JP4108097B2 - 原子力発電プラント熱効率診断システム、原子力発電プラント熱効率診断プログラムおよび原子力発電プラント熱効率診断方法 - Google Patents

原子力発電プラント熱効率診断システム、原子力発電プラント熱効率診断プログラムおよび原子力発電プラント熱効率診断方法 Download PDF

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Description

本発明は、原子力発電プラントにおける電力出力の低下要因となる構成要素を特定するために構成要素の熱効率を診断する原子力発電プラント熱効率診断システム、原子力発電プラント熱効率診断プログラムおよび原子力発電プラント熱効率診断方法に関する。
原子力発電プラントや火力発電プラント等の発電プラントにおける熱効率の向上は、燃料の節約および発電コストの低減を図る上で益々重要になっている。
しかし、一般に発電プラントは高圧タービンや低圧タービン等の複数の構成要素から構成されるため、発電プラント全体の熱効率が低下しても個々の構成要素の熱効率を精度よく検出することが困難である。このため、発電プラントの熱効率の低下原因がどの構成要素にあるのかを特定し、判断することが困難である。
そこで、従来、第11図に示すような火力発電プラントの熱効率診断装置1が提案される(例えば日本国特開2002−122005号公報参照)。従来の火力発電プラントの熱効率診断装置1は、コンピュータ2と計測センサ3で構成される。そして、高圧タービンや低圧タービン等の各構成要素の蒸気流量、タービン抽気流量、圧力等のパラメータを計測センサ3で計測し、計測された各計測データはコンピュータ2に読込まれる。
コンピュータ2は、A/D(Analog to Digital)変換器4、CPU(Central Processing Unit)5およびメモリ6を内蔵するとともに入力装置7とモニタ8を備え、メモリ6に保存されたプログラムがCPU5に読込まれて劣化要因機器特定手段9として機能する。
コンピュータ2に読込まれた各計測データはA/D変換器4においてデジタル信号に変換され、劣化要因機器特定手段9は、デジタル信号に変換された構成要素の各計測データに基いて劣化要因となる機器を特定することができる。
劣化要因機器特定手段9は、計測データのうち精度が低い計測データについては、計測データの偏差が発電プラント全体で最小となる一方、起こり得る確率が最大となるように等の確率分布を用いて最適状態の評価を行って収束させる。そして、劣化要因機器特定手段9による計測データの収束計算により精度が低い計測データに含まれる誤差の影響が低減される。
さらに、劣化要因機器特定手段9により計測データに基いて各構成要素の熱効率が求められる。そして、発電プラントの構成要素が発電プラント全体の熱効率に与える寄与度が別途設定され、この構成要素の寄与度と各構成要素の熱効率とから劣化要因となる機器が劣化要因機器特定手段9により特定される。
従来の火力発電プラントの熱効率診断装置1によれば、火力発電プラントの熱効率が低下しても個々の構成要素の熱効率をより精度よく検出して、火力発電プラントの熱効率の低下原因がどの構成要素にあるのかを特定することができる。
一方、原子力発電プラントは、原子炉で発生させた蒸気をタービン設備に導いて発電する構成である。さらに、タービン設備は高圧タービンと低圧タービンとを共通の動力伝達軸を介して単一の発電機に並設させて構成される。
また、原子力発電プラントは、従来、電力出力を一定(110万kW程度)とした稼動が義務付けられたが、平成14年から熱出力、すなわち原子炉からタービン設備に入力される熱量を一定にした稼動が認可された。このため、タービン設備の熱効率を向上させることにより、原子力発電プラント全体の電力出力の効率を向上させることができるようになった。実際には原子力発電プラントの熱出力を一定とした結果、プラントごとに電力出力にばらつきが生じている。
そこで、原子力発電プラントについても、タービン設備の個々の構成要素について熱効率を診断することにより、原子力発電プラント全体の熱効率の劣化に影響を与える支配的な構成要素を特定することが重要である。
しかし、原子力発電プラントの高圧タービンと低圧タービンの動力源として用いられる蒸気は、火力発電プラント等の発電プラントと異なり湿り状態である。このため、高圧タービンおよび低圧タービンの入口と出口において蒸気の乾き度が変化するため、蒸気の温度や圧力を計測するのみでは、蒸気のエンタルピを正確に計算することが困難である。この結果、原子力発電プラントの高圧タービンと低圧タービンの内部効率を精度よく計算して、タービン性能を把握することが困難である。
さらに、火力発電プラントと異なり、原子力発電プラントの高圧タービンと低圧タービンからはドレンや蒸気の一部が抽気されて加熱器の熱交換用に用いられる。
このため、従来の火力発電プラントを対象とした熱効率診断装置1を、系や構成要素が異なる原子力発電プラントにそのまま適用することが困難である。この結果、原子力発電プラントにおいて構成要素の熱効率を診断することにより、電力出力の低下の原因となる構成要素を特定する技術は存在しないのが現状である。
本発明はかかる従来の事情に対処するためになされたものであり、原子力発電プラントの熱効率を診断することにより、電力出力の低下の原因となる構成要素を特定することが可能な原子力発電プラント熱効率診断システム、原子力発電プラント熱効率診断プログラムおよび原子力発電プラント熱効率診断方法を提供することを目的とする。
本発明に係る原子力発電プラント熱効率診断システムは、上述の目的を達成するために、請求の範囲1に記載したように、原子力発電プラントにおける給水および復水の少なくとも一方の流量を仮設定する給水復水流量設定手段と、前記給水復水流量設定手段により仮設定された給水および復水の少なくとも一方の流量に基いて、前記原子力発電プラントの復水給水管上に設けられた加熱器における給水および復水の熱交換量を計算する加熱器熱収支計算手段と、前記原子力発電プラントの高圧タービンの出口における乾き度を仮定するとともに、前記加熱器熱収支計算手段により求められた給水あるいは復水の熱交換量を用いて熱収支計算を行うことにより前記高圧タービンの出力計算値を求める高圧タービン出力計算手段と、前記高圧タービンの出力計算値が前記高圧タービンの出力基準値に基づいて設定された閾値内にない場合には、前記高圧タービン出力計算手段に前記高圧タービンの出口における乾き度を補正させて前記高圧タービンの出力を再計算させる高圧タービン出力補正手段と、前記高圧タービンの出力計算値に基いて前記高圧タービンの内部効率を計算する高圧タービン内部効率計算手段と、前記原子力発電プラントの低圧タービンの入口における蒸気の条件を設定する低圧タービン入口蒸気条件設定手段と、前記低圧タービン入口蒸気条件設定手段により設定された前記低圧タービンの入口における蒸気の条件に基づいて前記低圧タービンの基準膨張線を仮定するとともに、仮定した前記低圧タービンの基準膨張線と前記加熱器熱収支計算手段により求められた給水あるいは復水の熱交換量とを用いて熱収支計算を行うことにより前記低圧タービンの出力計算値を求める低圧タービン出力計算手段と、前記低圧タービンの出力計算値が前記低圧タービンの出力基準値に基づいて設定された閾値内にない場合には、前記低圧タービン出力計算手段に前記低圧タービンの基準膨張線を補正させて前記低圧タービンの出力を再計算させる低圧タービン出力補正手段と、前記低圧タービンの出力計算値に基いて前記低圧タービンの内部効率を計算する低圧タービン内部効率計算手段と、前記高圧タービン内部効率計算手段および前記低圧タービン内部効率計算手段によりそれぞれ計算された前記高圧タービンおよび前記低圧タービンの内部効率に基いて前記原子力発電プラントの性能低下要因となる構成要素を特定する性能低下要因機器特定手段とを有することを特徴とするものである。
また、本発明に係る原子力発電プラント熱効率診断方法は、上述の目的を達成するために、請求の範囲10に記載したように、原子力発電プラントにおける給水および復水の少なくとも一方の流量を仮設定するステップと、仮設定された給水および復水の少なくとも一方の流量に基いて、前記原子力発電プラントの復水給水管上に設けられた加熱器における給水および復水の熱交換量を計算するステップと、前記原子力発電プラントの高圧タービンの出口における乾き度を仮定するとともに、求めた給水あるいは復水の熱交換量を用いて熱収支計算を行うことにより前記高圧タービンの出力計算値を求めるステップと、前記高圧タービンの出力計算値が前記高圧タービンの出力基準値に基づいて設定された閾値内にない場合には、前記高圧タービンの出口における乾き度を補正して前記高圧タービンの出力を再計算するステップと、前記高圧タービンの出力計算値に基いて前記高圧タービンの内部効率を計算するステップと、前記原子力発電プラントの低圧タービンの入口における蒸気の条件を設定するステップと、設定した前記低圧タービンの入口における蒸気の条件に基づいて前記低圧タービンの基準膨張線を仮定するとともに、仮定した前記低圧タービンの基準膨張線と求めた給水あるいは復水の熱交換量とを用いて熱収支計算を行うことにより前記低圧タービンの出力計算値を求めるステップと、前記低圧タービンの出力計算値が前記低圧タービンの出力基準値に基づいて設定された閾値内にない場合には、前記低圧タービンの基準膨張線を補正して前記低圧タービンの出力を再計算するステップと、前記低圧タービンの出力計算値に基いて前記低圧タービンの内部効率を計算するステップと、前記高圧タービンおよび前記低圧タービンの内部効率に基いて前記原子力発電プラントの性能低下要因となる構成要素を特定するステップとを有することを特徴とする方法である。
また、本発明に係る原子力発電プラント熱効率診断プログラムは、上述の目的を達成するために、請求の範囲11に記載したように、コンピュータを、原子力発電プラントにおける給水および復水の少なくとも一方の流量を仮設定する給水復水流量設定手段、前記給水復水流量設定手段により仮設定された給水および復水の少なくとも一方の流量に基いて、前記原子力発電プラントの復水給水管上に設けられた加熱器における給水および復水の熱交換量を計算する加熱器熱収支計算手段、前記原子力発電プラントの高圧タービンの出口における乾き度を仮定するとともに、前記加熱器熱収支計算手段により求められた給水あるいは復水の熱交換量を用いて熱収支計算を行うことにより前記高圧タービンの出力計算値を求める高圧タービン出力計算手段、前記高圧タービンの出力計算値が前記高圧タービンの出力基準値に基づいて設定された閾値内にない場合には、前記高圧タービン出力計算手段に前記高圧タービンの出口における乾き度を補正させて前記高圧タービンの出力を再計算させる高圧タービン出力補正手段、前記高圧タービンの出力計算値に基いて前記高圧タービンの内部効率を計算する高圧タービン内部効率計算手段、前記原子力発電プラントの低圧タービンの入口における蒸気の条件を設定する低圧タービン入口蒸気条件設定手段、前記低圧タービン入口蒸気条件設定手段により設定された前記低圧タービンの入口における蒸気の条件に基づいて前記低圧タービンの基準膨張線を仮定するとともに、仮定した前記低圧タービンの基準膨張線と前記加熱器熱収支計算手段により求められた給水あるいは復水の熱交換量とを用いて熱収支計算を行うことにより前記低圧タービンの出力計算値を求める低圧タービン出力計算手段、前記低圧タービンの出力計算値が前記低圧タービンの出力基準値に基づいて設定された閾値内にない場合には、前記低圧タービン出力計算手段に前記低圧タービンの基準膨張線を補正させて前記低圧タービンの出力を再計算させる低圧タービン出力補正手段、前記低圧タービンの出力計算値に基いて前記低圧タービンの内部効率を計算する低圧タービン内部効率計算手段並びに前記高圧タービン内部効率計算手段および前記低圧タービン内部効率計算手段によりそれぞれ計算された前記高圧タービンおよび前記低圧タービンの内部効率に基いて前記原子力発電プラントの性能低下要因となる構成要素を特定する性能低下要因機器特定手段として機能させることを特徴とするものである。
第1図は、本発明に係る原子力発電プラント熱効率診断システ厶の実施の形態を示す機能ブロック図、
第2図は、第1図に示す原子力発電プラント熱効率診断システ厶による熱効率診断の対象となる沸騰水型原子力発電プラントの一例を示す構成図、
第3図は、第2図に示す高圧タービンの一例を示す構造図、
第4図は、第3図に示す高圧タービンの抽気口および蒸気出口の位置を示す下面図、
第5図は、第3図に示す低圧タービンの一例を示す構造図、
第6図は、第5図に示す低圧タービンの抽気口および蒸気出口の位置を示す下面図、
第7図は、第5図に示す低圧タービンに設けられるドレンキャッチャ近傍の拡大断面図、
第8図は、第1図に示す原子力発電プラント熱効率診断システムを第2図に示す原子力発電プラントに適用した場合において、原子力発電プラントの熱効率を診断する際の手順の一例を示すフローチャート、
第9図は、第8図に示すフローチャートにおいて仮定されるh−s線図上の低圧タービンの基準膨張線と補正膨張線の一例を示す図、
第10A図は、最適化計算における復水流量の確率分布の一例を示す図、
第10B図は、最適化計算における給水流量の確率分布の一例を示す図、
第10C図は、最適化計算における低圧タービンの内部効率の確率分布の一例を示す図、
第11図は、従来の火力発電プラントの熱効率診断装置の構成図、
である。
本発明に係る原子力発電プラント熱効率診断システム、原子力発電プラント熱効率診断プログラムおよび原子力発電プラント熱効率診断方法の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
第1図は本発明に係る原子力発電プラント熱効率診断システムの実施の形態を示す機能ブロック図である。
原子力発電プラント熱効率診断システム10は、入力手段11および出力手段12を備えたコンピュータに原子力発電プラント熱効率診断プログラムを読込ませて、給水復水流量設定手段13、加熱器熱収支計算手段14、高圧タービン出力計算手段15、高圧タービン出力補正手段16、高圧タービン内部効率計算手段17、低圧タービン入口蒸気条件設定手段18、データ計算手段19、低圧タービン選定手段20、低圧タービン出力計算手段21、低圧タービン出力補正手段22、低圧タービン内部効率計算手段23、プラント状態最適化手段24および性能低下要因機器特定手段25として機能させたものである。
また、原子力発電プラント熱効率診断システム10を適用する原子力発電プラント26には、軸トルクセンサ27、給水復水流量センサ28、発電機出力センサ29およびプラントデータ計測系30が備えられる。そして、原子力発電プラント熱効率診断システム10は、軸トルクセンサ27、給水復水流量センサ28、発電機出力センサ29およびプラントデータ計測系30において計測された各データを読み込むことができるように構成される。
ただし、原子力発電プラント熱効率診断システム10は、軸トルクセンサ27、給水復水流量センサ28、発電機出力センサ29およびプラントデータ計測系30において計測された各データを直接読み込まずに、別途入力手段11に入力されたデータを受け取るように構成してもよい。
第2図は第1図に示す原子力発電プラント熱効率診断システム10による熱効率診断の対象となる沸騰水型原子力発電プラント26の一例を示す構成図である。
原子力発電プラント26は、原子炉40とタービン設備系41とを主蒸気管42並びに復水給水管43で接続した構成である。タービン設備系41は、高圧タービン44、第1の低圧タービン45a、第2の低圧タービン45bおよび第3の低圧タービン45cを共通の動力伝達軸46に設け、動力伝達軸46を発電機47と接続して構成される。第1、第2、第3の低圧タービン45a,45b,45cの出口は、蒸気管48を介して復水器49と接続される。
尚、第2図の例では、低圧タービン45は3つであるが低圧タービン45の数は任意である。また、復水器49の数も1つに限らず任意である。
主蒸気管42の上流側は原子炉40の出口と接続され、主蒸気管42の下流側はタービン設備系41の高圧タービン44の入口と接続される。さらに高圧タービン44の出口には蒸気管48が接続され、蒸気管48の他端は分岐して、第1、第2、第3の低圧タービン45a,45b,45cの入口とにそれぞれ接続される。高圧タービン44の出口に設けられた蒸気管48上には、湿分分離器50が設けられる。
また、復水給水管43の上流側はタービン設備系41の復水器49と接続される一方、復水給水管43の下流側は原子炉40の入口と接続される。復水給水管43上には、原子炉40側となる下流側から第1の加熱器51a、第2の加熱器51b、原子炉給水ポンプ52、第3の加熱器51c、第4の加熱器51d、第5の加熱器51e、第6の加熱器51fおよびドレン冷却器53が設けられる。さらに、原子炉給水ポンプ52には、原子炉給水ポンプ52を駆動させるためのRFP(原子炉給水ポンプ;reactor feedwater pump)タービン54が設けられる。
尚、第2図の例では加熱器51の数は6つであるが加熱器51の数は任意である。
一方、原子力発電プラント26には、復水が貯蔵された復水貯蔵層55と復水貯蔵層55の復水を蒸発させて蒸気を生成させるグランド蒸気蒸化器56が設けられる。復水貯蔵層55は、原子炉40と復水器49との間の復水給水管43およびグランド蒸気蒸化器56と復水管57で接続される。グランド蒸気蒸化器56は、蒸気管48およびドレン管58で復水器49と接続される。そして、グランド蒸気蒸化器56内部において復水貯蔵層55から導かれる復水管57と復水器49に向かう蒸気管48およびドレン管58とが互いに接続される。
また、タービン設備系41の高圧タービン44には、第1の加熱器51aに向かう抽気管59が設けられ、第1の加熱器51aと湿分分離器50との間の蒸気管48には、第2の加熱器51bに向かう抽気管59が設けられる。
さらに、湿分分離器50と低圧タービン45a,45b,45cとの間の蒸気管48には、RFPタービン54に向かう抽気管59が設けられる。RFPタービン54に向かう抽気管59は、RFPタービン54を経由して低圧タービン45a,45b,45cに接続された復水器49に導かれる。
また、湿分分離器50には図示しないドレンタンクが設けられ、湿分分離器50のドレンタンクは、ドレン管58で第2の加熱器51bと接続される。
さらに、第1、第2、第3の低圧タービン45a,45b,45cにはそれぞれ4つの抽気管59が設けられる。上流側の抽気管59は分岐して第3の加熱器51cとグランド蒸気蒸化器56に導かれる。グランド蒸気蒸化器56は、ドレン管58で第4の加熱器51dと接続される。第1、第2、第3の低圧タービン45a,45b,45cからグランド蒸気蒸化器56に導かれた抽気管59は、グランド蒸気蒸化器56から第4の加熱器51dに向かうドレン管58と接続される。
また、第1、第2、第3の低圧タービン45a,45b,45cに設けられた上流側から2番目の抽気管59は、第4の加熱器51dに導かれる。さらに、第1、第2、第3の低圧タービン45a,45b,45cに設けられた上流側から3番目および4番目の抽気管59は、それぞれ第5の加熱器51eおよび第6の加熱器51fに導かれる。
また、第1の加熱器51aと第2の加熱器51bとの間、第2の加熱器51bと第3の加熱器51cとの間、第3の加熱器51cと第4の加熱器51dとの間および第4の加熱器51dと第5の加熱器51eとの間には、それぞれドレン管58が設けられる。
さらに、第5の加熱器51eと第6の加熱器51fには、それぞれドレン管58が設けられ、各ドレン管58の他端には共通のドレンタンク60が設けられる。ドレンタンク60には、ドレン管58と蒸気管48とがそれぞれ設けられ、ドレン管58の他端はドレン冷却器53を介して復水器49に導かれる一方、蒸気管48は第6の加熱器51fに導かれる。ドレンタンク60内部において、ドレンタンク60に設けられた各ドレン管58および蒸気管48は互いに接続される。
そして、高圧タービン44から第1の加熱器51aに向かう抽気管59は、第1の加熱器51aにおいて第2の加熱器51bに向かうドレン管58と接続される。さらに、高圧タービン44と湿分分離器50との間から第2の加熱器51bに向かう抽気管59、湿分分離器50の図示しないドレンタンク60から第2の加熱器51bに向かうドレン管58および第1の加熱器51aから第2の加熱器51bに向かうドレン管58は、それぞれ第2の加熱器51bから第3の加熱器51cに向かうドレン管58と接続される。
また、第1、第2、第3の低圧タービン45a,45b,45cから第3の加熱器51cに向かう抽気管59および第2の加熱器51bから第3の加熱器51cに向かうドレン管58は、それぞれ第3の加熱器51cから第4の加熱器51dに向かうドレン管58と接続される。さらに、第1、第2、第3の低圧タービン45a,45b,45cから第4の加熱器51dに向かう抽気管59、グランド蒸気蒸化器56から第4の加熱器51dに向かうドレン管58および第3の加熱器51cから第4の加熱器51dに向かうドレン管58は、第4の加熱器51dから第5の加熱器51eに向かうドレン管58と接続される。
同様に、第1、第2、第3の低圧タービン45a,45b,45cから第5の加熱器51eに向かう抽気管59および第4の加熱器51dから第5の加熱器51eに向かうドレン管58は、それぞれ第5の加熱器51eからドレンタンク60に向かうドレン管58と接続される。さらに、ドレンタンク60から第6の加熱器51fに向かう蒸気管48および第1、第2、第3の低圧タービン45a,45b,45cから第6の加熱器51fに向かう抽気管59は、それぞれ第6の加熱器51fからドレンタンク60向かうドレン管58と接続される。
このように構成された原子力発電プラント26では、原子炉40で発生した主蒸気が主蒸気管42で高圧タービン44の入口に導かれる。主蒸気は高圧タービン44の内部で仕事をした後、蒸気となって高圧タービン44の出口から蒸気管48を介して湿分分離器50に導かれる。ここで、高圧タービン44内において、仕事をした蒸気の一部は抽気管59を介して第1の加熱器51aに抽気として導かれる。
また、高圧タービン44の出口から蒸気管48を介して湿分分離器50に導かれる蒸気の一部は、抽気管59を介して第2の加熱器51bに抽気として導かれる。湿分分離器50に導かれた蒸気は、湿分分離器50において湿分が除去された後、分岐した蒸気管48を介して第1、第2、第3の低圧タービン45a,45b,45cにそれぞれ導かれる。さらに、湿分分離器50において生じたドレンは、ドレン管58を介して第2の加熱器51bに導かれる。
ここで、湿分分離器50と第1、第2、第3の低圧タービン45a,45b,45cとの間の蒸気管48から蒸気の一部が、抽気管59を介してRFPタービン54に抽気として導かれる。RFPタービン54に導かれた抽気は、RFPタービン54で仕事をした後、復水器49に導かれて復水となる。このため、RFPタービン54が駆動し、RFPタービン54の出力は原子炉給水ポンプ52の動力に利用される。
一方、第1、第2、第3の低圧タービン45a,45b,45cにそれぞれ導かれた蒸気は、第1、第2、第3の低圧タービン45a,45b,45cで仕事をした後に復水器49において凝縮され、復水となる。
この結果、高圧タービン44および第1、第2、第3の低圧タービン45a,45b,45cにおける蒸気の仕事により図示しないタービン翼とともに動力伝達軸46が回転し、動力伝達軸46の回転により動力が発電機47に伝達されて発電が行われる。
ここで、第1、第2、第3の低圧タービン45a,45b,45cにおいて仕事をした蒸気の一部は抽気として抽気管59を介して第3の加熱器51c、第4の加熱器51d、第5の加熱器51e、第6の加熱器51fおよびグランド蒸気蒸化器56に導かれる。
グランド蒸気蒸化器56に導かれた抽気は、復水貯蔵層55からグランド蒸気蒸化器56に導かれた復水との熱交換によりドレンとなって、第4の加熱器51dに導かれる。復水貯蔵層55からグランド蒸気蒸化器56に導かれた復水の一部は蒸気となって、蒸気管48を介して復水器49に導かれる一方、残りは蒸気とならずにドレンとなってドレン管58を介して復水器49に導かれる。
一方、復水器49において生成された復水は復水給水管43を介してドレン冷却器53に導かれる。ドレン冷却器53においてドレンタンク60から復水器49に導かれるドレンと復水とが熱交換されてドレンが冷却される。ドレン冷却器53に導かれた復水は第6の加熱器51f、第5の加熱器51e、第4の加熱器51dおよび第3の加熱器51cに順次導かれる。そして、第6の加熱器51f、第5の加熱器51e、第4の加熱器51dおよび第3の加熱器51cにおいて、復水と第1、第2、第3の低圧タービン45a,45b,45cから抽気管59を介してそれぞれ導かれた抽気、ドレンタンク60から導かれた蒸気、第2の加熱器51b、第3の加熱器51c、第4の加熱器51dあるいはグランド蒸気蒸化器56から導かれたドレンとが熱交換され、復水が加熱される。
第6の加熱器51f、第5の加熱器51e、第4の加熱器51dおよび第3の加熱器51cにおいて、復水との熱交換で抽気や蒸気から生じたドレンは、排出側のドレン管58からそれぞれ排出されて、最終的にドレンタンク60に導かれる。
さらに、第3の加熱器51cを経由した復水は原子炉給水ポンプ52に導かれて、原子炉40の給水として昇圧せしめられる。原子炉給水ポンプ52において昇圧された給水は、第2の加熱器51bおよび第1の加熱器51aに順に導かれ、高圧タービン44や蒸気管48から抽気管59を介して導かれた抽気や、湿分分離器50や第1の加熱器51aから導かれたドレンにより加熱される。
第1の加熱器51aおよび第2の加熱器51bにおいて、給水との熱交換で抽気から生じたドレンは、排出側のドレン管58からそれぞれ排出されて、最終的に第3の加熱器51cに導かれる。
第1の加熱器51aを経由して加熱された給水は、原子炉40に導かれて受熱し、主蒸気となって高圧タービン44の入口に導かれる。
第3図は第2図に示す高圧タービン44の一例を示す構造図であり、第4図は第3図に示す高圧タービン44の抽気口および蒸気出口の位置を示す下面図である。
高圧タービン44は、複数の動翼70と静翼71とが交互に設けられた構造である。各動翼70は動力伝達軸46に植設され、動力伝達軸46とともに回転できるように構成される。高圧タービン44の入口側から内部に導かれた蒸気Xは、各動翼70と静翼71との間を経由して仕事をした後、蒸気出口72から排出される。
また、高圧タービン44の入口と出口72との間には、抽気口73が設けられ、蒸気Xの一部は抽気口73から抽気管59を経由して第1の加熱器51aに導かれるように構成される。
第5図は、第3図に示す低圧タービン45の一例を示す構造図であり、第6図は第5図に示す低圧タービン45の抽気口および蒸気出口の位置を示す下面図である。
低圧タービン45は、高圧タービン44と同様に複数の動翼80と静翼81とが交互に設けられた構造である。各動翼80は動力伝達軸46に植設され、動力伝達軸46とともに回転できるように構成される。低圧タービン45の入口側から内部に導かれた蒸気Xは、各動翼80と静翼81との間を経由して仕事をした後、蒸気出口82から排出される。
また、低圧タービン45の入口と出口82との間には、上流側から第1の抽気口83、第2の抽気口84、第3の抽気口85、第4の抽気口86が設けられる。そして、低圧タービン45内部の蒸気Xの一部は第1の抽気口83から抽気管59を経由して第3の加熱器51cおよびグランド蒸気蒸化器56に導かれるように構成される。さらに、低圧タービン45内部の蒸気Xの一部は第2の抽気口84、第3の抽気口85、第4の抽気口86から抽気管59を経由してそれぞれ第4の加熱器51d、第5の加熱器51e、第6の加熱器51fに導かれるように構成される。
また、低圧タービン45には、蒸気X中の水分を除去するために単一あるいは複数のドレンキャッチャ87が設けられる。第5図の低圧タービン45は、5つのドレンキャッチャ87、第1、第2、第3、第4、第5のドレンキャッチャ87a,87b,87c、87d、87eが設けられた例である。
さらに、第1、第3、第5のドレンキャッチャ87a,87c、87eは、ドレンとともに蒸気の一部が導かれて第3の抽気口85および第4の抽気口86から排出される抽気や出口82から排出される蒸気と合流する構造である。一方、第2および第4のドレンキャッチャ87b,87dでは、蒸気の一部が除去される効果を考える必要がないとされる。
第7図は、第5図に示す低圧タービン45に設けられるドレンキャッチャ87近傍の拡大断面図である。
低圧タービン45の各静翼81はダイアフラム90により固定される一方、動翼80はディスク91により動力伝達軸46に固定される。そして、動翼80の先端部近傍における静翼81側には、断面がV字の溝状に形成されたドレンキャッチャ87が設けられる。ドレンキャッチャ87の先には、気水分離室92が設けられ、ドレンキャッチャ87において捕獲された水分が気水分離室92に導かれることにより低圧タービン45内部における蒸気Xの湿分が除去される。
そして、第2図に示すような原子力発電プラント26において、軸トルクセンサ27が高圧タービン44と第1、第2、第3の低圧タービン45a,45b,45cとを接続する動力伝達軸46に設けられ、高圧タービン44および各低圧タービン45a,45b,45cの少なくとも一つの軸トルクを計測して軸トルク計測値Fを得ることができるように構成される。
このため、軸トルクセンサ27を、高圧タービン44の出力軸に設けた場合には、高圧タービン44の出力の実測値を軸トルク計測値として得ることができる一方、軸トルクセンサ27を、各低圧タービン45a,45b,45cの出力軸にそれぞれ設けた場合には、各低圧タービン45a,45b,45cの出力の実測値を軸トルク計測値として得ることができる。
給水復水流量センサ28は、復水給水管43に設けられ、原子炉40に導かれる給水および復水の流量を計測することができるように構成される。
発電機出力センサ29は、発電機47の発電出力、すなわち原子力発電プラント26の総出力を計測する機能を有する。
プラントデータ計測系30は、温度センサや圧力センサ等の複数のセンサで構成され、原子力発電プラント26の各構成要素の所要の点における蒸気、給水、復水、ドレン、抽気の温度、圧力、流量等のデータのうち原子力発電プラント26の熱効率診断に必要なデータを計測することができるように構成される。
原子力発電プラント熱効率診断システム10の給水復水流量設定手段13は、給水復水流量センサ28により計測された給水あるいは復水の流量に基いて、原子力発電プラント26の熱効率診断に用いられる給水あるいは復水の流量として仮設定する機能と、仮設定した給水あるいは復水の流量を加熱器熱収支計算手段14に与える機能とを有する。
尚、仮設定する給水あるいは復水の流量は、給水復水流量センサ28により計測された給水あるいは復水の流量を直接用いてもよく、あるいは近傍の値を用いてもよい。
また、給水復水流量設定手段13は、プラント状態最適化手段24から給水あるいは復水の再設定依頼を受けた場合には、プラント状態最適化手段24から受けた情報に基づいて再び給水あるいは復水の流量を仮設定するように構成される
加熱器熱収支計算手段14は、給水復水流量設定手段13から受けた給水あるいは復水の流量の仮設定値に基いて、原子力発電プラント26の復水給水管43上に設けられた第1から第6までの加熱器51a,51b,51c,51d,51e,51fの入口と出口における給水あるいは復水の熱交換量を計算する機能を有する。
すなわち、加熱器熱収支計算手段14は、第1から第6までの加熱器51a,51b,51c,51d,51e,51fの入口と出口における給水あるいは復水のエンタルピあるいは比エンタルピと各加熱器51a,51b,51c,51d,51e,51fのドレン管58の出口におけるドレンのエンタルピあるいは比エンタルピを計算する機能と、計算して得られた各加熱器51a,51b,51c,51d,51e,51fにおける給水、復水、ドレンの各エンタルピあるいは比エンタルピのうち必要なデータを高圧タービン出力計算手段15、低圧タービン入口蒸気条件設定手段18および低圧タービン出力計算手段21に与える機能とを有する。
このため、原子力発電プラント26が第2図に示す構成の場合には、第1の加熱器51a、第2の加熱器51b、第3の加熱器51c、第4の加熱器51d、第5の加熱器51e、第6の加熱器51fにおける給水、復水、ドレンのエンタルピあるいは比エンタルピを計算する機能が加熱器熱収支計算手段14に備えられる。
尚、加熱器熱収支計算手段14は、エンタルピあるいは比エンタルピの計算に必要な給水、復水、ドレンの温度、圧力、流量等のデータをプラントデータ計測系30から入力することができるように構成される。
高圧タービン出力計算手段15は、プラントデータ計測系30から原子力発電プラント26の所要の点における蒸気、抽気、ドレン、給水、復水の温度、圧力、流量等のデータを、加熱器熱収支計算手段14から各加熱器51a,51b,51c,51d,51e,51fにおける給水、復水、ドレンの各エンタルピあるいは比エンタルピのうち必要なデータをそれぞれ入力するとともに高圧タービン44の出口72における乾き度を仮定する機能を有する。
また、高圧タービン出力計算手段15は、仮定あるいはプラントデータ計測系30ないし加熱器熱収支計算手段14から入力したデータに基いて蒸気や抽気の熱量の収支計算、すなわち熱収支計算を行うことにより高圧タービン44の出力を求める機能と、熱収支計算により得られた高圧タービン44の出力計算値を高圧タービン出力補正手段16に与える機能とを有する。
また、高圧タービン出力計算手段15は、高圧タービン出力補正手段16から高圧タービン44の出力の再計算要求と高圧タービン44の出口72における蒸気の乾き度の補正要求とを受けた場合には、蒸気の乾き度を補正して高圧タービン44の出力を再度熱収支計算し、得られた高圧タービン44の出力計算値を高圧タービン出力補正手段16に与えるように構成される。
また、高圧タービン出力計算手段15は、高圧タービン44の出力の熱収支計算の過程で得られた高圧タービン44の出口72における蒸気の流量を低圧タービン入口蒸気条件設定手段18に与える機能を有する。
さらに、高圧タービン出力計算手段15は、必要に応じて高圧タービン44の出力計算値をプラント状態最適化手段24に与えるように構成される。
高圧タービン出力補正手段16は、高圧タービン出力計算手段15から高圧タービン44の出力計算値を受けて、高圧タービン44の出力計算値と予め任意に設定された出力基準値とを比較し、高圧タービン44の出力基準値と出力計算値との差あるいは比が予め設定された閾値内であるか否かを判定する機能を有する。
ここで、高圧タービン44の出力基準値の設定方法としては、例えば、設計値を用いる方法、高圧タービン44の出力計測値を用いる方法、経験的に得られる推定値を用いる方法等の方法が挙げられる。
高圧タービン44の出力基準値を高圧タービン44の出力計測値とする場合には、例えば、軸トルクセンサ27から高圧タービン44あるいは低圧タービン45a,45b,45cの軸トルク計測値を入力し、入力した軸トルク計測値に基いて高圧タービン44の出力計測値を取得することができる。
この際、高圧タービン出力補正手段16は、軸トルクセンサ27から入力した軸トルク計測値が低圧タービン45a,45b,45cの軸トルク計測値である場合には、発電機出力センサ29により計測された原子力発電プラント26の総出力を入力するとともに、原子力発電プラント26の総出力から低圧タービン45a,45b,45cの軸トルク計測値を減算することにより、間接的に高圧タービン44の出力計測値を求めることができるように構成される。
また、高圧タービン出力補正手段16は、高圧タービン44の出力計測値と出力基準値との差あるいは比が予め設定された閾値内でないと判定した場合には、高圧タービン出力計算手段15に高圧タービン44の出力の再計算要求と高圧タービン44の出口72における蒸気の乾き度の補正要求とを与えて再計算させることにより高圧タービン44の出力計算値を補正させる一方、高圧タービン44の出力計測値と出力基準値との差あるいは比が予め設定された閾値内であると判定した場合には、高圧タービン44の出力計算値を高圧タービン内部効率計算手段17に与える機能を有する。
高圧タービン内部効率計算手段17は、高圧タービン出力補正手段16から受けた補正後の高圧タービン44の出力計算値、プラントデータ計測系30から入力したデータに基いて高圧タービン44の内部効率を計算する機能と、計算して得られた高圧タービン44の内部効率をプラント状態最適化手段24に与える機能とを有する。
低圧タービン入口蒸気条件設定手段18は、高圧タービン出力計算手段15から受けた高圧タービン44の出口72における蒸気の流量、加熱器熱収支計算手段14から受けたデータ、プラントデータ計測系30から入力したデータのうち、原子力発電プラント26の構成に応じた所要のデータに基いて低圧タービン45a,45b,45cの入口における蒸気の乾き度を計算する機能と、計算して得られた低圧タービン45a,45b,45cの入口における蒸気の乾き度を低圧タービン出力計算手段21に与える機能とを有する。
さらに、低圧タービン入口蒸気条件設定手段18は、プラントデータ計測系30や原子力発電プラント熱効率診断システム10の他の機能により計算した結果から原子力発電プラント26の構成に応じた所要のデータを入力し、必要に応じて熱収支計算を行って低圧タービン45a,45b,45cの入口における蒸気の流量、温度、圧力、乾き度を求めて低圧タービン出力計算手段21に与える機能を有する。
データ計算手段19は、プラントデータ計測系30において計測された蒸気、抽気、ドレン、給水、復水の温度、圧力、流量等のデータや原子力発電プラント熱効率診断システム10の他の機能による計算で得られたデータを入力して高圧タービン44および低圧タービン45a,45b,45c以外の原子力発電プラント26の構成要素について原子力発電プラント26の熱効率診断に必要なデータを計算する機能を有する。さらに、データ計算手段19は、計算して得られたデータをプラント状態最適化手段24に与えるように構成される。
データ計算手段19により計算されるデータとしては、例えば、RFPタービン54の内部効率、原子炉40における蒸気の受熱量、原子炉40に導かれる給水および復水の流量等のデータが挙げられる。
低圧タービン選定手段20は、複数の低圧タービン45a,45b,45cのうち低圧タービン45を選定し、低圧タービン出力計算手段21に選定した低圧タービン45の出力計算を要求する一方、低圧タービン内部効率計算手段23から低圧タービン45の内部効率の計算が完了した旨の通知を受けると、出力計算を実行していない低圧タービン45が存在するか否かを判定し、出力計算を実行していない低圧タービン45が存在する場合には、その低圧タービン45を選定して低圧タービン出力計算手段21に出力計算を要求する機能を有する。
低圧タービン出力計算手段21は、低圧タービン入口蒸気条件設定手段18により設定された低圧タービン45a,45b,45cの入口における温度、圧力、流量、乾き度等のデータに基いてh−s線図における低圧タービン45a,45b,45cの基準膨張線を仮定する機能を有する。
また、低圧タービン出力計算手段21は、加熱器熱収支計算手段14から必要なデータを受けるとともに、プラントデータ計測系30から必要なデータを入力し、入力あるいは受けたデータ、設計情報およびh−s線図の基準膨張線に基いて補正膨張線並びに低圧タービン45a,45b,45cの出力を熱収支計算により求める機能とを有する。
また、低圧タービン出力計算手段21は、熱収支計算により得られた低圧タービン45a,45b,45cの出力計算値を低圧タービン出力補正手段22に与える一方、低圧タービン出力補正手段22から低圧タービン45a,45b,45cの出力の再計算要求とh−s線図における基準膨張線の補正要求を受けた場合には、h−s線図の基準膨張線を補正して再度補正膨張線並びに低圧タービン45a,45b,45cの出力を熱収支計算するように構成される。
さらに、低圧タービン出力計算手段21は、低圧タービン45a,45b,45cを第1から第4の抽気口83、84、85、86および第1から第5のドレンキャッチャ87a,87b,87c,87d,87eで分割した段落群ごとの効率を求める機能と、求めた段落群ごとの効率を低圧タービン内部効率計算手段23に与える機能を有する。
また、低圧タービン出力計算手段21は、必要に応じて低圧タービン45a,45b,45cの出力計算値をプラント状態最適化手段24に与えるように構成される。
低圧タービン出力補正手段22は、低圧タービン出力計算手段21から低圧タービン45a,45b,45cの出力計算値を受けて、予め任意に設定した低圧タービン45a,45b,45cの出力基準値と出力計算値とを比較し、低圧タービン45a,45b,45cの出力基準値と出力計算値との差あるいは比が予め設定された閾値内であるか否かを判定する機能を有する。
ここで、低圧タービン45a,45b,45cの出力基準値は、高圧タービン44の出力基準値と同様に設計値や出力計測値等のデータに基いて設定することができる。このため、低圧タービン45a,45b,45cの出力基準値を出力計測値とする場合には、軸トルクセンサ27から高圧タービン44あるいは低圧タービン45a,45b,45cの軸トルク計測値を入力することにより低圧タービン45a,45b,45cの出力計測値を取得することができる。
この際、低圧タービン出力補正手段22は、軸トルクセンサ27から入力した軸トルク計測値が高圧タービン44の軸トルク計測値である場合には、発電機出力センサ29により計測された原子力発電プラント26の総出力を入力するとともに、原子力発電プラント26の総出力から高圧タービン44の軸トルク計測値を減算することにより、間接的に低圧タービン45a,45b,45cの出力計測値を求めることができるように構成される。
また、各低圧タービン45a,45b,45cの軸トルク計測値をそれぞれ入力して加算するのみならず、単一の低圧タービン45から入力した軸トルク計測値が他の低圧タービン45の軸トルクに等しいと仮定して低圧タービン45の合計の出力計測値を求めてもよい。
さらに、低圧タービン出力補正手段22は、低圧タービン45a,45b,45cの出力計測値と低圧タービン出力計算手段21から受けた低圧タービン45a,45b,45cの出力計算値との差あるいは比が閾値内となるように、低圧タービン出力計算手段21に低圧タービン45a,45b,45cの出力の再計算要求とh−s線図の基準膨張線の補正要求とを与えて再計算させることにより低圧タービン45a,45b,45cの出力計算値を補正する機能を有する。
また、低圧タービン出力補正手段22は、低圧タービン45a,45b,45cの出力計測値と低圧タービン出力計算手段21から受けた低圧タービン45a,45b,45cの出力計算値との差あるいは比が閾値内となった場合には、低圧タービン内部効率計算手段23に低圧タービン45a,45b,45cの内部効率の計算指令を与えるように構成される。
低圧タービン内部効率計算手段23は、低圧タービン出力計算手段21から受けた低圧タービン45a,45b,45cの段落群ごとの効率に基づいて低圧タービン45a,45b,45c全体の内部効率を計算する機能と、計算して得られた低圧タービン45a,45b,45cの内部効率をプラント状態最適化手段24に与える機能とを有する。
プラント状態最適化手段24は、高圧タービン内部効率計算手段17および低圧タービン内部効率計算手段23からは計算により得られた高圧タービン44と低圧タービン45a,45b,45cの内部効率を、データ計算手段19からは原子力発電プラント26の熱効率診断の対象に必要なデータ、例えばRFPタービン54の内部効率、原子炉40における蒸気の受熱量ないし原子炉40に導かれる給水および復水の流量の計算値をそれぞれ受けて、予め任意に設定した基準値を用いて各計算値の最適化計算を実行する機能と、最適化計算が完了したか否か、すなわち各計算値がそれぞれ最適化されているか否かを判定する機能を有する。
ここで、最適化計算の基準値としては、設計値や計測値等のデータを用いることができる。
また、プラント状態最適化手段24は、給水流量等の各計算値が最適化されていないと判定した場合には、給水復水流量設定手段13に給水あるいは復水の再設定依頼を与える一方、各計算値が最適化されていると判定した場合には、性能低下要因機器特定手段25に最適化された高圧タービン44の内部効率および低圧タービン45a,45b,45cの内部効率の計算値をそれぞれ与えるように構成される。
さらに、プラント状態最適化手段24は、軸トルクセンサ27の精度が十分でない場合、例えば精度が1%以上であるような場合に、必要に応じて高圧タービン出力計算手段15および低圧タービン出力計算手段21の双方あるいは一方から高圧タービン44ないし低圧タービン45a,45b,45cの出力計算値を受けて、出力計算値を最適化判定の対象に含めることができるように構成される。
プラント状態最適化手段24は、高圧タービン44の出力計算値が最適化されていないと判定した場合には、高圧タービン出力計算手段15に高圧タービン44の出口72における蒸気の乾き度の補正要求を与える一方、低圧タービン45a,45b,45cの出力計算値が最適化されていないと判定した場合には、低圧タービン出力計算手段21にh−s線図の基準膨張線の補正要求を与える。
ここで、最適化計算の方法は、任意の方法を用いることができる。例えば、確率分布を用いて統計的に給水流量等の各計算値を最適化する方法が挙げられる。すなわち、給水流量等の各計算値を複数回得ると、各計算値と基準値との偏差と確率の関係を示す確率分布が得られるため、この確率分布から最適化された給水流量等の各計算値を求めることができる。
最適化する計算値は、複数存在するため、各確率分布を積算して得られる確率分布を求め、積算された確率分布において偏差が最小となるときの各計算値を最適化された計算値とすることができる。この場合、正規分布もしくは正規分布を積分して得られる確率分布と仮定することができる確率分布については、正規分布もしくは正規分布を積分して得られる確率分布を利用することができる。そして、各計算値を考慮して全体の確率が最大となるときの計算値が最適化された計算値となる。
このため、確率分布を用いて統計的に給水流量等の各計算値を最適化する場合において、プラント状態最適化手段24が、給水流量等の各計算値が最適化されていないと判定した場合には、偏差がより小さくなるように給水復水流量設定手段13に給水あるいは復水の再設定依頼を与えるように構成される。
尚、最適化計算の方法は、給水流量等の各計算値を予め設定した基準値に基く閾値の範囲にあるか否かを判定するのみとしてもよい。この場合、プラント状態最適化手段24には、最適化計算を実行する機能が備えられなくてもよい。
性能低下要因機器特定手段25は、プラント状態最適化手段24から受けた最適化後における高圧タービン44の内部効率および低圧タービン45a,45b,45cの内部効率の計算値と設計値との差を計算し、計算値と設計値との差と予め設定された寄与度との積が大きい構成要素を特定する機能を有する。ここで、寄与度は、原子力発電プラント26の効率に対する高圧タービン44と低圧タービン45a,45b,45cのそれぞれの影響の度合いを数値化して設定される。
また、性能低下要因機器特定手段25による判定の結果は、適宜モニタ等の出力手段12により出力できるように構成される。
次に原子力発電プラント熱効率診断システム10の作用について説明する。
第8図は、第1図に示す原子力発電プラント熱効率診断システム10を第2図に示す原子力発電プラント26に適用した場合において、原子力発電プラント26の熱効率を診断する際の手順の一例を示すフローチャートであり、図中Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
まず予め給水復水流量センサ28により原子炉40に導かれる給水の流量GH1が計測され、発電機出力センサ29により、発電機47の発電出力、すなわち原子力発電プラント26の総出力WTOTALが計測される。さらに、プラントデータ計測系30により、原子力発電プラント26の各構成要素の所要の点における蒸気、給水、復水、ドレン、抽気の温度、圧力、流量等のデータのうち原子力発電プラント26の熱効率診断に必要なデータが計測される。
尚、プラントデータ計測系30により計測される原子力発電プラント26の各点における蒸気、給水、復水、ドレン、抽気の温度および圧力は、原子力発電プラント26の熱効率診断に必要な精度と比較して比較的十分な精度で計測することができる。一方、蒸気、ドレン、抽気、給水、復水の流量の精度は温度や圧力よりも低い。
このため、原子力発電プラント26の各点における蒸気、ドレン、抽気、給水、復水の流量の全部あるいは一部をプラントデータ計測系30により計測することも可能であるが、ここでは計算で容易に求められないものについて計測値を用い、その他の蒸気等の流量は計算により求める。
また、軸トルクセンサ27により、例えば高圧タービン44の軸トルクが計測され、軸トルク計測値Fとして高圧タービン44の出力WHPの実測値が得られる。
そして、ステップS1において、給水復水流量設定手段13が、原子炉40に導かれる給水の流量GH1を給水復水流量センサ28から入力し、原子力発電プラント26の熱効率診断に用いられる給水の流量GH1として仮設定する。すなわち、給水復水流量センサ28により計測された給水の流量GH1は、精度が0.7%程度であるため、仮設定とされる。さらに、給水復水流量設定手段13は、仮設定した給水の流量GH1を加熱器熱収支計算手段14に与える。
尚、給水の代わりに復水の流量を入力して仮設定してもよい。
次に、ステップS2において、加熱器熱収支計算手段14により、第1から第6の加熱器51a、51b、51c、51d、51e、51fにおいて、抽気と復水ないし給水との熱交換によりそれぞれ生じたドレンの比エンタルピが計算される。
加熱器熱収支計算手段14は、ドレンの比エンタルピを計算する際、第1から第6の加熱器51a、51b、51c、51d、51e、51fのドレン管58の出口におけるドレンの温度と圧力とをプラントデータ計測系30から入力する。そして、加熱器熱収支計算手段14は、第1から第6の加熱器51a、51b、51c、51d、51e、51fにおけるドレン管58の出口のドレンの温度と圧力とを用いて蒸気表からドレンの比エンタルピを求める。
蒸気表としては、例えば日本機械学会により公表されたものを利用することができる。
さらに、加熱器熱収支計算手段14は、給水復水流量設定手段13から受けた給水の流量GH1を用いて第1から第6の加熱器51a、51b、51c、51d、51e、51fにおける復水給水管43の入口および出口の復水および給水のエンタルピを計算する。
加熱器熱収支計算手段14は、復水および給水のエンタルピを計算する際、第1から第6の加熱器51a、51b、51c、51d、51e、51fにおける復水給水管43の入口と出口とにおける復水ないし給水の温度と圧力とをプラントデータ計測系30から入力する。そして、加熱器熱収支計算手段14は、第1から第6の加熱器51a、51b、51c、51d、51e、51fにおける復水給水管43の入口および出口における復水ないし給水の温度と圧力から比エンタルピを求めて給水の流量GH1を乗じることにより復水および給水のエンタルピを計算する。
さらに、加熱器熱収支計算手段14は、第1の加熱器51aにおける復水および給水のエンタルピ、ドレンの比エンタルピを高圧タービン出力計算手段15に与える。また、第2の加熱器51bにおける復水および給水のエンタルピ、ドレンの比エンタルピを低圧タービン入口蒸気条件設定手段18に、第3、第4、第5、第6の加熱器51c、51d、51e、51fにおける復水および給水のエンタルピ、ドレンの比エンタルピを低圧タービン出力計算手段21にそれぞれ与える。
次に、ステップS3において、高圧タービン出力計算手段15が、高圧タービン44の出力WHPを熱収支計算するために、高圧タービン44の出口72における蒸気の乾き度を高圧タービン44の設計値に基いて仮設定する。
原子力発電プラント26で使用される蒸気は湿り状態であるため、蒸気のエンタルピを計算するためには、蒸気の温度または圧力の他、蒸気の乾き度が必要となる。そこで、高圧タービン44の出口72における蒸気の熱量を計算するために、高圧タービン出力計算手段15により高圧タービン44の出口72における蒸気の乾き度が仮設定される。
ただし、高圧タービン44の出口72における蒸気の乾き度には精度が低い設計値が用いられるため、仮設定とされる。
次に、ステップS4において、高圧タービン出力計算手段15により高圧タービン44の抽気口73における抽気の乾き度が計算される。すなわち、第2図に示す原子力発電プラント26では、高圧タービン44に抽気口73が設けられて第1の加熱器51aに抽気が導かれるため、高圧タービン44の出力WHPを熱収支計算するためには、高圧タービン44の抽気口73における抽気の熱量を求めておく必要がある。
尚、正確には、高圧タービン44の入口から抽気口73までの内部効率と抽気口73から出口72までの内部効率は異なるが、高圧タービン44が100%ロード付近で運転されると仮定し、ここでは高圧タービン44の内部効率ηHPは、高圧タービン44の入口から出口72まで一定として計算する。
高圧タービン44の抽気口73における抽気の乾き度は、ステップS3において仮定した高圧タービン44の出口72における蒸気の乾き度と抽気口73における圧力とから求めることができる。
すなわち、まずh−s(比エントロピ−比エンタルピ)線図において、高圧タービン44の入口と出口72における比エンタルピhHPin、hHPoutと比エントロピsHPin、sHPoutのポイントを高圧タービン44の入口と出口72の圧力と温度とからプロットする。さらに、高圧タービン44の入口における比エンタルピhHPinと比エントロピsHPinのポイントと高圧タービン44の出口72における比エンタルピhHPoutと比エントロピsHPoutのポイントとを直線で結ぶ。そして、得られたh−s線図上の直線と高圧タービン44の抽気口73の圧力に対応する等圧線との交点を求め、求めた交点における蒸気の乾き度を高圧タービン44の抽気口73における抽気の乾き度として蒸気表から求めることができる。
尚、高圧タービン出力計算手段15による高圧タービン44の抽気口73における抽気の乾き度の計算の際に必要な、高圧タービン44の入口と出口72における蒸気の温度と圧力並びに高圧タービン44の抽気口73における抽気の圧力は、プラントデータ計測系30から入力される。
次に、ステップS5において、高圧タービン44の出力WHPを熱収支計算する際に必要となる抽気の熱量を求めるために、高圧タービン出力計算手段15により抽気の流量GEXTが計算される。
ここで、第1の加熱器51aに導かれる抽気の熱量とドレン管58から排出されるドレンの熱量との差が、抽気が第1の加熱器51aにおいて失った熱量である。抽気の熱量は、抽気の比エンタルピhEXTと抽気の流量GEXTとの積であり、ドレンの熱量はドレンの比エンタルピhとドレンの流量GH1Dとの積である。また、ドレンの流量GH1Dは、抽気の流量GEXTから求めることができる。
さらに、抽気が第1の加熱器51aにおいて失った熱量は、給水が第1の加熱器51aにおいて受け取った熱量に等しい。給水が第1の加熱器51aにおいて受け取った熱量は、第1の加熱器51aの入口と出口における給水のエンタルピの差で表される。
このため、第1の加熱器51aに導かれる抽気の流量GEXTは、式(1)により熱収支計算できる。
Figure 0004108097
但し、
EXT:第1の加熱器に導かれる抽気の流量
H1:第1の加熱器における給水の流量
H1D:第1の加熱器から排出されるドレンの流量
Hout:第1の加熱器の出口における給水の比エンタルピ
Hin:第1の加熱器の入口における給水の比エンタルピ
:第1の加熱器の出口におけるドレンの比エンタルピ
EXT:第1の加熱器の入口における抽気の比エンタルピ
である。
ここで、第1の加熱器51aの入口における抽気の比エンタルピhEXTは、ステップS4において求めた高圧タービン44の抽気口73における抽気の比エンタルピに等しいとみなすことができる。
また、給水が第1の加熱器51aにおいて受け取った熱量は、加熱器熱収支計算手段14から受けた第1の加熱器51aの入口および出口における給水のエンタルピから求めることができる。
このため、高圧タービン出力計算手段15は、加熱器熱収支計算手段14から受けたデータとプラントデータ計測系30から入力したデータに基いて式(1)により抽気の流量GEXTを計算する。
次に、ステップS6において、高圧タービン出力計算手段15は、高圧タービン44における蒸気の排気損失、すなわち高圧タービン44においてタービン翼の回転に利用されなかった蒸気の速度エネルギを計算する。
尚、蒸気の排気損失は高圧タービン44の出口72における蒸気の流速に基いて計算されるが、蒸気の流速は蒸気の流量と高圧タービン44の出口72の断面積から求めることができる。高圧タービン44の出口72における蒸気の流量は、高圧タービン44の入口における蒸気の流量GHPから第1の加熱器51aへの抽気の流量GEXTを減じることにより計算できる。
次に、ステップS7において、高圧タービン出力計算手段15は、高圧タービン44の出力を熱収支計算により求める。すなわち、高圧タービン出力計算手段15は、高圧タービン44の入口の温度、圧力をプラントデータ計測系30から入力し、高圧タービン44の入口の比エンタルピhHPinを計算する。ここで、必要に応じて高圧タービン44の入口の乾き度を仮定して用いることもできる。
さらに、高圧タービン出力計算手段15は、高圧タービン44の出口72の温度、圧力をプラントデータ計測系30から入力し、入力した高圧タービン44の出口72の温度、圧力とステップS3において仮定した高圧タービン44の出口72の乾き度とから高圧タービン44の出口72における比エンタルピhHPoutを計算する。
次に、高圧タービン出力計算手段15は、高圧タービン44の入口における蒸気の流量GHPに高圧タービン44の入口における蒸気の比エンタルピhHPinを乗じることにより、高圧タービン44の入口における蒸気の熱量を求めるとともに、高圧タービン44の出口における蒸気の流量に高圧タービン44の出口における蒸気の比エンタルピhHPoutを乗じることにより、高圧タービン44の出口における蒸気の熱量を求める。
ここで、高圧タービン44の入口における蒸気の流量GHPは、給水の流量から計算で求めることができる。高圧タービン44の出口72における蒸気の流量は、高圧タービン44の入口における蒸気の流量GHPからステップS5において求めた抽気の流量GEXTを減じることにより計算できる。
さらに、高圧タービン出力計算手段15は、ステップS5で求めた抽気の流量GEXTに高圧タービン44の抽気口73における抽気の比エンタルピを乗じることにより、抽気の熱量を計算することができる。高圧タービン44の抽気口73における抽気の比エンタルピは、高圧タービン44の抽気口73における抽気の温度、圧力、乾き度から蒸気表に基いて求めることができる。
そして、高圧タービン出力計算手段15は、高圧タービン44の入口と出口72における蒸気の熱量、抽気の熱量およびステップS6で計算した高圧タービン44における蒸気の排気損失のエネルギ収支計算を行って高圧タービン44の出力計算値WHPcalを求める。
また、高圧タービン出力計算手段15は、熱収支計算により得られた高圧タービン44の出力計算値WHPcalを高圧タービン出力補正手段16に与える。
次に、ステップS8において、高圧タービン出力補正手段16は、軸トルクセンサ27から高圧タービン44の軸トルク計測値Fを入力する一方、高圧タービン出力計算手段15から高圧タービン44の出力計算値WHPcalを受けて、高圧タービン44の軸トルク計測値Fと高圧タービン44の出力計算値WHPcalとを比較し、高圧タービン44の軸トルク計測値Fと高圧タービン44の出力計算値WHPcalとの差あるいは比が予め設定された閾値εHP内であるか否かを判定する。
例えば、高圧タービン出力補正手段16は、式(2)により高圧タービン44の軸トルク計測値Fと高圧タービン44の出力計算値WHPcalとの比が閾値εHP(例えばεHP=0.5%)内であるか否かを判定する。
Figure 0004108097
そして、高圧タービン出力補正手段16は、高圧タービン44の軸トルク計測値Fと高圧タービン44の出力計算値WHPcalとの比が閾値εHP内にない、すなわち式(2)を満足しないと判定した場合には、高圧タービン出力計算手段15に高圧タービン44の出力WHPの再計算要求と高圧タービン44の出口72における蒸気の乾き度を式(2)を満足するように補正すべき旨の要求を与える。
このため、再びステップS3において高圧タービン出力計算手段15により高圧タービン44の出口72における蒸気の乾き度が仮設定され、ステップS4からステップS7において高圧タービン44の出力が計算される。この結果、高圧タービン出力計算手段15により、高圧タービン44の軸トルク計測値Fと高圧タービン44の出力計算値WHPcalとの比が閾値εHP内となるまで高圧タービン44の出力が繰り返し計算される。
そして、ステップS8において、高圧タービン出力補正手段16が、高圧タービン44の軸トルク計測値Fと高圧タービン44の出力計算値WHPcalとの比が閾値εHP内であると判定すると、高圧タービン44の出力計算値WHPcalを高圧タービン内部効率計算手段17に与える。
次に、ステップS9において、高圧タービン内部効率計算手段17は、高圧タービン出力補正手段16から受けた補正後の高圧タービン44の出力計算値WHPcalと、プラントデータ計測系30から入力したデータとに基いて高圧タービン44の内部効率ηHPを計算する。
ここで、高圧タービン44の出力WHPは式(3)で表される。ただし、ここでは計算簡略化のため抽気は考慮しない。従って、計算精度を向上させる場合には、抽気を含めて高圧タービン44の出力WHPを計算してもよい。
Figure 0004108097
但し、
ΔhHPad:高圧タービン断熱熱落差
HP:高圧タービン入口蒸気流量
ηHP:高圧タービン内部効率
である。
すなわち、高圧タービン44の出力WHPは、高圧タービン断熱熱落差ΔhHPadと高圧タービン入口蒸気流量GHPとの積、すなわち蒸気の高圧タービン44におけるエンタルピ変化に蒸気のエントロピ変化に消費されるエネルギ損失分を考慮して高圧タービン内部効率ηHPを乗じて補正することにより求められる。さらに、式(3)を変形すると式(4)が得られる。
Figure 0004108097
ここで、高圧タービン断熱熱落差ΔhHPadは、式(5)に示すように蒸気が高圧タービン44で等エントロピ変化したと仮定した場合の蒸気の高圧タービン44の入口における比エンタルピhHPinと出口72における比エンタルピhHPoutadとの差で表される。すなわち高圧タービン断熱熱落差ΔhHPadは、エネルギ損失のない理想状態における蒸気の高圧タービン44での仕事量を示す。
Figure 0004108097
このため、高圧タービン44の入口と出口72における蒸気の圧力および高圧タービン44の入口における蒸気の温度が分かれば、h−s線図から高圧タービン44の入口における比エンタルピhHPinと蒸気が等エントロピ変化したと仮定した場合の出口72における比エンタルピhHPoutadとを求め、さらに式(5)から高圧タービン断熱熱落差ΔhHPadを求めることができる。
そこで、高圧タービン44の入口における蒸気の圧力、高圧タービン44の出口72における蒸気の圧力、高圧タービン44の入口における蒸気の温度が、プラントデータ計測系30において計測される。ここで、必要に応じて高圧タービン44の入口における乾き度を仮定して用いてもよい。また、高圧タービン入口蒸気流量GHPは、ステップS7で得た値を用いることができる。
そして、高圧タービン内部効率計算手段17は、プラントデータ計測系30から高圧タービン44の入口における蒸気の圧力、高圧タービン44の出口72における蒸気の圧力、高圧タービン44の入口における蒸気の温度を入力するとともに、高圧タービン出力補正手段16から高圧タービン44の出力計算値WHPcalを受けて、式(4)および式(5)により高圧タービン44の内部効率ηHPを計算する。
尚、高圧タービン内部効率計算手段17により計算される高圧タービン44の内部効率ηHPの精度は、式(4)から導かれる誤差伝搬式(6)を用いて求めることができる。
Figure 0004108097
ここで、具体的に式(6)に仮定した条件を代入して、高圧タービン内部効率ηHPの精度を計算した結果を式(7)に示す。
Figure 0004108097
また、高圧タービン内部効率計算手段17は、計算して得られた高圧タービン44の内部効率ηHPをプラント状態最適化手段24に与える。
次に、低圧タービン45a,45b,45cの入口における蒸気の流量が低圧タービン入口蒸気条件設定手段18により計算される。一般に高圧タービン44を経由した蒸気は湿り蒸気になっているため、湿分分離器50に導かれ、湿分分離器50において蒸気の水分が除去される。このため、低圧タービン45a,45b,45cに導かれる蒸気の乾き度に影響を及ぼす。
また、第2図に示す原子力発電プラント26においては、高圧タービン44と湿分分離器50との間の蒸気管48上に抽気口が設けられ、抽気が第2の加熱器51bに導かれるとともに、湿分分離器50で生じたドレンおよび第1の加熱器51aに出口におけるドレンも第2の加熱器51bに導かれて給水との熱交換に利用される。
そこで、ステップS10において、低圧タービン入口蒸気条件設定手段18は、湿分分離器50において除去されて生じたドレンの量を計算するために、湿分分離器50の湿分分離効率、すなわち蒸気の湿り成分から水分として分離できる割合を求める。
湿分分離器50の湿分分離効率は、湿分分離器50の入口における蒸気の流量から湿分分離器50の設計情報に基づいて計算することができる。すなわち、湿分分離効率は、湿分分離器50の入口における蒸気の流量の関数として表されるか、あるいは表により関連付けられる。
また、高圧タービン44の出口72における蒸気の流量は、湿分分離器50の入口における蒸気の流量と第2の加熱器51bに導かれる抽気の流量との和になる。このため、湿分分離器50の入口における蒸気の流量および第2の加熱器51bに導かれる抽気の流量は、互いに他方をパラメータとして表すことができる。
そこで、低圧タービン入口蒸気条件設定手段18は、湿分分離器50の設計情報である関数あるいは表に基いて湿分分離器50の湿分分離効率を湿分分離器50の入口における蒸気の流量をパラメータとして求める。
次に、ステップS11において、低圧タービン入口蒸気条件設定手段18は、ステップS10において求めた湿分分離器50の湿分分離効率に湿分分離器50の入口における蒸気の流量を乗じることにより、湿分分離器50で蒸気から分離されて生じたドレンの量を湿分分離器50の入口における蒸気の流量をパラメータとして計算する。
さらに、低圧タービン入口蒸気条件設定手段18は、湿分分離器50で蒸気から分離されて生じたドレンの量と湿分分離器50の入口における蒸気の流量とから湿分分離器50の出口における蒸気の乾き度を湿分分離器50の入口における蒸気の流量をパラメータとして計算する。
また、低圧タービン入口蒸気条件設定手段18は、湿分分離器50で蒸気から分離されて生じたドレンの熱量、湿分分離器50の入口における蒸気の熱量とから熱収支計算を行って、湿分分離器50の出口における蒸気の流量を湿分分離器50の入口における蒸気の流量をパラメータとして計算する。
この際、湿分分離器50の出口における蒸気の流量の計算に必要な、ドレン、蒸気の温度や圧力等のデータはプラントデータ計測系30において計測されて低圧タービン入口蒸気条件設定手段18に入力される。
次に、ステップS12において、低圧タービン入口蒸気条件設定手段18は、第2の加熱器51bに導かれる抽気の流量を計算する。第2の加熱器51bに導かれる抽気の流量は、第1の加熱器51aに導かれる抽気の流量の計算と同様に、第2の加熱器51bにおいて給水が受けた熱量、ドレンの熱量、抽気の熱量を用いて熱収支計算により計算することができる。
このため、ステップS10からステップS12において湿分分離器50の入口における蒸気の流量をパラメータとして計算された湿分分離器50におけるドレンの流量を用いることにより、第2の加熱器51bに導かれる抽気の流量、湿分分離器50の入口における蒸気の流量、湿分分離器50の出口における蒸気の乾き度、湿分分離器50の出口における蒸気の流量をそれぞれ求めることができる。
この際、低圧タービン入口蒸気条件設定手段18は、湿分分離器50の入口における蒸気の流量の計算に必要な抽気、給水、ドレンの温度や圧力等のデータをプラントデータ計測系30から入力するとともに給水やドレンのエンタルピないし比エンタルピを加熱器熱収支計算手段14から受ける。また、第2の加熱器51bの入口における抽気の比エンタルピとしては、高圧タービン44の出口72における蒸気の比エンタルピを用いることができる。
また、第2図に示す原子力発電プラント26においては、湿分分離器50と低圧タービン45a,45b,45cとの間の蒸気管48上に抽気口が設けられ、抽気がRFPタービン54に導かれて動力源として利用される。
そこで、低圧タービン入口蒸気条件設定手段18は、RFPタービン54に導かれる抽気の流量GRFPTをパラメータとして低圧タービン45a,45b,45cの入口における蒸気の流量を計算する。ここで、RFPタービン54に導かれる抽気の流量GRFPTは、第2の加熱器51bに導かれる抽気の流量と同様にRFPタービン54におけるエネルギの収支計算により計算できるため、RFPタービン54におけるエネルギの収支計算式を解くことにより最終的には求めることができる。
そして、低圧タービン入口蒸気条件設定手段18は、低圧タービン45a,45b,45cの入口における蒸気の乾き度、温度、圧力、流量を低圧タービン出力計算手段21に与える。
次に、ステップS13において、データ計算手段19は、後のプラント状態の最適化判定のために、RFPタービン54の内部効率ηRFPTを計算する。ここで、RFPタービン54の出力WRFPTは、式(8)で与えられる。
Figure 0004108097
但し、
RFPT:RFPタービンの出力
ηRFPT:RFPタービンの内部効率
RFPT:RFPタービンの入口における抽気の流量
ΔhRFPT:RFPタービン断熱熱落差
である。
すなわち、高圧タービン44の出力WHPの計算式(3)と同様の式となる。ここで、RFPタービン54の出力WRFPTは、原子炉給水ポンプ52の動力、すなわち原子炉給水ポンプ52において給水が得た昇圧エネルギに等しいと考えられる。このため、原子炉給水ポンプ52において給水が得た昇圧エネルギをプラントデータ計測系30で計測することによりRFPタービン54の出力WRFPTを求め、さらにRFPタービン54に導かれる抽気の流量に基いて式(8)によりRFPタービン54の内部効率ηRFPTを計算することができる。
ここで、RFPタービンの入口における抽気の流量GRFPTには、計測値またはRFPタービン54の設計に基く値を用いることができる。また、RFPタービン断熱熱落差ΔhRFPTは、RFPタービン54の入口における抽気の温度、圧力、乾き度と出口における抽気の圧力から蒸気表に基いて求めることができる。
RFPタービン54の入口における抽気の比エンタルピは、ステップS11において計算した湿分分離器50の出口における比エンタルピに等しく、RFPタービン54の入口における温度、圧力およびRFPタービン54の出口圧力は、プラントデータ計測系30で計測した値から求めることができる。
尚、RFPタービン54の出力WRFPTを計測値またはRFPタービン54の設計に基く値としてもよい。
データ計算手段19は、計算して得られたRFPタービン54の内部効率ηRFPTをプラント状態最適化手段24に与える。
また、ステップ814において、データ計算手段19は、原子炉40における蒸気の受熱量を計算する。原子炉40における蒸気の受熱量は、原子炉40の入口における給水の温度および圧力と原子炉40の出口における蒸気の温度、圧力および乾き度とから蒸気表に基いて給水のエンタルピと蒸気のエンタルピの差として計算することができる。
このため、プラントデータ計測系30により原子炉40の入口における給水の温度および圧力と原子炉40の出口における蒸気の温度、圧力および乾き度とが計測され、データ計算手段19は、プラントデータ計測系30から原子炉40の入口における給水の温度および圧力と原子炉40の出口における蒸気の温度、圧力および乾き度とを入力する。
データ計算手段19は、得られた蒸気の受熱量をプラント状態最適化手段24に与える。そして、データ計算手段19は、低圧タービン選定手段20に内部効率ηLPを求めようとする低圧タービン45の選定を要求する。
次に、ステップS15において、低圧タービン選定手段20は、データ計算手段19からの要求に応じて、内部効率ηLPを求めようとする低圧タービン45を選定し、低圧タービン出力計算手段21に選定した低圧タービン45の出力計算を要求する。ここでは、第1、第2、第3の低圧タービン45a,45b,45cの内部効率ηLPは全て等しいと仮定して計算する。このため、低圧タービン選定手段20は、第1、第2、第3の低圧タービン45a,45b,45c全てを選定する。
次に、ステップS16において、低圧タービン出力計算手段21は、低圧タービン選定手段20から低圧タービン45a,45b,45cの出力計算の要求を受けると、h−s線図上における低圧タービン45a,45b,45cの基準膨張線を仮定する。
低圧タービン出力計算手段21は、まず低圧タービン入口蒸気条件設定手段18から受けた低圧タービン45a,45b,45cの入口における蒸気の温度、圧力、乾き度に基いて、低圧タービン45a,45b,45cの入口における蒸気の比エンタルピを求め、低圧タービン45a,45b,45cの入口における蒸気の圧力と等圧線上におけるポイントをh−s線図にプロットする。そして、低圧タービン出力計算手段21は、プロットしたポイントを通り、設計情報として与えられた設計基準膨張線に基づいて任意の方法で基準膨張線A1を設定する。例えば、設計基準膨張線に相似な曲線や、高次曲線として近似した基準膨張線を設定することができる。
また、後述するステップS17からステップS23における計算を実行するために、低圧タービン45a,45b,45cの第1から第4の抽気口83、84、85、86、第1,第3、第5のドレンキャッチャ87a,87c,87eが設けられた各点における圧力と低圧タービン45a,45b,45cの出口82における圧力と温度がプラントデータ計測系30によりそれぞれ計測されて、低圧タービン出力計算手段21に入力される。
すなわち、低圧タービン45a,45b,45cを第1から第4の抽気口83、84、85、86、第1,第3、第5のドレンキャッチャ87a,87c,87eが設けられた各点において複数の段落群に分割し、各段落群の入口と出口における圧力と温度が計測される。
尚、第2、第4のドレンキャッチャ87b,87dは、第1、第3、第5のドレンキャッチャ87a,87c、87eとは異なりそれぞれ第3、第4の抽気口85、86の近傍に設置されている。このため、第2、第4のドレンキャッチャ87b,87dについては、ドレン除去時の付随蒸気を考えなくてよいとされ、第3、第4の抽気口85、86とともに熱収支計算する。
ここで、ドレンキャッチャ87におけるドレンキャッチ量を用いて低圧タービン45a,45b,45cの出力を計算する際の計算方法について説明する。
第9図は、第8図に示すフローチャートにおいて仮定されるh−s線図上の低圧タービン45a,45b,45cの基準膨張線と補正膨張線の一例を示す図である。
第9図において、縦軸は比エンタルピを示し、横軸は比エントロピを示す。また、第9図において、一点鎖線は低圧タービン45a,45b,45cの基準膨張線A1を示し、実線は、低圧タービン45a,45b,45cの補正膨張線A2を示す。
また、低圧タービン45a,45b,45cの入口と出口における蒸気の圧力をそれぞれpin、pout、第1から第5のドレンキャッチャ87a,87b,87c、87d、87eが設けられた各点における圧力をそれぞれp、p、…、pとする。また、低圧タービン45a,45b,45c入口圧力を示す等圧線上のポイントをptinとする。
低圧タービン出力計算手段21は、プラントデータ計測系30から入力した各圧力p、p、…、p、poutにおけるそれぞれの等圧線と基準膨張線A1との交点pt、pt、…pt、ptoutを計算することにより、低圧タービン45a,45b,45cの第1から第5のドレンキャッチャ87a,87b,87c、87d、87eが設けられた各点および出口82における蒸気の比エンタルピを仮定することができる。
尚、プラントデータ計測系30から入力した低圧タービン45a,45b,45cの出口82における圧力poutと低圧タービン45a,45b,45cの入口における比エンタルピとから低圧タービン45a,45b,45cの入口と出口82の間における蒸気の断熱熱落差を計算し、低圧タービン45a,45b,45cの設計内部効率を乗じて低圧タービン45a,45b,45cの出口82に対応するポイントptoutを求め、低圧タービン45a,45b,45cの入口に対応するポイントptinと出口82に対応するポイントptoutとを結んだ線を低圧タービン45a,45b,45cの基準膨張線A1として低圧タービン出力計算手段21により仮定してもよい。
次に、低圧タービン出力計算手段21は、第9図に示す低圧タービン45a,45b,45cの基準膨張線A1に基づいて、低圧タービン45a,45b,45c内部を各ポイントptin、pt、pt、…pt、ptout間の段落群に分割し、段落群におけるタービン効率である段落群基準タービン効率ηb1、ηb2、…、ηb6をタービン効率の一般式である式(9)より計算する。
Figure 0004108097
但し、
ηbn:段落群基準タービン効率
Δhbn:ポイント間における蒸気の有効熱落差
Δhbnad:ポイント間における蒸気の断熱熱落差
である。
ここで、低圧タービン45a,45b,45cの第1から第5のドレンキャッチャ87a,87b、87c,87d、87eでは、ドレンが蒸気から分離されるため、第1から第5のドレンキャッチャ87a,87b、87c,87d、87eの前後において蒸気の乾き度が増加する。このため、実際には、蒸気の膨張線は第9図の補正膨張線A2のように段差を有する曲線となる。
また、第1から第5のドレンキャッチャ87a,87b、87c,87d、87eにおいて乾き度が増加するため、蒸気の補正膨張線A2に基づく各ポイントptin、pt、pt、…pt、ptout間の段落群c1、c2、…、c6におけるタービン効率である段落群補正タービン効率ηc1、ηc2、…、ηc6は、段落群基準タービン効率ηb1、ηb2、…、ηb6よりも向上する。
尚、正確にはηb1とηc1は同じ値となるため、第9図においてptとptc1outは一致する。
ここで、蒸気の補正膨張線A2に基づく各段落群c1、c2、…、c6における段落群補正タービン効率ηc1、ηc2、…、ηc6と段落群基準タービン効率ηb1、ηb2、…、ηb6との間には、低圧タービン45の設計情報から一定の関係が成立する。例えば、段落群補正タービン効率ηc3と段落群基準タービン効率ηb3との間には、式(10)の関係が成立する。
Figure 0004108097
但し、
c3in:段落群c3の入口における湿り度
c3out:段落群c3の出口における湿り度
pt2:ポイントptにおける湿り度
pt3:ポイントptにおける湿り度
C1、C2:低圧タービンの設計情報に基づく定数
である。
尚、第5図に示す低圧タービン45では、C1=C2=0.87程度である。
ここで、mpt2、mpt3は、既に仮定した基準膨張線A1から得ることができる。さらに、ポイントptc3out、ptc3inにおける乾き度をxc3out、Xc3inとすると、xc3outとmc3outとの和およびxc3inとmc3inとの和はそれぞれ1となる。このため、段落群c3の入口における乾き度xc3inが既知であれば、段落群補正タービン効率ηc3は、mc3outをパラメータとする関数で表される。
そこで、mc3outをパラメータとして式(11−1)、式(11−2)、式(11−3)の計算を反復することにより段落群c3の出口における乾き度xc3outと段落群補正タービン効率ηc3とを求めることができる。
Figure 0004108097
但し、
c3out:段落群c3の出口における蒸気の比エンタルピ
:蒸気の比エンタルピを圧力と湿り度から計算するための関数
η:段落群補正タービン効率を湿り度から計算するための関数
c3in:段落群c3の入口における蒸気の比エンタルピ
c3outcal:タービン効率計算式に基づく段落群c3の出口における蒸気の比エンタルピの計算値
c3outad:等エントロピ変化したと仮定した場合の段落群c3の出口における蒸気の比エンタルピ
である。
すなわち、式(11−1)の右辺と(11−3)の右辺とが等しくなるまでmc3outを変化させて反復計算することにより乾き度xc3outと段落群補正タービン効率ηc3とを求めることができる。hc3outadは、段落群c3の入口における比エンタルピhc3inが分かれば、h−s線図から求めることができる。
同様な関係が段落群補正タービン効率ηc1、ηc2、…、ηc6と段落群基準タービン効率ηb1、ηb2、…、ηb6との間に成立する。このため、各段落群の入口における乾き度と圧力あるいは比エンタルピが分かれば、出口の乾き度を計算して出口の比エンタルピを求めることができる。
このため、補正膨張線A2を得るためには、各段落群c1、c2、…、c6の入口における乾き度、すなわち第1から第5のドレンキャッチャ87a,87b,87c,87d,87eにおける乾き度の変化量を計算する必要がある。
次に、ステップS17において、低圧タービン出力計算手段21は、第1から第3の低圧タービン45a,45b,45cから第3の加熱器51cとグランド蒸気蒸化器56に導かれる抽気の流量を熱収支計算する。すなわち、高圧タービン44における抽気と同様に、低圧タービン45a,45b,45cから第3の加熱器51cとグランド蒸気蒸化器56に導かれる抽気の熱量は、第3の加熱器51cとグランド蒸気蒸化器56において復水が受けた熱量、第3の加熱器51cとグランド蒸気蒸化器56で生じたドレン、蒸気の熱量から計算することができる。
次に、ステップS18において、低圧タービン出力計算手段21は、ステップS17と同様に第1の低圧タービン45a,45b,45cから第4の加熱器51dに導かれる抽気の流量を熱収支計算する。
次に、ステップS19において、低圧タービン出力計算手段21は、第1のドレンキャッチャ87aにおいて蒸気から除去されたドレンの量を計算する。ここで、第1から第5のドレンキャッチャ87a,87b,87c、87d、87eにおける湿分除去率は、予め設計情報として関数化あるいはデータベース化されている。
例えば、第1のドレンキャッチャ87aにおける湿分除去率εは、式(12)に示すように第1のドレンキャッチャ87aより下流側の蒸気の圧力、第9図のpの関数として表される。
Figure 0004108097
また、第1のドレンキャッチャ87aにより分離されたドレン、蒸気の流量は第1のドレンキャッチャ87aの設計情報から得られる定数C3を用いて式(13)で表される。
Figure 0004108097
但し、
Dドレン:第1のドレンキャッチャにより分離されたドレンの流量
D蒸気:第1のドレンキャッチャにより分離された蒸気の流量
:第1のドレンキャッチャにより分離されたドレンおよび抽気の全流量
c1out:段落群c1の出口における蒸気の流量
C3:第1のドレンキャッチャの設計情報から得られる定数
である。
また、第1のドレンキャッチャ87aにおいて発生する付随蒸気の流量GMRDは、式(14)で表される。
Figure 0004108097
さらに、第1のドレンキャッチャ87aにおいて分離されたドレンと蒸気の比エンタルピは、式(15)で表される。
Figure 0004108097
但し、
:第1のドレンキャッチャにおいて分離されたドレンおよび蒸気の比エンタルピ
h’c1out:段落群c1の出口における飽和水比エンタルピ
h’’c1out:段落群c1の出口における飽和蒸気比エンタルピである。
また、第1のドレンキャッチャ87aにおいてドレンが除去された後の蒸気、すなわち段落群c2の入口における蒸気の流量は式(16)で表される。
Figure 0004108097
但し、
C2inドレン:段落群c2の入口における蒸気に含まれるドレン成分の流量
C2in蒸気:段落群c2の入口における蒸気に含まれる蒸気成分の流量
C2in:段落群c2の入口における蒸気の全流量
である。
さらに、段落群c2の入口における蒸気の乾き度xc2inは、式(17)で表される。
Figure 0004108097
また、段落群c2の入口における蒸気の比エンタルピhC2inと比エントロピsC2inはそれぞれ、式(18)に示すようにポイントptすなわち段落群c2の入口における蒸気の圧力pと段落群c2の入口における蒸気の乾き度xc2inの関数として表される。
Figure 0004108097
このため、低圧タービン出力計算手段21は、第1のドレンキャッチャ87aより下流側の圧力p1から、式(12)、式(13)、式(14)、式(15)、式(16)、式(17)、式(18)、により第1のドレンキャッチャ87aにおいて分離されたドレンと蒸気の流量GDドレン、GD蒸気、G、ドレンと蒸気の全体の比エンタルピh、第1のドレンキャッチャ87aにおいて発生する付随蒸気の流量GMRD、段落群c2の入口における蒸気の流量GC2in、乾き度xc2in、比エンタルピhC2inおよび比エントロピsC2inをそれぞれ求めることができる。
次に、ステップS20において、タービン出力計算手段21は、段落群c2の入口における蒸気の乾き度xc2inを用いて、式(11−1)、式(11−2)、式(11−3)の反復計算から段落群c2の段落群補正タービン効率ηc2を計算するとともに段落群c2の出口における蒸気の比エンタルピhc2outを求める。さらに、ステップS18およびステップS19と同様に、低圧タービン出力計算手段21は、第2のドレンキャッチャ87bのドレン量および低圧タービン45a,45b,45cから第5の加熱器51eに導かれる抽気の流量を熱収支計算する。このため、段落群c3の入口における蒸気の全流量GC3in、乾き度xc3inおよび比エンタルピhc3inを求めることができる。
次に、ステップS21において、ステップS19と同様に、低圧タービン出力計算手段21は、第3のドレンキャッチャ87cより下流側の圧力から、式(12)、式(13)、式(14)、式(15)、式(16)、式(17)、式(18)、により第3のドレンキャッチャ87cにおいて分離されたドレンと蒸気の流量、ドレンと蒸気の全体の比エンタルピ、第3のドレンキャッチャ87cにおいて発生する付随蒸気の流量、後続の段落群の入口における蒸気の流量、乾き度、比エンタルピおよび比エントロピをそれぞれ求める。
次に、ステップS22において、ステップS20と同様に、低圧タービン出力計算手段21は、第4のドレンキャッチャ87dのドレン量および低圧タービン45a,45b,45cから第6の加熱器51fに導かれる抽気の流量を熱収支計算する。ここで、第6の加熱器51fと第5の加熱器51eにおいて生じたドレンは、共通のドレンタンク60に導かれる。第6の加熱器51fからのドレンと第5の加熱器51eからのドレンがドレンタンク60において混合すると、蒸気が発生する。ドレンタンク60において発生した蒸気は第6の加熱器51fに導かれる一方、残りのドレン成分はドレン冷却器53に導かれる。
そこで、データ計算手段19は、ドレンタンク60について熱収支計算を行う。第6の加熱器51fと第5の加熱器51eからドレンタンク60に流入するドレンの熱量は、ステップS2において加熱器熱収支計算手段14により計算されたドレンの比エンタルピから計算することができる。
また、第6の加熱器51fからドレンタンク60に流入するドレンの流量は、第5の加熱器51eからドレンタンク60に流入するドレンの流量よりも十分に少なく、ドレンタンク60内部の圧力は第6の加熱器51fの圧力に等しいと近似することができる。
そして、ドレンタンク60に流入する熱量と圧力に基づいて蒸気表からドレンタンク60内部における蒸気の乾き度を求めることができる。さらに、ドレンタンク60内部における蒸気の乾き度から第6の加熱器51fに導かれる蒸気の熱量と、ドレン冷却器53に導かれるドレンの熱量とを計算することができる。
次に、ステップS23において、ステップS19と同様に、低圧タービン出力計算手段21は、第5のドレンキャッチャ87eより下流側の圧力から、式(12)、式(13)、式(14)、式(15)、式(16)、式(17)、式(18)、により第5のドレンキャッチャ87eにおいて分離されたドレンと蒸気の流量、ドレンと蒸気の全体の比エンタルピ、第5のドレンキャッチャ87eにおいて発生する付随蒸気の流量、低圧タービン45a,45b,45cの出口82における蒸気の流量、乾き度、比エンタルピおよび比エントロピをそれぞれ求める。
この結果、低圧タービン出力計算手段21により低圧タービン45a,45b,45cの入口から出口82までの補正膨張線A2が得られる。すなわち、低圧タービン出力計算手段21は低圧タービン45a,45b,45cの入口から、段落群の入口における蒸気の比エンタルピおよび乾き度の取得、段落群基準タービン効率に基づく段落群補正タービン効率の計算、段落群出口における蒸気の比エンタルピおよび乾き度の計算、抽気あるいはドレンの流量および比エンタルピの計算、次の段落群の入口における蒸気の比エンタルピおよび乾き度の計算を順次繰り返すことにより、各段落群の出入口における蒸気の比エンタルピ、乾き度、流量を求める。
尚、第1のドレンキャッチャ87aの下流、すなわち段落群c2における段落群補正タービン効率ηc2を計算した結果、段落群c2における段落群補正タービン効率ηc2は、段落群c2における段落群基準タービン効率ηb2に対して0.3%増加することが分かった。同様に、段落群c3、c4、c5、c6における段落群補正タービン効率ηc3、ηc4、ηc5、ηc6は、段落群c3、c4、c5、c6における段落群基準タービン効率ηb3、ηb4、ηb5、ηb6に対してそれぞれ0.8%、1.7%、4.0%、6.3%増加することが分かった。
このため、原子力発電プラント26のように、低圧タービン45a,45b,45cにドレンキャッチャ87や抽気口83、84、85、86が存在する場合には、火力発電プラントの場合と異なり、ドレンキャッチャ87を考慮して低圧タービン45a,45b,45cの内部効率ηLPを補正することが精度向上には必要であると考えられる。
次に、ステップS24において、低圧タービン出力計算手段21は、高圧タービン44の場合と同様に、低圧タービン45a,45b,45cにおける蒸気の排気損失、すなわち低圧タービン45a,45b,45cにおいてタービン翼の回転に利用されなかった蒸気の速度エネルギを計算する。
蒸気の排気損失は高圧タービン44の出口72における蒸気の排気損失と同様に、低圧タービン45a,45b,45cの出口82における蒸気の流量と低圧タービン45a,45b,45cの出口82における断面積とから求めることができる。
次に、ステップS25において、低圧タービン出力計算手段21は、低圧タービン45a,45b,45cの出力を計算する。すなわち、低圧タービン出力計算手段21は、まず低圧タービン45a,45b,45cの各段落群における出力である段落群出力を計算する。低圧タービン45a,45b,45cの段落群出力は、段落群の出入口間における有効熱落差と段落群入口における蒸気の流量との積で与えられる。例えば、段落群c3の段落群出力Wc3は、式(19)で計算することができる。
Figure 0004108097
低圧タービン出力計算手段21は、各段落群における段落群出力を式(19)で求めて加算することにより、低圧タービン45a,45b,45c全体の出力計算値WLPcal、を求める。そして、低圧タービン出力計算手段21は、得られた低圧タービン45a,45b,45cの出力計算値WLPcalを低圧タービン出力補正手段22に与える。
一方、低圧タービン45a,45b,45cの各段落群における効率である段落群効率は、段落群の出入口間における有効熱落差と断熱熱落差との比で表すことができる。例えば、段落群c3の段落群効率ηc3は、段落群c3の有効熱落差UEc3と断熱熱落差AEc3とから式(20)で計算することができる。
Figure 0004108097
低圧タービン出力計算手段21は、式(20)により低圧タービン45a,45b,45cの段落群効率を計算し、得られた結果を低圧タービン内部効率計算手段23に与える。
次に、ステップS26において、低圧タービン出力補正手段22は、発電機出力センサ29により計測された原子力発電プラント26の総出力WTOTALを入力する一方、軸トルクセンサ27から高圧タービン44の軸トルク計測値Fを入力して、原子力発電プラント26の総出力WTOTALから高圧タービン44の軸トルク計測値Fに発電機効率ηをかけた値を高圧タービン44の出力WHPとみなして減算することにより、間接的に低圧タービン45a,45b,45cの出力計測値WLPactを求める。
すなわち、原子力発電プラント26の総出力をWTOTAL、高圧タービン44の出力をWHP、低圧タービン45a,45b,45cの出力をWLPとすると式(21)が成立する。
Figure 0004108097
従って、高圧タービン44の出力WHPが高圧タービン44の軸トルク計測値Fに発電機効率ηをかけた値に等しいとすると、式(22)が成立する。
Figure 0004108097
このため、高圧タービン44の軸トルク計測値Fが計測されれば、低圧タービン45a,45b,45cの出力計測値WLPactを間接的に求めることができる。低圧タービン出力補正手段22は、式(22)により高圧タービン44の軸トルク計測値Fと原子力発電プラント26の総出力WTOTALとから間接的に低圧タービン45a,45b,45cの出力計測値WLPactを求める。
さらに、低圧タービン出力補正手段22は、例えば式(23)により、低圧タービン45a,45b,45cの出力計測値WLPactと低圧タービン45a,45b,45cの出力計算値WLPcalとの比が閾値εLP内であるか否かを判定する。
Figure 0004108097
さらに、低圧タービン出力補正手段22は、低圧タービン45a,45b,45cの出力計測値WLPactと低圧タービン45a,45b,45cの出力計算値WLPcalとの比が閾値εLP内でないと判定した場合には、低圧タービン出力計算手段21にh−s線図の基準膨張線A1を補正すべき旨の要求を与えて再計算させることにより低圧タービン45a,45b,45cの出力計算値WLPcal、を補正させる。
この場合、ステップS16において、低圧タービン出力計算手段21は例えばニュートン法により求まる変化量を低圧タービン45a,45b,45cの基準膨張線A1の効率に加算することにより基準膨張線A1を補正する。そして、補正後の基準膨張線A1により再度、低圧タービン45a,45b,45cの出力が低圧タービン出力計算手段21により計算される。
このため、低圧タービン45a,45b,45cの出力計測値WLPactと低圧タービン45a,45b,45cの出力計算値WLPcalとの比が閾値εLP内となるまで、低圧タービン出力計算手段21により繰り返し低圧タービン45a,45b,45cの出力が計算される。
そして、低圧タービン出力補正手段22は、低圧タービン45a,45b,45cの出力計測値WLPactと低圧タービン45a,45b,45cの出力計算値WLPcalとの比が閾値εLP内であると判定した場合には、低圧タービン内部効率計算手段23に低圧タービン45a,45b,45cの内部効率ηLPの計算指令を与える。
このため、ステップS27において、低圧タービン内部効率計算手段23は、低圧タービン出力補正手段22から低圧タービン45a,45b,45cの内部効率ηLPの計算指令を受けると、低圧タービン出力計算手段21から受けた低圧タービン45a,45b,45cの各段落群における段落群効率に基づいて、低圧タービン45a,45b,45c全体の内部効率ηLPを計算する。
低圧タービン45a,45b,45cの内部効率ηLPは、例えば、各段落群における有効熱落差の合計値Σ(UE)と断熱熱落差の合計値Σ(AE)との比として定義することができる。このため、低圧タービン内部効率計算手段23は、式(24)により各段落群における有効熱落差の合計値Σ(UE)と断熱熱落差の合計値Σ(AE)との比を計算することにより、低圧タービン45a,45b,45cの内部効率ηLPを求める。
Figure 0004108097
ただし、低圧タービン45a,45b,45cの内部効率ηLPは、式(24)に限らず各段落群における有効熱落差UEと断熱熱落差AEとから任意に定義することができる。
低圧タービン内部効率計算手段23は、計算して得られた低圧タービン45a,45b,45cの内部効率ηLPをプラント状態最適化手段24に与えるとともに、低圧タービン選定手段20に次に内部効率ηLPを計算すべき低圧タービン45の選定を要求する。
このため、ステップS28において、低圧タービン選定手段20が内部効率ηLPを求めようとする低圧タービン45が残っているか否かを判定し、内部効率ηLPを計算すべき低圧タービン45が存在する場合には、低圧タービン45を選定して低圧タービン出力計算手段21に出力計算を要求する。
尚、ここでは、第1、第2、第3の低圧タービン45a,45b,45cの内部効率ηLPは全て等しいと仮定して計算したため、低圧タービン選定手段20は、内部効率ηLPを計算すべき低圧タービン45が存在しないと判定し、データ計算手段19にその旨を通知する。
次に、ステップS29において、データ計算手段19は、既に求めたドレンタンク60からドレン冷却器53に導かれるドレンの熱量を用いてドレン冷却器53の入口における復水のエンタルピを熱収支計算により求める。この際、必要な給水の温度や圧力等のデータはプラントデータ計測系30からデータ計算手段19に入力される。
次に、ステップS30において、データ計算手段19は、復水器49におけるドレンや蒸気の収支並びに復水器49、グランド蒸気蒸化器56、復水貯蔵層55間における復水の収支を計算することにより、復水器49の出口における復水の流量と原子炉40に導かれる復水、すなわち給水の流量GH1を計算する。さらに、データ計算手段19は、図示しない各復水系統の各熱交換器の熱収支計算を実行する。
ここで、復水器49に導かれる蒸気の流量は、第1、第2、第3の低圧タービン45a,45b,45cの出口82における蒸気の流量から求めることができる。また、熱収支計算により得られないデータは、プラントデータ計測系30により計測されてデータ計算手段19に入力される。
そして、データ計算手段19は、計算して得られた復水および給水の流量をプラント状態最適化手段24に与えるとともに、プラント状態最適化手段24にプラント状態が最適化されているか否かの判定を要求する。
次に、ステップS31において、プラント状態最適化手段24は、データ計算手段19からの要求に応じて、高圧タービン内部効率計算手段17および低圧タービン内部効率計算手段23から受けた高圧タービン44と低圧タービン45a,45b,45cの内部効率ηHP、ηLPの計算値、データ計算手段19から受けた復水および給水の流量の計算値、RFPタービン54の内部効率ηRFPT、原子炉40の蒸気の受熱量の最適化計算を実行する。すなわち、プラント状態最適化手段24は、給水の流量等の各計算値を最適化するために各計算値と各計測値に対するそれぞれの基準値との偏差に関する確率分布を予め設定された精度で求める。
ここで、復水および給水の流量の基準値としては、給水復水流量センサ28で得られた復水および給水の計測値を、原子炉40の蒸気の受熱量の基準値としては、プラントデータ計測系30において計測された計測値を、高圧タービン44と低圧タービン45a,45b,45cの内部効率ηHP、ηLP、RFPタービン54の内部効率ηRFPTの基準値としては、設計値を用いることができる。
この際、プラント状態最適化手段24は、要求精度を満足する確率分布を得るために十分な給水の流量等の各計算値が得られていない場合には、最適化できないと判定し、各計算値の基準値との偏差がより小さくなるように給水復水流量設定手段13に給水の再設定依頼を与える。
給水の流量等の各計算値が十分に得られているか否かの判定方法は任意であるが、具体例としては、確率分布の要求精度をεとして設定し、各偏差の確率分布上の各データ幅が要求精度εより大きいか否かで判定することができる。
このため、ステップS1からステップS31までの処理が繰り返し実行され、最終的に給水の流量等の各計算値とそれぞれの基準値との偏差が求められて、確率分布が得られる。
第10図は、最適化計算における確率分布の一例を示す図である。
第10A図は、復水流量の確率分布、第10B図は、給水流量の確率分布、第10C図は、低圧タービン45a,45b,45cの内部効率ηLPの確率分布をそれぞれ示す。各図において横軸は、各データの偏差を示し、縦軸は確率を示す。
第10図に示すように、統計的に各確率分布を正規分布もしくは正規分布を積分して得られる確率分布と仮定し、さらに各確率を乗じて得られた全体の確率が最大となるときの各計算値を最適化された各計算値とすることができる。
そして、プラント状態最適化手段24は、最適化された給水の流量等の各計算値を求めると、最適化計算が完了したと判定し、高圧タービン44と低圧タービン45a,45b,45cの内部効率ηHP、ηLPの最適化後の計算値を性能低下要因機器特定手段25に与える。
次に、ステップS32において、性能低下要因機器特定手段25は、プラント状態最適化手段24から受けた高圧タービン44の内部効率ηHPおよび低圧タービン45a,45b,45cの内部効率ηLPの計算値と設計値との差を計算し、計算値と設計値との差と予め設定された寄与度との積がより大きい方の構成要素を原子力発電プラント26の性能低下要因となる機器として特定する。
すなわち、性能低下要因機器特定手段25は、高圧タービン44の内部効率ηHPの計算値と設計値との差である内部効率劣化量と低圧タービン45a,45b,45cの内部効率ηLPの計算値と設計値との差である内部効率劣化量に、原子力発電プラント26の効率に対する高圧タービン44と低圧タービン45a,45b,45cのそれぞれの影響の度合いを数値化した寄与度を乗じる。
次に、性能低下要因機器特定手段25は、高圧タービン44の内部効率劣化量と寄与度との積および低圧タービン45a,45b,45cの内部効率劣化量と寄与度との積を比較していずれの値のほうが大きいかを判定する。さらに、性能低下要因機器特定手段25は、判定した結果をモニタ等の出力手段12に出力させる。
尚、高圧タービン44、低圧タービン45a,45b,45c以外の原子力発電プラント26の構成要素を性能低下要因機器の特定の対象に含めることもできる。例えば、加熱器51a,51b,51c,51d,51e,51f、RFPタービン54、原子炉給水ポンプ52、復水器49の寄与度を設定する。さらに、別途計算された加熱器51a,51b,51c,51d,51e,51f、RFPタービン54、原子炉給水ポンプ52、復水器49の性能計算値あるいは内部効率の計算値を入力する。そして、加熱器51a,51b,51c,51d,51e,51f、RFPタービン54、原子炉給水ポンプ52、復水器49の性能設計値と性能計算値または設計内部効率と内部効率の計算値との差である性能劣化量と寄与度との積を求めて高圧タービン44や低圧タービン45a,45b,45cにおける性能劣化量と比較することができる。
尚、内部効率劣化量や性能劣化量は、設計値に限らず性能試験値等の基準となるデータと計算値との差としてもよい。
以上の原子力発電プラント熱効率診断システム10によれば、原子力発電プラント26における高圧タービン44と低圧タービン45a,45b,45cの内部効率ηHP、ηLPをそれぞれについて個別に精度よく計算して、性能診断を行うことができる。このため、原子力発電プラント熱効率診断システム10によれば、原子力発電プラント26に対して最適状態評価法の適用が可能となり、原子力発電プラント26の性能低下の要因となる機器を特定することができる。この結果、原子力発電プラント26の性能低下の要因が高圧タービン44であるか低圧タービン45a,45b,45cであるかを判定し、原子力発電プラント26のエネルギ効率の向上に役立てることができる。
特に軸トルクセンサ27により高圧タービン44ないし低圧タービン45a,45b,45cの出力を計測して、高圧タービン44および低圧タービン45a,45b,45cの出力計算値WHPcal、WLPcalを補正するため、高圧タービン44と低圧タービン45a,45b,45cの内部効率ηHP、ηLPの計算精度を向上させることができる。
実際に原子力発電プラント熱効率診断システ厶10を用いて、各機器の設計値に基づいて高圧タービン44と低圧タービン45a,45b,45cの内部効率ηHP、ηLPを計算によって求めたところ、高圧タービン44の内部効率ηHPについては0.11%の精度で、低圧タービン45a,45b,45cの内部効率ηLPについては0.05%の精度で得られることが確認された。
尚、原子力発電プラント熱効率診断システム10において、軸トルクセンサ27を高圧タービン44のみならず各低圧タービン45a,45b,45cに設けてもよい。低圧タービン45a,45b,45cごとに軸トルクセンサ27を設けた場合には、低圧タービン45a,45b,45cごとにそれぞれ出力計算値WLPcalを得る一方、軸トルクを出力計測値として得ることができる。
また、低圧タービン45a,45b,45cの内部効率ηLPを求めた後に高圧タービン44の内部効率ηHPを求めるように構成してもよい。
さらに、復水、給水、蒸気、ドレン、抽気の温度、圧力、流速等のデータは、熱収支計算で求めてもよくプラントデータ計測系30で計測してもよい。
また、軸トルクセンサ27、復水給水センサ、発電機出力センサ29およびプラントデータ計測系30の一部あるいは全部を原子力発電プラント熱効率診断システム10の構成要素としてもよい。
一方、原子力発電プラント熱効率診断システム10の構成要素の一部を省いてもよい。例えば、プラント状態最適化手段24を設けずに、計算で求めた高圧タービン44と低圧タービン45a,45b,45cの内部効率ηHP、ηLPを最適化せずにそのまま性能低下要因機器特定手段25に与えるように構成してもよい。
また、高圧タービン44の出力基準値の設定方法として高圧タービン44の出力計測値を用いたが、軸トルクセンサ27の精度が例えば1%程度以上であり、高圧タービン44の出力計測値が十分な精度で得られない場合には、設計値に基づく値を用いてもよい。この場合、プラント状態最適化手段24は、高圧タービン出力計算手段15から高圧タービン44の出力計算値WHPcalを、低圧タービン出力計算手段21から低圧タービン5a,45b,45cの出力計算値WLPcalをそれぞれ受けて、高圧タービン44および低圧タービン5a,45b,45cの出力計測値を基準値として最適化計算の対象に含める。
そして、プラント状態最適化手段24は、高圧タービン44の出力計算値が最適化できないと判定した場合には、高圧タービン出力計算手段15に高圧タービン44の出口72における蒸気の乾き度の補正要求を与える一方、低圧タービン45a,45b,45cの出力計算値が最適化できないと判定した場合には、低圧タービン出力計算手段21にh−s線図の基準膨張線の補正要求を与える。
また、原子力発電プラント熱効率診断システ厶10は、第2図に示す構成のBWR(沸騰水型原子炉:Boiling Water Reactor)に限らず、各種計測センサにより所要のデータを取得してエネルギ計算が可能であれば、他の構成のBWRやPWR(加圧水型原子炉:Pressurized water reactor)等の種々の原子力発電プラント26に適用させることができる。
このため、高圧タービン44にも低圧タービン45と同様に、第7図に示すようなドレンキャッチャ87が設けられる原子力発電プラントを対象とする場合には、高圧タービン出力計算手段15および高圧タービン内部効率計算手段17に低圧タービン出力計算手段21および低圧タービン内部効率計算手段23と同様な機能を設けてもよい。
さらに、原子力発電プラント熱効率診断システム10において、低圧タービン45a,45b,45cの出力を計算する際、ドレンキャッチャ87における熱量の変化を考慮したが、要求精度が満足できればドレンキャッチャ87を考慮せずに、低圧タービン45a,45b,45cの出力を計算してもよい。さらに低圧タービン45a,45b,45c全体の内部効率ηLPは、式(24)以外の式で定義してもよい。
例えば、低圧タービン45a,45b,45cの抽気口が第1の抽気口および第2の抽気口の2箇所であり、ドレンキャッチャ87における熱量の変化を考慮しない場合には、低圧タービン45a,45b,45cの出力WLPは式(25)で表される。
Figure 0004108097
但し、
ΔhLP1ad:低圧タービン断熱熱落差(入口−第1抽気口間)
ΔhLP2ad:低圧タービン断熱熱落差(第1抽気口−第2抽気口間)
ΔhLP3ad:低圧タービン断熱熱落差(第2抽気口−出口間)
LP:低圧タービン入口の蒸気流量
EXT1:第1抽気口における抽気の流量
EXT2:第2抽気口における抽気の流量
ηLP:低圧タービン内部効率
である。
低圧タービン45a,45b,45cの出力WLPは、低圧タービン断熱熱落差ΔhLP1ad、ΔhLP2ad、ΔhLP3adと蒸気の流量との積に蒸気のエントロピ変化に消費されるエネルギ損失分を考慮して低圧タービン内部効率ηLPを乗じて補正した値である。
すなわち、低圧タービン45a,45b,45cの内部を2つの抽気口で3つの領域に分けて低圧タービン45a,45b,45cの出力WLPを計算している。すなわち、式(25)において第1項は、低圧タービン45a,45b,45cの入口と第1抽気口との間における低圧タービン断熱熱落差ΔhLP1adと低圧タービン入口蒸気流量GLPとの積で表される蒸気の比エンタルピ変化に低圧タービン内部効率ηLPを乗じた値である。換言すれば、低圧タービン45a,45b,45cの入口から第1抽気口までの間における蒸気の仕事量である。
さらに、低圧タービン45a,45b,45cの第1抽気口において、蒸気の一部が抽気とされるため、低圧タービン45a,45b,45cの第1抽気口から第2抽気口までの間の蒸気の流量は、低圧タービン入口蒸気流量GLPから第1抽気口における抽気量GEXT1を減じた値となる。このため、式(25)の第2項に示すように、低圧タービン45a,45b,45cの第1抽気口から第2抽気口までの間における蒸気の仕事量は、低圧タービン45a,45b,45cの第1抽気口と第2抽気口との間における低圧タービン断熱熱落差ΔhLP2adと第1抽気口から第2抽気口までの間の蒸気の流量GLP−GEXT1に低圧タービン内部効率ηLPを乗じた値となる。
同様に、低圧タービン45a,45b,45cの第2抽気口において、蒸気の一部が抽気とされるため、低圧タービン45a,45b,45cの第2抽気口から出口までの間の蒸気の流量は、低圧タービン入口蒸気流量GLPから第1抽気口および第2抽気口における抽気量GEXT1、GEXT2を減じた値となる。このため、式(25)の第3項に示すように、低圧タービン45a,45b,45cの第2抽気口から出口までの間における蒸気の仕事量は、低圧タービン45a,45b,45cの第2抽気口と出口との間における低圧タービン断熱熱落差ΔhLP3adと第2抽気口から出口までの間の蒸気の流量GLP−GEXT1−GEXT2に低圧タービン内部効率ηLPを乗じた値となる。
式(25)から低圧タービン内部効率ηLPは式(26)で表される。
Figure 0004108097
尚、低圧タービン内部効率計算手段23により式(26)により低圧タービン45a,45b,45cの内部効率ηLPを計算した場合における計算精度は、式(26)から導かれた誤差伝搬式(27)で求めることができる。
Figure 0004108097
ここで、式(27)に仮定条件を代入して低圧タービン45a,45b,45cの内部効率ηLPの精度を計算した結果を式(28)に示す。
Figure 0004108097
本発明に係る原子力発電プラント熱効率診断システム、原子力発電プラント熱効率診断プログラ厶および原子力発電プラント熱効率診断方法においては、原子力発電プラントの熱効率を診断することにより、電力出力の低下の原因となる構成要素を特定することができる。

Claims (11)

  1. 原子力発電プラントにおける給水および復水の少なくとも一方の流量を仮設定する給水復水流量設定手段と、前記給水復水流量設定手段により仮設定された給水および復水の少なくとも一方の流量に基いて、前記原子力発電プラントの復水給水管上に設けられた加熱器における給水および復水の熱交換量を計算する加熱器熱収支計算手段と、前記原子力発電プラントの高圧タービンの出口における乾き度を仮定するとともに、前記加熱器熱収支計算手段により求められた給水あるいは復水の熱交換量を用いて熱収支計算を行うことにより前記高圧タービンの出力計算値を求める高圧タービン出力計算手段と、前記高圧タービンの出力計算値が前記高圧タービンの出力基準値に基づいて設定された閾値内にない場合には、前記高圧タービン出力計算手段に前記高圧タービンの出口における乾き度を補正させて前記高圧タービンの出力を再計算させる高圧タービン出力補正手段と、前記高圧タービンの出力計算値に基いて前記高圧タービンの内部効率を計算する高圧タービン内部効率計算手段と、前記原子力発電プラントの低圧タービンの入口における蒸気の条件を設定する低圧タービン入口蒸気条件設定手段と、前記低圧タービン入口蒸気条件設定手段により設定された前記低圧タービンの入口における蒸気の条件に基づいて前記低圧タービンの基準膨張線を仮定するとともに、仮定した前記低圧タービンの基準膨張線と前記加熱器熱収支計算手段により求められた給水あるいは復水の熱交換量とを用いて熱収支計算を行うことにより前記低圧タービンの出力計算値を求める低圧タービン出力計算手段と、前記低圧タービンの出力計算値が前記低圧タービンの出力基準値に基づいて設定された閾値内にない場合には、前記低圧タービン出力計算手段に前記低圧タービンの基準膨張線を補正させて前記低圧タービンの出力を再計算させる低圧タービン出力補正手段と、前記低圧タービンの出力計算値に基いて前記低圧タービンの内部効率を計算する低圧タービン内部効率計算手段と、前記高圧タービン内部効率計算手段および前記低圧タービン内部効率計算手段によりそれぞれ計算された前記高圧タービンおよび前記低圧タービンの内部効率に基いて前記原子力発電プラントの性能低下要因となる構成要素を特定する性能低下要因機器特定手段とを有することを特徴とする原子力発電プラント熱効率診断システム。
  2. 前記高圧タービン出力補正手段は、前記高圧タービンの出力基準値として前記高圧タービンの出力計測値を用いるように構成される一方、前記低圧タービン出力補正手段は、前記低圧タービンの出力基準値として前記低圧タービンの出力計測値を用いるように構成されることを特徴とする請求の範囲1記載の原子力発電プラント熱効率診断システム。
  3. 前記高圧タービンおよび前記低圧タービンの少なくとも一方の軸トルクを計測する軸トルクセンサを設け、前記高圧タービン出力補正手段は前記高圧タービンの出力基準値として前記軸トルクセンサにより計測された前記高圧タービンの軸トルク計測値を用いるように構成される一方、前記低圧タービン出力補正手段は、前記低圧タービンの出力基準値として前記軸トルクセンサにより計測された前記低圧タービンの軸トルク計測値を用いるように構成されることを特徴とする請求の範囲1記載の原子力発電プラント熱効率診断システム。
  4. 前記高圧タービン内部効率計算手段および前記低圧タービン内部効率計算手段によりそれぞれ計算された前記高圧タービンおよび前記低圧タービンの内部効率並びに給水および復水の流量の計算値とそれぞれの基準値とに基づいて前記高圧タービンおよび前記低圧タービンの内部効率並びに給水および復水の流量の計算値が最適化されているか否かを判定し、最適化されていないと判定した場合には、前記給水復水流量設定手段に給水あるいは復水の流量を再仮設定させるプラント状態最適化手段を有することを特徴とする請求の範囲1記載の原子力発電プラント熱効率診断システム。
  5. 前記高圧タービン内部効率計算手段および前記低圧タービン内部効率計算手段によりそれぞれ計算された前記高圧タービンおよび前記低圧タービンの内部効率、給水および復水の流量の計算値並びに原子炉における蒸気の受熱量の計算値とそれぞれの基準値とに基づいて前記高圧タービンおよび前記低圧タービンの内部効率、給水および復水の流量の計算値並びに前記原子炉における蒸気の受熱量の計算値がそれぞれ最適化されているか否かを判定し、最適化されていないと判定した場合には、前記給水復水流量設定手段に給水あるいは復水の流量を再仮設定させるプラント状態最適化手段を有することを特徴とする請求の範囲1記載の原子力発電プラント熱効率診断システム。
  6. 前記高圧タービン内部効率計算手段および前記低圧タービン内部効率計算手段によりそれぞれ計算された前記高圧タービンおよび前記低圧タービンの内部効率、給水および復水の流量の計算値並びに原子炉給水ポンブを駆動させるためのタービンの内部効率とそれぞれの基準値とに基づいて前記高圧タービンおよび前記低圧タービンの内部効率、給水および復水の流量の計算値並びに前記原子炉給水ポンプを駆動させるためのタービンの内部効率がそれぞれ最適化されているか否かを判定し、最適化されていないと判定した場合には、前記給水復水流量設定手段に給水あるいは復水の流量を再仮設定させるプラント状態最適化手段を有することを特徴とする請求の範囲1記載の原子力発電プラント熱効率診断システム。
  7. 前記低圧タービン出力計算手段は、前記低圧タービンに設けられたドレンキャッチャにおけるドレンキャッチ量を用いて前記低圧タービンの出力を計算するように構成したことを特徴とする請求の範囲1記載の原子力発電プラント熱効率診断システム。
  8. 前記高圧タービン出力計算手段は、前記高圧タービンの基準膨張線を仮定するとともに、前記高圧タービンに設けられたドレンキャッチャにおけるドレンキャッチ量を用いて、前記高圧タービンの基準膨張線と前記加熱器熱収支計算手段により求められた給水あるいは復水の熱交換量とを用いて熱収支計算を行うことにより前記高圧タービンの出力計算値を求めるように構成したことを特徴とする請求の範囲1記載の原子力発電プラント熱効率診断システム。
  9. 前記高圧タービン内部効率計算手段および前記低圧タービン内部効率計算手段によりそれぞれ計算された前記高圧タービンおよび前記低圧タービンの内部効率並びに給水および復水の流量の各計算値とそれぞれの基準値との偏差が最小となるように正規分布もしくは正規分布を積分して得られる確率分布を利用して統計的に前記各計算値の最適化計算を実行するプラント状態最適化手段を有することを特徴とする請求の範囲1記載の原子力発電プラント熱効率診断システ厶。
  10. 原子力発電プラントにおける給水および復水の少なくとも一方の流量を仮設定するステップと、仮設定された給水および復水の少なくとも一方の流量に基いて、前記原子力発電プラントの復水給水管上に設けられた加熱器における給水および復水の熱交換量を計算するステップと、前記原子力発電プラントの高圧タービンの出口における乾き度を仮定するとともに、求めた給水あるいは復水の熱交換量を用いて熱収支計算を行うことにより前記高圧タービンの出力計算値を求めるステップと、前記高圧タービンの出力計算値が前記高圧タービンの出力基準値に基づいて設定された閾値内にない場合には、前記高圧タービンの出口における乾き度を補正して前記高圧タービンの出力を再計算するステップと、前記高圧タービンの出力計算値に基いて前記高圧タービンの内部効率を計算するステップと、前記原子力発電プラントの低圧タービンの入口における蒸気の条件を設定するステップと、設定した前記低圧タービンの入口における蒸気の条件に基づいて前記低圧タービンの基準膨張線を仮定するとともに、仮定した前記低圧タービンの基準膨張線と求めた給水あるいは復水の熱交換量とを用いて熱収支計算を行うことにより前記低圧タービンの出力計算値を求めるステップと、前記低圧タービンの出力計算値が前記低圧タービンの出力基準値に基づいて設定された閾値内にない場合には、前記低圧タービンの基準膨張線を補正して前記低圧タービンの出力を再計算するステップと、前記低圧タービンの出力計算値に基いて前記低圧タービンの内部効率を計算するステップと、前記高圧タービンおよび前記低圧タービンの内部効率に基いて前記原子力発電プラントの性能低下要因となる構成要素を特定するステップとを有することを特徴とする原子力発電プラント熱効率診断方法。
  11. コンピュータを、原子力発電プラントにおける給水および復水の少なくとも一方の流量を仮設定する給水復水流量設定手段、前記給水復水流量設定手段により仮設定された給水および復水の少なくとも一方の流量に基いて、前記原子力発電プラントの復水給水管上に設けられた加熱器における給水および復水の熱交換量を計算する加熱器熱収支計算手段、前記原子力発電プラントの高圧タービンの出口における乾き度を仮定するとともに、前記加熱器熱収支計算手段により求められた給水あるいは復水の熱交換量を用いて熱収支計算を行うことにより前記高圧タービンの出力計算値を求める高圧タービン出力計算手段、前記高圧タービンの出力計算値が前記高圧タービンの出力基準値に基づいて設定された閾値内にない場合には、前記高圧タービン出力計算手段に前記高圧タービンの出口における乾き度を補正させて前記高圧タービンの出力を再計算させる高圧タービン出力補正手段、前記高圧タービンの出力計算値に基いて前記高圧タービンの内部効率を計算する高圧タービン内部効率計算手段、前記原子力発電プラントの低圧タービンの入口における蒸気の条件を設定する低圧タービン入口蒸気条件設定手段、前記低圧タービン入口蒸気条件設定手段により設定された前記低圧タービンの入口における蒸気の条件に基づいて前記低圧タービンの基準膨張線を仮定するとともに、仮定した前記低圧タービンの基準膨張線と前記加熱器熱収支計算手段により求められた給水あるいは復水の熱交換量とを用いて熱収支計算を行うことにより前記低圧タービンの出力計算値を求める低圧タービン出力計算手段、前記低圧タービンの出力計算値が前記低圧タービンの出力基準値に基づいて設定された閾値内にない場合には、前記低圧タービン出力計算手段に前記低圧タービンの基準膨張線を補正させて前記低圧タービンの出力を再計算させる低圧タービン出力補正手段、前記低圧タービンの出力計算値に基いて前記低圧タービンの内部効率を計算する低圧タービン内部効率計算手段並びに前記高圧タービン内部効率計算手段および前記低圧タービン内部効率計算手段によりそれぞれ計算された前記高圧タービンおよび前記低圧タービンの内部効率に基いて前記原子力発電プラントの性能低下要因となる構成要素を特定する性能低下要因機器特定手段として機能させることを特徴とする原子力発電プラント熱効率診断プログラム。
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