノマーに対する配合割合は、質量基準(つまり、抗生物活性化合物の質量部/重合性ビニルモノマーの質量部)で、例えば、0.01以上、好ましくは、0.05以上、より好ましくは、0.1以上、さらに好ましくは、0.2以上、とりわけ好ましくは、0.3以上であり、また、例えば、1.5以下、好ましくは、1.0以下、より好ましくは、0.8以下、より好ましくは、0.6以下である。
そして、疎水性液は、常温固体状の抗生物活性化合物が重合性ビニルモノマーに溶解、または、常温液体状の抗生物活性化合物が重合性ビニルモノマーに相溶する疎水性溶液である。あるいは、疎水性液は、常温固体状の抗生物活性化合物が重合性ビニルモノマーに分散する疎水性スラリー、または、常温液体状の抗生物活性化合物が重合性ビニルモノマーに分散する疎水性分散液である。疎水性液は、好ましくは、疎水性溶液である。
また、疎水性液調製工程において、例えば、油溶性重合開始剤を重合性ビニルモノマーにさらに配合する。
油溶性重合開始剤としては、例えば、ジラウロイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキシドなどの油溶性有機過酸化物、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などの油溶性アゾ化合物などが挙げられる。好ましくは、油溶性有機過酸化物が挙げられる。
油溶性重合開始剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。
油溶性重合開始剤の配合割合は、重合性ビニルモノマー100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.1質量部以上であり、例えば、5質量部以下、好ましくは、3質量部以下である。
3−2. 水溶液調製工程
この方法では、別途、カチオン性化合物を含有する水溶液を調製する(水溶液調製工程)。
水溶液を調製するには、カチオン性化合物と水とを配合する。
カチオン性化合物がカチオン性抗生物活性化合物を含まない場合には、カチオン性界面活性剤を必須成分として水に配合し、一方、カチオン性化合物がカチオン性界面活性剤を含まない場合には、カチオン性抗生物活性化合物を必須成分として水に配合する。
カチオン性化合物の配合割合は、適宜設定される。具体的には、カチオン性化合物がカチオン性界面活性剤を含む場合には、カチオン性界面活性剤が、疎水性液100質量部に対して、例えば、0.0001質量部以上、好ましくは、0.001質量部以上、より好ましくは、0.01質量部以上、さらに好ましくは、0.1質量部以上、とりわけ好ましくは、1質量部以上であり、また、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下、より好ましくは、3質量部以下となるように、水に配合される。
カチオン性化合物がカチオン性抗生物活性化合物を含む場合には、カチオン性抗生物活性化合物が、疎水性液100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、1質量部以上、また、例えば、20質量部以下、好ましくは、10質量部以下となるように、水に配合される。
また、水溶液調製工程において、水に、分散剤および/または界面活性剤(カチオン性界面活性剤を除く)をさらに配合することもできる。好ましくは、分散剤を水に配合する。
分散剤は、重合中に、疎水性液の保護コロイドを形成して、重合安定性を向上させるために必要により配合され、具体的には、例えば、ポリエチレンイミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カチオン化澱粉、ポリアクリル酸およびそのナトリウム塩、スチレンマレイン酸コポリマーおよびそのナトリウム塩などの水溶性ポリマー、例えば、第三リン酸カルシウム、コロイダルシリカ、モンモリロナイト、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、金属酸化物(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム)などの無機分散剤などが挙げられる。分散剤のうち、好ましくは、ポリビニルアルコールが挙げられる。
ポリビニルアルコールは、乳濁液の保護コロイドを形成するために、水相に配合される分散剤であり、例えば、酢酸ビニルを主成分とするビニルモノマーを適宜の方法で重合して得られるポリ酢酸ビニル系重合体をけん化させることにより、得ることができる。
ポリビニルアルコールのけん化度は、例えば、70%以上、好ましくは、80%以上であり、また、例えば、99%以下、好ましくは、90%以下である。ポリビニルアルコールの平均重合度は、例えば、300以上、好ましくは、500以上であり、また、例えば、4000以下、好ましくは、2500以下である。ポリビニルアルコールは、4%水溶液の20℃における粘度が、例えば、3mPa・sec以上、好ましくは、5mPa・sec以上であり、また、例えば、100mPa・sec以下、好ましくは、50mPa・sec以下である。ポリビニルアルコールの粘度は、20℃において、その4%水溶液をB型粘度計を用いて測定することができる。
これら分散剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
分散剤は、疎水性液100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、1質量部以上、より好ましくは、3質量部以上であり、また、例えば、10質量部以下、好ましくは、8質量部以下となるように、水に配合する。
界面活性剤は、上記したカチオン性界面活性剤以外の界面活性剤であり、疎水性液を乳化する時に、生成する疎水性液粒子を安定化して、凝集・肥大化を制御するとともに、ミニエマルション重合中に、疎水性液からなるエマルション粒子の凝集を有効に防止して、重合安定性を向上させるために必要により配合される。界面活性剤として、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーなどのノニオン性界面活性剤などが挙げられる。
これら界面活性剤は、単独使用または2種以上併用することができる。
カチオン性化合物がカチオン性界面活性剤を含む場合には、界面活性剤およびカチオン性界面活性剤は、それらの総量が、疎水性液100質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.5質量部以上であり、また、例えば、10質量部以下、好ましくは、8質量部以下となるように、水に配合される。カチオン性化合物がカチオン性界面活性剤を含まない場合には、界面活性剤が、疎水性液100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上、好ましくは、1質量部以上であり、また、例えば、10質量部以下、好ましくは、8質量部以下となるように、水に配合される。
3−3. 乳化工程
その後、水溶液中で、疎水性液を乳化させる(乳化工程)。
具体的には、疎水性溶液を水溶液に配合し、それらに高い剪断力を与えることにより、疎水性溶液を水溶液中に乳化させて、疎水性溶液のミニエマルションを調製する。
ミニエマルションの調製では、例えば、ホモミキサー(ホモミクサー)、超音波ホモジナイザー、加圧式ホモジナイザー、マイルダー、多孔膜圧入乳化機などの乳化機が用いられ、好ましくは、ホモミキサーが用いられる。
攪拌条件は、適宜設定され、ホモミキサーを用いる場合には、その回転数を、例えば、6000rpm以上、好ましくは、8000rpm以上、さらに好ましくは、10000rpm以上に、例えば、30000rpm以下に設定する。
これによって、疎水性液は、水溶液中で、例えば、平均粒子径(メジアン径)が、例えば、1μm未満、好ましくは、750nm以下、より好ましくは、600nm、さらに好ましくは、500nm以下、とりわけ好ましくは、400nm以下に、また、例えば、50nm以上、好ましくは、100nm以上、より好ましくは、200nm以上のエマルション粒子を生成する。これによって、エマルション粒子が水に乳化されたミニエマルションが調製される。
3−4. 重合工程
次いで、重合性ビニルモノマーをミニエマルション重合させる(重合工程)。
重合性ビニルモノマーは、平均粒子径1μm未満のエマルション粒子として調製され、抗生物活性化合物がハイドロホーブとして作用して粒子の肥大化を抑えることから、かかる重合形態は、ミニエマルション重合となる。
ミニエマルション重合を実施するには、まず、ミニエマルションを、窒素気流下、撹拌しながら、例えば、30℃以上、好ましくは、40℃以上、さらに好ましくは、50℃以上で、また、例えば、100℃以下、好ましくは、90℃以下、より好ましくは、80℃以下に昇温する。
昇温中のミニエマルションでは、油溶性重合開始剤が熱分解することにより、ミニエマルション重合が開始する。
ミニエマルション重合の重合時間は、例えば、1時間以上、好ましくは、3時間以上、さらに好ましくは、4時間以上であり、また、例えば、10時間以下である。
粒子の平均粒子径(メジアン径)は、例えば、1μm未満、好ましくは、750nm以下、より好ましくは、600nm以下、さらに好ましくは、500nm以下、とりわけ好ましくは、400nm以下であり、また、例えば、50nm以上、好ましくは、100nm以上、より好ましくは、200nm以上である。
抗生物活性化合物を含む粒子の形状は、例えば、球形状である。
ミニエマルション重合によって、上記した粒子が乳濁された乳濁液が得られる。
そして、得られた乳濁液に、必要により、増粘剤、凍結防止剤、防腐剤、微生物増殖抑制剤、比重調節剤などの公知の添加剤を適宜配合する。
4. 粒子の使用
このようにして得られた粒子は、例えば、そのままの状態、つまり、乳濁液(乳濁剤)として用いる。
乳濁液における固形分濃度(粒子の濃度)は、例えば、1質量%以上、好ましくは、5質量%以上、より好ましくは、10質量%以上、さらに好ましくは、20質量%以上、とりわけ好ましくは、30質量%以上、最も好ましくは、40質量部%以上であり、また、例えば、50質量%以下、好ましくは、45質量%以下である。
乳濁液における抗生物活性化合物の濃度は、例えば、0.5質量%以上、好ましくは、1質量%以上であり、また、例えば、40質量%以下、好ましくは、25質量%以下である。
乳濁液の分散安定性を高めるために、前述のカチオン性化合物を後添加することもできる。
乳濁液におけるカチオン性化合物(上記した後添加されるカチオン性化合物を含む)の濃度は、例えば、0.01質量%以上、好ましくは、0.1質量%以上であり、また、例えば、15質量%以下、好ましくは、10質量%以下である。
粒子における抗生物活性化合物およびカチオン性抗生物活性化合物の濃度は、例えば、10質量%以上、好ましくは、20質量%以上であり、また、例えば、50質量%以下、好ましくは、40質量%以下である。
従って、この粒子は、各種の水性製品に適用することができ、例えば、屋内外の塗料、目地剤、シーリング剤、コーキング剤、セメント混和材、土壌処理剤、製紙工程における白水および内添バインダー、顔料分散液、印刷版用処理液、冷却用水、インキ、切削油、化粧用品、木材用などの加圧注入剤、不織布バイダー、捺染バインダー、紡糸油、そして、農薬、家庭用薬剤、工業薬品などを構成する殺虫剤・防虫剤・殺菌剤・防腐剤・防カビ剤・防藻剤・忌避剤・除草剤などに適用(あるいは配合)することができる。
とりわけ、この粒子は、酸性下で好適に使用される。具体的には、粒子を、塩酸含有液、硫酸含有液などの酸性液に配合する。酸性液(具体的には、塩酸含有液)におけるpHは、例えば、0以上、さらには、1以上であり、また、例えば、6以下、さらには、5以下である。
さらに、この粒子は、酸性下かつ高温下で好適に使用することもできる。pHは、上記した範囲であり、温度は、例えば、40℃以上、さらには、50℃以上、さらには、60℃以上であり、また、例えば、100℃以下である。
粒子は、これら工業製品に対する抗生物活性化合物およびカチオン性抗生物活性化合物の配合量が、例えば、0.001質量%以上、好ましくは、0.01質量%以上で、また、例えば、10質量%以下、好ましくは、5質量%以下となるように配合される。
5. 本実施形態の効果
そして、この粒子は、抗生物活性化合物と疎水性の重合性ビニルモノマーとから疎水性液を調製し、疎水性液を、カチオン性化合物の存在下、水中で乳化させ、重合性ビニルモノマーをミニエマルション重合させることにより得られる。そのため、粒子が、酸性下で使用されても、カチオン性化合物によって、分散安定性に優れるとともに、酸性下かつ高温下における着色を抑制することができる。
具体的には、粒子が、酸性下における乳濁液として調製された場合でも、粒子の分散の不安定化を抑制でき、つまり、凝集や沈殿の発生を抑制することができるとともに、高温の酸性による重合体の劣化に起因する黄変などの着色を抑制することができる。
6. 変形例
6−1.水溶性重合開始剤の使用
上記した実施形態では、疎水性液調製工程において、例えば、油溶性重合開始剤を疎水性の重合性ビニルモノマーに配合しているが、この工程に加えて、あるいは、この工程に代えて、水溶液調製工程において、水溶性重合開始剤を水に配合することもできる。
水溶性重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩二水和物などの水溶性アゾ化合物、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム(SPS)、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩化合物、例えば、過酸化水素などの水溶性無機過酸化物、例えば、tert−ブチルパーオキサイド、クメンパーオキサイドなどの水溶性有機過酸化物などが挙げられる。さらに、水溶性重合開始剤として、例えば、水溶性アゾ化合物を除く水溶性重合開始剤と、アスコルビン酸、次亜硫酸水素ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトルム、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム(ロンガリット)、二酸化チオ尿素、チオ硫酸ナトリウム、2価鉄塩、1価銅塩、アミン類などの水溶性還元剤とを組み合わせたレドックス系水溶性重合開始剤なども挙げられる。これら水溶性重合開始剤は、単独使用または併用することができる。上記の中で、とりわけ、塩酸塩や硫酸塩を形成する水溶性アゾ化合物は、重合開始剤であるとともに、粒子にカチオン性を付与する効果があるため、好適に使用される。
水溶性重合開始剤の配合割合は、水100質量部に対して、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.1質量部以上であり、例えば、5質量部以下、好ましくは、3質量部以下である。また、水溶性重合開始剤は、重合性ビニルモノマー100質量部に対して、例えば、0.01〜5質量部となるように、水に配合される。
6−2. カチオン性化合物の水溶液への配合
また、上記した実施形態では、カチオン性化合物を水溶液に配合しているが、例えば、疎水溶液に配合することもできる。これによって、カチオン性化合物の存在下で、乳化工程において、疎水性液を乳化させ、続いて、重合工程において、重合性ビニルモノマーをミニエマルション重合させることができる。
以下に示す実施例の数値は、上記の実施形態において記載される数値(すなわち、上限値または下限値)に代替することができる。
各実施例および各比較例で用いる原料または測定方法の詳細を次に記載する。
DIW:脱イオン水
PVA205:商品名、ポリビニルアルコール、けん化度:87.0〜89.0%、重合度:500、粘度(4%水溶液、20℃):5.0〜6.0mPa・sec、クラレ社製
ネオコールSW−C:商品名、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(アニオン系乳化剤)の70質量%イソプロパノール溶液、第一工業製薬社製
デモールNL:商品名、β−ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物ナトリウム塩、分散剤、花王ケミカル社製
コータミン86W:ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、有効成分または固形分28質量%、カチオン性界面活性剤、花王ケミカル社製
コータミン24P:ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、有効成分または固形分27質量%、カチオン性界面活性剤、花王ケミカル社製
コータミンD86P:ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、有効成分または固形分75質量%、カチオン性界面活性剤、花王ケミカル社製
コータミン60W:セチルトリメチルアンモニウムクロライド、有効成分または固形分30質量%、カチオン性界面活性剤、花王ケミカル社製
フレッシュメイトDA5:商品名、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムアセテート)(HMDP−Ac、カチオン性抗生物活性化合物)の5質量%水溶液、日本エンバイロケミカルズ社製
IPBC:商品名「ファンギトロール400」、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート、防かび剤、分子量281、融点:60℃、水への溶解度(20℃):150ppm、インターナショナル・スペシャリティ・プロダクツ社製
OIT:商品名「OIT−99」、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、防かび剤、分子量213、融点4℃、水への溶解度(25℃):500ppm、大連百傲化学有限公司社製
MBACT:商品名「DP−2159」、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、防藻剤、分子量253、融点130℃、水への溶解度(20℃):75ppm、日本曹達社製
プロピコナゾール:商品名「プロピコナゾール」、(2RS,4RS;2RS,4SR)−1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−n−プロピル−1,3−ジオキソラン−2−イルメチル]−1H−1,2,4−トリアゾール、殺菌剤、分子量342、融点180℃(0.013kPa)、水への溶解度(20℃):100ppm、丸善薬品産業社製
テブコナゾール:商品名「テブコナゾール」、(RS)−1−p−クロロフェニル−4,4−ジメチル−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イルメチル)ペンタン−3−オール、防かび剤、分子量307、融点105℃、水への溶解度(20℃):32ppm、丸善薬品産業社製
DCOIT:商品名「DCOIT−97」、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、防かび剤、分子量282、融点45℃、水への溶解度(20℃):3ppm、大連百傲化学有限公司社製
シフルトリン:商品名「CYFLUTHRIN」、[(R)−シアノ−[4−フルオロ−3−(フェノキシ)フェニル]メチル](1R,3R)−3−(2,2−ジクロロエテニル)−2,2−ジメチルシクロプロパン−1−カルボキシラート、分子量434、融点64〜106℃(異性体を含む混合物)、水への溶解度(20℃):0.002ppm、杭州尚仇化工有限公司社製
エトフェンプロックス:商品名「エトフェンプロックス」、2−(4−エトキシフェニル)−2−メチルプロピル−3−フェノキシベンジル−エーテル、分子量376、融点37℃、水への溶解度(20℃):0.02ppm、丸善薬品産業社製
BBIT:商品名「DENSIL DN」、n−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、抗菌防腐剤、分子量207、アーチ・ケミカルズ社製
MMA:メタクリル酸メチル、商品名「アクリエステルM」、水への溶解度:1.6質量%、三菱レイヨン社製
i−BMA:メタクリル酸i−ブチル、水への溶解度:0.06質量%、和光純薬社製
n−BA:アクリル酸n−ブチル、水への溶解度:0.14質量%、和光純薬社製
EA:アクリル酸エチル、水への溶解度:2質量%、和光純薬社製
Sty:スチレン、水への溶解度:0.03質量%、和光純薬社製
MAA:メタクリル酸、和光純薬社製
GMA:メタクリル酸グリシジル、商品名「ブレンマーG」(「ブレンマー」は登録商標)、水への溶解度:0.5〜1.0質量%、日油社製
ライトエステルEG:商品名、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、水への溶解度:5.37ppm、共栄社化学社製
パーロイルL:商品名(「パーロイル」は登録商標)、ジラウロイルパーオキシド、日油社製
NV:固形分濃度(質量%)
実施例1
(ミニエマルション重合による、IPBCを含有する粒子の製造)
200mLの容器に、IPBC40.00g、MMA120.00gおよびパーロイルL 0.80gを仕込み、室温で攪拌することにより、均一な疎水性溶液を調製した。
別途、1000mLのビーカーに、脱イオン水167.74g、PVA205(10%)水溶液64.00gおよびコータミン86W 7.46gを仕込み、室温で攪拌することにより、均一な水溶液を調製した。
次いで、1000mLビーカーの水溶液に、疎水性溶液を加え、T.K.ホモミクサーMARK2.5型(プライミクス社製)により回転数10000rpmで10分間攪拌することにより、疎水性溶液を水溶液中に乳化させて、ミニエマルションを調製した。
その後、調製したミニエマルションを、攪拌器、還流冷却器、温度計および窒素導入管を装備した500mLの4口フラスコに移し、窒素気流下、6cm径の攪拌器により回転数200rpm(周速37.7m/分)で攪拌しながら、4口フラスコをウォーターバスにより、昇温して、ミニエマルション重合を実施した。
ミニエマルション重合は、55℃到達時点を重合開始とし、その後、60±2℃で3時間、70±2℃で2時間、連続して実施した。
続いて、ウォーターバスを昇温して、反応液の温度を80±2℃に昇温し、その温度で2時間、熟成した。
その後、反応液を30℃以下に冷却することにより、IPBCを含有する粒子の乳濁液を得た。
その後、乳濁液を、100目の濾布で濾過した後、濾液中の粒子のメジアン径を測定したところ、その結果が285nmであった。
この乳濁液は、通常のポリマーラテックスと同様に安定したコロイド分散液であり、室温で貯蔵中に粒子の沈降や相分離の傾向は認められなかった。
実施例2〜34および比較例1〜3
表1〜表5に準拠して、各成分の配合処方および条件を変更した以外は、実施例1と同様に処理して、実施例2〜34および比較例1〜3の粒子の乳濁液をそれぞれ得た。
(評価)
1. 耐熱酸試験(沈殿および着色)
容量120mLのガラス瓶に0.1Nの塩酸100mLを取り、それに実施例1〜34および比較例1〜3のそれぞれの乳濁液1gを添加し、レシプロ振とう機で混合して、試料を調製した。
その後、この試料を80℃の恒温機に16時間静置した。
冷却後、凝集による沈殿および変色を観察し、下記の基準で試料を評価した。その結果を、表1〜表5に示す。
(1)凝集による沈殿
○:沈殿が観察されなかった。
△:わずかな沈殿が観察された。
×:沈殿が観察された。
(2)変色
○:着色(黄変)が観察されなかった。
△:わずかな着色(黄変)が観察された。
×:着色(黄変)が観察された。