JP7261366B1 - 糖ぺプチドを製造する方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、糖ぺプチドを製造する方法であって、鳥類抗体のFc領域を変性する工程、及び変性したFc領域をタンパク質分解酵素で分解をする工程を含み、糖ぺプチドが、糖ジペプチド又は糖トリペプチドである、方法に関する。

Description

本発明は糖ぺプチドを製造する方法に関する。
糖鎖は、単糖が枝状に連結した生体高分子であって、その構造は基本結合単位となる単糖が複数の結合点を有するため多岐に渡る。
生体内における糖鎖は、タンパク質や細胞表面に存在して、タンパク質や細胞の認識、情報伝達に関与している。
中でも、抗体医薬品の有効成分である抗体は、通常、糖鎖構造を有しているが、そのばらつきが、副作用の発現、薬効のばらつきに繋がっている。そこで、糖鎖構造の均一化を図ることが、副作用の抑制、薬効の向上及び血中半減期の延長といった抗体医薬品の品質や機能向上につながることが期待されている。
また、糖鎖構造の異常が、がんなどの疾患と関連することが知られており、疾患のメカニズム解明に糖鎖の利用が試みられている。また、疾患のメカニズムの解明とともに、診断薬への応用も試みられている。
有機合成により均一性を有する糖鎖を得ることができるようになってきている。しかしながら、糖鎖構造の多様性に応じて、立体選択的かつ位置選択的に有機合成を行うには、多段階反応となると共に、合成できる量も限られたものになる。
特許文献1には、天然糖鎖を特定の基質へ導入できる誘導体として、天然由来の糖アスパラギンをFmoc(9-フルオレニルメチルオキシカルボニル)化して得られるFmoc糖アスパラギン、及びFmoc糖アスパラギンから誘導される活性エステル誘導体が開示されている。
非特許文献1には、Fmoc-Asn 高マンノース糖鎖型オリゴ糖を用いた単一のオリゴ糖を有する糖タンパクの強力な製造方法を提供できることが開示されている。実際、単一のオリゴ糖を保持するエリスロポエチン(22~28位)及びインターロイキン13(28~43位)を調製したことも開示されている。
また、非特許文献2には、モノグリコシル化された高マンノース糖鎖型のグリカンであるG1M9のアスパラギン結合型糖鎖を卵黄中のIgYから調整する方法について開示されている。
さらに、特許文献2には、脱脂卵黄から糖数11~5の複合型糖鎖を精製する方法が開示されている。
また、特許文献3~4には、11糖シアルオリゴ糖ペプチドの製造方法が開示されている。
特開平11-255807号公報 特許第4237752号 特許第5680576号 特許第5566226号
Carbohydrate Research (2012) vol. 364, pp 41-48 Carbyhydrate Research (2015) vol 411, pp37-41
しかし、上記先行技術においては、高マンノース型糖鎖についてはアスパラギンのみが結合した糖アスパラギンの製造のみしか達成されていない。また、糖鎖に結合したペプチドについて、Asn―X-Thr/Ser(Xはプロリン以外の任意のアミノ酸)の配列が示唆されているが、その配列を含む高マンノース型糖ペプチドが単離された例はない。
本願が解決しようとする課題は、新たな糖ぺプチドを製造する方法を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、鳥類抗体のFc領域から糖ペプチドを取得する新たな糖ぺプチドを製造する方法を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]
糖ぺプチドを製造する方法であって、
鳥類抗体のFc領域を変性する工程、及び
変性したFc領域をタンパク質分解酵素で分解をする工程を含み、
糖ぺプチドが、糖ジペプチド又は糖トリペプチドである、方法。
[2]
糖ぺプチドの糖鎖が8~12糖で構成される、[1]に記載の方法。
[3]
鳥類抗体のFc領域を変性する工程において、Fc領域が熱又は有機溶媒により変性される、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]
鳥類抗体がIgYである、[1]から[3]のいずれかに記載の方法。
[5]
[1]から[4]のいずれかに記載の方法により得られる糖ジペプチド又は糖トリペプチドを分解酵素で分解をする工程をさらに含む、糖鎖又は糖アスパラギンを製造する方法。
[6]
糖ぺプチドを分離精製する方法であって、
鳥類抗体のFc領域を変性する工程、及び
変性したFc領域をタンパク質分解酵素で分解をする工程を含み、
糖ぺプチドが、糖ジペプチド又は糖トリペプチドである、方法。
[7]
鳥類抗体のFc領域に由来する糖ジペプチド又は糖トリペプチドであって、
8~12糖で構成される糖鎖を有する、糖ジペプチド又は糖トリペプチド。
[8]
鳥類抗体のFc領域に由来する糖トリペプチドであって、
8~12糖で構成される糖鎖を有し、
トリペプチドが、Asn―Gly-Thr/Serを有し、糖鎖はAsnに結合するN-結合型糖トリペプチド(ここで、Asn、Thr及びSerの1以上の残基が保護されていてもよい。)。
[9]
鳥類抗体のFc領域に由来する糖ジペプチドであって、
8~12糖で構成される糖鎖を有し、
ジペプチドが、Asn-Glyを有し、糖鎖はAsnに結合するN-結合型糖ジペプチド(ここで、Asn及びGlyの1以上の残基が保護されていてもよい。)。
本発明によれば、鳥類抗体のFc領域から糖ペプチドを取得する新たな糖ぺプチドを製造する方法を提供することができる。また、本発明により、新規糖ジペプチド及び糖トリペプチドを提供することができる。
質量分析における、糖数が8~12の糖トリペプチド誘導体群の質量ピークを示す。 質量分析における、糖数が8~12の糖ジペプチド誘導体群の質量ピークを示す。 分取した糖数の異なる糖トリペプチド誘導体の質量分析結果を示す。 糖数が12の糖トリペプチド誘導体(Glc1Man9GlcNAc2-Asn(Fmoc)-Gly-Thr)の1H-NMRデータを示す。 糖数が12の糖ジペプチド誘導体(Glc1Man9GlcNAc2-Asn(Fmoc)-Gly)の質量分析結果を示す。 糖数が12の糖ジペプチド誘導体(Glc1Man9GlcNAc2-Asn(Fmoc)-Gly)の1H-NMRデータを示す。 質量分析における、糖数が12の糖アスパラギン誘導体(Glc1Man9GlcNAc2-Asn-Fmoc)の質量ピークを示す。 質量分析における、糖数が12の糖鎖(Glc1Man9GlcNAc2)の質量ピークを示す。 質量分析における、糖数が11の糖鎖の質量ピークを示す。 質量分析における、単離精製した糖数11の糖アスパラギン誘導体の糖鎖の切断が進んでいないことを確認した結果を示す。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明における糖ぺプチドを製造する方法は、
鳥類抗体のFc領域を変性する工程、及び
変性したFc領域をタンパク質分解酵素で分解をする工程を含む。
本発明の糖ぺプチドを製造する方法により得られる糖ぺプチドは、糖ジペプチド又は糖トリペプチドである。
(糖ジペプチド又は糖トリペプチド)
本発明により製造される糖ジペプチド及び糖トリペプチドは、鳥類抗体のFc領域に由来する糖ぺプチドであるので、その構造として、鳥類抗体のFc領域に存在する構造を有する。
すなわち、本発明の製造方法により、鳥類抗体のFc領域に存在する糖鎖を糖ジペプチド又は糖トリペプチドとして得ることができる。
糖ジペプチドは、鳥類抗体のFc領域に由来する糖ジペプチドであることが好ましく、糖トリペプチドは、鳥類抗体のFc領域に由来する糖トリペプチドであることが好ましい。
糖ジペプチド及び糖トリペプチドのペプチド部分は、それぞれ、鳥類抗体のFc領域における糖鎖が結合したアミノ酸を含むジペプチド又はトリペプチドである。
したがって、本発明により製造される糖ジペプチド及び糖トリペプチドはいずれも、鳥類抗体のFc領域に存在する糖鎖が、糖ジペプチド又は糖トリペプチドとして切り出されたものであるので、その構造は、鳥類抗体のFc領域に存在する糖鎖と、糖鎖が結合するアミノ酸とそのアミノ酸が結合するアミノ酸からなるペプチド配列と、に由来する構造となる。
糖ジペプチド又は糖トリペプチドの糖鎖部分の構造は、鳥類抗体のFc領域に存在する糖鎖部分の構造であれば、特に限定されるものではないが、8~12糖で構成される糖鎖であることが好ましい。
糖ジペプチドは、鳥類抗体のFc領域に由来する糖ジペプチドであって、8~12糖で構成される糖鎖を有する、糖ジペプチドであることが好ましく、糖トリペプチドは、鳥類抗体のFc領域に由来する糖トリペプチドであって、8~12糖で構成される糖鎖を有する、糖トリペプチドであることが好ましい。
8~12糖で構成される糖鎖としては、高マンノース型糖鎖として知られる糖鎖であってよい。
高マンノース型糖鎖としては、以下の模式図で表される糖鎖が挙げられる。
Figure 0007261366000001
8~12糖の糖鎖構造として、14種の構造を示す。
□(四角)2つが結合する右側の結合手が、ペプチドとの結合手であり、2つの□は、N-アセチルグルコサミンを意味し、右端に存在するN-アセチルグルコサミンは、いわゆる糖鎖の還元末端を形成する。
以下、12糖である場合を例に説明する。
上からC-アーム、B-アーム、A-アームと言い、A-アームの還元末端は、グルコースである。
A-アームの非還元末端のグルコースと、還元末端の2つのN-アセチルグルコサミン以外の糖は、すべてマンノースである。
各糖間の結合は、鳥類抗体のFc領域に由来する構造中に存在する結合であれば特に限定されるものではないが、α結合、β結合であってよい。糖鎖が結合する水酸基の位置も、鳥類抗体のFc領域に由来する構造中に存在する位置であれば特に限定されるものではないが、1→2結合、1→3結合、1→4結合、1→6結合であってよい。
N-アセチルグルコサミン、グルコース、マンノースは、それぞれ、通常、D糖である。
8~12糖で構成される糖鎖としては、以下の具体的に示す構造を有する糖鎖であることが好ましい。なお、還元末端のN-アセチルグルコサミンが結合するアミノ酸を便宜上、Asn(アスパラギン)として記載している。以下に具体的な例として記載する化合物は、糖数が8~12の糖アスパラギンである。
N-アセチルグルコサミンが、Asnに結合する糖ペプチドを、N-結合型糖ペプチドともいい、それぞれ、糖鎖が結合するペプチドのアミノ酸数に応じて、N-結合型糖トリペプチド、N-結合型糖ジペプチド、N結合型糖アスパラギンともいう。
12糖である場合、糖鎖が以下の構造を有していてよい。
以下の構造中、例えば、α1→2とあるのは、非還元末端側のマンノースが、1位で、還元末端側のマンノースの2位水酸基にα結合していることを意味する。また、β1→Nとあるのは、還元末端のN-アセチルグルコサミンが、1位で、糖ぺプチドのペプチド中のAsnのNとβ結合していることを意味する。以下に示す8~11糖である場合の糖鎖においても同様である。
Glc1Man9GlcNAc2
Figure 0007261366000002
11糖である場合、糖鎖が以下の構造を有していてよい。
Glc1Man8GlcNAc2
Figure 0007261366000003
Man9GlcNAc2
Figure 0007261366000004
10糖である場合、糖鎖が以下の構造を有していてよい。
Glc1Man7GlcNAc2
Figure 0007261366000005
Man8GlcNAc2
Figure 0007261366000006
9糖である場合、糖鎖が以下の構造を有していてよい。
Man7GlcNac2
Figure 0007261366000007
8糖である場合、糖鎖が以下の構造を有していてよい。
Man6GlcNAc2
Figure 0007261366000008
糖ジペプチド又は糖トリペプチドのペプチド部分の構造は、鳥類抗体のFc領域に存在するペプチド部分の構造であれば、特に限定されるものではないが、Asnを含むジペプチド又はトリペプチドであることが好ましい。
ジペプチドにおけるAsnは、N末端アミノ酸であってもC末端アミノ酸であってもよいが、N末端アミノ酸であることが好ましい。
ジペプチドのもう一方のアミノ酸は、鳥類抗体のFc領域に存在するペプチド部分の構造に由来するアミノ酸であれば、特に限定されるものではないが、Gly(グリシン)であることが好ましい。
AsnとGlyは、それぞれ、L-アミノ酸であっても、D-アミノ酸であってもよいが、L-アミノ酸であることが好ましく、ジペプチドは、H2N-Asn-Gly-COOHというジペプチド由来の構造を有していることが好ましい。ここで、H2N-は、Asnに存在するアミノ基であり、-COOHは、Glyに存在するカルボキシル基である。
トリプチドにおけるAsnは、N末端アミノ酸であってもC末端アミノ酸であっても中央に位置するアミノ酸であってもよいが、N末端アミノ酸であることが好ましい。
AsnをN末端に有するトリペプチドは、上記H2N-Asn-Gly-COOHというジペプチド由来の構造を有していることが好ましく、その場合、C末端のアミノ酸は、特に限定されるものではないが、鳥類抗体のFc領域に存在するペプチド部分の構造として、Thr(スレオニン)であるか、Ser(セリン)であることが好ましい。
AsnとGly及びThr又はSerは、それぞれ、L-アミノ酸であっても、D-アミノ酸であってもよいが、L-アミノ酸であることが好ましく、トリペプチドは、H2N-Asn-Gly-Thr/Ser-COOHというトリペプチド由来の構造を有していることが好ましい。ここで、H2N-は、Asnに存在するアミノ基であり、-COOHは、Thr又はSerに存在するカルボキシル基である。
糖トリペプチドは、鳥類抗体のFc領域に由来する糖トリペプチドであって、8~12糖で構成される糖鎖を有し、トリペプチドが、Asn―Gly-Thr/Serを有し、糖鎖はAsnに結合するN-結合型糖トリペプチドであることが好ましい。
糖トリペプチドにおいて、Asn、Thr及びSerの1以上の残基が保護されていてもよい。
糖ジペプチドは、鳥類抗体のFc領域に由来する糖ジペプチドであって、8~12糖で構成される糖鎖を有し、ジペプチドが、Asn-Glyを有し、糖鎖はAsnに結合するN-結合型糖ジペプチドであることが好ましい。
糖ジペプチドにおいて、Asn及びGlyの1以上の残基が保護されていてもよい。
Asn、Thr及びSerの1以上の残基が保護されている場合や、Asn及びGlyの1以上の残基が保護されている場合の、保護されているとは、従来公知のアミノ酸の保護基により各アミノ酸が保護されていることを意味する。Asn、Gly、Thr及びSerの1以上の残基が保護されている場合、糖アスパラギン誘導体、糖ジペプチド誘導体、糖トリペプチド誘導体ともいい、本発明における糖アスパラギン、糖ジペプチド、糖トリペプチドにそれぞれ含まれていてもよい。
Asnは、L-Asnの場合、以下の構造を有するが、糖鎖が結合しているため、アミノ酸側鎖にあるCONH2基に糖鎖が結合し、例えば、AsnがN末端アミノ酸である場合、COOH基で、GlyのNH2基とアミド結合してジペプチドを形成している。
Figure 0007261366000009
AsnがN末端に存在するアミノ酸である場合、残るNH2基が遊離の状態で存在し得るので、当該アミノ基が保護されていてもよい。
Glyは、以下の構造を有するが、GlyがC末端に存在するアミノ酸である場合、NH2基で、AsnのCOOH基とアミド結合している。
Figure 0007261366000010
したがって、残るCOOH基が遊離の状態で存在し得るので、当該カルボキシル基が保護されていてもよい。
Ser又はThrは、それぞれL-Ser又はL-Thrの場合、以下の構造を有するが、Ser又はThrがC末端に存在するアミノ酸である場合、NH2基で、GlyのCOOH基とアミド結合している。
Figure 0007261366000011
Ser又はThrがC末端に存在するアミノ酸である場合、残るCOOH基が遊離の状態で存在し得、また、OH基が存在しているので、当該カルボキシル基及びヒドロキシル基が保護されていてもよい。
アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基の保護基として、それぞれ公知の保護基を利用可能であり、例えば、Greene's Protective Groups in Organic Synthesisに記載の保護基を選択すればよい。
アミノ基の保護基の例としては、Fmoc基、t-ブトキシカルボニル(Boc)基、ベンジルオキシカルボニル(Cbz又はZ)基、p-メトキシベンジルオキシカルボニル(Z(OMe)又はpMZ)基、2-(p-ビフェニル)イソプロピルオキシカルボニル(Bpoc)基等が挙げられる。
カルボキシル基の保護基の例としては、メチルエステル基、エチルエステル基、ベンジルエステル基、t-ブチルエステル基等が挙げられる。メチルエステル基、エチルエステル基、ベンジルエステル基、t-ブチルエステル基は、それぞれ、メチルアルコール、エチルアルコール、ベンジルアルコール、t-ブチルアルコールが、カルボキシル基とエステルを形成することによる保護基である。
ヒドロキシル基の保護基の例としては、アセチル(Ac)基、ベンゾイル(Bz)基、メトキシメチル(MOM)基、ベンジル(Bn)基、t-ブチル(t-Bu)基等が挙げられる。ヒドロキシル基の保護基としては、トリメチルシリル(TMS)基、トリエチルシリル(TES)基、t-ブチルジメチルシリル(TBS)基、トリイソプロピルシリル(TIPS)基、t-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基等のシリル系保護基として知られるものであってもよい。
糖ジペプチド又は糖トリペプチドのアミノ基やカルボキシル基は、遊離の状態(NH2又はCOOH)で存在していてもよく、NH 又はCOOとして存在していてもよく、それらの組み合わせであってもよい。
また、糖ジペプチド又は糖トリペプチドのアミノ基やカルボキシル基は、塩の状態であってもよい。ここで、塩である場合には、特に限定されるものではないが、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩等の有機酸塩等であってもよく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩であってもよい。
本発明における糖ぺプチドを製造する方法は、鳥類抗体のFc領域を変性する工程を含む。
鳥類抗体のFc領域とは、重鎖を構成する領域であって、抗体が抗原に結合した後の反応を惹起するエフェクター機能を有する領域である。
本発明においては、鳥類抗体のFc領域に由来する糖ペプチドを製造するので、Fc領域から糖ペプチドを切り出すことができるのであれば、Fc領域を特に限定することなく利用可能である。
すなわち、本発明において変性されるFc領域は、Fc領域の全領域のうちの全部であっても、その一部であってもよい。また、Fc領域を変性して糖ペプチドを取得可能であれば、Fc領域は、Fc断片を用いてもよく、Fc領域を断片としてではなく、鳥類抗体から直接糖ペプチドを製造してもよい。
鳥類抗体のFc領域を変性する工程は、鳥類抗体のFc断片を変性する工程であってもよく、鳥類抗体から断片化されていないFc領域を、すなわち鳥類抗体自体を変性する工程であってもよい。
Fc断片は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法により、鳥類抗体を取得し、そのFc断片とすればよい。
鳥類抗体は、特に限定されるものではなく、鳥類に由来する抗体であればよく、抗体のすべてのアミノ酸配列が、鳥類に由来するものである。
鳥類としては、ニワトリ、ガチョウ、アヒル等が挙げられ、好ましくはニワトリである。
鳥類抗体のアイソフォームも特に限定されるものではないが、IgY、IgA、IgMが挙げられ、IgYであることが好ましい。
鳥類抗体は、鳥類の卵や血液から従来公知の方法により取得可能である。中でも、鶏卵からは、多くのIgYを取得可能であるため、鶏卵由来の抗体を利用してもよい。
鳥類抗体のFc断片は、鳥類抗体としてのIgYを例えば、パパイン分解することにより得ることができる。
(Fc領域の変性)
鳥類抗体のFc領域を変性する方法とは、Fc領域の立体構造を変化させる方法のことを指す。Fc領域の立体構造を変化させて、タンパク質分解酵素との反応性に変化させることにより、タンパク質分解酵素と反応させた際に異なるアミノ酸数の糖ペプチドが得られる。
鳥類抗体のFc領域を変性する方法としては、Fc領域の立体構造を変化させられれば特に限定されるものではないが、例えば、熱又は有機溶媒により変性する方法が挙げられる。
熱処理してFc領域を変性する場合、タンパク質分解酵素による反応性の観点で、以下のような反応条件で実施することが好ましい。
反応温度は、特に限定されるものではないが70℃~100℃の範囲内の温度が好ましく、75℃~95℃の範囲内の温度がより好ましく、80℃~90℃の範囲内の温度がさらに好ましい。
反応時間は、特に限定されるものではないが1分~20分の範囲内の時間が好ましく、5分~10分の範囲内の時間がより好ましい。
熱処理を行う際の鳥類抗体のFc領域を含む溶液の溶媒としては、例えば、水が好ましく、緩衝液であっても水溶液であってもよい。
有機溶媒処理してFc領域を変性する場合、用いる有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、アセトン、メタノール、エタノール、2-プロパノール、クロロホルム、酢酸エチル等が挙げられる。
有機溶媒として、1種の溶媒を用いてもよく、2種以上の溶媒の混合溶媒を用いてもよい。
また、水溶性の有機溶媒については、有機溶媒を含む水溶液により鳥類抗体のFc領域を変性してもよい。
反応時間は、特に限定されるものではないが1時間~24時間の範囲内の時間が好ましく、3時間~12時間の範囲内の時間がより好ましい。
反応温度は、特に限定されるものではなく、例えば、室温であってよい。
有機溶媒処理においては、鳥類抗体のFc領域を直接的に有機溶媒に浸漬あるいは接触させて処理してもよいが、鳥類抗体のFc領域を含む溶液に対して、有機溶媒を添加してもよく、有機溶媒に対して、鳥類抗体のFc領域を含む溶液を添加してもよい。
(変性したFc領域の分解)
変性した鳥類抗体のFc領域を分解する方法において用いるタンパク質分解酵素として、アクチナーゼ E、プロナーゼ、オリエンターゼ等を使用することができるが、基質特異性の観点から、アクチナーゼ Eが好ましい。
鳥類抗体のFc領域をタンパク質分解酵素で分解する方法として、反応温度は、特に限定されるものではないが、25℃~50℃の範囲内の温度が好ましく、35℃~45℃の範囲内の温度がより好ましい。
反応時間は、特に限定されるものではないが12時間~168時間の範囲内の時間が好ましく、24時間~96時間の範囲内の時間がより好ましい。
変性した鳥類抗体のFc領域をタンパク質分解酵素で分解をすることにより、糖ジペプチド又は糖トリペプチドを得ることができる。
タンパク質分解酵素での分解後の糖ジペプチド又は糖トリペプチドの精製方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法により実施可能である。
タンパク質分解酵素による処理液を、タンパク質分解酵素を失活させた後、例えば、カラムクロマトグラフィー等により糖ジペプチド又は糖トリペプチドを粗精製してもよい。
また、得られた糖ジペプチド又は糖トリペプチドに対して、保護基を導入してからさらに精製を行ってもよい。
糖ジペプチド又は糖トリペプチドに対する保護基の導入反応は特に限定されるものではなく、従来公知の方法により実施可能である。
保護基を導入した糖ジペプチド又は糖トリペプチドの精製も特に限定されるものではなく、従来公知の方法により実施可能である。
本発明の糖ペプチドの製造方法により得られた糖ジペプチド又は糖トリペプチドは、さらに、分解酵素、好ましくはタンパク質分解酵素で分解をすることにより糖アスパラギンを得ることができる。
タンパク質分解酵素は、特に限定されるものではないが、例えば、アクチナーゼ E、カルボキシペプチダーゼ、アミノペプチダーゼ等が挙げられ、アクチナーゼ Eとカルボキシペプチダーゼが好ましい。
本発明の糖ペプチドの製造方法により得られた糖ジペプチド又は糖トリペプチドは、さらに、分解酵素で分解をすることにより、還元末端にアミノ酸が結合していない糖鎖を得ることができる。
用いるNグリカナーゼとしては、特に限定されるものではないが、PNGaseFが好ましい。
本発明の糖ぺプチドの製造方法は、糖ぺプチドを分離精製する方法であってもよい。
すなわち、本発明の一態様として、鳥類抗体のFc領域を変性する工程、及び
変性したFc領域をタンパク質分解酵素で分解をする工程を含み、
糖ぺプチドが、糖ジペプチド又は糖トリペプチドである、糖ぺプチドを分離精製する方法であってもよい。
糖ペプチドを分離精製する方法においては、本発明の糖ぺプチドの製造方法について記載した事項がそのまま適用可能である。
本発明の方法により得られる糖ペプチドは、研究試薬、工業用原料、医薬品添加物として利用可能である。例えば、糖尿病やアルツハイマー病などのフォールディング病では、高マンノース型の8~12糖の産生比率が生体内で変化することが知られており、本発明の糖ペプチドは、疾患の兆候を解析する糖ペプチド型プローブとして利用可能である。また、糖ペプチドは、抗糖鎖抗体の抗原としての応用や、タンパク質医薬に対して糖鎖を導入することによる機能調整が期待される。
糖鎖の機能や酵素による糖鎖の認識は、結合しているアミノ酸数によって変化することが知られており、その中でもコンセンサス配列を含んだ任意のペプチドは、優位な性質を持つことが示されている。
コンセンサス配列とは、生体内においてタンパク質上にN-結合型糖鎖が生合成される際に必要な3つのアミノ酸からなる配列であり、Asn―X-Thr/Ser(Xはプロリン以外の任意のアミノ酸)である。
本発明においては、生体内で糖鎖の代謝に関わっているPNGaseの活性が、糖アスパラギンと糖トリペプチド、糖ジペプチドで異なることを見出した。この反応により、効率的な製造が未達成であるアミノ酸が結合していない糖鎖を得ることも可能となる。したがって、本発明によって得られる糖トリペプチド、糖ジペプチドは、糖アスパラギンとは異なる性質を有し、糖アスパラギンでは得ることのできない効果をもたらす。
以下、本実施の形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施の形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、本実施の形態に用いられる測定方法は以下のとおりである。
[HPLC分析]
日本分光社製 LC-2000シリーズ PLUS
カラム:INERTSIL Amide column 5μm,10×250mm
流速:5mL/min
UV:273nm
グラディエント:CHCN/NHHCO(100mM、pH4.5)=65/35→
50/50(60min)
[質量分析]
島津社製 AXIMA-CFRplus
イオン化:MALDI
モード:Positive
H-NMR]
JEOL製 JNE-ECA500型FTNMR スペクトルメーター(500MHz)
溶媒:D
<実施例1>
(a)約180mgのIgYのFc領域が含まれている画分に対して、エタノールを5倍量加え、一晩静置した。遠心分離にて沈殿物を回収し、トリス-塩酸・塩化カルシウム緩衝液(pH=8.0,90mL)に溶解させ、アジ化ナトリウム(0.38mg)を加えた。さらに、アクチナーゼ E(科研製薬社製,36mg)を加え、37℃で48時間反応させた。
(b)反応終了後、遠心分離にて上清を回収した。Cottonを詰めたカラムを用いてグラディエント(CH3CN/H2O=90/10→0/100)条件下で精製して、糖ペプチドが含まれている画分を回収した。
(c)回収した画分を濃縮し、得られた残留物(約11.6mg)を水・アセトン溶媒(水/アセトン=3/2,1mL)に溶解させ、炭酸水素ナトリウム(3.9mg)を加えた。N-(9-フルオレニルメトキシカルボニルオキシ)スクシンイミド(Fmoc-OSu,7.8mg)を加え、室温で6時間反応させ、エバポレーターを用いて濃縮した。逆相カラム(Sep-Pak C-18,Waters社製)を用い、グラディエント(H2O/CH3OH=90/10→60/40)条件下で精製して、目的物である糖数8~12の高マンノース型糖トリペプチド誘導体群(7.7mg)を得た。質量分析にて、目的物である糖数が8~12の高マンノース型糖トリペプチド誘導体群の質量ピーク(図1)を確認した。
<実施例2>
(a)約180mgのIgYのFc領域が含まれている画分を85℃で10分間インキュベートし、トリス-塩酸・塩化カルシウム緩衝液(pH=8.0,90mL)になるよう調整し、アジ化ナトリウム(0.38mg)を加えた。さらに、アクチナーゼ E(科研製薬社製,36mg)を加え、37℃で48時間反応させた。
(b)反応終了後、遠心分離にて上清を回収した。Cottonを詰めたカラムを用いてグラディエント(CH3CN/H2O=90/10→0/100)条件下で精製して、糖ペプチドが含まれている画分を回収した。
(c)回収した画分を濃縮し、得られた残留物(約11.4mg)を水・アセトン溶媒(水/アセトン=3/2.1mL)に溶解させ、炭酸水素ナトリウム(3.8mg)を加えた。N-(9-フルオレニルメトキシカルボニルオキシ)スクシンイミド(Fmoc-OSu,7.5mg)を加え、室温で6時間反応させ、エバポレーターを用いて濃縮した。逆相カラム(Sep-Pak C-18,Waters社製)を用い、グラディエント(H2O/CH3OH=90/10→60/40)条件下で精製して、目的物である糖数8~12の高マンノース型糖トリペプチド誘導体群(7.5mg)を得た。質量分析にて、目的物である糖数が8~12の高マンノース型糖ジペプチド誘導体群の質量ピーク(図2)を確認した。
<実施例3>
(a)実施例1で得られた高マンノース型糖トリペプチド誘導体群をHPLC分取カラムにて12糖、11糖、10糖、9糖、8糖を各々精製した。分取した糖数の異なる糖トリペプチド誘導体の質量分析結果を示す(図3)。
約47分後に出てくるメインのピークを分取し、ゲルろ過クロマトグラフィーによって脱塩処理を行った。減圧濃縮後に真空乾燥すると、糖数が12の糖トリペプチド誘導体(Glc1Man9GlcNAc2-Asn(Fmoc)-Gly-Thr)約2.6mgを得た。得られた化合物のH-NMRデータ(図4)を示す。
<実施例4>
(a)実施例2で得られた高マンノース型糖ジペプチド誘導体群をHPLC分取カラムにて12糖、11糖、10糖、9糖、8糖を各々精製した。
約47分後に出てくるメインのピークを分取し、ゲルろ過クロマトグラフィーによって脱塩処理を行った。減圧濃縮後に真空で乾燥すると、糖数が12の糖ジペプチド誘導体(Glc1Man9GlcNAc2-Asn(Fmoc)-Gly)約2.4mgを得た。得られた化合物の質量分析結果(図5)及びH-NMRデータ(図6)を示す。
<実施例5>
(a)糖数が12の糖ジペプチド誘導体(Glc1Man9GlcNAc2-Asn(Fmoc)-Gly)1.0mgをトリス-塩酸・塩化カルシウム緩衝液(pH=8.0,900μL)に溶解し、10%アジ化ナトリウム水溶液を加え、モル濃度を0.05%に調整した。さらに、アクチナーゼ E(科研製薬社製,0.2mg)を加え、37℃で48時間反応させた。質量分析にて、アミノ酸が切断された糖アスパラギン誘導体(Glc1Man9GlcNAc2-Asn-Fmoc)の質量ピーク(図7)を確認した。
<実施例6>
(a)1μgの単離精製した糖数12の糖トリペプチド誘導体(Glc1Man9GlcNAc2-Asn(Fmoc)-Gly-Thr)を反応液(pH=7.5,50mM リン酸バッファー,1% NP-40)に溶解し、PNGase F(NEW ENGLAND BioLabs社製,4μg)を加え、37℃で2時間反応させた。質量分析にて、ペプチド数がゼロ個で糖数が12の糖鎖(Glc1Man9GlcNAc2)の質量ピーク(図8)を確認した。
<実施例7>
(a)1μgの単離精製した糖数11の糖ジペプチド誘導体を反応液(pH=7.5,50mM リン酸バッファー,1% NP-40)に溶解し、PNGase F(NEW ENGLAND BioLabs社製,4μg)を加え、37℃で2時間反応させた。質量分析にて、ペプチド数がゼロ個で糖数が11の糖鎖の質量ピーク(図9)を確認した。
<実施例8>
(a)1μgの単離精製した糖数11の糖アスパラギン誘導体を反応液(pH=7.5,50mM リン酸バッファー,1% NP-40)に溶解し、PNGase F(NEW ENGLAND BioLabs社製,4μg)を加え、37℃で2時間反応させた。質量分析にて、糖鎖の切断が進んでいないことを確認した(図10)。

Claims (9)

  1. 糖ぺプチドを製造する方法であって、
    鳥類抗体のFc領域を変性する工程、及び
    変性したFc領域をタンパク質分解酵素で分解をする工程を含み、
    糖ぺプチドが、糖ジペプチド又は糖トリペプチドである、方法。
  2. 糖ぺプチドの糖鎖が8~12糖で構成される、請求項1に記載の方法。
  3. 鳥類抗体のFc領域を変性する工程において、Fc領域が熱又は有機溶媒により変性される、請求項1に記載の方法。
  4. 鳥類抗体がIgYである、請求項1に記載の方法。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の方法により得られる糖ジペプチド又は糖トリペプチドを分解酵素で分解をする工程をさらに含む、糖鎖又は糖アスパラギンを製造する方法。
  6. 糖ぺプチドを分離精製する方法であって、
    鳥類抗体のFc領域を変性する工程、及び
    変性したFc領域をタンパク質分解酵素で分解をする工程を含み、
    糖ぺプチドが、糖ジペプチド又は糖トリペプチドである、方法。
  7. 鳥類抗体のFc領域に由来する糖ジペプチド又は糖トリペプチドであって、
    8~12糖で構成される糖鎖を有する、糖ジペプチド又は糖トリペプチド。
  8. 鳥類抗体のFc領域に由来する糖トリペプチドであって、
    8~12糖で構成される糖鎖を有し、
    トリペプチドが、Asn―Gly-Thr/Serを有し、糖鎖はAsnに結合するN-結合型糖トリペプチド(ここで、Asn、Thr及びSerの1以上の残基が保護されていてもよい。)。
  9. 鳥類抗体のFc領域に由来する糖ジペプチドであって、
    8~12糖で構成される糖鎖を有し、
    ジペプチドが、Asn-Glyを有し、糖鎖はAsnに結合するN-結合型糖ジペプチド(ここで、Asn及びGlyの1以上の残基が保護されていてもよい。)。
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