JP6618185B2 - 車両制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両制御装置に関する。
従来、車両制御装置において、加速度センサの出力値に応じて車両の転倒と引き起こしとを検出し、転倒と判断したときはエンジンを停止し、引き起こしと判断したときはエンジンの始動を可能とする技術がある(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−060607号公報
ところで、上記構成においては、引き起こし後には運転者のエンジン始動操作が必要であるが、競技用車両など転倒後の再スタートをより早くするためにもさらなる改良が求められている。
そこで本発明は、転倒後の引き起こし時に速やかにエンジンを再始動して発進可能にできる車両制御装置を提供することを目的とする。
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、車両(1)のロール角を検知する傾斜センサ(51)と、前記傾斜センサ(51)によって検知した前記車両(1)のロール角が規定値を超えた場合に、前記車両(1)の転倒と判断する転倒判定手段(61)と、前記転倒判定手段(61)によって前記車両(1)の転倒と判断した後、前記車両(1)のロール角が規定値未満となった場合に、前記車両(1)が引き起こされたと判断する引き起こし判定手段(62)と、前記引き起こし判定手段(62)によって前記車両(1)が引き起こされたと判断した場合に、エンジン始動指令を出力してエンジン(16)を始動させるエンジン始動指令手段(63)と、を備えることを特徴とする。
請求項2に記載した発明は、自動変速可能なトランスミッション(18)と、前記トランスミッション(18)がニュートラルおよびインギヤの何れにあるかを判断するギヤポジション判定手段(64)と、を備え、前記転倒判定手段(61)によって前記車両(1)の転倒と判断した後、前記引き起こし判定手段(62)によって前記車両(1)が引き起こされたと判断し、さらに前記ギヤポジション判定手段(64)によって前記トランスミッション(18)がニュートラルにあると判断したときに、前記エンジン始動指令手段(63)が前記エンジン(16)を始動させることを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、自動変速可能なトランスミッション(18)と、スロットル開度を検出するスロットル開度検出手段(65)と、前記トランスミッション(18)のギヤポジションを変化させるギヤ駆動手段(30)と、を備え、前記転倒判定手段(61)によって前記車両(1)の転倒と判断した後、前記引き起こし判定手段(62)によって前記車両(1)が引き起こされたと判断し、さらに前記ギヤポジション判定手段(64)によって前記トランスミッション(18)がインギヤにあると判断したときに、さらに、前記スロットル開度検出手段(65)によってスロットルが全閉であると判断したときは、前記トランスミッション(18)がインギヤのまま前記エンジン始動指令手段(63)が前記エンジン(16)を始動させ、前記スロットル開度検出手段(65)によってスロットルが開いていると判断したときは、前記ギヤ駆動手段(30)が前記トランスミッション(18)をニュートラルに変化させた後、前記エンジン始動指令手段(63)が前記エンジン(16)を始動させることを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、前記傾斜センサ(51)は加速度センサ(51)であり、前記加速度センサ(51)が検知した前記車体左右方向の加速度成分から前記車両(1)のロール角を判断する車両傾斜角判定手段(67)を備えることを特徴とする。
請求項5に記載した発明は、前記トランスミッション(18)は、奇数段ギヤ列に連結した第一クラッチ(17a)と偶数段ギヤ列に連結した第二クラッチ(17b)とを選択的に断接して変速するデュアルクラッチトランスミッション(18A)を構成することを特徴とする。
請求項6に記載した発明は、前記トランスミッション(18)は、インギヤで前記エンジン(16)を始動したとき、スロットル開操作に応じてクラッチ接続となる油圧が復帰することを特徴とする。
請求項7に記載した発明は、クラッチ操作およびシフト操作に応じてクラッチ(117)の断接および変速段の切り替えを行うマニュアル式のトランスミッション(118)と、運転者のクラッチ操作の検出により前記クラッチ(117)の断接を判断するクラッチ断接判定手段(168)を備え、前記トランスミッション(118)がニュートラルにあるか、もしくは前記トランスミッション(118)がインギヤでも前記クラッチ(117)が切断状態にある場合に、前記車両(1)が引き起こされたとき、前記エンジン始動指令手段(63)が前記エンジン(16)を始動させることを特徴とする。
請求項1に記載した発明によれば、車両の転倒によりエンジンが停止した場合にも、車両を引き起こすことでエンジンを短時間で始動可能となり、車両引き起こし後の再発進を容易にすることができる。特に競技用車両においては、速やかな再発進を可能にしてタイムロスを低減できる。
請求項2に記載した発明によれば、自動変速可能なトランスミッションを備える車両の転倒によりエンジンが停止した場合にも、トランスミッションがニュートラルにあるときには車両を引き起こすだけでエンジンを再始動することができる。
請求項3に記載した発明によれば、自動変速可能なトランスミッションがインギヤにあるときに、スロットルが全閉であれば、そのまま車両を引き起こすだけでエンジンが再始動する一方、スロットルが開いている場合には、車両を引き起こすことで、トランスミッションがニュートラルに変化し、かつエンジンが再始動する。このため、エンジン始動による車両の挙動を抑えた上で、車両引き起こし時のエンジンスタートを円滑に行うことができる。
請求項4に記載した発明によれば、加速度センサによって車両のロール角を検知可能とし、正確なロール状態(傾斜状態)を検出できる。
請求項5に記載した発明によれば、デュアルクラッチトランスミッションを備える車両において、デュアルクラッチトランスミッションの機能を利用したエンジン始動および車両の発進を実現できる。
請求項6に記載した発明によれば、インギヤでエンジンを始動した場合において、運転者がスロットル開操作をするだけで車両が発進可能であり、転倒後も円滑な走り出しを実現できる。
請求項7に記載した発明によれば、マニュアル式のトランスミッションを備える車両において、車両の引き起こしでエンジン始動を行う際、トランスミッションがニュートラルにあるか、もしくはインギヤでもクラッチが切断状態にあることが始動条件に含まれるので、エンジン始動による車両の挙動を抑えた上で、速やかにエンジンを始動して走行可能にできる。
本発明の実施形態における自動二輪車の側面図である。 上記自動二輪車のDCTシステムの構成図である。 上記自動二輪車のDCTの断面図である。 上記自動二輪車の車両制御装置の構成図である。 上記車両制御装置のECUの処理を示すフローチャートである。 上記車両制御装置の第二実施形態の構成図である。 第二実施形態のECUの処理を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ以下に説明する車両における向きと同一とする。また以下の説明に用いる図中適所には、車両前方を示す矢印FR、車両左方を示す矢印LH、車両上方を示す矢印UPが示されている。
図1に示すオフロードタイプの自動二輪車1において、その前輪2は左右フロントフォーク3の下端部に軸支され、左右フロントフォーク3の上部はステアリングステム4を介して車体フレーム5のヘッドパイプ6に操舵可能に枢支され、ステアリングステム4の上部にはバータイプの操向ハンドル7が取り付けられている。
ヘッドパイプ6の上部後側からは左右メインチューブ8が後下がりに後方へ延び、左右メインチューブ8の後端部は車体前後中間部において左右ピボットフレーム9の上端部に連なり、左右ピボットフレーム9の下部にはスイングアーム11の前端部が上下揺動可能に枢支され、スイングアーム11の後端部には後輪12が軸支されている。
ヘッドパイプ6の下部後側からは左右メインチューブ8よりも急傾斜で単一のダウンフレーム13が斜め後下方へ延び、ダウンフレーム13の下端部からは同様の傾斜で左右ロアフレーム14が左右に分岐して延び、左右ロアフレーム14の下部は後方へ湾曲して延びて左右ピボットフレーム9の下端部に接続されている。
車体フレーム5内側には、自動二輪車1の原動機であるパワーユニット15が搭載されている。
図2を併せて参照し、パワーユニット15は、内燃機関であるエンジン16とデュアルクラッチ17を含むトランスミッション18とを一体に有している。エンジン16は、例えばクランクシャフト24の回転中心軸線(クランク軸線)C1を車幅方向(左右方向)に沿わせた単気筒または複数気筒エンジン(図2では二気筒エンジン)である。エンジン16のクランクケース19の前部上方にはシリンダ20が立設され、シリンダ20のシリンダヘッド21の後部にはスロットルボディ22が接続され、シリンダヘッド21の前部には排気管23が接続されている。クランクケース19の後部内には、デュアルクラッチ式のトランスミッション18が収容されている。
図2、図3を参照し、トランスミッション18は、デュアルクラッチ17と組み合わされて自動又は半自動の変速が可能とされている。トランスミッション18は、クランクシャフト24の後方にメインシャフト25およびカウンタシャフト26を配置している。メインシャフト25およびカウンタシャフト26は、クランク軸線C1と平行な回転中心軸線C2,C3をそれぞれ有している。以下、メインシャフト25の回転中心軸線C2を「メイン軸線」といい、カウンタシャフト26の回転中心軸線C3を「カウンタ軸線」ということがある。
トランスミッション18は、メインシャフト25およびカウンタシャフト26に跨る変速ギヤ群27を有している。変速ギヤ群27は、変速段数分の複数の変速ギヤ対を有している。メインシャフト25およびカウンタシャフト26間の動力伝達に用いる変速ギヤ対は、チェンジ機構28によって選択的に切り替えられる。チェンジ機構28は、シフトドラムの回転によりシフトフォークを移動させて変速ギヤ対を切り替える。チェンジ機構28は、シフトドラムを回転駆動させる変速アクチュエータ29を含んでギヤ駆動装置30を構成している。
メインシャフト25は、内シャフト25aおよび外シャフト25bを有する二重構造をなしている。メインシャフト25は、クランクケース19(ミッションケース)の左右に渡る内シャフト25aの右側部を外シャフト25b内に挿通している。内シャフト25aの右端部は、外シャフト25bの右端部よりも右方に突出している。
内外シャフト25a,25bの外周には、変速ギヤ群27における六速分の駆動ギヤが、奇数段と偶数段とに振り分けて配置されている。これらの駆動ギヤに対応し、カウンタシャフト26の外周には、変速ギヤ群27における六速分の従動ギヤが配置されている。各駆動ギヤおよび従動ギヤは、各変速段同士で互いに噛み合い、各変速段に対応する変速ギヤ対を構成している。各変速ギヤ対は、一速から六速の順に減速比が小さくなる(高速ギヤとなる)。
メインシャフト25の右側部には、クランクシャフト24のプライマリドライブギヤ31と噛み合うプライマリドリブンギヤ32が支持されている。プライマリドリブンギヤ32の右方には、メインシャフト25に支持されたデュアルクラッチ17が配置されている。プライマリドリブンギヤ32は、デュアルクラッチ17のクラッチアウタ34に一体回転可能に連結されている。クランクシャフト24の回転駆動力は、プライマリドリブンギヤ32からクラッチアウタ34に伝達され、デュアルクラッチ17の第一クラッチ17aを介してメインシャフト25の内シャフト25aに伝達されるか、デュアルクラッチ17の第二クラッチ17bを介してメインシャフト25の外シャフト25bに伝達される。
内外シャフト25a,25bの何れかに伝達された回転駆動力は、変速ギヤ群27における奇数段または偶数段の変速ギヤ対を介してカウンタシャフト26に伝達される。変速ギヤ対により適宜変速してカウンタシャフト26に伝達された回転駆動力は、クランクケース19の後部左側から例えばチェーン式伝動機構12aを介して後輪12に伝達される(図1参照)。
自動二輪車1は、デュアルクラッチ17およびトランスミッション18(チェンジ機構28)の両操作を電気制御により自動で行うオートマチックモードによる走行が可能とされている。この他にも、自動二輪車1は、トランスミッション18の変速操作(シフト操作子の操作)を運転者が行い、デュアルクラッチ17の断接操作はシフト操作子の操作に応じて電気制御により自動で行うセミオートマチックモードによる走行が可能とされている。以下、デュアルクラッチ17およびトランスミッション18を含む変速装置をDCT(デュアルクラッチトランスミッション)18Aということがある。
図3を参照し、デュアルクラッチ17は、第一クラッチ17aおよび第二クラッチ17bを有する。第一クラッチ17aおよび第二クラッチ17bは、互いに同軸に隣接配置された油圧式のディスククラッチ(湿式多板クラッチ)とされる。第一クラッチ17aは、内シャフト25aの右端部に一体回転可能に支持された第一クラッチセンタ35を有し、第二クラッチ17bは、外シャフト25bの右端部に一体回転可能に支持された第二クラッチセンタ36を有している。
第一クラッチセンタ35の外周には複数の第一内クラッチ板が一体回転可能に支持され、クラッチアウタ34の周壁右側の内周には複数の第一外クラッチ板が一体回転可能に支持されている。第一内外クラッチ板は、互いに交互に重なって第一クラッチ板群37を構成している。
第一クラッチ板群37は、第一クラッチセンタ35の第一フランジ部と第一プレッシャープレートとにメイン軸線C2方向で挟まれている。第一クラッチ板群37は、第一プレッシャープレートの作動により第一フランジ部との間にメイン軸線C2方向で挟圧される。第一クラッチ板群37は、メイン軸線C2方向での挟圧により一体に摩擦係合し、第一クラッチ17aを動力伝達可能な接続状態とする。第一クラッチ板群37は、前記挟圧の解除により第一クラッチセンタ35とクラッチアウタ34とを相対回転可能とし、第一クラッチ17aを動力伝達不能な切断状態とする。
第二クラッチセンタ36の外周には複数の第二内クラッチ板が一体回転可能に支持され、クラッチアウタ34の周壁左側の内周には複数の第二外クラッチ板が一体回転可能に支持されている。第二内外クラッチ板は、互いに交互に重なって第二クラッチ板群38を構成している。
第二クラッチ板群38は、第二クラッチセンタ36の第二フランジ部と第二プレッシャープレートとにメイン軸線C2方向で挟まれている。第二クラッチ板群38は、第二プレッシャープレートの作動により第二フランジ部との間にメイン軸線C2方向で挟圧される。第二クラッチ板群38は、メイン軸線C2方向での挟圧により一体に摩擦係合し、第二クラッチ17bを動力伝達可能な接続状態とする。第二クラッチ板群38は、前記挟圧の解除により第二クラッチセンタ36とクラッチアウタ34とを相対回転可能とし、第二クラッチ17bを動力伝達不能な切断状態とする。
デュアルクラッチ17には、作動用油圧が油圧供給装置41(図2参照)から供給される。デュアルクラッチ17は、油圧供給の有無により第一クラッチセンタ35および第二クラッチセンタ36をクラッチアウタ34に個別に係合可能とし、もって各クラッチ17a,17bを個別に断接可能とする。
第一クラッチ17aには、第一プレッシャープレートをメイン軸線C2方向でクラッチ切断側に付勢する第一クラッチ付勢手段が設けられるとともに、第一プレッシャープレートをメイン軸線C2方向で第一クラッチ付勢手段の付勢力に抗してクラッチ切断側に移動させる第一接続側油圧室が設けられている。
第二クラッチ17bには、第二プレッシャープレートをメイン軸線C2方向でクラッチ切断側に付勢する第二クラッチ付勢手段が設けられるとともに、第二プレッシャープレートをメイン軸線C2方向で第二クラッチ付勢手段の付勢力に抗してクラッチ切断側に移動させる第二切断側油圧室が設けられている。
第一クラッチ17aは、エンジン16の停止状態等、油圧供給装置41からの油圧供給が停止した状態では、第一クラッチ付勢手段の付勢力により第一プレッシャープレートをクラッチ切断側に移動させ、第一クラッチ板群37の摩擦係合を解除したクラッチ切断状態となる。
第二クラッチ17bは、エンジン16の停止状態等、油圧供給装置41からの油圧供給が停止した状態では、第二クラッチ付勢手段の付勢力により第二プレッシャープレートをクラッチ切断側に移動させ、第二クラッチ板群38の摩擦係合を解除したクラッチ切断状態となる。
第一クラッチ17aは、エンジン16の運転状態等、油圧供給装置41から第一接続側油圧室に油圧供給がなされる状態では、第一クラッチ付勢手段の付勢力に抗して第一プレッシャープレートをクラッチ接続側に移動させ、第一クラッチ板群37を挟圧して摩擦係合させたクラッチ接続状態となる。
第二クラッチ17bは、エンジン16の運転状態等、油圧供給装置41から第二接続側油圧室に油圧供給がなされる状態では、第二クラッチ付勢手段の付勢力に抗して第二プレッシャープレートをクラッチ接続側に移動させ、第二クラッチ板群38を挟圧して摩擦係合させたクラッチ接続状態となる。
図2に示すように、自動二輪車1は、DCT18Aの作動を電気制御するデュアルクラッチトランスミッションシステム40(以下、DCTシステム40という。)を備えている。DCTシステム40は、デュアルクラッチ17に作動油圧を供給する油圧供給装置41と、電子制御装置42(Electronic Control Unit、以下、ECUという。)と、を有している。各クラッチ17a,17bは、油圧供給装置41からの油圧供給の有無により個別に断接可能とされている。
油圧供給装置41は、クランクケース19の下部内に配置された第一オイルポンプ43および第二オイルポンプ44と、第一オイルポンプ43の吐出口から延びる第一送給油路45と、第二オイルポンプ44の吐出口から延びる第二送給油路46と、第二送給油路46の下流側が接続される第一クラッチアクチュエータ47および第二クラッチアクチュエータ48と、各クラッチアクチュエータ47,48から各クラッチ17a,17bの各接続側油圧室に延びる第一供給油路47aおよび第二供給油路48aと、を備えている。
第二送給油路46と各供給油路47a,48aとは、各クラッチアクチュエータ47,48の作動により個別に連通可能とされている。各クラッチアクチュエータ47,48は、第二送給油路46と各供給油路47a,48aとを連通または遮断させるソレノイドバルブである。第二送給油路46と第一供給油路47aとが連通した際には、第二オイルポンプ44からの油圧が第一供給油路472aを介して第一クラッチ17aの第一接続側油圧室に供給され、第一クラッチ17aが切断状態から接続状態に切り替わる。第二送給油路46と第二供給油路48aとが連通した際には、第二オイルポンプ44からの油圧が第二供給油路48aを介して第二クラッチ17bの第二接続側油圧室に供給され、第二クラッチ17bが切断状態から接続状態に切り替わる。
DCTシステム40では、各クラッチ17a,17bの一方を接続状態とすると共に他方を切断状態とし、内外シャフト25a,25bの一方に連結された何れかの変速ギヤ対を用いて動力伝達を行う。このとき、内外シャフト25a,25bの他方に連結される変速ギヤ対の中から次に用いるものを予め選定し、この状態から各クラッチ17a,17bの一方を切断状態とすると共に他方を接続状態とすることで、予め選定した変速ギヤ対を用いた動力伝達に切り替わり、もってトランスミッション18のシフトアップおよびシフトダウンがなされる。
<第一実施形態>
次に、本実施形態の自動二輪車1における転倒時および引き起こし時のエンジン始動制御に係る車両制御装置50について説明する。
図4に示すように、車両制御装置50は、ジャイロセンサ51と、ギヤポジションセンサ52と、スロットル開度センサ53と、自動エンジン始動システムスイッチ54と、エンジン16と、DCT18Aと、エンジン始動装置55と、ギヤ駆動装置30と、ECU42と、を備えている。
ECU42は、車両傾斜角判定部67と、転倒判定部61と、引き起こし判定部62と、エンジン始動指令部63と、ギヤポジション判定部64と、スロットル開度検出部65と、ギヤ駆動判定部66と、を備えている。
ECU42は、キーシリンダの回転等によりメインスイッチがONになったときに種々制御を実行する。ECU42には、ジャイロセンサ51からの信号がノイズフィルタを介して入力される。ECU42は、ジャイロセンサ51から入力された信号に基づき、自動二輪車1が転倒したか否かを判定し、かつ転倒した自動二輪車1が引き起こされたか否かを判定する。ECU42は、自動二輪車1の転倒時にはエンジン16を停止させるとともに、自動二輪車1が転倒後に引き起こされた際には、種々のエンジン始動条件が満たされていることを条件に、自動二輪車1の引き起こしに伴いエンジン16を再始動させる。
エンジン16の再始動条件は、トランスミッション18がニュートラルであること、又はトランスミッション18がインギヤでかつクラッチが開放(DCT18Aにおいては油圧がかかっておらずかつスロットルが全閉の状態を含む)していること、であり、通常のエンジン始動条件と同じである。トランスミッション18のニュートラルとは、何れのギヤポジションも選択されていない状態であり、メインシャフト25およびカウンタシャフト26間の動力伝達がなされない状態である。トランスミッション18のインギヤとは、何れかのギヤポジションが選択された状態であり、メインシャフト25およびカウンタシャフト26間の動力伝達が何れかの変速ギヤ対を介してなされる状態である。
ジャイロセンサ51は、例えば静電容量方式の加速度センサ、または圧電素子を用いた加速度センサ等、半導体を用いた加速度センサである。本実施形態のジャイロセンサ51は、直交する二方向を検知方向とする加速度センサであり、検知方向は車体上下方向(高さ方向)および左右方向(車幅方向)とされる。ジャイロセンサ51は、車体上下方向および車体左右方向における重力加速度の加速度成分に応じた信号をECU42に出力する。ジャイロセンサ51は、例えばECU42に内蔵されてもよい。
ジャイロセンサ51が検知した重力加速度の加速度成分に基づき、ECU42が車体左右方向の傾斜角(ロール角)を検知して自動二輪車1の転倒および引き起こしを判断する。なお、ジャイロセンサ51とは別に、例えば加速度センサや、車体左右方向に揺れる振り子式の傾斜センサを備え、該傾斜センサがロール角に応じた信号をECU42に出力する構成でもよい。
すなわち、ECU42の車両傾斜角判定部67は、ジャイロセンサ51によって検知された車体左右方向の加速度成分に基づき、車体の左右傾斜角(ロール角)を判断する。
転倒判定部61は、車両傾斜角判定部67から取得したロール角およびジャイロセンサ51から取得した加速度成分に基づき、自動二輪車1の転倒を検知する。具体的に、転倒判定部61は、自動二輪車1のロール角が第一の規定値を超えた(車体左右方向の加速度成分の絶対値が第二の規定値を超えた)場合に、自動二輪車1の転倒と判断する。加速度センサを利用することで、自動二輪車1の転倒の検出精度が向上する。なお、車両のロール角(車体左右方向の加速度成分)が閾値より大きい状態が所定時間継続することを、自動二輪車1の転倒の判断条件に加えてもよい。
引き起こし判定部62は、転倒判定部61によって自動二輪車1の転倒と判断した後、自動二輪車1の傾斜角が第一の規定値未満となった場合に、自動二輪車1が転倒状態から引き起こされたと判断する。
エンジン始動指令部63は、引き起こし判定部62によって自動二輪車1が引き起こされたと判断した場合に、種々のエンジン始動条件が満たされていれば、エンジン始動指令を出力し、エンジン始動装置55を駆動させる等によってエンジン16を始動させる。
ギヤポジション判定部64は、例えばギヤ駆動装置30に設けたギヤポジションセンサ52からの検知信号に基づき、トランスミッション18がニュートラルか又はインギヤで何れの変速段にあるかを判断する。
スロットル開度検出部65は、例えばスロットルボディ22に設けたスロットル開度センサ53からの検知信号に基づき、スロットルが全閉か又はどれだけ開いているかを判断(検出)する。スロットル開度センサ53からの検知信号は、スロットル開度に応じた駆動指令に変換されて、各クラッチアクチュエータ47,48の通電制御部47b,48bに出力される。
ギヤ駆動判定部66は、スロットル開度検出部65の判定(検出)結果に応じてギヤ駆動装置30に変速指令を出力する。
自動エンジン始動システムスイッチ54は、例えば操向ハンドル7等の運転者から操作しやすい位置に設けられている。自動エンジン始動システムスイッチ54がONのとき、ECU42は、自動二輪車1の引き起こしに伴うエンジン始動制御を行う。
ECU42は、転倒判定部61によって自動二輪車1の転倒と判断した後、自動エンジン始動システムスイッチ54がONでかつ、ギヤポジション判定部64によってトランスミッション18がニュートラルにあると判断し、引き起こし判定部62によって自動二輪車1が引き起こされたと判断したとき、エンジン始動指令部63がエンジン始動指令を出力し、エンジン始動装置55を駆動させる等によってエンジン16を始動させる。
ECU42は、転倒判定部61によって自動二輪車1の転倒と判断した後、自動エンジン始動システムスイッチ54がONでかつ、ギヤポジション判定部64によってトランスミッション18がインギヤにあると判断し、引き起こし判定部62によって自動二輪車1が引き起こされたと判断したとき、スロットル開度検出部65の判定(検出)結果に応じて以下二つの制御の何れかを行う。
第一に、スロットル開度検出部65によってスロットルが全閉であると判断したとき、ギヤ駆動装置30を作動させることなく、エンジン始動装置55を作動させてエンジン16を始動させる。
第二に、スロットル開度検出部65によってスロットルが開いていると判断したとき、ギヤ駆動装置30を作動させてトランスミッション18をニュートラルに変化させた後、エンジン始動装置55を作動させてエンジン16を始動させる。
エンジン始動装置55は、エンジン16をクランキングさせるスタータモータ(不図示)を備えている。エンジン始動装置55は、運転者による適宜のエンジン始動操作により駆動してエンジン16を始動させるとともに、自動二輪車1の引き起こし時の始動制御によっても駆動してエンジン16を再始動させる。
トランスミッション18は、インギヤかつスロットル全閉でエンジン始動した場合、運転者のスロットル開操作に応じてクラッチ接続となる油圧が復帰する。すなわち、スロットル開操作という運転者の意思によりクラッチ接続となって走行を可能とする。
DCT18Aがインギヤであっても、スロットル開操作がなければ各クラッチ17a,17bの油圧が抜けてオープン状態(切断状態)となり、エンジン16が始動していても停車が可能である。このとき、スロットル開操作により、各クラッチ17a,17bの何れかに油圧が供給されてクローズ状態(接続状態)となり、自動二輪車1の発進が可能である。
次に、図5のフローチャートを参照し、本実施形態のECU42で実行する処理について説明する。この処理は、電源がON(メインスイッチがON)の場合に所定の周期で繰り返し実行される。
まず、ステップS11で自動エンジン始動システムスイッチ54がONか否かを判定する。
ステップS11でYES(自動エンジン始動システムスイッチ54がON)の場合、ステップS12の転倒判断(転倒判定手段)に移行する。ステップS11でNO(自動エンジン始動システムスイッチ54がOFF)の場合は一旦処理を終了する。
ステップS12では、自動二輪車1のロール角(車体左右方向の加速度成分)が閾値より大きくなったか否かを判定する。ステップS12でYES(転倒)の場合、ステップS13でエンジン16を停止する。ステップS12でNO(非転倒)の場合は一旦処理を終了する。
ステップS13でエンジン停止後、ステップS14の始動条件判断に移行する。本実施形態の始動条件判断では、まずギヤポジションがニュートラルかインギヤかを判定する。ステップS14でYES(ニュートラル)の場合、ステップS15の車両姿勢検出(引き起こし判断)に移行する。ステップS15でYES(引き起こし)の場合、ステップS16でエンジン自動始動を行う。ステップS15でNO(転倒)の場合は一旦処理を終了する。
ステップS14でNO(インギヤ)の場合、ステップS17のスロットル開度検出(スロットル全閉・開判断)に移行する。ステップS17でYES(スロットル全閉)の場合、ステップS15の車両姿勢検出に移行する。ステップS17でNO(スロットル開)の場合、ステップS18でエンジン16のクランキング(点火無し)とトランスミッション18のニュートラルに向けたシフト操作(例えばシフトダウン)を行い、一旦処理を終了する。
ECU42は、転倒判定部61によって自動二輪車1が転倒したと判断されたとき、点火装置および燃料噴射装置の作動を停止することで、エンジン16を停止させる転倒対応制御部(不図示)を備えている。この場合、自動エンジン始動システムスイッチ54によらず、転倒判定部61が自動二輪車1の転倒を判断したとき、転倒対応制御部がエンジン16を自動停止してもよい。ジャイロセンサ51を転倒センサとして使用し、この転倒センサによって自動二輪車1が転倒したことを検出して燃料噴射や点火を停止するように制御してもよい。
以上説明したように、上記実施形態における車両制御装置50は、自動二輪車1のロール角を検知する傾斜センサ(ジャイロセンサ51、自動二輪車1における車体左右方向の加速度成分を検知する加速度センサ)と、前記ジャイロセンサ51によって検知した前記自動二輪車1のロール角が第一の規定値を超えた(前記ジャイロセンサ51によって検知した前記車体左右方向の加速度成分の絶対値が第二の規定値を超えた)場合に、前記自動二輪車1の転倒と判断する転倒判定部61と、前記転倒判定部61によって前記自動二輪車1の転倒と判断した後、前記自動二輪車1のロール角が第一の規定値未満となった場合に、前記自動二輪車1が引き起こされたと判断する引き起こし判定部62と、前記引き起こし判定部62によって前記自動二輪車1が引き起こされたと判断したことを一条件に、エンジン始動指令を出力してエンジン16を始動させるエンジン始動指令部63と、を備える。
この構成によれば、自動二輪車1の転倒によりエンジン16が停止した場合にも、自動二輪車1を引き起こすことでエンジン16を短時間で再始動可能となり、車両引き起こし後の再発進を容易にすることができる。特に競技用車両においては、速やかな再発進を可能にしてタイムロスを低減できる。
また、上記車両制御装置50は、自動変速可能なトランスミッション18と、前記トランスミッション18がニュートラルおよびインギヤの何れにあるかを判断するギヤポジション判定部64と、を備え、前記転倒判定部61によって前記自動二輪車1の転倒と判断した後、前記引き起こし判定部62によって前記自動二輪車1が引き起こされたと判断し、さらに前記ギヤポジション判定部64によって前記トランスミッション18がニュートラルにあると判断したときに、前記エンジン始動指令部63が前記エンジン16を始動させる。
この構成によれば、自動変速可能なトランスミッション18を備える自動二輪車1の転倒によりエンジン16が停止した場合にも、トランスミッション18がニュートラルにあるときには自動二輪車1を引き起こすだけでエンジン16を再始動することができる。
また、上記車両制御装置50は、自動変速可能なトランスミッション18と、スロットル開度を検出するスロットル開度検出部65と、前記トランスミッション18のギヤポジションを変化させるギヤ駆動装置30と、を備え、前記転倒判定部61によって前記自動二輪車1の転倒と判断した後、前記引き起こし判定部62によって前記自動二輪車1が引き起こされたと判断し、さらに前記ギヤポジション判定部64によって前記トランスミッション18がインギヤにあると判断したときに、さらに、前記スロットル開度検出部65によってスロットルが全閉であると判断したときは、前記トランスミッション18がインギヤのまま前記エンジン始動指令部63が前記エンジン16を始動させ、前記スロットル開度検出部65によってスロットルが開いていると判断したときは、前記ギヤ駆動装置30が前記トランスミッション18をニュートラルに変化させた後、前記エンジン始動指令部63が前記エンジン16を始動させる。
この構成によれば、自動変速可能なトランスミッション18がインギヤにあるときに、スロットルが全閉であれば、そのまま自動二輪車1を引き起こすだけでエンジン16が再始動する一方、スロットルが開いているときは、そのまま自動二輪車1を引き起こせばトランスミッション18がニュートラルに変化し、その後にエンジン16が再始動する。このため、エンジン始動による自動二輪車1の挙動を抑えた上で、車両引き起こし時のエンジンスタートを円滑に行うことができる。
また、上記車両制御装置50は、ジャイロセンサ51は前記加速度センサおよび前記傾斜センサを兼用し、前記加速度センサが検知した前記車体左右方向の加速度成分から前記自動二輪車1のロール角を判断する車両傾斜角判定部67を備える。
この構成によれば、加速度センサによって自動二輪車1のロール角も検知可能とし、部品点数を抑えた上で正確なロール状態(傾斜状態)を検出できる。
また、上記車両制御装置50は、前記トランスミッション18は、奇数段ギヤ列に連結した第一クラッチ17aと偶数段ギヤ列に連結した第二クラッチ17bとを選択的に断接して変速するデュアルクラッチトランスミッション18Aを構成する。
この構成によれば、デュアルクラッチトランスミッション18Aを備える自動二輪車1において、デュアルクラッチトランスミッション18Aの機能を利用したエンジン始動および発進を実現できる。
また、上記車両制御装置50は、前記トランスミッション18は、インギヤでスロットル全閉時にエンジン16を始動したとき、スロットル開操作に応じてクラッチ接続となる油圧が復帰する。
この構成によれば、インギヤかつスロットル全閉でエンジン16を始動した場合において、運転者がスロットル開操作をするだけで自動二輪車1が発進可能であり、転倒後も円滑な走り出しを実現できる。
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態について、図6を参照して説明する。
この実施形態の車両制御装置150は、前記第一実施形態に対して、デュアルクラッチ17およびトランスミッション18に代わり、運転者のクラッチ操作およびシフト操作に応じて作動するマニュアル式のシングルクラッチ117(以下、単にクラッチ117という。)およびトランスミッション118を備える点で特に異なる。その他の、前記実施形態と同一構成には同一符号を付して詳細説明は省略する。
本実施形態のECU142は、運転者のクラッチ操作の検出によりクラッチ117の断接を判断するクラッチ断接判定部168を備える。クラッチ操作の検出は、例えばクラッチレバー(クラッチ操作子)に連設されたクラッチスイッチ156のON・OFFによってなされる。
トランスミッション118がニュートラルであるか、もしくはインギヤかつクラッチ切断状態である場合に、引き起こし判定部62によって自動二輪車1が引き起こされたと判断されると、エンジン始動指令部63がエンジン始動指令を出力し、エンジン始動装置55を駆動させる等によってエンジン16を始動させる。
次に、図7のフローチャートを参照し、本実施形態のECU142で実行する処理について説明する。この処理は電源がON(メインスイッチがON)の場合に所定の周期で繰り返し実行される。
まず、ステップS21で自動エンジン始動システムスイッチ54がONか否かを判定する。
ステップS21でYES(自動エンジン始動システムスイッチ54がON)の場合、ステップS22の転倒判断(転倒判定手段)に移行する。ステップS21でNO(自動エンジン始動システムスイッチ54がOFF)の場合は一旦処理を終了する。
ステップS22では、自動二輪車1のロール角および車体左右方向の加速度成分がそれぞれ閾値より大きくなったか否かを判定する。ステップS22でYES(転倒状態)の場合、ステップS23でエンジン16を停止する。ステップS22でNO(非転倒状態)の場合は一旦処理を終了する。
ステップS23でエンジン停止後、ステップS24の始動条件判断に移行する。本実施形態の始動条件判断では、ギヤポジションがニュートラルまたはクラッチがOFF(切断状態)であるか否かを判定する。
ステップS24でYES(始動:ニュートラルまたはクラッチOFF)の場合、ステップS25の車両姿勢検出(引き起こし判断)に移行する。ステップS25でYES(引き起こし)の場合、ステップS26でエンジン自動始動を行う。ステップS24でNO(停止:ニュートラルおよびクラッチOFFの何れでもない)の場合、およびステップS25でNO(転倒状態)の場合、一旦処理を終了する。
以上説明したように、上記実施形態における車両制御装置150は、クラッチ操作およびシフト操作に応じてクラッチ117の断接および変速段の切り替えを行うマニュアル式のトランスミッション118を備え、前記ECU142は、運転者のクラッチ操作の検出により前記クラッチ117の断接を判断するクラッチ断接判定部168を備え、前記トランスミッション118がニュートラルにあるか、もしくは前記トランスミッション118がインギヤでも前記クラッチ117が切断状態にある場合に、前記自動二輪車1が引き起こされたとき、前記エンジン始動指令部63が前記エンジン16を始動させる。
この構成によれば、マニュアル式のトランスミッション118を備える自動二輪車1において、自動二輪車1の引き起こしでエンジン始動を行う際、トランスミッション118がニュートラルにあるか、もしくはインギヤでもクラッチ117が切断状態にあることが始動条件に含まれるので、エンジン始動による自動二輪車1の挙動を抑えた上で、速やかにエンジン16を始動して走行可能にできる。
なお、本発明は上記各実施形態に限られるものではなく、例えば、自動二輪車1への適用に限らず、転倒および引き起こしの可能性のある鞍乗り型車両に適用可能である。鞍乗り型車両には、運転者が車体を跨いで乗車する車両全般が含まれ、自動二輪車(原動機付自転車及びスクータ型車両を含む)のみならず、三輪(前一輪かつ後二輪の他に、前二輪かつ後一輪の車両も含む)又は四輪の車両も含まれる。
第一実施形態ではデュアルクラッチ式の自動変速機を例に説明したが、シングルクラッチ式の自動変速機を備える車両に適用してもよい。
パワーユニット15の原動機であるエンジン16は、クランク軸を車両左右方向(車幅方向)に沿わせた横起きエンジンであるが、クランク軸を車両前後方向に沿わせた縦置きエンジンであってもよい。また、エンジンの気筒数やシリンダ配置も種々である。さらに、原動機に電気モータを含んでもよい。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換える等、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
1 自動二輪車(車両)
16 エンジン
17 デュアルクラッチ(クラッチ)
17a 第一クラッチ
17b 第二クラッチ
18,118 トランスミッション
18A デュアルクラッチトランスミッション
30 ギヤ駆動装置(ギヤ駆動手段)
51 ジャイロセンサ(加速度センサ、傾斜センサ)
61 転倒判定部(転倒判定手段)
62 引き起こし判定部(引き起こし判定手段)
63 エンジン始動指令部(エンジン始動指令手段)
64 ギヤポジション判定部部(ギヤポジション判定手段)
65 スロットル開度検出部(スロットル開度検出手段)
67 車両傾斜角判定部(車両傾斜角判定手段)
117 クラッチ
168 クラッチ断接判定部(クラッチ断接判定手段)

Claims (7)

  1. 車両(1)のロール角を検知する傾斜センサ(51)と、
    前記傾斜センサ(51)によって検知した前記車両(1)のロール角が規定値を超えた場合に、前記車両(1)の転倒と判断する転倒判定手段(61)と、
    前記転倒判定手段(61)によって前記車両(1)の転倒と判断した後、前記車両(1)のロール角が規定値未満となった場合に、前記車両(1)が引き起こされたと判断する引き起こし判定手段(62)と、
    前記引き起こし判定手段(62)によって前記車両(1)が引き起こされたと判断した場合に、エンジン始動指令を出力してエンジン(16)を始動させるエンジン始動指令手段(63)と、を備えることを特徴とする車両制御装置。
  2. 自動変速可能なトランスミッション(18)と、
    前記トランスミッション(18)がニュートラルおよびインギヤの何れにあるかを判断するギヤポジション判定手段(64)と、を備え、
    前記転倒判定手段(61)によって前記車両(1)の転倒と判断した後、前記引き起こし判定手段(62)によって前記車両(1)が引き起こされたと判断し、さらに前記ギヤポジション判定手段(64)によって前記トランスミッション(18)がニュートラルにあると判断したときに、前記エンジン始動指令手段(63)が前記エンジン(16)を始動させることを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
  3. 自動変速可能なトランスミッション(18)と、
    スロットル開度を検出するスロットル開度検出手段(65)と、
    前記トランスミッション(18)のギヤポジションを変化させるギヤ駆動手段(30)と、を備え、
    前記転倒判定手段(61)によって前記車両(1)の転倒と判断した後、前記引き起こし判定手段(62)によって前記車両(1)が引き起こされたと判断し、さらに前記ギヤポジション判定手段(64)によって前記トランスミッション(18)がインギヤにあると判断したときに、さらに、
    前記スロットル開度検出手段(65)によってスロットルが全閉であると判断したときは、前記トランスミッション(18)がインギヤのまま前記エンジン始動指令手段(63)が前記エンジン(16)を始動させ、
    前記スロットル開度検出手段(65)によってスロットルが開いていると判断したときは、前記ギヤ駆動手段(30)が前記トランスミッション(18)をニュートラルに変化させた後、前記エンジン始動指令手段(63)が前記エンジン(16)を始動させることを特徴とする請求項2に記載の車両制御装置。
  4. 前記傾斜センサ(51)は加速度センサ(51)であり、
    前記加速度センサ(51)が検知した前記車体左右方向の加速度成分から前記車両(1)のロール角を判断する車両傾斜角判定手段(67)を備えることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の車両制御装置。
  5. 前記トランスミッション(18)は、奇数段ギヤ列に連結した第一クラッチ(17a)と偶数段ギヤ列に連結した第二クラッチ(17b)とを選択的に断接して変速するデュアルクラッチトランスミッション(18A)を構成することを特徴とする請求項2又は3に記載の車両制御装置。
  6. 前記トランスミッション(18)は、インギヤで前記エンジン(16)を始動したとき、スロットル開操作に応じてクラッチ接続となる油圧が復帰することを特徴とする請求項5に記載の車両制御装置。
  7. クラッチ操作およびシフト操作に応じてクラッチ(117)の断接および変速段の切り替えを行うマニュアル式のトランスミッション(118)と、
    運転者のクラッチ操作の検出により前記クラッチ(117)の断接を判断するクラッチ断接判定手段(168)を備え、
    前記トランスミッション(118)がニュートラルにあるか、もしくは前記トランスミッション(118)がインギヤでも前記クラッチ(117)が切断状態にある場合に、前記車両(1)が引き起こされたとき、前記エンジン始動指令手段(63)が前記エンジン(16)を始動させることを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
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