JP6620827B2 - 放射温度測定装置及び放射温度測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、測定対象物の表面温度を測定する放射温度測定装置及び放射温度測定方法に関する。
測定対象物の温度を測定するための技術には様々なものがある。そのうち放射温度測定技術は、測定対象物からの放射光を利用して測定対象物の表面温度を非接触で測定する技術であり、放射温度計として実用化されている。放射温度計は、光電変換素子と光学フィルタとを備え、所定の波長帯域における測定対象物の放射エネルギー値を測定し、測定した放射エネルギー値を温度に変換することによって、測定対象物の表面温度を測定する。測定対象物の放射エネルギー値は、理想的な黒体からの放射エネルギー値に測定対象物の放射率を乗じた値になるため、放射温度計を利用して測定対象物の表面温度を測定する際には、測定対象物の放射率の値が必要になる。このため、所定の波長の放射エネルギー値を測定する単色放射温度計では、測定対象物の放射率の値を予め測定しておき、予め測定した放射率の値を用いて測定対象物の表面温度を測定している。
一方、測定対象物が不透明物体である場合には、キルヒホッフの法則に基づいて反射率と放射率との和が1になる。このため、測定対象物の反射率を測定する技術を用いれば、測定対象物の反射率から測定対象物の放射率を求めて表面温度測定に用いることができる可能性が考えられる。具体的には、非特許文献1には、キルヒホッフの法則では、拡散性のある測定対象に対しては全方位に反射する全ての反射光を考慮する必要があることから、半球状に複数並べられた検出器をその半球の直径を軸として180°回転させることにより、測定対象物の表面に対してレーザ光源から斜めに入射し、測定対象物の表面で反射されたレーザ光を半球上の全成分に対して光検出器アレイで受光する技術が記載されている。また、特許文献1には、棒状放射源と走査型光検出器とを用いて反射光角度分布の一部を測定し、測定結果から求めた鏡面反射成分と推定した全方位角への完全拡散成分との総和から反射率を推定して放射率を求める技術が記載されている。
特開平10−185693号公報
JOURNAL OF RESEARCH, Vol.89, No.1, 1984
しかしながら、非特許文献1記載の技術では、測定データが膨大になり、膨大な測定データを処理する必要があるために、測定及び演算に時間がかかり、実用的ではない。また、測定装置と測定対象物の表面との間にリフトオフを取ることができないので、移動する測定対象物の表面温度をオンラインで測定する装置を実現することはできない。一方、特許文献1記載の技術では、全方位角の反射光の積分値を求めるために、放射源や受光器として広がりのある範囲をカバーできるものを用いる必要があり、装置が大規模になる。また、放射率を正確に測定するためには全方位角をカバーする装置が必要になるが、その場合、装置を測定対象物から離して測定することができないために、移動する測定対象物の表面温度をオンラインで測定する装置を実現することはできない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、移動する不透明な測定対象物の反射率を簡素な構成によりオンラインで精度よく測定して、それから得られる放射率を用いて測定対象物の表面温度を測定可能な放射温度測定装置及び放射温度測定方法を提供することにある。
本発明に係る放射温度測定装置は、測定対象物の表面に光を照射する光源と、前記光源のオン/オフを制御するオン・オフ制御回路と、受光レンズ系を介して前記測定対象物の表面からの光を受光する受光光学系と、前記受光光学系が受光した光を撮像する撮像装置と、前記光源をオンしたときに前記撮像装置によって撮像された画像から鏡面反射光を受光している画素を抽出し、抽出された画素の輝度値を用いて前記測定対象物の反射率を算出する反射率算出部と、前記反射率算出部によって算出された反射率から前記測定対象物の放射率を算出する放射率算出部と、前記光源をオフしたときに前記撮像装置によって撮像された画像と前記放射率算出部によって算出された放射率とから前記測定対象物の表面温度を算出する表面温度算出部と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る放射温度測定装置は、上記発明において、前記測定対象物に照射される光の光軸、前記受光光学系で受光される光の光軸、及び前記撮像装置の光軸が、同軸であり、且つ、前記測定対象物の表面の法線方向に対して平行であることを特徴とする。
本発明に係る放射温度測定装置は、上記発明において、前記受光光学系はテレセントリック光学系であることを特徴とする。
本発明に係る放射温度測定装置は、上記発明において、前記放射率算出部は、前記光源をオンしたときに前記撮像装置によって撮像された画像の輝度ヒストグラムを算出し、算出された輝度ヒストグラムを用いて輝度値が最大である画素を鏡面反射光を受光している画素として抽出することを特徴とする。
本発明に係る放射温度測定装置は、上記発明において、前記放射率算出部は、前記光源をオンしたときに前記撮像装置によって撮像された画像の輝度ヒストグラムを算出し、算出された輝度ヒストグラムを用いて輝度の大きい方から所定の割合の画素分の輝度の平均値を算出し、算出された平均値以上の輝度値を有する画素を鏡面反射光を受光している画素として抽出することを特徴とする。
本発明に係る放射温度測定方法は、測定対象物の表面に光を照射する光源と、前記光源のオン/オフを制御するオン・オフ制御回路と、受光レンズ系を介して前記測定対象物の表面からの光を受光する受光光学系と、前記受光光学系が受光した光を撮像する撮像装置と、を備える放射温度測定装置を用いた放射温度測定方法であって、前記光源をオンしたときに前記撮像装置によって撮像された画像から鏡面反射光を受光している画素を抽出し、抽出された画素の輝度値を用いて前記測定対象物の反射率を算出する反射率算出ステップと、前記反射率算出ステップにおいて算出された反射率から前記測定対象物の放射率を算出する放射率算出ステップと、前記光源をオフしたときに前記撮像装置によって撮像された画像と前記放射率算出ステップにおいて算出された放射率とから前記測定対象物の表面温度を算出する表面温度算出ステップと、を含むことを特徴とする。
本発明に係る放射温度測定方法は、上記発明において、前記放射温度測定装置における、前記測定対象物に照射される光の光軸、前記受光光学系で受光される光の光軸、及び前記撮像装置の光軸が、同軸であり、且つ、前記測定対象物の表面の法線方向に対して平行であることを特徴とする。
本発明に係る放射温度測定装置及び放射温度測定方法によれば、移動する不透明な測定対象物の反射率を簡素な構成によりオンラインで精度よく測定して、それから得られる放射率を用いて測定対象物の表面温度を測定することができる。
図1は、本発明の一実施形態である放射温度測定装置の構成を示す模式図である。 図2は、測定対象物の表面で生じる光学的反射のモデルを示す模式図である。 図3は、図1に示す放射温度測定装置の変形例の構成を示す模式図である。 図4は、測定対象物の表面温度を算出する際の放射温度測定装置の動作を説明するための模式図である。 図5は、測定対象物の反射率を算出する際の放射温度測定装置の動作を説明するための模式図である。 図6は、金属サンプルの構成を示す模式図である。 図7は、金属サンプルの表面温度の測定結果を示す図である。 図8は、黒体スプレーを基準として放射画像から算出した放射率と本発明により反射画像から算出した放射率との関係を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である放射温度測定装置の構成及びこの放射温度測定装置を用いた放射温度測定方法について説明する。
〔放射温度測定装置の構成〕
図1は、本発明の一実施形態である放射温度測定装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、本発明の一実施形態である放射温度測定装置1は、鋼板等の移動する不透明な測定対象物Sの反射率を測定することによって得られる測定対象物Sの放射率を用いて測定対象物Sの表面温度を測定する装置であり、光源2、受光光学系3、波長フィルタ4、撮像装置5、演算器6、及びコントローラー7を主な構成要素として備えている。
光源2は、コントローラー7からの制御信号に従って測定対象物Sに照射する入射光を生成する装置であり、例えばLED(Light Emitting Diode)光源によって構成されている。
受光光学系3は、受光レンズ系を介して測定対象物Sからの光を受光する光学系であり、測定対象物Sに照射される入射光の光軸、受光光学系3で受光される光の光軸、及び撮像装置5の光軸が、同軸、且つ、測定対象物Sの表面の法線方向に対して平行になるように配置されている。受光光学系3は、例えば同軸落射テレセントリックレンズによって構成されている。受光光学系3は、光ファイバー8を介して伝送された光源2からの入射光を測定対象物Sに入射すると共に、測定対象物Sからの光を撮像装置5に透過する。
波長フィルタ4は、測定対象物Sからの光のうち、測定対象物Sの想定温度に適した波長の光を選定して受光光学系3に入射させる機能を有している。
撮像装置5は、例えばCCDカメラ等によって構成され、受光光学系3を透過した光により測定対象物Sの表面の画像を例えば1画素μmオーダ程度に拡大して撮像し、撮像した画像のデータを演算器6に出力する。
演算器6は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置によって構成され、撮像装置5から出力された画像のデータに対して後述する画像処理を施すことによって測定対象物Sの表面温度を算出する。演算器6は、本発明に係る反射率算出部、放射率算出部、及び表面温度算出部として機能する。
コントローラー7は、光源2及び演算器6に制御信号を出力することによって光源2及び演算器6の動作を制御する回路である。
このような構成を有する放射温度測定装置1は、以下に示す放射温度測定方法により移動する不透明な測定対象物Sの表面温度をオンラインで測定する。以下、図2を参照して、本発明の一実施形態である放射温度測定方法を実行する際の放射温度測定装置1の動作について説明する。
なお、以下の説明において、測定対象物Sは、(1)表面温度の測定面に温度分布がない、(2)各微小平面の放射率は同一である、との条件を満足するものとする。また、本発明の発明者らは、(3)拡散性のある多くの表面も、ミクロに見れば、鏡面性を有する複数の微小平面によって構成されており、表面の拡散性は、微小平面の傾きにより生じていると考えられることに気づいた。このような測定対象物Sとしては、結晶粒からなる金属表面を例示することができる。
〔放射温度測定方法〕
図2は、測定対象物Sの表面で生じる光学的反射のモデルを示す模式図である。図2に示すように、測定対象物Sの表面は様々な向きを向いた複数の微小平面により構成されていると考えられる。そして、ミクロに見れば入射光は微小平面の一つ一つによって鏡面的に反射される。このとき、入射光の入射方向に対して垂直な微小平面からの反射光R1の伝播方向は測定対象物Sをマクロに見たときの正反射方向と一致するが、入射光の入射方向に対して傾いている微小平面からの反射光R2の伝播方向は測定対象物Sをマクロに見たときの正反射方向とは必ずしも一致しない。ここでは、前者の反射光R1を鏡面反射光R1、後者の反射光R2を鏡面拡散反射光R2と呼ぶことにする。
ここで、キルヒホッフの法則により、透過を考慮しなければ測定対象物Sの微小平面に入射する光線のエネルギーは微小平面において反射する光線のエネルギーと微小平面において吸収される光線のエネルギーとの和になる。また、微小平面に限ってみれば反射は鏡面反射又は鏡面拡散反射のみであるため、いずれの場合もその反射率と吸収率との和は1となる。従って、測定対象物Sの反射率を算出することができれば、1から算出された反射率を減算することによって測定対象物Sの吸収率、すなわち放射率を導出することができる。
このとき、測定対象物Sをマクロに見れば、図2に示す全ての方向に反射する光を考慮しなければならないが、図1に示した受光光学系3を介して観察することを考えると、光の入射方向に対して垂直な微小平面からの反射光をとらえることができれば、鏡面反射光R1のみを測定するだけでよいので、従来技術のように全方位の反射を全てとらえる必要はなく、一方向からの測定により測定対象物Sの反射率を算出することができる。
そのためには、測定対象物Sを拡大して観察し、鏡面反射を起こしている微小平面に対応する微小面素よりも1画素の分解能を小さくすること、光の入射方向と受光方向とを同一にすることが必要である。このため、本実施形態では、受光光学系3は、測定対象物Sに照射する入射光の光軸と受光光学系3で受光される光の光軸とが、同軸、且つ、測定対象物Sの表面の法線方向に対して平行になるように配置されている。また、撮像装置5は、温度計測のためにはダイナミックレンジが大きく、且つ、上記の分解能を満たす高解像度のものを選定することが重要である。また、移動体を測定するためには、露光時間や光源の発光時間を適切に設定できる必要がある。
本発明の一実施形態である放射温度測定方法では、基本的には、光源2を発光させていないときの画像(放射画像)と、光源2を発光させたときの画像(反射画像)を得る。光源2から照射される光線は、光ファイバー8により受光光学系3に伝送され、測定対象物S上に撮像装置5の光軸と同軸となるよう照射される。
撮像装置5によって撮像された画像のデータは演算器6に送信される。そして、演算器6は、反射画像から反射率及び放射率を計算し、放射画像と放射率とを用いて測定対象物Sの表面温度を算出する。反射率は、反射画像の輝度を予め反射率がわかっている測定対象物を測定したときの反射画像の輝度と比較することにより算出できる。具体的には、予め反射率がわかっている測定対象物の反射画像を1枚撮像しておき、比例計算により測定した反射画像の輝度から反射率を算出する、又は、予め反射率がわかっている2種類の測定対象物の反射画像を撮像しておき、測定した反射画像の輝度と2種類の反射画像の輝度とを比較して内挿又は外挿する形で反射率を算出する。
なお、測定対象物Sの反射率を算出するためには、放射光の影響を受けないように十分に強い光を測定対象物Sに入射することが望ましい。そして、放射光を測定する際には、十分に大きな信号強度が得られるよう、撮像装置5の露光時間を反射光の測定時に比べて長く設定する、又は、測定対象物Sの移動速度が遅く、ほぼ同じ視野で光源2を照射したときの画像と放射画像とを撮像できる場合には、両者の差分を画素毎に取ることによって反射画像を算出することもできる。
いずれの場合にも、光源2を照射したときに撮像された画像から鏡面反射光を受光している画素を抽出するためには、画像の輝度ヒストグラムを算出し、輝度ヒストグラムを用いて最大の輝度値を示す画素を鏡面反射光を受光している画素として抽出したり、輝度ヒストグラムを用いて輝度の高い方から所定の割合の画素を選択し、選択された画素の輝度の平均値を算出し、算出された平均値以上の輝度値を示す画素を鏡面反射光を受光している画像として抽出したりすることが考えられる。ここで、所定の割合とは、例えば、測定対象物Sの表面を統計的に見たときに光の入射方向に対して垂直な微小平面が存在する割合よりも小さい値にすることにより、確実に光の入射方向に対して垂直な微小平面からの情報を得ることができる。なお、画像の輝度ヒストグラムを算出した場合には、2つの画像の差分値を求める際、輝度ヒストグラムから決定した任意の輝度範囲の画像データ同士の差分値を求めるようにしてもよい。
このように構成することにより、測定対象物Sが搬送中の振動等により多少傾いた場合、すなわち、撮像装置5の光軸が測定対象物Sの表面の法線方向に対して厳密に平行にならない場合であっても、元々鏡面反射を起こす微小平面からの反射光は別の方向に反射されてしまうが、測定対象物Sの傾きにより、たまたま入射光に対して垂直の角度となった別の微小平面からの反射が鏡面反射と見なせるので、ある程度の対象の傾きには対応可能である。また、この場合、上記所定の割合については、測定対象物Sが傾いた状況において、光の入射方向に対して垂直な微小平面が存在する割合を考慮して設定しておく。
本考察を踏まえ、微小鏡面反射から放射率を算出して表面温度を測定するプロセスを説明する。測温対象物Sの表面の法線方向に対して、撮像装置5の光軸が平行となるように撮像装置5を設置する。厳密に撮像装置5の光軸が測定対象物Sの表面の法線方向に対して平行であり、且つ、測定対象物Sの表面がミクロな視点である程度平坦であれば、光源2を点灯させて照明光を照射した反射光の大部分が正反射となり、校正された撮像装置5で受光することによって鏡面反射率を測定することが可能となる。なお、図3(a)に示すように受光光学系3と投光光学系11とを別にしたり、図3(b)に示すように光路中に反射光学系12を挿入したりしてもよい。
放射温度測定装置1の動作を説明する。まず、光源2の電源を切り、放射光量のみ受光する場合について考察する。放射光の挙動を図4に示す。図4に示すように、測定対象物Sの表面から直接放射される光線R3が撮像装置5で受光される。ここで、測定対象物Sの温度値をT、放射率をε(X,Y)とし、温度Tの黒体放射を仮定した放射光量をL(T,X,Y)とすると、撮像装置5に入射する位置(X,Y)における放射光量L(T,X,Y)は以下に示す数式(1)で表すことができる。
Figure 0006620827
ここで、キルヒホッフの法則により微小平面における放射光と反射光の和が1となるため、微小平面における鏡面反射率をR(X,Y)とすると、以下に示す数式(2)が成立する。
Figure 0006620827
次に、光源2を点灯させその反射光を受光する場合について考察する。微小平面における反射光の挙動を図5に示す。図5に示すように、受光光学系3から照射された光線R4(入射光量Lin(X,Y))は、微小平面で正反射し、光線R4の光軸と全く同一の光軸で再び受光光学系3に入射し撮像装置5で受光される(光線R5)。また、測定対象物Sの表面から直接放射される光線R3が撮像装置5で受光される。このとき、撮像装置5に入射する光量Lr+eは以下に示す数式(3)で記述される。
Figure 0006620827
ここで、光源2の光量Lin(X,Y)が放射光量L(T,X,Y)より十分大きい場合、露光中に撮像装置5に入射する第2項の放射光量は無視でき、数式(3)は以下に示す数式(4)で記述される。
Figure 0006620827
ここで、入射光量Lin(X,Y)を反射率が既知の校正器で予め校正しておくことにより、鏡面反射率R(X,Y)を算出することが可能となる。校正は、予め反射率が既知の測定対象物の画像を1つ測定しておき、輝度の比例計算で鏡面反射率R(X,Y)を算出したり、2つの測定対象物の反射率を測定しておき、輝度の内挿・外挿で鏡面反射率R(X,Y)を計算したりすることもできる。
なお、数式(3)の第2項の放射光量が無視できない場合において、測定対象物Sの移動速度が十分遅い場合には、ほぼ同一視野の対応する2枚の画像の差分を用いて数式(3)から数式(1)を減じることにより数式(4)が得られる。また、測定対象物Sが高速に移動し、ほぼ同一視野の対応する2枚の画像が得られない場合には、輝度ヒストグラムから得られるデータを用いてもよい。すなわち、光源2を発光させたときの画像の輝度ヒストグラムの最大値が鏡面反射を起こす微小平面からの反射と考えられるので、その最大値と放射画像の輝度ヒストグラムから得られる値との差分を取る。放射輝度画像は、反射画像に比べて角度依存性が小さいので、輝度の平均値や中央値を用いればよい。その際、測定対象物S上の異物等の異常点は、輝度ヒストグラムの形から判断して除外しておく。
以上により、数式(1),(2),(4)を用いて黒体放射時の測定対象物Sの表面の放射光量L(T,X,Y)、従って放射光量L(T,X,Y)を算出でき、測定対象物Sの表面温度Tを求めることが可能となる。放射光量L(T,X,Y)と測定対象物Sの表面温度Tとの関係は、通常の放射温度計と同様、予め温度計を黒体炉で校正しておくことにより得られる。
なお、微小平面が測定対象物Sの表面の法線方向に対して大きく傾いているために、受光光学系3からの照射光が微小平面で正反射され、再び受光光学系3に入射しない場合も考えられる。この場合、上記考察によるモデルが成立せず、表面温度を正しく算出できない可能性がある。このため、このような場合には、輝度ヒストグラムを演算し、統計的にそのような小さい輝度値を除外して表面温度を算出するとよい。例えば反射画像分布や放射画像分布から輝度ヒストグラムが最大となる値を算出する、又は、単純に輝度の最大値を算出する、さらに小さい輝度値を異常値として除外する等といった方法が挙げられる。
さらに、実用上、受光光学系3の被写界深度が小さいことが多いために、測定対象物Sのばたつきを小さくすることが望ましい。また、ばたつきによる振動が受光光学系3の被写界深度より大きい場合には、測定対象物Sの画像を複数枚撮像し、画像のボケ度合を評価した上でピントが合っている画像のみを表面温度の測定に用いればよい。
以上をまとめると、本発明の一実施形態である放射温度測定方法では、まず、光の照射方向と受光方向とが同じである同軸落射によって光を照射可能、且つ、測定対象物Sのおおよその温度に適した波長を選定する波長フィルタ4を装着した受光光学系3と撮像装置5とにより測定対象物Sの画像を撮像する。このとき、測定対象物Sの表面の法線方向に対して撮像装置5の光軸が平行となるように撮像装置5を設置する。撮像装置5の光軸が測定対象物Sの表面の法線方向に対して厳密に平行、且つ、測定対象物Sの表面がミクロな視点である程度平坦であれば、光源2を点灯させて同軸落射光を照射した反射光の大部分が正反射となり、校正された撮像装置5で受光することによって鏡面反射率を測定することができる。従って、鏡面反射率から放射率を算出し、光源2の電源を切った状態で受光した放射光量と放射率とから測定対象物Sの表面温度を測定できる。鏡面反射率は撮像した画像の輝度の平均値や中央値等を用いて算出するとよい。
また、搬送中の測定対象物Sの表面温度を本発明により測定する場合において、振動等の影響によって撮像装置5の光軸が測定対象物Sの表面の法線方向に対して厳密に平行にならない場合には、光源2を点灯させた状態で測定対象物Sの画像を複数枚撮像し、撮像された画像の中で最も光量が高い画像を用いて画像処理を行うことが望ましい。これにより、撮像装置5の光軸が測定対象物Sの表面の法線方向に最も平行に近い条件で鏡面反射率を測定することが可能となる。
以下に本発明の実施例を示す。
本実施例では、表面性状が異なる部分を持つ金属サンプルをヒーターと接触させることによって表面温度を目標温度まで加熱することを考える。金属サンプルはヒーターで一様に加熱する。金属サンプル表面は鏡面部分と粗面部分を有し、鏡面部分と粗面部分とでは放射率が異なる。金属サンプルの大きさは、長さHを50mm、幅Wを25mm、厚さtを1.0mmとし、目標温度を440℃、410℃、390℃とし、ヒーターの出力を一定として定常状態となるまで加熱した。図6に示すように、鏡面部分PA及び粗面部分PBの両方に渡る直線D上の温度プロファイルを本発明の手法により算出した。また、比較のため、通常の放射率固定値の単色放射温度計を模擬し、放射率を粗面部分で測定した平均放射率(ε=0.943)を固定値として用いて全プロファイルの温度値を算出した。
金属サンプルの表面温度の測定結果を図7に示す。横軸に直線D上における温度測定位置dを0.1mmを単位として示し、縦軸に測定温度Tを℃を単位として示した。また、図6と図7における温度測定位置は、直線D上に対してPA側の点dが起点、PAとPBの境界となる点dが通過点、PB側の点dが終点となる。金属サンプルの熱伝導性が高いため表面温度は均一となるはずであるが、図7に示すように、放射率を固定値(0.943)として鏡面部分及び粗面部分の両方の表面温度を算出した場合、鏡面部分の放射率が本来の値より小さい影響を受けて、鏡面部分の表面温度が粗面部分の表面温度と比較して低くなった。これに対して、本発明により鏡面部分及び粗面部分の各位置における放射率を補正して表面温度(放射率補正温度E2)を算出した場合には、放射率の変動に関わらず表面温度は一定となり、放射率変動の影響を受けずに表面温度を測定可能であることが確認できた。なお、ある程度表面の均一性が担保されるのであれば、本発明は固定された金属サンプルだけでなく、通板中のラインにも適用可能である。
また、溶けた亜鉛が鋼板表面に付着して固まった溶融亜鉛鍍金サンプルを加熱し、(a)表面亜鉛の溶融前、(b)表面亜鉛の溶融後、及び(c)溶融亜鉛と鉄の合金化反応完了後のそれぞれの状態について、本発明により反射画像から放射率を算出した結果を図8に示す。図8の縦軸は、放射率のわかっている黒体スプレーが塗布された表面部分との輝度差により計算した放射率(黒体スプレーを基準として放射画像から算出した放射率)である。図8に示すように、本発明により反射画像から算出した放射率と黒体スプレーを基準として放射画像から算出した放射率とがよい一致を示している。これにより、製鉄プロセスの中で放射率が大きく変化するプロセスである亜鉛と鉄の合金化反応に対しても本発明を適用できることが確認された。
以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
1 放射温度測定装置
2 光源
3 受光光学系
4 波長フィルタ
5 撮像装置
6 演算器
7 コントローラー
8 光ファイバー
11 投光光学系
12 反射光学系
S 測定対象物

Claims (7)

  1. 測定対象物の表面に光を照射する光源と、
    前記光源のオン/オフを制御するオン・オフ制御回路と、
    受光レンズ系を介して前記測定対象物の表面からの光を受光する受光光学系と、
    前記受光光学系が受光した光を撮像する撮像装置と、
    前記光源をオンしたときに前記撮像装置によって撮像された画像から鏡面反射光を受光している画素を抽出し、抽出された画素の輝度値を用いて前記測定対象物の反射率を算出する反射率算出部と、
    前記反射率算出部によって算出された反射率から前記測定対象物の放射率を算出する放射率算出部と、
    前記光源をオフしたときに前記撮像装置によって撮像された画像と前記放射率算出部によって算出された放射率とから前記測定対象物の表面温度を算出する表面温度算出部と、
    を備えることを特徴とする放射温度測定装置。
  2. 前記測定対象物に照射される光の光軸、前記受光光学系で受光される光の光軸、及び前記撮像装置の光軸が、同軸であり、且つ、前記測定対象物の表面の法線方向に対して平行であることを特徴とする請求項1に記載の放射温度測定装置。
  3. 前記受光光学系はテレセントリック光学系であることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射温度測定装置。
  4. 前記放射率算出部は、前記光源をオンしたときに前記撮像装置によって撮像された画像の輝度ヒストグラムを算出し、算出された輝度ヒストグラムを用いて輝度値が最大である画素を鏡面反射光を受光している画素として抽出することを特徴とする請求項1〜3のうち、いずれか1項に記載の放射温度測定装置。
  5. 前記放射率算出部は、前記光源をオンしたときに前記撮像装置によって撮像された画像の輝度ヒストグラムを算出し、算出された輝度ヒストグラムを用いて輝度の大きい方から所定の割合の画素分の輝度の平均値を算出し、算出された平均値以上の輝度値を有する画素を鏡面反射光を受光している画素として抽出することを特徴とする請求項1〜3のうち、いずれか1項に記載の放射温度測定装置。
  6. 測定対象物の表面に光を照射する光源と、前記光源のオン/オフを制御するオン・オフ制御回路と、受光レンズ系を介して前記測定対象物の表面からの光を受光する受光光学系と、前記受光光学系が受光した光を撮像する撮像装置と、を備える放射温度測定装置を用いた放射温度測定方法であって、
    前記光源をオンしたときに前記撮像装置によって撮像された画像から鏡面反射光を受光している画素を抽出し、抽出された画素の輝度値を用いて前記測定対象物の反射率を算出する反射率算出ステップと、
    前記反射率算出ステップにおいて算出された反射率から前記測定対象物の放射率を算出する放射率算出ステップと、
    前記光源をオフしたときに前記撮像装置によって撮像された画像と前記放射率算出ステップにおいて算出された放射率とから前記測定対象物の表面温度を算出する表面温度算出ステップと、
    を含むことを特徴とする放射温度測定方法。
  7. 前記放射温度測定装置における、前記測定対象物に照射される光の光軸、前記受光光学系で受光される光の光軸、及び前記撮像装置の光軸が、同軸であり、且つ、前記測定対象物の表面の法線方向に対して平行であることを特徴とする請求項6に記載の放射温度測定方法。
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