JP6610283B2 - 蒸気管の損失計測システム及び計測方法 - Google Patents

蒸気管の損失計測システム及び計測方法 Download PDF

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Description

本発明は、蒸気管の損失計測システム及び計測方法に関する。
産業分野における工場において、蒸気は、生産工程での加熱や空調の加熱・加湿まで幅広い用途に用いられている。蒸気は、45℃程度の低温域から170℃程度の高温域まで幅広い温度帯をカバーすることが可能であり、いわば使い勝手の良い熱媒体である。そのため、工場の多くの場所に蒸気配管が敷設され、集中設置されたボイラーから各生産工程等に蒸気が送られるのが一般的である。
図6は、工場に敷設される蒸気系統の一般的な概念図を示す。ボイラーなどの蒸気製造装置で製造された蒸気は蒸気ヘッダに送られ、生産工程における加熱や空調の加熱・加湿等の用途に用いられる。各種用途に用いられた蒸気はドレンとして回収され、還水槽等に集約された後、ボイラーに再度給水される。また、配管途中には、配管からの放熱に伴う蒸気の凝縮で生じたドレンを排出するスチームトラップが複数配置されている。
図6に示す蒸気系統において、投入した燃料エネルギーに対して以下の4つの損失(ロス)の存在が考えられる。(1)ボイラーのロス:ボイラーの使用燃料流量に対するボイラーにて製造される熱量を算出することにより明らかとなるロス(いわゆるボイラー効率に伴うロス)、(2)送気時(配管)のロス:配管からの放熱等によって配管上のスチームトラップから排出されるロス、あるいはバルブや配管損傷部からのリーク蒸気によるロス、(3)負荷設備後のトラップのロス:ドレンを回収するためのスチームトラップからの漏洩によるロス、(4)回収のロス:ドレンを返送するための配管からのロスで、例えば還水槽が大気開放型である場合等にポンプキャビテーション発生防止のために補給する水等により温度低下することによるロス。これら(1)−(4)のロスを、ボイラーへの投入燃料から差し引いたエネルギーが生産工程や空調設備にて有効に活用されたエネルギーとなる。
送気時(配管)のロス(以下「配管ロス」)は次の3種類のロスを含む。(1)ドレンロスは、配管からの放熱に伴い配管内蒸気が凝縮・ドレン化しスチームトラップから排出されるロスである。(2)トラップリークロスは、スチームトラップにて捕捉されたドレンが排出される際に配管内蒸気が同時に漏洩するロスである。(3)配管等リークロスは、蒸気配管、バルブ、フランジ等を含む配管系統に物理的損傷等があり、蒸気が漏洩するロスである。
配管ロスの計測方法として以下がある。すなわち、配管入口側(ボイラー出口直後)及び配管出口側(各種負荷設備直前)のそれぞれに蒸気流量計を設置し、その計測結果の比較に基づきロスを算出する。しかしながら、この方法では、蒸気流量計を直接配管に設置することで計測可能となるから、配管出口側が複雑な構成であると、流量計を複数設置する必要が生じる。また、新規設置に際して既存の蒸気配管を切断する必要がある。さらに、湿り分(ドレン)がスチームトラップからすべて取り除かれるとは限らないために湿り度の評価が不十分となる可能性がある。
配管ロスの他の計測方法としてサーモグラフィなどの特殊な装置を用いた方法がある。しかしながら、この方法は、装置が高価である、計測結果の分析・評価に専門技術を要する、配管表面温度の計測精度が不十分となる傾向にある、蒸気管又は保温材の熱伝導率の評価が比較的困難である、などの課題を有する。
これに対し、蒸気管の内部空間を実質的に閉空間とした無負荷状態とし、この状態において蒸気管内の蒸発量を計測することで蒸気配管ロスを計測する方法が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第4924762号公報
しかしながら、上記従来技術の計測方法では、ボイラーの起動時に発生するロスが考慮されていなかった。そのため、実際に計測された値が起動時のロスを含んだものとなってしまい、計測精度が低下してしまうといった問題があった。
本発明は、無負荷計測において蒸気管の損失、特に配管ロスを高精度に計測することが可能な計測システム及び計測方法を提供することを目的とする。
本発明の態様に従えば、蒸気製造装置及び負荷設備につながった蒸気管の損失を計測する損失計測システムが提供される。この損失計測システムは、前記蒸気管の少なくとも一部を含む、実質的な閉空間を作る第1装置と、前記蒸気管内の圧力を実質的に一定に保つように、前記蒸気製造装置から前記蒸気管内への蒸気の供給量を制御する第2装置と、前記実質的な閉空間での蒸発量に関する値を測定する第3装置と、前記蒸気製造装置における起動時の損失に関する値に基づいて前記第3装置の計測結果を補正し、補正した前記計測結果を用いて前記蒸気管の損失を計測する第4装置と、を備える。
本発明の別の態様に従えば、蒸気製造装置及び負荷設備につながった蒸気管の損失を計測する方法が提供される。この損失計測方法は、前記蒸気管の少なくとも一部を含む、実質的な閉空間を作る第1工程と、前記蒸気管内の圧力を実質的に一定に保つように、前記蒸気製造装置から前記蒸気管内への蒸気の供給量を制御する第2工程と、前記実質的な閉空間での蒸発量に関する値を測定する第3工程と、前記蒸気製造装置における起動時の損失に関する値に基づいて前記蒸発量に関する値を補正した補正値を用いて、前記蒸気管の損失を計測する第4工程と、を備える。
この計測システム及び計測方法によれば、配管ロスを精度良く計測することができる。
損失計測システムを示す概略図である。 制御ユニットを示す模式図である。 実証試験結果と理論計算結果との比較を示す図である。 蒸気製造装置の起動時ロスを説明するための概念図である。 損失計測システムの変形例を示す概略図である。 一般的な蒸気系統を示す概念図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、損失計測システム1を示す概略図である。
図1に示すように、蒸気管10は、蒸気製造装置20(ボイラーなど)と負荷設備30との間に配設される。蒸気製造装置20からの蒸気が蒸気管10を流れ、負荷設備30に送られる。負荷設備30において、蒸気又は蒸気の熱が利用される。負荷設備30から排出された蒸気はドレンとして回収され、還水槽25に集約された後、蒸気製造装置20に再度給水される。蒸気管10は、不図示の保熱手段によって保熱されている。公知の様々な保熱手段が適用可能である。保熱手段は、例えば、蒸気管10の外面を覆う保温材を有する。
蒸気管10には、配管等での放熱に伴う蒸気の凝縮で生じたドレンを排出する複数のスチームトラップ(ドレントラップ)ST1、ST2、ST3が配置されている。図1において、スチームトラップSTnの数は3である。スチームトラップSTnの数は、設備仕様に応じて様々である。蒸気管10内で凝縮して生じたドレンの少なくとも一部がスチームトラップST1、ST2、ST3に捕捉される。公知の様々なスチームトラップが適用可能である。通常、スチームトラップST1、ST2、ST3は、捕捉したドレンを適宜排出可能な構造を有する。
蒸気管10における蒸気製造装置20とスチームトラップST1との間には、流量センサ42及び圧力センサ44が配設されている。少なくとも圧力センサ44の計測結果が制御ユニット(第2装置)40に送られる。蒸気製造装置20を含む蒸気供給システムにおいては、圧力センサ44の計測結果に基づいて、蒸気管10の内部圧力が一定となるように、蒸気の供給を制御可能である。
蒸気管10における負荷設備30の入口付近(最終のスチームトラップST3と負荷設備30との間)には、バルブ(第1装置)27が配設されている。バルブ27を開とすることにより、蒸気製造装置20からの蒸気が負荷設備30に入力可能となる。バルブ27を閉とすることにより、蒸気製造装置20からの蒸気の負荷設備30への入力が遮断される。
また、還水槽25付近には、蒸気製造装置20への給水量を計測する流量センサ46(第3装置)が配設されている。流量センサ46の計測結果は制御ユニット40に送られる。
本実施形態において、蒸気製造装置20は、該蒸気製造装置20に対する燃料供給量、すなわち、燃料使用量を計測する計測センサ47(第3装置)が配設されている。計測センサ47の計測結果は制御ユニット40に送られる。
制御ユニット(第4装置)40は、後述のように蒸気製造装置20における起動時の損失に関する値に基づいて流量センサ46の計測結果を補正した補正値に基づいて、蒸気管10における配管ロスを計測することができる。
以上のように、本実施形態に係る損失計測システム1は、バルブ27、流量センサ42、圧力センサ44、流量センサ46、計測センサ47、及び制御ユニット40を含む。
図2は、制御ユニット40を示す模式図である。図2において、計算装置50は、例えばコンピュータシステムである。制御ユニット40は、計算装置50に加え、入力装置127、及び表示装置(出力装置)128を有する。計算装置50は、A/D変換器等の変換器123、CPU(演算処理手段)124、及びメモリ125等を有する。損失計測システム1のセンサ(圧力センサ44等)などから送られる測定データが、必要に応じて変換器123等で変換され、CPU124に取り込まれる。また、初期設定値、及び仮データなどが入力装置127などを介して計算装置50に取り込まれる。表示装置128は、入力されたデータに関する情報、及び計算に関する情報などを表示することができる。
CPU124は、測定データ、及びメモリ125に記憶された情報に基づき、蒸気管10の損失に関する計算を実行することができる。例えば、流量センサ46の測定結果を用いて、蒸気管10の放熱損失を算出することができる。以下、蒸気管10の損失に関する算出手法の一例を示す。
本計測方法は、蒸気を製造するボイラーなどの蒸気製造装置20への給水量に着目したものである。蒸気製造装置20で製造された蒸気は、損失(ロス)を発生させながら種々の負荷にて仕事をした後に回収される。本計測方法では、(1)負荷設備30を停止する、(2)負荷設備30の直前でバルブ27を閉じるなど、負荷設備30内に蒸気が流入しないようにする。すなわち、蒸気管10の内部空間を主とする実質的な閉空間を作る。以下、この状態を適宜に「無負荷」と呼ぶ。蒸気製造装置20は、蒸気管10内の圧力を一定に保つように蒸気を供給する。これは、蒸気管10で蒸発して蒸気管10から抜けた分、すなわち放熱による蒸気のドレン分の蒸気を供給することである。スチームトラップST1、ST2、ST3からは適宜ドレンが排出される。蒸気製造装置20を通常時と同様に稼動させれば給水された分が配管でのロスとなる。
計測では、実質的な閉空間での蒸発量に関する値として、蒸気製造装置20への給水量を測定し、得られた給水量と製造した蒸気性状等より式(1)に基づいて蒸気配管10でのロスを算出する。
Q=Fw×(hs−C)/S …(1)
ここで、
Q :蒸気配管ロス量(kW)
:給水量(計測値)(kg)
:製造蒸気の飽和蒸気エンタルピ(kJ/kg)
:計測時外気温(環境温度)(℃)
S :計測時間(s)
:水の比熱(kJ/kg・℃)
無負荷時(負荷設備への蒸気供給ゼロ時)に蒸気配管圧力を一定とするためにボイラーより供給した蒸気量は、蒸気配管での放熱により凝縮したドレン量、または配管・バルブよりリークした蒸気量と基本的にはイコールである。すなわち、無負荷時にボイラー発生蒸気量を計量することで,蒸気配管における損失熱量を把握することが可能であると考えられる。但し、無負荷時と通常運転時では、管内熱伝達率が大きく異なることが想定される。無負荷時の結果をそのまま通常運転時の結果として用いることの妥当性について以下説明する。
ここでは、無負荷時と通常運転時の管内熱伝達率を算出し,その結果より総合熱伝達率への影響度を検討する。
放熱にかかる基本式を以下の式(2)に示す。
Figure 0006610283
ここで、
q:単位配管長あたりの放散熱量(W/m)、
:配管内部温度(管内蒸気温度)(℃)、
:外気温度(大気温度)(℃)、
α:管内熱伝達率(W/m/℃)、
α:保温材表面から大気への熱伝達率(W/m/℃)、
λ:保温の熱伝導率(W/m/℃)
:配管内径(m)、
:配管外半径(m)、
:保温外半径(断熱材外径)(m)、である。
通常、上記式(2)の1/αおよび1/αは値が小さいことから無視することができる。なお、一般的な数値を例示すると、αは100〜300(W/m/℃)であり、λは0.04〜0.06(W/m/℃)であり、αは10(W/m/℃)である。また、保温材としてロックウールを用いた場合はλが0.044となり、保温材としてグラスウールを用いた場合はλが0.043となる。
試算すると無負荷時と通常時で放熱量に数パーセントの差が生じることが分かった。放熱量が供給熱量の20%程度である場合、総合熱伝達率への影響度は軽微であると考えられる。
無負荷時蒸発量計測による損失計算方法について実証試験を行った。計測結果については、上記の式(2)を用いた理論計算と比較することとした。計測にあたっては、トラップチェッカーを用いてドレン排出と同時にスチームトラップから排出される蒸気量すなわちトラップリークロスも計測した。理論計算では「ドレンロス」のみでしか算出できないのに対し、実計測では「ドレンロス」と「トラップリークロス」とが混在して計測される。正確な検証を行うために計測結果からこれら2つのロスを分離した。
比較結果を図3に示す。図3に示すように、ドレンロスに関わる理論値とトラップリークロス分を除いた計測値は、ほぼ一致している。ドレンロスについて、計測値の方が若干大きな値となっているが、これは、保温材の経年劣化によるものと思われる。
ところで、蒸気製造装置20は、起動時に必ずエネルギーロスが生じる。蒸気製造装置20の起動時は蒸気管10の温度が操業時(定常運転時)と比較して低く、蒸気管10内でドレンが大量に発生する。この状態で負荷設備30に蒸気を供給すると不具合が生じる可能性がある。そのため、通常は蒸気管10の内部温度が安定するまで蒸気管10の暖管(ウォーミング)が実施される。暖管は、例えば、バルブ27を閉めた状態で蒸気管10の上流側端部に設けられた送気弁(不図示)を僅かに開き、蒸気管10の下流側末端に設けられたブロー弁(不図示)から排出されるものがドレンから蒸気へと変化するまで行う。ウォーミング完了後、ブロー弁を閉じ、不図示の送気弁を徐々に全開状態とする。そして、蒸気管10内の圧力が基準値に到達することで蒸気製造装置20の起動が完了する。
図4は蒸気製造装置20の起動時ロスを説明するための概念図である。図4に示すように、蒸気製造装置20の起動から定常状態(基準圧力値)になるまでの期間(時間)に消費されたエネルギー全てが起動時ロスとなる。この起動時ロスは、蒸気製造装置20における燃料使用量と装置効率(ボイラー効率)とから、もしくはボイラへの給水量、もしくは系内へ供給される蒸気流量から算出される。
例えば、系内へ供給される蒸気流量からの起動時ロスの算出は、下式(3)により求まる。
Figure 0006610283
ここで、
W:起動時ロス(J)、
h:供給される蒸気のエンタルピ(J/Kg)、
G:蒸気流量(Kg/s)、
T:起動時間(t)、である。
本実施形態では、蒸気製造装置20の起動時に生じる損失(ロス)に関する値に基づいて、上述のように蒸気製造装置20への給水量から計測した蒸気管10のロスを補正するようにしている。具体的に、制御ユニット40は、蒸気製造装置20の起動において、定常状態(基準圧力値)になるまでに使用した燃料使用量を計測センサ47から取得する。制御ユニット40は、計測センサ47が計測した燃料使用量と、該制御ユニット40に予め記録されたボイラー効率との積から起動時ロスを求める。そして、制御ユニット40は、給水量から計測した蒸気管10のロスから起動時ロスを除外したものを補正値として算出する。
また、蒸気製造装置20の起動時に生じる損失(ロス)は、外部環境(例えば、外気温度が異なる季節)に応じて変化することが分かっている。これは、起動時における蒸気管10の温度は、外気温度に依存するためである。そのため、外気温度が高い夏季においては、蒸気管10の温度が高いため、ウォーミングに要する時間を短縮できることから起動時ロスが相対的に小さくなる。一方、外気温度が低い冬季においては、蒸気管10の温度が低くなるため、ウォーミングに要する時間が長くなることから起動時ロスが相対的に大きくなる。
例えば、夏季における起動時ロスを868MJ/30minとすると、冬季における起動時ロスは1215MJ/30minとなる。なお、中間期(春または秋)における起動時ロスは、夏季および冬季の平均値から1041MJ/30minとなる。また、季節毎の起動回数と、その季節における起動時ロスとを考慮することで年間あたりの起動ロスを求めることができる。
以上説明したように、無負荷時の蒸発量計測により、蒸気配管ロスを計算することができる。また、本実施形態では、蒸気製造装置20の起動時に生じる損失に関する情報に基づいて蒸気配管ロスを補正するので、蒸気配管ロスを精度良く求めることができる。
なお、バルブ27の開閉制御は自動でもよく手動でもよい。定期的なロス計測を実行し、配管系統の損傷や保温性能の劣化の検証を実施することもできる。
なお、上記の説明では、実質的な閉空間での蒸発量に関する値として、蒸気製造装置20への給水量を測定したが本発明はこれに限定されない。例えば、代替的に、実質的な閉空間での蒸発量に関する値として、蒸気製造装置20における燃料使用量を測定することができる。さらに代替的に、実質的な閉空間での蒸発量に関する値として、実質的な閉空間における蒸気流量を直接的に測定することができる。
図5は、損失計測システムの変形例を示している。図5において、複数の負荷設備30A、30Bに応じた複数の蒸気ライン10A、10Bが設けられている。負荷設備30Aに対応する蒸気ライン10Aは、複数のスチームトラップSTA1、STA2、STA3と、流量センサ42Aと、バルブ27Aとを含む。同様に、負荷設備30Bに対応する蒸気ライン10Bは、複数のスチームトラップSTB1、STB2、STB3と、流量センサ42Bと、バルブ27Bとを含む。バルブ27A、27Bはそれぞれ、蒸気ライン10A(10B)における負荷設備30A(30B)の入口付近(最終のスチームトラップSTA3(STB3)と負荷設備30A(30B)との間)に配設されている。
図5において、すべてのバルブ27A、27Bを閉とすることにより、蒸気系統全体の損失を計算することができる。この場合、実質的な閉空間での蒸発量に関する値として、流量センサ46によって蒸気製造装置20への給水量を測定し、得られた給水量と製造した蒸気性状等より蒸気配管でのロスを算出することができる。あるいは、実質的な閉空間での蒸発量に関する値として、蒸気製造装置20における燃料使用量を測定することにより、蒸気配管でのロスを算出することができる。
また、バルブ27Aを閉、バルブ27Bを開とすることにより、負荷設備30Bの稼動中に、負荷設備30Aに対応する蒸気ラインの損失を計算することができる。この場合、実質的な閉空間での蒸発量に関する値として、流量センサ42Aによって対象の蒸気ラインにおける蒸気流量を直接的に測定することにより、その蒸気ラインでのロスを算出することができる。
なお、計測結果から求められた単位配管長あたりの放熱量q(W/m)は計測地点での配管径や保温径の下での値であるため、配管径等が異なる場合には補正をかけてもよい。
蒸気系統における蒸気管のサイズや保温厚さは、負荷設備の蒸気条件(使用蒸気量、圧力、温度)により異なる場合がある。このような場合にも、ある蒸気管の放熱量が既知であれば、配管サイズ、保温厚さ、配管内部温度、および外気温度の相違に基づく補正を施すことにより放熱量を求めることが可能である。既知の放熱量から、別の配管サイズ及び保温厚さに対応した放熱量を算出するための補正計算式(4)を以下に示す。この式(4)は上記の理論式(2)から導き出すことができる。
補正計算式(4)において、q’’:別の配管における単位長さ当たりの放熱量(W/m)、r’:別の配管の配管外径(m)、r’:別の配管の保温外径(断熱材外径)(m)、T’:別の配管の配管内部温度(供給蒸気温度)(℃)、T’:別の配管の外気温度(大気温度)(℃)である。
Figure 0006610283
例えば、図5に示した蒸気ライン10Aは、蒸気管長が1000mであり、配管外径が114.3mm(100A)であり、保温材の厚さが40mmである。また、蒸気ライン10Bは、蒸気管長が1500mであり、配管外径が165.2mm(150A)であり、保温材の厚さが50mmである。
ここで、配管外半径r=57.15×10−3(m)、保温外半径r=97.15×10−3(m)、保温の熱伝導率λ=0.043(W/m/℃)とする。
この場合、蒸気ライン10Aにおける理論放熱量q1は、上記式(2)より73.8(W/m)となる。また、蒸気ライン10A全体の理論放熱量Q1(q1×配管全長)は、133(MJ/h)となる。
蒸気ライン10Bにおける理論放熱量q2は、上記式(2)より82.8(W/m)となる。また、蒸気ライン10B全体の理論放熱量Q2(q2×配管全長)は、298(MJ/h)となる。
ここで、上述した無負荷計測を実施した場合において、蒸気配管ロスの実測値が800MJ/hとする。なお、計測時の大気温度は25℃である。
この場合において、大気温度が0℃のときの蒸気配管ロスを求める場合を説明する。
まず、蒸気実測値を潜熱分(放熱ロス)と顕熱分(ドレンロス)に分解する。
ここで、飽和蒸気のエンタルピは、2767.06KJ/Kg(0.69MPaG飽和 蒸気表参照)となる。飽和水のエンタルピは、719.12KJ/Kg(0.69MPaG飽和 蒸気表参照)となる。蒸気製造装置20の給水温度(原水温度)は15℃とする。
放熱ロスは、配管ロス実測値×蒸発潜熱/((飽和蒸気のエンタルピ)−(給水のエンタルピ))から求まる。具体的に、放熱ロスは、605.8MJ/hとなる。
続いて、上述のようにして求めた放熱ロスを蒸気ライン10A、10Bとで分解する。
蒸気ライン10Aにおける放熱ロス(以下、100Aロスと称す)は、放熱ロス×理論放熱量Q1/(理論放熱量Q1+理論放熱量Q2)から求まる。100Aロスは、186.8MJ/hとなる。
蒸気ライン10Bにおける放熱ロス(以下、150Aロスと称す)は、放熱ロス×理論放熱量Q2/(理論放熱量Q1+理論放熱量Q2)から求まる。150Aロスは、419.0MJ/hとなる。
続いて、上記式(4)を用いて、大気温度が0℃における放熱ロス(100A)および放熱ロス(150A)を求める。なお、補正計算式において、ln(r2’/r1´)およびln(r2/r1)は同じである。そのため、上記式(3)は、T’、T’、T、Tおよびqのみから求まる。
したがって、大気温度0℃に補正後の放熱ロス(100A)は、186.8×(170−0)/(170−25)=219.0MJ/hとなる。また、大気温度0℃に補正後の放熱ロス(150A)は、419.0×(170−0)/(170−25)=419.2MJ/hとなる。
同様に、上記式(4)を用いて、大気温度が0℃におけるドレンロス(100A)およびドレンロス(150A)を求める。
0℃に補正後のドレンロスは、補正後の放熱ロス/蒸発潜熱×(飽和水エンタルピ−給水エンタルピ)で求まる。したがって、大気温度0℃に補正後のドレンロス(100A)は、219.0×(2767.06−719.12)×(719.12−0×4.186)=76.9MJ/hとなる。また、大気温度0℃に補正後のドレンロス(150A)は、491.2×(2767.06−719.12)×(719.12−0×4.186)=172.5MJ/hとなる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されることはない。上記説明において使用した数値は一例であって、本発明はこれに限定されない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
1…損失計測システム、10…蒸気管、20…蒸気製造装置、27…バルブ(第1装置)、30…負荷設備、40…制御ユニット(第2装置、第4装置)、46…流量センサ(第3装置)、47…計測センサ(第4装置)。

Claims (8)

  1. 蒸気製造装置及び負荷設備につながった蒸気管の損失を計測するシステムであって、
    前記蒸気管の少なくとも一部を含む、実質的な閉空間を作る第1装置と、
    前記蒸気管内の圧力を実質的に一定に保つように、前記蒸気製造装置から前記蒸気管内への蒸気の供給量を制御する第2装置と、
    前記実質的な閉空間での蒸発量に関する値を測定する第3装置と、
    前記蒸気製造装置における起動時の損失に関する値に基づいて前記第3装置の計測結果を補正し、補正した前記計測結果を用いて前記蒸気管の損失を計測する第4装置と、
    を備えることを特徴とする蒸気管の損失計測システム。
  2. 前記第4装置は、前記損失に関する値として外部環境に対応した値を用いることを特徴とする請求項1に記載の蒸気管の損失計測システム。
  3. 前記第1装置は、前記負荷設備を停止させる手段、及び前記負荷設備の入口付近において前記蒸気管に配置されたバルブを閉にする手段の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の蒸気管の損失計測システム。
  4. 前記第3装置は、前記蒸気製造装置に対する給水量を測定する手段、前記蒸気製造装置における燃料使用量を測定する手段、及び前記実質的な閉空間における蒸気流量を直接的に測定する手段、の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の蒸気管の損失計測システム。
  5. 蒸気製造装置及び負荷設備につながった蒸気管の損失を計測する方法であって、
    前記蒸気管の少なくとも一部を含む、実質的な閉空間を作る第1工程と、
    前記蒸気管内の圧力を実質的に一定に保つように、前記蒸気製造装置から前記蒸気管内への蒸気の供給量を制御する第2工程と、
    前記実質的な閉空間での蒸発量に関する値を測定する第3工程と、
    前記蒸気製造装置における起動時の損失に関する値に基づいて前記蒸発量に関する値を補正した補正値を用いて、前記蒸気管の損失を計測する第4工程と、
    を備えることを特徴とする蒸気管の損失計測方法。
  6. 前記第4工程において、前記損失に関する値として外部環境に対応した値が用いられることを特徴とする請求項5に記載の蒸気管の損失計測方法。
  7. 前記第1工程は、前記負荷設備を停止させる工程、及び前記負荷設備の入口付近において前記蒸気管に配置されたバルブを閉にする工程の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の蒸気管の損失計測方法。
  8. 前記第3工程は、前記蒸気製造装置に対する給水量を測定する工程、前記蒸気製造装置における燃料使用量を測定する工程、及び前記実質的な閉空間における蒸気流量を直接的に測定する工程、の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の蒸気管の損失計測方法。
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