JP6619791B2 - 型枠設計装置、型枠製造方法、コンクリート成形品製造方法、型枠設計システム、及び型枠設計方法 - Google Patents

型枠設計装置、型枠製造方法、コンクリート成形品製造方法、型枠設計システム、及び型枠設計方法 Download PDF

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Description

本発明は、特に、コンクリート成形品の型枠設計装置、型枠、コンクリート成形品、型枠設計システム、及び型枠設計方法に関する。
従来、コンクリート二次製品(プレキャストコンクリート)等であるコンクリート成形品の一例として、箱形で連結可能な「ボックスカルバート」が当業者に知られている。ボックスカルバートは、下水や雨水を流す管路(管渠)、道路、歩道、貯水槽、防火水槽、共同溝、雨水浸透溝等、様々な用途に使用されている。
ボックスカルバートは、工場において製造管理を行って製造されるため、品質が安定している。また、ボックスカルバートを用いて建設を行うことで、コンクリートを現場で形成するのに比べて工期の短縮が可能となる。
これらのボックスカルバートを含むコンクリート成形品の型枠は鋼鉄製が主流であり、その組み立てに溶接を用いていた。そのため、溶接にかかる手間や溶接熱による変形などが生じ、製作に多大な時間が必要となっていた。
ここで、特許文献1を参照すると、3次元造形物を造形する3Dプリンターによって、対象造形物の少なくとも一部の外枠に対応する形状を有する外枠部であって、中空空間部を囲繞する外枠部を造形する外枠部造形工程と、前記外枠部造形工程において造形した外枠部を補強する補強工程と、を含む造形物の構築方法が記載されている。
特許文献1の造形物の構築方法は、材料及び形態の観点において意匠上の制約を減ずることが可能であり、また、施工時間を短縮することが可能であり、さらに、3次元造形装置の処理負荷を低減させることが可能である。
特開2015−186851号公報
しかしながら、この特許文献1の造形物の構築方法は、型枠を用いて製造するボックスカルバート等のコンクリート成形品には適用できなかった。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上述の問題を解消し、コンクリート成形品に3Dプリンターによる造形を適用可能な型枠設計装置を提供することを目的とする。
本発明の型枠設計装置は、コンクリート成形品の型枠の設計データを取得する設計データ取得部と、前記設計データ取得部により取得された前記設計データから、ユーザーの指示情報に対応して、3Dプリンター用に出力する部分の部分データを作成する部分データ作成部と、前記部分データ作成部により作成された前記部分データを、前記3Dプリンター用の出力データに変換する出力データ変換部とを備え、前記出力データ変換部は、前記コンクリート成形品の成形の際に、コンクリートが前記型枠から漏れるのを防ぐように、前記部分データのコンクリート成形面のポリゴン間の隙間を埋め、前記コンクリート形成面の継ぎ目部分を減少させる処理を行ってから、前記出力データに変換することを特徴とする。
本発明の型枠設計装置は、前記コンクリート成形品は、ボックスカルバートであり、前記部分データ作成部は、前記ボックスカルバートがカーブに沿って連結される際の配置に係る前記指示情報に対応して、前記ボックスカルバートを片斜に成形するための斜め切り部材の前記部分データを作成することを特徴とする。
本発明の型枠設計装置は、前記コンクリート成形品は、ボックスカルバートであり、前記部分データ作成部は、前記ボックスカルバートのコーナー部分の前記部分データ、及び/又は、前記ボックスカルバートの面の一部に係る前記部分データを作成することを特徴とする。
本発明の型枠設計装置は、前記コンクリート成形品は、ボックスカルバートであり、前記部分データ作成部は、前記ボックスカルバートの面に孔を形成するための前記部分データを作成することを特徴とする。
本発明の型枠設計装置は、前記出力データ変換部は、面の凹凸を滑らかに変換することを特徴とする。
本発明の型枠設計装置は、前記出力データ変換部により変換された前記出力データを、前記3Dプリンターに出力する出力部を更に備えることを特徴とする。
本発明の型枠製造方法は、前記型枠設計装置により作成された出力データにより型枠を出力して製造することを特徴とする。
本発明のコンクリート成形品製造方法は、前記型枠によりコンクリート成形品を製造することを特徴とする。
本発明の型枠設計システムは、コンクリート成形品の型枠を設計する型枠設計装置と、該型枠設計装置により出力された出力データから前記コンクリート成形品の型枠を作成する3Dプリンターとを含む型枠設計システムであって、前記型枠設計装置は、前記コンクリート成形品の型枠の設計データを取得する設計データ取得部と、前記設計データ取得部により取得された前記設計データから、ユーザーの指示情報に対応して、3Dプリンター用に出力する部分の部分データを作成する部分データ作成部と、前記部分データ作成部により作成された前記部分データを、前記3Dプリンター用の出力データに変換する出力データ変換部と、前記出力データ変換部により変換された前記出力データを、前記3Dプリンターに出力する出力部とを備え、前記出力データ変換部は、前記コンクリート成形品の成形の際に、コンクリートが前記型枠から漏れるのを防ぐように、前記部分データのコンクリート成形面のポリゴン間の隙間を埋め、前記コンクリート形成面の継ぎ目部分を減少させる処理を行ってから、前記出力データに変換することを特徴とする。
本発明の型枠設計方法は、コンクリート成形品の型枠を設計する型枠設計装置により実行される型枠設計方法であって、前記型枠設計装置は、コンクリート成形品の型枠の設計データを取得し、取得された前記設計データから、ユーザーの指示情報に対応して、3Dプリンター用に出力する部分の部分データを作成し、作成された前記部分データを、前記コンクリート成形品の成形の際に、コンクリートが前記型枠から漏れるのを防ぐように、前記部分データのコンクリート成形面のポリゴン間の隙間を埋め、前記コンクリート形成面の継ぎ目部分を減少させる処理を行ってから、前記出力データに変換することを特徴とする。
本発明によれば、コンクリート形成品の型枠の設計データを取得し、3Dプリンター用に出力する部分の部分データを作成し、作成された部分データを、3Dプリンター用の出力データに変換することで、型枠を用いて製造するボックスカルバート等のコンクリート成形品についても3Dプリンターでの造形を適用することが可能な型枠設計装置を提供できる。
本発明の実施の形態に係る型枠設計システムのシステム構成図である。 図1に示す型枠設計システムの制御構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係る型枠設計出力処理のフローチャートである。 図3に示す設計データ取得処理の概念図である。 図3に示す斜め切り部材作成処理におけるボックスカルバートの配置の概念図である。 図5に示す各ボックスカルバートの概略図である。 図6に示す斜め切り部材の概略斜視図である。 図3に示す面コーナー部材作成処理におけるコーナー部分部材及び面部分部材の概略正面図である。 図3に示す孔部材作成処理における孔部材の概略側面図である。
<実施の形態>
〔型枠設計システムXのシステム構成〕
まず、図1により、本発明の実施の形態に係る型枠設計システムXのシステム構成の説明を行う。本実施形態の型枠設計システムXは、コンクリート成形品の型枠を設計するシステムである。また、枠設計システムXは、当該コンクリート形成品の型枠の部分を製造することも可能である。本実施形態においては、このコンクリート成形品として、主にボックスカルバートを用いる例について説明する。
型枠設計システムXは、型枠設計装置1がネットワーク2を介して3Dプリンター3へ接続されて構成されている。
型枠設計装置1は、コンクリート成形品の型枠を設計するための制御演算手段と記録媒体とを備えた情報処理装置である。型枠設計装置1は、例えば、携帯型又は据え置き型のPC(Personal Computer)、FC(Factory Computer)、ワークステーション、サーバー、スマートフォンやタブレット端末のような携帯端末等であってもよい。
ネットワーク2は、一般的なネットワークである。ネットワーク2は、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、近距離ネットワーク、携帯電話網等である。ネットワーク2は、各種有線又は無線接続のネットワークであってもよい。この無線接続は、例えば、一般的な無線LANやブルートゥース(登録商標)等であってもよい。
3Dプリンター3は、出力データ220(図2)を基に3Dプリントで造形を行う各種方式の3Dプリンターである。3Dプリンター3として、例えば、FDM(Fused Deposition Modeling)方式、光造形方式、インクジェット方式、粉末焼結方式等の各種造形方式の装置を用いることが可能である。また、3Dプリンター3にて3Dプリントの造形に用いられる原料としては、当該プリンターの3Dプリントの造形方式に対応した、ABS樹脂、PLA樹脂、紫外線硬化樹脂等の各種樹脂、石膏や澱粉粉末、金属粉末、セメント等の各種の素材を用いることが可能である。
(型枠設計装置1の構成)
また、型枠設計装置1は、制御部10、画像処理部11、記憶部12、入力部13、表示部14、及びネットワーク接続部15を備えている。各部は共通のバスで接続されても、更に各部の間で専用のバスで接続されてもよい。
制御部10は、型枠設計装置1の全体を制御する制御演算部である。制御部10は、例えば、一般的なCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等であってもよい。
画像処理部11は、画像処理等を実行する制御演算部である。画像処理部11は、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等であってもよい。また、画像処理部11は、Open GL規格等の各種三次元データの各種レンダリング、シェーダー(Shader)演算等を高速に実行可能であってもよい。また、画像処理部11は、レイトレーシング(Ray Tracing)法やラジオシティ(Radiosity)法等の演算を支援するアクセレレーターとして機能してもよい。また、画像処理部11は、構造や強度計算等の物理演算の支援機能を備えていてもよい。また、画像処理部11は、ポリゴンの分割や法線の演算等の支援機能を備えていてもよい。
記憶部12は、各種データが格納される一時的でない記録媒体である。記憶部12は、例えば、各種RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、eMMC(embedded Multi Media Card)、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)、光学記録媒体等である。ここで、記憶部12のRAM等の高速にアクセスされる記録媒体に関しては、制御部10と直接接続されていてもよい。
入力部13は、型枠設計装置1のユーザーが各種指示を行うための機器である。入力部13は、例えば、キーボード、マウス、タッチパッド、タッチパネル、デジタイザー、3Dマウス、ステレオカメラ等である。
表示部14は、型枠設計装置1の各種データを表示する機器である。表示部14は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Organic EL)若しくはOLED(Organic light-emitting diode)ディスプレイ等の各種ディスプレイであってもよい。
なお、入力部13と表示部14とは、一体となったタッチパネルとして構成されていてもよい。
ネットワーク接続部15は、ネットワーク2を介して3Dプリンター3と接続するための、例えば、無線LAN、有線LAN、携帯電話ダイヤルアップ接続等に係るインターフェイスである。
〔型枠設計システムXの制御構成〕
次に、図2により、本発明の実施の形態に係る型枠設計システムXの制御構成について説明する。
型枠設計装置1の制御部10は、設計データ取得部100、部分データ作成部110、出力データ変換部120、及び出力部130を備えている。
また、型枠設計装置1の記憶部12は、設計データ200、部分データ210、及び出力データ220を格納する。
設計データ取得部100は、コンクリート成形品の型枠の設計データ200を取得する。
設計データ取得部100は、ユーザーの指示により、例えば、ネットワーク2を介した他の情報処理装置、各種フラッシュメモリーや光学記録媒体等の外部記録媒体から、設計データ200を取得する。また、設計データ取得部100は、この際に、設計データ200を、型枠設計に適した形式に変換してもよい。
部分データ作成部110は、設計データ取得部100により取得された設計データ200から、ユーザーの指示情報に対応して、3Dプリンター用に出力する部分の部分データ210を作成する。具体的には、部分データ作成部110は、設計データ200の配置データに対応して、斜め切り部材の部分データ210を作成してもよい。また、部分データ作成部110は、コーナー部分部材の部分データ210、及び/又は、面部分部材の部分データ210を作成してもよい。また、部分データ作成部110は、孔部分部材の部分データ210を作成してもよい。
また、部分データ作成部110は、例えば、GUI(Graphical User Interface)を用いて、対話的に、ユーザーの指示情報を取得してもよい。この指示情報は、コンクリート成形品の配置データを指示の情報であってもよい。また、この指示情報は、ボックスカルバートがカーブに沿って連結される際の配置に係る指示の情報であってもよい。また、この指示情報は、各種文字や立体造形の指示の情報であってもよい。また、この指示情報は、面に孔を形成するための孔の位置や大きさや造形を示す指示の情報であってもよい。
出力データ変換部120は、部分データ作成部110により作成された部分データ210を3Dプリンター用の出力データ220に変換する。この際、出力データ変換部120は、コンクリート成形品に適した出力データ220に変換する。
具体的には、出力データ変換部120は、例えば、部分データ210を特定単位に分割し、分割された設計データ200毎に出力データ220に変換してもよい。この特定単位は、例えば、3Dプリンターで出力可能なサイズであってもよい。
また、出力データ変換部120は、例えば、コンクリート成形品の成形の際の漏れを防ぐように、部分データ210の隙間を埋め、面の継ぎ目部分を減少させる処理を行ってから、出力データ220に変換してもよい。
また、出力データ変換部120は、例えば、コンクリート成形品が成型される面の凹凸を滑らかに変換してもよい。
出力部130は、出力データ変換部120により変換された出力データ220を、3Dプリンターに出力する。この際、出力部130は、例えば、ネットワーク2を介して、出力データ220を、造形出力する3Dプリンターに送信する。
設計データ200は、コンクリート成形品の型枠の設計用のデータである。具体的には、設計データ200は、コンクリート成形品の種類として、ボックスカルバートの型枠であってもよい。また、設計データ200は、例えば、型枠のCAD(Computer-Aided Design)データであってもよい。このCADデータは、例えば、「.DXF」「.dwg」「.stl」形式のファイル等のポリゴン(多角形)の立体座標と面座標等を含む3Dデータであってもよい。
また、設計データ200は、コンクリート形成品の配置データ、及び、下記で説明する部分データ210の種類を示すデータ等を含んでいてもよい。また、この配置データは、ボックスカルバートがカーブ(曲線)に沿って連結される際の配置に係るユーザーの指示情報を含んでいてもよい。この配置に係るユーザーの指示情報は、個数、カーブの接線となる直線(中心線)等であってもよい。また、設計データ200は、部分データ210の設計データ200上の位置、嵩上げ材や保持部材等のデータも含んでいてもよい。
部分データ210は、設計データ200のうち、3Dプリンター3で造形する部分のデータである。部分データ210は、例えば、斜め切り部材、コーナー部分部材、面部分部材、又は孔部分部材の立体座標と面座標等を含む3Dデータであってもよい。ここで、斜め切り部材は、ボックスカルバートを片斜に成形するため、型枠の底面側又はコンクリートの投入側から挿入される部材である。また、コーナー部分部材は、ボックスカルバートのコーナー部分に対応して、鋼製の型枠に保持される部材である。また、面部分部材は、ボックスカルバートの面の一部に係る面部分に対応して、鋼製の型枠等に保持される部材である。この面部分部材は、各種文字や立体造形を含んでいてもよい。また、孔部分部材は、ボックスカルバートの面に孔部を形成するための孔部分に対応する部材である。この孔部分は、管渠の点検のための人孔等に対応し、円形だけではなく、マンホールの受け枠に合わせた形状等に造形する必要がある。
また、設計データ200は、これらの部分データ210の種類に対応したパラメータ、画像データ等を含んでいてもよい。このパラメータや画像データは、斜め切り部材の角度、コーナー部分部材の造形、面部分部材や孔部分部材の造形のデータであってもよい。この造形のデータは、例えば、大きさや深さや形状等を指定するデータであってもよい。また、この造形のデータは、各種画像データを含んでいてもよい。この画像データは、例えば、グレースケールのビットマップデータやベクトルデータや3Dポリゴンのデータ等であってもよい。このうち、ビットマップデータは、各ピクセルのグレースケールの濃度が、3Dプリンター3の造形時の高さ等の凹凸に対応していてもよい。また、この画像データは、ビットマップデータ以外文字データを含んでいてもよい。この文字データは、文字の大きさやフォント等の属性データを含んでいてもよい。
出力データ220は、3Dプリンター3で出力可能なSTL(Standard Triangulated Language)データ等であってもよい。また、3Dプリンター3の制御用のコマンド列やツールパスデータやスライス(断面、Slice)データ(以下、単に「スライスデータ」という。)等であってもよい。
ここで、型枠設計装置1の制御部10は、記憶部12に格納されたOS(Operating System)上でインストールされた3Dプリンター3のデバイスドライバーとアプリケーションプログラム等の制御プログラムを実行することで、設計データ取得部100、部分データ作成部110、出力データ変換部120、及び出力部130として機能させることが可能である。
〔型枠設計システムXによる型枠設計出力処理〕
次に、図3〜5により、本発明の実施の形態に係る型枠設計システムXによる型枠設計方法を実現し、型枠を設計して出力する型枠設計出力処理の詳細について説明する。
本実施形態の型枠設計出力処理では、一般的なコンクリート成形品の規格に沿った設計データ200を取得して、これをアプリケーションのGUIによりユーザーの指示情報に対応した部分データ210を作成し、これを3Dプリンター3用の出力データ220に変換する。出力された出力データ220は、3Dプリンター3で立体造形される。
また、本実施形態の型枠設計出力処理は、主に型枠設計装置1の制御部10及び画像処理部11が、記憶部12に記憶された制御プログラムを実行することで実現することができる。
以下で、図3のフローチャートを参照して、ステップ毎に、本実施形態の型枠設計出力処理の詳細について説明する。
(ステップS101)
まず、設計データ取得部100が、設計データ取得処理を行う。
ここでは、ユーザーが型枠設計装置1のアプリケーションを起動し、入力部13により設計データ200の読み込みを指定する。すると、設計データ取得部100が、設計データ200を取得する。この際、設計データ取得部100は、ユーザーの指定された場所にあるファイル等の設計データ200を読み込み、記憶部12に格納する。
図4(a)〜(e)は、設計データ取得部100により、型枠の設計データ200が描画された例を示す。
また、設計データ取得部100は、設計データ200のファイル形式を、コンクリート成形品の型枠設計に適した形式に変換してもよい。具体的には、設計データ取得部100は、例えば、CADデータ等から、各部品を指定してツリー形式に分類し、各部品のポリゴンを独自形式のデータに変換してもよい。この際、設計データ取得部100は、面と面の間で法線の向きが逆になっていたり、隙間があったりした不完全なデータの箇所が存在した場合、適切に補完してもよい。
(ステップS102)
次に、アプリケーションのGUIにおける「部分データを作成」等のユーザーの指示が入力部13で取得された場合、部分データ作成部110が、部分データ210の種類を選択させる。具体的には、部分データ作成部110は、例えば、読み込まれた設計データ200を画像処理部11により3Dレンダリングして表示部14に表示させる。また、部分データ作成部110は、部分データ210の種類と作成箇所をユーザーに指示させ、指示情報を取得する。部分データ作成部110は、この指示情報に含まれる部分データ210の選択により、各部分データ210の処理に分岐する。ここでは、斜め切り部材、コーナー部分、面部分、又は孔部分の部分データ210を作成する各処理のいずれかに分岐する。
(ステップS103)
斜め切り部材を作成する場合、部分データ作成部110が、斜め切り部材作成処理を行う。
まず、部分データ作成部110は、ボックスカルバートがカーブに沿って連結される際の配置に係る指示情報を取得する。具体的には、部分データ作成部110は、ボックスカルバートがカーブに沿って連結される際の配置に係る指示情報をGUIにて入力部13でユーザーに指示させる。この指示情報は、ボックスカルバートの個数、配置する中心線の位置(座標)等であってもよい。また、この指示情報において、カーブの角度Rを指示することも可能である。
また、部分データ作成部110は、この指示情報を、設計データ200の配置データに設定し、この配置の状態を表示部14に表示させてユーザーに確認させる。この上で、部分データ作成部110は、斜め切り部材の部分データ210を作成し、記憶部12に格納する。上述したように、斜切り部材の片斜の角度は一定ではないため、部分データ作成部110は、設計データ200の配置データの設定に対応して、複数の角度の斜め切り部材の部分データ210を作成可能である。
その後、部分データ作成部110は、処理をステップS106に進める。
ここで、図5〜図7の具体例により、斜め切り部材作成処理における配置データ及び斜め切り部材の例について説明する。
図5の平面図は、2000(内高)×2000(内幅)×2000(長さ)mmのボックスカルバートBを連結し、端部からの中心線A1、A2に対して、カーブして敷設する場合の配置を示す例である。この例では、角度Rで斜めに配置が必要な箇所の長さは9.6mとなる。また、この例では、片斜に成型されたボックスカルバートC1〜C4を用いることで、このカーブに沿った配置を行う。具体的に、この例では、部分データ作成部110は、ボックスカルバートC2〜C3の間の一箇所は8度40分、それ以外の四か所は34度40分となるような片斜のものを二対合わせて敷設するよう、配置データに設定する。
図6により、図5に示したボックスカルバートBと、片斜のボックスカルバートC1の外観について説明する。
図6(a)は、この状態で製造される際のボックスカルバートBの側面図である。また、図6(b)は、ボックスカルバートC1の側面図である。これらの図では、ボックスカルバートの製造時の状態を示し、型枠のコンクリートの投入側が上、底面側が下であるように図示している。これは、各ボックスカルバートが製造される際には、印籠型のような受け挿しのある継手部を上下にして、型枠及び鉄筋(図示せず)が固定され、コンクリートが投入されるためである。つまり、図5の配置図の各ボックスカルバートは、実際には、図5の描画例に対して90度傾けられた状態で製造される。
図6(c)は、製造後にボックスカルバートBが配置される際の正面図である。この図では、ボックスカルバートBの下に、敷きモルタルDと、基礎コンクリートEとを図示している。
また、図6(b)に戻り説明すると、部分データ作成部110は、片斜のボックスカルバートC1を製造する場合の斜め切り部材の部分データ211を作成する。
具体的には、部分データ作成部110は、通常の型枠内に挿入され、投入されたコンクリートが斜めになるように底上げするための斜め切り部材の部分データ211を作成する。また、この斜め切り部材の下部には、鋼製等の嵩上げ材Fが載置される。また、部分データ作成部110は、この嵩上げ材Fについて、設計データ200に付加、設定してもよい。
図7は、図6(b)に示した斜め切り部材の部分データ211が、半透明の射影図で描画された例を示している。
この斜切り部材は、継手部211aと、ベース部211bとを含んで構成されている。この継手部211aがある斜め切り部材を用いることで、印籠型のような受け挿しのあるボックスカルバートを容易に製造することが可能となる。
(ステップS104)
コーナー部分及び/又は面部分を作成する場合、部分データ作成部110が、面コーナー部材作成処理を行う。
部分データ作成部110は、ボックスカルバートのコーナー部分が指示情報で指示されると、曲面加工か、特定の造形を行うのかについても、ユーザーに指示させる。また、部分データ作成部110は、この曲面加工の半径や造形等についても、ユーザーに指示させる。この造形についての指示は、画像データの入力の指示等であってもよい。
また、部分データ作成部110は、ボックスカルバートの面部分が指示されると、この面部分の位置と、大きさや深さや形状等と、各種文字や立体造形に対応する画像データとの入力について、ユーザーに指示させる。
この上で、部分データ作成部110は、これらのユーザーの指示情報に対応して、コーナー部分部材の部分データ212、及び/又は、面部分部材の部分データ213を作成する。部分データ作成部110は、この指示された箇所の設計データ200の座標を取得し、ポリゴンを作成したり分割等したりして、指示情報に対応した部分データ210を作成する。また、部分データ作成部110は、このコーナー部分部材及び/又は、面部分部材を鋼製の型枠等に保持させるための保持部材について、設計データ200に付加、設定してもよい。
その後、部分データ作成部110は、処理をステップS106に進める。
図8により、コーナー部分部材の部分データ212及び面部分部材の部分データ213について説明する。図8は、図4(e)のうち、ボックスカルバートの内部にあたる箇所の型枠である「中子」の側面図を表示部14に表示させ、一部を部分データ210で置き換えた画面例を示している。
具体的には、図8において、部分データ作成部110は、例えば、指示情報で示された半径のコーナー部分部材の部分データ212を作成する。ここでは、部分データ212は、四隅に配置されている。
また、部分データ作成部110は、例えば、ユーザーにより指定された文字や模様等を含む面部分部材の部分データ213を作成する。ここでは、部分データ213は、鋼製型枠202のコンクリートと接触する面に配置されている。
なお、図8には図示されていないものの、鋼製型枠202には、コーナー部分部材及び面部分部材を保持する保持部材がそれぞれ付加されていてもよい。
また、この図の例だけではなく、ユーザーは、コーナー部分部材及び面部分部材において、任意の文字や模様を指定し、これの大きさや形状等を指定することが可能である。すなわち、文字の場合、フォント、サイズ、立体の深さや高さ、形状や曲面の変形等を指定可能である。また、模様の場合、ビットマップデータや3Dのデータ等を指定可能である。部分データ作成部110は、これらの指示に基づいて、適切なポリゴンのデータに変換して、部分データ210を作成する。
(ステップS105)
孔部分を作成する場合、部分データ作成部110が、孔部材作成処理を行う。
部分データ作成部110は、孔部分を造形するための孔部材の位置と形状についての指示情報を、ユーザーに指示させる。この場合の指示情報は、円形の場合は直径、マンホールの受け枠に合わせた形状の場合は画像データ等の入力を指示させてもよい。
この上で、部分データ作成部110は、このユーザーの指示情報に対応して、孔部分部材の部分データ210を作成する。
その後、部分データ作成部110は、処理をステップS106に進める。
図9は、この孔部材の部分データ214を示す。この側面図では、ボックスカルバートBに孔部の孔部分部材の部分データ214を設けた例である。
なお、ここでも図示されていないものの、鋼製型枠に保持する保持部材が付加されていてもよい。
(ステップS106)
ここで、出力データ変換部120が、出力データ変換処理を行う。
たとえば、アプリケーションのGUIで、ユーザーが入力部13を用いた「出力データに変換」の指示を行う等する。出力データ変換部120は、この指示を取得する。すると、出力データ変換部120は、部分データ210を、例えば、3Dプリンター3用の出力データ220に変換する。
この際、出力データ変換部120は、3Dプリンター3で出力可能な特定単位の大きさに、出力データ220を分割してもよい。
また、出力データ変換部120は、設計データ200に部分データ210を付加した際の強度計算や構造計算を行ってもよい。これにより、出力データ変換部120は、コンクリートの成型の際に型崩れしない強度を保つように調整された単位で出力データ220を出力することが可能となる。
また、例えば、出力データ変換部120は、出力された部材が破損や変形しにくいような強度になるように出力データ220を分割してもよい。この際、出力データ変換部120は、元の設計時と出力時とで想定される強度が異なっている場合、この強度の差に合わせて出力データ220を変換してもよい。具体的には、設計データ200が従来の鋼鉄製の型枠の設計データであるものの、3Dプリンター3の造形の原料が樹脂等の部材が含まれる場合、出力データ変換部120は、これに合わせて強度を増やすように変換してもよい。この際、例えば、出力データ変換部120は、出力データ220の応力が大きい箇所のポリゴンを厚くしたり、分割の単位を増やして組み合わせで強度を高めたりしてもよい。また、ユーザーにより指定されたコンクリート成形品の成型の方式により、出力データ220の分割の単位を変更したり、想定する強度等を変更したりしてもよい。
また、出力データ変換部120は、例えば、部分データ210の隙間を埋め、面の継ぎ目部分を減少させる処理を行ってから、出力データ220に変換してもよい。この際、出力データ変換部120は、例えば、部分データ210のポリゴンをSTLデータに変換する場合に、充実で隙間ができにくいように、特にコンクリート成形面のポリゴンを二重化したり厚くしたりしてもよい。また、出力データ変換部120は、スライスデータを作成する場合に、各面で素材の出力される向きを直交させたり、隙間を塞ぐように3Dプリンター3の造形が進行するようなコマンドを付加したり、一面毎に僅かにずらしたりしてもよい。これにより、コンクリート成形品の製造の際の漏れを防ぐことが可能となる。
逆に、出力データ変換部120は、部分データ210のポリゴンの内部を空間にした上で、内部に梁のような構造を作成して、出力された型枠が変形しにくく強度が高まるような出力データ220に変換してもよい。
また、出力データ変換部120は、例えば、コンクリート成形品が成型される面の凹凸を滑らかに変換してもよい。
具体的には、コンクリートが成型される面にあるポリゴン間の角度が特定角度よりもなだらかでなかった場合、部分データ210のポリゴンを分割して、なだらかにしてもよい。また、カーブや文字や模様のポリゴンの面と面の間が鋭角であった場合、部分データ210を分割して滑らかにしてもよい。これにより、コンクリート成形品を成型後に剥離させやすくなる。
また、出力データ変換部120は、設計データ200自体にも、上述の変更を行ってもよい。出力データ変換部120は、この変更を、嵩上げ材や保持部材等に対応して行ってもよい。
(ステップS107)
次に、出力部130が出力処理を行う。
出力部130は、出力データ変換部120により変換された出力データ220を、3Dプリンターに出力する。本実施形態においては、出力部130は、出力データ220を3Dプリンター3に送信する。
3Dプリンター3は、この出力データ220を取得すると、原料を基に、3Dで造形する。これにより、型枠設計装置1により作成された出力データ220を用いて、コンクリート成形品の型枠を製造することが可能になる。
ここで、3Dプリンター3により主力された部材は、エポキシ樹脂やUV硬化樹脂等の接着剤やパテで埋めたり、分割されたものを接着したり、部材の表面を研磨して滑らかにしたりしてから用いられてもよい。また、3Dプリンター3の造形の原料が石膏等の柔らかいものであった場合、別途、樹脂等を付加して強度を高めてもよい。
また、この出力された部材は、設計データ200のコンクリート成形品の型枠に付加して、下記で説明するコンクリートの成型に使用してもよい。この際、嵩上げ材や保持部材等についても、適宜、鋼製等の型枠と出力された部材との間で使用してもよい。
〔コンクリート成形品の製造〕
ここで、本発明の実施の形態に係る型枠設計システムXにより設計され、製造された型枠により、コンクリート成形品を製造する例について説明する。
本実施形態のコンクリート成形品の型枠に、FDM方式や光造形方式のように樹脂を原料として造形された部材が付加された場合、高流動コンクリートを用いて成型することが好適である。
具体的には、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカ微粉末等の各種混和材、化学混和剤等の使用により、流動性に優れ、分離もせず、無振動でも充填性に優れた高流動コンクリートを用いて成型する。この際、無振動、若しくは表面の気泡のみを取るための微振動等で成型してもよい。すなわち、このような高流動コンクリートを用いることによって、剛性の少ない樹脂製の型枠であっても、あまり振動を掛けずに密実なコンクリート製品を製造することが可能である。
また、型枠を3Dプリンターで製作することによって、安価で納期短縮に優れ、特に外観性状に優れたコンクリート二次製品の製造が可能になる。
以上のように構成することで以下のような効果を得ることができる。
従来のコンクリート成形品は、スランプが3〜8cm程度の硬練りのコンクリートを用いてテーブルバイブレーターや型枠バイブレーターなどによって強い振動を掛けながら成形することにより、密実で外観性状に優れた製品を製造していた。しかし、そのためには、型枠は堅固な(強固な)構造が必要であり、鋼材や鋼板を用いて、溶接やボルト接合などによって強固なものを製造する必要があった。
このため、特許文献1に記載の方法は、このようなコンクリート成形品の型枠用には用いることが不可能であった。結果として、3Dプリンターによる複雑な造形能力を、型枠を用いて製造するコンクリート成形品に適用することはできなかった。
これに対して、本発明の実施の形態に係る型枠設計システムXの型枠設計装置1は、コンクリート成形品の型枠の設計データ200を取得する設計データ取得部100と、設計データ取得部100により取得された設計データから、ユーザーの指示情報に対応して、3Dプリンター3用に出力する部分の部分データ210を作成する部分データ作成部110と、部分データ作成部110により加工された設計データ200を、3Dプリンター3用の出力データ220に変換する出力データ変換部120とを備えることを特徴とする。
このように構成することで、コンクリート成形品の型枠の複雑な造形が必要な部分について、3Dプリンターで造形することが可能となる。つまり、鋼製等の型枠と、3Dプリンター3により造形された部材とを用いた型枠を用いることが可能となる。よって、コンクリート成形品の製造に用いることが可能な型枠設計装置1を提供することが可能になる。
また、本実施形態の型枠設計システムXでは、複雑な造形が必要な部分のみ3Dプリンター3で造形すればよいため、3Dプリンター3の造形に必要な材料原価を低減させることができ、造形時間を短縮することができる。
また、従来、ボックスカルバートを管渠に用いる際、道路下や河川に埋設される場合が多かった。そこで、必要に応じてカーブに沿って、ボックスカルバートを連結して配置していた。このように、カーブにそって連結されるボックスカルバートは、通常の型枠内で斜めなるよう底上げして製造することがあった。しかしながら、この斜め角度は必ずしも一定ではなかった。つまり、片斜のボックスカルバートを製造する際には、各斜め切りの角度に対応した型枠が、いちいち必要になっていた。
これに対して、本実施形態の型枠設計装置1において、コンクリート成形品は、ボックスカルバートであり、部分データ作成部110は、ボックスカルバートがカーブに沿って連結される際の配置に係る指示情報に対応して、ボックスカルバートを片斜に成形するための斜め切り部材の部分データ210を作成することを特徴とする。
このように構成することで、設計データ200から、必ずしも一定ではない片斜の角度に対応した部分データ210を作成し、斜め切り部材を容易に造形可能となる。これにより、カーブにそって連結されるボックスカルバートを容易に製造可能となる。このため、従来よりも製造の手間を減らし、結果としてコストを削減可能となる。
また、ボックスカルバートの管渠等としての敷設に伴い、施工誤差等により管路延長が前後した場合、斜切り部材の角度が急に変更になる場合があった。そのようなときに、鋼製の斜切り部材を新規に製造すると、施工納期に間に合わなくなる怖れがあった。
これに対して、本実施形態の型枠設計装置1は、角度等を変更した部分データ210を容易に作成し、3Dプリンター3により、斜め切り部材をすぐに製造することができるため、施工納期に関わらず柔軟に対応可能となる。
また、従来の片斜のボックスカルバートは、型枠に鋼材を斜め切りの角度で挿入していたため、斜め切り面が平面になっていた。
これに対して、本実施形態の型枠設計装置1は、3Dプリンター3により、継手部を付加した斜め切り部材を造形することも可能である。これにより、印籠型のような受け挿しのある片斜のボックスカルバートを容易に製造可能となる。
また、本実施形態の型枠設計装置1において、コンクリート成形品は、ボックスカルバートであり、部分データ作成部110は、ボックスカルバートのコーナー部分の部分データ210、及び/又は、ボックスカルバートの面の一部に係る部分データ210を作成することを特徴とする。
このように構成することで、コーナー部分を3Dプリンター3により造形した部材に置き換えることにより、景観に配慮したようなボックスカルバートを製造可能となる。
また、鋼製等の型枠の一部に、3Dプリンター3によって様々なデザインをした面部分の部材を設けることによって、デザイン性に優れたボックスカルバートを製造可能となる。すなわち、3Dプリンターは多品少量生産が可能であるため、様々な造形のコンクリート成形品を発注者の意向に合わせて「カスタマイズ」して提供することが可能になる。
また、管渠には点検のための孔が必要なことがあった。この孔は、単なる円形ではなく、マンホールの受け枠に合わせた形状に加工する必要があり、コスト及び製造日数が必要であった。
これに対して、本実施形態の型枠設計装置1において、コンクリート成形品は、ボックスカルバートであり、部分データ作成部110は、ボックスカルバートの面に孔を形成するための部分データ210を作成することを特徴とする。
このように構成することで、3Dプリンター3により、点検のための孔等に対応する型枠がどのような形状であっても、容易に製造することができる。よって、納期を短縮して、コストを低減できる。
また、従来の鋼鉄製の型枠は、溶接にかかる手間や溶接熱による変形等が生じ、製造に多大な時間が必要となり、例えば、最低三週間以上の納期が必要であった。
これに対して、本実施形態の型枠設計装置1では、溶接等が必要な部分の部分データ210から出力データ220を作成して3Dプリンター3で造形することができる。この造形された部材を、既に鋼製等で製造された型枠に保持部材等で保持すれば、数時間〜数日以内にコンクリート形成品の製造に必要な型枠として用いることが可能となる。これにより、プレキャストコンクリート等のコンクリート成形品の製造の納期を短縮でき、製造工程の計画も容易になる。
また、従来、製造原価に占める型枠費用は高く、コンクリート成形品の発注者が型枠費用を負担していた。
これに対して、本実施形態の型枠設計装置1により、3Dプリンター3で必要な部分を容易に造形して、型枠を製造することが可能になる。これにより、従来の全てが鋼製の型枠よりも安価に型枠を製造できる。結果として、コンクリート成形品の製造原価に占める型枠費用を低減することができ、製品販売価格を抑えられるため、販売促進効果が得られ、利益の増大に繋がる。
また、本実施形態の型枠設計装置1により型枠を設計することで、コンクリート成形品の意匠等の設計自由度を増加させることができる。
また、本発明の実施の形態に係る型枠設計装置1は、出力データ変換部120は、3Dプリンターで出力可能なサイズであって、成型の際に型崩れしない強度を保つように調整された特定単位で部分データ210を分割し、分割されたデータ毎に出力データ220に変換することを特徴とする。
このように構成することで、樹脂等を原料として用いる3Dプリンターの型枠に用いても、十分な強度があり、変形の少ない型枠を製造することが可能になる。
また、本発明の実施の形態に係る型枠設計装置1は、出力データ変換部120は、コンクリート成形品の成形の際の漏れを防ぐように、部分データ210の隙間を埋め、面の継ぎ目部分を減少させることを特徴とする。
このように構成することで、3Dプリンターで造形出力しても、コンクリートを充填する必要のあるコンクリート成形品の型枠に最適な型枠を製造することが可能になる。また、製造された型枠の隙間が減少するため、高流動コンクリートであっても漏れを少なくすることが可能となる。
また、従来の型枠に用いられる鋼鉄はコンクリートとの付着性が良いため、コンクリート成形品の製作時には脱型のための離型剤が必要であった。
これに対して、本発明の実施の形態に係る型枠設計装置1は、出力データ変換部120は、出力データ220のコンクリート成形品が成型される面の凹凸を滑らかに変換することを特徴とする。
このように構成することで、剥離剤の使用を抑えることが可能となる。特に、3Dプリンター3の造形の原料に樹脂を用いる場合、型枠のコンクリートとの離型性が良く、型枠油等の剥離剤が不要となる。これにより、コンクリート成形品の製造の一工程が省け、効率化及び原価低減に資することができる。
また、本発明の実施の形態に係る型枠設計装置1は、出力データ変換部120により変換された出力データ220を、3Dプリンターに出力する出力部130を更に備えることを特徴とする。
このように構成することで、3Dプリンター3に最適化された出力データ220を作成することが可能となり、より精密、高速、低コストの型枠を製造可能となる。
また、従来の鋼鉄製の型枠は、長期保管すると、保管管理中に腐食(サビ)が発生し、再使用のとき研磨等の前処理を行う必要があった。
これに対して、本発明の実施の形態に係る型枠設計装置1で設計された出力データ220を、3Dプリンター3等の3Dプリンターで造形して製造した部材は、3Dプリンターで毎回作成して使用することが可能であるため、省力化が可能となる。
また、3Dプリンターの造形の原料が樹脂等であった場合、サビは発生せず、保管管理に優れるという効果も得られる。また、この場合、従来の全てが鋼製製の型枠に比較して、樹脂等の部材の分、軽量になるため、型枠の取扱いが楽になる。
〔他の実施の形態〕
なお、上述の実施の形態においては、3Dプリンター3は、通常の3Dプリンターである例について記載した。しかしながら、3Dプリンター3は、コンクリート成形品の型枠の部分部材の製造用に最適化され、特別に製造され、又は調整された専用の3Dプリンターであってもよい。具体的には、3Dプリンター3として、水やコンクリートの漏れを防ぐため、隙間ができにくいように素材を充填するような緻密充填機構を備えていてもよい。また、3Dプリンター3は、コンクリートが整形される面を滑らかにするために温風や赤外線やレーザー等で表面を溶融させたり、削ったり、研磨したりする滑面機構を備えていてもよい。また、3Dプリンター3は、いわゆる一般的な3Dプリンターの他に、出力データ220を基に、各種素材を金具やレーザー等で切削するような方式の装置を用いてもよい。
この場合、設計データ200又は部分データ210は、振動成形、高流動コンクリートを用いた無振動、又は表面の気泡のみを取るための微振動等のコンクリート成形品の型枠に用いられてもよい。また、3Dプリンター3の造形する原料に合わせて、コンクリート成形品の種類が選択されてもよい。たとえば、3Dプリンター3が金属焼結方式であった場合、遠心成形用の剛性が要求される型枠のデータを用いることも可能である。
また、3Dプリンター3は、ネットワーク2を介さず、型枠設計装置1と直接接続されていてもよい。つまり、ネットワーク接続部15は、USB(Universal Serial Bus)、シリアル、パラレル等の各種インターフェイスで、直接、3Dプリンター3と接続してもよい。
このように、型枠設計装置1と3Dプリンター3とが直接接続されている場合、出力部130は、出力データ220を基に、後述するスライスデータを作成して、3Dプリンター3を直接制御するコマンドを送信してもよい。
また、部分データ作成部110は、コンクリートの投入側から蓋をするような斜め切り部材の部分データ210を作成することも可能である。
この場合、出力データ変換部120は、コンクリートの投入側から蓋をするような斜め切り部材の部分データ210については、この隙間を埋めない、又は空気抜きの孔を開口させた出力データ220に変換してもよい。これにより、製造時に押圧を掛けて空気を抜くことが可能となる。
また、3Dプリンター3において造形の原料に樹脂を用いる場合、出力データ220の凹凸が元々特定の割合で滑らかであれば、剥離剤を使用しなくてもよい。
また、出力データ変換部120は、設計データ200自体についても、出力データ220に変換してもよい。また、この際の設計データ200は、コンクリート成形品の型枠の一部のデータであっても、全体のデータであってもよい。
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
本発明の型枠設計装置は、コンクリート成形品の型枠に3Dプリンターを適用可能となるため、産業上に利用することができる。
1 型枠設計装置
2 ネットワーク
3 3Dプリンター
10 制御部
11 画像処理部
12 記憶部
13 入力部
14 表示部
15 ネットワーク接続部
100 設計データ取得部
110 部分データ作成部
120 出力データ変換部
130 出力部
200 設計データ
202 鋼製型枠
210、211、212、213、214 部分データ
211a 継手部
211b ベース部
220 出力データ
A1、A2 中心線
B、C1、C2、C3、C4 ボックスカルバート
D 敷きモルタル
E 基礎コンクリート
F 嵩上げ材
R 角度
X 型枠設計システム

Claims (10)

  1. コンクリート成形品の型枠の設計データを取得する設計データ取得部と、
    前記設計データ取得部により取得された前記設計データから、ユーザーの指示情報に対応して、3Dプリンター用に出力する部分の部分データを作成する部分データ作成部と、
    前記部分データ作成部により作成された前記部分データを、前記3Dプリンター用の出力データに変換する出力データ変換部とを備え、
    前記出力データ変換部は、
    前記コンクリート成形品の成形の際に、コンクリートが前記型枠から漏れるのを防ぐように、前記部分データのコンクリート成形面のポリゴン間の隙間を埋め、前記コンクリート形成面の継ぎ目部分を減少させる処理を行ってから、前記出力データに変換する
    ことを特徴とする型枠設計装置。
  2. 前記コンクリート成形品は、ボックスカルバートであり、
    前記部分データ作成部は、
    前記ボックスカルバートがカーブに沿って連結される際の配置に係る前記指示情報に対応して、前記ボックスカルバートを片斜に成形するための斜め切り部材の前記部分データを作成する
    ことを特徴とする請求項1に記載の型枠設計装置。
  3. 前記コンクリート成形品は、ボックスカルバートであり、
    前記部分データ作成部は、
    前記ボックスカルバートのコーナー部分の前記部分データ、及び/又は、
    前記ボックスカルバートの面の一部に係る前記部分データを作成する
    ことを特徴とする請求項1に記載の型枠設計装置。
  4. 前記コンクリート成形品は、ボックスカルバートであり、
    前記部分データ作成部は、
    前記ボックスカルバートの面に孔を形成するための前記部分データを作成する
    ことを特徴とする請求項1に記載の型枠設計装置。
  5. 前記出力データ変換部は、
    面の凹凸を滑らかに変換する
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の型枠設計装置。
  6. 前記出力データ変換部により変換された前記出力データを、前記3Dプリンターに出力する出力部を更に備える
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の型枠設計装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の型枠設計装置により作成された出力データにより型枠を出力して製造する
    ことを特徴とする型枠製造方法。
  8. 請求項7に記載の型枠によりコンクリート成形品を製造する
    ことを特徴とするコンクリート成形品製造方法。
  9. コンクリート成形品の型枠を設計する型枠設計装置と、該型枠設計装置により出力された出力データから前記コンクリート成形品の型枠を作成する3Dプリンターとを含む型枠設計システムであって、
    前記型枠設計装置は、
    前記コンクリート成形品の型枠の設計データを取得する設計データ取得部と、
    前記設計データ取得部により取得された前記設計データから、ユーザーの指示情報に対応して、3Dプリンター用に出力する部分の部分データを作成する部分データ作成部と、
    前記部分データ作成部により作成された前記部分データを、前記3Dプリンター用の出力データに変換する出力データ変換部と、
    前記出力データ変換部により変換された前記出力データを、前記3Dプリンターに出力する出力部とを備え、
    前記出力データ変換部は、
    前記コンクリート成形品の成形の際に、コンクリートが前記型枠から漏れるのを防ぐように、前記部分データのコンクリート成形面のポリゴン間の隙間を埋め、前記コンクリート形成面の継ぎ目部分を減少させる処理を行ってから、前記出力データに変換する
    ことを特徴とする型枠設計システム。
  10. コンクリート成形品の型枠を設計する型枠設計装置により実行される型枠設計方法であって、前記型枠設計装置は、
    コンクリート成形品の型枠の設計データを取得し、
    取得された前記設計データから、ユーザーの指示情報に対応して、3Dプリンター用に出力する部分の部分データを作成し、
    作成された前記部分データを、前記コンクリート成形品の成形の際に、コンクリートが前記型枠から漏れるのを防ぐように、前記部分データのコンクリート成形面のポリゴン間の隙間を埋め、前記コンクリート形成面の継ぎ目部分を減少させる処理を行ってから、前記出力データに変換する
    ことを特徴とする型枠設計方法。
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