JP6608776B2 - プラスチック混合破砕物の湿式選別装置 - Google Patents
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Description
それを実現する技術として、例えば、比重1の水を基準とした比重差を利用し、水中でプラスチック混合破砕物を水より軽いプラスチック片(軽比重物)と、水より重いプラスチック片(重比重物)とに選別する湿式選別装置が知られている。具体的には、多くのプラスチックが比重0.8〜1.1程度であるにもかかわらず、ポリ塩化ビニル(PVC)の比重は1.4程度と大きくなっている。
しかしながら、プラスチック片の表面には無数の傷、空洞および細毛が存在し、これらを原因としてプラスチック片の表面には気泡や汚れが付着し易く、また、円筒形のチューブ状のプラスチック片では内部に空気を内包するものもある。この気泡や汚れが付着した重比重物、空気を内包した重比重物は、水中での見かけの比重が1未満となり、水面に浮遊した軽比重物の中にこの重比重物が多量に混入する場合があった。その結果、プラスチック混合破砕物の湿式選別が効率的でなく、かつ選別の精度も低下していた。
一方、水面に浮遊する軽比重物と見かけ軽比重物とは、スクリュー軸と同期回転する撹拌板によって周期的に水中に押し込められる。その結果、見かけ軽比重物から気泡や汚れが除去されて表面の濡れ性が高まることにより、本来の重比重物として貯留部の水面下へ沈降し、上述したようにスクリューコンベアにより排出口へ移動する。
これにより、気泡や汚れの付着の影響によって見かけの比重が1未満となる重比重物の発生量が低下し、その結果、プラスチック混合破砕物の湿式選別の効率および精度がそれぞれ高まる。
このスクリュー軸は低速回転することから、撹拌板も低速でしか回転せず、その結果、気泡や汚れの付着の除去が不十分となり、回収された軽比重物にはまだ多くの重比重物が混ざっていた。このことから、従来装置は、プラスチック混合破砕物を水中で分別するのに十分な選別能力を有しているとは言えなかった。
その後、気泡、汚れ、内包空気が除去されて濡れ性が高まったプラスチック混合破砕物は、本体筒の他端部(本体筒が槽内で鉛直または鉛直から所定角度だけ傾斜して設置された場合の下部)に設けられた比重分離領域において、所定比重の選別液を基準として、重比重物と軽比重物とに選別される。このうち、重比重物は本体筒の重比重物排出口から比重分離槽の底部に排出される。また、軽比重物は連通口を通って分枝筒に侵入し、ここを上昇して軽比重排出口から比重分離槽に貯液された選別液の液面付近に排出される。
このように、比重分離槽の原料投入部分に、高速回転する衝撃羽根に接触してプラスチック混合破砕物に衝撃を与える衝撃剥離手段を設けたため、プラスチック混合破砕物、特に水中での見かけの比重が1未満となった重比重物に付着したほとんどの気泡や汚れや内包空気を除去できる。その結果、プラスチック混合破砕物の濡れ性が従来に比べて高まり、効率的かつ高精度に、軽比重物への重比重物の混入を低減することができる。
ここでいう「素材が異なるプラスチック破砕物」とは、比重が異なる異素材のプラスチックをシュレッダー、せん断式破砕機などにより破砕したものをいう。プラスチック混合破砕物の形状は、板片状、塊状、粒状、粉状、チューブ状などである。
プラスチック混合破砕物のサイズは限定されず、例えば粒度20mm以下である。
選別液としては、比重が1の水の他、比重が0.8のエタノール、または小粒子を分散させて比重が1.0を超える擬似重液などを使用することができる。
プラスチック混合破砕物中の重比重物としては、例えば、ポリ塩化ビニル(比重1.4)、ABS樹脂(比重1.3)などが挙げられる。
プラスチック混合破砕物中の軽比重物としては、例えば、ポリエチレン(比重0.95)、ポリプロピレン(比重0.9)などが挙げられる。
衝撃剥離筒の素材としては、例えば、錆びにくくかつ強度が高いステンレスなどを採用することができる。
本体筒は、その内部空間の一端部(鉛直または略鉛直の配置では上部)が衝撃羽根の収納領域で、その内部空間の他端部(同じく下部)が、プラスチック混合破砕物の比重分離領域となっている。本体筒の原料投入口(上側開口)は、液面より上方に配置される。
本体筒の内径は、プラスチック混合破砕物の処理量により適宜変更される。例えば150〜250mmである。
プラスチック混合破砕物の比重分離領域は、本体筒の内部空間の他端部(下部)に配置される。あらかじめ本体筒の上部空間で、衝撃剥離手段によって表面から気泡や汚れが、また内包する空気が除去されたプラスチック混合破砕物が、比重分離領域において重比重物と軽比重物とに選別される。
重比重物排出口の形状、サイズ(本体筒の下端面に占める割合)は任意である。例えば、本体筒の下端面の全域に重比重物排出口を形成しても、その一部のみに形成してもよい。
分枝筒の内径は、プラスチック混合破砕物の処理量により適宜変更される。例えば150〜250mmである。
分枝筒の連通口は、本体筒の他端部(下部)の周側壁の一部において比重分離領域と連通している。この連通口は、本体筒のうち、上下複数段の衝撃羽根(衝撃羽根ユニット)の下端部と対峙する高さ位置またはこれより下方位置に形成した方が好ましい。これは、液面下に引き込まれた軽比重物を比重分離領域に滞留させることなく、比重分離領域から分枝筒へ速やかに移送させることができるからである。
軽比重物排出口を分枝筒の上端面の一部に形成した場合、その好ましい形成位置は、軽比重物排出口の下辺が、選別液の液面より10mm程度下方となる位置が好ましい。軽比重物排出口が液面上では、分枝筒の内部空間に軽比重物が滞留するおそれがある。
衝撃羽根の素材は任意である。例えば、ステンレスなどを採用することができる。
衝撃羽根の形状は任意である。例えば、プラスチック混合破砕物に接触し易いように、短冊状の平形または十字形などを採用することができる。その他、V字形またはU字形でもよい。
衝撃羽根の先端は、直角カット面でも、R面取り面でも、丸面取り面でも、先端部の上面側が傾斜カットされた上斜切面でもよい。ただし、衝撃羽根の先端部の下側が斜めにカット(面取り)された状態の斜切面は好ましくない。その理由は、衝撃羽根の高速回転時に下向きの渦流が発生し、プラスチック混合破砕物と衝撃羽根との接触機会を減少させるおそれがあるためである。
衝撃羽根の幅は、高速回転する衝撃羽根の強度を確保できる10〜50mm、好ましくは20〜30mmである。
衝撃羽根の好ましい取り付け角度は、−0.5°〜0.5°である。この範囲であれば、下方に向かって押し込む水流が過大とならず、また、衝撃を与える機会が増えるというさらに好適な効果が得られる。さらに好ましくは0°である。
衝撃羽根の厚さは0.5〜10mmである。この範囲であれば、衝撃羽根の強度が十分に確保され、かつ衝撃羽根の高速回転時に作用する選別液の抵抗を原因とした回転軸の振動も発生しにくい。なお、衝撃羽根の好ましい厚さは2〜5mmである。
衝撃羽根が複数枚の場合、隣接する衝撃羽根の間隔は任意である。例えば、プラスチック混合破砕物の粒度が20mm以下の場合には、5〜30mmである。この範囲であれば、衝撃羽根の間にプラスチック混合破砕物が詰まりにくい。なお、衝撃羽根同士の好ましい間隔は、10〜20mmである。
衝撃羽根(回転軸)の回転速度は、衝突したプラスチック混合破砕物に対して、表面に付着した気泡や汚れを除去可能な衝撃力を与えることができれば任意である。
衝撃羽根の本体筒内での収納高さは任意である。ただし、衝撃羽根が複数の場合には、衝撃羽根の高速回転により発生した渦の液面が、最上段の衝撃羽根の高さを下回らない方が好ましい。具体的には、水面下10〜50mmに最上段の衝撃羽根が配置される高さとした方がよい。仮に、この渦が最上段の衝撃羽根を下回れば、液面上の空気が渦流に多量に巻き込まれて気泡が多量に発生し、それがプラスチック混合破砕物の表面に付着するおそれがある。
回転軸の直径は任意である。例えば10〜30mmでもよい。
本体筒の内部空間における回転軸の位置は任意である。ただし、本体筒の中心軸上とした方が好ましい。これは、回転する衝撃羽根の先端と、本体筒の内周面との間隔(隙間)が、本体筒の全周にわたって安定するためである。
アクチュエータの種類は限定されない。例えば、電動モータ、油圧モータなどを採用することができる。アクチュエータは、本体筒の上方に配置した方が好ましい。
さらに、分枝筒の上端面のうち、その本体筒側の端部に、分枝筒の半径方向の長さが10〜30mmの軽比重物の排出口を形成したため、軽比重物の排出口からの選別液の過剰な流出を抑制し、分枝筒の内部空間における、プラスチック混合破砕物の表面に付着した気泡や汚れの衝撃剥離を促進させることができる。
また、50mmを超えれば、重比重物排出口に過剰な水流が発生し、本体筒の内部で選別のために必要な滞留時間を確保できないという不都合が生じる。重比重物排出口の好ましい幅は20〜40mmである。この範囲であれば、重比重物排出口の詰まりが発生しにくく、また、過剰な水流がより発生しにくいというさらに好適な効果が得られる。
プラスチック混合破砕物が粒度20mm以下の場合において、軽比重排出口の分枝筒の半径方向の長さ(幅)が10mm未満では、プラスチック混合破砕物による軽比重物排出口の詰まりが発生するという不都合が生じる。また、40mmを超えれば、軽比重物排出口に過剰な水流が発生し、本体筒の内部で選別に必要な滞留時間を確保できないという不都合が生じる。軽比重物排出口の好ましい幅は20〜30mmである。この範囲であれば、前記した軽比重物排出口での詰まりが発生しにくく、また、過剰な水流も発生しにくいというさらに好適な効果が得られる。
なお、本体筒の下端面の連通口とは反対側の端部に傾斜面部を設けることができ、これにより、重比重物が滞留することなく排出されるという効果が得られる。
傾斜面部の内面の傾斜角度は、プラスチック混合破砕物が滞留しない角度であれば任意である。好ましくは30°〜50°である。30°未満ではプラスチック混合破砕物が滞留しやすくなる。また、50°を超えれば、本体筒の長さが長くなるため設備コストが高くなるという不都合が生じる。
さらに、衝撃羽根の回転速度を250〜650rpmとしたため、液面上の空気を選別液の渦流中に巻き込むことなく、高速回転中の衝撃羽根をプラスチック混合破砕物に接触させて、プラスチック混合破砕物に付着した気泡や汚れ、チューブに内包する空気を除去することができる。
さらに、衝撃羽根の回転速度が250rpm未満では、回転速度が低すぎるため、プラスチック混合破砕物と衝撃羽根との接触機会および衝撃力が減少し、プラスチック混合破砕物の表面に付着した気泡、汚れさらに内包空気を十分に除去できない。650rpmを超えれば、プラスチック混合破砕物と衝撃羽根との接触機会および衝撃力増加するものの、選別液中に例えば空気の巻き込みが発生し、これがプラスチック混合破砕物の表面に新たに付着してしまうとともに、衝撃剥離筒の内部空間で水流が乱れるため好ましくない。特に、衝撃羽根の好ましい回転速度は350〜500rpmである。この範囲であれば、プラスチック混合破砕物の表面に付着した気泡や汚れを除去し、チューブ状破砕物の内包する空気を排出させるのに必要な接触機会および衝撃力が充分に得られ、又、選別液中への気泡の混入を少なく保てるため、剥離を促進することができるというさらに好適な効果が得られる。
その後、気泡、汚れ、内包空気が除去されて濡れ性が高まったプラスチック混合破砕物は、本体筒の下部に設けられた比重分離領域において、所定比重の選別液を基準として、重比重物と軽比重物とに選別される。このうち、重比重物は本体筒の重比重物排出口から比重分離槽の底部に排出される。また、軽比重物は連通口を通って分枝筒に侵入し、ここを上昇して軽比重排出口から比重分離槽に貯液された選別液の液面付近に排出される。
このように、比重分離槽の原料投入部分に、高速回転する上下複数段の衝撃羽根によってプラスチック混合破砕物に衝撃を与える衝撃剥離手段を設けたため、プラスチック混合破砕物、特に水中での見かけの比重が1未満となった重比重物に付着するほとんどの気泡や汚れ、さらには内包空気を除去することができる。その結果、プラスチック混合破砕物の濡れ性を従来に比べて高められ、効率的かつ高精度に軽比重物への重比重物の混入を低減することができる。
さらに、軽比重物排出口を、分枝筒の上端のうち、その本体筒側の端部に形成し、この軽比重物排出口は、その分枝筒の半径方向の長さを10〜40mmとしたため、軽比重物排出口からの選別液の過剰な流出を抑制し、分枝筒の内部空間における、プラスチック混合破砕物の表面に付着した気泡や汚れの衝撃剥離、さらにチューブ状破砕物からの内包空気の排出を促進させることができる。
なお、加えて、本体筒の他端(下端)に傾斜面部を設けることにより、重比重物を滞留させることがなく排出することができる。
ここでは、各段の衝撃羽根の間隔を5〜30mmとしたため、隣接する衝撃羽根の隙間にプラスチック混合破砕物が詰まりにくく、かつプラスチック混合破砕物への衝撃羽根との接触機会、与える衝撃力を十分に確保することができる。
さらに、衝撃羽根の回転速度を250〜650rpmとしたため、プラスチック混合破砕物と衝撃羽根との接触機会および衝撃力が十分に確保され、これによりプラスチック混合破砕物の表面に付着した気泡や汚れを十分に除去することができる。また、チューブ状破砕物からは内包する空気の排出を促進することができる。
プラスチック混合破砕物12は、自動車シュレッダーダストから得られたもので、例えばワイヤーハーネスの破砕片といったポリ塩化ビニル(比重1.4)を含む重比重物11aと、例えばポリプロピレン(比重0.9)などの破砕片からなる軽比重物11bとを有する。プラスチック混合破砕物12の粒度は20mm以下である。
図1〜図3に示すように、比重分離槽13は、平面視して横長で、かつ側面視して上端部付近から下端に向かって徐々に先細り化した大型の容器である。比重分離槽13の底部には、底部に沈降した重比重物11aを排出するドレン14が連通されている。原料投入部分は、比重分離槽13の一端部(前端部)付近に配置されている。また、比重分離槽13の他端部(後端部)には、この槽内の水位を常時一定高さに保持するオーバーフロー用ドレン15が設けられている。
衝撃剥離手段16は、プラスチック混合破砕物12が投入される円筒状の衝撃剥離筒17と、衝撃剥離筒17の内部空間に配置され、かつ鉛直な回転軸18を中心として水面下で高速回転することにより、水中のプラスチック混合破砕物12に接触してこれに衝撃を与える上下10枚の衝撃羽根19からなる衝撃羽根ユニット20と、回転軸18を回転駆動する電動モータ(アクチュエータ)21とを有している。電動モータ21は容器ハウジングに固定・支持されている。
衝撃剥離筒17は、正面視した外形が大略逆トの字状のステンレス製の筒体である。具体的には、プラスチック混合破砕物12が投入されるその中心軸が鉛直な本体筒23と、本体筒23の下部と連通口24を介して下端面が連通され、かつ比重分離槽13の水面に向かって枝分かれした分枝筒25とを有している。
本体筒23の下端面のうち、連通口24とは反対側の端部には、内面を連通口24へ向けた傾斜面部(傾斜した端板部分)28が形成されている。また、本体筒23の下端面のうち、その連通口24側の端部には、本体筒23の半径方向の長さw1が30mmの重比重物排出口29が形成されている。本体筒23の下端面のその他の部分は、傾斜面部28の下端から水平方向へ延出された水平端板30により塞がれている。
分枝筒25のサイズは長さ300mm、内径200mmである。また、本体筒23の中心軸を基準とした分枝筒25の傾斜角は、分枝筒25の内部空間にプラスチック混合破砕物12の軽比重物11bが滞留しにくい45°である。
衝撃羽根ユニット20を構成する各衝撃羽根19は、ステンレスからなる十字形の薄板で、各先端は平面視して円弧状で、かつ垂直なカット面となっている(図4)。衝撃羽根19は、衝撃羽根19の先端と本体筒23の内周面との隙間dが10mmとなる長さ(直径180mm)で、幅は20mm、厚さは3mm、上下10段の衝撃羽根19の形成ピッチPは20mmである。また、衝撃羽根ユニット20は、その最上段の衝撃羽根19が水面下30mmに配置されている。これは、衝撃羽根ユニット20の高速回転時、仮に渦流の水面が最上段の衝撃羽根19の取り付け位置を下回れば、水面上の空気が渦流に巻き込まれて多量の気泡が発生し、それがプラスチック混合破砕物12の表面に付着するためである。なお、十字形の衝撃羽根19に代えて、短冊状の衝撃羽根19Aを採用してもよい(図5)。
電動モータ21の出力軸(図示せず)は、衝撃羽根19の回転軸18の上端部に連結されている。
所定量の水Wをシュート26に供給しながら、このシュート26を介して、プラスチック混合破砕物12を本体筒23の原料投入口22に連続的に投入する。これにより、水面に達したプラスチック混合破砕物12は、高速回転中の各衝撃羽根19により発生した渦流によって、重比重物11aだけでなく軽比重物11bも含めて液面下に引き込まれる。その途中、高速回転する各衝撃羽根19にプラスチック混合破砕物12が接触し、これに打撃を加えることで、プラスチック混合破砕物12に付着した気泡や汚れが剥離される。また、チューブ状破砕物からは内包する空気が排出される。
その後、重比重物11aは、その大半が本体筒23の重比重物排出口29から比重分離槽13の底部に排出される。このとき、重比重物排出口29は、本体筒23の半径方向の長さが30mmで、かつ本体筒23の下端面のうち、連通口24側の端部に形成されている。そのため、重比重物排出口29からの水Wの過剰な流出を抑制しながら、本体筒23の内部空間における、プラスチック混合破砕物12に付着した気泡や汚れの衝撃剥離を促進させることができる。また、チューブ状破砕物からは内包する空気が排出される。
この後、重比重物11aは沈下するが、軽比重物11bは液面付近に浮かんだ状態で流され排出されることとなる。
このように、比重分離槽13の原料投入部分に、高速回転する上下10枚の衝撃羽根19によってプラスチック混合破砕物12に衝撃を与える衝撃剥離手段16を設けたため、プラスチック混合破砕物12、特に水中での見かけの比重が1未満となった重比重物11aに付着するほとんどの気泡や汚れを除去することができる。また、チューブ状破砕物からは内包する空気が排出される。その結果、プラスチック混合破砕物12の濡れ性が従来に比べて高まり、効率的かつ高精度に軽比重物11bへの重比重物11aの混入を低減することができる。
また、上下10枚の衝撃羽根19の形成ピッチPを20mmとしたため、隣接する衝撃羽根19の隙間にプラスチック混合破砕物12が詰まりにくく、かつプラスチック混合破砕物12への衝撃羽根19との接触機会および与える衝撃力も十分に確保することができる。
さらに、衝撃羽根19の回転速度を500rpmとし、かつ各衝撃羽根19の回転軸18に対する取り付け角度を、水平面を基準として0°とすることで、または、衝撃羽根19の回転方向の長辺側が下方へ傾斜した0.5°としたため、さらに衝撃羽根ユニット20を素通りしにくくなって、プラスチック混合破砕物12と衝撃羽根19との接触機会(および衝撃力)がより以上に増加し、これによりプラスチック混合破砕物12に付着した気泡や汚れをさらに良好に除去することができる。また、チューブ状破砕物からは内包する空気がほぼ完全に排出される。
なお、装置にあって、衝撃羽根の回転軸は液面に垂直ではなく、液面に対して任意の角度で傾斜させて設けることもでき、また例えば液面とほぼ水平に設けることも可能である。この場合は水平に設けた本体筒中で水平流を形成し、一端から原料を吸い込み、筒内で衝撃を与え他端から分枝筒を介して排出することができる。装置構成上の自由度を増すことができる。
図6に示すグラフから明らかなように、衝撃羽根19の回転速度が250〜650rpmの範囲であれば、軽比重物中の重比重物の混入率を1%未満に抑えることができることが判明した。また、回転速度を400〜550rpmの範囲とすることで、この混入率をさらに低い0.6%以下とすることができた。
11a 重比重物(プラスチック破砕物)、
11b 軽比重物(プラスチック破砕物)、
12 プラスチック混合破砕物、
13 比重分離槽、
16 衝撃剥離手段、
17 衝撃剥離筒、
18 回転軸、
19、19A 衝撃羽根、
21 電動モータ(アクチュエータ)、
22 原料投入口、
23 本体筒、
24 連通口、
25 分枝筒、
27 比重分離領域、
28 傾斜面部、
29 重比重物排出口、
31 軽比重物排出口、
W 水(選別液)、
d 隙間、
w1 本体筒の半径方向の長さ、
w2 分枝筒の半径方向の長さ。
Claims (3)
- 素材が異なるプラスチック破砕物が混ざったプラスチック混合破砕物を比重分離槽の原料投入部分に連続投入し、前記比重分離槽に貯液された所定比重の選別液を基準として、前記プラスチック混合破砕物を重比重物と軽比重物とに選別するプラスチック混合破砕物の湿式選別装置であって、
前記比重分離槽の原料投入部分には、前記プラスチック混合破砕物が投入される円筒状の衝撃剥離筒と、該衝撃剥離筒の内部空間に配置され、前記選別液の液面下で高速回転することで、前記プラスチック混合破砕物に接触して衝撃を与える衝撃羽根と、この衝撃羽根を回転駆動するアクチュエータとを有した衝撃剥離手段を設け、
前記衝撃剥離筒は、
前記プラスチック混合破砕物の原料投入口が上部に形成され、下部に前記重比重物が排出される重比重物排出口が形成されるともに、前記衝撃羽根が内部空間の上部に収納されて、該内部空間の下部が前記プラスチック混合破砕物の比重分離領域となった本体筒と、
前記本体筒の下部において、前記比重分離領域と連通する連通口と、
該本体筒の下部と前記連通口を介して下端が連通し、前記選別液の液面に向かう上方傾斜状態で枝分かれするとともに、上端に前記軽比重物が排出される軽比重物排出口が形成された分枝筒とを有したプラスチック混合破砕物の湿式選別装置。 - 前記プラスチック混合破砕物の粒度が20mm以下で、
前記本体筒の他端部のうち、前記連通口側の端部には、前記本体筒の半径方向の長さが10〜50mmの前記重比重物排出口が形成され、
前記分枝筒の上端のうち、前記本体筒側の端部には、前記分枝筒の半径方向の長さが10〜30mmの前記軽比重物排出口が形成された請求項1に記載のプラスチック混合破砕物の湿式選別装置。 - 前記衝撃羽根の回転軸は前記本体筒の中心軸上に配置され、
前記プラスチック混合破砕物の粒度が20mm以下で、
前記衝撃羽根の先端と前記本体筒の内周面との隙間を5〜30mmとし、
前記衝撃羽根の回転速度を250〜650rpmとした請求項1または請求項2に記載のプラスチック混合破砕物の湿式選別装置。
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