次に、本発明を実施するための形態について、図1乃至図9を用いて説明する。なお以下に説明する実施形態は、いわゆるRGB(Red Green Blue)色空間を用いて動画及び静止画を含む画像を表示する表示装置におけるブルーライトの低減処理に対して本発明を適用した場合の実施の形態である。また、図1は実施形態に係る表示装置の概要構成を示すブロック図であり、図2は実施形態に係るブルーライトの低減処理の効果を例示する図である。また、図3は実施形態に係るコントラストの補正処理をそれぞれ示す図であり、図4は当該低減処理を示すフローチャートであり、図5乃至図7は実施形態に係る低減処理実行の有無の判定処理をそれぞれ示す図である。更に、図8は当該低減処理を領域ごとに行う場合を例示する図であり、図9は実施形態に係る輝度テーブルの指定等に用いられる平均値を説明する図である。なお以下の説明では、実施形態に係るブルーライトの低減処理を、単に「実施形態に係る低減処理」と称する。
以下において詳述するように、実施形態に係る表示装置は、上記LEDを有するバックライトを備える。そして、当該バックライトの輝度自体を制御(低減)することにより上記ブルーライトを低減すると共に、当該バックライトの輝度の低減に伴う視認性の低下を、表示装置に表示される画像のコントラストを制御することにより補完する。
即ち図1に示すように、実施形態に係る表示装置Dは、画像生成部1と、キーボード、マウス又はタッチパネル等から成り、表示装置Dとしての処理の指定等のための操作信号Sopを生成する操作部2と、ブルーライト低減判定部3と、補正対象範囲設定部4と、ハードディスク等の記録媒体から成り、後述する輝度テーブル及びコントラスト補正強度テーブルをそれぞれ不揮発性に記録する記録部5と、画素値更新部6と、切換部7と、液晶ディスプレイ等からなるディスプレイ8と、輝度設定更新部9と、CPU、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等からなる制御部10と、画像解析部11と、により構成されている。このときディスプレイ8を構成する液晶ディスプレイには、上記LEDを有するバックライト8Bが備えられている。
ここで、操作部2が本発明に係る「領域選択手段」の一例に相当し、ブルーライト低減判定部3が本発明に係る「取得手段」の一例に相当し、画素値更新部6が本発明に係る「制御手段」の一例に相当する。また、ディスプレイ8が本発明に係る「表示手段」の一例に相当し、輝度設定更新部9が本発明に係る「低減手段」の一例に相当し、画像解析部11が本発明に係る「検出手段」の一例に相当する。
この構成において画像生成部1は、ディスプレイ8に表示されるべき画像(静止画又は動画の少なくともいずれか一方を含む。以下同様。)に相当する画像情報Sinを生成してブルーライト低減判定部3、制御部10及び画像解析部11にそれぞれ出力する。そして画像解析部11は、後述する各手法のいずれかにより画像情報Sinの内容をその色成分ごとに解析し、その解析結果を示す解析信号Saを生成して制御部10に出力する。この画像解析部11の処理の詳細については、後ほど詳述する。
一方記録部5は、実施形態に係る低減処理のために予めそれぞれ設定されたコントラスト補正強度テーブル及び輝度テーブルを不揮発性に記録している。このとき記録部5は、それぞれが示すバックライト8Bとしての輝度が異なる例えばm個(mは自然数。以下、同様。)の輝度テーブルを記録している。また記録部5は、それぞれが示すディスプレイ8上のコントラストの補正強度が異なる例えばn個(nは自然数。以下、同様。)のコントラスト補正強度テーブルを記録している。これら輝度テーブル及びコントラスト補正強度テーブルについては、それぞれ後ほど詳述する。
他方操作部2は、ユーザの操作に基づき、実施形態に係る低減処理を実行するか否かを示すオン/オフ信号、及び当該低減処理を実行する場合において当該低減処理の対象となる画像内の範囲を示す範囲指定信号等を含む操作信号Sopを生成して、制御部10に出力する。このとき、ディスプレイ8に表示する画像が例えば映画に相当する画像である場合は、その画質等を維持すべく、その映画を表示するディスプレイ8の範囲については実施形態に係る低減処理を実行しない旨の上記オン/オフ信号及び上記範囲指定信号等を出力するための操作が、操作部2において行われるのが好ましい。これに対して、ディスプレイ8に表示する画像が例えば事務用の文書に相当する画像である場合は、有効にブルーライトを低減すべく、その文書を表示するディスプレイ8の範囲については実施形態に係る低減処理を実行する旨の上記オン/オフ信号及び上記範囲指定信号等を出力するための操作が、操作部2において行われるのが好ましい。また、実施形態に係る低減処理を実行する場合において、後述するバックライト8Bの輝度の制御内容を更新する更新タイミングを示すタイミング制御信号が上記オン/オフ信号に含まれていてもよい。当該更新タイミングは、操作部2における操作により指定されてもよいし、バックライト8B又はディスプレイ8の当該低減処理に対応した例えば仕様上で予め設定されているタイミングであってもよい。
これらにより制御部10は、画像生成部1からの画像情報Sin、画像解析部11からの解析信号Sa及び操作部2からの操作信号Sopに基づいて、実施形態に係る低減処理を実行するか否かを判定する。これに加えて制御部10は、当該低減処理を実行する場合において、それに用いられる上記輝度テーブル(換言すれば、バックライト8Bの輝度の低減度)、及び上記コントラスト補正強度テーブル(換言すれば、ディスプレイ8における画像表示時のコントラストの補正強度)を決定する。そして制御部10は、当該低減処理を実行するか否かの判定信号と、当該低減処理を実行する場合においてその対象となる画像内の範囲を示す範囲指定信号と、当該低減処理を実行する場合において上記決定されたコントラスト補正強度テーブルを示すコントラスト補正強度テーブル指定信号と、当該低減処理を実行する場合において上記決定された輝度テーブルを示す輝度テーブル指定信号と、を含む制御信号Scを生成し、ブルーライト低減判定部3、補正対象範囲設定部4、記録部5、切換部7及び輝度設定更新部9にそれぞれに出力する。
これによりブルーライト低減判定部3は、制御部10からの制御信号Sc中の上記判定信号に基づき、画像情報Sinについて実施形態に係る低減処理を実行する場合は当該画像情報Sinを補正対象範囲設定部4に出力する。一方当該低減処理を実行しない場合、ブルールライト低減判定部3は画像情報Sinをそのまま切換部7に出力する。
次に補正対象範囲設定部4は、制御部10からの制御信号Sc中の上記範囲指定信号に基づき、実施形態に係る低減処理の対象となる画像情報Sinの画素については当該画像情報Sinを画素値更新部6に出力する。一方、当該低減処理の対象となる画素以外の画像情報Sinの画素については、当該画像情報Sinをそのまま切換部7に出力する。
他方記録部5は、制御部10からの上記制御信号Sc中の上記コントラスト補正強度テーブル指定信号により指定されているコントラスト補正強度テーブルのデータを、画素値更新部6に出力する。これに加えて記録部5は、当該制御信号Sc中の上記輝度テーブル指定信号により指定されている輝度テーブルのデータを、輝度設定更新部9に出力する。
これらにより画素値更新部6は、補正対象範囲設定部4から出力されてくる画像情報Sinに含まれている各画素における赤色成分、青色成分及び緑色成分それぞれの画素値(より具体的には、例えば輝度値)を、記録部5から出力されたコントラスト補正強度テーブルのデータに対応した画素値に更新し、そのコントラストが当該データに基づいて補正された更新画像情報Sbcとして切換部7に出力する。ここで、上記画素値(又は輝度値)の上限値は階調数によって決定され、ディスプレイ8がRGB色空間を用いた24ビットの液晶ディスプレイであれば、その上限値は三色の色成分ごとに「255(28−1)」である。またディスプレイ8がRGB色空間を用いた18ビットの液晶ディスプレイであれば、その上限値は三色の色成分ごとに「63(26−1)」である。
次に切換部7は、制御部10からの制御信号Sc中の上記判定信号及び上記範囲指定信号に基づき、実施形態に係る低減処理の対象となっていない画素の画像情報Sinについては、ブルーライト低減判定部3又は補正対象範囲設定部4側に切り換え、そのまま表示情報Soutとしてディスプレイ8に出力する。これに対して実施形態に係る低減処理の対象となっている画素の画像情報Sinについては画素値更新部6側に切り換えて、上記更新画像情報Sbcを表示情報Soutとしてディスプレイ8に出力する。
これらと並行して輝度設定更新部9は、制御部10からの制御信号Scに基づき、記録部5から出力された輝度テーブルのデータを用いてディスプレイ8のバックライトBの輝度を制御するための輝度設定信号Scbを生成して、バックライト8Bに出力する。このとき、ディスプレイ8における表示領域の一部についてバックライト8Bの輝度を制御する場合、輝度設定信号Scbには、当該輝度を示すデータと共に当該部分を示すデータが含まれている。そしてバックライト8Bは、当該輝度設定信号Scbに基づいてその全体又は一部の輝度を設定し、ディスプレイ8のバックライトとして発光する。
最後にディスプレイ8は、バックライト8Bからの発光を用いて、切換部7から出力されてきた表示情報Soutに相当する画像を表示する。この表示情報Soutにおいては、ブルーライトの低減のためのバックライト8Bの輝度の制御により低下した画像の視認性を補完するためのコントラスト補正が、ディスプレイ8の全体又は一部について施されている。
次に、実施形態に係る低減処理に用いられる上記コントラスト補正強度テーブル及び輝度テーブルについて説明する。実施形態に係る低減処理では、上記背景技術として説明した特別な光学部品を別途使用することなく、バックライト8Bの輝度の制御により画像情報Sinに相当する画像におけるブルーライトを低減すると共に、当該制御により低下した当該画像の視認性を、表示装置Dとしてのコントラストの補正処理により補完する。
そこで先ず、バックライト8Bの輝度を制御することでブルーライトがどの程度低減されるかに関して本願の発明者らが行った実験結果について、図2を用いて説明する。なお図2において、横軸はディスプレイ8を介してバックライト8Bから発せられる光の波長を示し、縦軸はディスプレイ8の表面におけるその放射輝度を示している。当該縦軸については最大値を1として正規化されている。更に横軸において、波長が400ナノメートル乃至500ナノメートル付近の光のエネルギーが上記ブルーライトのエネルギーに相当する。また実験の具体的な諸元としては、RGB色空間を用いた24ビットのディスプレイ8(液晶ディスプレイ)において「白色」(即ち、RGBそれぞれの画素値が(255,255,255)である白色)を表示し、これによりディスプレイ8から照射される光学的なエネルギーを分光放射輝度計で観測した。そして当該白色を表示中において、バックライト8Bの輝度の設定を例えば100%(輝度が最大の状態)→50%→33%→0%(即ち消灯状態)と変更し、それぞれの場合において上記光学的なエネルギーの観測を行った。更に図2においては、バックライト8Bの輝度の設定が100%である場合を粗い破線で、当該設定が50%である場合を点線で、当該設定が33%である場合を実線で、当該設定が0%である場合を細かい破線で、それぞれ示している。
以上の諸元の本願の発明者らによる実験によれば、図2に例示するように、バックライト8Bの輝度を低減することでそれに含まれるLEDから発生されるエネルギーも低減され、更に波長400ナノメートル乃至500ナノメートル付近のエネルギーも低減していることが判明した。よってこの結果、バックライト8Bの輝度を低減すれば、ブルーライトを有効に低減する(カットする)ことができることが明らかになった。
そこで、実施形態に係る輝度テーブルとしては、例えば図2に例示するそれぞれの輝度の設定に相当するデータが、第1輝度テーブルBT1乃至第m輝度テーブルBTmとしてそれぞれ記録部5に予め不揮発性に記録されている。なお以下の説明において、第1輝度テーブルBT1乃至第m輝度テーブルBTmについて共通の事項を説明する場合、単に「輝度テーブルBT」と称する。また、輝度テーブルBTとしていくつのテーブルを記録部5に予め記録させるかは、上記輝度の設定を何通り準備するかに応じて、例えば実験的或いは経験的に決定される。なお輝度テーブルBTについては、画像情報Sinに相当する画像全体ではなく、その一部の領域についてのバックライト8Bの輝度を設定するためにデータのみが含まれていてもよい。そして、これらの輝度テーブルBTのうちのいずれかが制御信号Sc中の上記輝度テーブル指定信号により指定され、その指定された輝度テーブルBTに含まれるデータが輝度設定更新部9に出力される。これにより、当該出力されたデータに基づいて輝度設定更新部9から出力された上記輝度設定信号Scbにより、バックライト8Bの全体又は一部の輝度が設定される。
次に、上記各輝度テーブルBTにそれぞれ対応した実施形態に係る第1コントラスト補正強度テーブルCT1乃至第nコントラスト補正強度テーブルCTnについて説明する。なお以下の説明において、第1コントラスト補正強度テーブルCT1乃至第nコントラスト補正強度テーブルCTnについて共通の事項を説明する場合、単に「コントラスト補正強度テーブルCT」と称する。
上述したように実施形態に係る表示装置Dでは、ブルーライト低減の目的でバックライト8Bの輝度を低減したことによる画像の視認性の低下を、当該画像をディスプレイ8により表示する際のコントラストを補正することにより補完し、見易い画像を表示する。このため、実施形態に係るコントラスト補正強度テーブルCTとしては、上記各輝度テーブルBTによるバックライト8Bの輝度の低減による視認性の低下を補完するようなコントラストの補正値をそれぞれのデータとするn個のコントラスト補正強度テーブルCTが、当該各輝度テーブルBTにそれぞれ対応させて、記録部5に予め不揮発性に記録されている。このとき、各コントラスト補正強度テーブルCTとしていくつのテーブルを記録部5に予め記録させるかは、例えば上記輝度テーブルBTの数に対応させて、例えば実験的或いは経験的に決定される。また、各コントラスト補正強度テーブルCTのデータの実際の値も、対応する輝度テーブルBTのデータの値に基づき、例えば実験的或いは経験的に予め決定される。
ここで、上記コントラスト補正強度テーブルCTについて、より具体的に図3を用いて説明する。実施形態に係るコントラスト補正強度テーブルCTとしては、例えば、コントラストの補正強度「弱」に相当する第1コントラスト補正強度テーブルCT1と、当該補正強度「中」に相当する第2コントラスト補正強度テーブルCT2と、当該補正強度「強」に相当する第3コントラスト補正強度テーブルCT3と、が予め設定され、それぞれのコントラスト補正強度テーブルCTに相当するコントラスト強度補正パラメータが記録部5に不揮発性に記録されている。この場合、上記nが「3」であることになる。そして、ディスプレイ8がRGB色空間を用いた24ビットの液晶ディスプレイであり、且つコントラストの補正をしない場合の各色における入力画素値と出力画素値との関係が図3(a)に例示する関係であるとすると、補正強度「弱」に相当する上記第1コントラスト補正強度テーブルCT1としては、例えば図3(b)に例示するような態様(図3(a)に例示する場合との相違は図3(b)中点線矢印参照)でコントラストを補正するための当該第1コントラスト補正強度テーブルCT1が記録されている。また同様に、補正強度「中」に相当する上記第2コントラスト補正強度テーブルCT2としては、例えば図3(c)に例示するような態様(図3(a)に例示する場合との相違は図3(c)中点線矢印参照)でコントラストを補正するための当該第2コントラスト補正強度テーブルCT2が記録されている。更に、補正強度「強」に相当する上記第3コントラスト補正強度テーブルCT3としては、例えば図3(d)に例示するような態様(図3(a)に例示する場合との相違は図3(d)中点線矢印参照)でコントラストを補正するための第3コントラスト補正強度テーブルCT3が記録されている。
一方、上記輝度テーブルBTのそれぞれと上記コントラスト補正強度テーブルCTのそれぞれとの組み合わせとしては、実施形態に係るブルーライト低減を実行しない場合はコントラスト補正強度テーブルCTを用いたコントラストの補正も実行されないが、例えば、ブルーライト低減における低減度を「弱」とする(より具体的には、バックライト8Bの輝度を99%〜90%程度に落とす)場合は上記コントラストの補正の強度も「弱」とされる。またブルーライト低減における低減度を「中」とする(より具体的には、バックライト8Bの輝度を80%〜60%程度(平均値)として上記低減度「弱」の場合よりも暗くする)場合は上記コントラストの補正の強度も「中」とされる。更に、ブルーライト低減における低減度を「強」とする(より具体的には、バックライト8Bの輝度を50%〜40%程度(平均値)として上記低減度「中」の場合よりも更に暗くする)場合は上記コントラストの補正の強度も「強」とされる。このように、ブルーライト低減の段階数とコントラストの補正の強度の段階数とは、例えば同一とされる等、相互に関連付け(又は対応付け)されているのが好ましい。
なお上記コントラスト補正強度テーブルCTについても、画像情報Sinに相当する画像全体ではなく、その一部の領域についてのコントラストを補正するためにデータのみが含まれていてもよい。そして、これらのコントラスト補正強度テーブルCTのうちのいずれか(より具体的には、指定された輝度テーブルBTに対応付けられているコントラスト補正強度テーブルCT)が制御信号Sc中の上記コントラスト補正強度テーブル指定信号により指定され、その指定されたコントラスト補正強度テーブルCTに含まれるデータが画素値更新部6に出力される。これにより画素値更新部6は、補正対象範囲設定部4から出力されてくる画像情報Sinに含まれている各画素における青色成分等の画素値を、記録部5から出力されたコントラスト補正強度テーブルのデータにより示される画素値に更新して、更新画像情報Sbcとして切換部7に出力する。
次に、実施形態に係る低減処理について、より具体的に図4乃至図8を用いて説明する。なお以下に説明する当該低減処理は、主として制御部10の制御の下で実行される。
図4に示すように、実施形態に係る低減処理においては、画像生成部1から上記画像情報Sinが入力されると、先ずブルーライト低減判定部3、制御部10及び画像解析部11にそれぞれ取り込まれる(ステップS1)。
そして画像解析部11は、入力された画像情報Sinの内容を既知の方法により解析し、当該画像情報Sinに相当する画像を構成する各画素における、各色成分(例えば上記RGB色空間における赤色成分、緑色成分及び青色成分)のそれぞれの画素値を少なくとも検出し、その結果を含む上記解析信号Saを生成して制御部10に出力する(ステップS2)。
次に制御部10は、画像生成部1から出力された画像情報Sinに基づき、実施形態に係る低減処理を実行すべきか否かを判定する判定タイミングが到来したか否かを判定する(ステップS3)。このステップS3の判定として具体的には、例えば、一フレーム分の画像情報Sinが画像生成部1から入力されたタイミングか否かを判定し、当該一フレーム分の画像情報Sinが入力されたタイミングをもって上記判定タイミングが到来したと判定する(ステップS3;YES)。この他ステップS3の判定としては、例えば実施形態に係る低減処理を実行すべき画像又はその画像の範囲が操作部2からの操作信号Sopにより予め指定されている場合において、当該指定されている画像又はその範囲に相当する画像情報Sinが入力されたタイミングをもって上記判定タイミングが到来した(ステップS3;YES)と判定してもよい。上記ステップS3の判定において、実施形態に係る低減処理を実行すべきか否かを判定する判定タイミングでない場合(ステップS3;NO)、制御部10は後述するステップS11に移行する。
一方上記ステップS3の判定において、実施形態に係る低減処理を実行すべきか否かを判定する判定タイミングである場合(ステップS3;YES)、制御部10は、画像解析部11からの解析信号Saに基づき、画像情報Sinについて実施形態に係る低減処理を実際に実行するか否かを判定する(ステップS4)。
ここでステップS4における判定方法として、三通りの判定方法を説明する。
初めに第一の判定方法として制御部10は、画像解析部11において検出された各色成分の画素値の差(換言すれば、各画素値間のバランス)を検出し、当該検出された差(バランス)において青色成分の画素値が他の色成分よりも大きい場合、又は青色成分の画素値が最も大きい場合に、実施形態に係る低減処理を実行すると判定する(ステップS4;YES)。これは、当該青色成分の画素値を低減することによりブルーライトを有効に低減できるからである。
ここで、上記第一の判定方法について、具体的に図5を用いて説明する。このとき図5を用いた説明では、説明の簡略化のため、横9個×縦10個で合計90個の画素GSを有する24ビットの液晶ディスプレイからなるディスプレイ8に画像を表示する場合を例として説明する。また、図5(a)は上記画像における画素GSごとの赤色成分の画素値を例示し、図5(b)は上記画像における画素GSごとの緑色成分の画素値を例示し、図5(c)は上記画像における画素GSごとの青色成分の画素値を例示する。このとき図5の各図では、上限が256(=28)(階調)で表される画素値のうち各画素GSに対応する画素値を色成分ごとに示している。より具体的に例えば、図5(a)乃至図5(c)に例示する画素GSでは、その赤色成分が256階調のうちの「70」(図5(a)参照)であり、その緑色成分が256階調のうちの「207」(図5(b)参照)であり、その青色成分が256階調のうちの「119」(図5(c)参照)である。
そして上記第一の判定方法として制御部10は初めに、青色成分の画素値と他の色成分の画素値との差を画素GSごとに算出する。即ち、ある画素GSにおける赤色成分の画素値、緑色成分の画素値及び青色成分の画素値が、それぞれ「180」、「120」及び「160」であるとすると、青色成分の画素値から赤色成分の画素値を差し引いた値は「−20」となり、青色成分の画素値から緑色成分の画素値を差し引いた値は「40」となる。なお青色成分の画素値から青色成分の画素値自体を差し引いた値は、いずれの画素GSにおいても常に「0」である。以上の減算処理を図5(a)乃至図5(c)に例示する画素GSごとに行った結果は、青色成分の画素値から赤色成分の画素値を差し引いた値について図5(d)に例示し、青色成分の画素値から緑色成分の画素値を差し引いた値について図5(e)に例示する結果となる。次に制御部10は、青色成分の画素値と他の色成分の画素値それぞれとの差を画素GSごとに加算する。この加算処理の結果、例えば上記画素GSの場合は−20+40+0=20>0となり、その画素GSでは青色成分が他の色成分よりも多く含まれていることになる。なお図5(f)は、各画素GSについて、青色成分の画素値と他の色成分の画素値それぞれとの差を加算した結果を画素GSごとに例示している。
次に第一の判定方法における上記ステップS4の判定として制御部10は、青色成分が他の色成分よりも多く含まれている画素GSの、ディスプレイ8の全ての画素GS(図5に例示する場合には計90個)に対する割合を判定する。図5(f)に例示する場合、90個の画素GSに対して青色成分が他の色成分よりも多く含まれている画素GS(図5(f)においてハッチングにより示す)は合計46個あり、その割合は0.51(51%)となる。よってこの場合に制御部10は、図5に例示する画像の場合は、その全体として、青色成分の画素値が他の色成分よりも大きいと判定し、当該画像については実施形態に係る低減処理を実行すると判定する(ステップS4;YES)。
次に第二の判定方法として制御部10は、画像解析部11において検出された各色成分の画素値の平均値を更に検出し、当該検出された平均値と青色成分の画素値とに基づいて当該青色成分の輝度を低減するか否かを判定する(ステップS4;YES)。この場合は、他の色成分との差を考慮して有効に青色成分を低減することができる。
ここで、上記第二の判定方法について、具体的に図6を用いて説明する。このとき図6を用いた説明では、図5を用いて説明したものと同様の液晶ディスプレイからなるディスプレイ8に画像を表示する場合を例として、図5と同様の画素値の記載方法を用いて説明する。また、図6(a)は上記画像における画素GSごとの赤色成分の画素値を例示し、図6(b)は上記画像における画素GSごとの緑色成分の画素値を例示し、図6(c)は上記画像における画素GSごとの青色成分の画素値を例示する。
そして上記第二の判定方法として制御部10は初めに、一の画素GSにおける各色成分の画素値の平均値を、画素GSごとに検出する。即ち、ある画素GSにおける赤色成分の画素値、緑色成分の画素値及び青色成分の画素値が、それぞれ「180」、「120」及び「160」であるとすると、その画素GSにおける各色成分の画素値の平均値は(180+120+160)/3≒153.3となる。以上の平均値算出処理を図6(a)乃至図6(c)に例示する画素GSごとに行った結果は、図6(d)に例示されている。次に制御部10は、当該平均値と青色成分の画素値との差を画素GSごとに算出する。この処理の結果、例えば上記画素GSの場合は160−153.3=6.7>0となり、その画素GSでは青色成分が上記平均値よりも多く含まれていることになる。なお図6(e)は、各画素GSについて、青色成分の画素値と上記平均値との差を画素GSごとに例示している。
次に第二の判定方法における上記ステップS4の判定として制御部10は、青色成分の画素値が上記平均値よりも大きい画素GSの数が、ディスプレイ8の全ての画素GS(合計90個)に対して予め設定された閾値割合(例えば50%)以上であるか否かを判定する。図6(e)に例示する場合、90個の画素GSに対して青色成分の画素値が上記平均値よりも大きい画素GS(図6(e)においてハッチングにより示す)は合計46個あり、その割合は上記閾値割合よりも大きい。よってこの場合に制御部10は、図6に例示する画像について実施形態に係る低減処理を実行すると判定する(ステップS4;YES)。なお上記閾値割合は、例えば経験的或いは実験的に予め設定される。
最後に第三の判定方法として制御部10は、画像解析部11において検出された各色成分の画素値の合計が予め設定された合計閾値以上であった場合に、実施形態に係る低減処理を実行すると判定する(ステップS4;YES)。これは、上記青色成分だけでなく、赤色成分及び緑色成分共に画素値が大きい(即ち、対応する画像として白色に近い)場合は、ディスプレイ8における発光のエネルギー自体が大きいこととなるため、実施形態に係る低減処理を実行してブルーライトを低減させることにするのである。なお上記合計閾値は、例えば画像情報Sinに相当する画像の内容(コンテンツ)の属性等に基づいて、実験的又は経験的に予め設定されるのが好ましい。
ここで、上記第三の判定方法について、具体的に図7を用いて説明する。このとき図7を用いた説明では、図5又は図6を用いて説明したものと同様の液晶ディスプレイからなるディスプレイ8に画像を表示する場合を例として、図5又は図6と同様の画素値の記載方法を用いて説明する。また、図7は上記画像における画素GSごとの赤色成分の画素値を例示し、図7(b)は上記画像における画素GSごとの緑色成分の画素値を例示し、図7(c)は上記画像における画素GSごとの青色成分の画素値を例示する。
そして上記第三の判定方法として制御部10は初めに、一の画素GSにおける各色成分の画素値の合計を、画素GSごとに検出する。即ち、ある画素GSにおける赤色成分の画素値、緑色成分の画素値及び青色成分の画素値が、それぞれ「180」、「120」及び「160」であるとすると、その画素GSにおける各色成分の画素値の合計は180+120+160=460となる。以上の合計算出処理を図7(a)乃至図7(c)に例示する画素GSごとに行った結果は、図7(d)に例示されている。
次に第三の判定方法における上記ステップS4の判定として制御部10は、各画素GSにおける色成分ごとの画素値の上記合計が予め設定された合計閾値(例えば「300」)より大きいか否かを、画素GSごとに判定する。この場合の上記合計閾値は、例えば経験的或いは実験的に予め設定される。そして制御部10は各色成分の画素値の合計が上記合計閾値よりも大きい画素GSの数が、ディスプレイ8の全ての画素GSに対して予め設定された閾値割合(例えば50%)以上であるか否かを判定する。図7(d)に例示する場合、90個の画素GSに対して各色成分の画素値の合計が上記合計閾値よりも大きい画素GS(図7(d)においてハッチングにより示す)は合計63個あり、その割合は上記閾値割合よりも大きい。よってこの場合に制御部10は、図7に例示する画像について実施形態に係る低減処理を実行すると判定する(ステップS4;YES)。なお上記閾値割合もまた、例えば経験的或いは実験的に予め設定される。
上記ステップS4の判定において当該低減処理を実行する場合(ステップS4;YES)、制御部10は、ブルーライト低減判定部3に対して画像情報Sinを補正対象範囲設定部4に出力させる。一方、ステップS4の判定において当該低減処理を実行しない場合(ステップS4;NO)、制御部10は、ブルーライト低減判定部3に対して画像情報Sinをそのまま切換部7に出力させる(ステップS11)。
次に画像情報Sinについて実施形態に係る低減処理を実行する場合に(ステップS4;YES)、補正対象範囲設定部4は、制御部10からの制御信号Sc中の上記範囲指定信号に基づき、画像情報Sinにおいて、当該低減処理の対象となる画素とそれ以外の画素とを判別する(ステップS5)。より具体的に例えば、画像情報Sinに相当する画像の図8(a)に例示する範囲ARに含まれる画素について当該低減処理の対象とする旨が上記範囲指定信号により示されている場合、補正対象範囲設定部4は、範囲AR内の画素については(ステップS5;YES)、画像情報Sinを画素値更新部6に出力する。一方、範囲AR内の画素以外の画素については(ステップS5;NO)、画像情報Sinをそのまま切換部7に出力する(ステップS11)。なおこの場合、図4(b)の例示するように、実施形態に係る低減処理の対象としない画像を含む範囲ARを制御部10からの制御信号Sc中の上記範囲指定信号により指定し、この範囲AR以外の範囲に含まれる画素を、実施形態に係る低減処理の対象とするように構成することもできる。
次に、実施形態に係る低減処理として、上記輝度テーブルBTを用いたバックライト8Bの輝度の制御(ステップS6乃至ステップS8)と、上記コントラスト補正強度テーブルCTを用いたコントラストの補正(ステップS9及びステップS10)と、が、並行して実行される。これらにより、バックライト8Bの輝度の制御によるブルーライトの低減と、当該輝度の制御により低下した視認性の補完と、が、並行して実行される。
即ち制御部10は、上記輝度の制御において先ず、上記タイミング制御信号が上記オン/オフ信号に含まれている場合において、当該タイミング制御信号により示される更新タイミングが到来したか否かを判定する(ステップS6)。ステップS6の判定において当該更新タイミングが到来していない場合(ステップS6;NO)、制御部10は後述するステップS8に移行する。一方ステップS6の判定において当該更新タイミングが到来した場合(ステップS6;YES)、制御部10は輝度テーブルBTのいずれかを示す上記輝度テーブル指定信号を含む制御信号Scを記録部5に出力し、記録部5は、当該輝度テーブル指定信号により示される輝度テーブルBTのデータを輝度設定更新部9に出力する(ステップS7)。これにより輝度設定更新部9は、当該輝度テーブルBTのデータに基づいて上記輝度設定信号Scbを生成してバックライト8Bに出力することで、当該バックライト8Bの輝度を制御する(ステップS8)。その後制御部10は後述するステップS11に移行する。なお、上記ステップS7においてそのデータが出力される輝度テーブルBTの指定方法については、後ほど詳述する。
これら上記ステップS6乃至ステップS8と並行して制御部10は、上記コントラストの補正として、コントラスト補正強度テーブルCTのいずれかを示す上記コントラスト補正強度テーブル指定信号を含む制御信号Scを記録部5に出力し、記録部5は、当該コントラスト補正強度テーブル指定信号により示されるコントラスト補正強度テーブルCTのデータを画素値更新部6に出力する(ステップS9)。
これにより画素値更新部6は、補正対象範囲設定部4から出力されてくる画像情報Sinに含まれている各画素における青色成分、赤色成分及び緑色成分それぞれの画素値を、記録部5から出力された上記コントラスト補正強度テーブルCTに含まれるデータにより示される画素値に更新し(ステップS10)、更新画像情報Sbcとして切換部7に出力する。
上記バックライト8Bの輝度の制御(ステップS6乃至ステップS8)及び上記コントラストの補正(ステップS9及びステップS10)の後、切換部7は、制御部10からの上記制御信号Sc中の上記オン/オフ信号及び上記範囲指定信号に基づき、ブルーライト低減判定部3又は補正対象範囲設定部4側と画素値更新部6側とを切り換えて、表示情報Soutをディスプレイ8に出力して表示させる(ステップS11)。
ここで、上記ステップS7においてそのデータが出力される輝度テーブルBTの指定方法、及び上記ステップS9においてそのデータが出力されるコントラスト補正強度テーブルCTの指定方法について、二通りの指定方法を説明する。
初めに第一の指定方法として制御部10は、画像解析部11からの解析信号Saに基づき、画像情報Sinに相当する画像のうち、画像解析部11における解析の対象となっている領域内の画素値の平均値を、各色成分若しくは輝度成分(Y成分)として算出する。そして、当該算出された平均値が例えば予め設定された平均値閾値以上で大きいほど、制御部10は、ブルーライトを十分に低減できる程度にバックライト8Bの輝度をより低減する(即ち当該輝度の低減度を大きくする)ように、輝度テーブルBTを指定するための上記輝度テーブル指定信号を生成して記録部5に出力すると共に、指定された輝度テーブルBTに対応してコントラストの補正強度をより強くするように、コントラスト補正強度テーブルCTを指定するための上記コントラスト補正強度テーブル指定信号を生成して記録部5に出力する。これに対して、上記算出された平均値が上記平均値閾値未満で小さいほど、制御部10は、バックライト8Bの輝度を多少低減する(即ち当該輝度の低減度を小さくする)ように輝度テーブルBTを指定するための上記輝度テーブル指定信号を生成して記録部5に出力すると共に、指定された輝度テーブルBTに対応してコントラストの補正強度をより弱くするようにコントラスト補正強度テーブルCTを指定するための上記コントラスト補正強度テーブル指定信号を生成して記録部5に出力する。
ここで、上記輝度テーブルBTの指定及び上記コントラスト補正強度テーブルCTの指定にそれぞれ用いられる上記平均値について、当該平均値を上記輝度成分(Y成分)として表す場合を例として、具体的に図9を用いて説明する。なお図9を用いた説明では、上記図5乃至図7を用いて説明したものと同様の液晶ディスプレイからなるディスプレイ8に画像を表示する場合を例として、画像解析部11における解析の対象となっている領域内の画素値の平均値を上記輝度成分として表している。
即ち、画像解析部11における解析の対象となっている領域内のある画素GSの画素値の平均値を輝度成分で表す場合、その値Yは、
Y=0.298912×赤色成分の画素値+0.586611×緑色成分の画素値
+0.114478×青色成分の画素値
なる式で表される。よって、当該画素GSにおける赤色成分の画素値、緑色成分の画素値及び青色成分の画素値が、それぞれ「180」、「120」及び「160」であるとすると、当該画素GSについての上記輝度成分Yは、
Y=0.298912×180+0.586611×120
+0.114478×160
=142.514
となる。このとき、上記「0.298912」、「0.586611」及び「0.114478」の各係数はそれぞれ、各色成分の画素値から輝度成分を算出する場合に用いられる係数として、例えば規格等により設定される係数である。
そして、画像解析部11における解析の対象が図9(a)に例示されるディスプレイ8全体であった場合、各画素GSについての上記輝度成分Yの平均値は「131」となる。また同様に、図9(b)に例示されるディスプレイ8内の特定の範囲ARが画像解析部11における解析の対象である場合、当該範囲ARに含まれる各画素GSについての上記輝度成分Yの平均値は「145」となる。このように、当該解析の対象となる範囲ARの広さに応じて、上記輝度成分Yの平均値は変化する。
そして図9に例示する場合において、上記輝度テーブルBTを用いたバックライト8Bの輝度の低減を例えば四段階に分けて実行する際には、例えば、上記輝度成分Yの平均値が既定の平均値閾値63以下であればバックライト8Bの輝度の低減率を「低」とし、上記輝度成分Yの平均値が既定の平均値閾値64以上平均値閾値127以下であればバックライト8Bの輝度の低減率を「やや低」とし、上記輝度成分Yの平均値が既定の平均値閾値128以上平均値閾値191以下であればバックライト8Bの輝度の低減率を「やや高」とし、上記輝度成分Yの平均値が既定の平均値閾値192以上であればバックライト8Bの輝度の低減率を「高」とするのが好ましい。
次に第二の指定方法としては、図示しない照度センサを例えばディスプレイ8の脇に設け、この照度センサにより検出されたディスプレイ8の表示画面の位置における周囲環境の照度に基づいて、制御部10が輝度テーブルBT及びコントラスト補正強度テーブルCTを指定する。ここで、上記照度センサにより検出される照度とは、上記表示画面が置かれている環境(周辺環境)の明るさ(一般に、その単位はルクス(lx))であり、バックライト8Bの発光によるディスプレイ8自体の輝度(一般に、その単位はカンデラ/平方メートル(cd/m2))とは異なる。またこの場合の照度センサが本発明に係る「照度検出手段」の一例に相当する。より具体的に、当該検出された照度が例えば予め設定された照度閾値以上である場合に制御部10は、バックライト8Bの輝度を現状維持とする(即ち当該輝度の低減度をゼロとする)ように輝度テーブルBTを指定するための上記輝度テーブル指定信号を生成して記録部5に出力すると共に、上記コントラストの補正強度を弱くするようにコントラスト補正強度テーブルCTを指定するための上記コントラスト補正強度テーブル指定信号を生成して記録部5に出力する。これに対して、上記検出された照度が上記照度閾値未満である場合、制御部10は、バックライト8Bの輝度を低減する(即ち当該輝度の低減度を大きくする)ように輝度テーブルBTを指定するための上記輝度テーブル指定信号を生成して記録部5に出力すると共に、指定された輝度テーブルBTに対応してコントラストの補正強度を強くするようにコントラスト補正強度テーブルCTを指定するための上記コントラスト補正強度テーブル指定信号を生成して記録部5に出力する。
言い換えれば、上記第一の指定方法及び上記第二の指定方法それぞれにおいて、コントラストの補正強度とバックライト8Bの輝度の低減度とを比例関係として(つまり、バックライト8Bの輝度の低減度が小さいほどコントラストの補正強度を弱くし、当該低減度が大きいほど当該補正強度を強くするようにして)、当該補正強度とバックライト8Bの輝度の制御を行う。
なお、これらの場合における上記平均値閾値及び照度閾値のそれぞれも、上記合計閾値と同様に、例えば画像情報Sinに相当する画像の内容の属性等に基づいて、実験的又は経験的に予め設定されるのが好ましい。また上記二通りの指定方法の場合、バックライト8Bの輝度の上限値及び下限値並びにコントラストの補正の上限値及び下限値については、例えば画像情報Sinに相当する画像の属性等に基づいて予め設定しておくことが望ましい。
以上説明したように、実施形態に係る低減処理によれば、青色成分を少なくとも含む各色成分の画素値を画素解析部11により検出し、その検出された画素値に基づいて少なくとも青色成分の輝度を低減すると共に、当該検出された画素値及び低減される輝度に基づいてコントラストを制御する。よって、少なくとも青色成分の輝度を低減しつつ画像としてのコントラストを制御することで、青色成分を低減する光学部材等を別途使用することなく、且つ対応する画像としての視認性の低下を防止しつつ、有害なブルーライトを低減することができる。
また、青色成分の輝度を複数の段階により低減し、更に、当該各段階にそれぞれ対応する複数の段階によりコントラストを制御する構成によれば、青色成分の輝度の低減と、コントラストの制御による視認性の低下の防止と、を、対応する複数の段階により的確に行うことができる。
更に、上記ステップS4における判定方法として、各色成分間の画素値の差(バランス)を検出し、そのバランスにおいて青色成分の画素値が他の色成分の画素値より高いか、又は青色成分の画素値が最も高い場合に実施形態に係る低減処理を実行する構成によれば、画像情報Sinにおける色成分間のバランスを考慮して、有効にブルーライトを低減することができる。
一方、上記ステップS4における判定方法として、各色成分の画素値の平均値を検出し、その平均値と青色成分の画素値とに基づいて実施形態に係る低減処理を実行する構成によれば、他の色成分との差を考慮して有効に青色成分を低減することができる。
他方、上記ステップS4における判定方法として各色成分の画素値の合計を検出し、その合計が既定の合計閾値以上であった場合に実施形態に係る低減処理を実行する構成によれば、各色成分の画素値の合計を考慮して有効にブルーライトを低減することができる。
更にまた、上記ステップS7及び上記ステップS9における指定方法として、実施形態に係る低減処理を実行する場合において、各色成分の画素値の平均値が大きいほどバックライト8Bの輝度をより低減すると共に、各色成分の画素値の平均値が大きいほどコントラストをより強く補正する構成によれば、対応する画像としての視認性の低下をより防止しつつ、有害なブルーライトを画像処理により有効に低減することができる。
他方、上記ステップS7及び上記ステップS9における指定方法として、実施形態に係る低減処理を実行する場合において、表示画面の位置における周囲環境の照度が低いほどバックライト8Bの輝度をより低減すると共に、当該照度が高いほどコントラストをより弱く補正する構成によれば、対応する画像としての視認性の低下をより防止しつつ、有害なブルーライトを画像処理により有効に低減することができる。
また、操作部2により選択された範囲のみを対象として実施形態に係る低減処理を行う場合は、当該低減処理の対象となる範囲が選択可能であることにより、ユーザの好みにより合致した態様で有害なブルーライトを低減することができる。なおこの場合、図8に例示したように実施形態に係る低減処理の対象となる範囲をユーザが指定する他に、例えば、実施形態に係る低減処理の対象となる画像(例えば文書の画像)、又は当該低減処理の対象としない画像(例えば映画の画像)が表示されるいわゆるウインドウをユーザが指定するように構成することもできる。この場合、そのウインドウが移動されることで当該低減処理の対象となる(又は対象とならない)画素のディスプレイ8内の位置自体は変化するが、そのウインドウ内に表示されている画像については、常に当該低減処理の対象とする(或いは対象としない)ように制御することができる。
更に上述した実施形態では、表示装置Dにおけるブルーライトの低減方法として、上記LEDを有するバックライト8Bの輝度自体を輝度テーブルBTに基づいて制御(低減)することによりブルーライトを低減する方法を用いた。しかしながら、ブルーライトの低減方法としてはこれ以外に、ディスプレイ8に表示される画像における青色成分の画素値を他の色成分の画素値に対して相対的に小さくする方法を用いてもよい。この点についてより具体的に図10を用いて説明すると、各画素GSの色成分それぞれの低減率を、図10(a)に例示するように、入力される画像情報Sinにおける画素値(輝度値)が大きいほど低減率を大きくするようにしてブルーライト低減を行うように構成してもよい。この場合、図10(a)に例示するブルーライト低減をRGB色空間で表現すると、図10(b)に例示するように、各色成分についての低減率が不均等に変化していることになる。このようなブルーライト低減は、実施形態に係る輝度テーブルBTに含まれているパラメータの内容を変えることで実現可能となる。
更にまた上述した実施形態では、RGB色空間を用いて動画等を含む画像を表示する表示装置Dにおけるブルーライトの低減処理に対して本発明を適用した場合について説明したが、これ以外に、例えばいわゆるHLS(Hue Luminance Saturation)色空間やHSV(Hue Value Saturation)色空間、或いは同様の色空間であるいわゆるLa*b*色空間、又は輝度と色差から成るいわゆるYCbCr(YUV)色空間を用いて上記画像を表示する表示装置におけるブルーライトの低減処理に対しても、本発明は同様に適用可能である。
また、図4に示すフローチャートに対応するプログラムを光ディスク等の記録媒体に記録しておき、或いはインターネット等のネットワークを介して取得して記録しておき、これらを例えば汎用のマイクロコンピュータ等により読み出して実行することにより、当該マイクロコンピュータ等を、実施形態に係るブルーライト低減判定部3、補正対象範囲設定部4、画素値更新部6及び切換部7並びに制御部10として機能させることも可能である。