JP6615459B2 - 金属インサート部品を用いる樹脂成型品の製造方法及び高周波誘導加熱のモニタリング方法と加熱温度把握方法 - Google Patents

金属インサート部品を用いる樹脂成型品の製造方法及び高周波誘導加熱のモニタリング方法と加熱温度把握方法 Download PDF

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本発明は、高周波誘導加熱により金属と樹脂との接合面に存在する樹脂を溶融させ、接合の密着性又は接着性を高めることができる金属インサート部品、該金属インサート部品を用いる樹脂成型品の製造方法、及び前記樹脂成型品の製造方法に利用できる高周波誘導加熱のモニタリング方法と加熱温度把握方法に関する。
金属部品と樹脂とを接合する方法に関しては、特許文献1で提案されているように、金属表面に化学的エッチング処理を施し微細な凹凸を設け、この凹凸にインサートモールド時に溶融した樹脂を浸入させ樹脂が冷却硬化した後形成されるアンカー(投錨)の効果により樹脂と金属を物理的に接合させる方法や、特許文献2で提案されているように高周波加熱により金属・樹脂接合面の樹脂を溶融させ接合させる方法等が提案されている。
国際公開第2008/047811号 特開平5−237934号公報
前記特許文献1に開示されているアンカー効果を利用する方法は、十分にその作用を発揮するために、樹脂射出成型時に溶融した樹脂の温度(粘度)と射出成型時の圧力を適正に制御する必要があるが、成型時の熱と圧力とを積極的かつ正確に調整することは困難である。これは、樹脂成型作業時の成形機ノズル内樹脂温度と金型内部各部分の樹脂温度が正確に一致しないことが一般常識として知られていることからも容易に想像できる。
また、前記特許文献2に開示されている、高周波加熱により金属・樹脂接合面の樹脂を溶融させ結合させる方法は、高周波加熱による熱により樹脂が軟化・溶融し、樹脂層の一部が接合面の外側に押し出されることで残留応力を解消するのに好適な構成となっている。しかしながら、この方法は単純な形状の金属・樹脂接合面の表面部分を一様に加熱する構成であり、加熱部を特定することが難しく、効率的な加熱を行うために接合を必要とする部位を選択的に加熱するという観点については何等考慮されていない。
本発明の目的は、気密性を確保し、かつ耐久性に優れた樹脂材料と金属材料からなるインサートモールドを行うため、前記樹脂と前記金属との接合に高周波誘導加熱を利用するときに必要とされる樹脂と金属インサート接触部分の温度(粘度)を制御するために好適な接合継手構造を有する金属インサート部品、該金属インサート部品を用いる樹脂成型品の製造方法、及び前記樹脂成型品の製造方法に利用できる高周波誘導加熱のモニタリング方法と加熱温度把握方法を提供することにある。
本発明の構成は以下の通りである。
[1]本発明は、高周波誘導加熱を利用して金属材部品がインサート成型された樹脂成型品を製造する方法であって、前記金属材部品には、前記高周波誘導加熱によって局部的な加熱を行うための突起部分が、前記金属材部品の直径若しくは長径よりも大きい直径若しくは長さで、少なくとも外周部分が切れ間のないループ形状を描くように形成されており、前記金属材部品からなる金属インサート部品を用いて、射出成型、圧縮成形又はトランスファー成形によって樹脂成型を行う工程、前記金属材部品に形成された前記突起部分に高周波誘導装置の高周波誘導コイルを近づけて誘導加熱を行う工程、及び冷却工程を有することを特徴とする樹脂成型品の製造方法を提供する。
[2]本発明は、前記金属インサート部品において、前記突起部分が、円形、楕円形又は多角形の断面を有する環形状、算盤球形状、及びひし形、多角形、円形又は楕円形の平面形状の何れかの形状で形成されることを特徴とする前記[1]に記載の樹脂成型品の製造方法を提供する。
[3]本発明は、前記金属インサート部品において、前記突起部分の中心及びその近傍部が前記金属材部品を構成する金属材料で内実されているか、若しくは開孔されていることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の樹脂成型品の製造方法を提供する。
[4]本発明は、前記金属インサート部品において、前記金属材部品の表面に樹脂材との接合を促すための表面処理が施されていることを特徴とする前記[1]〜[3]の何れか一項に記載の樹脂成型品の製造方法を提供する。
[5]本発明は、前記金属インサート部品において、前記樹脂材との接合を促すための表面処理が前記金属材部品に形成された前記突起部分だけに施されたことを特徴とする前記[4]に記載の樹脂成型品の製造方法を提供する。
[6]本発明は、前記樹脂成型品が配線カプラ形態のコネクタ形状を有し、前記金属インサート部品をリード端子として使用することを特徴とする前記[1]〜[5]の何れか一項に記載の樹脂成型品の製造方法を提供する。
[7]本発明は、前記樹脂成型品が電気・電子部品の冷却用ヒートシンクとして使用される樹脂成型品であり、前記金属インサート部品を前記ヒートシンクの金属材部品として使用することを特徴とする前記[1]〜[5]の何れか一項に記載の樹脂成型品の製造方法を提供する。
[8]本発明は、前記金属材部品がインサート成型された樹脂成型品において、前記金属インサート部品が有する前記突起部分の周囲に存在する成型樹脂の外面に、前記高周波誘導加熱用の高周波誘導コイルを配置するための凹みを設けることを特徴とする前記[1]〜[7]の何れか一項に記載の樹脂成型品の製造方法を提供する。
[9]本発明は、前記金属インサート材部品が有する前記突起部分の最短距離表面と前記成型樹脂の外面に設けられた前記凹みの底部との距離が 6mm以下であることを特徴とする前記[8]に記載の樹脂成型品の製造方法を提供する。
[10]本発明は、前記[1]〜[9]の何れか一項に記載の樹脂成型品の製造方法において高周波誘導加熱のモニタリングを行う方法であって、前記樹脂成型品の外部で、前記金属インサート部品の高周波誘導加熱効果が最も大きく得られる前記突起部分の部位の近い位置に配置する高周波誘導コイルから発生する磁力線による磁束を感知し、該磁束のプローブ信号を高周波発振器に帰還させて前記高周波発信器の出力値を制御することを特徴とする高周波誘導加熱のモニタリング方法を提供する。
[11]本発明は、前記[1]〜[9]の何れか一項に記載の樹脂成型品の製造方法において前記高周波誘導加熱によって前記金属材部品に形成した前記突起部分を加熱させるときの温度範囲を最適化するための温度把握方法であって、前記金属材部品の一部が露出するように前記金属材部品の両側側面を樹脂でインサート成型した試料を用いて、前記試料の長手方向の一端から局部的に加熱し、該加熱した熱が前記試料の長手方向の他端に向けて熱伝導するときに観測される温度勾配を計測する工程と、前記加熱後の試料を分解し、前記試料の長手方向において樹脂の溶融状態を観測することによって良好な接合状態が得られた点を確認する工程と、前記試料の長手方向で計測された温度勾配と前記良好な接合状態が得られた点とを対比することによって、前記良好な接合状態が得られた点の加熱温度範囲を推定する工程とを有し、前記推定した加熱温度範囲に基づいて、前記突起部分を加熱させるときの前記高周波誘導加熱条件を調整することを特徴とする高周波誘導加熱の温度把握方法を提供する。
[発明の効果]
本発明のインサート金属部品は、高周波誘導加熱工程を施すときに金属材部品に形成した突起部分で選択的に効率的な加熱を行うことができるため、樹脂の過剰な流動やボイド発生等を抑制させながら、金属と樹脂との接合面に存在する樹脂を溶融させ、接合の密着性又は接着性を高めることができる。それによって、従来の金属インサート構造を有する樹脂成型品と比べて、樹脂成型品の気密性を大幅に向上でき、信頼性の高い各種インサート成形品を製造することができる。
また、金属材部品がインサート成型された樹脂成型品に高周波誘導加熱を施すときに、本発明の高周波誘導加熱のモニタリング方法及び温度把握方法を利用することによって、金属と樹脂との密着性又は接着性を向上するための高周波誘導加熱の最適条件を見出すことができるだけでなく、その調整を適切に行うことができる。
簡単な構成のインサートモールド部品外観の例を示す図である。 図1のA−A断面及びA’−A’断面をそれぞれ示す図である。 誘導加熱の原理を模式的に示す図である。 誘導加熱の原理を模式的に示すための別の図である。 誘導加熱の原理で磁束分布等を示す図である。 図1及び図2に示す金属部品1の一例を示す斜視図である。 図6の別の例を示す図である。 図6の別の例を示す図である。 図1とは別のインサートモールド部品の外観形状例を示す図である。 図9のC−C断面及びC’−C’断面をそれぞれ示す図である。 図10の(b)に示すタイプの例として挙げた電磁ポンプのプランジャーケースの断面図である。 高周波誘導加熱原理における距離と加熱効率の関係についての概念図である。 図9とは別のインサートモールド部品の外観形状例を示す図である。 図13の断面D−D図である。 図14に示す溝部9の近傍を拡大した図である。 図13とは別のインサートモールド部品の外観形状例を示す図である。 図16のE−E断面図である。 金属材部品に形成した突起部分の一部に表面処理を施した本発明の金属インサート部品の例を示す図である。 金属材部品に形成した突起部分の全体及びその周辺部分に表面処理を施した本発明の金属インサート部品の例を示す図である。 本発明で使用する金属部品1が複数本ある概略図である。 図20とは別のインサートモールド部品の外観形状例を示す図である。 本発明の金属インサート部品を配線カプラ形態のコネクタ形状へ適用した樹脂成型品の外観概略図及び矢視Fより見た図である。 本発明の金属インサート部品を配線カプラ形態の別のコネクタ形状へ適用した樹脂成型品の外観概略図、矢視Fより見た図及びG−G断面図である。 本発明で使用する金属部品101の別の形状例を示す図である。 本発明で使用する金属部品101の別の形状例を示す図である。 本発明で使用する金属部品101の別の形状例を示す図である。 本発明の金属インサート部品を冷却用ヒートシンクの金属材部品として適用した樹脂成型品の外観概略図及びH−H断面図である。 本発明の高周波誘導加熱のモニタリング方法を実施するときの好適な構成を示す図である。 本発明の高周波誘導加熱の温度把握方法に用いる試験片の外観を示す図である。 図29の平面図である。 図30のI−I断面及び該断面線における温度分布概念を示す図である。 機器接続ブロックを示す図である。
以下、図を用いて、本発明の実施形態による金属材料と樹脂材料とのインサートモールド構成及び各部分の作用について説明する。
<実施の形態1>
図1は簡単な構成のインサートモールド部品外観の例を示している。図1に示すインサートモールド部品は金属材部品1と樹脂部品2からなっていて、金属材部品1が樹脂部品2を貫通しており、図1の(a)及び(b)は、金属材部品1としてそれぞれ棒材及びパイプ材を有するインサートモールド部品の外観を示す図である。
図2の(a)及び(b)は、図1の(a)及び(b)に示すA−A及びA’−A’のそれぞれに対応する断面図であり、高周波誘導加熱時の各部位の位置関係を示している。図2において、図1と同じ符号は、図1と同一の部位を示す。
金属材部品1には環状突起部分4が設けられていて、樹脂部品2の外部に高周波誘導コイル3が配置されている。本実施形態において、環状突起部分4は、高周波誘導加熱によって局所的な加熱を行うための突起部分として設けるものであり、金属材部品1の直径若しくは長径よりも大きい直径若しくは長さで形成される。ここで、金属材部品1の長径とは、例えば、金属材部品1の断面形状が多角形である場合、前記多角形の最も長い辺又は対角線のそれぞれの長さを意味する。前記コイル3に図示されない高周波発振器の出力電流が印加されると前記環状部と前記コイル3の最短距離表面5が加熱される。この原理を図3から図5を用いて説明する。
図3は、高周波誘導加熱原理の基本的な説明図である。高周波発振器6の出力電流をコイル3に印加すると磁束7が発生し、該磁束7内に、例えば金属を置いた場合(図3には金属は図示されていない)、該金属内部にうず電流が発生し該電流によるジュール熱が発生する。
図4は前記コイル3の内側に前記環状部4の形状を簡素化して表現した金属材401を置いた状態を示している。
図5は、図4のB−B断面を示していて、コイル3への高周波電流印加による金属材401の誘導電流印加解析結果を示している。図5において、コンターの濃淡は高周波誘導加熱による温度上昇分布を示していて、濃い部分程、温度上昇が高い部分を示す。磁束7は前記コイル3を取り巻くように発生し、磁束7の作用は、金属材401中では前記コイル3に近い部分に集中する。
また、通常コイル3は中空になっていて該コイル3自身の冷却のために、冷却水を流通させる。
図6に、図1の(a)及び図2の(a)に示す棒材からなる金属材部品1の一例を斜視図で示す。前記金属材部品1が円筒状であり、前記環状突起部分4が円弧形状で構成されている。
図7は図6の別の例を示す。前記金属材部品1が四角柱形状であり、前記環状突起部分4が円筒形状の例である。本実施の形態においては、図7に示す四角柱等の多角形の断面を有する角柱形状の他にも、円形状であっても良い。
図8は図6の別の例を示す。前記金属材部品1が円筒状であり前記環状突起部分4が算盤球形状の例である。
本実施の形態においては、金属材部品1が棒材に代えてパイプ材からなるものであっても、図6、図7及び図8に示すものと同じ形状を有することができる。
本発明では、高周波誘導による前記渦電流が環状突起部分4の外周で途切れることなく流れるために、突起部分に相当する環状部4の外周部分が切れ間のないループ形状を描くように、金属材部品1の直径若しくは長径よりも大きい直径若しくは長さで形成されることを要件としている。ここで、環状突起部分4に相当する部分が、仮に、突起ではなく、金属材部品1の直径若しくは長径よりも小さい直径若しくは長さで形成された場合には、高周波誘導による磁束が直径若しくは長径が相対的に大きな金属材部品1のエッジ部分に集中し、該エッジ部分で加熱が加速されるため形状としては不適である。したがって、図6に示す形状に限らず、図7及び図8で示した金属材部品1と環状突起部分4の各形状の何れの組合せも本発明の前記要件が成立しており、前記要件さえ満たせば、その組合せは問わない。
<実施の形態2>
図9に、図1で説明した例と異なり、コイル3の別の配置例を示すためにインサートモールド部品の外観形状の例を示す。図9の(a)及び(b)は、金属材部品1としてそれぞれ棒材及びパイプ材を有するインサートモールド部品の外観形状を示す図である。
本実施の形態では、図1の場合と同様に金属材部品1が樹脂部品2を貫通しているが、前記樹脂部品2の外周の一部に凹み部8が設けられている。
図10の(a)及び(b)は、図9の(a)及び(b)に示すC−C及びC’−C’のそれぞれに対応する断面図である。図からも明らかなように、図1及び図2の例に対して、図9及び図10の例では高周波誘導コイル3と環状突起部分4の最短距離表面5との距離(L)が短縮された構成になっている。
図10の(a)に示すタイプのインサートモールド部品は、例えば、筐体外部から筐体内部に金属材部品1を通して通電を行う場合で、筐体内部へ水や油の侵入を防止するための用途に適用することができる。
他方、図10の(b)に示すタイプのインサートモールド部品は、筐体(タンク)内部に水や油等の液体(又は流体)が存在し、パイプ材からなる金属材部品1の内部を前記液体(又は流体)が通過するときに金属材部品1と樹脂部品2との密着性を向上させ、筐体(タンク)内部の気密性を確保する必要がある用途に適用が可能である。この用途としては、例えば、図11に示すように電磁ポンプのブランジャーケース(パイプ)が挙げられる。図11に示す電磁ポンプのブランジャーケース(パイプ)は、駆動コイルによってプランジャーを往復駆動させることによって、逆止弁が備えられたパイプの内部に液体を通過させ、前記液体を筐体(タンク)外部へ吐出させる機能を有する。
次に、図12を用いて、高周波誘導コイル3と環状突起部分4の最短距離表面5との距離(L)が短縮された場合の効果を説明する。図12は一般に知られている高周波誘導加熱の原理である。横軸に高周波誘導加熱におけるコイルと被加熱物との距離(L)をとり、縦軸に加熱効率をとったグラフである。グラフから前記距離の2乗に反比例し加熱効率が低下する現象が読み取れる。つまり、コイルと被加熱物との距離(L)を減少させることにより、目標とする被加熱物の到達温度が一定ならば、少ない印加電力で温度上昇を達成できることを示していて、これは、エネルギーの効率化ひいては省エネルギーに寄与するものである。
また、高周波誘導コイル3と環状突起部分4の最短距離表面5との距離(L)の上限及び下限値の設定に対しては、次に述べる制約により決定されるものである。
上限値は、前記加熱効率と高周波発振器の出力能力により決まり、6mm程度が限度となる。当然のことながら大出力の発信器を持ってすればこれより長い距離でも加熱することが出来るが、加熱を必要としない部分の温度上昇を避けるだけでなく、エネルギーの効率化の視点からも推奨されない。
下限値については、本提案が樹脂材内部の金属材を高周波誘導加熱し、樹脂材と金属材接触面で樹脂材を加熱し軟化・溶融させることを目的としているので、前記樹脂材の肉厚は該樹脂材が溶出しない範囲となり、樹脂材の種類と加熱熱量(加熱時間)との組み合わせ条件によるが1mm程度が限度となる。これ以上前記距離が短くなると溶出しないまでも樹脂外面の膨らみ等の不具合が発生することになる。
<実施の形態3>
図13は、図9で説明した例とは異なり、金属材部品1と樹脂部品2との間に溝部9を設けた構成である。
図14は、図13の断面D−Dを示す。
図14は、図10で説明したものと同様に、金属材部品1が樹脂部品2の内部にインサートモールドされている。本例では環状突起部分4の近傍に溝部9を設けている。該溝部9の作用について、図15を用いて説明する。
図15は図14の溝部9近傍を拡大した図で、コイル3により高周波誘導加熱作業実施後の状態を示している。コイル3への高周波電流印加により環状突起部分4の温度が上昇し、ついで樹脂部2が溶融し溝部9に溶出し溶融痕10が生じる。このことが意味するところは、溶融痕10が存在する加工品は該高周波電流印加による加熱作業が適切に行われた証とみることができる。したがって、溶融痕10の存在をもって工程完了の証明とすることができる。つまり、溶融痕10の有無確認により製造工程における作業もれの有無の判断ができるということである。これは非常に簡単な判別方法であり特別な費用を発生させず確実な該判断ができる。
図16は、図13で説明した金属材部品1と樹脂部品2との間の溝部9について異なった形状例を示しており、図7で説明した外周の一部に凹み8が形成されている。
図17は、図16のE−E断面を示す。この例では、図16に示す凹み部8に相当する部分の円筒状形状が、円弧状の凹み801で構成された例である。
<実施の形態4>
図18に請求項4項及び5項についての形態例を示す。
前記環状部4にハッチングで示す塗布部4aに表面処理が施されたものである。
一般に樹脂と金属との接合では環境温度変化に伴う線膨張係数差による接合部分の破壊が問題になるが、本塗布形態とすることにより樹脂と金属との接続部分が前記塗布部4aのほぼ1点に限られるので前記線膨張係数差による接合部分の破壊に関わる応力が低減できるという効果がある。この接合部分の幅は概略1mm以上あれば実用となる。
図19は図18に対して表面処理が広範囲な例である。
この場合塗布範囲は4bの範囲となる。この例が成立するためには前記樹脂と金属との線膨張係数差が少ない場合である。本発明において表面処置を施す部分は、図18及び図19に示す部分に限定されず、金属材部品の他の部分、必要に応じて金属材部品の全体であっても良い。
本実施形態で行う表面処理は、少なくとも突起部分に相当する環状部4a又は4bにおいて樹脂との接着性又は密着性を向上させるために施すものである。この表面処理は公知の既存の種々の技法を用いて行うことが可能である。例えば、金属インサート部品の表面に、特定のトリアジン化合物と、該特定のトリアジン化合物と化学反応が可能な有機化合物とを含む密着剤を用いて接着層を形成するTRI System(株式会社東亜電化の登録商標、住所:岩手県盛岡市玉山区渋民字岩鼻20−7)と称される表面処理技術によって表面処理を施すことができる。この表面処理技術は、金属表面に前記の接着層として機能する化成膜層を形成し、成形時の熱と圧力により発生する化学変化により金属と樹脂とを化学的に結合させることができる手段である。本発明は、トリアジン化合物を用いる前記の表面処理方法の他にも、シラン系、チタニウム系又はアルミニウム系のカップリング剤を用いて金属インサート部品を表面処理する方法を採用しても良い。金属材部品1がアルミニウムの場合は、陽極酸化による表面粗化を表面処理方法として適用することもできる。また、図18及び図19に示すように、環状部4a又は4bに表面処理を施す場合は、表面処理剤を必要な箇所だけ部分的に塗布する方法の他にも、表面処理する部分だけを露出し、それ以外はマスキングする方法を採用することもできる。
<実施の形態5>
図20は、これまで述べてきた、樹脂部品2にインサートモールドされている内部の金属部品1が複数本で構成されている例である。
図21は、前記樹脂部品2の外周形状が略四角形をしている例である。
図20及び図21には具体的に図示されていないが、図14と同じように、2本の金属部品1は途中に環状突起部分4が形成されている。
本実施の形態において、金属インサート部品は、図20及び図21に示す2本に限らず、必要に応じて3本以上を有する樹脂成型品を成型することができる。
本実施の形態の効果を、図20に示す形状例を用いて具体的に検証した。インサートモールド時に使用する樹脂としてはポリフェニレンサルフィド(PPS)樹脂を使用した。気密性評価の結果、金属材部品1からなる金属インサート部品を樹脂にインサートしたのみの状態では、気密性を確保できた樹脂成型品の割合は30%であったが、樹脂成型品の外面から金属材部品1の環状突起部分4に相当する位置に高周波誘導加熱工程を施すことによって、気密性を確保できた樹脂成型品の割合が60%に向上した。
一方、比較例として、環状突起部分4が形成されていない金属材部品を用いて図20に示すものと同じ形状の樹脂成型品をインサートモールドした。このようにして得られた樹脂成型品を用い、高周波誘導加熱工程を施した後、前記と同様の気密性評価を行った。比較例の樹脂成型品は、金属材部品の付近の温度を本実施の形態の場合と同じにするために高周波誘導加熱温度を30℃以上高くする必要があったため、金属材部品1に接触している樹脂に微小ボイドの発生が観測された。気密性評価の結果は、気密性を確保できた樹脂成型品の割合が40%であり、高周波誘導加熱工程を施しても気密性を向上させる効果が十分に得られなかった。環状突起部分4が形成されていない金属材部品の構造では高周波誘導加熱の条件を調整しても、金属と樹脂との接合面で樹脂の溶融を最適条件で行うことが難しく、両者の接合面に存在する微小ボイド等によって密着性又は接着性を向上させる効果がほとんど得られなかったため、気密性を確保できなかったものと考えている。
さらに、前記実施の形態4に従って、環状突起部分4を形成した金属材部品1にトリアジン化合物を用いる前記の表面処理方法を適用し、図20に示す形状の樹脂成型品についてインサートモールドを行い、該樹脂成型品の外面から、金属材部品1の環状突起部分4に相当する位置に高周波誘導加熱工程を施した後の気密性評価を行った。その結果、表面処理を行った金属材部品1を使用する場合は、気密性を確保できた樹脂成型品の割合が90%であり、前記の表面未処理の金属材部品を使用する場合の60%と比べて、高い気密性が得られることが分かった。このように、本実施の形態によれば、表面未処理の金属インサート部品を使用した場合でも、高周波誘導加熱工程を施すことによって、樹脂モールド品の気密性を向上することができ、さらに、金属インサート部品の表面処理を行うことによって、気密性の大幅な向上を図ることができる。
上記の実施の形態では、樹脂としてポリフェニレンサルフィド(PPS)樹脂を使用したが、PPSに代えて、液晶性ポリエステル(LCP)樹脂を使用したときの気密性評価結果を次に示す。
図20に示す形状を有する樹脂成型品をLCP樹脂によってインサートモールドを行い、前記と同じ方法で、本発明の効果を具体的に検証した。気密性評価の結果、金属材部品1からなる金属インサート部品を樹脂にインサートしたのみの状態では、気密性が確保できた樹脂成型品の割合は20%であったが、樹脂成型品の外面から、金属材部品1の環状突起部分4に相当する位置に高周波誘導加熱工程を施すことによって、気密性を確保できた樹脂成型品の割合が80%に向上した。さらに、環状突起部分4を形成した金属材部品1にトリアジン化合物を用いる前記の表面処理方法を適用した金属材部品を使用することによって、気密性を確保できた樹脂成型品の割合が90%と、気密性をやや向上できることが分かった。
このように、LCP樹脂の場合は、前記のPPS樹脂と比べて、本発明による効果が顕著に現れることが確認された。LCP樹脂は、融点が高くモールド成形が難しく、モールド成型後ではPPS樹脂と比べて気密性がやや劣るが、環状突起部分4に相当する位置に施す高周波誘導加熱工程によって、金属インサート部品とLCP樹脂との密着性又は接着性の大幅な向上を図ることができる。これは、高周波誘導加熱によって、LCP樹脂と金属インサート部品との物理的なアンカー効果(投錨効果)が確実に得られるだけでなく、LCP樹脂が有する極性基による化学的な結合も寄与しているためと考えられる。
<実施の形態6>
図22は、本発明の金属インサート部品を配線カプラ形態のコネクタ形状へ適用した樹脂成型品を示す図であり、(a)及び(b)には、それぞれ樹脂成型品の外観図及び矢視Fより見た図を示す。図22の(b)には、金属材部品101の一例として、突起部分402が円形で、且つ、その中心及びその近傍部が開孔されているものを点線で示している。
図22に示すように、金属材部品101が樹脂部品2にインサートモールドされており、樹脂部品2の外面から突起部分402に相当する位置に向けて高周波誘導コイル3を当てて、突起部分402のそれぞれの位置に応じて移動しながら加熱を行う。突起部分402に相当する位置は、コネクタ形状の設計仕様を反映する図面から容易に把握することができる。そのため、コネクタ形状の基準点を決め、高周波誘導加熱時に固定されたその基準点からの距離(又は寸法)に従って、高周波誘導コイル3を突起部分402に相当する位置に自動的に移動させて配置することができる。
図22には、高周波誘導加熱法の例として、突起部分402の一つだけを加熱するような形状を示しているが、本実施の形態においては、複数の突起部分402を同時に高周波誘導加熱できるように、加熱部に相当するコイル部分が直列に複数個配列された高周波誘導コイルを使用することができる。また、高周波誘導コイル3を複数個用意し、並列に配置することによって突起部分402の複数を同時に加熱する方法を採用しても良い。
本実施の形態では、図22に示すコネクタ形状の樹脂部品2の外表面において、突起部分402に相当する位置が外側から容易に認識できるように、突起部分402に相当する位置に目印となるような突起又は微小な溝や孔を形成しても良い。これらの突起、溝又は孔は、金型構造のわずかな変更によって、樹脂モールド時に樹脂成型品の外表面に同時に形成することができる。また、成型後の樹脂成型品の外表面に、新たに突起、溝又は孔を形成しても良いし、印刷やレーザ等を用いて印字等の方法によって目印を付けても良い。
図23は、配線カプラ形態の別のコネクタ形状を示す図であり、(a)、(b)及び(c)に、それぞれ樹脂成型品の外観概略図、矢視Fより見た図及びG−G断面図を示す。
金属材部品101が樹脂部品2にインサートモールドされており、前記樹脂部2の外面には凹み部802が設けられている。
図23の(b)は、図23の(a)を矢視Fより見たものであるが、破線で示されているように、複数本の金属部品101が樹脂部品2の内部にインサートモールドされている。金属材部品101に設けられた環状部402の同軸部に凹み部802が設けられている。
図23の(c)は、図23の(b)のG−G断面を示しているが、樹脂部品2内部に金属材部品101がインサートモールドされていて、突起部分402と同軸に凹み部802が設けられていて、凹み部802にコイル3が嵌合され高周波誘導加熱作業が行われる。高周波誘導加熱の原理・作用等はこれまで説明してきたものと同様である。
図24、図25及び図26に金属材部品101の別の形状例を示す。
図24の例は突起部分402がひし形の平面形状の例で、図25の例は突起部分402が四角形の平面形状の例であり、中心及びその近傍部が開孔されている。また、図26では突起部分402が円形でかつ中心部分が開孔されておらず、金属材料で内実されている平面形状の例である。本実施の形態では、高周波誘導による前記渦電流が突起部分402の外周で途切れることなく流れるために、突起部分に相当する突起部分402の外周部分が切れ間のないループ形状を描くように形成されることを要件としているので、これら図24、図25及び図26で示した突起部分402の各形状が何れの組合せであっても成立する。
突起部分402の中心及びその近傍部が開孔された金属材部品を金属インサート部品として使用する場合は、樹脂成型時に突起部分402の中心及びその近傍部にも樹脂が流動し、前記金属インサート部品に樹脂貫通部が形成される。この樹脂貫通部は金属と樹脂との接合強度を高める効果があるため、金属インサート部品の引抜き強度や樹脂成型品の気密性をより一層高めたい場合には、図22〜図25に示すような中心及びその近傍部が開孔された金属インサート部品を使用することができる。
図24、図25及び図26には突起部分402として、それぞれひし形、四角形及び円形の平面形状の例を示したが、それらの他にも、多角形又は楕円形の平面形状であっても良い。また、本実施の形態の突起部分402としては、平面形状だけでなく、図6〜図8に示すように、それぞれの形状を断面形状として有する環状で形成した突起部分も含まれる。また、本実施の形態では配線カプラ形状を用いて発明の構成を説明したが、樹脂材中に金属部品がインサートモールドされている、例えば電力伝達用の金属バスバーが樹脂材中にインサートモールドされているもの等についても本例と同様に成立する。
<実施の形態7>
図27は、本発明の金属インサート部品を冷却用ヒートシンクの金属材部品として適用した樹脂成型品を示す図であり、(a)及び(b)に、それぞれ樹脂成型品の外観概略図及びH−H断面図を示す。図27の(a)及び(b)に示すように、冷却用ヒートシンク樹脂成型品11は、内部表面に冷却ピンフィン12の群を3箇所備え、周辺部分の途中に環状突起部分402を有する金属材部品101と、樹脂部品2とからなり、金属材部品101が樹脂部品2の内部にインサートモールドされている。
図27には、冷却ピンフィン12の構成として、金属材部品101の内部3箇所にそれぞれ群集して備える例を示しているが、本実施の形態は図27に示す構造に限定されない。また、金属材部品101の構造も図27の(b)に示すものに限定されず、図27の(c)に示すように、環状突起部分402を金属材部品101の最外周に設けることもできる。
図27に示す冷却用ヒートシンク樹脂成型品11は、インサートモールド後、樹脂外面から環状突起部分402に相当する位置に向けて高周波誘導コイル3を当てて、突起部分402の位置に応じて外周を移動しながら加熱を行うことができる。また、金属材部品101の周囲に形成された突起部分402の全体を一括で同時に高周波誘導加熱できるように、突起部分402の形状に合わせた高周波誘導コイルを用いて加熱を行っても良い。
<実施の形態8>
次に、本実施の形態で、本発明による高周波誘導加熱のモニタリング方法及び該モニタリング方法を実施するときの好適な構成を図28を用いて説明する。
図5で説明したようにコイル3の周りに発生する磁束7により作用により前記金属材401が加熱される。ここで、予め該磁束の分布と前記金属材401の加熱度合との関係が把握できていれば、磁束7の状態(強度)の観測結果から前記金属材401の加熱度合を推定することができる。従って、本実施の形態では磁束7の内部に磁束検出のためのピックアップコイル13を設け、検出器14により検出し検出された磁束によるプローブ信号の結果を発振器6にフィードバックするような構成とすることで精度の高い加熱を行うことができるようになる。
<実施の形態9>
前記の実施の形態8では、精度の高い加熱を行うためのモニタリング方法について述べたが、各種樹脂に対する加熱温度を幾らにすればよいかという問題が残る。そこで、図29〜図32を用いて前記加熱温度の把握方法を説明する。
図29は、前記加熱温度の把握に用いる試験片の外観を示す。金属板403の一部が露出部403aで樹脂材201から露出するような構成となっている。
図30は図29の平面図である。
P点を局部的に加熱すると金属板403の熱伝導特性により図30の右方向に熱が伝わる。図中のコンターは熱の伝わりについての概念を示している。
図31は図30のI−I断面及び該断面線における温度分布を示す。
金属板403のP部を局所的に加熱すると図中下段のグラフに示されるように前記P部から離れるのに従い金属板403の温度は低下する特性を示す、この現象は熱力学でよく知られている温度勾配現象である。
このようにして、金属板403中に加熱点Pの温度から金属板403の右端温度までの温度範囲で各種温度条件を作り出すことができる。
前記のようにして加熱点P部を加熱した後、前記樹脂材201と金属板403を分解観察することで接合状態が良い点Qを確認することができる。図中下段のグラフで接合状態が良い点Qに対応する該グラフ縦軸の温度範囲を特定することができる。この温度範囲が前記加熱温度を幾らにすればよいかという問題に対する答えとなる。
図32に実際の前記加熱温度の把握方法に用いる各機器接続ブロック図を示す。
金属板403を俯瞰する位置にサーモカメラ15を設置し、露出部403aの温度を測定する。このとき測定値のうち加熱点Pの値を発振器6にフィードバックすることで発振器6から加熱コイル16へ出力を制御し前記加熱点Pの温度を調整する。また、前記サーモカメラ15で得られた信号はコンピューター17により処理され、表示・記録される。
以上のように、本発明のインサート金属部品は、高周波誘導加熱工程を施すときに金属材部品に形成した突起部分を選択的に加熱することができるため、金属と樹脂との接合面に存在する樹脂の特定部分だけを効率的に溶融させることによって、接合の密着性又は接着性を従来以上に高めることができる。それによって、従来の金属インサート部品を有する樹脂成型品と比べて、樹脂成型品の気密性を大幅に向上でき、信頼性の高い各種インサート成形品を製造することができる。また、本発明で使用する高周波誘導加熱は、本発明の高周波誘導加熱のモニタリング方法及び温度把握方法を利用することによって最適条件を容易に見出すことができるだけでなく、その調整を適切に行うことができるため、本発明の樹脂成型品の製造において金属と樹脂との密着性又は接着性を向上するための有効な方法として樹脂成型品の製造方法に役立てることができる。さらに、本発明の高周波誘導加熱のモニタリング方法及び温度把握方法は、本発明の突起部分を有する金属インサート部品だけでなく、従来構造の金属インサート部品を有する樹脂成型品にも適用できるため、その有用性は極めて広い。
1 金属材部品
2 樹脂部品
3 高周波誘導コイル
4 環状突起部分
5 環状部とコイルの最短距離表面
6 高周波発振器
7 磁束
8 凹み部
9 溝部
10 溶融痕
11 冷却用ヒートシンク樹脂成型品
12 冷却用ピンフィン
13 ピックアップコイル
14 検出器
15 サーモカメラ
16 加熱コイル
17 コンピューター
101 金属材部品
201 樹脂材
401 金属材
402 突起部分
403 金属板
403a 露出部
801 円弧状の凹み
802 凹み部

Claims (11)

  1. 高周波誘導加熱を利用して金属材部品がインサート成型された樹脂成型品を製造する方法であって、前記金属材部品には、前記高周波誘導加熱によって局部的な加熱を行うための突起部分が、前記金属材部品の直径若しくは長径よりも大きい直径若しくは長さで、少なくとも外周部分が切れ間のないループ形状を描くように形成されており、前記金属材部品からなる金属インサート部品を用いて、射出成型、圧縮成形又はトランスファー成形によって樹脂成型を行う工程、前記金属材部品に形成された前記突起部分に高周波誘導装置の高周波誘導コイルを近づけて誘導加熱を行う工程、及び冷却工程を有することを特徴とする樹脂成型品の製造方法。
  2. 前記金属インサート部品は、前記金属材部品に形成される突起部分が、円形、楕円形又は多角形の断面を有する環形状、算盤球形状、及びひし形、多角形、円形又は楕円形の平面形状の何れかの形状で形成されることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成型品の製造方法。
  3. 前記金属インサート部品は、前記金属材部品に形成される突起部分の中心及びその近傍部が前記金属材部品を構成する金属材料で内実されているか、若しくは開孔されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂成型品の製造方法。
  4. 前記金属インサート部品は、前記金属材部品の表面に樹脂材との接合を促すための表面処理が施されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の樹脂成型品の製造方法。
  5. 前記金属インサート部品は、前記樹脂材との接合を促すための表面処理が前記金属材部品に形成された前記突起部分だけに施されたことを特徴とする請求項4に記載の樹脂成型品の製造方法。
  6. 前記樹脂成型品が配線カプラ形態のコネクタ形状を有し、前記金属インサート部品をリード端子として使用することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の樹脂成型品の製造方法。
  7. 前記樹脂成型品が電気・電子部品の冷却用ヒートシンクとして使用される樹脂成型品であり、前記金属インサート部品を前記ヒートシンクの金属材部品として使用することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の樹脂成型品の製造方法。
  8. 前記金属材部品がインサート成型された樹脂成型品は、前記金属インサート部品が有する前記突起部分の周囲に存在する成型樹脂の外面に、前記高周波誘導加熱用の高周波誘導コイルを配置するための凹みを設けることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の樹脂成型品の製造方法。
  9. 前記金属インサート材部品が有する前記突起部分の最外周表面と前記成型樹脂の外面に設けられた前記凹みの底部との距離が6mm以下であることを特徴とする請求項8に記載の樹脂成型品の製造方法。
  10. 請求項1〜9の何れか一項に記載の樹脂成型品の製造方法において高周波誘導加熱のモニタリングを行う方法であって、
    前記樹脂成型品の外部で、前記金属インサート部品の高周波誘導加熱効果が最も大きく得られる前記突起部分の部位に近い位置に配置する高周波誘導コイルから発生する磁力線による磁束を感知し、該磁束のプローブ信号を高周波発振器に帰還させて前記高周波発信器の出力値を制御することを特徴とする高周波誘導加熱のモニタリング方法。
  11. 請求項1〜9の何れか一項に記載の樹脂成型品の製造方法において、前記高周波誘導加熱によって前記金属材部品に形成した前記突起部分を加熱させるときの温度範囲を最適化するための温度把握方法であって、
    前記金属材部品の一部が露出するように前記金属材部品の両側側面を樹脂でインサート成型した試料を用いて、前記試料の長手方向の一端から局部的に加熱し、該加熱した熱が前記試料の長手方向の他端に向けて熱伝導するときに観測される温度勾配を計測する工程と、
    前記加熱後の試料を分解し、前記試料の長手方向において樹脂の溶融状態を観測することによって良好な接合状態が得られた点を確認する工程と、
    前記試料の長手方向で計測された温度勾配と前記良好な接合状態が得られた点とを対比することによって、前記良好な接合状態が得られた点の加熱温度範囲を推定する工程とを有し、
    前記推定した加熱温度範囲に基づいて、前記突起部分を加熱させるときの前記高周波誘導加熱条件を調整することを特徴とする高周波誘導加熱の温度把握方法。
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