以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、ドア搬送用装置が設置されたユニット製造工場内の製造ラインを示す平面図である。
図1に示すように、ユニット製造工場には、建物ユニットKを製造するための製造ライン11が設けられている。製造ライン11には、建物ユニットKを搬送するコンベア12(ベルトコンベア)が設けられ、そのコンベア12による搬送状態で建物ユニットKに各種部材が組み付けられるようになっている。また、製造ライン11には、コンベア12に隣接して踏み台13が設けられており、この踏み台13の上で作業者が建物ユニットKに対する部材の組み付け作業を行うようになっている。
建物ユニットKは、柱及び梁が連結されてなる直方体状の枠体(ユニット躯体)を有し、その枠体に壁面材や床面材、天井面材等が組み付けられてなる周知の構成を有している。図1に示す建物ユニットKは玄関を構成する建物ユニットとなっており、その側面部に玄関ドア14が取り付けられるドア枠15が組み付けられている。なお、この場合、玄関ドア14が「ドア」に相当し、ドア枠15が「ドアの取付箇所」に相当する。
本製造ライン11では、建物ユニットKのドア枠15に玄関ドア14を取り付けるドア取付作業が行われるようになっている。製造ライン11には、踏み台13に対して反コンベア12側にドア枠15に取り付けられる玄関ドア14が待機するドア待機場所17が設けられている。ドア取付作業に際しては、そのドア待機場所17で待機する玄関ドア14をコンベア12上を流れる建物ユニットKのドア枠15まで搬送し当該ドア枠15に取り付ける作業を行う。
ここで、本実施形態では、玄関ドア14を建物ユニットKのドア枠15まで搬送するに際し、ドア搬送用装置20を用いて搬送することとしている。以下においては、このドア搬送用装置20の構成について図1に加え図2を用いて説明する。なお、図2は、製造ライン11に設置されたドア搬送用装置20の構成を示す側面図である。
図1及び図2に示すように、ドア搬送用装置20は、アーム式の搬送装置30と、そのアーム式搬送装置30により保持されて搬送されるドア保持装置40とを備える。アーム式搬送装置30は、本体部31と、その本体部31に動作可能に設けられたアーム部32と、そのアーム部32の先端部に設けられ搬送対象を保持する保持部33とを有する周知の構成からなる。本ドア搬送用装置20では、保持部33により保持される搬送対象がドア保持装置40となっており、そのドア保持装置40により玄関ドア14が保持される構成となっている。つまり、本ドア搬送用装置20では、保持部33により玄関ドア14がドア保持装置40を介して保持され、その保持状態で玄関ドア14が搬送装置30を用いて搬送されるものとなっている。
本体部31は、ユニット製造工場の床部に設置され、その内部に駆動部等を有している。アーム部32は、その動作によって、保持部33により保持されたドア保持装置40を上下、左右、前後の各方向に移動させることが可能となっている。保持部33は、複数の吸盤34からなる吸着部35を有し、その吸着部35によりドア保持装置40をエア吸引で吸着保持するものとなっている。吸着部35を構成する吸盤34は、上下に並べて複数(3つ)設けられ、それが左右二列に配置されている。
次に、ドア保持装置40の構成について図1及び図2に加え図3及び図4を用いながら説明する。図3は、(a)がドア保持装置40の構成を示す正面図であり、(b)が同構成を示す側面図である。図4は、ドア保持装置40の構成を示す平面図である。
図1〜図4に示すように、ドア保持装置40は、アーム式搬送装置30の保持部33により保持される被保持部41と、玄関ドア14を保持するドア保持部42とを備える。被保持部41は、保持部33の吸着部35により吸着保持される吸着板44と、その吸着板44が固定された固定フレーム45とを有する。吸着板44は、透明性を有するアクリル板からなり、上下方向に延びる長方形状を有している。なお、図3では便宜上、吸着板44にドットハッチを付して示している。
固定フレーム45は、上下に延びる矩形枠状をなしている。固定フレーム45は、互いに離間して設けられた一対の縦材46と、それら各縦材46の間に架け渡された複数の横材47とを有する。これらの縦材46と横材47とはいずれも角形の鋼材からなり、溶接等により互いに連結されている。なお、各横材47のうち、上下の端部に配置された各横材47aは他の横材47と比べて横断面が大きくされている。また、固定フレーム45は、その上下寸法が吸着板44よりも大きくされている。
固定フレーム45は、吸着板44において吸着部35(吸盤34)が吸着されている吸着面44a側に配置されている。この配置状態において固定フレーム45には吸着板44がビス等により固定されている。かかる構成では、吸着板44の吸着面44aが固定フレーム45の横材47により上下複数の領域に区画されている。この場合、それら区画された各領域がそれぞれ吸着部35の吸盤34が配置される配置領域49となっている。これら各配置領域49にはそれぞれ吸盤34が2つずつ横並びで配置されている。また、詳しくは、上下に並ぶ配置領域49の配置ピッチと、上下に並ぶ吸盤34の配置ピッチとはいずれも同じピッチとなっている。
固定フレーム45の上端部には、保持部33からのドア保持装置40の落下を防止する落下防止部51が設けられている。固定フレーム45の各縦材46の上端部にはそれぞれ吸着板44の厚み方向にて吸着板44とは反対側(換言すると保持部33側)へ突出する一対の突出部52が設けられ、これらの突出部52に落下防止部51が架け渡されて設けられている。落下防止部51は、金属製の棒材からなり、その両端部が各突出部52に固定されている。また、落下防止部51は、その中間部にて上向きに凸となる円弧状をなしている。
落下防止部51は、ドア保持装置40(被保持部41)がアーム式搬送装置30の保持部33に保持された状態で、その保持部33に設けられた引っ掛け部38に引っ掛かり可能な状態で配置されている(図2参照)。すなわち、保持部33には、吸着部35よりも上方から上方に突出する突出部37が設けられ、その突出部37の上端部に引っ掛け部38が設けられている。引っ掛け部38は、突出部37の上端部から上方に延びる金属製の一対の線材38aからなり、それら一対の線材38aは平面視にて落下防止部51の長手方向と直交する方向に離間して配置されている。詳しくは、これらの線材38aは上方に向かうにつれて互いに離間するように斜めに延びている。
そして、落下防止部51は、上記各線材38aの間を通じて配設されている。この場合、保持部33によるドア保持装置40(被保持部41)の保持が意図せず解除されてしまった場合には、落下防止部51が各線材38a(引っ掛け部38)に引っ掛かってドア保持装置40が保持部33から落下することが防止されるようになっている。
ドア保持部42は、上下に延びるドア立てかけ部55と、そのドア立てかけ部55の下端部に設けられたドア載置部56とを有する。ドア立てかけ部55は、互いに離間して設けられた一対の縦材58と、それら各縦材58の間に架け渡された複数の横材59とを有する。これらの縦材58と横材59とはいずれも角形の鋼材からなり、溶接等により互いに連結されている。これにより、ドア立てかけ部55は、上下に延びる矩形枠状をなしている。また、ドア立てかけ部55は、被保持部41(固定フレーム45)と略同じ上下寸法を有している。
ドア立てかけ部55の下端部には、ベース部材61を介して一対のドア載置部56が設けられている。ベース部材61は、ドア立てかけ部55の幅方向に延びる角形の鋼材からなり、ドア立てかけ部55の下端面に溶接等により固定されている。ベース部材61において長手方向の両端側はドア立てかけ部55から突出した一対の突出部61aとなっている。突出部61aとドア立てかけ部55の縦材58との間には補強用の斜め材62が架け渡されている。
ベース部材61の両端側すなわち各突出部61aには、その下面にそれぞれドア載置部56が設けられている。これら各ドア載置部56は、長方形状に形成された平板状の鋼板からなる。ドア載置部56は、その長手方向がベース部材61の長手方向と直交する向きでベース部材61の下面に溶接等により固定されている。この場合、ドア載置部56は、その長手方向の中央部にてベース部材61の下面に固定され、それによりその長手方向の両側がそれぞれベース部材61(さらにはドア立てかけ部55)から突出している。この場合、ドア載置部56は、平面視においてドア立てかけ部55を挟んだ両側に跨がって配設されている。
ドア保持部42では、玄関ドア14がその下端部を各ドア載置部56の上に載置した状態で、ドア立てかけ部55に立てかけられることにより縦向き状態(縦置き状態)で保持されるようになっている。かかる保持状態では、玄関ドア14の下方への荷重がドア載置部56により支持され、玄関ドア14の側方(ドア立てかけ部55側)への荷重がドア立てかけ部55により支持される。
ドア載置部56は、上述したように、ドア立てかけ部55を挟んだ両側に跨がって設けられているため、ドア保持部42では、ドア立てかけ部55を挟んだ両側のそれぞれに玄関ドア14を縦向き状態で保持させることが可能となっている。すなわち、ドア立てかけ部55を挟んだ両側のそれぞれにおいて、玄関ドア14をドア載置部56に載置しドア立てかけ部55に立てかけることで縦向き保持することが可能となっている。この場合、建物ユニットKに取り付ける玄関ドア14の種類(例えばドアの開閉向き)等に応じて、玄関ドア14をドア保持部42においてドア立てかけ部55を挟んだ両側のうちいずれに保持させるかを選択することが可能となる。
ドア保持部42は被保持部41を挟んで保持部33とは反対側に配置されている。つまり、被保持部41を挟んだ両側のうち一方側に保持部33が配置され、他方側にドア保持部42が配置されている。ドア保持部42は、かかる配置状態で、被保持部41に対して揺動可能に連結されている。以下、かかる連結に関する構成について説明する。
被保持部41の固定フレーム45において上下の各端部にはそれぞれ保持部33とは反対側(ドア保持部42側)に一対の横材64が設けられている。これらの横材64は角形の鋼材からなり、吸着板44を挟んだ上下両側に配置されている。これらの横材64はそれぞれ固定フレーム45の上下両端に設けられた横材47aに沿って配設され、その横材47aに溶接等により固定されている。
各横材64は、吸着板44よりも反保持部33側(反固定フレーム45側)に延出して設けられ、それら各横材64の延出部分には上下に延びる軸部66が架け渡されて設けられている。軸部66は、円管状の鋼管により形成され、その上下の端部がそれぞれ各横材64に溶接等により固定されている。軸部66は、吸着板44(被保持部41)の幅方向において中央部に配置されている。
軸部66の外周側には回転軸67が設けられている。回転軸67は、軸部66の外径よりも大きい内径を有する円管状の鋼管により形成されている。この場合、回転軸67は、その内側に軸部66を挿通させた状態で設けられ、その軸部66の外周に沿って回転可能とされている。
回転軸67には、上下一対の連結材69を介してドア保持部42が連結されている。ドア保持部42は、ドア立てかけ部55の幅方向(換言するとドア保持部42に保持される玄関ドア14の幅方向)が吸着板44(ひいては被保持部41)の幅方向に対して交差する向きで配置され、その配置状態で回転軸67に各連結材69を介して連結されている。各連結材69は、長尺状をなす角形の鋼材からなり、その一端部が回転軸67に溶接等により固定され、その他端部がドア保持部42のドア立てかけ部55(詳しくは縦材58)に溶接等により固定されている。この場合、ドア保持部42はドア立てかけ部55の幅方向の延長線上に回転軸67が位置するように配置されている。このように、ドア保持部42は各連結材69を介して回転軸67に連結されており、それにより、ドア保持部42が回転軸67内の軸部66(鉛直軸)を中心として揺動可能(回動可能)とされている。
回転軸67の上端側には、受け部材71が固定されている。受け部材71は長尺状をなす角形の鋼材からなる。受け部材71は、ドア立てかけ部55の幅方向と直交する水平向きで配置され、その配置状態で溶接等により回転軸67の外周面に固定されている。この場合、受け部材71は、ドア立てかけ部55の幅方向において回転軸67を挟んで連結材69(ドア立てかけ部55)とは反対側に配置され、その長手方向の中間部(詳しくは中央部)にて回転軸67に固定されている。
受け部材71において長手方向の両端側には玄関ドア14の転倒防止バー73(図1及び図2参照)を取り付けるためのバー取付部74が設けられている。バー取付部74は、ドア立てかけ部55の幅方向に延びる管状詳しくは角管状をなしている。バー取付部74は、角形の鋼管により形成され、受け部材71に溶接等により固定されている。この場合、バー取付部74の内側に金属製の角棒からなる転倒防止バー73を挿入し取り付けることが可能となっている。なお、転倒防止バー73が転倒防止部に相当する。
玄関ドア14をドア保持部42に保持した状態で、転倒防止バー73がバー取付部74に取り付けられると、転倒防止バー73が玄関ドア14を挟んでドア立てかけ部55とは反対側(すなわちドア転倒側)に配置される(図1及び図2参照)。そのため、転倒防止バー73の取付状態では、当該バー73により玄関ドア14がドア立てかけ部55とは反対側に転倒するのを防止することが可能となっている。
また、バー取付部74は、受け部材71の両端側にそれぞれ設けられているため、玄関ドア14をドア保持部42においてドア立てかけ部55を挟んだ両側のいずれに保持させた場合にも、転倒防止バー73による玄関ドア14の転倒防止を図ることが可能となっている。さらに、バー取付部74は、受け部材71の両端側においてそれぞれ受け部材71の長手方向(換言すると、ドア保持部42に保持される玄関ドア14の厚み方向)に並んで複数(具体的には2つ)設けられているため、ドア保持部42に保持させる玄関ドア14の厚みに応じて、それら複数のバー取付部74のうちいずれかのバー取付部74を選択して転倒防止バー73を取り付けることが可能となっている。
また、各バー取付部74と受け部材71とはいずれも吸着板44よりも上方に配置されている。この場合、各バー取付部74と受け部材71とは上下方向の位置が固定フレーム45における上下に隣り合う横材47同士の間と同じ位置となっている。ここで、各バー取付部74と受け部材71とが回転軸67に固定された構成では、被保持部41に対してドア保持部42を揺動させる際(すなわち回転軸67が回転する際)に、バー取付部74及び受け部材71が回転軸67とともに回転(揺動)することになる。この点、各バー取付部74と受け部材71とを上記のように配置したことで、これらの部材71,74が回転軸67とともに回転した際、固定フレーム45に緩衝するのを回避することが可能となっている。
次に、上述したドア搬送用装置20を用いて玄関ドア14を建物ユニットKのドア枠15まで搬送し取り付ける際の作業内容について説明する。
図1に示すように、ドア搬送用装置20を用いて玄関ドア14を建物ユニットKのドア枠15まで搬送する際にはまず、アーム式搬送装置30を操作することでドア保持装置40をドア待機場所17まで移動させる(図1における実線参照)。この際、作業者はアーム式搬送装置30の保持部33に設けられた把持部39を把持した状態でドア保持装置40を移動させる。
ドア待機場所17では、玄関ドア14が例えば吊り具により縦向き状態で吊り下げ支持されている。この場合、作業者はその吊り下げ状態にある玄関ドア14の下方にドア保持部42のドア載置部56が位置するようにドア保持装置40を移動させ、その後玄関ドア14をドア載置部56上に載置させドア立てかけ部55に立てかける。これにより、玄関ドア14がドア保持部42に縦向き状態で保持される。そして、その後、転倒防止バー73をバー取付部74に挿入し取り付ける。
次に、アーム式搬送装置30を操作してドア保持装置40ひいては玄関ドア14を建物ユニットKのドア枠15まで搬送する作業を行う。この作業では、アーム式搬送装置30のアーム部32を水平方向に旋回させることで、ドア保持装置40をドア待機場所17から建物ユニットKのドア枠15付近へと移動させる。この場合、ドア保持部42(ひいては玄関ドア14)が被保持部41に対してドア枠15側に位置するように、つまりドア保持部42(玄関ドア14)がドア枠15側を向くようにドア保持装置40を移動させる。
次に、ドア保持部42に保持された玄関ドア14をドア枠15に取り付ける取付作業を行う。この取付作業に際しては、ドア保持部42を被保持部41に対して揺動させることで玄関ドア14を左右にスイングさせながら玄関ドア14の位置調整を行う。すなわち、玄関ドア14をドア枠15の取付位置に対して位置合わせする作業を行う。玄関ドア14を位置合わせしたら、玄関ドア14をドア枠15に対して取り付ける。この場合、玄関ドア14に設けられているヒンジ軸(図示略)をドア枠15に設けられた軸受け部(図示略)に挿入することで、玄関ドア14をドア枠15に取り付ける。
玄関ドア14をドア枠15に取り付けた後、転倒防止バー73をバー取付部74から取り外し、ドア保持装置40(ドア保持部42)を玄関ドア14から外す(離す)。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
ドア搬送用装置20において、アーム式搬送装置30のアーム部32先端に設けられた保持部33によりドア保持装置40を保持し、そのドア保持装置40のドア保持部42により玄関ドア14を縦向き状態で保持するようにした。すなわち、アーム式搬送装置30により玄関ドア14をドア保持装置40を介して保持するようにした。この場合、かかる保持状態で玄関ドア14を建物ユニットKにおける玄関ドア14の取付箇所(ドア枠15)まで搬送することができる。
また、ドア保持装置40において、ドア保持部42を被保持部41に対して鉛直方向に延びる軸部66を中心として揺動可能としたため、ドア保持部42により保持された玄関ドア14を左右に揺動(スイング)させることができる。この場合、玄関ドア14を取付箇所に取り付ける際に、玄関ドア14を左右にスイングさせながら位置調整することができるため、玄関ドア14の取付作業を容易とすることができる。特に、コンベア12上で搬送状態にある建物ユニットKに玄関ドア14を取り付ける際には、玄関ドア14をスイングさせながら位置調整を行えることは有効になる。
さらに、上記のドア搬送用装置20では、取付箇所までの玄関ドア14の搬送自体は既製のアーム式搬送装置30を用いて行い、玄関ドア14のスイング動作をドア保持装置40を用いて行う構成としているため、ドアのスイング機構も含めたドア搬送機構を新たに構築する場合と比べて、簡易な構成で装置20を構築することができる。よって、この場合、玄関ドア14の取付作業を容易とすることができるとともに、比較的簡易な構成でドア搬送用装置20を構築することができる。
ここで、搬送装置に頼らず、人力により玄関ドア14を取付箇所まで搬送し取り付けを行うことも考えられる。その場合、人力により玄関ドア14を取付箇所においてスイング動作させながら玄関ドア14の位置調整を行うことが可能となる。しかしながら、その場合、玄関ドア14を取付箇所まで搬送する作業が重筋作業となる等、搬送作業が大変になるおそれがある。特に、玄関ドア14は一般に重量が大きいため、人力により搬送する場合、複数人による重筋作業になると考えられる。また、玄関ドア14を建物ユニットKに取り付ける作業も、複数人で玄関ドア14を持ち上げてスイング動作させながら位置調整を行うといった、大変な作業になることが考えられる。その点、上述のドア搬送用装置20を用いて玄関ドア14を搬送するようにすれば、玄関ドア14の搬送作業自体を容易としながら、玄関ドア14の取付作業を容易とすることができる。これにより、例えば、作業者1人で玄関ドア14の搬送作業と取付作業とを行うことが可能となり、工数低減の効果を得ることもできる。
ドア保持装置40の被保持部41を上下に延びる壁状に形成し、その被保持部41をアーム式搬送装置30の保持部33により上下複数箇所で保持する構成とした。具体的には、被保持部41の吸着板44を上下に延びるように形成し、その吸着板44を保持部33の吸着部35、詳しくは上下複数の吸盤34により吸着保持する構成とした。この場合、ドア保持装置40により玄関ドア14を縦向き状態で保持する構成にあって、玄関ドア14を安定した状態で保持することが可能となる。
被保持部41に吸着板44に加えて、その吸着板44が固定された固定フレーム45を設けた。そして、その固定フレーム45を吸着板44における吸着部35の吸着面44a側に固定した。この場合、吸着部35を用いて吸着板44を吸着保持する際に、吸着板44が吸着側に撓んだりして変形するのを抑制することができるため、吸着部35による吸着板44の吸着保持を安定した状態で行うことができる。
吸着板44の吸着面44aにおいて固定フレーム45の横材47により上下に区画される各領域にそれぞれ吸着部35の吸盤34を配置したため、吸着板44において各吸盤34を配置する位置を規定することができる。この場合、吸着部35(各吸盤34)により吸着保持される吸着板44ひいてはドア保持装置40の高さ位置を規定することができるため、当該装置40により保持される玄関ドア14の保持高さを規定することができる。これにより、かかる保持状態で玄関ドア14を建物ユニットKの取付箇所まで搬送し取り付けるに際し、玄関ドア14の高さ位置調整の作業を軽減させることができる。
ドア保持部42を、上下に延びるドア立てかけ部55と、その下端部に設けられたドア載置部56とを有して構成した。かかる構成では、玄関ドア14がその下端部をドア載置部53の上に載置した状態でドア立てかけ部55に立てかけられることにより縦向き状態で保持される。この場合、ドア保持部42をドア立てかけ部55とドア載置部56とからなる簡易な構成で構築することができる。
また、ドア保持部42に保持される玄関ドア14を挟んでドア立てかけ部55とは反対側(以下、ドア転倒側ともいう)には転倒防止バー73を配するようにしたため、その転倒防止バー73により玄関ドア14が転倒するのを防止することができる。また、転倒防止バー73は着脱可能に設けられているため、玄関ドア14をドア保持部42に保持させたり玄関ドア14をドア保持部42から外したりする等の作業を行う際は転倒防止バー73をドア転倒側から退避させておくことができる。これにより、上記の作業をし易くすることができる。
アーム式搬送装置30の保持部33に引っ掛け部38を設ける一方、ドア保持装置40の被保持部41に落下防止部51を設けたため、万が一、保持部33による被保持部41の保持が解除されてしまった場合でも、落下防止部51が保持部33の引っ掛け部38に引っ掛かることでドア保持装置40の落下を防止することができる。そのため、ドア保持装置40を介して玄関ドア14を保持する構成にあって、玄関ドア14の落下を防止することができる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
・上記実施形態では、アーム式搬送装置30の保持部33として、搬送物を吸着部35により吸着して保持するエア吸引式のものを用いたが、保持部33としては必ずしもエア吸引式のものを用いる必要はない。例えば、保持部として、搬送物を挟持することで保持するクランプ式のものを用いてもよい。その場合にも、ドア保持装置40の被保持部を上下に延びる壁状とし、その被保持部を上下複数の箇所で挟持して保持するようにすれば、縦向き状態の玄関ドア14を安定した状態で保持することが可能となる。
また、保持部として、クランプ式のものを用いる場合、必ずしも被保持部を上下複数の箇所で挟持する必要はなく、上下方向にて1箇所のみで保持するようにしてもよい。
・ドア保持部42の構成は必ずしも上記実施形態のものに限定されない。例えば上記実施形態では、ドア保持部42においてドア立てかけ部55をフレーム状に形成したが、面材等で板状に形成してもよい。また、複数の棒材を所定間隔で立設しそれら各棒材をドア立てかけ部として用いてもよい。
また、上記実施形態では、ドア載置部56を平板状としたが、例えばドア載置部56の先端部に起立部を設け、その起立部とドア立てかけ部55との間で玄関ドア14の下端部を挟み込むようにしてもよい。
・上記実施形態では、転倒防止バー73をドア保持装置40に着脱可能に設けたが、転倒防止バー73は必ずしも着脱可能とする必要はない。例えば、転倒防止バーをドア保持装置40において、ドア保持部42に保持される玄関ドア14を挟んでドア立てかけ部55とは反対側に配される転倒防止位置と、その転倒防止位置から退避される退避位置との間で動作可能に設けてもよい。例えば、回転軸67の外周面に、転倒防止バーを鉛直方向に回動可能に取り付け、その回動により転倒防止位置にて横向きで配置される状態と、退避位置にて縦向きで配置される状態との間で動作可能とすることが考えられる。その場合にも、玄関ドア14をドア保持部42に保持させたり玄関ドア14をドア保持部42から外したりする作業を行う際には、転倒防止バーを転倒防止位置から退避させることができるため、かかる作業をし易くすることができる。なお、転倒防止バー73は固定式であってもよい。
また、転倒防止部は必ずしも棒状(すなわち転倒防止バー73)とする必要はなく、例えばフレーム状や板状に形成する等、棒状以外の形態としてもよい。
・玄関ドア14をドア枠15に取り付けるに際しては、例えば玄関ドア14のヒンジ軸(図示略)をドア枠15の軸受け部(図示略)に導くためのガイド治具を用いて取付作業を行ってもよい。かかるガイド治具を用いる場合には、玄関ドア14を取り付けるに先立ち、まずガイド治具をドア枠15に取り付け、その後玄関ドア14をガイド治具に押し当てながらドア枠15に取り付ける。この場合、玄関ドア14をガイド治具に押し当てることで、玄関ドア14がそのヒンジ軸がドア枠15の軸受け部に対応する位置へと自ずと導かれるように、ガイド治具を形成する。このようにすることで、玄関ドア14の取付作業をより一層容易とすることができる。
・上記実施形態では、ドア搬送用装置20を玄関ドア14を搬送する際に用いたが、洗面室やトイレのドア等、玄関ドア以外のドアを搬送する際に用いてもよい。