JP6622157B2 - 水中非接触給電装置 - Google Patents
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Description
例えば海底で、長時間の潜水作業を行う場合、水中ロボットが使用されている。この種の水中ロボットとしては、図3の(1)図中に示した耐圧構造で自律遊泳移動型の海中無人探査機AUV1が、代表的である。
そして、AUV1への電力供給には、水中非接触給電装置(WPT)(Wireless Power Transfer)が用いられている。
すなわち、海底電源ベース2のバッテリーに充電,貯蔵された電力が、水中(海中)3において非接触でAUV1のバッテリーに供給されるが、このような海底電源ベース2とAUV1間の電力授受には、水中非接触給電装置が必要不可欠であり、必須的に用いられている。
ところで非接触給電装置としては、例えば電気自動車等にワイヤレス給電する陸上用(空中用)のものが、現在広く知られており、開発,実用化が進行している。
図3の(2)図は、AUV1用の従来の水中非接触給電装置4の説明に供する。この従来の水中非接触給電装置4は、上述した陸上用の一般的な非接触給電装置と同様、電磁誘導の相互誘導作用に基づく磁界結合方式(コイルによる磁界共鳴結合方式)により、送電側回路5の送電コイル6から、非接触で対向位置せしめられた受電側回路7の受電コイル8に、水中(海中)3において電力を供給する。
すなわち給電に際しては、海底電源ベース2側の送電側回路5において、送電コイル6が、高周波電源からの高周波交流を励磁電流として通電される。もって送電コイル6と、AUV1側の受電側回路7の受電コイル8間に、磁束の磁路が形成されて電磁結合され、もって受電側回路7のバッテリー9が給電,充電される。
そして、送電コイル6や受電コイル8は、それぞれ送電カプラー10や受電カプラー11の容器内に、収められていた。
図4は、従来の水中非接触給電装置4の送電カプラー10や受電カプラー11の断面説明図である。同図にも示したように、送電側回路5側の送電カプラー10内には、送電コイル6,フェライトコア12,均圧油13等が、収められていた。受電側回路7側の受電カプラー11内には、受電コイル8,フェライトコア14,均圧油13等が、収められていた。
そこで、従来の磁界結合方式の水中非接触給電装置4については、小型軽量化の要求に反する、という問題が指摘されていた。特に、受電カプラー11について、より一層の小型軽量化が要求されていた。
更に、絶縁油の均圧油13が、海底等の高水圧に耐えるべく、送電カプラー10や受電カプラー11の容器内ボイド空間15に充填,封入されていた。
すなわち、送電カプラー10や受電カプラー11は、可堯性ケースよりなり、水圧変化に伴い圧が均圧油13に伝達されて、内外圧が均圧化される構造よりなっていた。なお図中16はリード線、17はその収納ホースであり、図示例ではその内部にも均圧油13が充填,封入されている。
そこで従来の水中非接触給電装置4は、送電カプラー10や受電カプラー11について、重量が嵩み容積が大型化し、小型軽量化のニーズにマッチしない、という問題が指摘されていた。
特に、AUV1等の水中遊泳移動型ロボットについては、小型軽量化の要求が厳しく、その重量と浮量(浮力)がほぼ等しい中性浮力状態が、設計目標となっている。
もって、AUV1等に設けられる水中非接触給電装置4に関しても、受電カプラー11の小型軽量化の要求が厳しかった。又、水中電源ベース2側に関しても、これに準じ、送電カプラー10の小型軽量化の要求が厳しかった。
なお、前述した均圧化構造に関しては、特開2001−110380号公報,特開平11−16608号公報,特開昭49−85530号公報等を参照。
本発明の水中非接触給電装置は、このような実情に鑑み、上記従来技術の課題を解決すべくなされたものである。
そして本発明は、第1に、カプラーの小型軽量化が実現され、第2に、しかもこれが簡単容易に実現される、水中非接触給電装置を提案することを目的とする。
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、特許請求の範囲に記載したように、次のとおりである。
請求項1については、次のとおり。
請求項1の水中非接触給電装置は、送電側回路から受電側回路に、高周波電界結合に基づき非接触で電力を供給する。
そして、該送電側回路の送電電極と該受電側回路の受電電極とが、給電に際し、水ギャップを存し非接触で対応位置して、該水ギャップの水を誘電体として静電容量が形成される。
該送電側回路は水中電源ベース側に設けられ、該受電側回路は水中ロボット側に設けられており、該送電電極と該受電電極は、対応する板状をなし、給電に際し内外の関係で対応位置する。
該送電電極は、極薄の絶縁被膜付よりなり送電カプラーを形成し、該送電カプラーは、該水中電源ベースに対し別体か付設取付けされている。該送電電極以外の該送電側回路は、該水中電源ベース内に設けられており、もって、該送電カプラーが小型軽量化されている。
又、該受電電極は、極薄の絶縁被膜付よりなり受電カプラーを形成し、該受電カプラーは、該水中ロボットに対し別体か付設取付けされている。該受電電極以外の該受電側回路は、該水中ロボット内に設けられており、もって、該受電カプラーが小型軽量化されている。
そして該絶縁被膜は、膜厚が数10μm単位で、比誘電率が20以下の材料よりなる。水ギャップ間隔は、10mmから数10mm程度よりなる。
このように、比誘電率が20以下の該絶縁被膜の膜厚を、該水ギャップ間隔に対し極めて小さく設定した組み合わせにより、該水ギャップの水の高い比誘電率を生かした、該水と該絶縁被膜との合成静電容量が得られる。
もって、電界結合による電力供給量の増大機能が発揮されること、を特徴とする。
請求項2の水中非接触給電装置は、請求項1において、該送電側回路および該受電側回路は、少なくも一方に共振コイルが配されている。
そして給電に際して、該送電側回路および該受電側回路には、静電容量を形成する該送電電極および該受電電極と、該共振コイルとで、共振回路が形成される。
もって共振結合により、この面からも、電界結合による電力供給量の増大機能が発揮されること、を特徴とする。
本発明は、このような手段よりなるので、次のようになる。
(1)給電に際し、水中ロボットが水中電源ベースに対応停止され、水中ロボット側の受電カプラーが、水中電源ベース側の送電カプラーに、水ギャップを存し対応位置決めされる。
(2)従って送電電極と受電電極も、水ギャップを存し内外の関係で対応位置し、もって水ギャップの水を誘電体として、静電容量が形成される。
(3)そこで、水中電源ベース側の送電側回路から、水中ロボット側の受電側回路に、高周波電界結合に基づき、電力が供給される。
(4)そして、送電側回路および受電側回路は、少なくとも一方に共振コイルが配されており、もって、静電容量を形成され送電電極および受電電極との間で、共振回路が形成される。送電側回路の高周波電源の電源周波数は、共振回路の共振周波数と等しく揃えられる。
これらにより電界結合は、共振結合によって電力供給量増大が図られる。
(5)なお送電カプラーは、送電電極と、膜厚数10ミクロン単位の絶縁被膜とからなる。受電カプラーは、受電電極と、膜厚数10ミクロン単位の絶縁被膜とからなる。水ギャップ間隔は、10mmから数10mm程度よりなる。絶縁被膜の比誘電率は、20以下よりなる。
(6)もって、水ギャップの水の高い比誘電率を生かした合成静電容量が得られ、この面からも電力供給量が増大される。
(7)この水中非接触給電装置は、送電カプラーおよび受電カプラーが、上述したように、それぞれ極薄被膜付の電極よりなるので、大幅に小型軽量化される。
(8)そして、このような小型軽量化は、水中での電界結合方式を採用したことにより、簡単容易に実現される。
(9)そこで、本発明は次の効果を発揮する。
第1に、カプラーの小型軽量化が、実現される。
本発明の水中非接触給電装置は、水中において電界結合方式を採用したことにより、非接触で電力を供給する。
そこで、送電側回路側の送電カプラーが、絶縁被膜付の送電電極よりなり、受電側回路側の受電カプラーが、絶縁被膜付の受電電極よりなり、送電カプラーや受電カプラーが大きく小型軽量化される。その重量や容積が大幅に減少する。
すなわち、この種従来技術の非接触給電装置は、前述したように磁界結合方式を採用していたので、送電カプラーや受電カプラーが重く大型化し、重量や容積に問題が指摘されていたが、本発明によると、それぞれ1/5程度まで軽量化,小型化される。
もって、AUV等の水中ロボットの一層の小型軽量化に寄与でき、水中電源ベースの小型軽量化にも勿論寄与可能である。
第2に、しかもこのような小型軽量化は、簡単容易に実現される。
本発明の水中非接触給電装置は、電界結合方式を採用したことにより、送電カプラーが、絶縁被膜付の送電電極により構成され、受電カプラーが絶縁被膜付の受電電極により構成されている。このような簡単な構成により、前述した小型軽量化が容易に実現される。
前述した従来技術の磁界結合方式の非接触給電装置のカプラーのように、コイル,フェライト,均圧油,容器等にて構成されていたのに比し、構成が大幅に簡単容易化される。
このように、この種従来技術に存した課題がすべて解決される等、本発明の発揮する効果は、顕著にして大なるものがある。
《水中ロボット等について》
本発明の水中非接触給電装置18は、代表的には水中ロボットへの給電用に使用される。そこでまず、水中ロボット等について、図3の(1)図を参照して説明する。
強大な水圧のかかる深海、例えば水深1,000m更には水深3,000m程度の海中3で、調査,計測等の作業を行う水中ロボットとしては、耐圧構造のAUV1やROV19が代表的である。
AUV(Autonomous Underwater Vehicle)1は、海中3を通信制御により無軌道で移動,航行できる、自律遊泳移動型の海中無人探査機よりなる。
ROV(Remotely Operated Vehicle)19は、母船20とケーブル21でつながれており、ケーブル21を介し電力を受け通信制御されて、無軌道で移動する遠隔操作型の海中無人探査機よりなる。
海底電源ベース2は、AUV1へ電力を供給すべく海底に設けられた電源基地であり、母船20から例えばROV19を使って、そのバッテリー(図示せず)に電力が充電,貯蔵される。
もって、海底電源ベース2のバッテリーに貯蔵された電力が、AUV1のバッテリー(負荷)22(図1の(4)図等を参照)に供給される。このような海中3,海底23における、海底電源ベース2とAUV1間の電力授受に、水中非接触給電装置18が使用される。
水中ロボット等については、以上のとおり。
以下、本発明の水中非接触給電装置18について、図1,図2を参照して説明する。まず、本発明の概要については、次のとおり。
本発明の水中非接触給電装置18は、上述したように水中(海中)3において、送電側回路24から受電側回路25に、高周波電界結合に基づき非接触で電力を供給する。
すなわち、送電側回路24の送電電極26と受電側回路25の受電電極27とが、給電に際し水ギャップGを存し非接触で対応位置し、水ギャップGの水を誘電体として静電容量Cが形成される。
そして送電側回路24は水中電源ベース2側に設けられ、受電側回路25は、AUV1等の水中ロボット側に設けられる。送電電極26と受電電極27は、対応する板状をなし、給電に際し内外の関係で対応位置すると共に、送電電極26が送電カプラー28を形成し、受電電極27が受電カプラー29を形成する。
本発明の概要については、以上のとおり。以下、このような本発明について、更に詳述する。
《送電側回路24について》
まず、水中非接触給電装置18の1次側の送電側回路24については、次のとおり。送電側回路24は、水中(海底)電源ベース2(図3の(1)図も参照)側に設けられている。
送電側回路24の送電電極26は、送電カプラー28を形成し、送電カプラー28は、水中電源ベース2から離れた別体として設けられることもあるが、水中電源ベース2に付設取付けされることもある。送電側回路24は、このような送電カプラー28の送電電極26以外、水中電源ベース2内に設けられる(図1の(4)図,図2の(2)図等を参照)。
そして送電電極26は、高周波電源30に接続されている。高周波電源30は、バッテリーや高周波インバータ等を備え、例えば400kHz〜500kHz等、数100kHz程度の高周波交流を、図示例では絶縁トランス31を介し、送電電極26に向けて通電する。
送電側回路24については、以上のとおり。
水中非接触給電装置18の2次側の受電側回路25については、次のとおり。受電側回路25は、水中ロボットつまりAUV1(図3の(1)図も参照)側に設けられている。
受電側回路25の受電電極27は、受電カプラー29を形成し、AUV1に付設取付けされるが、離れた別体とすることも可能である。受電カプラー29の受電電極27以外の受電側回路25は、AUV1内に設けられる(図1の(4)図,図2の(2)図等を参照)。
そして受電電極27は、図示例では絶縁トランス32を介し、バッテリー(負荷)22に接続されている。すなわち、その出力はコンバータや平滑コンデンサ等を介し、直流変換されてバッテリー22に供給される。そして充電されたバッテリー22にて、必要に応じインバータを介しモータ等の所定負荷が駆動される。
受電側回路25については、以上のとおり。
共振回路については、次のとおり。この水中非接触給電装置18において、送電側回路24および受電側回路25は、少なくも一方に共振コイル33(34)が配されており、図示例では両方に共振コイル33,34が配されている。これと共に、送電側回路24の高周波電源30の電源周波数が、共振回路の共振周波数と等しく揃えられている。
そこで給電に際して、送電側回路24および受電側回路25には、静電容量を形成する送電電極26,受電電極27と共振コイル33,34とのループで、共振回路が形成され、もって共振結合による電力供給量の増大が図られている。
なお共振コイル33,34は、図示例では送電電極26や受電電極27に対し並列に設けられているが、直列に設けることも可能である。
そして、電界結合の共振周波数fは、下記数式1で表わされる。そこで高周波電源30の電源周波数をfに取ることにより、共振結合により、バッテリー22に高周波電流が流れ、給電が実施される。数式1中、C1,C2は静電容量(後述を参照)、L1,L2は共振コイル33,34のインダクタンスである。
共振回路については、以上のとおり。
送電カプラー28,受電カプラー29については、次のとおり。この水中非接触給電装置18の送電カプラー28は、送電電極26と、送電電極26の少なくとも表面を覆う絶縁被膜35と、を備えている。受電カプラー29は、受電電極27と、受電電極27の少なくとも表面を覆う絶縁被膜36と、を備えている。
送電電極26と受電電極27は、例えばアルミニウム合金よりなり、対応する板状をなし、給電に際し数mm単位以上の水ギャップGのギャップ間隔を介し、内外の関係で対応位置せしめられる。
図1の(2)図の受電電極27は、AUV1の胴体の曲面に沿って張付けられた曲面板状をなし、送電電極26も、対応する曲面板状をなす。図1の(3)図の送電電極26そして受電電極27は、対応する平板状をなす。
絶縁被膜35,36としては、膜厚が数10ミクロン単位よりなり、アルマイト等の陽極酸化被膜が用いられる。その比誘電率が20以下、代表的には10未満で、水より一桁以上小さい非導電性材料よりなる。
絶縁被膜35,36は、送電電極26や受電電極27を全体被覆するのが代表的であるが、これによらず、表面側の電極相互対向面つまり水ギャップG接触面(海水接触面)のみを被覆し、裏面側は被覆しないケースも可能である。例えばAUV1の胴体に、対応する曲面板状の受電電極27を、直接張り付けるようにすることも可能である。
陽極酸化被膜の絶縁被膜35,36は、水中非接触給電装置18が海中で使用される場合、漏電防止機能を発揮すると共に、送電電極26や受電電極27の防食機能も発揮するので、必須的に使用される。
送電カプラー28,受電カプラー29については、以上のとおり。
次に、電界結合について説明する。この水中非接触給電装置18では、給電に際し、送電側回路24の送電電極26と、受電側回路25の受電電極27が、水ギャップGを存し、対応位置する。
すなわち、送電カプラー28を形成する送電電極26と受電カプラー29を形成する受電電極27とは、絶縁被膜35,36を介在させつつ、例えば距離寸法10mmから数10mm程度の水ギャップGを介し、非接触で正対対応位置する。
そして、水ギャップGの水を誘電体として、静電容量Cつまりコンデンサが形成され、送電側回路24と受電側回路25が静電容量Cで結合される。
もって、送電側回路24から受電側回路25へと、高周波電界結合に基づき、非接触で電力が供給される。このように本発明では、比誘電率が20℃で80程度,0℃で88程度と極めて高い水を、誘電体とした電界結合により、給電が実施される。
ところで図示例では、送電電極26と受電電極27が2組用いられ、2組の静電容量C1,C2が形成されているが(図1の(4)図,図2の(2)図等を参照)、より多くの複数組の組合わせも可能である。更に、1組のみの組合わせも可能である。
電界結合その1については、以上のとおり。
次に、このような静電容量Cによって、実用的な電界結合を如何にして得るかについて、検討する。まず前提として、この水中非接触給電装置18では、前述したように比誘電率が通常の誘電材料より遥かに高い水を、誘電体として使うので、比較的大きな電気容量が得られ、電界結合による非接触給電が実現可能となっている。
さて図2の(1)図は、この水中非接触給電装置18の送電電極26,受電電極27,絶縁被膜35,36,水ギャップG等の関係モデル図である。そして、水ギャップGの水と絶縁被膜35,36との合成静電容量C0は、下記数式2で表わされる。
そして、この水中非接触給電装置18では、合成静電容量C0の値が大きいほど、大電力の給電が可能となる。そして上記数式2により、合成静電容量C0を大とするためにはd1<d2、つまり水ギャップGの所定ギャップ間隔d2に比し、絶縁被膜35,36の膜厚d1を極めて小さく設定,使用し、もってd2・ε1>2d1・ε2が成り立つようにすれば良い。
つまり、前記数式2において、分母第1項が分母第2項に比べ極めて大となる条件を満たせば、下記数式3の近似式が得られるようになる。つまり、この水中非接触給電装置18において、絶縁被膜35,36の合成静電容量C0への影響を無くし、水ギャップGの水の高い比誘電率のもとでの合成静電容量C0が、得られるようになる。
水ギャップGのギャップ間隔d2は10mm、水の比誘電率ε2を80とすると、前記数式2の分母第1項と分母第2項に比が100:5となり、前述したd2・ε1>2d1・ε2が成り立った。つまり、水ギャップGの水の高い比誘電率のもとでの合成静電容量C0が得られることが、裏付けられた。
電界結合その2については、以上のとおり。
この水中非接触給電装置18の実施例については、次のとおり。この実施例では、電界共振結合のもと、図2の(2)図の回路図により給電を実施した。
そして、バッテリー22に300Vで1,000Wの電力を給電すべく、送電電極26や受電電極27の電極面積を0.1m2とし、水ギャップGのギャップ間隔を10mmとし、周波数510kHzとした。もって、共振コイル33,34として共振インダクタンス13.75μHを用いると、送電電極26と受電電極27間の電圧が340V程度となり、約8Aの電極電流が流れた。
図示例では、巻き数比1:1の絶縁トランス31,32が設けられており、高周波電源30は、430V,3.4A程度の出力となった。これらにより、所期の通り300Vで1,000Wの給電が実現した。
実施例については、以上のとおり。
本発明の水中非接触給電装置18は、以上説明したように構成されている。そこで以下のようになる。
(1)給電に際し、水中ロボットのAUV1が、水中電源ベース2に対応停止される。
もって、AUV1側の受電カプラー29が、水中電源ベース2側の送電カプラー28に対し、水ギャップGを存し、正対して対応位置決めされる(図1の(1)図,(2)図,(3)図を参照)。
そして、送電側回路24および受電側回路25は、少なくとも一方に共振コイル33(34)が配されている。図示例では、双方に共振コイル33,34が配されている。
もって、静電容量Cを形成する送電電極26および受電電極27と、共振コイル33(34)とのループで、共振回路が形成される。送電側回路24の高周波電源30の電源周波数は、共振回路の共振周波数と等しく揃えられる(図1の(4)図,図2の(2)図を参照)。
電界結合は、このような共振結合により、電力供給量増大が図られている。
そして絶縁被膜35,36は、膜厚が数10ミクロン単位と極薄で、比誘電率が20以下よりなるのに対し、水ギャップGは、ギャップ間隔が10mmから数10mm程度よりなる(図2の(1)図を参照)。
すなわち、前述したこの種従来技術の磁界結合,共振結合方式の送電カプラー10や受電カプラー11の重量が7kg程度であったのに比し(図4を参照)、1〜2kgとほぼ電極重量程度であり、大幅に軽量化される。容積も、1/5以下程度に小型化される。
すなわち送電カプラー28は、送電電極26と絶縁被膜35のみから構成され、受電カプラー29も、受電電極27と絶縁被膜36のみから構成される等、簡単容易な構成よりなる。
本発明の作用等については、以上のとおり。
2 水中電源ベース(海底電源ベース)
3 水中(海中)
4 水中非接触給電装置(従来例)
5 送電側回路(従来例)
6 送電コイル(従来例)
7 受電側回路(従来例)
8 受電コイル(従来例)
9 バッテリー
10 送電カプラー(従来例)
11 受電カプラー(従来例)
12 フェライトコア
13 均圧油
14 フェライトコア
15 ボイド空間
16 リード線
17 ホース
18 水中非接触給電装置(本発明)
19 ROV
20 母船
21 ケーブル
22 バッテリー(負荷)
23 海底
24 送電側回路(本発明)
25 受電側回路(本発明)
26 送電電極
27 受電電極
28 送電カプラー(本発明)
29 受電カプラー(本発明)
30 高周波電源
31 絶縁トランス
32 絶縁トランス
33 共振コイル
34 共振コイル
35 絶縁被膜
36 絶縁被膜
C 静電容量
C1 静電容量
C2 静電容量
C0 合成静電容量
G 水ギャップ
Claims (2)
- 送電側回路から受電側回路に、高周波電界結合に基づき非接触で電力を供給する、水中非接触給電装置であって、
該送電側回路の送電電極と該受電側回路の受電電極とが、給電に際し水ギャップを存し非接触で対応位置し、該水ギャップの水を誘電体として静電容量が形成され、
該送電側回路は水中電源ベース側に設けられ、該受電側回路は水中ロボット側に設けられており、該送電電極と該受電電極は、対応する板状をなし、給電に際し内外の関係で対応位置し、
該送電電極は、極薄の絶縁被膜付よりなり送電カプラーを形成し、該送電カプラーは、該水中電源ベースに対し別体か付設取付けされており、該送電電極以外の該送電側回路は、該水中電源ベース内に設けられており、もって、該送電カプラーが小型軽量化されており、
該受電電極は、極薄の絶縁被膜付よりなり受電カプラーを形成し、該受電カプラーは、該水中ロボットに対し別体か付設取付けされており、該受電電極以外の該受電側回路は、該水中ロボット内に設けられており、もって、該受電カプラーが小型軽量化されており、
該絶縁被膜は、膜厚が数10μm単位で、比誘電率が20以下の材料よりなり、水ギャップ間隔は、10mmから数10mm程度よりなり、
このように、比誘電率が20以下の該絶縁被膜の膜厚を、該水ギャップ間隔に対し極めて小さく設定した組み合わせにより、該水ギャップの水の高い比誘電率を生かした、該水と該絶縁被膜との合成静電容量が得られ、もって、電界結合による電力供給量の増大機能が発揮されること、を特徴とする水中非接触給電装置。 - 請求項1において、該送電側回路および該受電側回路は、少なくも一方に共振コイルが配されており、
給電に際して、該送電側回路および該受電側回路には、静電容量を形成する該送電電極および該受電電極と、該共振コイルとで、共振回路が形成され、もって共振結合により、電界結合による電力供給量の増大機能が発揮されること、を特徴とする水中非接触給電装置。
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