JP6622049B2 - ガス濃度測定装置 - Google Patents
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Description
Ip’=Ip/g(T)
g(T)=b m T m +b m−1 T m−1 +・・・+b 1 T+b 0
(式中、Ip’は補正後の赤外線センサの出力、Ipは赤外線センサの出力、b m は赤外線センサの出力の補正式g(T)のm次の係数、Tは温度である。)
本実施形態のガス濃度測定装置は、発光層を有するPIN構造を含む光源と、活性層を有するPIN構造を含む赤外線センサと、測定対象ガスによる赤外線の吸収が生じる波長域の赤外線を透過する光学フィルタと、赤外線センサの温度、又は、赤外線センサの温度と相関する温度を測定し、温度情報として出力する温度測定部と、赤外線センサの出力及び前記温度情報が入力される演算部と、を備えたガス濃度測定装置であって、発光層はAlXIn1−XSb(0.000<X<0.045)であり、活性層はAlYIn1−YSb(0.000<Y<0.045)であり、演算部は、赤外線センサの出力を変数とするn次多項式(nは1以上の整数)である濃度算出式に、測定時の温度情報を適用して測定対象ガスの濃度を算出するガス濃度測定装置である。
また、本実施形態のガス濃度測定装置において、測定対象ガスが二酸化炭素であってもよい。本発明の光源及び赤外線センサは、二酸化炭素ガスの光吸収のピークである4.26μm付近での発光強度及び受光感度に優れるため、高いS/Nで二酸化炭素による吸収の影響を検知することができ、高精度にガス濃度を測定することが可能となる。
本実施形態に係るガス濃度測定装置における光源は、発光層を有するPIN構造を含み、発光層はAlXIn1−XSb(0.000<X<0.045)である。光源は、測定対象ガスによって吸収される波長を含む光を出力する。ここで、発光層のAlXIn1−XSbのAl組成Xは以下のように測定する。
発光層のAlXIn1−XSbのAl組成Xは、X線回折(XRD:X−ray Diffaction)法による2θ−ωスキャンを行うことにより測定することができる。
具体的には、基板の表面の面方位に対応する面の面指数の2θ−ωスキャンにおけるピーク位置から発光層のAlXIn1−XSbの格子定数を求めることができる。
ここで基板が所定の面方位に精度良く切断された基板(ジャスト基板)の場合には、上記のようにジャスト基板の面方位に対応する面の面指数の2θ−ωスキャンにおけるピーク位置から格子定数を求めることができる。
ここで発光層のAlXIn1−XSbの格子定数からAl組成Xを求める際には、Vegard則を用いて混晶組成比の決定することができる。Vegard則は具体的には以下の式(1)で表される。
ここで、光源の発光層のAl組成Xが0.000<X<0.045の範囲にあることで、二酸化炭素ガスの光吸収のピークである4.26μm付近に強い発光強度を有し、且つ同時に、簡易に測定ガスの濃度の温度補正が可能なガス濃度測定装置に好適な光源を得ることが可能となる。またここで、光源の発光層のAl組成Xの上限値としては、X≦0.0425が好ましく、X≦0.040がより好ましく、X≦0.025がさらに好ましい。またここで、光源の発光層のAl組成Xの下限値としては、0.005≦Xが好ましく、0.010≦Xがより好ましい。
これにより、二酸化炭素ガスの光吸収のピークである4.26μm付近に適した発光特性を持つ光源を実現することができる。光源のダイオードの構造はPINのみに限らず、キャリアの拡散防止及び/若しくはキャリアの閉じ込め効果を持たせるために、発光層よりバンドギャップの大きい層をさらに設けても良い。例えばP層/バリア層/I層/バリア層/N層という構造を持っても良い。この場合、センサ側のS/N比が向上されつつ、発光特性も改善され、システムのS/Nが向上・高精度のガス濃度測定装置が実現できるため、好ましい場合はある。
本実施形態に係るガス濃度測定装置における赤外線センサは、活性層を有するPIN構造を含み、活性層はAlYIn1−YSb(0.000<Y<0.045)である。赤外線センサは、受光した赤外線に応じた電気信号を出力する。ここで、活性層のAlYIn1−YSbのAl組成Yの測定方法は、光源における発光層のAlXIn1−XSbのAl組成Xの測定方法と同じ手法を用いる。
ここで、赤外線センサの活性層のAl組成が0.000<Y<0.045の範囲にあることで、二酸化炭素ガスの光吸収のピークである4.26μm付近に強い受光感度を有し、且つ同時に、簡易に測定ガスの濃度の温度補正が可能なガス濃度測定装置に好適な赤外線センサを得ることが可能となる。またここで、赤外線センサの活性層のAl組成Yの上限値としては、Y≦0.0425が好ましく、Y≦0.040がより好ましく、Y≦0.025がさらに好ましい。またここで、赤外線センサの活性層のAl組成Yの下限値としては、0.005≦Yが好ましく、0.010≦Yがより好ましい。
これにより、二酸化炭素ガスの光吸収のピークである4.26μm付近の検出に適した赤外線センサを実現することができる。赤外線センサのダイオードの構造はPINのみに限らず、キャリアの拡散防止及び/若しくはキャリアの閉じ込め効果を持たせるために、活性層よりバンドギャップの大きい層をさらに設けても良い。例えばP層/バリア層/I層/バリア層/N層という構造を持っても良い。この場合、センサ側のS/N比が向上されつつ、発光特性も改善され、システムのS/Nが向上・高精度のガス濃度測定装置が実現できるため、好ましい場合はある。
本実施形態に係るガス濃度測定装置において、光学フィルタは、測定対象ガスによる赤外線の吸収が生じる波長域の赤外線を透過するものである。光学フィルタは、異なる屈折率の材料の多層膜からなる干渉フィルタであってもよい。光学フィルタの具体的な例としては透明な基板上に、屈折率の異なる材料(例えば、Ge、ZnSe、ZnS、SiO2、等)を交互に積層した干渉構造が利用できる。波長によって、入射光が干渉現象によって、強めあったり、弱めあったりし、特定の光のみ強く反射させることができる。これらの積層構造は光学フィルタの基板の両面に形成しても良いし、片面でも良い。この基板の具体的な例としてはGaAsやSiやサファイアが挙げられる。干渉フィルタの具体的な例としては、透過率の高いSi基板の両面に、Ge及びZnSの薄膜を交互に、数周期〜数十周期を積層した干渉フィルタが挙げられる。このような構造を利用することによって、一部の波長のみ強く(例えば80%以上)の反射率が実現でき、その他の波長を透過するような構造が実現できる。
この光学フィルタ、光源及び赤外線センサを用いることで、赤外線センサの出力と濃度算出式の両方に対して温度補正をする必要がなく、従来と比べてより簡易に測定ガスの濃度の温度補正が可能かつ高精度なガス濃度測定装置の提供することができる。
本実施形態に係るガス濃度測定装置において、温度測定部は、赤外線センサの温度、又は、赤外線センサの温度と相関する温度を測定し、温度情報として出力する。温度測定部は赤外線センサの温度、又は、前記赤外線センサの温度と相関する温度を測定可能なものであれば特に限定されない。具体的には、サーミスタや白金抵抗体を利用することができる。
また、温度測定部が出力する温度情報は、温度計によって測定された温度情報であってもよい。温度計を用いることで、測定対象ガスの温度を直接測定することができる。赤外線センサの温度と測定対象ガスの温度は相関を持つと考えられるので、温度計の出力する温度情報から赤外線センサの温度を推定し、それにより測定ガスの濃度の温度補正が可能となる。
本実施形態に係るガス濃度測定装置における演算部は、赤外線センサの出力及び温度情報が入力され、赤外線センサの出力を変数とするn次多項式(nは1以上の整数)である濃度算出式に、測定時の温度情報を適用して測定対象ガスの濃度を算出するものである。演算部は、ガス濃度算出における演算が可能なものであれば特に制限されず、例えば、アナログIC、ディジタルIC及びCPU(Central Processing Unit)等が好適である。演算部には、光源を制御するための機能が含まれ、いわゆるアナログ回路及びディジタル回路の混載回路であっても構わない。
また、本実施形態に係るガス濃度測定装置における演算部は、温度情報に基づいて赤外線センサの出力を補正し、濃度算出式に、補正した赤外線センサの出力を代入することで測定対象ガスの濃度を算出してもよい。温度情報に基づいて赤外線センサの出力を補正することで、ガス濃度測定装置の周囲及び内部の温度変動による赤外線センサの出力への影響を低減させ、より高精度にガス濃度を算出することが可能となる。
本実施形態に係るガス濃度測定装置における濃度算出式は、下記式(2)を用いてもよい。
c(Ip,T)=an(Ip/g(T))n+an−1(Ip/g(T))n−1+・・・+a1(Ip/g(T))+a0
g(T)=bmTm+bm−1Tm−1+・・・+b1T+b0 ・・・式(2)
式中、cは測定対象ガスの濃度、Ipは赤外線センサの出力、anは濃度算出式のn次の係数、bmは赤外線センサの出力の補正式g(T)のm次の係数、Tは温度測定部の出力する温度情報である。
式(2)では、an(Ip/g(T))nを示したが、{Ip/g(T)}の項は{Ip×h(T)}でも、{Ip+k(T)でも、{Ip−w(T)}でも良い。ここで、h(T)、k(T)及びw(T)は、温度測定部の出力する温度情報Tを変数とする任意の関数を意味する。設計者は演算部の精度を考慮して、もっとも効率の良い(少ない)補正方法を選定することができる。
c’(Ip)=an(Ip)n+an−1(Ip)n−1+・・・・
+a1(Ip)+a0 ・・・式(3)
また、補正式のm次の係数bmは、複数の温度における赤外線センサの出力を用いて式(3)から算出された測定対象ガスの濃度と実際の測定対象ガスの濃度とのずれから求めることができる。ただし、このずれを求める際に測定対象ガスの濃度を変える必要はないため、従来と比べてより簡易に測定ガスの濃度の温度補正が可能となる。
本実施形態のガス濃度測定装置において、ガスセルは被検出ガスを導入することが可能なものであれば特に制限されない。すなわち、被検出ガスの導入口を有していれば良い。被検出ガスのリアルタイム検出の精度向上の観点から、前記導入口に加えて、導出口を備えていることが好ましい。ガスセルを構成する材料は特に制限されない。例えば、金属、ガラス、セラミックス、ステンレス等の材料が挙げられるがこの限りではない。検出感度向上の観点から、第1の光源から出力された光の吸収係数が小さく、反射率が高い材料であることが好ましい。具体的にはアルミニウムからなる金属筐体や、アルミニウム、金、銀含む合金、もしくはこれらの積層体のコーティングが施された樹脂筐体、が好ましい。信頼性・経時変化の観点から金または金を含む合金層でコーティングされた樹脂筐体が好ましい。
<実施形態>
図1は、本発明に係るガス濃度測定装置の実施形態を説明するための構成図である。
本実施形態のガス濃度測定装置は、ガスセル4と、ガスセル4中に配置される、発光層を有するPIN構造を含む光源1と、活性層を有するPIN構造を含み、光源1からの光を受光する赤外線センサ2と、測定対象ガスによる赤外線の吸収が生じる波長域の赤外線を透過する光学フィルタ3と、赤外線センサ2の温度、又は、赤外線センサ2の温度と相関する温度を測定し、温度情報として出力する温度測定部5と、赤外線センサ2からの出力が入力される演算部8(図2参照)と、を備えている。
光源1の発光層は、AlXIn1−XSb(0.000<X<0.045)であり、赤外線センサ2の活性層は、AlYIn1−YSb(0.000<Y<0.045)である。演算部8は、赤外線センサ2の出力を変数とするn次多項式である濃度算出式に、測定時の温度情報を適用して測定対象ガスの濃度を算出する。
光学フィルタ4の中心波長CWLは、4.2μm<CWL<4.4μmの関係を満たしている。
図2は、図1に示したガス濃度測定装置おける演算部を説明するための構成図である。図2に示すように、演算部8内には信号処理部6及び濃度算出部7を備えている。
赤外線センサ2から得られた信号Ip及び温度測定部5から得られた温度情報Tを元に、信号処理部6で補正式g(T)を用いて赤外線センサ2から得られた信号Ipを補正する。信号処理部6で得られたIp/g(T)を、濃度算出部7において濃度算出式に代入することで、検出対象ガスである二酸化炭素の濃度を算出する。
次に、本実施形態のガス濃度測定装置の各実施例について説明する。
濃度算出式において、演算部の処理能力や記憶能力等を考慮して濃度算出式(式(2))の次数m及びnをそれぞれ3次とした。また、この系の基準濃度算出式(式(3))の次数も同様に3次とし、二酸化炭素の濃度を固定した状態で温度を変えて、g(T)の係数を求めた。
図3は、実施例1におけるCO2濃度と誤差の関係を示す図である。
濃度3000ppmの二酸化炭素をガスセル中に充填した後、温度を0℃から50℃まで変えながら、赤外線センサの出力と温度計から得られた温度情報を元に濃度算出式から二酸化炭素濃度を算出した。その結果、算出された濃度と実際の濃度との最大誤差は100ppmであった。
濃度算出式において、演算部の処理能力や記憶能力等を考慮して濃度算出式(式(2))の次数m及びnをそれぞれ3次とした。また、この系の基準濃度算出式(式(3))の次数も同様に3次とし、二酸化炭素の濃度を固定した状態で温度を変えて、g(T)の係数を求めた。
図4は、実施例2におけるCO2濃度と誤差の関係を示す図である。
濃度3000ppmの二酸化炭素をガスセル中に充填した後、温度を0℃から50℃まで変えながら、赤外線センサの出力と温度計から得られた温度情報を元に濃度算出式から二酸化炭素濃度を算出した。その結果、算出された濃度と実際の濃度との最大誤差は107ppmであった。
濃度算出式において、演算部の処理能力や記憶能力等を考慮して濃度算出式(式(2))の次数m及びnをそれぞれ3次とした。また、この系の基準濃度算出式(式(3))の次数も同様に3次とし、二酸化炭素の濃度を固定した状態で温度を変えて、g(T)の係数を求めた。
図5は、実施例3におけるCO2濃度と誤差の関係を示す図である。
濃度3000ppmの二酸化炭素をガスセル中に充填した後、温度を0℃から50℃まで変えながら、赤外線センサの出力と温度計から得られた温度情報を元に濃度算出式から二酸化炭素濃度を算出した。その結果、算出された濃度と実際の濃度との最大誤差は133ppmであった。
光源及び赤外線センサとして、発光層及び活性層がAl0.045In0.955SbのPIN構造からなるダイオードを、光学フィルタとしてCWLが4.26μm(垂直入射に対しての中心波長)の光学フィルタを用意した。
図6は、比較例1におけるCO2濃度と誤差の関係を示す図である。
濃度算出式は実施例と同様に求めた。濃度3000ppmの二酸化炭素をガスセル中に充填した後、温度を0℃から50℃まで変えながら、赤外線センサの出力と温度計から得られた温度情報を元に濃度算出式から二酸化炭素濃度を算出した。その結果、算出された濃度と実際の濃度との最大誤差は450ppmであった。
光源及び赤外線センサとして、発光層及び活性層がAl0.050In0.950SbのPIN構造からなるダイオードを、光学フィルタとしてCWLが4.26μmの光学フィルタを用意した。
濃度算出式において、演算部の処理能力や記憶能力等を考慮して濃度算出式(式(2))の次数m及びnをそれぞれ3次とした。また、この系の基準濃度算出式(式(3))の次数も同様に3次とし、二酸化炭素の濃度を固定した状態で温度を変えて、g(T)の係数を求めた。
濃度3000ppmの二酸化炭素をガスセル中に充填した後、温度を0℃から50℃まで変えながら、赤外線センサの出力と温度計から得られた温度情報を元に濃度算出式から二酸化炭素濃度を算出した。その結果、算出された濃度と実際の濃度との最大誤差は338ppmであった。
図8は、上述した各実施例及び各比較例の結果を表にまとめた図である。
確かに本発明のAl組成の範囲内では、温度変化による誤差が小さく、高精度にガス濃度を算出できていることが分かる。
2 赤外線センサ
3 光学フィルタ
4 ガスセル
5 温度測定部
6 信号処理部
7 濃度算出部
8 演算部
Claims (5)
- 発光層を有するPIN構造を含む光源と、
活性層を有するPIN構造を含む赤外線センサと、
測定対象ガスによる赤外線の吸収が生じる波長域の赤外線を透過する光学フィルタと、
前記赤外線センサの温度、又は、前記赤外線センサの温度と相関する温度を測定し、温度情報として出力する温度測定部と、
前記赤外線センサの出力及び前記温度情報が入力される演算部と、
を備えたガス濃度測定装置であって、
前記発光層は、AlXIn1−XSb(0.000<X<0.045)であり、
前記活性層は、AlYIn1−YSb(0.000<Y<0.045)であり、
前記演算部は、前記赤外線センサの出力を前記温度情報に基づいて下記式(1)にて補正し、補正後の前記赤外線センサの出力をn次多項式(nは1以上の整数)である濃度算出式に代入することで前記測定対象ガスの濃度を算出するガス濃度測定装置。
Ip’=Ip/g(T)
g(T)=b m T m +b m−1 T m−1 +・・・+b 1 T+b 0 ・・・式(1)
(式中、Ip’は補正後の赤外線センサの出力、Ipは赤外線センサの出力、b m は赤外線センサの出力の補正式g(T)のm次の係数、Tは温度である。) - 前記濃度算出式が、下記式(2)である請求項1に記載のガス濃度測定装置。
c(Ip,T)=an(Ip/g(T))n+an−1(Ip/g(T))n−1+・・・+a1(Ip/g(T))+a0
g(T)=bmTm+bm−1Tm−1+・・・+b1T+b0 ・・・式(2)
(式中、cは測定対象ガスの濃度、Ipは赤外線センサの出力、anは濃度算出式のn次の係数、bmは赤外線センサの出力の補正式g(T)のm次の係数、Tは温度である。) - 前記測定対象ガスが二酸化炭素である請求項1または2に記載のガス濃度測定装置。
- 前記温度情報は、前記ガス濃度測定装置内に設置された温度計によって測定される、または、前記赤外線センサの抵抗値から算出される請求項1から3のいずれか一項に記載のガス濃度測定装置。
- 前記光学フィルタの中心波長CWLが、4.2μm<CWL<4.4μmの関係を満たす請求項1から4のいずれか一項に記載のガス濃度測定装置。
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