JP6618176B2 - 7糖オリゴ糖の製造方法 - Google Patents

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本発明は、11糖シアリルオリゴ糖ペプチドから2種類の7糖オリゴ糖を製造する方法に関する。
抗体医薬品の構成成分である糖鎖の構造は、抗体医薬品の薬効や安全性に影響を与える。たとえば、フコースの無い2本鎖アスパラギン結合型糖鎖を有する抗体では、薬効発現において重要な役割を果たす抗体依存性細胞障害活性が高くなる(非特許文献1)。また、非還元末端にαガラクトース残基が結合した糖鎖を有する抗体では、一部の患者においてアナフィラキシー症状が引き起こされることが報告された(非特許文献2)。
近年、抗体医薬品において、2本鎖アスパラギン結合型糖鎖の一方の側鎖の非還元末端にガラクトースが結合した糖鎖(G1糖鎖)が、主要な糖鎖であることが報告された(非特許文献3)。G1糖鎖には、2本鎖アスパラギン結合型糖鎖の5糖母核であるManα1−6(Manα1−3)Manβ1−4GlcNAcβ1−4GlcNAcにおいて、Manα1−3側鎖の非還元末端にガラクトースが1残基結合した糖鎖と、Manα1−6側鎖の非還元末端にガラクトースが1残基結合した糖鎖の二種類がある。非特許文献3に記載された報告では、これらの二種類の糖鎖の存在比は抗体によって異なることも明らかにされた。
このようなG1糖鎖を有する抗体の機能や安全性を明らかにするためには、均一なG1糖鎖を有する抗体を作成する必要がある。
均一なG1糖鎖を有する抗体の作成法として、特許文献1には、抗体に糖転移酵素と糖加水分解酵素を作用させて糖鎖構造を改変し調製する方法が開示されている。
また、均一な糖鎖構造を有する抗体を作成する手法として糖鎖リモデリング法が開発され、様々な抗体の作成に広く利用されている(非特許文献4)。この糖鎖リモデリング法によって均一なG1糖鎖を有する抗体を作成するためには、糖鎖供給源として7糖オリゴ糖、すなわちGlcNAcβ1−2Manα1−6(Galβ1−4GlcNAcβ1−2Manα1−3)Manβ1−4GlcNAc1−OHと、Galβ1−4GlcNAcβ1−2Manα1−6(GlcNAcβ1−2Manα1−3)Manβ1−4GlcNAc1−OHが必要になる。そこで、これら7糖オリゴ糖の合成や、7糖オリゴ糖を用いたG1糖鎖を有する抗体の作成に関する研究が行われている。たとえば、非特許文献5には7糖オリゴ糖を化学的に合成し、糖鎖リモデリング法によってG1糖鎖を有する抗体を作成する方法が報告されている。また、特許文献2には、卵由来粗精製11糖シアリルオリゴ糖ペプチドから、非還元末端の構造が7糖オリゴ糖と同じで、8糖から成る糖鎖アスパラギン誘導体を調製する方法が開示されている。
特表2014−531215号公報 特開2003−128703号公報
R. L. Shields, et al., J. Biol. Chem., 2002年, 277巻, p. 26733-26740. C. H. Chung, et al., N. Engl. J. Med., 2008年, 358巻, p. 1109-1117. T. Song, et al., Anal. Chem., 2014年, 86巻, p. 5661-5666. W. Huang, et al., J. Am. Chem. Soc., 2012年, 134巻, p. 12308-12318. C. W. Lin, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2015年, l12巻, p.10611-10616.
しかしながら特許文献1に開示された方法では、合成された抗体に結合したG1糖鎖は、2本鎖アスパラギン結合型糖鎖の5糖母核におけるManα1−3側鎖の非還元末端にガラクトースが結合した糖鎖か、Manα1−6側鎖の非還元末端にガラクトースが結合したかについては言及されていない。
また非特許文献5に開示された方法では、糖鎖を調製するために多工程に及ぶ煩雑な合成操作と精製操作を繰り返す必要がある。さらにこの報告では、2本鎖アスパラギン結合型糖鎖の5糖母核におけるManα1−3側鎖の非還元末端にガラクトースが結合したG1糖鎖を有する抗体しか合成されていない。
また特許文献2に開示された方法では、11糖シアリルオリゴ糖ペプチドから5工程で,非還元末端の構造が7糖オリゴ糖と同じで、8糖から成る糖鎖アスパラギン誘導体(特許文献2、化合物37、化合物42)を調製している。しかしこの方法では、各中間体化合物をゲルろ過カラムクロマトグラフィーやHPLCにより精製する必要がある。また8糖から成る糖鎖アスパラギン誘導体の7糖オリゴ糖への変換については言及されていない。
以上のように従来の技術では、2本鎖アスパラギン結合型糖鎖の5糖母核におけるManα1−6側鎖の非還元末端にガラクトースが結合したG1糖鎖を有する抗体の作成は達成されていない。また、糖鎖リモデリング法によってG1糖鎖を有する抗体を作成する際に必要となる、2種類の7糖オリゴ糖の簡便な調製は報告されていない。
本発明が解決しようとする課題は、2本鎖アスパラギン結合型糖鎖の5糖母核におけるManα1−3側鎖と、Manα1−6側鎖のそれぞれの非還元末端ガラクトースが結合した均一なG1糖鎖構造を有する抗体の作成に利用できる2種類の7糖オリゴ糖、すなわちGlcNAcβ1−2Manα1−6(Galβ1−4GlcNAcβ1−2Manα1−3)Manβ1−4GlcNAc1−OHと、Galβ1−4GlcNAcβ1−2Manα1−6(GlcNAcβ1−2Manα1−3)Manβ1−4GlcNAc1−OHを簡便に収率良く製造する方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、(1)11糖シアリルオリゴ糖ペプチドを加水分解して2種類の10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドを得る工程、(2)前記2種類の10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドのそれぞれを単離精製する工程、および(3)前記単離精製した2種類の10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドのそれぞれについて、非還元末端のガラクトースを加水分解し、シアル酸を加水分解し、還元末端のN、N’−ジアセチルキトビオースを加水分解して、2種類の7糖オリゴ糖を得る工程を含む、7糖オリゴ糖の製造方法により、上記課題を解決できることを見出した。
特に、前記単離精製を逆相分配クロマトグラフィーで行い、前記工程(3)が、前記単離精製した2種類の10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドのそれぞれについて、(a)ガラクトシダーゼを添加し反応させる工程、(b)ガラクトシダーゼを不活性化する工程、(c)ノイラミニダーゼを添加し反応させる工程、および(d)エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼを添加し反応させる工程、を順次ワンポットで行い2種類の7糖オリゴ糖を得る工程である、7糖オリゴ糖の製造方法により、上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]
(1)11糖シアリルオリゴ糖ペプチドを加水分解して2種類の10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドを得る工程、(2)前記2種類の10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドのそれぞれを単離精製する工程、および(3)前記単離精製した2種類の10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドのそれぞれについて、非還元末端のガラクトースを加水分解し、シアル酸を加水分解し、還元末端のN、N’−ジアセチルキトビオースを加水分解して、2種類の7糖オリゴ糖を得る工程を含む、7糖オリゴ糖の製造方法。
[2]
前記単離精製を逆相分配クロマトグラフィーで行う、[1]に記載の製造方法。
[3]
前記工程(3)が、前記単離精製した2種類の10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドのそれぞれについて、(a)ガラクトシダーゼを添加し反応させる工程、(b)ガラクトシダーゼを不活性化する工程、(c)ノイラミニダーゼを添加し反応させる工程、および(d)エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼを添加し反応させる工程、を順次ワンポットで行い2種類の7糖オリゴ糖を得る工程である、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]
前記2種類の7糖オリゴ糖が下記式1、および式2で表される糖鎖である、[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
式1:
Figure 0006618176
式2:
Figure 0006618176
本発明によれば、11糖シアリルオリゴ糖ペプチドから、簡便に収率良く上記式1、および式2で表される2種類の7糖オリゴ糖を製造することができる。
実施例1において、11糖シアリルオリゴ糖ペプチドの酸加水分解後のHPLCチャートを示す。 実施例1において製造された10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドのHPLCチャートを示す。 実施例1において製造された10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドのHPLCチャートを示す。 実施例2、実施例3において糖鎖構造の解析に用いた衝突誘起解離スペクトル(MSスペクトル)を示す。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明の7糖オリゴ糖の製造方法は、(1)11糖シアリルオリゴ糖ペプチドを加水分解して2種類の10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドを得る工程、(2)前記2種類の10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドのそれぞれを単離精製する工程、および(3)前記単離精製した2種類の10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドのそれぞれについて、非還元末端のガラクトースを加水分解し、シアル酸を加水分解し、還元末端のN、N’−ジアセチルキトビオースを加水分解して、2種類の7糖オリゴ糖を得る工程を含む。
本発明において、7糖オリゴ糖とは、7個の糖残基からなる糖鎖を意味する。
7糖オリゴ糖は、非還元末端にガラクトース1残基を有する糖鎖である。
2種類の7糖オリゴ糖としては、下記式1、および下記式2で表される糖鎖が挙げられる。
式1:
Figure 0006618176
式2:
Figure 0006618176
本発明の製造方法により、11糖シアリルオリゴ糖ペプチドより簡便に収率良く、上記式1、および式2で表される2種類の7糖オリゴ糖を製造することができる。
(1)11糖シアリルオリゴ糖ペプチドを加水分解して2種類の10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドを得る工程とは、11糖シアリルオリゴ糖ペプチドの2本鎖のうち一方の側鎖の非還元末端のシアル酸を加水分解して除去する工程である。
本発明において、11糖シアリルオリゴ糖ペプチドとは、11個の糖残基からなる複合型糖鎖の還元末端にアミノ酸6残基からなるペプチド鎖が結合している糖ペプチドを意味する。
11糖シアリルオリゴ糖ペプチドの11糖残基部分は、非還元末端に2つのシアリル基を有する糖部分である。
11糖シアリルオリゴ糖ペプチドとしては、下記式3で表される糖ペプチドが挙げられる。
式3:
Figure 0006618176
上記式3で表される糖ペプチドにおいては、糖鎖部分が、Lys−Val−Ala−Asn−Lys−ThrのAsn残基に結合している(配列表配列番号1)。
本発明において、Lys、Val、Ala、Asn、及びThrは、アミノ酸の3文字表記であり、それぞれ、リジン、バリン、アラニン、アスパラギン、及びスレオニンを意味する。
アミノ酸としては、L−アミノ酸であっても、D−アミノ酸であってもよく、ラセミ体などを含め、L−アミノ酸とD−アミノ酸の任意の比率の混合物であってもよいが、L−アミノ酸であることが好ましい。また、各アミノ酸は、各アミノ酸と等価な誘導体であってもよい。
11糖シアリルオリゴ糖ペプチドとしては、特に限定されるものではないが、例えば、市販の11糖シアリルオリゴ糖ペプチド(伏見製薬工業(株)、製品コード171801)や鶏卵卵黄より調製した11糖シアリルオリゴ糖ペプチド(A. Seko, et al., Biochim. Biophys. Acta, 1997年, 1335巻, p. 23-32.)が挙げられる。
11糖シアリルオリゴ糖ペプチドを加水分解する方法としては、ノイラミニダーゼを用いる方法であっても、酸性水溶液を用いる方法であってもよいが、酸性水溶液を用いる方法が好ましい。
11糖シアリルオリゴ糖ペプチドの加水分解に用いる酸性水溶液としては、特に限定されるものではないが、たとえば、塩酸水溶液、酢酸水溶液、硫酸水溶液などが挙げられる。
11糖シアリルオリゴ糖ペプチドの酸性水溶液を用いた加水分解において、酸性水溶液の水素イオン濃度として、特に限定されるものではないが、pH=1〜5の塩酸水溶液を用いることにより10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドを得ることができる。
11糖シアリルオリゴ糖ペプチドの酸性水溶液を用いた加水分解は、特に限定されるものではないが、10〜100の温度で行うことができる。
11糖シアリルオリゴ糖ペプチドの酸性水溶液を用いた加水分解は、特に限定されるものではないが、30分〜10時間で行うことができる。
(2)前記2種類の10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドのそれぞれを単離精製する工程とは、2本鎖のうち一方の側鎖の非還元末端にシアル酸が1残基結合した2種類の10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドのそれぞれを単離精製する工程である。
前記2種類の10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドのそれぞれを単離精製する方法としては、順相カラムクロマトグラフィーや逆相分配クロマトグラフィー、そして多孔性グラファイトカーボンを充填したカラムクロマトグラフィーを用いる方法などが挙げられるが、逆相分配クロマトグラフィーを用いる方法が好ましい。
逆相分配クロマトグラフィーで2種類の10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドを単離精製する工程とは、前記2種類の10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドを、逆相分配クロマトグラフィーを備えたHPLCと、HPLC送液の移動相に緩衝溶液を用いて単離精製する工程である。
逆相カラムクロマトグラフィーの充填剤としては、特に限定されるものではないが、オクタデシル基が化学結合したシリカゲルを用いることにより10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドを単離精製することができる。
HPLC送液の移動相としては、特に限定されるものではないが、ギ酸アンモニウム緩衝液、ギ酸−トリエチルアミン緩衝液、酢酸アンモニウム緩衝液、酢酸−トリエチルアミン緩衝液などの移動相Aと、移動相Aに0.01〜5%(v/v)のメタノール、エタノール、またはn−ブタノールを加えた移動相Bの混合液を用いることができるが、100mM酢酸−トリエチルアミン緩衝液から成る移動相Aと、移動相Aに0.05%(v/v)のn−ブタノールを加えた移動相Bの混合液を用いることが好ましい。
HPLC送液の移動相の組成は、移動相Aに対する移動相Bの割合が少ない状態から、徐々に移動相Bの割合が多くなるように変化させることが好ましい。
(3)前記単離精製した2種類の10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドのそれぞれについて、非還元末端のガラクトースを加水分解し、シアル酸を加水分解し、還元末端のN、N’−ジアセチルキトビオースを加水分解して、2種類の7糖オリゴ糖を得る工程とは、非還元末端のガラクトース1残基を除去する工程、非還元末端のシアル酸1残基を除去する工程、および還元末端のN−アセチルグルコサミン−ペプチドを除去する工程からなる。
非還元末端のガラクトースを加水分解する方法としては、ガラクトシダーゼを用いる方法が好ましい。
シアル酸を加水分解する方法としては、ノイラミニダーゼを用いる方法であっても、酸性水溶液を用いる方法であってもよい。
還元末端のN、N’−ジアセチルキトビオースを加水分解する方法としては、アルカリ加水分解やエンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼを用いる方法などが挙げられるが、エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼを用いる方法が好ましい。
前記工程(3)としては、前記単離精製した2種類の10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドのそれぞれについて、(a)ガラクトシダーゼを添加し反応させる工程、(b)ガラクトシダーゼを不活性化する工程、(c)ノイラミニダーゼを添加し反応させる工程、および(d)エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼを添加し反応させる工程、を順次ワンポットで行い2種類の7糖オリゴ糖を得る工程が好ましい。
前記単離精製した2種類の10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドのそれぞれについて、(a)ガラクトシダーゼを添加し反応させる工程、(b)ガラクトシダーゼを不活性化する工程、(c)ノイラミニダーゼを添加し反応させる工程、および(d)エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼを添加し反応させる工程、を順次ワンポットで行い2種類の7糖オリゴ糖を得る工程とは、2種類の10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドのそれぞれをガラクトシダーゼで処理して非還元末端のガラクトース1残基を除去したのち、それ以上ガラクトシダーゼを反応させないようにガラクトシダーゼを不活性化し、引き続きノイラミニダーゼで処理することで非還元末端のシアル酸1残基を除去し、最後にエンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼで処理して還元末端のN−アセチルグルコサミン−ペプチドを除去する反応を、同一緩衝液中ワンポットで行い2種類の7糖オリゴ糖を得る工程である。
緩衝液としては、pHが4.0〜8.0の緩衝液が好ましく、特に好ましくはpH6.0の50mMリン酸緩衝液が好ましい。
反応温度としては、10〜50℃で行うことができる。
ガラクトシダーゼとしては特に限定されるものではないが、Bacteroides fragilis由来のガラクトシダーゼや、Bacteroides thetaiotaomicron由来のガラクトシダーゼなどを挙げることができる。ガラクトシダーゼを用いる加水分解は、特に限定されるものではないが、たとえば5μmolの10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドに対して20〜80μgのガラクトシダーゼ、または400〜1000ユニットのガラクトシダーゼを用いて、20〜50℃の温度で、1〜72時間で行うことができる。なおここで1ユニットとは、37℃、1時間で、1nmolのGalβ1−4GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glc−7−amino−4−methyl−coumarinから非還元末端のガラクトースを0.95nmol以上遊離させるために必要な酵素量である。
ガラクトシダーゼを不活性化する方法としては、エタノール処理やフェノール処理、そして加熱処理などが挙げられるが、好ましくは65〜90℃で30分〜1時間加熱することによって達成される。
ノイラミニダーゼとしては特に限定されるものではないが、Clostridium perfringens由来のノイラミニダーゼを利用できる。ノイラミニダーゼを用いる加水分解は、特に限定されるものではないが、たとえば5μmolの10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドに対して100〜300ユニットのノイラミニダーゼを用いて、20〜50℃の温度で、1〜5時間で行うことができる。なおここで1ユニットとは、37℃、5分間で、1nmolのNeu5Acα2−3Galβ1−3GlcNAcβ1−3Galβ1−4Glc−7−amino−4−methyl−coumarinから非還元末端のシアル酸を0.95nmol以上遊離させるために必要な酵素量である。
エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼとしては特に限定されるものではないが、Streptococcus pyogenes由来のエンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼを利用できる。エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼを用いる加水分解は、特に限定されるものではないが、たとえば5μmolの10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドに対して5〜20μgのエンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼを用いて、20〜50℃の温度で、1〜24時間で行うことができる。
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、本発明の実施に用いられる測定方法は以下のとおりである。
[HPLC分析]
カラム(Mightysil RP−18 GP Aqua(関東化学株式会社、150×2mm)を備えたGLサイエンス製HPLC GL−7400システムを用いて、以下の測定条件によりHPLC分析を行った。
測定条件:
移動相;(A)100mM酢酸−トリエチルアミン緩衝液(pH4.0),(B)A+0.05%(v/v)n−ブタノール
グラジエント;B,8%→25%(25min)
流速;0.2mL/min
カラム温度;40℃
UV;220nm
[HPLC分取]
カラム(Mightysil RP−18 GP Aqua(関東化学株式会社、250×10mm)を備えたGLサイエンス製HPLC GL−7400システムを用いて、以下の分取条件によりHPLC分取を行った。
分取条件:
移動相;(A)100mM酢酸−トリエチルアミン緩衝液(pH4.0),(B)A+0.05%(v/v)n−ブタノール
グラジエント;B,10%→100%(25min)、100%(25min→30min)
流速;2.5mL/min
カラム温度;40℃
UV;220nm
H−NMR測定]
O 0.4mLに試料2mgを溶解して、JEOL製JNM−600(600MHz)でH−NMRを測定した。
[MS測定]
以下の測定条件で測定を行った。
AXIMA TOF, Shimadzu Biotech
イオン化:MALDI
マトリックス:2,5−dihydroxybenzoic acid
モード:Positive
[MS−MS測定]
以下の測定条件で測定を行った。
AXIMA Resonance, Shimadzu Biotech
イオン化:MALDI
マトリックス:2,5−dihydroxybenzoic acid
モード:Negative
[10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドの調製]
11糖シアリルオリゴ糖ペプチド(262.7mg,91.7mmol)を10mM塩酸水溶液(12mL)に溶解し、60℃で3.5時間加熱撹拌した。この反応液に1M NaCO水溶液を150μL加え反応液の水素イオン濃度をpH=8にし、凍結乾燥することで白色粉末状化合物を得た。この白色粉末状化合物を720μLの水に溶解し、15〜30μLずつHPLCで精製したところ、7.5分後に下記式4で表される10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドが、10分後に下記式5で表される10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドが溶出した。これらの溶出液に1M NaCO水溶液を加え中和し、減圧濃縮したのち、ゲルろ過カラムクロマトグラフィー(Sephadex G−25、20mmφ×770mm、展開溶媒は0.05%アンモニア水溶液)で脱塩し、下記式4で表される10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドを39.5mg(収率17%)、および下記式5で表される10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドを44.9mg(収率19%)得た。
11糖シアリルオリゴ糖ペプチドの酸加水分解後のHPLCによる測定結果を図1に、精製後の下記式4で表される10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドのHPLCによる測定結果を図2に、精製後の下記式5で表される10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドのHPLCによる測定結果を図3に示す。
式4:
Figure 0006618176
式5:
Figure 0006618176
得られた式4で表される10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドの物理的データは以下の通りである。
H−NMR(DO)5.14(s, 1H), 5.05(d, 1H, J=9.6 Hz), 4.94(s, 1H), 4.72−4.66(m, 1H), 4.66−4.56(m, 3H), 4.48(d, 1H, J=8.2Hz),4.46(d, 1H, J=8.2 Hz), 4.41(dd, 1H), 4.32(q, 1H, J=6.9 Hz), 4.27(bs, 1H), 4.26−4.20(m, 1H), 4.21(bd, 1H, J=3.4 Hz), 4.15(d, 1H, J=4.1 Hz), 4.14−4.10(m, 2H), 4.07−3.45(m, 59H), 3.06−2.96(m, 4H), 2.87(dd, 1H, J=5.5, 16.5 Hz), 2.76(dd, 1H, J=7.6, 16.5 Hz), 2.68(dd, 1H, J=4.1, 12.4 Hz), 2.10−2.00(m, 1H), 2.09(s, 3H, Ac), 2.08(s, 3H, Ac), 2.06(s, 3H, Ac), 2.04(s, 3H, Ac), 2.01(s, 3H, Ac), 1.96−1.85(m, 1H), 1.85−1.57(m, 8H), 1.52−1.35(m, 4H), 1.39(d, 3H, J=6.9 Hz), 1.18(d, 3H, J=6.9 Hz), 0.98(d, 6H, J=6.9 Hz); MALDI TOF MS Calcd for C101H173N14O62[M+H]: 2574.1, found 2574.1
式5で表される10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドの物理的データは以下の通りである。
H−NMR(DO)5.12(s, 1H), 5.05(d, 1H, J=9.6 Hz), 4.95(s, 1H), 4.78(s, 1H), 4.68(dd, 1H, J=5.5, 7.6 Hz), 4.64−4.56(m, 3H), 4.49−4.44(d×2, 2H), 4.41(dd, 1H), 4.31(q, 1H, J=6.9 Hz), 4.28−4.18(m, 1H), 4.25(bs, 1H), 4.20(bd, 1H, J=3.4 Hz), 4.14(d, 1H, J=4.1 Hz), 4.13−4.10(m, 2H), 4.02−3.47(m, 59H), 3.04−2.97(m, 4H), 2.86(bd, 1H, J=4.8, 16.5 Hz), 2.76(bd, 1H, J=8.2, 16.5 Hz), 2.68(dd, 1H, J=4.8, 12.4 Hz), 2.11−1.99(m, 1H), 2.09(s, 3H, Ac), 2.07(s, 3H, Ac), 2.06(s, 3H, Ac), 2.03(s, 3H, Ac), 2.01(s, 3H, Ac), 1.94−1.85(m, 1H), 1.82−1.60(m, 8H), 1.52−1.34(m, 4H), 1.38(d, 3H, J=6.9 Hz), 1.17(d, 3H, J=6.2 Hz), 0.97(d, 6H, J=6.9 Hz); MALDI TOF MS Calcd for C101H173N14O62[M+H]: 2574.1, found 2574.3
[式1で表される7糖オリゴ糖の調製と構造決定]
実施例1で得られた式4で表される10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチド(15.0mg,6.2μmol)を100mM NaCl含有50mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH=6.0)500μLに溶解させ、Bacteroides fragilis由来のガラクトシダーゼ(8000Units/mL)を50μL加えた。この溶液を37℃で加熱撹拌し、22時間後Bacteroides fragilis由来のガラクトシダーゼ(8000Units/mL)を75μL追加し、37℃で加熱撹拌を続けた。45時間後で反応液を凍結乾燥したのち、ゲルろ過カラムクロマトグラフィー(Sephadex G−25、20mmφ×770mm、展開溶媒は0.1%アンモニア水溶液)で脱塩し、式6で表される9糖オリゴ糖ペプチドを15.2mg(quant.)得た。
式6:
Figure 0006618176
式6で表される9糖オリゴ糖ペプチドの物理的データは以下の通りである。
H−NMR(DO)5.13(s, 1H), 5.04(d, 1H, J=9.6 Hz), 4.92(s, 1H), 4.73−4.67(m, 1H), 4.65−4.58(m, 2H), 4.56(d, 1H, J=8.2 Hz), 4.45(d, 1H, J= 8.2 Hz), 4.42−4.37(m, 1H), 4.34−4.27(m, 1H), 4.26(bs, 1H), 4.24−4.17(m, 2H), 4.17−4.08(m, 3H), 4.05−3.39(m, 53H), 3.05−2.92(m, 4H), 2.91−2.81(m, 1H), 2.75(dd, 1H, J=8.2, 15.8 Hz), 2.67(dd, 1H, J=4.8, 12.4 Hz), 2.11−1.99(m, 1H), 2.08(s, 3H, Ac), 2.07(s, 3H, Ac), 2.05(s, 3H, Ac), 2.03(s, 3H, Ac), 2.00(s, 3H, Ac), 1.93−1.84(m, 1H), 1.83−1.54(m, 7H), 1.53−1.32(m, 4H), 1.38(d, 3H, J=6.9 Hz), 1.17(d, 3H, J=6.2 Hz),1.04−0.89(m, 6H); MALDI TOF MS Calcd for C95H163N14O57[M+H]: 2412.0, found 2413.1
式6で表される9糖オリゴ糖ペプチド(15.2mg,6.2μmol)を40mM塩酸水溶液600μLに溶解し、80℃で2.5時間過熱撹拌した。反応液に1M NaCO水溶液を30μL加えpH=8としたのち、ゲルろ過カラムクロマトグラフィー(Sephadex G−25、17mmφ×540mm、展開溶媒は0.1%アンモニア水溶液)で脱塩し、式7で表される8糖オリゴ糖ペプチドを13.8mg(quant.)得た。下記式7で表される8糖オリゴ糖ペプチドの衝突誘起解離スペクトル(MSスペクトル)を図4(下段)に示す。図4(下段)に示すスペクトルにおいてManα1−6分岐側のGlcNAcβ1−2Man残基が解離したフラグメントイオンの脱水イオンに由来するシグナルm/z508が観測されたことから、ガラクトース残基がManα1−3側鎖の非還元末端に結合していることを確認した。
式7:
Figure 0006618176
式7で表される8糖オリゴ糖ペプチドの物理的データは以下の通りである。
H−NMR(DO)5.15(s, 1H), 5.07(d, 1H, J=9.6 Hz), 4.95(s, 1H), 4.76−4.69(m, 1H), 4.64(bd, 1H, J=6.9 Hz), 4.61(d, 1H, J=7.6 Hz), 4.59(d, 1H,J=8.2 Hz), 4.50(d, 1H, J=7.6 Hz), 4.47−4.40(m, 1H), 4.37−4.30(m, 1H), 4.28(bs, 1H),4.25(dd, 1H, J=4.1, 6.2 Hz), 4.22(bd, 1H, J=2.7 Hz), 4.20−4.11(m, 3H), 4.05−3.42(m, 46H), 3.07−2.85(m, 5H), 2.82−2.71(m, 1H), 2.17−2.02(m, 1H), 2.11(s, 3H, Ac), 2.08(s, 6H, Ac×2), 2.03(s, 3H, Ac), 1.97−1.87(m, 1H), 1.86−1.74(m, 1H), 1.74−1.57(m, 6H), 1.55−1.34(m, 4H), 1.41(d, 3H, J=7.6 Hz),1.20(d, 3H, J=6.9 Hz), 1.04−0.94(m, 6H); MALDI TOF MS Calcd for C84H145N13NaO49[M+Na+H]: 2142.9, found 2142.5
式7で表される8糖オリゴ糖ペプチド(13.8mg,6.5μmol)をリン酸緩衝生理食塩水225μLに溶解し、Streptococcus pyogenes由来のエンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ(1μg/μL)を25μL加えた。反応液を37℃で25時間過熱撹拌し、凍結乾燥した。凍結乾燥後の残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(イアトロビーズ6RS−8060(30mL)、展開溶媒0.1%NHOH:MeOH:EtOAc=1:1:2(250mL)を溶出したのち、0.1%NHOH:MeOH=1:1(200mL)を溶出)。溶出液をTLCで追跡し(発色液はアニスアルデヒド)、Rf値=0.8にスポットが確認された溶出液を減圧濃縮した。濃縮後の残渣をゲルろ過カラムクロマトグラフィー(Sephadex G−25、17mmφ×600mm、展開溶媒は0.1%アンモニア水溶液)で脱塩し、前記式1で表される7糖オリゴ糖を7.7mg(94%)得た。
式1で表される7糖オリゴ糖の物理的データは以下の通りである。
H−NMR(DO)5.22(d, 1H, J=3.4 Hz), 5.13(s, 1H), 4.93(s, 1H), 4.59(d, 1H, J=7.6 Hz), 4.57(d, 1H, J=8.9 Hz), 4.48(d, 1H, J=8.2 Hz), 4.29−4.25(m, 1H), 4.22−4.19(m, 1H), 4.14−4.10(m, 1H), 4.02−3.41(m, 39H), 2.08−2.05(m, 9H, Ac); MALDI TOF MS Calcd for C84H145N13NaO49[M+Na]: 1298.4, found 1299.4
[式2で表される7糖オリゴ糖の調製と構造決定]
実施例1で得られた前記式5で表される10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチド(16.1mg,6.7μmol)を100mM NaCl含有50mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH=6.0)500μLに溶解させ、Bacteroides fragilis由来のガラクトシダーゼ(8000Units/mL)を50μL加えた。この溶液を37℃で加熱撹拌し、22時間後Bacteroides fragilis由来のガラクトシダーゼ(8000Units/mL)を75μL追加し、37℃で加熱撹拌を続けた。47時間後で反応液を凍結乾燥したのち、ゲルろ過カラムクロマトグラフィー(Sephadex G−25、20mmφ×770mm、展開溶媒は0.1%アンモニア水溶液)で脱塩し、下記式8で表される8糖オリゴ糖ペプチド15.7mg(収率97%)得た。
式8:
Figure 0006618176
前記式8で表される9糖オリゴ糖ペプチドの物理的データは以下の通りである。
H−NMR(DO)5.12(s, 1H),5.05(d, 1H, J=9.6 Hz),4.95(s, 1H), 4.71−4.66(m, 1H), 4.65−4.59(m, 2H), 4.56(d, 1H, J=8.2 Hz), 4.46(d, 1H, J=8.2 Hz), 4.43−4.38(m, 1H), 4.35−4.28(m, 1H), 4.26(bs, 1H), 4.23(dd, 1H, J=4.1, 6.2 Hz), 4.21−4.18(m, 1H), 4.16−4.13(m, 1H), 4.13−4.09(m, 2H), 4.03−3.41(m, 53H), 3.04−2.94(m, 4H), 2.90−2.82(m, 1H), 2.80−2.72(m, 1H), 2.71−2.65(dd, 1H, J=4.8, 12.4 Hz), 2.11−2.02(m, 1H), 2.09(s, 3H, Ac), 2.07(s, 3H, Ac), 2.06(s, 3H, Ac), 2.04(s, 3H, Ac), 2.01(s, 3H, Ac), 1.94−1.85(m, 1H), 1.83−1.55(m, 8H), 1.52−1.38(m, 4H), 1.38(d, 3H, J=6.9 Hz), 1.17(d, 3H, J=6.2 Hz), 1.02−0.92(m, 6H); MALDI TOF MS Calcd for C95H163N14O57[M+H]: 2412.0, found 2412.6
前記式8で表される9糖オリゴ糖ペプチド(15.7mg,6.5μmol)を40mM塩酸水溶液600μLに溶解し、80℃で4時間過熱撹拌した。反応液に1M NaCO水溶液を加えpH=8としたのち、ゲルろ過カラムクロマトグラフィー(Sephadex G−25、17mmφ×600mm、展開溶媒は0.1%アンモニア水溶液)で脱塩し、下記式9で表される8糖オリゴ糖ペプチド13.7mg(97%)得た。下記式9で表される8糖オリゴ糖ペプチドの衝突誘起解離スペクトル(MS3スペクトル)を図4(上段)に示す。図4(上段)のスペクトルにおいてManα1−6分岐側のGalβ1−4GlcNAcβ1−2Man残基が解離したフラグメントイオンの脱水イオンに由来するシグナルm/z670が観測されたことから、ガラクトース残基がManα1−6側鎖の非還元末端に結合していることを確認した。
式9:
Figure 0006618176
前記式9で表される8糖オリゴ糖ペプチドの物理的データは以下の通りである。
H−NMR(DO)5.15(s, 1H), 5.07(d, 1H, J=9.6 Hz), 4.96(s, 1H), 4.74−4.69(m, 1H), 4.64(bd, 1H, J=7.6 Hz), 4.61(d, 1H, J=8.2 Hz), 4.58(d, 1H, J=8.2 Hz), 4.50(d,1H,J=8.2Hz), 4.46−4.39(m, 1H), 4.37−4.30(m, 1H), 4.28(bs, 1H), 4.27−4.20(m, 1H), 4.22(bd, 1H, J=2.1 Hz), 4.20−4.10(m, 3H), 4.08−3.42(m, 46H), 3.06−2.85(m, 5H), 2.82−2.70(m, 1H), 2.17−2.02(m, 1H), 2.11(s, 3H, Ac), 2.08(s, 3H, Ac), 2.07(s, 3H, Ac), 2.03(s, 3H, Ac), 1.96−1.86(m, 1H), 1.85−1.74(m, 1H), 1.74−1.57(m, 6H), 1.55−1.34(m, 7H), 1.19(d, 3H, J=6.2 Hz), 1.04−0.94(m,6H); MALDI TOF MS Calcd for C84H145N13NaO49[M+Na+H]: 2142.9, found 2143.8
前記式9で表される8糖オリゴ糖ペプチド(13.7mg,6.5μmol)をリン酸緩衝生理食塩水225μLに溶解し、Streptococcus pyogenes由来のエンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ(1μg/μL)を25μL加えた。反応液を37℃で24時間過熱撹拌し、凍結乾燥した。凍結乾燥後の残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(イアトロビーズ6RS−8060(30mL)、展開溶媒0.1%NHOH:MeOH:EtOAc=1:1:2(400mL)を溶出したのち、0.1%NHOH:MeOH=1:1(200mL)を溶出)。溶出液をTLCで追跡し(発色液はアニスアルデヒド)、Rf値=0.8にスポットが確認された溶出液を減圧濃縮した。濃縮後の残渣をゲルろ過カラムクロマトグラフィー(Sephadex G−25、17mmφ×540mm、展開溶媒は0.1%アンモニア水溶液)で脱塩し、前記式2で表される7糖オリゴ糖を7.9mg(96%)得た。
式2で表される7糖オリゴ糖の物理的データは以下の通りである。
H−NMR(DO)5.22(d, 1H, J=3.4 Hz), 5.12(s, 1H), 4.94−4.92(m, 1H), 4.81−4.76(m, 1H), 4.59(d, 1H, J=8.2 Hz), 4.56(d, 1H, J=8.2 Hz), 4.47(d, 1H, J=7.6 Hz), 4.29−4.24(m, 1H), 4.21−4.18(m, 1H), 4.12(dd, 1H, J=1.4, 3.4 Hz), 4.03−3.41(m, 39H), 2.08−2.04(m, 9H, Ac×3); MALDI TOF MS Calcd for C84H145N13NaO49[M+Na]: 1298.4, found 1297.3
[式1で表される7糖オリゴ糖のワンポット合成]
実施例1で得られた前記式4で表される10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチド(3.0mg,1.2μmol)を50mM リン酸緩衝液(pH6.0)115.83μLに溶解し、Bacteroides thetaiotaomicron由来のガラクトシダーゼ(3μg/μL)を1.17μL加えた。反応液を37℃で21時間過熱撹拌したのち、70℃で1時間加熱しガラクトシダーゼを失活させた。次に、Clostridium perfringens由来のノイラミニダーゼ(5000units/mL)を10μL加えた。37℃で2時間加熱撹拌したのち、Streptococcus pyogenes由来のエンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ(1μg/μL)を5μL加えた。反応液を37℃で20時間過熱撹拌したのち、凍結乾燥した。凍結乾燥後の残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(イアトロビーズ6RS−8060(10mL)、展開溶媒0.1%NHOH:MeOH:EtOAc=1:1:2(45mL)〜0.1%NHOH:MeOH=1:1(30mL)を溶出)。溶出液をTLCで追跡し(発色液はアニスアルデヒド)、Rf値=0.8にスポットが確認された溶出液を減圧濃縮した。濃縮後の残渣をゲルろ過カラムクロマトグラフィーPD−10(GEヘルスケアジャパン(株)、製品コード17085101、展開溶媒は脱イオン水)で脱塩し、前記式1で表される7糖オリゴ糖を1.2mg(86%)得た。実施例2で合成した7糖オリゴ糖とH−NMRスペクトルが一致したことから、構造を決定した。
[式2で表される7糖オリゴ糖のワンポット合成]
実施例1で得られた前記式5で表される10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチド(3.4mg,1.3μmol)を50mM リン酸緩衝液(pH6.0)130.68μLに溶解し、Bacteroides thetaiotaomicron由来のガラクトシダーゼ(3μg/μL)を1.32μL加えた。反応液を37℃で21時間過熱撹拌したのち、70℃で1時間加熱しガラクトシダーゼを失活させた。次に、Clostridium perfringens由来のノイラミニダーゼ(5000units/mL)を10μL加えた。37℃で2時間加熱撹拌したのち、Streptococcus pyogenes由来のエンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼ(1μg/μL)を5μL加えた。反応液を37℃で20時間過熱撹拌したのち、凍結乾燥した。凍結乾燥後の残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(イアトロビーズ6RS−8060(10mL)、展開溶媒0.1%NHOH:MeOH:EtOAc=1:1:2(45mL)〜0.1%NHOH:MeOH=1:1(30mL)を溶出)。溶出液をTLCで追跡し(発色液はアニスアルデヒド)、Rf値=0.8にスポットが確認された溶出液を減圧濃縮した。濃縮後の残渣をゲルろ過カラムクロマトグラフィーPD−10(GEヘルスケアジャパン(株)、製品コード17085101、展開溶媒は脱イオン水)で脱塩し、前記式2で表される7糖オリゴ糖1.7mg(quant.)得た。実施例3で合成した7糖オリゴ糖とH−NMRスペクトルが一致したことから、構造を決定した。
本発明によれば、2本鎖のうち一方の側鎖の非還元末端にガラクトースが1残基結合した2種類の7糖オリゴ糖を簡便かつ収率良く製造する方法を提供することができる。7糖オリゴ糖は、抗体医薬品の主要構成成分であるG1糖鎖を有する抗体の糖鎖供給源であり、新しい医薬品を製造するための原料として利用できる可能性がある。

Claims (4)

  1. (1)下記式3で表される11糖シアリルオリゴ糖ペプチドを加水分解して下記式4と下記式5で表される2種類の10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドを得る工程、(2)前記2種類の10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドのそれぞれを単離精製する工程、および(3)前記単離精製した2種類の10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドのそれぞれについて、非還元末端のガラクトースを加水分解し、シアル酸を加水分解し、還元末端のN、N’−ジアセチルキトビオースを加水分解して、2種類の7糖オリゴ糖を得る工程を含む、7糖オリゴ糖の製造方法。
    式3:
    Figure 0006618176
    式4:
    Figure 0006618176
    式5:
    Figure 0006618176
  2. 前記単離精製を逆相分配クロマトグラフィーで行う、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記工程(3)が、前記単離精製した2種類の10糖モノシアリルオリゴ糖ペプチドのそれぞれについて、(a)ガラクトシダーゼを添加し反応させる工程、(b)ガラクトシダーゼを不活性化する工程、(c)ノイラミニダーゼを添加し反応させる工程、および(d)エンド−β−N−アセチルグルコサミニダーゼを添加し反応させる工程、を順次ワンポットで行い2種類の7糖オリゴ糖を得る工程である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記2種類の7糖オリゴ糖が下記式1、および式2で表される糖鎖である、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
    式1:
    Figure 0006618176
    式2:
    Figure 0006618176
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