図1は、本発明の実施の形態における配送システムの概要を示す図である。
図1において、配送システムは、荷物の「配送元」である配送センター(以下、「センター10」とも称する)から「配送先20(届け先)」まで配送車両が移動することで荷物を配送するシステムである。
このセンター10は、商品を管理する商品管理センター(商品管理元)、商品管理センターにおいて管理する商品のうち購入者が注文した商品の配送手続を行う配送センター(配送元)、その他配送に関する監視を行う監視センター(監視元)等の役割を担う拠点を総称したものであって、「配送拠点」とも称されることがある。
センター10では、電子商取引が可能であるEC(Electronic Commerce)サイトを用いて行われた注文を受け付ける。より詳細には、センター10に設けられた、ECサイトを管理、運営するサーバで注文を受け付ける。
このECサイトは、自宅等に設置したパソコン、タブレット等の電子機器を用いてアクセスできるWeb上の店舗であって、商品の購入希望者は、このECサイトにアクセスすることで簡単に希望する商品を注文(購入)することができ、気軽に買い物ができる。
このECサイトへのアクセスは、液晶ディスプレイを備えた、ネットワーク通信によってWebサイトに接続された自動販売機からも可能である。例えば、従来の自動販売機で飲料を購入するように、液晶ディスプレイに表示された商品を購入することが可能である。
このECサイトを利用した商品の購入に際して、商品の購入希望者は、購入を希望する商品とともにその商品の支払い方法のほか、その商品の配送先20を指定する。
センター10では、商品の購入者から配送先20等が指定された注文を受け付けると、配送車両を用いて管理する商品うちから注文された商品を選別してその商品を配送先20へと配送する処理が行われる。このセンター10において行われる配送に係る工程(配送工程)の詳細を図3を用いて後述する。
センター10から配送先20までは、配送車両によって商品を荷物として配送することとなる。
このときの荷物は、その大きさ(サイズ)、形状、数量や耐衝撃度等に応じて選択された適切な配送ボックス300(「ボックス」、「BOX」、「収納庫」とも称することも可能)に収納(格納)されて配送される。このことから、配送される対象物(配送対象)として、荷物と配送ボックス300とは同義であって、「荷物の配送」と「配送ボックスの配送」とはその意味が異なるものではない。
また、配送する配送車両は、配送ボックス300を積載した小型の配送車両と、その配送車両自体を搭載する大型の配送車両とからなる。
大型の配送車両は、1または複数の小型の配送車両を搭載することができ、「無人自動運転配送母車」、「母車両」、「母車」とも称する。以下では、この大型の配送車両を「母車100」と示し、その詳細を図4を用いて後述する。
これに対して、母車100に搭載可能である小型の配送車両は、荷物を収納した配送ボックス300を積載可能であって、「無人自動運転配送子車」、「子車」とも称する。以下では、この小型の配送車両を「子車200」と示し、その詳細を図5を用いて後述する。
以上のような関係から、配送ボックス300を積載する子車200を搭載する母車100は、配送ボックス300を積載しているとも表現することができる。
センター10では、荷物を収納した配送ボックス300の配送先20に関する情報(「配送情報」)を各配送車両(母車100、子車200)にそれぞれ設定(記憶)する。つまり、単一の配送ボックス300を積載する子車200には、その配送ボックス300の配送先20に関する情報が設定、記憶されていることとなり、また、母車100には、配送ボックス300を積載する子車200の数量だけ、配送先20に関する情報が設定、記憶されていることとなる。
この配送情報は、配送先の住所や氏名のほか、配送ボックス固定具400を識別する「固定具番号」、配送する配送ボックス300を識別する「ボックス識別情報」等が含まれる。
母車100には、自動運転制御機構(自動運転制御部)、配送制御機構(配送制御部)を有しており、相互が連動することで荷物の配送を行うこととなる。
自動運転制御機構は、母車100を所定の位置(地点)まで移動させるために必要な装置を総称したものであって、運転制御装置、記憶装置、エンジン、駆動輪、各種アクチュエータ、モータ(サーボモータ、インホイールモータ)、シリンダー、各種センサー(カメラ(撮像装置)含む)等が該当する。
この記憶装置には、配送先20に関する情報のほか、荷物の配送先までの配送ルートを決定するために用いられる地図情報や母車100の移動経路(移動路、配送路)である道路に関する道路情報を記憶している。これ以外にも、随時更新可能な交通情報をも記憶することが可能である。
また、運転制御装置は、母車100の運転、停止等の移動(運転)はもちろんのこと、狭い場所(路地等)での縦列駐車や方向転換を行うために前後移動だけでなく左右への平行移動、その場での回転、斜め方向への平行移動等を行うことが可能である。
この運転制御装置は、地図情報上の位置を特定(測位)可能なGPS(Global Positioning System)装置をも備える。
母車100では、この運転制御装置により、記憶装置で記憶する各情報(地図情報、道路情報、交通情報等)とGPS装置とを用いて現在位置(現在地)から配送先20までの配送ルート(移動ルート)を検索して記憶し、この配送ルートに基づいて運転(移動)を行うこととなる。もちろん、新たな交通情報、道路情報等をもとに、この配送ルートを適宜、更新(変更)することも可能である。
母車100は、周辺他車や歩行者、動物、落下物、溝、凹凸、センターライン等によって規定された走行車線、信号等を、レーダーやセンサー(レーダー、レーザーセンサー、赤外線センサー、超音波センサー、焦電センサー等)のほか、カメラによる顔認識システムや人体検知システムによって得られる情報をもとに複合的に認識する。これによって、母車100は、道路上のさまざまな危険を回避して配送先またはその近隣まで安全に運転(移動)することが可能となる。
また、配送制御機構は、母車100が配送元のセンター10から自動運転制御機構によって配送ルート上の所定の位置(地点)(以下の「降車地点」、「中継地点」等に該当)までの配送ルート(第1移動経路)を移動することで、母車100が搭載している子車200が降車して出庫する制御を行う。このときの出庫制御は、配送ルート上の所定の位置(「降車地点」、「中継地点」)に対応する配送先に配送する配送ボックス300を積載する子車200を特定し、母車100の扉を開放することでその扉が出庫路となって子車200を出庫させる制御処理である。
つまり、配送元のセンターから配送ルート上の所定の位置(地点)(「降車地点」、「中継地点」)までの第1移動経路は、母車100が子車200を搭載して移動する配送ルートであることから、言い換えれば、子車200は、配送先から中継地点まで母車両とともに(一体不可分な状態で)第1移動経路を移動すると言える。
さらに、配送制御機構は、子車200が配送ボックス300を配送先に配送した後に母車100まで戻ってくる(帰車する)と、その子車200を入庫させる制御を行う。このときの入庫制御は、子車200との相互通信により母車100に対する所定位置(子車200が母車100に入庫するために母車100との関係において指定された位置)まで戻ってくることにより、母車100の扉を開放してその扉が入庫路となって子車200を入庫させて母車100内の所定停車位置に停車させる制御処理である。
この配送制御機構では、さらに、母車100が出庫した子車200との間で相互通信を行うことで子車200の配送状況を管理している。
このほか、母車100は、所定の部位にその周囲を監視することができる監視カメラのほか、マイクやスピーカーを備えている。母車100に緊急事態やトラブルが発生した際には、センター10(特に、監視センター)との相互通信により、監視センターの保守監視員がこの母車100に搭載された監視カメラで周囲の状況を確認して周囲の人と会話をすることが可能であるほか、保守監視員がカメラ等で周囲の状況の安全を確認しながら遠隔操作による運転操作することが可能である。
また、子車200においても、母車100と同様に、自動運転制御機構(自動運転制御部)、配送制御機構(配送制御部)を有しており、相互が連動することで荷物の配送を行うこととなる。但し、子車200の自動運転制御機構は、母車100における自動運転制御機構とは類似するが異なるものであり、子車200の配送制御機構は、母車100における配送制御機構とも異なるものである。
子車200における自動運転制御機構は、母車100から降車した地点(「降車地点」、「中継地点」とも称する)から配送先まで移動させるために必要な装置を総称したものであって、運転制御装置、記憶装置、エンジン、駆動輪、各種アクチュエータ、モータ(サーボモータ、インホイールモータ)、シリンダー、各種センサー(カメラ(撮像装置)含む)等が該当する。
自動運転制御機構によって子車200が、母車100から降車した地点(「降車地点」、「中継地点」とも称する)から配送先までの配送ルート(第2移動経路)を移動する。
つまり、母車100から降車した地点(「降車地点」、「中継地点」)から配送先までの第2移動経路は、子車200が母車100から降車して移動する配送ルートであることから、言い換えれば、子車200は、母車100とは独立して単独で中継地点から配送先まで第2移動経路を移動すると言える。
この子車200の記憶装置には、配送先20に関する情報のほか、荷物の配送先までの配送ルートを決定するために用いられる地図情報や子車200の移動経路(移動路、配送路)である道路に関する道路情報を記憶している。これ以外にも、随時更新可能な交通情報をも記憶することが可能である。
また、子車200の運転制御装置は、狭い場所(路地等)での縦列駐車や方向転換を行うために前後移動だけでなく左右への平行移動、その場での回転、斜め方向への平行移動等を行うことが可能であるほか、階段等の昇降時、坂道等での傾斜時に転倒を防止するバランス制御機能を有している。このバランス制御機能は、子車200と配送ボックス300とに基づく重心位置を逐一検出し、重心位置調整装置(バランサー)を用いてその重心位置を自動調整する機能である。
このバランス制御機能によって、子車200は、障害物への衝突や接触等による横転や転落を最小限に抑止している。
このほか、運転制御装置は、地図情報上の位置を特定(測位)可能なGPS装置をも備える。
子車200では、この運転制御装置により、記憶装置で記憶する各情報(地図情報、道路情報、交通情報等)を用いてGPS装置で特定した現在位置(現在地)から配送先20までの配送ルート(移動ルート)を検索して記憶し、この配送ルートに基づいて運転(移動)することが可能となる。もちろん、新たな交通情報、道路情報等をもとに、この配送ルートを適宜、更新することも可能である。
この子車200においても、母車100と同様、周辺他車や歩行者、動物、落下物、溝、凹凸、センターライン等によって規定された走行車線、信号等を、レーダーやセンサー(レーダー、レーザーセンサー、赤外線センサー、超音波センサー、焦電センサー等)のほか、カメラによる顔認識システムや人体検知システムによって得られる情報をもとに複合的に認識する。これによって、子車200は、道路上のさまざまな危険を回避して配送先またはその近隣まで安全に運転(移動)することが可能となる。
また、子車200の配送制御機構として、子車200には、ロボットアーム(単に、「アーム」とも称する)が備えられており、このアームが、配送時に配送ボックス300が落下しないように保持するとともに、この保持した状態から配送ボックス300を可動させて、各種センサー、光学系デバイス、電磁波センサー等によって配送先に設けられた配送ボックス固定具400の位置を確認した上で、その配送ボックス固定具400に配送ボックス300を固定することで配送を行うものである。
配送ボックス300と配送ボックス固定具400との関係については後述する。
このことから、アームは、配送ボックス300を挟持、拘持または保持することが可能である部材であることから、「挟持部材」または「拘持部材」または「保持部材」のように称することができるほか、配送ボックス300を可動させる部材でもあることから、「可動部材」とも称することができる。
なお、上記では、子車200には配送ボックス300が予め積載されている状態を示しているが、これに限定されることなく、アームが可動することで母車100内の所定位置に配置された配送ボックス300を子車200に積載するようにしてもよい。
このほか、子車200は、所定の位置にその周囲を監視することができる監視カメラ、マイクやスピーカーのほか、緊急停止ボタンを備えている。子車200に緊急事態やトラブルが発生した際には、センター10(特に、監視センター)との相互通信により、監視センターの保守監視員がこの母車100に搭載された監視カメラで周囲の状況を確認して周囲の人と会話をすることが可能であるほか、保守監視員がカメラ等で周囲の状況の安全を確認しながら遠隔操作による運転操作することが可能である。
また、周囲の人が危険を感じた際に緊急停止ボタンを押下すること(または接触すること)により、子車200が走行を停止することが可能であって、上記同様に、子車200に搭載された監視カメラで周囲の状況を確認して周囲の人と会話をすることが可能である。
続いて、以下では、上記に示すような機能を有する母車100、子車200によって配送ボックス300を配送元のセンター10から配送先まで配送する処理の流れを説明する。
子車200を搭載した母車100は、配送先に関する情報を元に、子車200に積載された配送ボックス300を配送する配送先までの配送ルート(移動ルート)を検索する。この検索処理では、母車100が備えるGPS装置と、記憶している地図情報や道路情報等を用いて、その配送ボックス300を配送先まで配送するための配送ルートを検索する。
すなわち、配送する配送ボックス300が複数あれば(配送ボックス300を積載する子車200を複数搭載していれば)、各配送ボックス300の配送先それぞれを考慮した配送ルートが検索されることとなる。母車100は、この検索処理によって検索した配送ルートを記憶する。
図1に示す例では、配送先として「配送先1」、「配送先2」、「配送先3」の3つが指定されている。この場合、配送ルートは、「センター→「配送先1」→「配送先2」→「配送先3」→センター」となる。
但し、配送ルートの一部として、「センター→「配送先1」」が指定されるものの、母車100が移動する移動ルートは、センターから中継地点1(「中継1」と図示)であって、この中継地点1と「配送先1」との間は子車200が移動することで配送することを示している。このときの中継地点1は、配送先に対応する地点であって、配送先に配送する配送ボックス300を積載する子車200を母車100から降車させる地点(降車地点)であるとも称することができる。
なお、子車200においても、母車100と同様に、配送先に関する情報を元に、現在地(降車地点等)から配送先までの配送ルート(移動ルート)を検索するほか、母車100に配送先から戻るまでの戻りルートを検索する。この検索処理では、子車200が備えるGPS装置と、記憶している地図情報や道路情報等を用いて、子車200の現在地(降車地点等)から配送先まで、および、配送先から母車100のいる地点までの配送ルートを検索する。
現在地が、母車100から降車した地点(降車地点、中継地点)であれば、この地点(降車地点、中継地点)から配送先までの配送ルートを検索して記憶し、その後、配送先で配送が完了すると、子車200は、母車100との相互通信により母車100のいる戻り地点までの戻りルートを検索する。すなわち、母車100から降車地点と戻り地点とが同じ(略同じを含む)である場合を示したものである。
続いて、母車100が検索した配送ルートの一部である、「配送先1」→「配送先2」において、母車100が移動する移動ルートは、「配送先1」に対応する「中継地点1」から「配送先2」に対応する「中継地点2」までである。この場合も同様に、中継地点2と「配送先2」との間は子車200が配送ルートを検索して配送することを示している。なお、図1では、「中継地点2」から「配送先2」へと移動した子車200は、母車100から降車した「中継地点2」ではなく、配送先3に対応する「中継地点3」へと戻ることとなる。
すなわち、子車200の移動開始地点と戻り地点とが異なる場合を示したものである。これは、子車200が配送先3へと配送している間に、母車100が「中継地点2」から「配送先3」に対応する「中継地点3」へと移動したことを示し、子車200が母車100との通信によって戻りルートとして、「配送先2→中継地点3」を検索したことを示すものである。
また、同様に、母車100が検索した配送ルートの一部である、「配送先2」→「配送先3」において、母車100が移動する移動ルートは、「配送先2」に対応する「中継地点2」から「配送先3」に対応する「中継地点3」である。この場合も同様に、中継地点3と「配送先3」との間は子車200が移動することで配送することを示している。
そして、母車100が検索した配送ルートの一部である、「「配送先3」→センター」は、母車100が移動するルートである。
以上のような流れによって配送元であるセンターから配送先へと配送ボックス300(荷物)が配送されることとなる。
このときの配送先には、配送ボックス300が固定される固定具(以下、「配送ボックス固定具400」と称する)が設けられている。
この配送ボックス固定具400に固定する配送ボックス300は、配送ボックス固定具400に固定することが可能な1または複数の突起部310(「突起物」とも称する)を有しており、また、配送ボックス固定具400は、配送ボックス300の突起部310を差し込むこと(貫通すること)でその配送ボックス300を掛止する1または複数の穴部410を有している。この突起部310は、円筒部と円錐部との組み合わせによって構成され、その円筒部と円錐部の組み合わせ部分に括れを有している。
この配送ボックス300に設けられた突起部310と、配送ボックス固定具400に設けられた穴部410とは、配送ボックス300を配送ボックス固定具400に固定することができる固定部材である。言い換えれば、配送ボックス300と配送ボックス固定具400とは、突起部310と穴部410とによって係合する関係にあることから、突起部310は、配送ボックス300における係合部(第1係合部)であって、穴部410は、配送ボックス固定具400における係合部(第2係合部)であると言える。よって、第2係合部と第1係合部とを係合させることで配送ボックス300を配送ボックス固定具400に固定することとなる。
また、配送ボックス固定具400は、ロック機構を有しており、穴部410に配送ボックス300の突起部310が差し込まれると、ロック機構により穴部410に突起部310を固定して取り外しができない状態(取り外しが困難な状態をも含む)に制御(ロック制御)することで(抜け止めが効いた状態とすることで)勝手に取り外されたり、盗難にあったりすることの無いようにしている。
このロック機構は、配送ボックス300に設けられた4本の突起部310のうち、2本
の突起部310で支えられており、残りの2本の突起部310は、配送ボックス固定具400に設けられた穴部410の上部円形部に嵌合する突起物としてくびれのない円筒状のピンが配送ボックスから飛び出し配送ボックスが上方に持ち上げられるのを防ぎ固定するように設けられている。
このロック制御された配送ボックス300を配送ボックス固定具400から取り外す(ロック解除)には、子車200が配送ボックス300の記憶装置において記憶されている固有のIDおよびパスワード等を認証することで、この子車200が配送ボックス固定具400に対する配送ボックス300のロックを解除する操作(ロック解除操作)を行う。
このように、子車200のアームの可動により、配送ボックス300が配送ボックス固定具400に固定されると、配送ボックス300の配送が完了した状態となる。
なお、配送ボックス固定具400が設置されていない配送先への配送や、何らかの障害があって設置されている配送ボックス固定具400に子車200が配送ボックス300を固定することができない場合は、事前に登録された受取人の連絡先情報に荷物の到着を報知し、子車200が待機している配送先近隣の所定位置(待機位置)で荷物の受渡しを行うことが可能である。
但し、配送ボックス固定具400に子車200が配送ボックス300を固定することができない場合であって、事前に登録された受取人の連絡先情報に荷物の到着を報知したにもかかわらず、不在などの理由により返信がない場合や何らかの理由により受取が困難または不可能であることが電話またはメール、SNSなどの手段により確認されると、子車200は、母車100に戻って在宅時間を確認の上、再配送を行う。
続いて、配送が完了した後の処理を説明する。
そして、以上に示すような処理によって配送ボックス300の配送が完了すると、子車200は、記憶装置で記憶しているその配送ボックス300の受取人に関する情報に含まれる連絡先情報(メール、各種SNS(Social Networking Service))に荷物の着荷を通知する。
このときの通知される内容として、荷物が配送されたこととともに、配送された荷物を配送ボックス300から取り出すための情報として開錠キーコード(このほか、「開錠情報」、「開錠パスワード」とも称される)がある。
配送ボックス300には、タッチパネル、ボタン、カメラ(撮像装置)等の情報入力部を有しており、後述する開錠キーコードの入力を受付可能である。この情報入力部から正規の開錠キーコードが入力されて認証されると、配送ボックス300は、配送ボックス300の扉を開放可能な状態(開状態)に錠制御を行う。また、扉が開状態に錠制御された状態で荷物が受取人によって取り出されて扉を閉じると、配送ボックス300は、配送ボックス300の扉の開放を制限する状態(閉状態)に錠制御を行う。
荷物の受取人(商品の購入希望者と受取人が同一であれば、購入希望者)が配送ボックス300の情報入力部に所定の情報を入力して配送ボックス300が、その所定の情報が正しい開錠キーコードであると認証すると、この配送ボックス300は、開放可能な状態(開状態)に錠制御を行う。これによって、受取人は、配送ボックス300の扉を開けて
荷物を取り出すことが可能となる。
そして、荷物の取り出し後、配送ボックス300の扉が閉まる(若しくは、受取人により扉が閉められる)と、配送ボックス300は、その扉を施錠することとなるが、再度、正しい開錠キーコードが入力されたと認証することで何回でも開錠が可能である。
以上のような処理によって、配送が完了された荷物の取り出しが可能となる。
そして、配送ボックス300は、センサー等により荷物が取り出されたこと、および、扉が施錠されたことを検知すると、センター10に対してステータス情報を送信する。このとき、センター10は、任意の配送先に荷物を配送している母車100に対して配送ボックス300の回収が可能であるかを問い合わせる「BOX回収問い合わせ通知」を送信する。
この「BOX回収問い合わせ通知」を受信した母車100では、配送ボックス300が搭載可能な子車200(配送ボックス300を搭載していない子車200)があるか否かを判断して、センター10に配送ボックス300の回収が可能であるかを応答する。
その後、センター10から配送ボックス300の回収を指示する「BOX回収指示(回収指示情報)」を受け付けた母車100がその「BOX回収指示」で指定された配送先(この場合、「回収先」と表現される)に関する情報(「回収情報」、「回収先情報」とも称する)をもとに、その回収先までのルートを検索して記憶しておき、そのルートに基づいて移動することで配送ボックス300を回収することとなる。
このときの回収情報には、回収先の住所や氏名のほか、配送ボックス固定具400を識別する「固定具番号」、回収する配送ボックス300を識別する「ボックス識別情報」等が含まれる。
また、配送ボックス300を回収するルートは、既存の配送ボックス300の配送ルートに新たに組み込まれることとなり、これによって、母車100は、新たな配送ルート(配送回収ルート)で配送とともに回収を行うこととなる。もちろん、既存の配送ルートとは別に回収ルートを検索して記憶しておき、配送ルートでの配送ボックス300の配送が完了後に回収ルートに基づいて配送ボックス300を回収することとしてもよいほか、配送ルートでの配送ボックス300の配送前に回収ルートに基づいて配送ボックス300を回収することとしてもよい。
このときの配送ボックス300を回収する回収ルートを既存の配送ルートに組み込んだ新たな「配送回収ルート」で配送ボックス300の配送および回収を行う状態を図2に示し、後述する。
以上のような処理によって、配送されて配送先の配送ボックス固定具400に固定された配送ボックス300の回収が可能となる。
図2は、本発明の実施の形態における配送システムの概要を示す他の図である。
図2は、上記に示すように、図1に示すような配送システムにおける配送ルートに、配送ボックス300を回収する回収ルートを組み込んだ配送回収ルートにおける配送システムを示すものである。
図2に示す配送回収ルートは、図1に示す配送ルートである「センター→「配送先1」→「配送先2」→「配送先3」→センター」に、配送ボックス300の回収先1(「配送済先」とも称することができる)を新たに組み込んだものである。
具体的には、「配送先3」からセンター10に母車100が移動する配送ルートを「配送先3→回収先1→センター」へと変更している。
配送ボックス300の回収を行う母車100は、センター10から「BOX回収指示(回収指示情報)」を受け付けると、その「BOX回収指示(回収指示情報)」に含まれる回収先に関する情報(回収先の住所、ボックスに関する情報(後述する、「ボックス識別情報」、「開錠キーコード」、「サイズ」等))をもとに回収先へと移動することとなる。
この回収先1に対しても各配送先と同様、その回収先1に対する母車100の停止位置である「中継地点4」が設けられており、この「中継地点4」で子車200が降車してその子車200が回収先1まで移動することとなる。このとき回収に向かう子車200は、その荷台に配送ボックス300を積載していない配送車両である。
回収先1において、子車200は、アームを用いて配送ボックス300を荷台に積載する処理が行われる。このとき、子車200は、配送ボックス300の記憶装置で記憶している固有の配送ボックス識別情報(以下、「BOXID」、「BOX識別情報」、「ボックス識別情報」とも称する)や開錠キーコード等を確認(チェック)し、その開錠キーコード等が、「BOX回収指示(回収指示情報)」に含まれる回収先に関する情報の「ボックス識別情報」や「開錠キーコード」と同一であることによって、子車200が配送ボックス固定具400に対する配送ボックス300の固定解除を行って積載して回収することとなる。
このような処理によって、配送ボックス300に収納された荷物を受取人が配送先で直接、受け取らずとも配送を完了することができる。つまり、受取人が不在等で再配達が必要となる回数を格段に減らすことができる。
したがって、本発明に係る配送システムによって、配送に係る費用(コスト)を従来の配送に比べて大幅に低減することが可能になる。
図3は、本発明の実施の形態における配送システムを構成する配送元において行われる処理工程(作業工程)を示す図である。
図3において、センター10は、上記に示すように、商品管理センター(商品管理元)、配送センター(配送元)、監視センター(監視元)等を総称したものである。図3には、このセンター10において行われる「BOX配送工程」、「BOX回収工程」の各作業工程について記載している。
まず、配送ボックス300を配送先20まで配送する「BOX配送工程」について説明する。
この「BOX配送工程」として、商品の注文を受け付ける注文受付工程(A1)がある。注文受付工程は、電子商取引を可能としたEC(Electronic Commerce)サイトを用いて行われた注文を受け付ける工程である。
注文受付工程において、注文を受け付けると、続いて、注文された商品を荷物として配送ボックス300(「BOX」や「収納庫」とも称する)に収納(格納)する収納工程(A2)がある。
この収納工程では、荷物の大きさ(サイズ)、形状、数量や耐衝撃度等に応じて、複数の配送ボックス300から荷物の配送に適切な配送ボックス300を選択し、その選択した配送ボックス300に荷物をパッキングして収納(格納)する。
続いて、収納工程で荷物を収納した配送ボックス300を積載する配送車両である子車200を決定するほか、この子車200を搭載する配送車両である母車100を決定する車両決定工程(A3)がある。なお、この子車200を「第1配送車両」と称し、また、母車100を「第2配送車両」とも称することがある。
この車両決定工程において、配送車両が決定すると、続いて、配送ボックス300、子車200、母車100それぞれの記憶装置に所定の情報を設定する(記憶させる)情報設定工程(A4)がある。
情報設定工程は、第1に、配送ボックス300の記憶装置に、配送ボックス300を積載する子車200を識別する子車識別情報(子車ID)、配送先を指定した配送先情報を少なくとも記憶する。第2に、子車200の記憶装置に、子車200に積載する配送ボックス300を識別する配送ボックス識別情報、認証情報、子車200を搭載する母車100を識別する母車識別情報(母車ID)、配送先を指定した配送先情報を少なくとも記憶する。第3に、母車100の記憶装置に、母車100に搭載する子車200を識別する子車ID、配送先を指定した配送先情報を設定する。
この情報設定工程において、配送ボックス300、子車200、母車100それぞれの記憶装置に情報が設定されると、続いて、配送ボックス300を子車200に積載し、その子車200を母車100に搭載することで発車準備を行う発車準備工程(A5)がある。
発車準備工程において、発車準備が完了すると、続いて、母車100に対して「BOX配送要求」を行って配送指示を行う配送指示工程(A6)がある。
このような工程を経て、母車100は、センターから配送先に向けて出発することとなる。
次に、配送先に配送された配送ボックス300を回収する「BOX回収工程」について説明する。
「BOX回収工程」として、まず、配送ボックス300から荷物を取り出したことを示す「取出完了通知」をセンターで受信した後に、センター10が所定の母車100に対して「BOX回収問い合わせ通知」を送信する問い合わせ工程(B1)がある。
この問い合わせ工程(B1)において、センター10が所定の母車100に対して「BOX回収問い合わせ通知」を送信すると、続いて、この通知を受け取った母車100から、配送ボックス300を積載していない子車200が搭載していることで配送ボックス300の回収が可能であること、若しくは、配送ボックス300を積載していない子車200がなく配送ボックス300の回収が不可能であることを示す「BOX問い合わせ応答通知」を受信する通知受信工程(B2)がある。
なお、このとき母車100は、現在地や残りの配送個数等の、配送ボックス300を回収する母車100をセンター10が決定するために必要な情報を「BOX問い合わせ応答通知」に含めて送信してもよい。
続いて、この通知受信工程(B2)において、各母車100それぞれから「BOX問い合わせ応答通知」を受信すると、各母車100から受信した「BOX問い合わせ応答通知」に基づいて、配送ボックス300を回収する母車100を決定する母車決定工程(B3)がある。
この母車決定工程(B3)では、配送ボックス300を積載していない子車200を搭載する母車100のうち、回収する配送ボックス300が設置された配送先20までの距離や移動経路等を考慮して、配送ボックス300の回収にあたる母車100を決定する。
続いて、この母車決定工程(B3)において、配送ボックス300の回収にあたる母車100を決定すると、その母車100に対して「BOX回収指示」を送信する回収指示工程(B4)がある。
この回収指示工程(B4)において送信された「BOX回収指示」を受信した母車100では、配送ルートに配送ボックス300の回収経路を検索して、配送ボックス300の回収を行うこととなる。
以上に示すような工程を経て、センター10では、配送ボックス300の配送および回収を指示することとなる。
図4は、本発明の実施の形態における母車の構成図を示す図である。
図4の母車100は、道路を運転(走行)する母車駆動輪101、子車200を搭載する収納庫面102、子車200の出入り口となる扉103が示されている。
収納庫面102には、子車200の作業スペース102a(作業面)が設けられており、その作業スペース102aは、次の配送先へ配送する子車200が待機場所であるほか、その子車200の荷台に配送ボックスを積載して配送準備を行う作業場所である。
扉103は、子車200の出入り(入出庫)の際に、入庫路および出庫路として機能する。
図5は、本発明の実施の形態における子車の構成図を示す図である。
図5の子車200は、アーム201、荷台202、子車駆動輪203、通信アンテナ204を具備している。
このアーム201は、関節型のアームであって、第1関節アーム201a、第2関節アーム201bによって構成されており、第1関節アーム201aおよび第2関節アーム201bが連関する動作が行われることによって配送ボックス300を荷台202に保持し、配送ボックス300を配送ボックス固定具400へと固定する。
このアーム201は、上記に示すように、配送ボックス300を荷台202に保持する部材であるほか、この荷台202から配送ボックス固定具400に配送ボックス300を可動させてその配送ボックス固定具400に固定する部材であって、子車200の「配送制御機構(配送制御部)」を実現する。
アーム201は、配送ボックス300を荷台202に積載していないときの初期アーム状態(第1アーム状態)と、配送ボックス300を荷台202に積載して保持している第2アーム状態と、配送ボックス300を配送ボックス固定具400へと固定する際の第3アーム状態とを少なくとも取り得る。
荷台202は、配送ボックス300の底面が着接するようにフラットな状態の台座であって、アーム201は、子車200の揺れ等が生じたとしても配送ボックス300を荷台202に着接して保持した状態を保つ。
子車駆動輪203は、配送ルート(第2移動経路)の移動に関する駆動機構であって、子車200の「自動運転制御機構(自動運転制御部)」を実現する。
通信アンテナ204は、配送ボックス300のほか、母車100やセンター10等と相互通信を行うための通信インターフェースである。
この子車200には、バランス制御機能を有しており、このバランス制御機能は、子車200における重心を管理し、その重心における運動量をそれぞれ一定の値に保つことによって、転倒等を回避する機能である。このときの運動量とは、進行方向、上下左右それぞれに掛かる力量の反力を算出してこの反力を子車200にかけるフィードバック制御等が該当する。
このほか、子車200には、図示しないが、レーダーやセンサー(レーダー、レーザーセンサー、赤外線センサー、超音波センサー、焦電センサー等)のほか、カメラを搭載しており、これらは、配送ルートの移動制御に用いられるほか、配送ボックス固定具400における穴部410の位置確認を行う際に用いられる。
図6〜図9は、本発明の実施の形態における配送システムでの配送態様を示す図である。
図6には、車道、その車道に沿って設けられた歩道、歩道と略垂直に交わる配送先通路、配送先通路から配送先の配送ボックス固定具400までの間に設けられた段差(階段)、この段差を越えたところに配送ボックス300を配送ボックス固定具400に設置するためにアーム201の可動が可能な可動スペースであって配送先ごとに指定された配送先指定位置21、配送先の壁面に設けられた配送ボックス固定具400が示されている。
図6において、母車100は、配送先に対する中継地点(例えば、「中継地点1」)として、車道の端部に停車した状態にあって、この中継地点で降車した子車200は、母車100の扉を出庫路として出庫した後に歩道を横切って配送先通路を移動することとなる。
子車200は、この配送先通路を移動後、段差を乗り越えて配送先指定位置21に到着すると、アーム201を制御することで配送ボックス固定具400の穴部410の位置確認を行って配送ボックス300を固定する。
図7〜図9は、配送先に対する配送先指定位置21において、子車200のアーム201が可動することによって、配送ボックス300を配送ボックス固定具400に固定する様子を示す図である。
この配送先指定位置21は、配送ボックス固定具400の前方位置に設けられており、子車200のアーム201の可動による配送ボックス300の固定作業を行う一定範囲からなる作業領域である。
この配送先指定位置21に子車200が属することとなると(図7を参照)、子車200は、配送ボックス固定具400に設けられた穴部410の位置を確認(位置認識)する。
次に、子車200は、図8に示すように、アーム201の可動制御によって荷台202から配送ボックス300を持ち上げて子車200の前方に可動させる。
そして、子車200は、図9に示すように、配送ボックス300の突起部310を、位置認識した穴部410に差し込むこと(貫通すること)でその配送ボックス300を掛止する。
このとき、図7〜図9に示す配送ボックス固定具400には、4個の穴部410(第1穴部410a、第2穴部410b、第3穴部410c、第4穴部410d)が設けられており、この穴部410それぞれに差し込まれる4個の突起部310(第1突起部310a、第2突起部310b、第3突起部310c、第4突起部310d)を配送ボックス300が有している。
もちろん、複数の穴部410を配送ボックス固定具400が有しているのに対して、配送ボックス300が単一の突起部のみとする構成であってもよく、その反対であってもよい。このほか、突起部310がスプリングなどで配送ボックス300に埋め込むことが可能な機構(凹むことが可能な機構)となっている場合、「穴部410の数量」の数量が「突起部310の数量」以下であってもよい。
つまり、配送ボックス固定具400と配送ボックス300の係合部(突起部310、穴部410)の数量が必ずしも同一である必要はない。
図10は、本発明の実施の形態における配送ボックス300の詳細な構成を示す図である。
図10において、配送ボックス300は、蓋部分301、荷物収納部302、ダンパー303、ヒンジ304を具備して構成されており、蓋部分301と荷物収納部302とはヒンジ304によって接合されている。
このヒンジ304を支点として、蓋部分301が開放することとなり、ダンパー303によって開放状態を維持するとともにゆっくり閉めることが可能となる。
図10(a)は、蓋部分301を上下方向に開閉可能な状態を示し、図10(b)は、蓋部分301を手前方向に開閉可能な状態を示している。これらの配送ボックス300は、配送する荷物によって選択されることとなる。
図10(c)は、図10(a)を回転させて突起部310が設けられた背面を示した図である。この突起部310は、後述する配送ボックス固定具400に設けられた穴部410に対応する位置関係で設けられている。
この突起部310は、配送ボックス固定具400に設けられた穴部410と係合する部位(第1係合部)であるとも称することができる。
図11は、本発明の実施の形態における配送ボックス固定具400の詳細を示す図である。
図11に示す配送ボックス固定具400は、4個の穴部(第1穴部410a、第2穴部410b、第3穴部410c、第4穴部410d)が設けられており、配送ボックス300に設けられた突起部310を掛合することが可能な部位である。
このことから、この穴部410は、配送ボックス300に設けられた突起部310と係合する部位(第2係合部)であるとも称することができる。
この穴部410は、それぞれ上部円形部410aと下部円形部410bとの2つの円形部が組み合わされて構成されている。この上部円形部410aと下部円形部410bとの2つの円形部に嵌合する(係合する)ものが配送ボックス300に設けられた突起部310である。なお、この突起部310における円筒状の部分は、配送ボックス300から飛び出しており、この配送ボックス300が上方に持ち上げられるのを防ぎ固定するように設けられている。
図12は、本発明の実施の形態における配送ボックス300と配送ボックス固定具400との係合状態を示す図である。
図12では、配送ボックス300の突起部310が配送ボックス固定具400の穴部410に差し込まれて(掛け合いされて)固定された状態(係合した状態)を示している。
この配送ボックス固定具400に設けられた穴部410は、大きな穴(第1穴形状)とその大きな穴に比べて小さな穴(第2穴形状)とが結合して1つの穴を形成したものである。
この大きな穴に配送ボックス300の突起部310を差し込み後、その突起部310を小さい穴へと移動させることで、配送ボックス300が配送ボックス固定具400に契合して固定された状態となる。
図13は、荷物の受取人が受け取るメール内容を示す図である。
図13に示すメール内容は、子車200が配送ボックス300の受取人に通知する伝達手段における内容である。
このメールには、宛先(TO:xxx@yyy.jp)、配送元(FROM:(配送者若しくは荷物の送り元))、題目(SUBJECT:配送完了のご連絡)等からなるヘッダー情報を有しており、また、そのメッセージ内容、配送ボックスを識別する配送ボックス識別情報(BOXナンバー)、開錠キーコードが含まれる。
荷物の受取人は、このようなメール内容を受信することで、荷物の配送が完了したことを認識し、その配送ボックス300を特定して、特定した配送ボックス300を開錠して荷物を取り出すことが可能となる。
図14は、本発明の実施の形態における母車において行われるBOX配送制御処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
図14において、母車100は、センター10との通信によって受信した情報若しくは設定された情報である「配送情報」、「回収情報」の少なくとも一方の確認が行われる(S1401)。
この配送情報は、配送先の住所や氏名のほか、配送ボックス固定具400を識別する「固定具番号」、配送する配送ボックス300を識別する「ボックス識別情報」等が含まれた情報である。また、回収情報は、回収先の住所や氏名のほか、配送ボックス固定具400を識別する「固定具番号」、回収する配送ボックス300を識別する「ボックス識別情報」等が含まれる。
これらの情報を元に、母車100は、予め記憶している地図情報や交通情報を元に配送先までの配送ルートを検索し(S1402)、設定(記憶)する(S1403)。
そして、母車100は、現在地(例えば、センター10)から出発して配送を開始するための条件である配送開始条件が成立したか否かを判断する(S1404)。この配送開始条件は、母車100がセンター10から出発する出発順番となったことや設定された出発時間となったこと等である。
母車100は、配送開始条件が成立したと判断するまで(S1404でNO)は待機状態を継続し、また、配送開始条件が成立したと判断する場合(S1404でYES)には、続いて、設定されている配送ルートに基づく配送に関する運転制御処理を行う(S1405)。
この運転制御処理は、各情報(地図情報、道路情報、交通情報等)とGPS装置とを用いて現在位置(現在地)から配送先20までの配送ルートを移動する処理であって、レーダーやセンサー(レーダー、レーザーセンサー、赤外線センサー、超音波センサー、焦電センサー等)のほか、カメラによる顔認識システムや人体検知システムによって得られる情報をもとに、周辺他車や歩行者、動物、落下物、溝、凹凸、センターライン等によって規定された走行車線、信号等に気をつけながら移動することとなる。
そして、母車100は、この運転制御処理によって、配送ルート上の「配送情報」で示された配送先に対する中継地点若しくはその近隣に到着したか否かを判断する(S1406)。
この運転制御処理によってこれらの地点(中継地点若しくはその近隣)に到着するまでは運転制御処理を継続し(S1406でNO)、「配送情報」で示された配送先20に対する中継地点若しくはその近隣に到着すると(S1406でYES)、母車100は、その中継地点から配送先まで配送ボックス300を配送する子車200を母車100から出庫させる制御を行う(S1407)。
この出庫制御処理によって子車200が母車100から出庫したか否かを判断し(S1408)、子車200が母車100からの出庫を完了するまで(S1408でNO)は出庫制御処理を行うこととなる(S1407)。
そして、この出庫制御処理が完了して子車200が母車100から出庫すると(S1408でYES)、母車100は、続いて、その出庫した子車200との通信制御処理を継続的に行うことで子車200の配送状況を管理し続ける(S1409)。
これによって、母車100と子車200とは、互いの現在地や配送状況を逐一把握することが可能となる。
この管理状況をもとに、母車100は、子車200が配送を完了して所定位置に帰属したか否かを判断する(S1410)。すなわち、母車100は、子車200が配送ボックス300を配送先20に固定することで配送が完了した後に、母車100に関係する所定位置(入庫するために母車100と関係において指定された位置)に戻ってきたか否かを判断する。
子車200がこの所定位置に帰属することとなるまで(S1410でNO)、母車100は、子車200との通信制御処理を行って子車200の状況を管理し続ける(S1409)。
この母車100と子車200との間で行われる通信制御処理は、母車100と子車200とが直接的に行う直接通信のほか、センター10を介して母車100と子車200とが間接的に行う間接通信の制御処理であってもよい。また、母車100および子車200で行われる制御処理全てがセンター10からの通信制御指示によるものであってもよい。
それに対して、子車200が所定位置に帰属することとなると(S1410でYES)、母車100は、その子車200を母車100内に入庫させる制御処理を行う(S1411)。この入庫制御処理は、母車100の扉を開放してその扉が入庫路となって子車200を入庫させて母車100内の所定停車位置に停車させる制御処理である。
この入庫制御処理によって子車200が母車100内に入庫が完了すると、母車100は、子車200の管理情報(子車管理情報)を更新し(S1412)、この子車管理情報をセンターに通知する(S1413)。これによって、センター10では、子車200が正常に母車100に戻ってきたこと等を把握することができるようになる。この場合も同様に、この母車100と子車200との間で行われる通信制御処理は、母車100と子車200とが直接的に行う直接通信のほか、センター10を介して母車100と子車200とが間接的に行う間接通信の制御処理であってもよい。また、母車100および子車200で行われる制御処理全てがセンター10からの通信制御指示によるものであってもよい。
そして、母車100では、配送ルートにおける配送制御が管理したか否かを判断し(S1414)、全ての配送ボックス300の配送が完了したと判断する場合(S1414でYES)は、処理を終了する。
また、全ての配送ボックス300の配送が完了したと判断する場合まで(S1414でNO)、母車100は、設定された配送ルートにおける配送ボックス300の配送における運転制御処理を行う(S1405)。
図15は、本発明の実施の形態における子車において行われるBOX配送制御処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
図15において、子車200は、センター10との通信によって受信した情報若しくは設定された情報である「配送情報」、「回収情報」の少なくとも一方の確認が行われる(S1501)。
この配送情報は、母車100に設定された「配送情報」と同様に、配送先の住所や氏名のほか、配送ボックス固定具400を識別する「固定具番号」、配送する配送ボックス300を識別する「ボックス識別情報」等が含まれた情報である。また、回収情報は、母車100に設定された「回収情報」と同様に、回収先の住所や氏名のほか、配送ボックス固定具400を識別する「固定具番号」、回収する配送ボックス300を識別する「ボックス識別情報」等が含まれる。
これらの情報を元に、子車200は、予め記憶している地図情報や交通情報を元に配送先までの配送ルートを検索し(S1502)、設定(記憶)する(S1503)。
そして、子車200は、現在地(例えば、中継地点)から出発して配送を開始するための条件である子車用配送開始条件が成立した否かを判断する(S1504)。この子車用配送開始条件は、母車100の扉が開き、周辺の道路状況等を鑑みて、子車200が出向できるようになった条件である。
子車200は、この子車用配送開始条件が成立したと判断するまで(S1504でNO)はその配送開始条件が成立したと判断するまでは待機状態を継続し、また、配送開始条件が成立したと判断する場合(S1504でYES)には、続いて、設定されている配送ルートに基づいて配送先20までの配送に関する運転制御処理を行う(S1505)。
そして、子車200は、この運転制御処理によって、配送ルート上の「配送情報」で示された配送先20に到着したか否かを判断する(S1506)。
この運転制御処理によって配送先20に到着するまでは運転制御処理を継続し(S1506でNO)、「配送情報」で示された配送先20に到着すると(S1506でYES)、子車200は、積載している配送ボックス300を配送先に設けられた配送ボックス固定具400へと掛止して固定する制御処理(BOX固定制御処理)を行う(S1507)。
このBOX固定制御処理によって、配送ボックス300を配送ボックス固定具400へと固定すると、子車200は、「取付完了通知」を母車100およびセンター10に対して通知する(S1508)。
そして、子車200は、母車100との通信により「母車の位置情報」を取得し(S1509)、この取得した「母車の位置情報」に基づいて母車100までの「戻りルート」を検索し(S1510)、設定(記憶)する(S1511)。
この状態で、子車200は、その設定された「戻りルート」に基づく運転制御を開始する「戻り開始条件」が成立したか否かを判断する(S1512)。
この「戻り開始条件」が成立するまで(S1512でNO)は、子車200は、この条件が成立するまで待機しており、運転制御を開始する「戻り開始条件」が成立すると(S1512でYES)、設定された「戻りルート」に基づく運転制御を行う(S1513)。
そして、子車200は、設定された子車200における「配送ルート」に基づく全ての配送が完了したか否かを判断する(S1514)。この判断処理によって、全ての配送が完了するまで(S1514でNO)、子車200は、「戻りルート」に基づいて運転制御を継続して行う(S1513)。また、この判断処理によって、全ての配送が完了したと判断すると、子車200は、本BOX配送制御処理を終了する。
図16は、本発明の実施の形態における配送ボックスにおいて行われる錠制御処理の詳細な流れを示すフローチャートである。
図16において、配送ボックス300は、収納されている荷物の受取人等による操作によって、その配送ボックス300に設けられた情報入力部で「所定の情報」の入力を受け付ける(S1601)。この情報入力部は、配送ボックス300に設けられており、上記に示すように、タッチパネル、ボタン、カメラ(撮像装置)等である。
配送ボックス300は、この情報入力部から入力された「所定の情報」を含む認証要求を子車200に対して送信する(S1602)。子車200は、この「所定の情報」を含む認証要求を配送ボックス300から受信したことによって、この「所定の情報」が配送ボックス300を開錠するための正常な「開錠キーコード」であるか否かを判断する。
この認証要求には、「所定の情報」のほか、配送ボックス300を識別する情報をも含み、「所定の情報」が、この配送ボックス300を識別する情報に対して指定された「認証情報」に対応する「開錠キーコード」であるか否かを判断して配送ボックス300に応答する(すなわち、子車200においては、配送ボックス300を識別する情報に対する「認証情報」と、その「認証情報」に対応する「開錠キーコード」であるか否かを判断する判断プログラム等を記憶している)。
そして、配送ボックス300は、子車200からの応答が、認証された「開錠キーコード」であるか否かを判断する(S1603)。この「所定の情報」が正常な「開錠キーコード」として認証されたことが子車200で判断されると、配送ボックス300は、施錠されている扉の開錠処理を行う(S1604)。
これによって、荷物の受取人は、扉を開放して荷物の取り出しを行うことが可能となる。受取人によって、荷物の取り出しが行われ、その後、扉が閉まったことを検知したか否かを判断する(S1605)。
扉が閉まるまで(S1605でNO)は待機し、扉が閉まったことをセンサー等によって検知すると(S1605でYES)、配送ボックス300は、扉を施錠する施錠処理を行う(S1606)。
この施錠処理では、受取人が「開錠キーコード」を入力することなく扉を開錠できないようにする処理であって、再度、受取人が正常な「開錠キーコード」を入力すれば開放が可能な状態とする処理である。
扉を施錠する施錠処理が行われると、配送ボックス300は、その配送ボックス300内に設けられたセンサー(荷物センサー)によって荷物が受取人によって取り出されたことを検知したか否かを判断する(S1607)。
配送ボックス300は、荷物が受取人によって取り出されたことを検知すると(S1607でYES)、センター10に対して荷物の取り出しが行われたことを示す「取出完了通知(BOX識別情報を含む)」を送信する(S1608)。
荷物が受取人によって取り出されたことを検知するまで(S1607でNO)、すなわち、荷物が取り出されていないときには、配送ボックス300は、情報入力部での「所定の情報」の入力を受付可能とする。
上記の処理では、施錠処理が行われた後に、荷物が受取人によって取り出されたか否かを判断しているが、これに限定されることはない。つまり、扉が開放された状態で受取人によって荷物が取り出されたことを荷物センサー等によって検知しておき、施錠処理が行われたことで、配送ボックス300が、センター10に対して荷物の取り出しが行われたことを示す「取出完了通知(BOX識別情報を含む)」を送信するようにしても良い。
以上に示す実施の形態は、本発明の実施の一形態であって、これらの実施例に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。